JP3548443B2 - 異鋼種の溶鋼を連続的に鋳造する連々鋳造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続鋳造中の異鋼種の連々鋳等における前鍋と後鍋の成分混合領域部から鋳造される鋳片の成分外れを少なくするために、溶鋼の精錬工程において適正な成分狙い値を設定するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の連続鋳造中の鋼種変更連続鋳造方法は、前取鍋の溶鋼を取鍋からタンディッシュに注入完了した後、次の取鍋に交換してタンディッシュ内に溶鋼を注入開始する際に、連続鋳造を一旦停止する。
その後、モールド内の前鍋溶鋼の最終湯面に仕切り鉄板を浸漬凝固させ、その上に次の溶鋼をタンディッシュから注入しながら鋳造速度を連続的に、または階段状に増速して次の定常鋳造速度にすると共に、タンディッシュ内湯面レベルを定常設定レベルに復帰させていた。
【0003】
この従来方法においては、連続鋳造を停止するために前取鍋と次の取鍋の成分の混合域が拡大される傾向にあり、そのため中間成分の鋳片が多発しその処置を如何にするかと言う問題があった。さらに、仕切り鉄板を使用するにはその作業に多くの労力を要し、また、連続鋳造を停止することにより生産性に多大の影響を与えていた。
さらにまた、タンディッシュ内での溶鋼残量がほぼ皆無に近い状態としなければならないために、残溶鋼と溶滓とが混合してこの残溶滓の処理対策にも問題点があり、このように従来より鋼種変更連続鋳造方法には多くの未解決の問題が多く残されていた。
【0004】
この解決法の一つとして、特開平6−198400号公報に記載された技術が提案されている。該公報によれば、前取鍋からタンディッシュへの注入完了後、所定の残量となるまで定常の速度で鋳造し、その後鋳造速度を0.10〜0.60m/minの割合で減速し、0.13〜0.17m/minにして、溶滓が流出しない最少量になると次の取鍋から注入を開始し、その後タンディッシュ内へ最大量となるように溶鋼を注入し、かつ急速に増速して行き次取鍋での定常速度に到達させること、およびモールド下二次冷却帯を前取鍋について強冷のみとし、次取鍋は強冷または徐冷とする組合せによって、成分の混合した中間成分鋳片を最少とする方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来から溶鋼の精錬工程での成分調整においては、前・後取鍋の成分範囲を考慮することなく、工程能力範囲内でコストが最小となるよう成分規格範囲内で調整して連続鋳造を実施するのが通常であった。
そのため、鋼種変更連続鋳造時においては、前鍋および後鍋の混合領域部鋳片において予定とする成分から外れる鋳片が多く発生していた。
【0006】
近年、生産性向上のための連続鋳造比率の増大に伴い、異鋼種の連々鋳率も増大しているが、上記特許公報に記載のように鋳造速度を調整するのみでは、鋳造速度を変動する頻度が多くなり、また、混合領域部での成分外れ鋳片の発生頻度も高くなる問題を有していた。さらに、連続鋳造速度を変更(低速化)するため、鋳造作業に及ぼす影響が大きく、生産性が低下する等の問題があり、有効な解決方法とはなっていなかった。
そこで、本発明においては異鋼種の溶鋼を連々鋳造するに際し、鋳造速度を低速化することなく、前鍋と後鍋の成分混合領域での成分外れの少ない鋳片を得るための連続鋳造方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであってその要旨とするところは下記手段にある。
【0008】
連続鋳造中に前鍋からの溶鋼をタンディッシュへ供給完了後、前鍋の規格成分値と差があり、その規格成分値に重複部がある後鍋からの溶鋼をタンディッシュへ供給して連続鋳造を継続する連々鋳造方法において、後鍋からの溶鋼をタンディッシュへ供給を開始した後におけるタンディッシュ内の溶鋼成分の変化推移状況を示す成分変化予測線を求めると共に、前記後鍋から溶鋼をタンディッシュへ供給を開始した時点での該タンディッシュに残留している溶鋼量に相当する溶鋼量の排出が完了する時点を求め、この求めた時点において前記成分変化予測線が前記重複部の成分範囲となるように、溶鋼の精錬工程において各規格成分値の範囲内で前記前鍋および/または後鍋の溶鋼の狙い成分値を調整することを特徴とする異鋼種の溶鋼を連続的に鋳造する連々鋳造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明者らは上記問題点である異鋼種の連続鋳造時に、鋳造すべき鋳片の鋼種、サイズによって定められている鋳造速度をできるだけ所定に保ちながら連続鋳造を続行すると共に、成分混合領域での成分外れ鋳片の発生を減少させるべく、種々の検討を重ねた結果、前鍋溶鋼と後鍋溶鋼との混合領域において、前鍋の規格成分値を満足させ、できるだけ所定量の鋳片を確保したうえで、後鍋においても前鍋と同様できるだけ後鍋の規格成分値を満足させるためには、従来のように規格成分値の範囲の中央値(または下限値から1/3の値,または下限値から2/3の値)のみを固定狙い値とすることに固執していたのでは、混合領域において目的とした規格成分値を満した成分外れの少ない鋳片を確保することは困難であるとの結論に到達した。
【0010】
そこで、タンディッシュ内における前鍋と後鍋の溶鋼の混合領域における成分の変化推移状況を予測し、この予測した成分の変化値が、後鍋の溶鋼をタンディッシュに供給を開始した時点で、該タンディッシュ内に残留している前鍋の溶鋼量に相当する溶鋼量を排出した時点において、前鍋と後鍋の規格成分値の重複部範囲内より外れないように、前鍋および/または後鍋の溶鋼の精錬工程、すなわち、転炉での吹錬行程、脱ガス設備での成分値調整工程等で狙い成分値の調整を行うことにより、成分外れ鋳片の発生を大幅に低減することが可能になることを見出したものである。
【0011】
ここで、溶鋼を収容する容器内において、溶鋼を混合したときの溶鋼の混合状態の推移について、通常は次のように変化して行くものと考えられる。
今、特定収容容量を持つ容器において、容器内に収容された特定成分値aを有する溶鋼Aを排出しながら、他の特定成分値bを有する溶鋼Bを溶鋼Aの排出量(単位時間当たり一定量)に見合うだけ供給した場合、容器内における溶鋼成分a,bの混合状態(溶鋼Aと溶鋼Bとが容器内でそれぞれ占める割合)は、当然のことながら、成分aの溶鋼Aに成分bの溶鋼Bを混入した直後から、溶鋼Aに対して溶鋼Bを混入するのではなく、溶鋼Aと溶鋼Bとの混合溶鋼B/A(以下溶鋼Cと呼ぶ)に対して溶鋼Bを混入していることに他ならない。
【0012】
当初は溶鋼Cのうち溶鋼Aが大半を占めているので、溶鋼Bの混合率は時間の経過とともに急速に高くなるが、このような混合状態にある溶鋼にさらに溶鋼Bを供給追加して行くので、容器内の溶鋼Cにおける溶鋼Bの混合率は、溶鋼Bの供給量が単位時間当たり同一であるにも拘らず、その混合率は順次低くなって行く。従って、容器内の溶鋼成分aが完全に溶鋼成分bに置き換わるには、無限の時間(無限の溶鋼量Bの供給)を必要とする。
【0013】
しかし、上記混合状態は溶鋼成分aを有する溶鋼Aに対して溶鋼成分bを有する溶鋼Bの混合が、瞬時にして完全かつ均一に行われることを前提とした場合であって、通常の連続鋳造に使用しているタンディッシュ(溶鋼収容容器)においては、タンディッシュの上方より溶鋼を供給し、下方より溶鋼を鋳型へ排出しながら連続鋳造操業を継続しているので、溶鋼Bがタンディッシュ内の溶鋼A中に供給されても、タンディッシュ内で直ちに溶鋼Aに全ての溶鋼Bが均一に混合して溶鋼Cとなることは、現実の作業を想定した場合、タンディッシュの構造上(内部堰の有無,排出口の位置等)不可能なことであり、タンディッシュ内の下部に存在する溶鋼Aが鋳型に排出されつつ、順次溶鋼Bを混入した溶鋼Cが、溶鋼Bの混合率を次第に増しながら排出し続け、最終的にタンディッシュ内の溶鋼Cは殆どが溶鋼Bに置換されて、溶鋼成分bを有する溶鋼Bが排出されることとなる。
【0014】
本発明者らの経験によれば、特定成分値aを有するタンディッシュ内の溶鋼Aに、他の特定成分値bを有する溶鋼Bを供給しながら連続鋳造を継続した場合、溶鋼成分aと溶鋼成分bの混合状態の推移は、例えば図5に示す如き混合割合で時間と共に変化して行く。図5は上記した理論上での瞬時完全混合が行われた時の混合率の変化曲線と、現実での操業状況を予測した時の混合率の変化曲線および前鍋溶鋼流出終了点を図示したものである。
図のような推移で変化すると予測されるので、成分aを有する溶鋼Aと成分bを有する溶鋼Bの混合中間点をタンディッシュ内残溶鋼(溶鋼A)相当量排出完時点とし、また、後鍋から供給される溶鋼Bの溶鋼量がタンディッシュの収容量の約3倍を超えた時点を以て、溶鋼Aが溶鋼Bへの変更が完了したと見做しても、実作業においてそれ程大きな支障をきたす惧れは殆どない。
【0015】
次に本発明での基本概念の理解を容易にするために、各々想定されるモデルについて図1〜図4に例示した。これは何れも便宜的に示したもので、成分範囲については前・後鍋共に上・下限値が占める割合を同一量とし、また前鍋と後鍋のタンディッシュ内の溶鋼混合主要領域から得られる鋳片は、鋳片の採尺寸法(厚さ×幅×長さ)によってその重量が変動するのは当然のことであるが、ここでは一応その量を前鍋該当部分から3本(鋳片No.1〜3)、後鍋該当部分から3本(鋳片No.4〜6)と仮定し(後鍋については後鍋成分の溶鋼がタンディッシュ内でほぼ完全に置換されるには、前鍋残留溶鋼量より多くの溶鋼量(経過時間)を必要とするが、後述するような理由により同量とした)、さらに、溶鋼の混合領域内での成分の変化の推移量を直線に近似してその増減の傾向を表わしてみたものである。
【0016】
成分推移値の変化を直線に近似したのは、図5からみられるように成分の規格外れの発生が危惧される部位は、タンディッシュ内前鍋残留溶鋼相当量が排出した時点(後鍋溶鋼供給量がタンディッシュ収容量とほぼ同一量)となる近傍であり、その部位のみに限って言えば成分変化が予側される線と殆ど同一の値で通過する線であるならば、直線に近似しても鋳片の合否判定に余り影響を及ぼさず、また、前述したように本発明の目的をできるだけ簡易に理解するためのもので、種々の原因による成分のバラツキを考慮したときは、差ほどの厳密性を要求されないとの考えに基づき、飽くまでも便宜上直線を用いることによって面倒な曲線による表現を避け簡略化を図ったものである。
【0017】
図1,図2は前鍋の規格成分値に対して後鍋の規格成分値が低目の場合を想定してそれぞれ例示したもので、図1は後鍋の成分範囲が前鍋の成分範囲に対して所定範囲に亙って重複している場合、図2は前鍋成分下限値と後鍋成分上限値が重複(一致)している場合である。
【0018】
図1において前・後鍋共に成分狙い値を下方狙い値(R)とした場合は、前鍋と後鍋の溶鋼の混合域におけるタンディッシュ内の溶鋼成分の変化値線は、点線cの如く経過して行き、前鍋から採取予定の溶鋼混合領域内の鋳片No.3は、前鍋の規格値から外れることになる。これに対して本発明例のように前鍋成分値を下方狙い値(R)より高目の中央狙い値(M)に設定して置けば、後鍋が下方狙い値(R)であっても前鍋と後鍋の溶鋼混合領域内においては、その溶鋼成分の変化値線は実線bの如く規格値から外れる鋳片の発生はなく、前鍋予定鋳造量を確保することができる。
【0019】
また、実線aの如く、前・後鍋共に下方狙い値(R)より高目の中央狙い値(M)とし同量づつ増加した方がよく、この場合は成分値のバラツキがあっても、成分が規格から外れる恐れが少なくより安全である。さらに、前鍋を上方狙い値(V)として、後鍋を下方狙い値(R)とすると実線dのようになり、同様に安全性を増し上記同様に規格値から外れる鋳片の発生の心配はない。
【0020】
図2は前鍋と後鍋の規格成分値の重複する部分は、それぞれ下限値と上限値で一致しているに過ぎないので、前・後鍋共成分を下方狙い値(R)とした場合は点線cの如く変化し、前鍋の規格値から外れる鋳片発生量が増す恐れがある。図面から見ると溶鋼混合領域内の鋳片No.2,3の2本が、前鍋の成分範囲を満たしていないことになる。また、両鍋共上方狙い値(V)とすると、点線eのように後鍋からの鋳片が規格値から外れる。
【0021】
これに対し本発明例のように前鍋をより高く、できる限り高目狙い値(V)に設定して置けば、後鍋が下方狙い値(R)であっても前鍋と後鍋の溶鋼混合領域内においては、実線bの如く成分の変化値線が重複点を通り、前・後鍋の溶鋼成分が規格値から外れる惧れは少ない。
また、同様に前鍋が中央狙い値(M)としたときは、後鍋も中央狙い値(M)として実施する。この両者の選択は、後鍋の次の鍋の規格成分によって決めればよい。
ただし、これらは何れも図面上で成分変化を直線的に変化すると仮定しての話を基にして示したものであり、実際の操業においては成分値のバラツキにより上・下のどちらかにずれることは起り得るので、溶鋼混合主要領域内の鋳片No.3またはNo.4が規格外れとなる可能性は避けられない。
【0022】
さて、図3,4であるが、この場合は前鍋の規格成分値に対して後鍋の規格成分値が高目の場合を想定してそれぞれ例示したもので、図3は後鍋の成分範囲が前鍋の成分範囲に対して所定範囲に亙って重複している場合、図4は前鍋成分上限値と後鍋成分下限値が重複(一致)している場合である。
これら図3,4で例示している成分範囲のずれは、丁度図1,2の場合と逆のずれとなっている。そこで規格成分の狙い値の設定に当たっては、図3においては図1と逆の設定を実施すればよく、また図4については図2と逆の設定をすればよい。
【0023】
すなわち、各図で見られるように前鍋および/または後鍋の狙い成分値を調整して成分の変化値線が実線a,b,になるようにすれば、後鍋の規格外れの鋳片数を最少限に抑えることができる。
従って、図3,4については特に新たな説明を加える必要はないので、その詳細は省略したが、図面を見れば容易に理解できるものと思われる。
なお、図中の実線a,b,d、点線c,eは、各図共その意味するところは同じである。
【0024】
また、各成分値において、前・後鍋共に通常狙い値を高目狙いとするときの値であるが、前鍋に対して後鍋成分範囲がどの程度上・下にずれているかによって、高目狙いの設定値が変ってくるのは当然のことであり、図1〜4から明らかなように、原則としてずれの幅が大きいときは、その値も大きくとらなければならない。
なお、本発明において成分狙い値を図面上では点で表現したが、これは飽くまでも図面上で目標とした狙い値であって、実際の操業においてはその狙い値が上・下に多少のずれを生じることは当然起こり得ることであり、本発明ではそれらのことを考慮した上で狙い値を決定する必要がある。
【0025】
ここで、図1〜4についての説明は前述したように、前鍋溶鋼量のタンディッシュ残存量が略一定で、後鍋から供給される溶鋼量も時間当り一定割合で供給されていると仮定し、それを基に図示してみたもので、現実には前鍋と後鍋の変換には或る程度の時間を要し、タンディッシュの残溶鋼はその間でもタンディッシュから鋳型への溶鋼の排出を継続しているので溶鋼量は漸次低減する。
従って後鍋溶鋼の供給開始後、タンディッシュで所定の溶鋼量を保持するためには、後鍋からタンディッシュへの溶鋼の供給は初期には若干早め(単位時間当たり多量)となり、後鍋溶鋼の混合率の上昇は早めに行われ、その結果、後鍋の成分系に近付くのが早くなるが、本発明における溶鋼の混合成分予測線はその点も加味して算出している。
【0026】
なお、本発明で鋳片における成分値を表示しているが、この値は前述したように成分規格外れが発生する可能性が高いのは、前鍋溶鋼と後鍋溶鋼の混合領域での中間部分であり、図1〜4での鋳片No.3と4がそれに該当する。また、鋳片内においては前鍋溶鋼からの鋳片では鋳片のトップ側(鋳造方向での後端側)と、後鍋溶鋼からの鋳片では鋳片のボトム側(鋳造方向での先端側)の部分にその可能性が最も大きい。
そこで鋳片からの成分値を判定するためのサンプリングは、鋳片No.3についてはトップ部から、鋳片No.4についてはボトム部から行い、鋳片全体に亙って成分規格値を満足するか否の判定を行っている。
【0027】
本発明においては、成分規格中で適用できる成分についての言及は特にしていないが、特定の元素のみにしか適さないということはなく、通常の鋼に含まれる主要元素は勿論のこと、他の添加元素についても溶鋼中で偏りをもたないものであれば何れの元素であっても差し支えなく、これらのことは本発明者らは既に多くの元素について実験を行い、偏差のないことを確認している。
また、異鋼種の継ぎ目に該当する鋳片については、鋳片の先端部側と後端部側より試料を採取し、その成分の分析結果によって、規格値を満たすものかどうかの判定を行っている。
さらに、前述のように規格外れの鋳片については向先の有無を確認し、採用できるものはその振り向け先を確保し、向け先がない場合はストックヤード等に保管するか、格落材としての処置を採らざるを得ない。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を表1に記載の鋼を用いて異鋼の連続鋳造を行った例について説明する。
本例に使用した鋼の化学成分の規格値を表1に前鍋・後鍋について示し、表2と表3にはこの鋼の元素(Mn)の規格値の上・下限値と鋳片での化学成分値を示し、また同表に連続鋳造における各種の諸元も示した。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
本実施例では、何れも溶鋼成分中Mnを取り上げ、前鍋と後鍋とでその成分のずれの度合いによって成分狙い値を変更して設定し実施した。表2および表3中には比較例として、従来の考え方に基づく成分狙い値の設定を行った例についても同様に記載した。
【0033】
表1中鋼種No.1は前鍋のMn値に対して後鍋のMn値が低く、かつ規格成分範囲が一部重複している場合、鋼種No.2は前鍋のMn下限値と後鍋のMn上限値が合致している場合である。
さらに、鋼種No.3はNo.1とは逆に前鍋のMn値に対して後鍋のMn値が高く、かつ規格成分範囲が一部重複している場合、鋼種No.4は前鍋のMn上限値と後鍋のMn下限値が合致している場合である。
【0034】
表2から明らかなように、鋼種No.1では従来例▲1▼の鋳片No.3が規格値から外れたが、本発明の実施例1,2は何れの鋳片も規格値を満足していた。また鋼種No.2では従来例▲2▼の鋳片No.2,3が規格値から外れとなった。これに対し本発明の実施例3,4においては、何れの鋳片も規格値内に収まっていた。
【0035】
表3に示した鋼種No.3については従来例▲3▼の鋳片No.4が規格外れとなったが、本発明の実施例5,6においては、規格外れとなるものは無かった。また、鋼種No.4においては従来例▲4▼の鋳片No.4,5が規格外れとなったが、これに対し本発明の実施例7,8に示されるように、何れの鋳片においても規格から外れるものはなかった。
【0036】
これらの実施例から判断してみるに、後鍋の規格成分値が前鍋の規格成分値に対して高目にあるときは、規格外れが発生する可能性が大きいものと思われるが、狙い値を適切に調整することにより、規格外れになる鋳片を極力少なくすることができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば連続鋳造時に鋳造速度を変更しないか、変更しても鋼種特有の変更量で済ますことができるので、前・後鍋の継ぎ目部分から得られる鋳片成分値外れを皆無にするか、少なくともその格落材の発生本数を少なくすることができ、鋳片品質の安定はもとより、表面性状にも悪影響を及ぼすことなく、鋼種変更の連々鋳作業の効率を高めると共に、生産性において従来の連々鋳法に比し格段の優れた効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】前鍋成分の下限範囲に対して後鍋成分上限範囲が重複した場の成分推移を模式的に示した図。
【図2】前鍋成分範囲に対して後鍋成分範囲が上限値と下限値で一致した場合の成分推移を模式的に示した図。
【図3】前鍋成分の上限範囲に対して後鍋成分下限範囲が重複した場合の成分推移を模式的に示した図。
【図4】前鍋成分範囲に対して後鍋成分範囲が下限値と上限値で一致した場合の成分推移を模式的に示した図。
【図5】タンディッシュ内において前鍋と後鍋の溶鋼の混合率の変化推移状況の例を示した図。
Claims (1)
- 連続鋳造中に前鍋からの溶鋼をタンディッシュへ供給完了後、前鍋の規格成分値と差があり、その規格成分値に重複部がある後鍋からの溶鋼をタンディッシュへ供給して連続鋳造を継続する連々鋳造方法において、後鍋からの溶鋼をタンディッシュへ供給を開始した後におけるタンディッシュ内の溶鋼成分の変化推移状況を示す成分変化予測線を求めると共に、前記後鍋から溶鋼をタンディッシュへ供給を開始した時点での該タンディッシュに残留している溶鋼量に相当する溶鋼量の排出が完了する時点を求め、この求めた時点において前記成分変化予測線が前記重複部の成分範囲となるように、溶鋼の精錬工程において各規格成分値の範囲内で前記前鍋および/または後鍋の溶鋼の狙い成分値を調整することを特徴とする異鋼種の溶鋼を連続的に鋳造する連々鋳造方法。
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