JP3547902B2 - 混成集積回路装置およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は混成集積回路装置に関し、特に混成集積回路基板表面に樹脂を塗布して封止した混成集積回路装置およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に図3の様な混成集積回路装置があり、これは例えば特公昭61−55247号が詳しい。
つまり混成集積回路装置は、金属基板1と、この表面に絶縁材料2が被覆され、この上に接着されたCuよりなる導電パターン3,4と、この導電パターン3,4と電気的に接続された半導体素子等の回路素子5と、この導電パターンの一部であるパッド3と半田を介して固着された外部リード6と、この外部リード6と前記回路素子5とを電気的に接続する金属細線7およびこれらをモールドする樹脂8とを有している。
【0003】
つまり放熱性が考慮されて基板1の裏面が露出されているものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述したような構成にすると、樹脂8は、金型等を用いて決められた形にモールドされているため、モールド装置が必要であったり、ここでの工程が増加する等の問題があり、混成集積回路装置のコストが未だ高い問題があった。
そのため図2のような、構造で解決しようとした。つまりこの構造は、基板1の裏面および側面を露出した状態にし、基板1の表面(素子が実装される面)のみに樹脂8を塗布してあるので、塗布装置(ディスペンサー)のみで金型も必要なく簡単な工程で安価な混成集積回路装置が実現できるものである。
【0005】
一方、基板1はできるだけ小さいサイズでより多くの回路素子8を実装するのが好ましく、基板1の周辺ぎりぎりまで回路素子を実装する傾向にある。そのため、樹脂8も周辺まで塗布される。しかし硬化前の樹脂は、ある程度の流動性を有するため、図2のように基板1側面の下まで流れ出し、製品として好ましくないものが発生する問題があった。例えばこの樹脂を塗布し、焼結工程に入るまで搬送治具に入れておくと、この中で流れ出し、搬送治具についてしまったり、またベルト炉を採用する場合では、ベルト炉手前で樹脂が塗布され、焼結炉に入って焼結されるわけであるが、この搬送工程で樹脂が流れ、ベルトと一緒に焼結されてしまったりする不具合を生じていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
解析によれば、打ち抜き面の周辺角部は、アールがあるため、このアール部に樹脂が塗布される様な図2の構成では、樹脂の自重により流れ出す事が判った。また打ち抜きにより生ずるせん断面には、縦方向の筋が設けられこの筋に沿って流れてしまう事も判った。
【0007】
本発明は前述の問題に鑑みて成され、電子部品を、混成集積回路基板の打ち抜き面と対向する面に設け、打ち抜きにより生ずる側面の破断面が、あたかも梨地形状であるため、塗布される封止樹脂を、前記混成集積回路基板の破断面で終結させて解決するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図1を参照しながら説明する。
まず例えばプレスにより打ち抜かれた金属性の混成集積回路基板10がある。この混成集積回路基板10は、Al、CuやFe等が考えられる。
これらの混成集積回路基板10は、紙面に対して下側からプレスで上に打ち抜かれており、混成集積回路基板10底面の周辺にある角部11は、アールを有している。また混成集積回路基板10上面の周辺にある角部12は、実質全周辺に渡り突起部13が設けられ、混成集積回路基板10の側面には、下側にせん断面14、上側には破断面15が全周に渡り設けられている。
【0009】
ここで混成集積回路基板10としてAlを採用した場合、その表面は、陽極酸化により酸化物が形成されてもよい。
また混成集積回路基板10は、導電性を有するため、この上に設けられる導電路との短絡を考慮し全面に絶縁性樹脂16が被着されている。
また導電パターンは、例えばCuより成るもので、配線17、ランド18、ボンデイング用のパッド19、外部リード用の固着パッド20等が設けられ、導電ランド18にはベアの半導体ICやトランジスタ等のチップ(半導体素子)21が設けられる。また配線間はチップコンデンサ、チップ抵抗および印刷抵抗等の回路素子22が半田や銀ペースト等を介して電気的に接続されている。ここでは、スクリーン印刷により形成されている印刷抵抗を示している。更には前記チップ21と配線17を電気的に接続するため、チップ上の電極とボンディング用のパッド19との間には金属細線23が電気的に接続され、外部リード用の固着パッド20には半田を介して外部リード24が電気的に接続されている。
【0010】
またこれらCuのパターンは、絶縁性のフレキシブルシートに貼り合わされ、このフレキシブルシートが混成集積回路基板に貼り合わされても良い。
そして、混成集積回路基板10およびこの上に実装された実装部品を封止するために、封止用の樹脂25が塗布され、硬化されている。
この樹脂は、例えばエポキシ樹脂で、中にはガラスフィラーが混入されている。ガラスフィラーを入れることで、基板の熱膨張係数に近づき、また強度を向上させることができ、またチクソ性を付加するものである。また樹脂は150000〜250000cp、硬化剤が50000〜150000cpで、樹脂対硬化剤の比をおよそ100:120にして、混練した後のトータル粘度は、約120000cpに成った。硬化は、まず125度3時間の熱処理が加えられ、更に150度3時間の熱処理を加えて成される。
【0011】
本発明の特徴は、混成集積回路基板10を打ち抜くことで発生する破断面15を活用する為に、打ち抜き面と対向する面に配線等を設け、ここに樹脂25を塗布することにある。
まず打ち抜きにより生ずる突起部13は、プレスの際に混成集積回路基板10周辺に形成され、誇張して表現すれば基板周辺が上に持ち上げられ皿状を成している。従ってある程度の粘性を有する樹脂25は、表面張力も手伝って側面に流れることなく有る程度の量を塗布することができる。しかし図1のように高さのある実装部品、例えば外部リード24、回路素子21および金属細線23を全て覆うには、塗布する量を増大しある程度の厚みを有さなければならない。するとどうしても樹脂が大量に塗布されるため、樹脂25は混成集積回路基板周辺の一領域から基板の側面に渡り流れ出そうとする。これは、プレスの際に生ずる突起13が混成集積回路基板10全周に渡り均一な高さで形成されていれば良いが、不均一であり、高さの低い部分から希に流れ出るのかも知れない。
【0012】
しかし、塗布する側の側面に形成されている破断面15は、あたかも梨地形状を有するため、筋のあるせん断面の摩擦係数よりも大きいので、硬化されていない樹脂25を、破断面15で止めることができる。ここでせん断面にある筋は、凹みがあり、この凹みに樹脂が触れると毛細管現象でより流れ出しが助長されるとも考えられる。
【0013】
例えば、1.5ミリ厚程度のAl基板のプレス面では、せん断面と破断面が実質半分程度ずつ形成される。この基板に上記の樹脂を塗布し、焼結したものを電子顕微鏡で観察してみた。図4は、その電子顕微鏡写真をトレースしたもので、符号24が半田30を介して固着された外部リードで、符号25で示した範囲が破断面である。つまり樹脂25は、矢印の方向に於いて上から0.1ミリ程度下の破断面で終結している。
【0014】
つまり従来例として説明した図2では、打ち抜き面を上にしてあり、角部にアールが形成され、しかもこのアール部分から下にはあたかも縦の筋を有するせん断面が設けられてあるため、樹脂の自重でアール部から流れ出し、筋を通って基板の下まで流れてしまう。しかし本願は、打ち抜き面と対向する面を上にしているため、角部12は逆に突起部13が設けられる程度に上に持ち上げられ、しかもこの突起部13の下には梨地状の破断面15が設けられている。この突起部13は前述したように皿状で樹脂を貯めておく性質を有し、それとともに破断面15は樹脂25の流れを抑制する働きを有するため、一部の樹脂25は基板10表面で止まり、極一部の樹脂は、殆ど目視でも判らない程度の長さ、下方に流れて止まる。
【0015】
図5に示すように、基板の表面(破断面のある面)と裏面に於いてエポキシがどの程度載せられるか実験してみた。基板面積により当然エポキシの量は増加するが、表と裏では、例えば基板面積が10平方センチメートルの時、約23パーセント程度破断面がある面の方がより多く載せられることが判った。
従って、焼結前の塗布樹脂は、流れても破断面の極一部で止まった状態であり、搬送治具に入れても搬送治具底部にまで流れず焼結できる。またベルト炉に於いても、樹脂塗布後、樹脂は破断面で止まりそのまま焼結炉にはいるため、樹脂が基板裏面まで流れず焼結できる。
【0016】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、打ち抜き面と対向する面に配線、これと電気的に接続する電子部品を実装し、この実装面周囲に形成される突起部を利用して、硬化前の塗布樹脂を基板表面にとどめておくことができる。またこの突起部の下側に、基板の厚みの半分程度まで形成される破断面が形成されてあるため、たとえ樹脂が流れても、破断面が梨地状を有するために樹脂の流れを抑制することができる。
【0017】
また塗布された樹脂を焼結するまで、前記突起部および破断面は樹脂の流れを抑制するため、塗布された混成集積回路基板を焼結炉に投入しても、樹脂流れの抑制した製品を製造することができる。
従って、基板裏面を露出させることができると共に簡単な方法で樹脂を塗布することができるため、安価で放熱性の優れた混成集積回路装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である混成集積回路装置の断面図である。
【図2】従来の混成集積回路装置の断面図である。
【図3】従来の混成集積回路装置の断面図である。
【図4】図1の混成集積回路装置の一部を拡大した図である。
【図5】基板の実装面および裏面のエポキシ実装量を説明した図である。
【符号の説明】
10 混成集積回路基板
11,12 角部
13 突起
14 せん断面
15 破断面
16 絶縁性樹脂
17,18,19,20 Cuパターン
21,22 実装部品
23 金属細線
24 外部リード
25 封止樹脂
Claims (2)
- 電子部品が実装されて所定の回路を有し、少なくとも表面が絶縁性を有する金属性の混成集積回路基板と、
この混成集積回路装置の回路と電気的に接続されたパッドに固着された外部リードと、
前記外部リードの固着部、前記混成集積回路基板表面および前記電子部品を封止する封止樹脂とを有する混成集積回路装置に於いて、
前記混成集積回路基板の全周の側面には下側からの打ち抜きによりできる上側の破断面と下側のせん断面を有し、上面の全周にある角部は突起部を形成し、前記破断面の表面は梨地状であり且つ前記せん断面よりは大きな摩擦係数を有し、
前記電子部品は、前記混成集積回路基板の打ち抜き面と対向する面に設けられ、且つ全周は上面の角部の前記突起部で囲まれ、前記対向する面に塗布される粘性のある封止樹脂は前記打ち抜き面と対向する面の全周に連続して設けられた前記上面の角部の前記突起部及び前記破断面の梨地状表面を利用して前記樹脂の流れを抑制しながら前記樹脂を硬化することを特徴とした混成集積回路装置。 - 少なくとも表面が絶縁性を有する金属性の混成集積回路基板を下側から打ち抜いて、前記混成集積回路基板の全周には上面の角部に突起部を形成し、側面の上側に表面が梨地状の破断面と側面の下側にせん断面を形成するとともに、 打ち抜き面を下にした前記混成集積回路基板上に配線を設け、該配線に実装部品を電気的に接続し、
前記混成集積回路基板上の前記実装部品を覆うように粘性のある樹脂を塗布し、前記打ち抜き面と対向する面の全周に連続して設けられた前記上面の角部の前記突起部及び前記破断面の梨地状表面を利用して前記樹脂の流れを抑制しながら前記樹脂を硬化することを特徴とした混成集積回路装置の製造方法。
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