JP3548625B2 - 熱電発電時計 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は時計の構成に関し、とくに熱電発電器を駆動用電源とする熱電発電時計の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術の熱電発電時計は、携帯時の気温と体温の温度差で起電力を生じ、温度差に比例して起電力(発電量)も大きくなるような熱電半導体を、複数個接続した熱電発電器を駆動用電源として用いている。
【0003】
その温度差を得るために、高温側として腕に接触する裏蓋を利用し、低温側として気温で冷却されるケースを利用する構成をとる。
【0004】
このような構造では、気温と体温との温度差を最大限に得るために、高温側の裏蓋と低温側のケースとを熱伝導率のよい金属材料で形成する。そして、裏蓋とケースとの両方に接触する熱電発電器による熱伝導以外の裏蓋とケースの伝熱を極力少なくすることが必要である。
【0005】
そのためにまず、従来の技術として裏蓋とケースの接続部に断熱性材料からなるフレームをはさむ構成によって、裏蓋とケースの断熱性はかなり高くなる。しかしそれだけでは時計内部の気体(空気)とムーブメントなどを通した伝熱により、断熱性は完全とはいえず、得られる温度差が小さくなってしまう。
【0006】
この問題を解決する手段としては、たとえば特公平2−13279号公報に示されるように、ムーブメントの部分に断熱部材を設ける手段が提案されている。この公報に記載の熱電発電時計の構造を、図2の断面図を用いて説明する。
【0007】
この公報に記載の構成は図2に示すように、まず裏蓋1とケース3とを断熱性材料からなるフレーム2で断熱する。
【0008】
そしてケース3と熱電発電器7に、熱伝導可能な状態で接触する金属部材12を設ける。さらに、文字板5とケース3の間に断熱部材13を設け、ムーブメント6と裏蓋1との間にも断熱部材14を設ける。
【0009】
そしてまずムーブメント6と裏蓋1とを断熱し、さらに時計内部に存在する気体の対流による熱伝達や熱放射(熱輻射)などによる伝熱によって暖まるムーブメント6と文字板5とを低温側のケース3と断熱することにより、裏蓋1とケース3の伝熱を少なくする。
【0010】
また他の従来例における熱電発電時計としては、図3の断面図に示す構造のものがある。この図3は、図2の構造と同一構成要素には同一符号をつけている。図2を用いて説明した上記手段に加えて、図3に示すように、熱電発電器7と接触する金属部材16と、裏蓋1の一部を構成しムーブメント6に接触する断熱部材15とを設ける。
【0011】
この図3に示す構成を採用することによって、熱電発電器7に接触する金属部材16の面積を極力小さくし、腕から熱電発電器7への熱伝導の経路を極力最小限にとどめる。
【0012】
この結果、ムーブメント6などへの伝熱を少なくし、効率よく熱電発電器7へ温度差のエネルギーを伝達させることができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図2に示す熱電発電時計では、裏蓋1から内部に存在する気体の対流による熱伝達や熱放射などによる伝熱によって暖まるムーブメント6と文字板5とに無駄な熱が伝わる。
【0014】
そのため腕から裏蓋1に伝わった熱の一部が、ムーブメント6と文字板5とに放散していることになり、無駄な熱損失を引き起こすという問題が生じる。
【0015】
また、図3に示す熱電発電時計では、熱電発電器7に接触している熱伝導可能な金属部材16以外に断熱部材15を使用している。このことにより、確かに高温側の金属部材16と断熱部材15とから、ムーブメント6と文字板5とへの伝熱は少なくなり、無駄な熱損失は小さくなる。
【0016】
しかしながら、熱電発電器7に熱伝導可能な金属部材16を設ける領域は、高温側の一部領域に限定されることになる。
【0017】
このことにより、まず熱電発電時計としては最も重要な熱エネルギー源である腕に接触する金属部材16の面積が小さくなり、伝わる熱量(熱エネルギー)が少なくなるという問題が生じる。
【0018】
そのうえ、腕に接触する金属部材16の面積が小さくなることから、金属部材16が腕に接触する確実性が低くなる。
【0019】
さらに、しかも図3のように高温側の周辺部に金属部材16が位置する場合、腕の丸みによってなおさら接触が不確実となり、腕と金属部材16との確実な接触が妨げられるという問題が生じる。
【0020】
ところで、フレーム2は、裏蓋1とケース3の断熱を可能にする程度の厚さを必要とするが、フレーム2を厚くすることによって、金属製材料からなる裏蓋1とケース3の間に断熱性材料からなるフレーム2が配置され、材質の異なる部材が重なり、質感が不連続となることによるアンバランスさが生じ、時計としてデザイン的に非常に見栄えの悪いものとなる。
【0021】
このような、材質の異なる部材を重ねることによるアンバランスさをわざと強調したデザインの低価格品の時計もあるが、中価格品以上の時計では、外観のデザインは非常に重要で、材質の異なる部材を重ねる構造から生じるデザイン的な見栄えの悪さは致命的なものとなってしまう。
【0022】
上記に示す従来例の熱電発電時計では、デザイン的な見栄えの悪さという、時計として致命的な問題が生じる。
【0023】
そこで本発明の目的は、上記の課題を解決し、無駄な熱損失を極力少なくし、同時に熱エネルギー源である腕から極力多くの熱量を確実に得られることが可能な熱電発電時計の構造を提供し、さらにデザイン的な見栄えの悪さを改善することが可能な熱電発電時計を提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の熱電発電時計は、下記記載の手段を採用する。
【0025】
本発明の熱電発電時計においては、ムーブメントとケースと裏蓋と熱電発電器とを備え、ケースは風防ガラスを設け、ケースと裏蓋との間にフレームを設け、ムーブメントは風防ガラス側に文字板を設け、熱電発電器はムーブメントの周辺部に設け、熱電発電器の一端はケースに接触し他端は裏蓋に接触し、裏蓋はムーブメントに対向する面側にシートとフィルムとを設けることを特徴とする。
【0026】
本発明の熱電発電時計においては、ムーブメントとケースと裏蓋と熱電発電器とを備え、ケースと裏蓋とは金属材料からなり、ケースは風防ガラスを設け、ケースと裏蓋との間に断熱性材料からなるフレームを設け、ムーブメントは風防ガラス側に文字板を設け、熱電発電器はムーブメントの周辺部に設け、熱電発電器の一端はケースに接触し他端は裏蓋に接触し、裏蓋はムーブメントに対向する面側にシートとフィルムとを設けることを特徴とする。
【0027】
本発明の熱電発電時計においては、ムーブメントとケースと裏蓋と熱電発電器とを備え、ケースと裏蓋とは金属材料からなり、ケースは風防ガラスを設け、ケースと裏蓋との間に断熱性材料からなるフレームを設け、ムーブメントは風防ガラス側に文字板を設け、ムーブメントと文字板とケースとの裏蓋に対向する面側にシートを設け、熱電発電器はムーブメントの周辺部に設け、熱電発電器の一端はケースに接触し他端は裏蓋に接触し、熱電発電器の側面にはシートを設け、裏蓋はムーブメントに対向する面側にシートとフィルムとを設けることを特徴とする。
【0028】
本発明の熱電発電時計においては、ムーブメントとケースと裏蓋と熱電発電器とを備え、ケースと裏蓋とは金属材料からなり、ケースには風防ガラスを設け、ケースと裏蓋との間に断熱性材料からなるフレームを設け、ムーブメントは風防ガラス側に文字板を設け、熱電発電器はムーブメントの周辺部に設け、熱電発電器の一端はケースに接触し他端は裏蓋に接触し、裏蓋はムーブメントに対向する面側にシートとフィルムとを設け、ケースの側面の端部をフレームの底面よりも下側に長く設け、しかもケースと裏蓋との間に断熱可能に隙間を設けることを特徴とする。
【0029】
本発明の熱電発電時計においては、ムーブメントとケースと裏蓋と熱電発電器とを備え、ケースと裏蓋は金属材料からなり、ケースは風防ガラスを設け、ケースと裏蓋との間に断熱性材料からなるフレームを設け、ムーブメントは風防ガラス側に文字板を設け、ムーブメントと文字板とケースとの裏蓋に対向する面側にシートを設け、熱電発電器はムーブメントの周辺部に設け、熱電発電器の一端はケースに接触し他端は裏蓋に接触し、熱電発電器の側面にはシートを設け、裏蓋はムーブメントに対向する面側にシートとフィルムとを設け、ケースの側面の端部をフレームの底面よりも下側に長く設け、しかもケースと裏蓋との間に断熱可能に隙間を設けることを特徴とする。
【0030】
本発明の熱電発電時計においては、ムーブメントとケースと裏蓋と熱電発電器とを備え、ケースは風防ガラスを設け、ケースと裏蓋との間にフレームを設け、ムーブメントは風防ガラス側に文字板を設け、熱電発電器はムーブメントの周辺部に設け、熱電発電器の一端は文字板に接触し他端は裏蓋に接触し、裏蓋はムーブメントに対向する面側にシートとフィルムとを設けることを特徴とする。
【0031】
本発明の熱電発電時計においては、ムーブメントとケースと裏蓋と熱電発電器とを備え、ケースと裏蓋とは金属材料からなり、ケースは風防ガラスを設け、ケースと裏蓋との間に断熱性材料からなるフレームを設け、ムーブメントは風防ガラス側に文字板を設け、熱電発電器はムーブメントの周辺部に設け、熱電発電器の一端は文字板に接触し他端は裏蓋に接触し、裏蓋はムーブメントに対向する面側にシートとフィルムとを設けることを特徴とする。
【0032】
本発明の熱電発電時計においては、ムーブメントとケースと裏蓋と熱電発電器とを備え、ケースと裏蓋とは金属材料からなり、ケースは風防ガラスを設け、ケースと裏蓋との間に断熱性材料からなるフレームを設け、ムーブメントは風防ガラス側に文字板を設け、ムーブメントと文字板とケースとの裏蓋に対向する面側にシートを設け、熱電発電器はムーブメントの周辺部に設け、熱電発電器の一端は文字板に接触し他端は裏蓋に接触し、熱電発電器の側面にはシートを設け、裏蓋はムーブメントに対向する面側にシートとフィルムとを設けることを特徴とする。
【0033】
本発明の熱電発電時計においては、ムーブメントとケースと裏蓋と熱電発電器とを備え、ケースと裏蓋とは金属材料からなり、ケースには風防ガラスを設け、ケースと裏蓋との間に断熱性材料からなるフレームを設け、ムーブメントは風防ガラス側に文字板を設け、熱電発電器はムーブメントの周辺部に設け、熱電発電器の一端は文字板に接触し他端は裏蓋に接触し、裏蓋はムーブメントに対向する面側にシートとフィルムとを設け、ケースの側面の端部をフレームの底面よりも下側に長く設け、しかもケースと裏蓋との間に断熱可能に隙間を設けることを特徴とする。
【0034】
本発明の熱電発電時計においては、ムーブメントとケースと裏蓋と熱電発電器とを備え、ケースと裏蓋とは金属材料からなり、ケースには風防ガラスを設け、ケースと裏蓋との間に断熱性材料からなるフレームを設け、ムーブメントは風防ガラス側に文字板を設け、ムーブメントと文字板とケースとの裏蓋に対向する面側にシートを設け、熱電発電器はムーブメントの周辺部に設け、熱電発電器の一端は文字板に接触し他端は裏蓋に接触し、熱電発電器の側面にはシートを設け、裏蓋はムーブメントに対向する面側にシートとフィルムとを設け、ケースの側面の端部をフレームの底面よりも下側に長く設け、しかもケースと裏蓋との間に断熱可能に隙間を設けることを特徴とする。
【0035】
【作用】
本発明の熱電発電時計では、裏蓋の時計内部の面を覆うように設ける断熱性材料からなるシートとフィルムとムーブメントとの隙間の気体の熱抵抗により裏蓋からケースと、このケースに接触している文字板とムーブメントへの熱伝導を防ぐことができる。
【0036】
さらに本発明の熱電発電時計では、裏蓋の時計内部の表面付近の気体の対流を多孔質のシートの気泡部分で極力抑えることにより気体への熱伝達を防ぎ、気体へ放散する熱量を極力少なくすることができる。
【0037】
さらにまた、鏡面状のフィルムを設けることにより、裏蓋からの熱放射線をフィルムで反射することによりケースと文字板とムーブメントへの熱放射を防ぐことができる。
【0038】
さらにそのうえ本発明の熱電発電時計では、ケースとムーブメントと文字板の時計内部の面と、熱伝発電器の側面とに多孔質の断熱性材料からなるシートを設ける。ことにより、時計内部の気体からの熱伝達を防ぎ断熱効果を一層向上させることができる。
【0039】
以上のような構造から、本発明では裏蓋からの無駄な熱損失を極力減少させることができる熱電発電時計を得ることができる。
【0040】
また本発明の熱電発電時計では、金属材料からなる裏蓋を時計の最大直径まで大きくすることができる。このため、時計バンドを除いた腕に触れる部分の全面積で熱を吸収するので、多くの熱量を確実に得ることができる。
【0041】
さらに付け加えれば、低温側であるケースには文字板とムーブメントとを接触しているので熱容量が大きくなり、冷却効果を持続することができるという効果を、本発明の熱電発電時計では生じる。
【0042】
そして、ケースの側面の端部をフレームの底面より下側に長く設けることにより、フレームは裏蓋側からしか見えず、腕に装着した場合に普通に時計を見る方向からはフレームは見えず、見栄えの悪いフレームと裏蓋とフレームとケースの接続部を隠すような構造を採用する。このことによって、本発明の熱電発電時計においては、材質の異なる部材を重ねる構造から生じるデザイン的な見栄えの悪さを解消し、時計として重要な外観のデザインをよくすることができる。
【0043】
そして、同時に裏蓋とケースは接触しないように隙間を設ける。このことにより本発明の熱電発電時計においては、裏蓋とケースは断熱可能となり、熱電発電時計に必要な断熱構造を維持することができる。
【0044】
【実施例】
以下本発明の実施例における熱電発電時計の構造を、図面を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施例における熱電発電時計構造を示す断面図である。図4は本発明の第2の実施例における熱電発電時計構造を示す断面図である。図5は本発明の第3の実施例における熱電発電時計構造を示す断面図である。図6は本発明の第4の実施例における熱電発電時計構造の一部を示す断面図である。
【0045】
まずはじめに図1を用いて、本発明の第1の実施例における熱電発電時計の構成を説明する。
【0046】
図1に示すように、本発明の熱電発電時計は、ムーブメント6とケース3と裏蓋1と熱電発電器7とを有する。ケース3と裏蓋1とは金属材料からなる。そして、ケース3には風防ガラス4を設け、ケース3と裏蓋1との間にプラスチックなどの断熱性材料からなるフレーム2を設ける。
【0047】
時計を駆動するムーブメント6には、風防ガラス4側に文字板5を設ける。そして、熱電発電器7はムーブメント6の周辺部に設ける。
【0048】
この熱電発電器7の上下方向の一端はケース3に接触し、熱電発電器7の上下方向の他端は裏蓋1に接触する。
【0049】
そして、裏蓋1はムーブメント6に対向する面側に、粉塵を出さない発砲スチロールなどの多孔質の断熱性材料からなるシート8を設ける。さらにこのシート8の上にアルミニウム箔などの表面が鏡面状のフィルム9の鏡面側をシート8に向けるように設ける。
【0050】
熱電発電器7の構成材料としては、熱電半導体を使用する。たとえばp型半導体としてBiSbTe合金を使用し、n型半導体としてBiSeTe合金を使用し、p型半導体とn型半導体を交互に直列に複数接合したものを、熱電発電器7として用いる。さらにその熱電発電器7を、ムーブメント6を囲むように複数個設ける。
【0051】
熱が伝熱する方式には、物質中を熱が伝わる熱伝導と、固体から気体または気体から固体への境界での気体の対流によって熱が伝わる熱伝達と、媒体が無くても電磁波(熱放射線)で直接熱が伝わる熱放射(熱輻射)との3つ方式がある。
【0052】
熱電発電時計では、図1のようにかならず熱電発電器7によって高温側である裏蓋1と、低温側であるケース3との熱伝導が生じる。
【0053】
これはエネルギー源として温度差を利用するために、熱電半導体からなる熱電発電器7をかならず高温側と低温側の部材に熱伝導可能に接触させなければならない。したがって、接触させることによる熱電発電器7そのものの熱伝導はかならず生じる。
【0054】
しかしながら、熱電発電器7による熱伝導以外の裏蓋1とケース3の伝熱は極力小さくし、裏蓋1とケース3との温度差をできるだけ大きくする必要がある。
【0055】
そのために本発明の熱電発電時計においては、裏蓋1とケース3とが直接熱伝導しないように、裏蓋1とケース3との間に断熱性材料からなるフレーム2を設けている。
【0056】
しかし、フレーム2を設けるだけでは充分でなく、時計内部の空気やムーブメントを通してかなりの伝熱が生じ、裏蓋1の熱がケース3に伝わり、温度差が小さくなる原因となり、熱的な効率が悪くなる。
【0057】
この熱的な効率が悪化を防ぐためには、熱電発電器7以外の時計内部を伝熱する経路を極力断ち、無駄な熱損失をできるだけ減少させる必要がある。
【0058】
そのために、時計内部の裏蓋1とケース3の伝熱、すなわち熱伝導や、熱伝達や、熱放射を極力小さくする必要がある。
【0059】
そのためには図1に示す構造のシート8の熱抵抗と、ムーブメント6と裏蓋1との隙間の空気などの気体の熱抵抗による断熱効果とによって、裏蓋1からフレーム2によって断熱されたケース3と、ケース3に熱伝導可能に接触する文字板5とムーブメント6への熱伝導を防ぐことができる。
【0060】
さらに多孔質のシート8の中の気泡部分で気体が流れにくくさせることで、裏蓋1の時計内部の表面付近の気体の対流を極力抑えることにより、時計内部の気体への熱伝達を防ぐことができる。
【0061】
またさらに、鏡面状のフィルム9により裏蓋からの熱放射線をフィルム9の鏡面で反射することにより、ケース3と文字板5とムーブメント6への熱放射を防ぐことができる。
【0062】
なお上記の第1の実施例の説明においては、多孔質の断熱性材料からなるシート8を使用したが、シート8は多孔質でなくてもよい。たとえば粉塵を排出しないように密閉した繊維状の断熱性材料のように、気体の対流を抑え、しかも粉塵を排出しない断熱性材料であればよい。
【0063】
さらにフィルム9はアルミニウム箔の代わりに、たとえばプラスチックなどの薄い膜厚のフィルムの片面または両面に金属薄膜を、真空蒸着法などの薄膜形成手段により形成し、表面を鏡面にしたような鏡面状のフィルム9であればよい。
【0064】
以上のことから本発明の熱電発電時計は、図1に示す構造によって、裏蓋1からケース3への熱電発電器7以外の時計内部を伝熱する経路を極力断ち、無駄な熱損失を極力減少させることができる。
【0065】
つぎに本発明の第2の実施例における熱電発電時計の構成を、図4を用いて説明する。なおこの図4においては、図1と同一構成要素には同一符号をつけている。
【0066】
図4に示すように、ケース3と裏蓋1とは金属材料からなり、このケース3には風防ガラス4を設け、ケース3と裏蓋1との間にプラスチックなどの断熱性材料からなるフレーム2を設ける。そして、ムーブメント6は風防ガラス4側に文字板5を設ける。
【0067】
さらに、ムーブメント6と文字板5とケース3とは、裏蓋1に対向する面側にシート10を設ける。
【0068】
熱電発電器7はムーブメント6の周辺部に設ける。そして、この熱電発電器7の上下方向の一端はケース3に接触し、熱電発電器7の上下方向の他端は裏蓋1に接触する。
【0069】
さらに、熱電発電器7の側面にはシート11を設け、裏蓋1はムーブメント6に対向する面側にシート8を設け、このシート8の上にアルミニウム箔などの表面が鏡面状のフィルム9の鏡面側をシート8に向けるように設ける。さらにムーブメント6を被覆するようにシート10を設ける。
【0070】
以上説明したシート8とシート10とシート11とは、第1の実施例のシート8と同様に、粉塵を出さない発砲スチロールなどの多孔質の断熱性材料からなっている。
【0071】
図4に示す熱電発電時計構造のシート10により、ケース3と文字板5とムーブメント6の時計内部の表面付近の気体の対流を抑えることができる。このことにより、時計内部の気体からケース3と文字板5とムーブメント6への熱伝達を防ぎ、裏蓋1とケース3の伝熱を一層効果的に防ぐことができる。
【0072】
したがって、本発明の第2の実施例の熱電発電時計は、外気により冷却されたケース3は低温のまま保持される。
【0073】
また、図4に示す構造のシート11により、上記と同様に時計内部の気体から熱電発電器7への熱伝達を防ぐことにより、熱電発電器7の熱的な接触を極力裏蓋1とケース3のみにすることが可能になる。このため、熱電発電器7の熱的な効率を一層大きくすることができる。
【0074】
以上、図4を用いて説明した第2の実施例の熱電発電時計構造によって、図1を用いて説明した第1の実施例における無駄な熱損失を一層効果的に減少させることができる。
【0075】
また、図1に示す構造と図4に示す構造とは、ともに金属材料からなる裏蓋1を時計の最大直径まで大きくすることが可能であり、裏蓋1の全面積で腕からの熱を吸収することができる。
【0076】
このため熱源である腕の裏蓋1に接触する面積を、最大限大きくすることが可能となる。
【0077】
このように裏蓋1の面積を大きくすることにより、腕からの熱伝導の確実性を大きくすることができるので、極力多くの熱量を確実に得ることができる。
【0078】
この結果、裏蓋1の時計内部の面のシート8の断熱性により腕から得た熱はほとんどすべて熱電発電器7との接触部に集中することにより、腕から得た熱を極力有効に使用でき熱的な効率の向上が可能である。
【0079】
さらに付け加えれば、低温側であるケース3には文字板5とムーブメント6とが接触している。このため、低温側の熱容量が大きくなって、冷却効果を持続することができ、ケース3を低温に保持する効果を生じ、温度差を持続させることができる。
【0080】
つぎに本発明の第3の実施例における熱電発電時計の構成を、図5を用いて説明する。なおこの図5においては、図1と図4と同一構成要素には同一符号をつけている。
【0081】
図5に示す第3の実施例の熱電発電時計構造においては、その構成部品は図4に示す構造の構成部品と同じであるが、ケース3と熱電発電器7とを直接接触させるのではなく、文字板5に熱電発電器7を接触させ、文字板5がさらにケース3に接触する構造をとる。
【0082】
このことによって、低温側のケース3と熱電発電器7とは、充分熱伝導可能に接触されていて、しかも文字板5の直径を大きくすることが可能な構造となっている。
【0083】
図5に示す構造の熱電発電時計によって熱電発電器7に与えられる温度差は、図4に示す構造によって与えられる温度差に比較して極力小さくせずに、文字板5を大きくすることが可能である。
【0084】
このことにより、風防ガラス4の大きさも大きくすることが可能で、時計のデザイン的な自由度をもたせる効果がある。
【0085】
本発明の第3の実施例では第2の実施例と同じ構成部品で説明したが、第1の実施例と同じ構成部品でも同様に実施することが可能であり、上記第3の実施例と同様の効果がある。
【0086】
つぎに、本発明の第4の実施例における熱電発電時計の構成を、図6を用いて説明する。なおこの図6においては、図1と図4と図5と同一構成要素には同一符号をつけている。
【0087】
図6に示す構造においては、その構成部品は図1に示す構造の構成部品と同じであるが、風防ガラス4とは反対側のケース3の側面の端部は、フレーム2の底部よりも下側に延長して設けるような構造とする。このことによりケース3によって、フレーム2の外側の側面を覆い、しかもケース3と裏蓋1とが直接接触しないように、これらの間に隙間を設ける。
【0088】
このような構造によって、フレーム2と裏蓋1の接続部とフレーム2とケース3の接続部は、裏蓋1を見る方向つまり時計の裏側からしか見えない。したがって、腕に装着した場合に普通に時計を見る方向からはフレーム2は見えず、見栄えの悪いフレーム2と、フレーム2と裏蓋1の接続部と、フレーム2とケース3の接続部とを隠すことができ、デザイン的に見栄えをよくすることができる。
【0089】
そして、同時に裏蓋1とケース3は接触しないように隙間を設けることにより裏蓋1とケース3は断熱可能となる。このため、熱電発電時計に必要な断熱構造を維持することができる。
【0090】
また、図6に示す構造をとることにより、本発明の第4の実施例の熱電発電時計はケース3の気温で冷却される部分の表面積が大きくなり、ケース3は冷却されやすくなり、熱電発電器7の両端に生じる温度差が大きくなる。したがって、熱電発電器7の発電量が大きくなる効果を生むことができる。
【0091】
第4の実施例では第1の実施例と同じ構成部品で説明したが、第2の実施例と第3の実施例と同じ構成部品でも同様に実施することが可能であり、前述の第4の実施例と同様の効果がある。
【0092】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明の熱発電時計構造においては、裏蓋の時計内部の面に断熱性材料からなるシートと鏡面状のフィルムを設け、またムーブメントと文字板とケースの裏蓋に対向する面側と、熱電発電器の側面とに断熱性材料からなるシートを設けている。
【0093】
さらに、本発明の熱発電時計構造においては、ケースの側面の端部をフレームの底面よりも下側に長く設け、しかもケースと裏蓋との間に断熱可能に隙間をあけている。
【0094】
このことにより、時計内部を通した熱伝導を防ぎ、時計内部の気体の対流をふせぐことにより熱伝達を防ぎ、さらに熱放射を防ぐことにより、時計内部を伝熱する経路を極力断ち、無駄な熱損失を極力減少させることができる。
【0095】
さらに第2の実施例の熱電発電時計構造においては、無駄な熱損失を一層効果的に減少させることができる。また、裏蓋では極力多くの熱量を確実に得ることができ、しかも得た熱を有効に使用することにより熱的な効率の向上が可能である。また、低温側の熱容量が大きくなり、温度差を持続させることができる。
【0096】
また、第3の実施例の熱電発電時計構造では、特性を維持したまま、時計のデザイン的な自由度を持たせることができるという効果ももつ。
【0097】
さらにまた、第4の実施例の熱電発電時計構造によりデザイン的に見栄えをよくすることができ、しかもケースの冷却される表面積が大きくなり、熱電発電器の両端に生じる温度差が大きくなり、熱電発電器の発電量が大きくなる効果ももつ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における熱電発電時計を示す断面図である。
【図2】従来例における熱電発電時計を示す断面図である。
【図3】従来例における熱電発電時計を示す断面図である。
【図4】本発明の実施例における熱電発電時計を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例における熱電発電時計を示す断面図である。
【図6】本発明の実施例における熱電発電時計の一部領域を示す断面図である。
【符号の説明】
1 裏蓋
2 フレーム
3 ケース
4 風防ガラス
5 文字板
6 ムーブメント
7 熱電発電器
8 シート
9 フィルム
10 シート
11 シート

Claims (13)

  1. ムーブメントと風防ガラスを有するケースと裏蓋と熱電発電器とを備える熱電発電時計であって、
    前記ケースと前記裏蓋との間にフレームを設け、
    前記熱電発電器は前記ムーブメントの周辺部に設けると共に、一端は前記ケースに接触し他端は前記裏蓋に接触し、
    前記裏蓋と前記ムーブメントとの間にシート状の断熱部材を設けた
    ことを特徴とする熱電発電時計。
  2. 前記シート状の断熱部材を、前記裏蓋の内側に設けた
    ことを特徴とする請求項1記載の熱電発電時計。
  3. 前記シート状の断熱部材を、前記ムーブメントの前記裏蓋と対向する面に設けた
    ことを特徴とする請求項1記載の熱電発電時計。
  4. 前記熱電発電器の周囲に前記シート状の断熱部材を設けた
    ことを特徴とする請求項1記載の熱電発電時計。
  5. 前記シート状の断熱部材上の前記ムーブメントに対向する側に熱反射機能を有する熱反射フィルムを設けた
    ことを特徴とする請求項2記載の熱電発電時計。
  6. 前記ケース及び前記裏蓋は、金属材料からなる
    ことを特徴とする請求項1記載の熱電発電時計。
  7. 前記フレームは、断熱材料からなる
    ことを特徴とする請求項1記載の熱電発電時計。
  8. 前記ケースの側面端部を前記フレームより突出させると共に前記ケースと前記裏蓋との間に隙間を設ける
    ことを特徴とする請求項1記載の熱電発電時計。
  9. 前記ムーブメントの前記風防ガラス側に文字板を設け、
    前記熱電発電器の一端は、前記文字板を介して前記ケースに接触する
    ことを特徴とする請求項1記載の熱電発電時計。
  10. 前記シート状の断熱部材を、前記裏蓋に対向する前記ケー ス内面に設ける
    ことを特徴とする請求項1記載の熱電発電時計。
  11. 前記シート状の断熱部材を、前記ムーブメントの前記裏蓋に対向する側に設ける
    ことを特徴とする請求項1記載の熱電発電時計。
  12. 前記シートは、多孔質の断熱性材料からなる
    ことを特徴とする請求項1記載の熱電発電時計。
  13. 前記熱反射フィルムは、表面が鏡面のアルミニウム箔からなる
    ことを特徴とする請求項5記載の熱電発電時計。
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