JP3548175B2 - 結合改良のためのバイオアクティブ共役体による移植片表面の改質 - Google Patents
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Description
発明の背景
(a)発明の分野
本発明は周囲組織へのその統合性を改良するために移植片表面に共役結合するバイオアクティブ共役体に関する。
(b)先行技術の説明
プレート、釘、ピン、ねじとしてのデバイス、特定形状に成形された部品が通常、欠損構造部分を永久的に補充するための人工プロテーゼ(補てつ)手段として、又は破砕した骨の部分の間の固定関係を維持するための永久固定デバイスとしてヒトの骨格構造中に移植される。明らかに、耐久性が必要であるか又は望ましい場合には、移植された部分は接触する骨表面に永久的に接着して留まるべきである。この必要条件は、これまでは、例えばチタン、ステンレス鋼、タンタル又はVitallium(登録商標)(コバルトと、クロムと、モリブデンとの合金)のような高強度物質から構成されたプロテーゼ部分は一般に、移植がなされる自然骨構造と強い結合を形成できないことが判明しているので、一部の困難性の原因であった。失敗が生じた場合に骨と移植片とから採取した切片の高度拡大写真は人工部分と自然部分との間に癒着が不存在であるように見えることを明らかにしており、実際に移植片表面とそれに隣接する骨物質との間の事実上の分離がしばしば見られる。
別の方法で移植片として知られる外科用プロテーゼデバイスの使用は、例えば再建手術のような、種々な外科用途、例えば腰関節等の置換に周知である。これらの用途は一般に、体液(body fluid)によって実質的に腐食されないか又は他の形式で劣化されない金属又は合金から構成された移植片の使用を含む。しかし、これらの先行技術の移植片は幾つかの制限を有している。
典型的に、破砕した骨の設定では、金属プレートが骨破片の各側に固定されて用いられている。これらのプレートは通常はねじによって骨に固定される。プレートはそのうちに骨及び体組織に包まれるようになるが、移植片と組織との間に結合は形成されない。ねじの1つがゆるむと、患者は追加の修正手術を受けねばならない。
移植片と組織との間の結合によって身体中、通常は骨中に永久的に合体することのできる外科手術用のプロテーゼデバイスを提供することが、先行技術において示唆されている。
先行技術の提案の1つでは、表面を覆って、表面に結合した金属の薄い多孔質被膜を有する金属基体又は基部(base)から成るプロテーゼデバイスが述べられている。孔の存在が軟質又は硬質の組織をデバイスの多孔質被膜中に成長させるので、身体中への機械的組込みが達成される。
この先行技術の提案に述べられている被膜の唯一の形成方法は金属基体上へのプラズマ又はフレーム溶射方法である。この方法の結果は基体金属上の溶射金属の緻密付着層であり、被膜と基体との間の界面に多孔度は存在せず又は事実上の多孔度は存在しないが、界面から被膜表面にかけて、孔サイズ(pore size)の増大と密度の減少とを含めて、多孔度が徐々に増大する。
この方法は金属基体上に多孔質被膜を形成するために効果的であるが、それにも拘わらず、この方法は完成プロテーゼデバイスに非常に重大な欠陥を生ずる。デバイスの被覆面内への組織の成長(ingrowth)を実証するために設計した試験では、一定期間骨中に埋封した後に、その上に被膜を有するピンに引き出し試験(pull−out test)を実施した。この引き出し試験は被膜と基部金属との間の界面に剪断を生ずる。この結果は、デバイスの総合強度が骨の総合強度より小さいことを実証する。デバイスが付着する骨よりも弱いデバイスの供給が界面における剪断のためにデバイスの破損を生じて、このようなデバイスによって治療される患者に有害で、痛い結果を与えうることは全く明らかである。
他の先行技術提案は多孔質セラミック物質から構成されたプロテーゼデバイスの供給を含む。この物質は構造的に弱いので、デバイスの大部分(bulk)に樹脂物質を充填して、多孔質表面積を残すことによって、この欠点を克服することが試みられている。樹脂の存在はデバイスの中心部分の強度を高めるが、表面部分は依然として弱いままである。さらに、体液によって劣化しやすい樹脂物質の存在は人体で使用するには満足できるものではない。さらに、セラミックの最大孔サイズは50μであると指示されているが、これよりも非常に小さいサイズが好ましい。孔サイズが50μよりも大きい場合には、構造が弱すぎて、効果的に用いられることができない。
外科用移植片をセメントを用いて骨に固定することも知られている。骨組織の内側への成長を受容するように移植片を構成することによって、セメントを用いずに移植片の固定を改良することも知られている。例えば、移植片にある一定の深さの多孔質表面が与えられている。しかし、固定面(anchoring surface)の機械的強度が不利な意味で大きく影響されるので、これらの多孔質表面移植片は実際問題として実証されていない。この物質のこの弱化(weakening)の理由は、孔が物質中に尖った角や縁を生じるからである。特に長期間交番応力の場合には、このことが移植片の固体心部にまで続く亀裂を生じ、結局は疲れ破損を生じる。
骨内への機械的接着を改良するために、突起及び/又は凹みを規則的に配置した移植片も構成されている。しかし、これらの構造体では尖った角や縁が避けられているという事実を全く別にして、移植片と組織との間の接着の増強は達せられていない。この後者の失敗は、表面の不充分な拡大のみが得られることから生じていた。周知のように、固定面の拡大が組織と固定部分又は骨の中で異物体(foreign body)として作用する移植片との間の結合に影響を与え、これを改良することができる決定的な特徴である。
Hahnの名前での米国特許第3,605,123号(1969年4月29日)は、移植される骨構造との実質的に完全な結合を促進する可能性を有する、構造強度の大きいプロテーゼを開示する。
Pilliarの名前での米国特許第3,855,638号(1974年12月24日)は、固体金属物質の基体とそれに付着して、基体の表面上に少なくとも部分的に伸びる多孔質被膜とから成る複合構造の外科手術用のプロテーゼを開示する。基体の表面上の多孔質被膜は、先行技術デバイスの欠点を含まない、満足できるデバイスを供給するために重要である幾つかのパラメータを有する。
Freyの名前での米国特許第4,272,855号(1981年6月16日)は、多重の絨毛を含む固定面を有する骨移植片を開示する。
しかし、これらの先行技術移植片のいずれも、組織−移植片界面における一連の生化学反応を促進して、それによって組織成長と、移植片の安定化及び結合とを促進する化学的被膜を備えていない。
例えば口腔組織の修復のためのような移植片に関しては、実質的な進歩がなされており、現在用いられている方法は主としてアロプラスト置換物質(alloplastic replacement material)の使用に基づいている。チタン、チタン合金及びヒドロキシアパタイト塗布した整形外科用及び歯科用移植片が医療及び歯科において組織の修復、再建及び置換のために並びに種々なプロテーゼのサポートとして広く用いられる。これらの移植片は一般に、骨に関係する外科手術に用いられており、この場合にこれらの移植片はこの硬質の無機物化(mineralized)組織中に組込まれ(“骨統合(osseointegration)”)、場合によっては、例えば皮膚又は口腔粘膜のような軟質組織を横切る。
例えば歯(象牙質、セメント質)及び骨のような、硬質の生物学的構造では、アパタイト無機物によって含浸されたコラーゲンタンパク質繊維の広範囲なネットワークによって、これらの組織に大きい剛性と強度とが与えられる。これらの組織中でコラーゲンは最も豊富なタンパク質であるが、他の非コラーゲンタンパク質も細胞によって分泌され、それらの細胞外マトリックス内に蓄積される。これらの非コラーゲンタンパク質の正確な機能は不明であるが、実験結果はこれらが石灰化の開始と調節とに重要な役割を果たすことを実証するので、これらは最近非常に注目されてきている(BoskeyのBone Mineral,6:111〜123(1989)と、GorskiのCalcif.Tissue Int.,50:391〜396(1992)とによる概観)。
1群の非コラーゲンタンパク質、リンタンパク質(有機リン含有)、さらに詳しくは、ホスホホリンと呼ばれる象牙質リンタンパク質と、オステオポンチン及び骨シアロプロティン(sialoprotein)と呼ばれる、2種類の骨リンタンパク質(ButlerのConnect.Tissue Res.,23:123〜136(1989)と、ButlerのJ.Biol.Buccale,19:83〜89(1991)とによる概観)は、無機物結晶成長の種結晶若しくは調節剤として作用することによって及び/又は細胞とそれらの関連機能とを組織内の特定部位に向けることによって関係することができる。オステオポンチンと骨シアロプロティンとは、石灰化の初期段階における無機物とのその同時局在(co−localization)の他に、原形質膜インテグリン受容体に結合して、細胞接着を促進するArg−Gly−Asp(RGD)細胞結合ペプチド配列を含むことが知られている(Telios Pharmaceuticals,Inc.,Manual for Summary:1−10を参照)。このトリプレット配列の存在、これらのタンパク質の分布及び無機物とこれらの関係は、これらのリンタンパク質が無機物化組織形成中に多機能的役割を有し、これらが第一に無機物化を開始し、調節し、第二にマトリックスへの細胞接着を仲介することによって動力学を管理する(direct)ことができることを示唆する(McKee等,Anat.Rec.,234:479〜492(1992)及びMcKee等,J.Bone Miner.Res.,8:485〜496(1992))。
移植片が上首尾であるためには、移植片の骨内(intraosseous)部分は骨統合(osseointegration)を受けなければならず、歯肉通過(transgingival)部分の周囲には機能的な接合上皮様シールが形成されなければならない(McKinney等,J.Dent.Educ.,(特別発行)52:696〜705(1988)によって概観)。これらの事象の不完全さが結果としての移植片の拒絶を招くことになる。この接合上皮は、正常状態では、歯の歯肉下(subgingival)部分をほお側環境からシールし、上皮層と、基底層(basal lamina)に類似する糖タンパク質構造と、半接着斑とから成る(Schroeder,Differentiation of human oral stratified epithelia,S.Karger Publishers,Basel.,1981)。基底層と半接着斑とは、恐らくインテグリン受容体を介して(Hormia等,J.Dent.Res.,71:1503〜1508(1992))、歯表面への歯肉の接着に役立つと考えられる(Schroeder,Helv.Odont.Acta,13:65〜83(1969))。付着上皮(junctional epithelium)中にはラミニン(Sawada等,J.Perio.Res.,25:372〜376(1990))とコラーゲンVIII型(Salonen等,J.Perio.Res.,26:355〜360(1991))とが存在し、コラーゲンVIII型が一般に基底膜の通常成分でない点で、後者の存在が特に興味深い。同様に、レクチン−金細胞化学(Zalzal等,J.Dent.Res.,72:411(1993))によって可視化したときに、付着上皮基底層の糖含量は特有であるように見える。通常の基底膜と丁度同じように、付着上皮の基底層は口腔上皮がbona fide(真の)付着上皮になるための分化(specialization)に誘導的役割を果たすことができる(Timpl,Eur.J.Biochem.,180:487〜502(1989)によって概観)。
これらの状況の各々における基本的仮説は、隣接組織(すなわち、骨、軟結合組織又は上皮)の細胞外マトリックス成分が非生物学的移植片と、移植片を囲む生物学的細胞外マトリックスとの間の結合を可能にすると言うことである。例えば、骨では、この結合領域(界面)は電子顕微鏡を用いて、骨マトリックスを移植片から適当に分離する非コラーゲン有機物質の層として確認されている(Steflik等,J.Biomed.Materials Res.,26:529〜545(1992))。
Sukenik,C.N.等(J.Biomed.Materials Res.,24:1307〜1323(1990))は、共有結合した自然集成(self−assembled)単層によるチタン表面の改質による細胞接着の調整を開示する。しかし、かれらは組織−移植片界面における組織の成長、安定化及び統合を促進する、生物学的活性分子を含むバイオアクティブ共役体の付着を示していない。
典型的に発生する生化学的及び生理学的機構に基づいて、結合した移植片による治癒患者の組織−移植片界面に見い出される天然タンパク質の生物学的活性を模倣する、金属移植片の化学的被膜を設けることが非常に望ましいと考えられる。
組織−移植片界面における一連の生化学反応を促進して、それによって組織成長、移植片の安定化と統合を促進する、金属移植片の化学的被膜を設けることが非常に望ましいと考えられる。
化学化合物による金属移植片の長期間被覆方法を提供することが非常に望ましいと考えられる。
発明の概要
本発明の1つの目的は、典型的に発生する生理学的機構に基づいて、統合した移植片による治癒患者の組織−移植片界面に見い出されるタンパク質の生物学的活性を模倣する、金属移植片の化学的被膜を提供することである。
本発明の他の目的は、組織−移植片界面における一連の生化学反応を促進して、それによって組織成長、移植片の安定化と統合を促進するバイオアクティブ共役体を提供することである。
本発明の他の目的は、バイオアクティブ共役体による移植片の共有結合(covalent)被覆方法を提供することである。
本発明によると、金属移植片外面を被覆するために適したバイオアクティブ共役体であって、下記構造式I:
−R−X−P I
[式中、
Rは移植片表面に共有結合するのに適したO又はSであり;
Xは結合、C、N、O、Si、S若しくは他の結合原子から成る群から選択される1〜30個の共有結合原子の直鎖若しくは分枝鎖、C、N、O、Si、S若しくは他の結合原子から成る群から選択される1〜20個の共有結合原子の環、及び同様な組成の環と鎖との組合せから選択され;そして
Pは組織成長、安定化及び統合を促進する共有結合したバイオアクティブ分子部分であり、この部分はその生物学的活性を保有する]
で示されるバイオアクティブ共役体を提供する。
さらに詳しくは、本発明によると、Xは下記可能性:バイオアクティブ分子への直接結合;バイオアクティブ分子への共有結合を可能にするように選択されたCOOH、NH2、OH、SH若しくは他の官能基を末端に有する線状アルキルC1−C30鎖;バイオアクティブ分子への共有結合を可能にするように選択されたCOOH、NH2、OH、SH若しくは他の官能基を末端に有する、N、O若しくはSの1〜10個の原子が散在した線状C1−C20鎖;バイオアクティブ分子への共有結合を可能にするように選択されたCOOH、NH2、OH、SH若しくは他の官能基を末端に有する線状アルキルシリルSiC1−SiC30鎖;又はバイオアクティブ分子に直接結合した、又はバイオアクティブ分子への共有結合を可能にするように選択されたCOOH、NH2、OH、SH若しくは他の官能基を末端に有する、C、N、O若しくはS原子の直鎖によって結合した、C及び/又はNから成る環の1つから選択される。
バイオアクティブ共役体のX部分は、移植片に結合される予定の所望のP部分に依存して選択され、移植片からのP部分の所望の間隔距離に応じて選択される。
本発明による好ましいX部分は、置換又は非置換のいずれでもよいC2−C12アルキル、置換又は非置換のいずれでもよいSiC3−SiC12、及び置換又は非置換のいずれでもよい1,3,5−トリアジン(環状C3N3)である。
X部分は、バイオアクティブ分子への共有結合を可能にするように選択されたCOOH、NH2、OH、SH、Cl若しくは他の基から成る群から選択された置換基によって置換されることができる。
本発明によると、金属移植片外面を被覆するために適したバイオアクティブ共役体を提供する。
さらに、本発明のバイオアクティブ共役体は移植片表面上に自然集成単層を形成することができる。
本発明による金属移植片の被膜は、移植片表面上への組織成長、安定化及び統合を促進するバイオアクティブ分子部分を共有結合すること以外に、金属移植片表面の汚染を阻止する。
さらに詳しくは、本発明によると、Pは通常の及び/又は誘導体化オステオポンチン、骨シアロプロティン、骨酸性糖タンパク質−75、オステオカルシン、オステオネクチン、骨形態形成(bone morphogenetic)タンパク質,トランスフォーミング成長因子、ラミニン、IV型コラーゲン、VIII型コラーゲン、エナメル質タンパク質(アメロゲニンと非アメロニン)、α2HS−糖タンパク質、フィブロネクチン、細胞接着ペプチド、プロスタグランジン、血清タンパク質、グルココルチコステロイド(デキサメタゾン)、ホスフェート、ホスホセリン、ピロホスフェート、ホスホスレオニン、ホスヴィチン、ホスホホリン、ビホスホネート、ホスホネート、ホスファターゼ、スルホネート、スルフェート、カルボキシ基、骨及び上皮プロテオグリカン、無機物、及び細胞結合ペプチド配列、例えばアルギニン−グリシン−アスパラギン酸(Arg−Gly−Asp)、ポリアスパルテート、並びに組織統合を促進することができる他の生物学的分子及び、これらの効果を模倣するように選択された非生物学的分子から選択される。
本発明によると、“金属移植片”なる表現は、固体金属又は金属シート若しくはホイルから製造された外科手術用移植片、又は少なくとも片側若しくは1面を金属で被覆された移植片を意味するように意図される。
さらに詳しくは、本発明によると、金属移植片はチタン、ステンレス鋼、タンタル、Vitallium(登録商標)又は医療的に受容される金属移植片材料から製造される。
本発明によると、バイオアクティブ共役体による移植片の共有結合被覆方法であって、(a)金属移植片表面を汚染物から浄化する工程と;(b)工程(a)の前記浄化移植片表面を窒素媒質中で本発明のバイオアクティブ共役体と接触させる工程とを含む前記方法を提供する。
本発明によると、バイオアクティブ共役体による移植片の共有結合被覆方法であって、(a)金属移植片表面を汚染物から浄化する工程と;(b)工程(a)の浄化移植片表面を媒質中で脱酸素する工程と;(c)工程(b)の前記脱酸素移植片表面を窒素媒質中で本発明のバイオアクティブ共役体と接触させる工程とを含む前記方法をも提供する。
本発明によると、バイオアクティブ共役体による移植片の共有結合被覆方法であって、(a)金属移植片表面を汚染物から浄化する工程と;(b)工程(a)の浄化移植片表面を媒質中で脱酸素する工程と;(c)工程(b)の前記脱酸素移植片表面を制御再酸化する工程と;(d)工程(c)の移植片表面を本発明のバイオアクティブ共役体と、移植片表面を共有結合被覆させるような条件下で接触させる工程とを含む前記方法をも提供する。
本発明による浄化工程は、ワイピング(wiping)、機械的研磨、エタノール若しくは過塩素酸−ブタノール−メタノール溶液中への浸漬、又は他の実験室標準の浄化処置から成ることができる。
さらに詳しくは、本発明による方法の脱酸素工程は1:12:7の容量比での過塩素酸−ブタノール−メタノール溶液中でのポテンシオスタティック(potentiostatic)電気化学的研磨であり、これはチタン移植片に対しては約40Vにおいて実施することができる。
移植片表面の脱酸素は金属原子への結合又は、酸素への結合を可能にする移植片表面への制御した再酸化を可能にする。
さらに詳しくは、本発明による方法の再酸化工程は、例えば0.1:0.1M比でのNaH2PO4/Na2HPO4のような、リン酸塩バッファー中で約6Vにおいて実施される。
【図面の簡単な説明】
図1は、ラット脛骨モデルにおける現場でのチタンねじ移植片の走査顕微鏡写真であり;
図2は、骨タンパク質オステオポンチンに関してイムノラベルした(immunolabeled)有機物質の蓄積を示す、脛骨における組織−移植片界面の透過電子顕微鏡写真であり;
図3は、オクタデシルチオールのヘキサン溶液と反応したチタン移植片表面のX線光電子分光法によって得られた炭素スペクトルであり、移植片表面に付着したオクタデシルチオレートを示す;
図4は、オクタデシルチオレートが付着したチタン移植片表面のX線光電子分光法によって得られた酸素スペクトルを示し;
図5は、オクタデシルチオレートが付着したチタン移植片表面のX線光電子分光法によって得られた硫黄スペクトルを示し;
図6は、オクタデシルチオレートが付着したチタン移植片表面のX線光電子分光法によって得られたチタンスペクトルを示し;
図7は、本発明によって製造された移植片を被覆するバイオアクティブ共役体の生物学的活性の初期兆候を示すUVスペクトルであり;
図8は、14時間インキュベーション後の移植片を被覆するバイオアクティブ共役体の生物学的活性の兆候を示すUVスペクトルであり;
図9Aは、ひな鳥(chicken)中で産生され(raised)、卵黄から精製されたポリクローナル抗オステオポンチン抗体によるイムノブロットを説明し;
図9Bは、図9Aに用いたものと同じ抗オステオポンチン抗体を用いた、ラット脛骨成長プレートにおける石灰化軟骨と骨との間の界面でのラットオステオポンチンの免疫細胞化学標識を説明し;
図10Aは、ウサギ抗マウスアメロゲニン抗体を用いた、エナメル質器官及びエナメル質マトリックスにおける完全タンパク質と分解生成物とのイムノブロットを説明し;
図10Bは、歯表面とラット臼歯の付着上皮との間の有機層におけるエナメル質タンパク質の免疫検出(immunodetection)を説明し;
図11は、官能化短鎖アルカンチオールによる処理のチタン還元表面における硫黄の存在を示すXPSスペクトルであり;
図12は、アルカン処理チタン表面を水に暴露した後の硫黄の保有とTi−SH結合の安定化とを示すXPSスペクトルであり;
図13は、アルカリ性ホスファターゼが付着したチタン移植片の表面の7種のUVスペクトルの系列を示し;
図14Aは、細胞と露出象牙質との間に挿入されたエナメル質タンパク質(金粒子、矢印)の存在を示す、手術によって露出した象牙質と接触した付着上皮細胞を示し;
図14Bは、露出象牙質と(前)セメント芽細胞とを分離するオステオポンチン層(金粒子、矢印)を示す顕微鏡写真であり;
図15は、上皮付着で示される、本発明によって被覆されたチタン表面移植片のスキームである。
発明の詳細な説明
本発明のバイオアクティブ共役体は、移植片上に一度塗布されると、組織−移植片界面における組織成長、安定化及び統合を促進する生物学的活性分子の架橋を介した付着を提供し、移植片の酸化からの保護をも提供する。
さらに、本発明のバイオアクティブ共役体はまた、移植片上に加えられる力を吸収するのに役立ち、組織−移植片界面における損傷及び破損を防止するのにも役立つ、移植片上の可撓性で、弾性の被膜をも提供する。
このバイオアクティブ共役体は軟組織(上皮細胞)又は硬組織(骨)部位における移植片の良好な付着をも供給する。
図1は骨内の現場での非被覆移植片の組織−移植片界面を示す。
図2では、電子顕微鏡検査によって高倍率で、骨−移植片界面におけるラインを観察することができ、このラインは“オステオポンチン”として知られる天然生成骨タンパク質を含むものと確認された。よって、本発明で移植片を被覆するために好ましいタンパク質はオステオポンチンである。
図9Aは、ひな鳥中で産生され、卵黄から精製されたポリクローナル抗オステオポンチン抗体によるイムノブロットを説明する。ポリクローナル抗オステオポンチン抗体はラット骨から精製されたオステオポンチンに対して産生された。レーン1、ラット血清アルブミン;レーン2、総HCl/グアニジン骨抽出物;レーン3、精製ラット骨オステオポンチン;レーン4、精製ラット骨オステオポンチン、M.C.Farach−Carson博士とW.T.Butler博士(テキサス大学、ヒューストン)によって寄贈。
図9Bは、抗オステオポンチン抗体を用いた、ラット脛骨におけるラットオステオポンチンの免疫細胞化学標識を説明し、通常の組織中に見い出される天然のマトリックス−マトリックス(石灰化軟骨−骨)界面における“セメントライン”又は“境界層(lamina limitans)”と呼ばれる、有機層上の金粒子蓄積によって可視化された、このタンパク質の濃度を示す(McKee等,Anat.Rec.,234:479〜492(1992);McKee等,J.Bone Miner.Res.,8:485〜496(1992))。
この界面は、石灰化軟骨の“足場(scaffolding)”上に骨芽細胞によって骨が付着する正常な長骨成長中に生じた、2種類の空間−時間的に異なるマトリックスの間の結合を示す。骨再モデル化(remodeling)中に、骨−骨界面(“セメントライン”)においてこの同じタンパク質層も検出される。したがって、骨芽細胞がチタン“基体”に遭遇したときに同様に挙動して、骨−チタン界面においてオステオポンチン含有有機層を分泌することが提案される(図10);
図10は、歯が口腔中に生えるときに、還元された(reduced)エナメル質器官が歯肉と融合して、機能的上皮を形成すると考えられることを示す(SchroederとListgarten,Monographs in Developmental Biology,A.Wolsky編集,Tarrytown,N.Y.,2巻,1〜127(1971))。さらに詳しくは、成熟期エナメル芽細胞をエナメル質表面から分離する“基底層”は付着上皮の内部基底層と同様な特徴を示し、実際に、初期上皮付着の形成に参加することができる(Nanci等,Histochemistry,99:321〜331(1993))。
成熟期エナメル芽細胞は、エナメル質タンパク質を殆ど又は全く産生しない分泌後細胞(post−secretory cell)であり、実際に、それらをエナメル質から分離する基底層は、これらのタンパク質をあまり含まないように見える。しかし、ある一定の条件下(上皮真珠;中間セメント質)で、歯形成に関係する上皮細胞が再活性化されて(reactivated)、エナメル質タンパク質を産生することができることは周知である。
アタッチメント(attachment)の上皮起源と一致して、付着上皮の細胞をそれらがエナメル質タンパク質を表現することができるか否かを調べるために試験した。エナメル質タンパク質は本質的に2種類のタンパク質、アメロゲニンと非アメロゲニン(エナメリン)から成り、これらの両方が実質的な細胞外プロセッシングを受ける(NanciとSmithの、calcification in Biological Systems,第13章:313〜343(1992)において概観)。大腸菌(E.coli)中に表現された組換え体マウスアメロゲニンタンパク質に対してウサギ中で産生された抗体(南カリフォルニア大学、Center for Craniofacial Molecular Biology,Dr.H.C.Slavkin研究室の好意による)を用いて、エナメル質タンパク質を免疫局在化した(immunolocalized)。最近、ラット切歯エナメル質からのタンパク質を精製し、これらのタンパク質に対する抗体をひな鳥中で産生した(卵黄から精製;Dr.C.E.Smith,McGill大学との共同研究において)。ウサギ抗マウスアメロゲニンはエナメル芽細胞中に(図10A,レーン1〜5)及びエナメル質マトリックス中に(図10A,レーン6)14〜31kDaに見い出される、完全タンパク質と分解生成物とを認識する。成熟期エナメル芽細胞(図10A,レーン3〜5)はエナメル質タンパク質の産生を徐々に停止する。
エナメル質タンパク質はラット臼歯の歯表面と付着上皮との間の有機層(内部基底層)中に免疫検出される(図10B)。今までは、付着上皮の内部基底層中に又は実際問題として、エナメル芽細胞に関連した基底層中に、典型的な基底膜成分を明白に実証することが不可能であったので、これらの基底層が基底膜に関連した、但し、例えば細胞分化の仲介及び/又は軟組織−硬組織接着の促進のような、それらの特殊化機能を表す明確な組成を有する細胞外マトリックスを表すという可能性が存在する。
本発明によると、内部基底層の成分、特にエナメル質タンパク質をチタン移植片の歯肉通過部分上の表面被膜として用いて、細胞分化と、移植片周囲の機能的で安定な上皮シールの形成とを促進することが提案される。
金属移植片をバイオアクティブ共役体によって被覆するための本発明による方法は、下記工程を含む。
第一に、金属移植片表面を浄化して、M.Volmer−Uebing等が述べているように(Applied Surface Science,55:19〜35,1992)、過塩素酸−ブタノール−メタノール溶液中でポテンシオスタティック電気化学的研磨を実施することによって脱酸素する。室温における低−酸化物金属表面の製造は、40Vの電位において1M過塩素酸(HClO4)中で金属を分極することによって実施する。これらの条件下で、金属は熱力学的に安定な相状態である。次に、この脱酸素表面を次に6Vにおけるリン酸塩バッファー中でのポテンシオスタティック電気化学的分極によっても再酸化することができる。
第二に、浄化した脱酸素済み又は制御再酸化済み移植片表面を本発明のバイオアクティブ共役体による共有結合被覆を生ずるような化合物と接触させる。
硫黄による表面の理論的被覆
(a)完全な結晶(平らな表面)
チタン(Ti)の表面濃度は約1.6x1015原子/cm2であり、硫黄(S)の直径は約2xTi直径であるので、硫黄原子の表面濃度は約0.8x1015原子/cm2であり、各硫黄原子は約15Å長さの18炭素原子鎖に結合する。
分析した深さは45Åであるので、炭素原子の表面濃度は約1.4x1016原子/cm2、すなわち、硫黄原子の表面濃度の約18倍である。
(b)45゜のこぎり歯表面(粗面、より現実的)
Ti:S:C=41.6%:2.8%:55.6%
(c)汚染された表面
チタン(Ti)は反応性金属であるので、同金属を浄化することは困難であり、これは容易に汚染される。
SによるTi表面の実際の被覆は<2.8%であり、この値は表面の汚染度に依存する。
上記表1は水暴露(aqueous exposure)の前と後の化学的処理した還元チタン表面の比較を提供する。
図11はチタンへのチオール結合を実証する硫黄ピークを示す。
図12は水処理(aqueous treatment)後に硫黄(チオール)ピークの主要な変化がないことを示す。
本発明の範囲を限定するのではなく本発明を説明するために記載する下記実施例を参照することによって、本発明はさらに容易に理解されると思われる。
実施例I
オクタデシルチオレートによるチタン移植片の被覆
サンプル調製
チタン金属基体をアルミナ0.1μmによる機械的研磨と、その後の純粋アセトン中での15分間の超音波化学クリーニングとによって浄化する。この基体を1:12:7容量比の過塩素酸−ブタノール−メタノール溶液中で約40Vにおいて30分間電気化学的研磨する。この方法は、表面汚染物が不安定になって、除去される電気化学的状態を確立する。我々は実験条件を最適化することを試みていないが、用いた方法はチタン表面を測定可能な程度に(measureable)浄化する。
これは、オクタデシルチオール、CH3−(CH2)17−SHの10-3M〜10-4Mヘキサン溶液をも含むN2フラッシュ乾燥ボックス中で実施する。したがって、高反応性の清浄なチタン表面を再汚染する可能性のある空気に暴露することなく、この金属をチオール溶液中に一晩沈める。これはチオールを金属表面と反応させ、例えば、
のような自然集成単層を形成し、この単層は約15Åだけ金属表面上に及ぶ。分析前にサンプルをヘキサン中ですすぎ洗いする。
分析方法
用いる表面分析方法はX線光電子分光法(XPS)又は化学分析のための電子分光法(ESCA)と呼ばれる。この方法は、化学結合の差異によって生ずる放出原子(emitting atom)の電子密度の小さい差異が放出電子のエネルギーの小さいシフトに表されるという利点を有する。これらのデータのコンピュータ処理を可能にして、さらに研究のために接近する(close−lying)ピークの分離を可能にするソフトウェアが開発されている。
チタン放出エネルギーにおいて検査した深さは約45Åであり、チオールの単層によって被覆された完全な平らなチタン結晶では、チタン中に検査した深さは約30Åである。45゜のこぎり歯上にモデル化した粗面では、この深さは20Åに近いが、完全なチオレート単層が両方の場合に検査される。
結果と考察
添付図3〜6には、スペクトルの典型的なセットが見られる、図3は炭素スペクトルであり、図4は酸素スペクトルであり、図5は硫黄スペクトルであり、図6はチタンスペクトルである。炭素と酸素とのピークはs型軌道から放出される電子から発生するものであり、各ピークが別の環境を示すことを意味する。これらのピークの考えられる帰因は図3と4に示す。
他方では、硫黄とチタンとのピークはp型軌道から放出される電子から発生するものであり、ピークのペアが異なる環境を示すことを意味する。この場合にも、これらのピークの考えられる帰因は図5と6に示す。
チタンが明確に検出可能であるという事実は、チオールの単層のみが付着したことを意味する。炭素と酸素の割合の変化並びに種々なチタン成分の変化はクリーニングとチオール付着とに選択可能な可変性(point−to−point variability)があることを示す。しかし、チタンに直接結合したチオールは水蒸気による作用及び2.5時間の直接水浸漬による作用に不感応性に思われる。
実施例II
チタン移植片へのアルカリ性ホスファターゼの共有結合
浄化したチタン移植片を実施例Iに述べた一般的な方法によって16−アミノヘキサデカンチオールで被覆した。この移植片を次にN2下、25℃において60分間、0.1Mリン酸塩バッファー中のグルタルアルデヒド溶液と共に撹拌した。移植片を次にバッファーですすぎ洗いし、リン酸塩バッファー3ml中のアルカリ性ホスファターゼ(ウシ腸粘膜から、5単位/mg)3mgの溶液と共に、25℃において12時間撹拌した。この移植片をバッファーによってすすぎ洗いした。Lowry等の方法(J.Biol.Chem.,16 4:321(1946))によって酵素活性を測定した。
実施例III
チタン移植片へのアルカリ性ホスファターゼの共有結合
浄化したチタン移植片を実施例Iの一般的な方法によって浄化して、制御再酸化を受けさせた。この移植片を次にN2下において2時間、還流トルエン中の3−アミノプロピルトリエトキシシランの10%溶液と共に撹拌した。この改質した(modified)移植片に、実施例IIに述べたグルタルアルデヒド方法によってアルカリ性ホスファターゼを共有結合させた。Lowry等の方法(J.Biol.Chem.,164:321(1946))によって酵素活性を測定した。
図8は、移植片表面に共有結合したアルカリ性ホスファターゼが14時間のインキュベーション後にその生物学的活性を保有することの明確な証拠を与える、405nmにおけるピークの出現を示す。405nmにおけるピークは反応開始近くで測定された図7には本質的に存在しないが、405nmにおける弱い吸光度は酵素触媒加水分解によるp−ニトロフェノール形成の初期段階を実証する。
実施例IV
TiO2へのアルカリ性ホスファターゼの共有結合
標準チタン移植片の重量に等しい重量の粉状TiO2サンプルをN2下において2時間、還流トルエン中の3−アミノプロピルトリエトキシシランの10%溶液と共に撹拌した。遠心分離、トルエンによるすすぎ洗い及び乾燥後に、改質TiO2をN2下、25℃において60分間、0.1Mリン酸塩バッファー中の2.5%グルタルアルデヒド溶液と共に撹拌した。
遠心分離及び0.1Mバッファーによるすすぎ洗い後に、リン酸塩バッファー3ml中のアルカリ性ホスファターゼ(ウシ腸粘膜から、5単位/mg)3mgの溶液と共に、25℃において12時間撹拌した。この改質TiO2を次にバッファーによって完全にすすぎ洗いして、その酵素活性をLowry等の方法(J.Biol.Chem.,164:321(1946))によって測定した。
図13は、Lowryの方法を用いた、改質TiO2サンプルの分析の過程中にt=0からt=90分まで15分間間隔で測定した7UVスペクトルの系列を示す。非加水分解p−ニトロフェノールホスフェートに対応する305nm近くのピークは連続的に縮小し、t=90分には本質的に存在しない。p−ニトロフェノレート(p−nitrophenolate)の形成に相当する395nm近くの吸収が対応して増加する。これらのスペクトルは酵素活性形でアルカリ性ホスファターゼがTiO2に共有結合することの明確な証拠を与える。
組織修復と、暴露された無機物化組織における新しいタンパク質の産生とを検査するために、我々は、歯表面から付着上皮を外科的に剥離し(折り曲げ)、ラット臼歯の口蓋根(palatal root)を露出し、セメント質及び最外象牙質を歯科用バーによって根表面から除去したモデルを用いている。この情況における組織治癒はこの後間もなく生じ、この治癒は軟組織と硬組織の両方の反応を含み、2つの主要な事象が生ずる。第一に、付着上皮が歯の下方に移動し、損傷した根表面上に移動して、上皮アタッチメントを再確立する。露出した象牙質及び/又はセメント質へのこれらの上皮細胞の接触と一致して、エナメル質タンパク質(この上皮分泌産物に対して産生された抗体に対する免疫反応性によって実証)が分泌され、付着上皮細胞に隣接して根表面の有機層として蓄積する(図14A)。この種類のタンパク質は一般に、未萠出歯のエナメル層の完成後に表現されるとは考えられず、ここではまだ、正常な上皮アタッチメントの一部であり(図10B参照)、この上皮構造の修復中に産生されると示している。第二に、硬組織形成と、上皮細胞移動に対してより根尖の(more apical)領域におけるこれらの損傷部位の治癒とに関して、(前)セメント芽細胞が歯表面に対して検出され、これは露出根表面のオステオポンチン層(図14B)の出現に関連する。オステオポンチンのこの有機被膜は補てつセメント質発生の初期事象であるように思われ、この場合に典型的なセメント質が根表面の欠陥を充填し始める。
図15は、上皮アタッチメントにおいて示す、本発明によって被覆したチタン表面移植片のスキームである。
本発明をその特定の実施態様に関して説明したが、本発明がさらに改良可能であり、この出願が一般に本発明の原理に従う本発明の変化、利用又は適用を包含するように意図され、本発明の開示からのこのような逸脱を本発明が属する技術分野内の周知の又は慣習的な実施として、上述した本質的な特徴に加えられるものとして、及び下記請求の範囲に従うものとして含むものであることは理解されよう。
(a)発明の分野
本発明は周囲組織へのその統合性を改良するために移植片表面に共役結合するバイオアクティブ共役体に関する。
(b)先行技術の説明
プレート、釘、ピン、ねじとしてのデバイス、特定形状に成形された部品が通常、欠損構造部分を永久的に補充するための人工プロテーゼ(補てつ)手段として、又は破砕した骨の部分の間の固定関係を維持するための永久固定デバイスとしてヒトの骨格構造中に移植される。明らかに、耐久性が必要であるか又は望ましい場合には、移植された部分は接触する骨表面に永久的に接着して留まるべきである。この必要条件は、これまでは、例えばチタン、ステンレス鋼、タンタル又はVitallium(登録商標)(コバルトと、クロムと、モリブデンとの合金)のような高強度物質から構成されたプロテーゼ部分は一般に、移植がなされる自然骨構造と強い結合を形成できないことが判明しているので、一部の困難性の原因であった。失敗が生じた場合に骨と移植片とから採取した切片の高度拡大写真は人工部分と自然部分との間に癒着が不存在であるように見えることを明らかにしており、実際に移植片表面とそれに隣接する骨物質との間の事実上の分離がしばしば見られる。
別の方法で移植片として知られる外科用プロテーゼデバイスの使用は、例えば再建手術のような、種々な外科用途、例えば腰関節等の置換に周知である。これらの用途は一般に、体液(body fluid)によって実質的に腐食されないか又は他の形式で劣化されない金属又は合金から構成された移植片の使用を含む。しかし、これらの先行技術の移植片は幾つかの制限を有している。
典型的に、破砕した骨の設定では、金属プレートが骨破片の各側に固定されて用いられている。これらのプレートは通常はねじによって骨に固定される。プレートはそのうちに骨及び体組織に包まれるようになるが、移植片と組織との間に結合は形成されない。ねじの1つがゆるむと、患者は追加の修正手術を受けねばならない。
移植片と組織との間の結合によって身体中、通常は骨中に永久的に合体することのできる外科手術用のプロテーゼデバイスを提供することが、先行技術において示唆されている。
先行技術の提案の1つでは、表面を覆って、表面に結合した金属の薄い多孔質被膜を有する金属基体又は基部(base)から成るプロテーゼデバイスが述べられている。孔の存在が軟質又は硬質の組織をデバイスの多孔質被膜中に成長させるので、身体中への機械的組込みが達成される。
この先行技術の提案に述べられている被膜の唯一の形成方法は金属基体上へのプラズマ又はフレーム溶射方法である。この方法の結果は基体金属上の溶射金属の緻密付着層であり、被膜と基体との間の界面に多孔度は存在せず又は事実上の多孔度は存在しないが、界面から被膜表面にかけて、孔サイズ(pore size)の増大と密度の減少とを含めて、多孔度が徐々に増大する。
この方法は金属基体上に多孔質被膜を形成するために効果的であるが、それにも拘わらず、この方法は完成プロテーゼデバイスに非常に重大な欠陥を生ずる。デバイスの被覆面内への組織の成長(ingrowth)を実証するために設計した試験では、一定期間骨中に埋封した後に、その上に被膜を有するピンに引き出し試験(pull−out test)を実施した。この引き出し試験は被膜と基部金属との間の界面に剪断を生ずる。この結果は、デバイスの総合強度が骨の総合強度より小さいことを実証する。デバイスが付着する骨よりも弱いデバイスの供給が界面における剪断のためにデバイスの破損を生じて、このようなデバイスによって治療される患者に有害で、痛い結果を与えうることは全く明らかである。
他の先行技術提案は多孔質セラミック物質から構成されたプロテーゼデバイスの供給を含む。この物質は構造的に弱いので、デバイスの大部分(bulk)に樹脂物質を充填して、多孔質表面積を残すことによって、この欠点を克服することが試みられている。樹脂の存在はデバイスの中心部分の強度を高めるが、表面部分は依然として弱いままである。さらに、体液によって劣化しやすい樹脂物質の存在は人体で使用するには満足できるものではない。さらに、セラミックの最大孔サイズは50μであると指示されているが、これよりも非常に小さいサイズが好ましい。孔サイズが50μよりも大きい場合には、構造が弱すぎて、効果的に用いられることができない。
外科用移植片をセメントを用いて骨に固定することも知られている。骨組織の内側への成長を受容するように移植片を構成することによって、セメントを用いずに移植片の固定を改良することも知られている。例えば、移植片にある一定の深さの多孔質表面が与えられている。しかし、固定面(anchoring surface)の機械的強度が不利な意味で大きく影響されるので、これらの多孔質表面移植片は実際問題として実証されていない。この物質のこの弱化(weakening)の理由は、孔が物質中に尖った角や縁を生じるからである。特に長期間交番応力の場合には、このことが移植片の固体心部にまで続く亀裂を生じ、結局は疲れ破損を生じる。
骨内への機械的接着を改良するために、突起及び/又は凹みを規則的に配置した移植片も構成されている。しかし、これらの構造体では尖った角や縁が避けられているという事実を全く別にして、移植片と組織との間の接着の増強は達せられていない。この後者の失敗は、表面の不充分な拡大のみが得られることから生じていた。周知のように、固定面の拡大が組織と固定部分又は骨の中で異物体(foreign body)として作用する移植片との間の結合に影響を与え、これを改良することができる決定的な特徴である。
Hahnの名前での米国特許第3,605,123号(1969年4月29日)は、移植される骨構造との実質的に完全な結合を促進する可能性を有する、構造強度の大きいプロテーゼを開示する。
Pilliarの名前での米国特許第3,855,638号(1974年12月24日)は、固体金属物質の基体とそれに付着して、基体の表面上に少なくとも部分的に伸びる多孔質被膜とから成る複合構造の外科手術用のプロテーゼを開示する。基体の表面上の多孔質被膜は、先行技術デバイスの欠点を含まない、満足できるデバイスを供給するために重要である幾つかのパラメータを有する。
Freyの名前での米国特許第4,272,855号(1981年6月16日)は、多重の絨毛を含む固定面を有する骨移植片を開示する。
しかし、これらの先行技術移植片のいずれも、組織−移植片界面における一連の生化学反応を促進して、それによって組織成長と、移植片の安定化及び結合とを促進する化学的被膜を備えていない。
例えば口腔組織の修復のためのような移植片に関しては、実質的な進歩がなされており、現在用いられている方法は主としてアロプラスト置換物質(alloplastic replacement material)の使用に基づいている。チタン、チタン合金及びヒドロキシアパタイト塗布した整形外科用及び歯科用移植片が医療及び歯科において組織の修復、再建及び置換のために並びに種々なプロテーゼのサポートとして広く用いられる。これらの移植片は一般に、骨に関係する外科手術に用いられており、この場合にこれらの移植片はこの硬質の無機物化(mineralized)組織中に組込まれ(“骨統合(osseointegration)”)、場合によっては、例えば皮膚又は口腔粘膜のような軟質組織を横切る。
例えば歯(象牙質、セメント質)及び骨のような、硬質の生物学的構造では、アパタイト無機物によって含浸されたコラーゲンタンパク質繊維の広範囲なネットワークによって、これらの組織に大きい剛性と強度とが与えられる。これらの組織中でコラーゲンは最も豊富なタンパク質であるが、他の非コラーゲンタンパク質も細胞によって分泌され、それらの細胞外マトリックス内に蓄積される。これらの非コラーゲンタンパク質の正確な機能は不明であるが、実験結果はこれらが石灰化の開始と調節とに重要な役割を果たすことを実証するので、これらは最近非常に注目されてきている(BoskeyのBone Mineral,6:111〜123(1989)と、GorskiのCalcif.Tissue Int.,50:391〜396(1992)とによる概観)。
1群の非コラーゲンタンパク質、リンタンパク質(有機リン含有)、さらに詳しくは、ホスホホリンと呼ばれる象牙質リンタンパク質と、オステオポンチン及び骨シアロプロティン(sialoprotein)と呼ばれる、2種類の骨リンタンパク質(ButlerのConnect.Tissue Res.,23:123〜136(1989)と、ButlerのJ.Biol.Buccale,19:83〜89(1991)とによる概観)は、無機物結晶成長の種結晶若しくは調節剤として作用することによって及び/又は細胞とそれらの関連機能とを組織内の特定部位に向けることによって関係することができる。オステオポンチンと骨シアロプロティンとは、石灰化の初期段階における無機物とのその同時局在(co−localization)の他に、原形質膜インテグリン受容体に結合して、細胞接着を促進するArg−Gly−Asp(RGD)細胞結合ペプチド配列を含むことが知られている(Telios Pharmaceuticals,Inc.,Manual for Summary:1−10を参照)。このトリプレット配列の存在、これらのタンパク質の分布及び無機物とこれらの関係は、これらのリンタンパク質が無機物化組織形成中に多機能的役割を有し、これらが第一に無機物化を開始し、調節し、第二にマトリックスへの細胞接着を仲介することによって動力学を管理する(direct)ことができることを示唆する(McKee等,Anat.Rec.,234:479〜492(1992)及びMcKee等,J.Bone Miner.Res.,8:485〜496(1992))。
移植片が上首尾であるためには、移植片の骨内(intraosseous)部分は骨統合(osseointegration)を受けなければならず、歯肉通過(transgingival)部分の周囲には機能的な接合上皮様シールが形成されなければならない(McKinney等,J.Dent.Educ.,(特別発行)52:696〜705(1988)によって概観)。これらの事象の不完全さが結果としての移植片の拒絶を招くことになる。この接合上皮は、正常状態では、歯の歯肉下(subgingival)部分をほお側環境からシールし、上皮層と、基底層(basal lamina)に類似する糖タンパク質構造と、半接着斑とから成る(Schroeder,Differentiation of human oral stratified epithelia,S.Karger Publishers,Basel.,1981)。基底層と半接着斑とは、恐らくインテグリン受容体を介して(Hormia等,J.Dent.Res.,71:1503〜1508(1992))、歯表面への歯肉の接着に役立つと考えられる(Schroeder,Helv.Odont.Acta,13:65〜83(1969))。付着上皮(junctional epithelium)中にはラミニン(Sawada等,J.Perio.Res.,25:372〜376(1990))とコラーゲンVIII型(Salonen等,J.Perio.Res.,26:355〜360(1991))とが存在し、コラーゲンVIII型が一般に基底膜の通常成分でない点で、後者の存在が特に興味深い。同様に、レクチン−金細胞化学(Zalzal等,J.Dent.Res.,72:411(1993))によって可視化したときに、付着上皮基底層の糖含量は特有であるように見える。通常の基底膜と丁度同じように、付着上皮の基底層は口腔上皮がbona fide(真の)付着上皮になるための分化(specialization)に誘導的役割を果たすことができる(Timpl,Eur.J.Biochem.,180:487〜502(1989)によって概観)。
これらの状況の各々における基本的仮説は、隣接組織(すなわち、骨、軟結合組織又は上皮)の細胞外マトリックス成分が非生物学的移植片と、移植片を囲む生物学的細胞外マトリックスとの間の結合を可能にすると言うことである。例えば、骨では、この結合領域(界面)は電子顕微鏡を用いて、骨マトリックスを移植片から適当に分離する非コラーゲン有機物質の層として確認されている(Steflik等,J.Biomed.Materials Res.,26:529〜545(1992))。
Sukenik,C.N.等(J.Biomed.Materials Res.,24:1307〜1323(1990))は、共有結合した自然集成(self−assembled)単層によるチタン表面の改質による細胞接着の調整を開示する。しかし、かれらは組織−移植片界面における組織の成長、安定化及び統合を促進する、生物学的活性分子を含むバイオアクティブ共役体の付着を示していない。
典型的に発生する生化学的及び生理学的機構に基づいて、結合した移植片による治癒患者の組織−移植片界面に見い出される天然タンパク質の生物学的活性を模倣する、金属移植片の化学的被膜を設けることが非常に望ましいと考えられる。
組織−移植片界面における一連の生化学反応を促進して、それによって組織成長、移植片の安定化と統合を促進する、金属移植片の化学的被膜を設けることが非常に望ましいと考えられる。
化学化合物による金属移植片の長期間被覆方法を提供することが非常に望ましいと考えられる。
発明の概要
本発明の1つの目的は、典型的に発生する生理学的機構に基づいて、統合した移植片による治癒患者の組織−移植片界面に見い出されるタンパク質の生物学的活性を模倣する、金属移植片の化学的被膜を提供することである。
本発明の他の目的は、組織−移植片界面における一連の生化学反応を促進して、それによって組織成長、移植片の安定化と統合を促進するバイオアクティブ共役体を提供することである。
本発明の他の目的は、バイオアクティブ共役体による移植片の共有結合(covalent)被覆方法を提供することである。
本発明によると、金属移植片外面を被覆するために適したバイオアクティブ共役体であって、下記構造式I:
−R−X−P I
[式中、
Rは移植片表面に共有結合するのに適したO又はSであり;
Xは結合、C、N、O、Si、S若しくは他の結合原子から成る群から選択される1〜30個の共有結合原子の直鎖若しくは分枝鎖、C、N、O、Si、S若しくは他の結合原子から成る群から選択される1〜20個の共有結合原子の環、及び同様な組成の環と鎖との組合せから選択され;そして
Pは組織成長、安定化及び統合を促進する共有結合したバイオアクティブ分子部分であり、この部分はその生物学的活性を保有する]
で示されるバイオアクティブ共役体を提供する。
さらに詳しくは、本発明によると、Xは下記可能性:バイオアクティブ分子への直接結合;バイオアクティブ分子への共有結合を可能にするように選択されたCOOH、NH2、OH、SH若しくは他の官能基を末端に有する線状アルキルC1−C30鎖;バイオアクティブ分子への共有結合を可能にするように選択されたCOOH、NH2、OH、SH若しくは他の官能基を末端に有する、N、O若しくはSの1〜10個の原子が散在した線状C1−C20鎖;バイオアクティブ分子への共有結合を可能にするように選択されたCOOH、NH2、OH、SH若しくは他の官能基を末端に有する線状アルキルシリルSiC1−SiC30鎖;又はバイオアクティブ分子に直接結合した、又はバイオアクティブ分子への共有結合を可能にするように選択されたCOOH、NH2、OH、SH若しくは他の官能基を末端に有する、C、N、O若しくはS原子の直鎖によって結合した、C及び/又はNから成る環の1つから選択される。
バイオアクティブ共役体のX部分は、移植片に結合される予定の所望のP部分に依存して選択され、移植片からのP部分の所望の間隔距離に応じて選択される。
本発明による好ましいX部分は、置換又は非置換のいずれでもよいC2−C12アルキル、置換又は非置換のいずれでもよいSiC3−SiC12、及び置換又は非置換のいずれでもよい1,3,5−トリアジン(環状C3N3)である。
X部分は、バイオアクティブ分子への共有結合を可能にするように選択されたCOOH、NH2、OH、SH、Cl若しくは他の基から成る群から選択された置換基によって置換されることができる。
本発明によると、金属移植片外面を被覆するために適したバイオアクティブ共役体を提供する。
さらに、本発明のバイオアクティブ共役体は移植片表面上に自然集成単層を形成することができる。
本発明による金属移植片の被膜は、移植片表面上への組織成長、安定化及び統合を促進するバイオアクティブ分子部分を共有結合すること以外に、金属移植片表面の汚染を阻止する。
さらに詳しくは、本発明によると、Pは通常の及び/又は誘導体化オステオポンチン、骨シアロプロティン、骨酸性糖タンパク質−75、オステオカルシン、オステオネクチン、骨形態形成(bone morphogenetic)タンパク質,トランスフォーミング成長因子、ラミニン、IV型コラーゲン、VIII型コラーゲン、エナメル質タンパク質(アメロゲニンと非アメロニン)、α2HS−糖タンパク質、フィブロネクチン、細胞接着ペプチド、プロスタグランジン、血清タンパク質、グルココルチコステロイド(デキサメタゾン)、ホスフェート、ホスホセリン、ピロホスフェート、ホスホスレオニン、ホスヴィチン、ホスホホリン、ビホスホネート、ホスホネート、ホスファターゼ、スルホネート、スルフェート、カルボキシ基、骨及び上皮プロテオグリカン、無機物、及び細胞結合ペプチド配列、例えばアルギニン−グリシン−アスパラギン酸(Arg−Gly−Asp)、ポリアスパルテート、並びに組織統合を促進することができる他の生物学的分子及び、これらの効果を模倣するように選択された非生物学的分子から選択される。
本発明によると、“金属移植片”なる表現は、固体金属又は金属シート若しくはホイルから製造された外科手術用移植片、又は少なくとも片側若しくは1面を金属で被覆された移植片を意味するように意図される。
さらに詳しくは、本発明によると、金属移植片はチタン、ステンレス鋼、タンタル、Vitallium(登録商標)又は医療的に受容される金属移植片材料から製造される。
本発明によると、バイオアクティブ共役体による移植片の共有結合被覆方法であって、(a)金属移植片表面を汚染物から浄化する工程と;(b)工程(a)の前記浄化移植片表面を窒素媒質中で本発明のバイオアクティブ共役体と接触させる工程とを含む前記方法を提供する。
本発明によると、バイオアクティブ共役体による移植片の共有結合被覆方法であって、(a)金属移植片表面を汚染物から浄化する工程と;(b)工程(a)の浄化移植片表面を媒質中で脱酸素する工程と;(c)工程(b)の前記脱酸素移植片表面を窒素媒質中で本発明のバイオアクティブ共役体と接触させる工程とを含む前記方法をも提供する。
本発明によると、バイオアクティブ共役体による移植片の共有結合被覆方法であって、(a)金属移植片表面を汚染物から浄化する工程と;(b)工程(a)の浄化移植片表面を媒質中で脱酸素する工程と;(c)工程(b)の前記脱酸素移植片表面を制御再酸化する工程と;(d)工程(c)の移植片表面を本発明のバイオアクティブ共役体と、移植片表面を共有結合被覆させるような条件下で接触させる工程とを含む前記方法をも提供する。
本発明による浄化工程は、ワイピング(wiping)、機械的研磨、エタノール若しくは過塩素酸−ブタノール−メタノール溶液中への浸漬、又は他の実験室標準の浄化処置から成ることができる。
さらに詳しくは、本発明による方法の脱酸素工程は1:12:7の容量比での過塩素酸−ブタノール−メタノール溶液中でのポテンシオスタティック(potentiostatic)電気化学的研磨であり、これはチタン移植片に対しては約40Vにおいて実施することができる。
移植片表面の脱酸素は金属原子への結合又は、酸素への結合を可能にする移植片表面への制御した再酸化を可能にする。
さらに詳しくは、本発明による方法の再酸化工程は、例えば0.1:0.1M比でのNaH2PO4/Na2HPO4のような、リン酸塩バッファー中で約6Vにおいて実施される。
【図面の簡単な説明】
図1は、ラット脛骨モデルにおける現場でのチタンねじ移植片の走査顕微鏡写真であり;
図2は、骨タンパク質オステオポンチンに関してイムノラベルした(immunolabeled)有機物質の蓄積を示す、脛骨における組織−移植片界面の透過電子顕微鏡写真であり;
図3は、オクタデシルチオールのヘキサン溶液と反応したチタン移植片表面のX線光電子分光法によって得られた炭素スペクトルであり、移植片表面に付着したオクタデシルチオレートを示す;
図4は、オクタデシルチオレートが付着したチタン移植片表面のX線光電子分光法によって得られた酸素スペクトルを示し;
図5は、オクタデシルチオレートが付着したチタン移植片表面のX線光電子分光法によって得られた硫黄スペクトルを示し;
図6は、オクタデシルチオレートが付着したチタン移植片表面のX線光電子分光法によって得られたチタンスペクトルを示し;
図7は、本発明によって製造された移植片を被覆するバイオアクティブ共役体の生物学的活性の初期兆候を示すUVスペクトルであり;
図8は、14時間インキュベーション後の移植片を被覆するバイオアクティブ共役体の生物学的活性の兆候を示すUVスペクトルであり;
図9Aは、ひな鳥(chicken)中で産生され(raised)、卵黄から精製されたポリクローナル抗オステオポンチン抗体によるイムノブロットを説明し;
図9Bは、図9Aに用いたものと同じ抗オステオポンチン抗体を用いた、ラット脛骨成長プレートにおける石灰化軟骨と骨との間の界面でのラットオステオポンチンの免疫細胞化学標識を説明し;
図10Aは、ウサギ抗マウスアメロゲニン抗体を用いた、エナメル質器官及びエナメル質マトリックスにおける完全タンパク質と分解生成物とのイムノブロットを説明し;
図10Bは、歯表面とラット臼歯の付着上皮との間の有機層におけるエナメル質タンパク質の免疫検出(immunodetection)を説明し;
図11は、官能化短鎖アルカンチオールによる処理のチタン還元表面における硫黄の存在を示すXPSスペクトルであり;
図12は、アルカン処理チタン表面を水に暴露した後の硫黄の保有とTi−SH結合の安定化とを示すXPSスペクトルであり;
図13は、アルカリ性ホスファターゼが付着したチタン移植片の表面の7種のUVスペクトルの系列を示し;
図14Aは、細胞と露出象牙質との間に挿入されたエナメル質タンパク質(金粒子、矢印)の存在を示す、手術によって露出した象牙質と接触した付着上皮細胞を示し;
図14Bは、露出象牙質と(前)セメント芽細胞とを分離するオステオポンチン層(金粒子、矢印)を示す顕微鏡写真であり;
図15は、上皮付着で示される、本発明によって被覆されたチタン表面移植片のスキームである。
発明の詳細な説明
本発明のバイオアクティブ共役体は、移植片上に一度塗布されると、組織−移植片界面における組織成長、安定化及び統合を促進する生物学的活性分子の架橋を介した付着を提供し、移植片の酸化からの保護をも提供する。
さらに、本発明のバイオアクティブ共役体はまた、移植片上に加えられる力を吸収するのに役立ち、組織−移植片界面における損傷及び破損を防止するのにも役立つ、移植片上の可撓性で、弾性の被膜をも提供する。
このバイオアクティブ共役体は軟組織(上皮細胞)又は硬組織(骨)部位における移植片の良好な付着をも供給する。
図1は骨内の現場での非被覆移植片の組織−移植片界面を示す。
図2では、電子顕微鏡検査によって高倍率で、骨−移植片界面におけるラインを観察することができ、このラインは“オステオポンチン”として知られる天然生成骨タンパク質を含むものと確認された。よって、本発明で移植片を被覆するために好ましいタンパク質はオステオポンチンである。
図9Aは、ひな鳥中で産生され、卵黄から精製されたポリクローナル抗オステオポンチン抗体によるイムノブロットを説明する。ポリクローナル抗オステオポンチン抗体はラット骨から精製されたオステオポンチンに対して産生された。レーン1、ラット血清アルブミン;レーン2、総HCl/グアニジン骨抽出物;レーン3、精製ラット骨オステオポンチン;レーン4、精製ラット骨オステオポンチン、M.C.Farach−Carson博士とW.T.Butler博士(テキサス大学、ヒューストン)によって寄贈。
図9Bは、抗オステオポンチン抗体を用いた、ラット脛骨におけるラットオステオポンチンの免疫細胞化学標識を説明し、通常の組織中に見い出される天然のマトリックス−マトリックス(石灰化軟骨−骨)界面における“セメントライン”又は“境界層(lamina limitans)”と呼ばれる、有機層上の金粒子蓄積によって可視化された、このタンパク質の濃度を示す(McKee等,Anat.Rec.,234:479〜492(1992);McKee等,J.Bone Miner.Res.,8:485〜496(1992))。
この界面は、石灰化軟骨の“足場(scaffolding)”上に骨芽細胞によって骨が付着する正常な長骨成長中に生じた、2種類の空間−時間的に異なるマトリックスの間の結合を示す。骨再モデル化(remodeling)中に、骨−骨界面(“セメントライン”)においてこの同じタンパク質層も検出される。したがって、骨芽細胞がチタン“基体”に遭遇したときに同様に挙動して、骨−チタン界面においてオステオポンチン含有有機層を分泌することが提案される(図10);
図10は、歯が口腔中に生えるときに、還元された(reduced)エナメル質器官が歯肉と融合して、機能的上皮を形成すると考えられることを示す(SchroederとListgarten,Monographs in Developmental Biology,A.Wolsky編集,Tarrytown,N.Y.,2巻,1〜127(1971))。さらに詳しくは、成熟期エナメル芽細胞をエナメル質表面から分離する“基底層”は付着上皮の内部基底層と同様な特徴を示し、実際に、初期上皮付着の形成に参加することができる(Nanci等,Histochemistry,99:321〜331(1993))。
成熟期エナメル芽細胞は、エナメル質タンパク質を殆ど又は全く産生しない分泌後細胞(post−secretory cell)であり、実際に、それらをエナメル質から分離する基底層は、これらのタンパク質をあまり含まないように見える。しかし、ある一定の条件下(上皮真珠;中間セメント質)で、歯形成に関係する上皮細胞が再活性化されて(reactivated)、エナメル質タンパク質を産生することができることは周知である。
アタッチメント(attachment)の上皮起源と一致して、付着上皮の細胞をそれらがエナメル質タンパク質を表現することができるか否かを調べるために試験した。エナメル質タンパク質は本質的に2種類のタンパク質、アメロゲニンと非アメロゲニン(エナメリン)から成り、これらの両方が実質的な細胞外プロセッシングを受ける(NanciとSmithの、calcification in Biological Systems,第13章:313〜343(1992)において概観)。大腸菌(E.coli)中に表現された組換え体マウスアメロゲニンタンパク質に対してウサギ中で産生された抗体(南カリフォルニア大学、Center for Craniofacial Molecular Biology,Dr.H.C.Slavkin研究室の好意による)を用いて、エナメル質タンパク質を免疫局在化した(immunolocalized)。最近、ラット切歯エナメル質からのタンパク質を精製し、これらのタンパク質に対する抗体をひな鳥中で産生した(卵黄から精製;Dr.C.E.Smith,McGill大学との共同研究において)。ウサギ抗マウスアメロゲニンはエナメル芽細胞中に(図10A,レーン1〜5)及びエナメル質マトリックス中に(図10A,レーン6)14〜31kDaに見い出される、完全タンパク質と分解生成物とを認識する。成熟期エナメル芽細胞(図10A,レーン3〜5)はエナメル質タンパク質の産生を徐々に停止する。
エナメル質タンパク質はラット臼歯の歯表面と付着上皮との間の有機層(内部基底層)中に免疫検出される(図10B)。今までは、付着上皮の内部基底層中に又は実際問題として、エナメル芽細胞に関連した基底層中に、典型的な基底膜成分を明白に実証することが不可能であったので、これらの基底層が基底膜に関連した、但し、例えば細胞分化の仲介及び/又は軟組織−硬組織接着の促進のような、それらの特殊化機能を表す明確な組成を有する細胞外マトリックスを表すという可能性が存在する。
本発明によると、内部基底層の成分、特にエナメル質タンパク質をチタン移植片の歯肉通過部分上の表面被膜として用いて、細胞分化と、移植片周囲の機能的で安定な上皮シールの形成とを促進することが提案される。
金属移植片をバイオアクティブ共役体によって被覆するための本発明による方法は、下記工程を含む。
第一に、金属移植片表面を浄化して、M.Volmer−Uebing等が述べているように(Applied Surface Science,55:19〜35,1992)、過塩素酸−ブタノール−メタノール溶液中でポテンシオスタティック電気化学的研磨を実施することによって脱酸素する。室温における低−酸化物金属表面の製造は、40Vの電位において1M過塩素酸(HClO4)中で金属を分極することによって実施する。これらの条件下で、金属は熱力学的に安定な相状態である。次に、この脱酸素表面を次に6Vにおけるリン酸塩バッファー中でのポテンシオスタティック電気化学的分極によっても再酸化することができる。
第二に、浄化した脱酸素済み又は制御再酸化済み移植片表面を本発明のバイオアクティブ共役体による共有結合被覆を生ずるような化合物と接触させる。
硫黄による表面の理論的被覆
(a)完全な結晶(平らな表面)
チタン(Ti)の表面濃度は約1.6x1015原子/cm2であり、硫黄(S)の直径は約2xTi直径であるので、硫黄原子の表面濃度は約0.8x1015原子/cm2であり、各硫黄原子は約15Å長さの18炭素原子鎖に結合する。
分析した深さは45Åであるので、炭素原子の表面濃度は約1.4x1016原子/cm2、すなわち、硫黄原子の表面濃度の約18倍である。
(b)45゜のこぎり歯表面(粗面、より現実的)
Ti:S:C=41.6%:2.8%:55.6%
(c)汚染された表面
チタン(Ti)は反応性金属であるので、同金属を浄化することは困難であり、これは容易に汚染される。
SによるTi表面の実際の被覆は<2.8%であり、この値は表面の汚染度に依存する。
上記表1は水暴露(aqueous exposure)の前と後の化学的処理した還元チタン表面の比較を提供する。
図11はチタンへのチオール結合を実証する硫黄ピークを示す。
図12は水処理(aqueous treatment)後に硫黄(チオール)ピークの主要な変化がないことを示す。
本発明の範囲を限定するのではなく本発明を説明するために記載する下記実施例を参照することによって、本発明はさらに容易に理解されると思われる。
実施例I
オクタデシルチオレートによるチタン移植片の被覆
サンプル調製
チタン金属基体をアルミナ0.1μmによる機械的研磨と、その後の純粋アセトン中での15分間の超音波化学クリーニングとによって浄化する。この基体を1:12:7容量比の過塩素酸−ブタノール−メタノール溶液中で約40Vにおいて30分間電気化学的研磨する。この方法は、表面汚染物が不安定になって、除去される電気化学的状態を確立する。我々は実験条件を最適化することを試みていないが、用いた方法はチタン表面を測定可能な程度に(measureable)浄化する。
これは、オクタデシルチオール、CH3−(CH2)17−SHの10-3M〜10-4Mヘキサン溶液をも含むN2フラッシュ乾燥ボックス中で実施する。したがって、高反応性の清浄なチタン表面を再汚染する可能性のある空気に暴露することなく、この金属をチオール溶液中に一晩沈める。これはチオールを金属表面と反応させ、例えば、
のような自然集成単層を形成し、この単層は約15Åだけ金属表面上に及ぶ。分析前にサンプルをヘキサン中ですすぎ洗いする。
分析方法
用いる表面分析方法はX線光電子分光法(XPS)又は化学分析のための電子分光法(ESCA)と呼ばれる。この方法は、化学結合の差異によって生ずる放出原子(emitting atom)の電子密度の小さい差異が放出電子のエネルギーの小さいシフトに表されるという利点を有する。これらのデータのコンピュータ処理を可能にして、さらに研究のために接近する(close−lying)ピークの分離を可能にするソフトウェアが開発されている。
チタン放出エネルギーにおいて検査した深さは約45Åであり、チオールの単層によって被覆された完全な平らなチタン結晶では、チタン中に検査した深さは約30Åである。45゜のこぎり歯上にモデル化した粗面では、この深さは20Åに近いが、完全なチオレート単層が両方の場合に検査される。
結果と考察
添付図3〜6には、スペクトルの典型的なセットが見られる、図3は炭素スペクトルであり、図4は酸素スペクトルであり、図5は硫黄スペクトルであり、図6はチタンスペクトルである。炭素と酸素とのピークはs型軌道から放出される電子から発生するものであり、各ピークが別の環境を示すことを意味する。これらのピークの考えられる帰因は図3と4に示す。
他方では、硫黄とチタンとのピークはp型軌道から放出される電子から発生するものであり、ピークのペアが異なる環境を示すことを意味する。この場合にも、これらのピークの考えられる帰因は図5と6に示す。
チタンが明確に検出可能であるという事実は、チオールの単層のみが付着したことを意味する。炭素と酸素の割合の変化並びに種々なチタン成分の変化はクリーニングとチオール付着とに選択可能な可変性(point−to−point variability)があることを示す。しかし、チタンに直接結合したチオールは水蒸気による作用及び2.5時間の直接水浸漬による作用に不感応性に思われる。
実施例II
チタン移植片へのアルカリ性ホスファターゼの共有結合
浄化したチタン移植片を実施例Iに述べた一般的な方法によって16−アミノヘキサデカンチオールで被覆した。この移植片を次にN2下、25℃において60分間、0.1Mリン酸塩バッファー中のグルタルアルデヒド溶液と共に撹拌した。移植片を次にバッファーですすぎ洗いし、リン酸塩バッファー3ml中のアルカリ性ホスファターゼ(ウシ腸粘膜から、5単位/mg)3mgの溶液と共に、25℃において12時間撹拌した。この移植片をバッファーによってすすぎ洗いした。Lowry等の方法(J.Biol.Chem.,16 4:321(1946))によって酵素活性を測定した。
実施例III
チタン移植片へのアルカリ性ホスファターゼの共有結合
浄化したチタン移植片を実施例Iの一般的な方法によって浄化して、制御再酸化を受けさせた。この移植片を次にN2下において2時間、還流トルエン中の3−アミノプロピルトリエトキシシランの10%溶液と共に撹拌した。この改質した(modified)移植片に、実施例IIに述べたグルタルアルデヒド方法によってアルカリ性ホスファターゼを共有結合させた。Lowry等の方法(J.Biol.Chem.,164:321(1946))によって酵素活性を測定した。
図8は、移植片表面に共有結合したアルカリ性ホスファターゼが14時間のインキュベーション後にその生物学的活性を保有することの明確な証拠を与える、405nmにおけるピークの出現を示す。405nmにおけるピークは反応開始近くで測定された図7には本質的に存在しないが、405nmにおける弱い吸光度は酵素触媒加水分解によるp−ニトロフェノール形成の初期段階を実証する。
実施例IV
TiO2へのアルカリ性ホスファターゼの共有結合
標準チタン移植片の重量に等しい重量の粉状TiO2サンプルをN2下において2時間、還流トルエン中の3−アミノプロピルトリエトキシシランの10%溶液と共に撹拌した。遠心分離、トルエンによるすすぎ洗い及び乾燥後に、改質TiO2をN2下、25℃において60分間、0.1Mリン酸塩バッファー中の2.5%グルタルアルデヒド溶液と共に撹拌した。
遠心分離及び0.1Mバッファーによるすすぎ洗い後に、リン酸塩バッファー3ml中のアルカリ性ホスファターゼ(ウシ腸粘膜から、5単位/mg)3mgの溶液と共に、25℃において12時間撹拌した。この改質TiO2を次にバッファーによって完全にすすぎ洗いして、その酵素活性をLowry等の方法(J.Biol.Chem.,164:321(1946))によって測定した。
図13は、Lowryの方法を用いた、改質TiO2サンプルの分析の過程中にt=0からt=90分まで15分間間隔で測定した7UVスペクトルの系列を示す。非加水分解p−ニトロフェノールホスフェートに対応する305nm近くのピークは連続的に縮小し、t=90分には本質的に存在しない。p−ニトロフェノレート(p−nitrophenolate)の形成に相当する395nm近くの吸収が対応して増加する。これらのスペクトルは酵素活性形でアルカリ性ホスファターゼがTiO2に共有結合することの明確な証拠を与える。
組織修復と、暴露された無機物化組織における新しいタンパク質の産生とを検査するために、我々は、歯表面から付着上皮を外科的に剥離し(折り曲げ)、ラット臼歯の口蓋根(palatal root)を露出し、セメント質及び最外象牙質を歯科用バーによって根表面から除去したモデルを用いている。この情況における組織治癒はこの後間もなく生じ、この治癒は軟組織と硬組織の両方の反応を含み、2つの主要な事象が生ずる。第一に、付着上皮が歯の下方に移動し、損傷した根表面上に移動して、上皮アタッチメントを再確立する。露出した象牙質及び/又はセメント質へのこれらの上皮細胞の接触と一致して、エナメル質タンパク質(この上皮分泌産物に対して産生された抗体に対する免疫反応性によって実証)が分泌され、付着上皮細胞に隣接して根表面の有機層として蓄積する(図14A)。この種類のタンパク質は一般に、未萠出歯のエナメル層の完成後に表現されるとは考えられず、ここではまだ、正常な上皮アタッチメントの一部であり(図10B参照)、この上皮構造の修復中に産生されると示している。第二に、硬組織形成と、上皮細胞移動に対してより根尖の(more apical)領域におけるこれらの損傷部位の治癒とに関して、(前)セメント芽細胞が歯表面に対して検出され、これは露出根表面のオステオポンチン層(図14B)の出現に関連する。オステオポンチンのこの有機被膜は補てつセメント質発生の初期事象であるように思われ、この場合に典型的なセメント質が根表面の欠陥を充填し始める。
図15は、上皮アタッチメントにおいて示す、本発明によって被覆したチタン表面移植片のスキームである。
本発明をその特定の実施態様に関して説明したが、本発明がさらに改良可能であり、この出願が一般に本発明の原理に従う本発明の変化、利用又は適用を包含するように意図され、本発明の開示からのこのような逸脱を本発明が属する技術分野内の周知の又は慣習的な実施として、上述した本質的な特徴に加えられるものとして、及び下記請求の範囲に従うものとして含むものであることは理解されよう。
Claims (21)
- 実質上不純物を含まず、そして下記構造式I:
−R−X−P
[式中、
Rは、チタン移植物表面に結合したSであり、
Xは、バイオアクティブ分子への共有結合を可能にするように選択されたCOOH、NH2、OH、SH若しくは他の官能基を末端に有する線状アルキルC1−C30鎖;バイオアクティブ分子への共有結合を可能にするように選択されたCOOH、NH2、OH、SH若しくは他の官能基を末端に有する、N、O若しくはSの1〜10個の原子が散在した線状C1−C20鎖;又はバイオアクティブ分子への共有結合を可能にするように選択されたCOOH、NH2、OH、SH若しくは他の官能基を末端に有する線状アルキルシリルSiC1−SiC30鎖から選択され;そして
Pは、共有結合を通してXに安定に結合した、組織の成長、安定化又は統合を促進する、バイオアクティブ分子部分であり、
但し、上記バイオアクティブ分子部分はその生物学的活性を保有する]
を有するバイオアクティブ共役体との、単層中での共有結合によりコートされた外部表面を有する、チタン金属移植物。 - Xがバイオアクティブ分子への共有結合を可能にするように選択されたCOOH、NH2、OH、SH若しくは他の官能基を末端に有する線状アルキルC1−C30鎖である、請求項1記載の移植物。
- XがCOOH,NH2,OH及びSHからなる官能基群で終わる、請求項2記載の移植物。
- バイオアクティブ共役体が移植物表面上で自然集成単層を形成する、請求項1記載の移植物。
- 共有結合したバイオアクティブ分子部分がα2HS−糖タンパク質及びフィブロネクチンからなる群から選択される、請求項1記載の移植物。
- 共有結合したバイオアクティブ分子部分が、オステオポンチン、骨シアロプロテイン、骨酸性糖タンパク質−75、オステオカルシン、オステオネクチン、骨形態形成タンパク質、トランスフォーミング成長因子、ラミニン、IV型コラーゲン、VIII型コラーゲン、エナメルタンパク質、細胞接着ペプチド、プロスタグランジン、血清タンパク質、グルココルチコステロイド、ホスホセリン、ピロホスフェート、ホスホスレオニン、ホスヴィチン、ホスホリン、ホスファターゼ及び骨及び上皮プロテオグリカンからなる群から選択される、請求項1記載の移植物。
- 共有結合したバイオアクティブ分子部分が、オステオポンチンと骨形態形成タンパク質からなる群から選択される、請求項6記載の移植物。
- 共有結合したバイオアクティブ分子部分が、アメロゲニンと非アメロゲニンからなる群から選択される、請求項6記載の移植物。
- 共有結合したバイオアクティブ分子部分がビホスホネートである、請求項6記載の移植物。
- 共有結合したバイオアクティブ分子部分がアルギニン−グリシン−アスパラギン酸とポリアスパルテートからなる群から選択される、請求項6記載の移植物。
- XがPへの共有結合を可能にする官能基で終わる直鎖アルキルシリルSiC1−SiC30である、請求項1記載の移植物。
- 共有結合したバイオアクティブ分子部分が細胞接着ペプチドである、請求項1記載の移植物。
- バイオアクティブ共役体による移植片の共有結合被覆方法であって、
(a)金属移植片表面を汚染物から浄化する工程と;
(b)工程(a)の前記浄化移植片表面を窒素媒質中で下記構造式I:
−R−X−P
[式中、
Rは、チタン移植物表面に結合したSであり、
Xは、バイオアクティブ分子への共有結合を可能にするように選択されたCOOH、NH2、OH、SH若しくは他の官能基を末端に有する線状アルキルC1−C30鎖;バイオアクティブ分子への共有結合を可能にするように選択されたCOOH、NH2、OH、SH若しくは他の官能基を末端に有する、N、O若しくはSの1〜10個の原子が散在した線状C1−C20鎖;又はバイオアクティブ分子への共有結合を可能にするように選択されたCOOH、NH2、OH、SH若しくは他の官能基を末端に有する線状アルキルシリルSiC1−SiC30鎖から選択され;そして
Pは、共有結合を通してXに安定に結合した、組織の成長、安定化又は統合を促進する、バイオアクティブ分子部分であり、
但し、上記バイオアクティブ分子部分はその生物学的活性を保有する]
を有するバイオアクティブ共役体と接触させる工程と
を含む前記方法。 - 工程(a)が過塩素酸−ブタノール−メタノール溶液中でのポテンシオスタティック電気化学的研磨による脱酸素である請求項13記載の方法。
- 工程(a)後に、過塩素酸−ブタノール−メタノール溶液中でのポテンシオスタティック電気化学的研磨による脱酸素工程をさらに含む請求項13記載の方法。
- 前記ポテンシオスタティック電気化学的研磨が約40Vにおいて実施され、移植片がチタンから製造される請求項14記載の方法。
- バイオアクティブ共役体による移植片の共有結合被覆方法であって、
(a)金属移植片表面を汚染物から浄化する工程と;
(b)工程(a)の浄化移植片表面を媒質中で脱酸素する工程と;
(c)工程(b)の前記脱酸素移植片表面を制御再酸化する工程と;
(d)工程(c)の移植片表面を下記構造式I:
−R−X−P
[式中、
Rは、チタン移植物表面に結合したSであり、
Xは、バイオアクティブ分子への共有結合を可能にするように選択されたCOOH、NH2、OH、SH若しくは他の官能基を末端に有する線状アルキルC1−C30鎖;バイオアクティブ分子への共有結合を可能にするように選択されたCOOH、NH2、OH、SH若しくは他の官能基を末端に有する、N、O若しくはSの1〜10個の原子が散在した線状C1−C20鎖;又はバイオアクティブ分子への共有結合を可能にするように選択されたCOOH、NH2、OH、SH若しくは他の官能基を末端に有する線状アルキルシリルSiC1−SiC30鎖から選択され;そして
Pは、共有結合を通してXに安定に結合した、組織の成長、安定化又は統合を促進する、バイオアクティブ分子部分であり、
但し、上記バイオアクティブ分子部分はその生物学的活性を保有する]
を有するバイオアクティブ共役体と、前記移植片表面を共有結合被覆させるような条件下で接触させる工程と
を含む前記方法。 - 前記再酸化がリン酸塩バッファー中で約6Vにおいて実施される請求項16記載の方法。
- 汚染物からの金属移植片表面の浄化方法であって、前記金属移植片表面を過塩素酸−ブタノール−メタノール溶液中でのポテンシオスタティック電気化学的研磨によって脱酸素することを含む前記方法。
- 前記ポテンシオスタティック電気化学的研磨が約40Vにおいて実施され、移植片がチタンから製造される請求項19記載の方法。
- 脱酸素金属移植片表面の制御再酸化工程をさらに含む請求項19記載の方法。
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