JP3548547B2 - ダイシング用粘着シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイシング用粘着シートに関する。さらには当該ダイシング用粘着シートを用いてダイシングを行なう方法に関する。本発明のダイシング用粘着シートは、半導体ウエハ等の素子小片を切断分離(ダイシング)する際に、当該半導体ウエハ等の被切断物を固定するために用いる半導体ウエハダイシング用粘着シートとして特に有用である。例えば、本発明のダイシング用粘着シートは、シリコン半導体ダイシング用粘着シート、化合物半導体ウエハダイシング用粘着シート、半導体パッケージダイシング用粘着シート、ガラスダイシング用粘着シートなどとして使用できる。
【0002】
【従来の技術】
従来よりシリコン、ガリウム、砒素などを材料とする半導体ウエハは、大径の状態で製造された後、素子小片に切断分離(ダイシング)され、更にマウント工程に移される。この際、半導体ウエハは粘着シートに貼付され保持された状態でダイシング工程、洗浄工程、エキスパンド工程、ピックアップ工程、マウント工程の各工程が施される。前記粘着シートとしては、プラスチックフィルムからなる基材上にアクリル系粘着剤が1〜200μm程度が塗布されてなるものが一般的に用いられている。
【0003】
前記ダイシング工程においては、回転しながら移動する丸刃によってウエハの切断が行なわれるが、その際に半導体ウエハを保持するダイシング用粘着シートの基材内部まで切り込みを行なうフルカットと呼ばれる切断方式が主流となってきている。そして、フルカットによる切断方法では、粘着シートの内部まで切り込みが行なわれる結果、基材であるプラスチックフィルム自身が糸状となった切断屑が発生する。この糸状屑がチップ(被切断体)側面などに付着すると、付着した糸状屑は、そのまま、後工程においてマウント、封止されてしまい、半導体素子の信頼性を著しく低下させる原因になっているという問題があった。また、ピックアップ工程においては個々のチップをCCDカメラで認識し位置合わせしてた後にピックアップが行われるが、糸状屑があると認識エラーを起こすという不具合もある。
【0004】
このような問題を解決する手段として、例えば特開平5−156214号公報には、基材としてエチレン−メタクリレート共重合体を用いた粘着シートが提案されている。しかし、この粘着シートでは糸状屑の発生は幾分かは少なくなるものの、今後、高信頼性半導体の製造のダイシング工程に耐えうるレベルを満たし得るものではない。
【0005】
また特開平5−211234号公報では、基材フィルムに1〜80MRadの電子線又はγ線等の放射線を照射したフィルムを用いた粘着シートが提案されている。しかし、この粘着シートでは放射線照射によるフィルムダメージが大きく、外観的に良好なフィルムが得られ難いうえ、フィルム製造において多大なコストがかかり、品位面及び価格面で好ましくない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであり、製品品位の低下やコスト的な不利益が無く、しかもダイシング時の糸状屑の発生の少ないダイシング用粘着シートを提供することを目的とする。さらには、当該ダイシング用粘着シートを用いたダイシング方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべくダイシング用粘着シートを構成する基材フィルムについて鋭意検討した結果、基材フィルムに、特定のオレフィン系樹脂組成物を用いることで、前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、基材フィルム上の少なくとも片面に粘着剤層が設けられてなるダイシング用粘着シートにおいて、前記基材フィルムが、
(A)成分:不飽和カルボン酸無水物と不飽和カルボン酸エステルとによって変性された変性オレフィン系重合体、および
(B)成分:水酸基含有重合体
を含有するオレフィン系樹脂組成物を含有してなることを特徴とするダイシング用粘着シート、に関する。
【0009】
上記本発明のダイシング用粘着シートの基材フィルムは前記(A)成分および(B)成分を含有するオレフィン系樹脂組成物を含有してなる。当該オレフィン系樹脂組成物は、基材フィルム中において、(A)成分である変性オレフィン系重合体のカルボン酸無水物と(B)成分である水酸基含有重合体の水酸基が反応して分子鎖が高度に絡み合うため、ダイシング時に基材フィルムの伸びが低下して、糸状屑の発生を効果的に抑えられる。
【0010】
前記ダイシング用粘着シートにおいて、(A)成分である変性オレフィン系重合体の1分子当たりのカルボン酸無水物基の平均結合数が1個以上であり、(B)成分である水酸基含有重合の1分子当たりの水酸基の平均結合数が1個以上であることが好ましい。
【0011】
前記(A)成分である変性オレフィン系重合体の1分子当たりのカルボン酸無水物基の平均結合数は、変性オレフィン系重合体の数平均分子量と、変性オレフィン系重合体中の不飽和カルボン酸無水物単位の含有量との乗数、すなわち、
平均結合数={(数平均分子量)×(不飽和カルボン酸無水物単位の含有量)}/{100×(不飽和カルボン酸無水物の分子量)}
に基づいて求められる値であり、当該平均結合数は1個以上、さらには1 .5 個以上であることが好ましい。当該平均結合数が1個未満では、(B)成分との反応性が低くなりオレフィン系樹脂組成物としての伸びが十分低下せず糸状屑の発生を抑止しにくくなる。
【0012】
変性オレフィン系重合体の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した値であり、10000〜100000、好ましくは10000〜50000である。また変性オレフィン系重合体における、前記不飽和カルボン酸無水物単位の含有量は、0.1重量%以上、さらには0 .5 重量%以上であるが好ましい。不飽和カルボン酸無水物単位の含有量は、赤外吸収スペクトルにより測定した値である。変性オレフィン系重合体がグラフト変性体の場合には、再沈精製処理等により未グラフト物を除いた後に赤外吸収スペクトルを測定する。なお、不飽和カルボン酸無水物単位の含有量の上限は特に制限されないが、フィルム成形中の(B)成分である水酸基含有重合体の水酸基との反応を抑制するには5重量%以下、さらには3重量%以下であるのが好ましい。
【0013】
(B)成分である水酸基含有重合体の1分子当たりの水酸基の平均結合数は、水酸基含有重合体の数平均分子量と、水酸基含有重合体の水酸基の含有量との乗数、すなわち、
平均結合数={(数平均分子量)×(水酸基含有重合体の水酸基の含有量)}/{100×(水酸基の分子量)}
に基づいて求められる値であり、当該平均結合数は1個以上、さらには1 .5 個以上であることが好ましい。当該平均結合数が1個未満では、(A)成分との反応性が低くなりオレフィン系樹脂組成物としての伸びが十分低下せず糸状屑の発生を抑止しにくくなる。
【0014】
水酸基含有重合体の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した値であり、500〜10000、好ましくは500〜5000である。数平均分子量が前記範囲未満では、臭い、成型時の発煙、発泡等の問題が起きやすく、一方、前記範囲超過では、前述(A)成分との反応性が低くなりやすくオレフィン系組成物としての伸びが十分低下せず糸状屑の発生を抑止しにくくなる。また水酸基含有重合体における、前記水酸基含有量は、水酸基含有重合体中の、水酸基の重量であり、前記水酸基含有量は、0. 1重量%以上、さらには0. 2重量%以上であるが好ましい。水酸基含有量は赤外吸収スペクトルから計算した値である。なお、水酸基含有量の上限は特に制限されないが、フィルム成形中の(A)成分である変性オレフィン系重合体のカルボン酸無水物との反応を抑制するには15重量%以下、さらには10重量%以下であるのが好ましい。
【0015】
前記ダイシング用粘着シートにおいて、(A)成分である変性オレフィン系重合体中のカルボン酸無水物基数に対するカルボン酸エステル基数の比が0.5〜20であることが好ましい。
【0016】
(A)成分中のカルボン酸無水物基数に対するカルボン酸エステル基数の比が小さくなりすぎると(B)成分との反応が過大となり加工時の押出負荷が増大したり、フィルム外観が悪化し易くなる傾向があるため前記比を0.5以上とするのが好ましい。一方、前記比が大きくなり過ぎると(B)成分との反応性が低くなりオレフィン系樹脂組成物としての伸びが十分低下せず糸状屑の発生を抑止しにくくなる傾向があるため前記比を20以下、さらには15以下とするのが好ましい。前記比は0.5〜15であるのがより好ましい。
【0017】
なお、カルボン酸無水物基数、カルボン酸エステル基数は、赤外吸収スペクトルにより測定した不飽和カルボン酸無水物単位と不飽和カルボン酸エステル単位の含有量と、それぞれの構成単位の重量から求めた不飽和カルボン酸無水物単位のモル数に対する、不飽和カルボン酸エステル単位のモル数の比である。
【0018】
前記ダイシング用粘着シートにおいて、(A)成分のカルボン酸無水物基数に対する(B)成分の水酸基数の比が0.1〜5であることが好ましい。
【0019】
オレフィン系重合体組成物における(A)成分である変性オレフィン系重合体と(B)成分である水酸基含有重合体との組成比は、特に制限されないが、前記比が小さくなりすぎると(A)成分と(B)成分との反応性が低くなりオレフィン系樹脂組成物としての伸びが十分低下せず糸状屑の発生を抑止しにくくなる傾向があるため前記比を0.1以上とするのが好ましい。一方、前記比が大きくなり過ぎると反応が過大となり加工時の押出負荷が増大したり、フィルム外観が悪化し易くなる傾向があるため、前記比を5以下、3以下とするのが好ましい。前記比は0.1〜3であるのが好ましい。
【0020】
なお、水酸基含有重合体の水酸基数は、(B)成分である水酸基含有重合体の1分子当たりの水酸基の平均結合数とその使用量から求めた値であり、前記(A)成分のカルボン酸無水物基数に対する(B)成分の水酸基数の比は、当該水酸基数を、(A)成分である変性オレフィン系重合体の1分子当たりのカルボン酸無水物の平均結合数とその使用量から求めたカルボン酸無水物単位の数とを対比(水酸基数/カルボン酸無水物単位の数)した値である。
【0021】
前記ダイシング用粘着シートにおいて、基材フィルムが単層フィルムであり、(A)成分および(B)成分を含有してなるオレフィン系樹脂組成物を50重量%以上含有していることが好ましい。
【0022】
また前記ダイシング用粘着シートにおいて、基材フィルムが多層フィルムであり、当該多層フィルムの少なくとも1層が、(A)成分および(B)成分からなるオレフィン系樹脂組成物を50重量%以上含有していることが好ましい。
【0023】
基材フィルム中の前記オレフィン系樹脂組成物の含有量は、糸状屑発生防止効果から、単層フィルムまたは多層フィルムの少なくとも1層が、通常、50重量%以上、好ましくは60重量%以上であるのがよい。基材フィルムを多層とした場合には、例えば、前記オレフィン系樹脂組成物を含む伸び性の低い層をフルカットの際に丸刃の切り込みが行なわれる深さまでの少なくとも一層に設けることでダイシング時の糸状屑の発生を防止することができ、他の層にエキスパンド時に必要とされる伸び性に優れた層を設けることにより、前記オレフィン系樹脂組成物を含む層の伸び性の低さを補うことができる。その他、帯電防止性に優れる層などの機能層を設けて多層化して帯電防止性能などの追加機能を付加することもできる。
【0024】
前記ダイシング用粘着シートにおいて、粘着剤層の厚みは1〜200μmである場合に有効である。
【0025】
粘着剤層を厚くすることは、ダイシング中の半導体ウエハの振動などの原因によって、ダイシング品位を著しく低下させ、コスト的にも不利益となるため、粘着剤層の厚みは1〜200μm、特に好ましくは3〜50μmとされる。通常、ダイシング工程では、ダイシング用粘着シートに対して丸刃が5〜230μm程度の切込み、切断を行なっているため、粘着剤層がその切込深さより薄く、基材フィルムまで切り込みが行われ、基材フィルムによる糸状屑が問題となる場合に本発明のダイシング用粘着シートは有効に機能する。
【0026】
前記ダイシング用粘着シートにおいて、粘着剤層は放射線硬化型粘着剤により形成されているものであることが好ましい。
【0027】
放射線硬化型粘着剤層を用いれば、放射線を照射することにより粘着力を低下させることができ、ウエハ等を切断分離した後に、ウエハ等からの粘着シートの除去を容易に行うことができる。
【0028】
さらに本発明は、前記ダイシング用粘着シートを、被切断物へ貼り付けた後に、前記粘着シートの基材フィルムまで切り込みを行なうことにより被切断物をダイシングすることを特徴とするダイシング方法、に関する。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のダイシング用粘着シートを、図1を参照しつつ詳細に説明する。図1に示すように本発明のダイシング用粘着シート1は、基材フィルム11と、該基材フィルム11の少なくとも一方の面に設けられた粘着剤層12と、更に必要に応じて粘着層と接し、基材フィルムとは反対側の面に貼り付けられたセパレータ13とで構成されている。図1では基材フィルム11の片面に粘着剤層12を有するが、粘着剤層は基材フィルムの両面に形成することもできる。ダイシング用粘着シートはシートを巻いてテープ状とすることもできる。
【0030】
基材フィルムは、前記(A)成分および(B)成分からなるオレフィン系樹脂組成物を含有してなる。
【0031】
(A)成分は、不飽和カルボン酸無水物と不飽和カルボン酸エステルとによって変性された変性オレフィン系重合体である。かかる変性オレフィン系重合体は、オレフィン成分を主成分とし、これに不飽和カルボン酸無水物と不飽和カルボン酸エステルが共重合またはグラフト重合したものなどがあげられる。変性オレフィン系重合体としては、たとえば、α−オレフィンとエチレン性不飽和カルボン酸無水物とエチレン性不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体、α−オレフィンとエチレン性不飽和カルボン酸無水物との二元共重合体のエチレン性不飽和カルボン酸エステルによるグラフト体、α−オレフィンとエチレン性不飽和カルボン酸エステルとの二元共重合体のエチレン性不飽和カルボン酸無水物によるグラフト体、α−オレフィン系重合体のエチレン性不飽和カルボン酸無水物とエチレン性不飽和カルボン酸エステルとによるグラフト体、さらには前記二元共重合体または三元共重合体の不飽和カルボン酸無水物および/または不飽和カルボン酸エステルによるグラフト体等のこれら変性を組み合わせたものなどがあげられる。
【0032】
前記α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1 、3 −メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等があげられる。
【0033】
エチレン性不飽和カルボン酸無水物としては、例えば、コハク酸2−オクテン−1 −イル無水物、コハク酸2−ドデセン−1−イル無水物、コハク酸2−オクタデセン−1−イル無水物、マレイン酸無水物、2 ,3 −ジメチルマレイン酸無水物、ブロモマレイン酸無水物、ジクロロマレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、1−ブテン−3 ,4 −ジカルボン酸無水物、1−シクロぺンテン−1,2 −ジカルボン酸無水物、1 ,2 ,3 ,6 −テトラヒドロフタル酸無水物、3 ,4 ,5 ,6 −テトラヒドロフタル酸無水物、exo−3,6 −エポキシ−1,2 ,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、5 −ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、endo−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2 ,3 ,5 ,6 −テトラカルボン酸無水物等があげられる。
【0034】
エチレン性不飽和カルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸{(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸をいう。以下(メタ)とは同様の意味である。}、マレイン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸の炭素数1〜20程度のアルキル基エステルが好ましい。例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸へキシル、(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、マレイン酸ジメチル等があげられる。
【0035】
なお、前記変性オレフィン系重合体は、前記α−オレフィン、エチレン性不飽和カルボン酸無水物およびエチレン性不飽和カルボン酸エステルの他に、さらに、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸化合物、酢酸ビニル等のビニルエステル化合物、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド等のエチレン性不飽和アミド化合物、スチレン、(メタ)アクリロニトリル等のその他のエチレン性不飽和化合物等を共重合することもできる。これら任意成分は前記三元共重合体と共重合して変性オレフィン系重合体を四元以上の多元共重合体とすることができ、またグラフト体において主鎖となる二元共重合体等の共重合成分や側鎖のグラフト成分として使用される。
【0036】
前記変性オレフィン系重合体としては、エチレンとマレイン酸無水物と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの三元共重合体が好ましく、またα−オレフィン系重合体のマレイン酸無水物と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとによるグラフト体が好ましい。
【0037】
前記変性オレフィン系重合体で例示された三元共重合体または四元以上の多元共重合体は、従来公知の塊状、溶液、気相、懸濁等の重合法により製造することができる。また、前記変性オレフィン系重合体で例示されたグラフト体は、溶融混練、溶液、固相、懸濁等のグラフト化法により製造することができる。
【0038】
なお、グラフト体の主鎖としては、α−オレフィンとエチレン性不飽和カルボン酸無水物との二元共重合体、α−オレフィンとエチレン性不飽和カルボン酸エステルとの二元共重合体、α−オレフィン系重合体等が用いられるが、これらとしては、例えば、低密度・中密度・高密度ポリエチレン等(分岐状又は直鏡状)のエチレンの単独重合体;エチレンとプロピレン、ブテン−1 、3 −メチルブテン−1 、ぺンテン−1 、3 −メチルペンテン−1、ヘキセン−1 、オクテン−1デセン−1等のα−オレフィンとの共重合体;エチレンと酢酸ビニル等のビニルエステル化合物、(メタ)アクリル酸またはそれらのエステル等の他単量体との共重合体等のエチレン系樹脂;プロピレンの単独重合体、プロピレンとエチレン、ブテン−1 、3 −メチルブテン−1、ぺンテン−1 、3 −メチルぺンテン−1 、4−メチルぺンテン−1 、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンとイソプレン、1 ,3 −ブタジエン、1 ,3 −ペンタジエン、1 ,4 −ヘキサジエン、1 ,5 −ヘキサジエン、1 ,9 −デカジエン等のジエン化合物等の他単量体との共重合体等のプロピレン系樹脂;その他ブテン−1 、4−メチルぺンテン−1、ヘキセン−1等のα−オレフィンの単独重合体や共重合体等があげられる。
【0039】
本発明における(A)成分である前記変性オレフィン系重合体は、(B)成分と混合する前に、α−オレフィン系重合体等の他の重合体で希釈しておいてもよい。その際、他の重合体の使用量は、(変性オレフィン系重合体のカルボン酸無水物基の平均結合数)×{(変性オレフィン系重合体の重量)/(変性オレフィン系重合体の重量+他の重合体の重量)}の値が1以上となる範囲で使用するのが好ましい。
【0040】
(B)成分の水酸基含有重合体としては、水酸基を含有する重合体を特に制限なく使用できる。水酸基含有重合体としては、例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルグラフトポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリビニルアルコール、低分子量ポリオレフィンポリオール類、ポリアルキレンエーテルグリコール類、ポリオキシアルキレンポリオール類、水酸基末端ジエンポリマー及びその水素添加物またはそのアジぺート類、水酸基末端ポリカプロラクト類等があげられ、具体的には、低分子量ポリオレフィンポリオール類、ポリアルキレンエーテルグリコール類、ポリオキシアルキレンポリオール類、水酸基末端ジエンポリマー及びその水素添加物等が好ましいものとしてあげられる。
【0041】
なお、本発明における(B)成分である水酸基含有重合体は、(A)成分と混合する前にα−オレフィン系重合体等の他の重合体で希釈しておいてもよい。他の重合体の使用量は、(水酸基含有重合体の水酸基の平均結合数)×{(他の重合体の重量)/(水酸基含有重合体の重量+他の重合体の重量)}の値が1以上となる範囲で使用するのが好ましい。
【0042】
本発明のオレフィン系重合体組成物は、前記(A)成分と(B)成分を、前述の通り、好ましくは、(A)成分のカルボン酸無水物基数に対する(B)成分の水酸基数の比が0.1〜5、さらには0.1〜3となる範囲で含有していればよく、前記(A)成分と(B)成分からなる混合物により基材フィルムを構成することができる他、必要に応じて他のプラスチック樹脂との混合体から基材フィルムを構成することもできる。このようなプラスチック樹脂としては前記例示のα−オレフィン系重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン等の慣用のプラスチックシート用樹脂を好適に用いることができる。基材フィルム中の前記オレフィン系重合体組成物の含有量は、糸状屑発生防止効果から、通常50重量%以上、好ましくは60重量%以上がよい。
【0043】
その他に、基材フィルム中には、鉱油等の軟化剤、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、マイカ、クレー等の充鎮材、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、分散剤、中和剤、α晶核剤、β晶核剤等の各種添加剤が必要に応じて配合されてもよい。
【0044】
本発明の基材フィルムは押出法等の常法に従って作製することができ、その厚さは、通常10〜300μm、好ましくは30〜200μm程度である。基材フィルムは単層フィルムまたは多層フィルムの何れであってもよいが、粘着剤層が接する表面から150μm程度までの、ダイシング時に丸刃が達すると想定される層は前記オレフィン系樹脂組成物を含有している層とするのが好ましい。多層フィルムは、たとえば、前記例示のα−オレフィン系重合体等を他の層の材料に用いて、共押出法、ドライラミネート法等の慣用のフィルム積層法により製造できる。
【0045】
また、得られた基材フィルムは、必要に応じて一軸または二軸の延伸処理を施してもよい。延伸処理を施す場合には、0〜140℃程度で行なうのが好ましい。このようにして製膜された基材フィルムは、必要に応じて、40〜80℃程度の温度において1〜100時間程度保存し、フィルム特性を安定させてもよい。また、基材フィルムの表面には必要に応じてマット処理、コロナ放電処理、プライマー処理等の慣用の物理的または化学的処理を施すことができる。
【0046】
粘着剤層は、公知乃至慣用の粘着剤を使用できる。このような粘着剤は、何ら制限されるものではないが、例えばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系等の各種粘着剤が用いられる。
【0047】
前記粘着剤としてはアクリル系粘着剤が好ましい。アクリル系粘着剤のベースポリマーであるアクリル系ポリマーは、通常、(メタ)アクリル酸アルキルの重合体または共重合性モノマーとの共重合体が用いられる。アクリル系ポリマーの主モノマーとしては、そのホモポリマーのガラス転移温度が20℃以下の(メタ)アクリル酸アルキルが好ましい。
【0048】
(メタ)アクリル酸アルキルのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、2 −エチルヘキシル基、オクチル基、イソノニル基等があげられる。また、前記共重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル(例えば、ヒドロキシエチルエステル、ヒドロキシブチルエステル、ヒドロキシヘキシルエステル等)、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N−ヒドロキシメチルアミド、(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル、(例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレート、t −ブチルアミノエチルメタクリレート等)、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル等があげられる。
【0049】
また、粘着剤としては紫外線、電子線等により硬化する放射線硬化型粘着剤や加熱発泡型粘着剤を用いることもできる。さらには、ダイシング・ダイボンド兼用可能な粘着剤であってもよい。本発明においては、放射線硬化型粘着剤、特に紫外線硬化型粘着剤を用いることが好ましい。なお、粘着剤として放射線硬化型粘着剤を用いる場合には、ダイシング工程の前又は後に粘着剤に放射線が照射されるため前記基材フィルムは十分な放射線透過性を有しているもの好ましい。
【0050】
放射線硬化型粘着剤は、例えば、前記ベースポリマー(アクリル系ポリマー)と、放射線硬化成分を含有してなる。放射線硬化成分は、分子中に炭素−炭素二重結合を有し、ラジカル重合により硬化可能なモノマー、オリゴマー又はポリマーを特に制限無く使用できる。放射線硬化成分としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ぺンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1 ,6 −へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオぺンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジぺンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物;エステルアクリレートオリゴマー;2 −プロぺニルージ−3 −ブテニルシアヌレート、2 −ヒドロキシエチルビス(2 −アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートまたはイソシアヌレート化合物などがあげられる。
【0051】
また、放射線硬化型粘着剤はベースポリマー(アクリル系ポリマー)として、ポリマー側鎖に炭素−炭素二重結合を有する放射線硬化型ポリマーを使用することもでき、この場合においては特に上記放射線硬化成分を加える必要は無い。
【0052】
放射線硬化型粘着剤を紫外線により硬化させる場合には、光重合開始剤が必要である。重合開始剤としては、たとえば、べンゾイルメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のペンゾインアルキルエーテル類;べンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等の芳香族ケトン類;べンジルジメチルケタール等の芳香族ケタール類;ポリビニルベンゾフェノン;クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン類等があげられる。
【0053】
前記粘着剤には、更に必要に応じて、架橋剤、粘着付与剤、充填剤、老化防止剤、着色剤等の慣用の添加剤を含有させることができる。架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、アジリジン化合物、エポキシ樹脂、無水化物、ポリアミン、カルボキシル基含有ポリマーなどがあげられる。
【0054】
本発明のダイシング用粘着シート1は、例えば、基材フィルム11の表面に、粘着剤を塗布して乾燥させて(必要に応じて加熱架橋させて)粘着剤層12を形成し、必要に応じてこの粘着剤層12の表面にセパレータ13を貼り合わせることにより製造できる。また、別途、セパレータ13に粘着剤層12を形成した後、それらを基材フィルム11に貼り合せる方法等を採用できる。
【0055】
粘着剤層の厚さは、粘着剤の種類、あるいはダイシング切込深さにより適宜決定することができるが、通常は1〜200μm、好ましくは3〜50μm程度である。
【0056】
セパレータは、ラベル加工のため、または粘着剤層を平滑にする目的のために、必要に応じて設けられる。セパレータの構成材料としては、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルム等があげられる。セパレータの表面には、粘着剤層からの剥離性を高めるため、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理が施されていてもよい。また、剛性を高める等の目的に応じて、一軸または二軸の延伸処理や他のプラスチックフィルム等で積層を行ってもよい。セパレータの厚みは、通常、10〜200μm、好ましくは25〜100μm程度である。
【0057】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの
実施例により限定されるものではない。
【0058】
実施例1
(A)成分の調製
エチレン−マレイン酸無水物−アクリル酸エチル三元共重合体(190℃メルトフローレート5g/10分,マレイン酸無水物単位含有量2.3重量%、アクリル酸エチル単位含有量7重量%,カルボン酸無水物基数に対するカルボン酸エステル基数の比3,ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した数平均分子量19000,数平均分子量とマレイン酸無水物単位含有量の乗数に基づいて求めた1分子当たりのカルボン酸無水物基の平均結合数4.5個)75重量部およびプロピレン−エチレンランダム共重合体(230℃メルトフローレート3g/10分、エチレン含量5重量%)25重量部の合計100重量部を、へンシェルミキサーで均一に混合した後、二軸混練機(シリンダー径45mm,L/D=34,池貝社製「PCM−45」 ,設定温度230℃)に供給して溶融混練することにより樹脂組成物[A−1]を得た。得られた樹脂組成物は190℃メルトフローレート4g/10分、マレイン酸無水物単位含有量1.7重量%、アクリル酸エチル単位含有量5重量%、加成性より求められる1分子当たりのカルボン酸無水物基の平均結合数3.4個であった。
【0059】
(B)成分の調製
水添ポリブタジエンポリオール(水酸基含有量1.4重量%、数平均分子量2700、数平均分子量と水酸基含有量の乗数に基づいて求めた1分子当たりの水酸基の平均結合数2.2個)50重量部と低密度ポリエチレン(190℃メルトフローレート2g/10分,密度0.919g/cm )50重量部との混合物に、酸化防止剤として、テトラキス〔メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト〕メタンとトリス(2,4 −ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトとをそれぞれ0.6重量部添加し、ヘンシェルミキサーで均一に混合した後、二軸押出機(シリンダー径45mm,L/D=34,池貝社製「PCM−45」,設定温度170℃)に供給して溶融混練することにより、樹脂組成物[B−1]を得た。得られた樹脂組成物は190℃メルトフローレート210g/10分、水酸基含有量0.7重量%、加成性より求められる1分子当たりの水酸基の平均結合数1.1個であった。
【0060】
(基材フィルムの作製)
(A)成分としてA−1を80重量部および(B)成分としてB−1を20重量部の合計100重量部を、へンシェルミキサーで均一に混合してオレフィン系樹脂組成物を調製した後、(株)プラコー社製Tダイ成形機(設定温度250℃)に供給し製膜し、厚み100μm、幅28cmの基材フィルムを作製した。なお、A−1のカルボン酸無水物基数に対するB−1の水酸基数の比は0.6であった。
【0061】
(粘着剤の調製)
アクリル酸ブチル95重量部及びアクリル酸5重量部をトルエン中で常法により共重合させて得られた重量平均分子量50万のアクリル系共重合体を含有する溶液に、ジぺンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名「カヤラッドDPHA」,日本化薬(株)製)60重量部、光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」,チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)3重量部、ポリイソシアネート化合物(商品名「コロネートL」,日本ポリウレタン(株)製)5重量部を加えて、アクリル系紫外線硬化型粘着剤溶液を調製した。
【0062】
(ダイシング用粘着シートの作製)
上記で調製した粘着剤溶液を、上記で得られた基材フィルムのコロナ処理面上に塗布し、80℃で10分間加熱架橋して、厚さ20μmの紫外線硬化型粘着剤層を形成した。次いで、当該粘着剤層面にセパレータを貼り合せて紫外線硬化型ダイシング用粘着シートを作製した。
【0063】
実施例2
(A)成分の調製
エチレン−1−ブテン共重合体(密度0.923g/cm ,190℃メルトフローレート30g/10分)70重量部、エチレン−1−ブテン共重合体(密度0.925g/cm ,190℃メルトフローレート9g/10分)15重量部、エチレン−プロピレンランダム共重合体(プロピレン含有量24重量%、密度0.870g/cm 、230℃メルトフローレート40g/10分)15重量部、マレイン酸無水物1重量部、アクリル酸n−ブチル1.2重量部、2,5−ジメチル−2 ,5 −ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン0.12重量部をへンシェルミキサーで均一に混合した後、二軸押出機(シリンダー径30mm,L/D=32,池貝社製「PCM−30」,設定温度230℃)に供給して溶融混練することによりグラフト反応を行い、樹脂組成物[A−2]を得た。得られた樹脂組成物は190℃メルトフローレート14g/10分、再沈精製処理により未グラフト物を除いた後に赤外吸収スペクトルにより測定したマレイン酸無水物単位含有量0.9重量%、アクリル酸n−ブチル単位含有量0.7重量%、カルボン酸無水物基数に対するカルボン酸エステル基数の比0.6、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した数平均分子量18000、数平均分子量とマレイン酸無水物単位含有量の乗数に基づいて求めた1分子当たりのカルボン酸無水物基の平均結合数1.7個であった。
【0064】
(基材フィルムの作製)
(A)成分としてA−2を82重量部および(B)成分としてB−1を18重量部の合計100重量部を、へンシェルミキサーで均一に混合してオレフィン系樹脂組成物を調製した後、実施例1と同様に製膜し、厚み100μm、幅28cmの基材フィルムを作製した。次いで、フィルム特性安定化のため、40℃の温度条件下で24時間保存し、基材フィルムを得た。なお、A−2のカルボン酸無水物基数に対するB−1の水酸基数の比は1であった。
【0065】
(ダイシング用粘着シートの作製)
実施例1で調製した粘着剤溶液を、上記で得られた基材フィルムのコロナ処理面上に塗布し、80℃で10分間加熱架橋して、厚さ50μmの紫外線硬化型粘着剤層を形成した。次いで、当該粘着剤層面にセパレータを貼り合せて紫外線硬化型ダイシング用粘着シートを作製した。
【0066】
比較例1
実施例1のダイシング用粘着シートの作製において、基材フィルムとして、低密度ポリエチレン(190℃のメルトフローレート1.5g/10分)をTダイ押出し法により厚さ100μmとなるように製膜しフィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にしてダイシング用粘着シートを作製した。
【0067】
比較例2
実施例1のダイシング用粘着シートの作製において、基材フィルムとして、エチレン−メタクリル酸共重合体(190℃のメルトフローレート2g/10分)をTダイ押出し法により厚さ100μmとなるように製膜しフィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にしてダイシング用粘着シートを作製した。
【0068】
(評価試験)
実施例及び比較例で得られたダイシング用粘着シートを下記の方法により評価した。結果を表1に示す。
【0069】
(1)ダイシング性評価
ダイシング用粘着シートに、厚さ350μmの6インチウエハをマウントし、以下の条件でダイシングした。
【0070】
(ダイシング条件)
ダイサー:DISCO社製、DFD−651
ブレード:DISCO社製、NBC−ZH205O 27HEDD
ブレード回転数:45000rpm
ダイシング速度:100mm/秒
ダイシング深さ:基材フィルムに対して30μm
ダイシングサイズ:2.5mm×2.5mm
カットモード:ダウンカット
ダイシング後、切断されたチップ表面の糸状屑の発生状況を光学顕微鏡(200)で観察し、糸状屑の大きさ毎に個数をカウントした。
【0071】
【表1】
Figure 0003548547
表1から、実施例のダイシング用粘着シートでは糸状屑の発生が少ないことが認められる。しかも、100μm以上の糸状屑は発生していない。なお、実施例、比較例のウエハは、製品品位が低下することはなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のダイシング用粘着シートの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ダイシング用粘着シート
11 基材フィルム
12 粘着剤層
13 セパレータ

Claims (9)

  1. 基材フィルム上の少なくとも片面に粘着剤層が設けられてなるダイシング用粘着シートにおいて、前記基材フィルムが、
    (A)成分:不飽和カルボン酸無水物と不飽和カルボン酸エステルとによって変性された変性オレフィン系重合体、および
    (B)成分:水酸基含有重合体
    を含有するオレフィン系樹脂組成物を含有してなることを特徴とするダイシング用粘着シート。
  2. (A)成分である変性オレフィン系重合体の1分子当たりのカルボン酸無水物基の平均結合数が1個以上であり、(B)成分である水酸基含有重合の1分子当たりの水酸基の平均結合数が1個以上であることを特徴とする請求項1記載のダイシング用粘着シート。
  3. (A)成分である変性オレフィン系重合体中のカルボン酸無水物基数に対するカルボン酸エステル基数の比が0.5〜20であることを特徴とする請求項1または2記載のダイシング用粘着シート。
  4. (A)成分のカルボン酸無水物基数に対する(B)成分の水酸基数の比が0.1〜5であることを特徴とする請求項1〜3記載のいずれかに記載のダイシング用粘着シート。
  5. 基材フィルムが単層フィルムであり、(A)成分および(B)成分を含有するオレフィン系樹脂組成物を50重量%以上含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のダイシング用粘着シート。
  6. 基材フィルムが多層フィルムであり、当該多層フィルムの少なくとも1層が、(A)成分および(B)成分を含有するオレフィン系樹脂組成物を50重量%以上含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のダイシング用粘着シート。
  7. 粘着剤層の厚みが1〜200μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のダイシング用粘着シート。
  8. 粘着剤層が放射線硬化型粘着剤により形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のダイシング用粘着シート。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のダイシング用粘着シートを、被切断物へ貼り付けた後に、前記粘着シートの基材フィルムまで切り込みを行なうことにより被切断物をダイシングすることを特徴とするダイシング方法。
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