JP3546621B2 - 固体走査型光書込み装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、PLZT等からなる光シャッタ素子を光の三原色ごとにオン,オフ制御し、感光材上に画像を書き込むための固体走査型光書き込み装置に関する。
【0002】
【発明の背景】
一般に、銀塩感材を用いた印画紙や銀塩フィルムや電子写真用感光体にカラー画像(潜像)を形成するには、PLZT等からなる光シャッタ素子を1画素ずつ光の三原色ごとにオン/オフ制御する固体走査型光書込み装置が使用されている。そして、各光シャッタ素子の光量を補正して均質な階調再現性を確保するため、画像露光に先立って各光シャッタ素子を所定の条件で駆動し、その出射光量を測定するための受光センサを含む光量測定ユニットが付設されている。
【0003】
ところが、印画紙やフィルム等の感光材と光電子増倍管等の受光センサとはそれぞれ分光感度特性に差を有するため、受光センサで測定された光量に基づく光量補正データが画像露光に必要とされる感光材の分光感度特性と必ずしも一致せず、高品質の画像を得る妨げとなっている。
【0004】
【発明の目的、要旨及び効果】
そこで、本発明の目的は、感光材と光量測定用の受光センサとで互いに分光感度特性が異なっているとしても、受光センサでの光量測定で得られた補正データを感光材への画像露光に的確にマッチングさせ、高品質のカラー画像を形成することのできる固体走査型光書込み装置を提供することにある。
【0005】
以上の目的を達成するため、本発明は、主走査方向に並べられた多数の光素子を光の三原色ごとにオン,オフ制御し、感光材上に画像を書き込む固体走査型光書込み装置において、各光素子の出射光量を測定するための受光センサを含む光量測定手段と、感光材及び受光センサの分光感度差を補正するために光源の発光強度を各色ごとに変更する補正手段とを備えている。
【0006】
本発明においては、補正データを得るための光量測定用受光センサ及び感光材の分光感度特性を予め判別しておき、光量測定時及び/又は画像露光時に両者の差を補正する。この補正手段としては光源の発光強度変更手段(例えば、電圧の切換え)を用いている
【0007】
本発明によれば、光源の発光強度を各色ごとに変更することにより、感光材と受光センサの分光感度差を補正するようにしたため、受光センサによる光量測定で得られた補正データを感光材への画像露光にマッチングさせることができ、高品質のカラー画像を形成することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る固体走査型光書込み装置の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0009】
(カラープリンタ)
図1は写真焼付け用のカラープリンタの概略構成を示す。このカラープリンタは、印画紙収容部1と、作像部2と、処理部3とからなる。銀塩感材を用いた印画紙4は収容部1にロール状に収容されている。作像部2には、以下に説明する光書込みヘッド20と光量測定ユニット71が搭載されている。さらに、作像部2には、印画紙4の搬送ローラ対5,6,7、カッタ8及び搬送ガイド板11,12が設置されている。
【0010】
印画紙4は、感光面を下方に向けて、搬送ローラ対5から作像部2に導入され、規定長さ送り込まれた時点でローラ対5の回転を停止すると共にカッタ8を動作させることでカットされる。カットされた印画紙4はローラ対6,7によって一定の速度で搬送される。印画紙4は光書込みヘッド20上を通過するとき、ガイド板11に形成した開口を通じて露光され画像(潜像)を形成される。露光後の印画紙4は処理部3で現像、乾燥され、トレイ15上へ排出される。
【0011】
(光書込みヘッド)
図2は、前記プリンタに搭載されている光書込みヘッド20を示す。この光書込みヘッド20は、概略、ハロゲンランプ21、防熱フィルタ22、色補正フィルタ23、拡散筒24、RGBフィルタ25、光ファイバアレイ26、スリット板27、光シャッタモジュール30、結像レンズアレイ35、防塵ガラス36によって構成されている。
【0012】
ハロゲンランプ21から放射された光は、防熱フィルタ22で熱線をカットされ、色補正フィルタ23で光質を印画紙の分光感度特性と合うように調整される。拡散筒24は光の利用効率を向上させ、光量ムラを低減させるためのものである。RGBフィルタ25は以下に説明する光シャッタモジュール30による書込みと同期して回転駆動され、1ラインごとに通過色を変化させる。
【0013】
光ファイバアレイ26は、多数本の光ファイバからなり、一端26aは束ねて前記拡散筒24にRGBフィルタ25を介して対向している。他端26bは矢印Xで示す主走査方向に並べられ、光をライン状に出射する。スリット板27のスリット端面27a,27aは鏡面に仕上げられ、光ファイバアレイ26から出射する光を効率よく光シャッタモジュール30に導く。さらに、スリット板27にPLZTシャッタチップを一定の温度に維持するためのヒータ(図示せず)が設けられており、モジュール30に設けた温度検出素子(図示せず)の検出結果に基づいて温度制御が行われる。
【0014】
光シャッタモジュール30は、セラミック基板のスリット状開口あるいはガラス基板上にPLZTからなる複数の光シャッタチップを設けてアレイを構成し、それと並べてドライバICを設けたものである。各シャッタチップに形成されている各光シャッタ素子はドライバICによって所定の画素に対応するもののみが駆動される。また、モジュール30の前後には偏光子33及び検光子34が設けられている。PLZTは、よく知られているように、カー定数の大きい電気光学効果を有する透光性を有するセラミックであり、偏光子33で直線偏光された光は、各光シャッタ素子への電圧印加で発生する電界のオン/オフによって偏光面の回転が生じ、検光子34から出射される光がオン/オフされる。
【0015】
検光子34から出射された光は、結像レンズアレイ35及び防塵ガラス36を透過して前記印画紙4上に結像し、潜像を形成する。印画紙4は主走査方向Xと直交する方向(副走査方向)に一定の速度で搬送される。
【0016】
(光量測定ユニット)
図3、図4は前記光書込みヘッド20の各光シャッタ素子の光量を測定する測定ユニット71を示す。
【0017】
この測定ユニット71は、受光センサ72とスリット73aを有するスリット板73と光拡散板74を有し、ガイド棒76にスライド可能に取り付けたものである。ガイド棒76は前記光シャッタモジュール30による主走査方向(矢印X方向)と平行に設置され、測定ユニット71は受光センサ72が前記光シャッタ素子の直上に位置した状態で矢印X方向に定速で往復移動する。詳しくは、一方のガイド棒76aは外周面に雄ねじが形成され、この雄ねじに測定ユニット71に設けた図示しないナットが螺着している。従って、測定ユニット71はガイド棒76aの正逆回転に伴って往復移動する。
【0018】
以上の構成からなる光量測定ユニット71と光書込みヘッド20はシーケンサで制御され、測定ユニット71の往復動及び光量測定のタイミング等が制御される。光書込みヘッド20は予めプログラムされている駆動モード(駆動周波数、点灯デューティ、点滅データ)で駆動される。このとき、各光シャッタ素子の出力光量は受光センサ72で検出され、図示しない積分回路で各素子ごとの光量の積分値が取得される。通常は、駆動周波数と受光センサ72の駆動速度との関係で、1素子当り10数回のサンプリング及びホールドを行うように設定される。受光センサ72の出力はA/D変換され、制御部に転送し、必要な処理を行い、光量補正データとしてルックアップテーブル用のメモリ素子(例えば、フラッシュROMなど)に格納される。
【0019】
光量測定ユニット71は印画紙4への露光に先立って光書込みヘッド20の各光シャッタ素子の光量を測定する。この測定ユニット71は光量測定時以外は搬送される印画紙4に干渉しないように印画紙4の搬送経路外で待避している。ガイド板11はガイド面11’が光書込みヘッド20のピント面F(図4(A)参照)と一致するように設定されており、印画紙4の厚みが異なってもピントずれが生じない。また、搬送ローラ対6,7は図示しないパルスモータで等速制御され、副走査速度の一定化が図られている。上ガイド板12は印画紙の浮き上がりを防止するためのもので、自重であるいはばね等で印画紙上に圧接するように構成されている。
測定ユニット71に設置されているスリット板73はピント面Fと同一面に設定されているが、前述の如く、光量測定時以外は印画紙の搬送経路から待避している。
【0020】
一方、図4(B)に示すように、結像レンズアレイ35とスリット板73との間にレンズ75を介在させてもよい。レンズ75を配置することで、測定ユニット71をピント面Fから離すことができ、露光時に測定ユニット71を待避させる必要がなくなり、装置の小型化に寄与する。
【0021】
本カラープリンタにあっては、光書込みヘッド20のRGBフィルタ25を回転させて光源色を高速で切り換え、1ラインごとにR,B,Gの画像をPLZT光シャッタチップをオン/オフさせて書き込む。本プリンタは、通常、タイマによって電源が投入され、現像液の温度制御等が実行される。このウォームアップ期間に光シャッタチップの光量測定とその補正(キャリブレーション)が行われる。キャリブレーションは、露光と略同等の条件で光書込みヘッド20を駆動し、その出力光量に基づいて光量補正を行う工程である。
なお、光量の測定、補正は、プリンタのウォーミングアップ時以外にも任意に実行することも可能である。
【0022】
(分光感度特性)
ところで、前記受光センサ72の分光感度特性と印画紙4の分光感度特性とは、互いに相違している。図5中点線は、受光センサ72として使用される光電子増倍管の分光感度を示し、実線は印画紙4の分光感度を示す。そこで、本発明では、以下に説明する補正手段を設けて両者の分光感度差を補正し、受光センサ72の光量測定から得られた補正データを印画紙4への画像露光にマッチングさせるようにした。
【0023】
(第1実施形態)
本第1実施形態では、光書込みヘッド20において、色補正フィルタ23及びRGBフィルタ25は印画紙4の分光感度特性に応じたカラーバランスのものを使用し、このフィルタ23,25を用いて画像露光を行う。そして、図6に示すように、RGBフィルタ25をガイドレール37に着脱可能とすると共に、いまひとつのRGBフィルタ25’をガイドレール37’に着脱可能とした。即ち、RGBフィルタ25,25’は互いに交換的に光路上に進退可能である。いまひとつのRGBフィルタ25’は、受光センサ72の分光感度特性に応じたカラーバランスに設定されており、前記キャリブレーション時にガイドレール37’から光路上に進入し(このとき、フィルタ25はガイドレール37内に退避する)、光源色を切り換える。
【0024】
(第2実施形態)
本第2実施形態は、前記第1実施形態と同様に、色補正フィルタ23及びRGBフィルタ25は印画紙4の分光感度特性に応じたカラーバランスのものを使用し、図7に示すように、いまひとつの色補正フィルタ23’を色補正フィルタ23と交換的に光路上に進退可能に設けた。フィルタ23,23’はそれぞれガイドレール38,38’に着脱可能である。いまひとつの色補正フィルタ23’は受光センサ72の分光感度特性に応じたカラーバランスに設定されており、前記キャリブレーション時にガイドレール38’から光路上に進入する。このとき、フィルタ23はガイドレール38内に退避する。
【0025】
なお、色補正フィルタ23,23’及びRGBフィルタ25,25’を同時に光路上に進退させてキャリブレーション時と画像露光時との分光感度特性を補正してもよい。あるいは、色補正フィルタ23は1枚のみとし、これをキャリブレーション時と画像露光時とで光路上に進退させてもよい。
【0026】
(第3実施形態)
本第3実施形態においては、受光センサ72と印画紙4との分光感度差を、キャリブレーション時と画像露光時とでハロゲンランプ21の電圧を変更してランプ光量を調整することによって行う。電圧は、図2に示すように、抵抗器Rの抵抗値を切り換えることによって行われる。図8にハロゲンランプ21の電圧に対する光強度を示す。以下の表に、最も適切なカラーバランスを実現できたランプ電圧値を示す。
【0027】
【表1】
Figure 0003546621
【0028】
(第4実施形態)
本第4実施形態は、光書込みヘッド20の全体系のカラーバランスを画像露光時を基準として印画紙4の分光感度特性に合わせ、キャリブレーション時には受光センサ72の受光特性を印画紙4の分光感度特性に合うように切り換えるようにした。ここで、受光センサ72としては光電子増倍管を使用し、図4に示すように電源Dの電圧を切り換えることで、加速電圧(陽−陰極間電圧)を変更し、カラーバランスを調整する。
【0029】
キャリブレーション時における光電子増倍管の加速電圧は、例えば、赤は−495V、緑は−535V、青は−575Vに切り換えることで、適切なカラーバランスを実現できた。
【0030】
(第5実施形態)
本第5実施形態は、光書込みヘッド20の全体系のカラーバランスを画像露光時を基準として印画紙4の分光感度特性に合わせ、キャリブレーション時には受光センサ72の出力信号を印画紙4の分光感度特性に合うように切り換えるようにした。
【0031】
具体的には、図9に示すように、受光センサ72と増幅アンプ101との間に抵抗SR,SG,SB及びアナログスイッチを挿入し、この抵抗SR,SG,SBをフォトインタラプタ102から出力されるRGB切換え信号に基づいて、アナログスイッチにて選択的に切り換えられるようにした。フォトインタラプタ102はRGBフィルタ25の周囲に設けたアクチュエータ103R,103G,103Bを検出することで、発光色を検知する。抵抗SR,SG,SBをアナログスイッチにて選択することによって増幅アンプ101の増幅定数(抵抗値)が色ごとに切り換えられ、キャリブレーション時に適切なカラーバランスを実現する。
【0032】
ちなみに、増幅アンプ101の出力信号はA/D変換回路105を介してCPU106へ入力され、CPU106で光量補正データに生成され、RAM内のルックアップテーブル107に格納される。一方、画像データはルックアップテーブル107を参照して補正を加えられた状態でヘッドI/F回路108へ転送され、前記光シャッタモジュール30を駆動する。
【0033】
(他の実施形態)
なお、本発明に係る画像形成装置は前記実施形態に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
特に、光書込みに使用する固体走査型の素子としては、PLZT以外に、LED(Light Emitting Diode)、LCS(Liquid Crystal Shutter)、DMD(Deformable Mirror Device)、FLD(Fluorescent Device)等を用いることができる。
【0034】
また、前記各実施形態は単独で実施するばかりでなく、それらを組み合わせて実施してもよい。さらに、本発明は銀塩感材を用いた印画紙への画像書込み装置以外にも、銀塩フィルムや電子写真用感光体への画像書込み装置あるいはディスプレイ上への画像投影装置に対しても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である光書込みヘッドを搭載したカラープリンタを示す概略構成図。
【図2】前記光書込みヘッドを示す斜視図。
【図3】前記光書込みヘッドに付設されている光量測定ユニットを示す斜視図。
【図4】光書込みヘッドと光量測定ユニットとの位置関係を示す説明図。
【図5】印画紙と受光センサとの分光感度特性を示すグラフ。
【図6】第1実施形態の要部を示す説明図。
【図7】第2実施形態の要部を示す説明図。
【図8】第3実施形態におけるランプ電圧と光強度との関係を示すグラフ。
【図9】第5実施形態における光量測定/補正回路を示すブロック図。
【符号の説明】
4…印画紙
20…光書込みヘッド
21…ハロゲンランプ
23,23’…色補正フィルタ
25,25’…RGBフィルタ
30…光シャッタモジュール
71…光量測定ユニット
72…受光センサ
R…可変抵抗器
D…可変電源
SR,SG,SB…抵抗

Claims (1)

  1. 主走査方向に並べられた多数の光素子を光の三原色ごとにオン,オフ制御し、感光材上に画像を書き込む固体走査型光書込み装置において、
    各光素子の出射光量を測定するための受光センサを含む光量測定手段と、
    前記感光材及び前記受光センサの分光感度差を補正するために光源の発光強度を各色ごとに変更する補正手段と、
    を備えたことを特徴とする固体走査型光書込み装置。
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