JP3546491B2 - 熱電変換素子を用いた流体の冷却装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、熱電変換素子に直流電流を流すと、その一端部では放熱が起こり他端部では吸熱が起こる性質(いわゆるペルチェ効果)を利用した流体の冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の技術としては、特開平5−118725号公報に開示される技術が知られている。これは、容器内に入れられた冷却用の水を常時一定温度に制御するものであって、外装本体内に断熱材を介して容器を配設し、この容器の底部に複数個の熱電変換素子を固着した構成のものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術においては、断熱材により外装本体周囲の熱が容器を伝わって冷却用の水が温まるのを防止しているが、部品点数の増加によるコストアップや、重量の増加となる。又、市販の魔法瓶に用いられている真空断熱構造にして断熱を行うことも考えられるが、真空を作りだす装置や、真空を保持するシール構造が複雑でありコストアップとなる。
【0004】
ところで、熱電変換素子の熱効率を向上させるため、吸熱側と放熱側とを断熱し、熱リークを抑制することが行われる。このため、上記したように吸熱側の熱交換器と放熱側の熱交換器との間に断熱材を介在させたり、真空断熱構造としたりすることが考えられるが、上記と同様にコストアップや、重量の増加を招くことになる。
【0005】
本発明の第1の技術的課題は、低コスト且つ軽量な構成で流体と外気とを断熱することを技術的課題とする。
【0006】
第2の技術的課題は、低コスト且つ軽量な構成で、流体と外気との断熱及び熱電変換素子の吸熱側の熱交換器と放熱側の熱交換器との断熱をすることを技術的課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した第1の技術的課題を解決するため請求項1の発明において講じた技術的手段は、熱電変換素子と、熱電変換素子の放熱側の熱交換面に伝熱関係で接触する放熱器と、熱交換素子の吸熱側の熱交換面に伝熱関係で流体が接触するように形成された流体通路と、を有した熱電変換素子を用いた流体の冷却装置において、流体通路と熱電変換素子との側方に形成された第1空気層と、流体通路の熱電変換素子と逆側に形成された第2空気層、を備えたことである。
【0010】
第2の技術的課題を解決し、放熱器の熱が流体通路内の流体に伝わるのを抑制すべく、請求項2の発明において講じた技術的手段は、熱電変換素子と、該熱電変換素子の放熱側の熱交換面に伝熱関係で接触する放熱器と、熱交換素子の吸熱側の熱交換面に伝熱関係で流体が接触するように形成された流体通路と、を有した熱電変換素子を用いた流体の冷却装置において、流体通路と熱電変換素子との側方に形成され、かつシールされた第1空気層を備え、第1空気層を熱電変換素子の側方に位置する第1の室と流体通路の側方に位置する第2の室とに分ける隔壁、を備えたことである。
【0011】
【作用】
請求項1の発明においては、熱電変換素子に直流電流を流すことによりペルチェ効果が生じ、放熱側の熱交換面に接触している放熱器からは放熱が行われる一方、流体通路内の吸熱側の熱交換面に接触している流体は吸熱されて冷却される。そして、第1空気層は流体通路と熱電変換素子との側方にシールされて形成されているために、流体通路内の流体が放熱器の熱や外気の熱で温められることが防止される。さらに、第2空気層が流体通路の熱電変換素子と逆側に形成されているため、流体通路内の流体が外気で温められることがさらに防止される。
【0013】
請求項2の発明においては、隔壁が、第1空気層を熱電変換素子の側方に位置する第1の室と流体通路の側方に位置する第2の室とに分けているため、第1空気層内の空気の対流により、放熱器の熱が流体通路内の流体に伝わるのを抑制している。
【0014】
【実施例】
本発明に係る一実施例を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1及び図2は第1実施例の流体の冷却装置の外観図、図3は図1のA−A断面矢示図である。図に示されるように、流体の冷却装置は、熱電変換素子10と、この熱電変換素子10の放熱側の熱交換面10aに接着やネジ結合等の方法により接触している放熱器11と、熱電変換素子10の吸熱側の熱交換面10bに流体が接触するように流体通路16を形成するハウジング13とから構成されている。
【0016】
熱電変換素子10は、複数のn型及びp型半導体が電気的に直列に且つ交互に接続されたものであり、放熱側の熱交換面10aでは放熱が行われ、吸熱側の熱他面10bでは吸熱が行われる。
【0017】
放熱器11は、シール用のOリング14をハウジング13と狭持しながらハウジング13に接着もしくはネジ結合されている。又、放熱効果を向上させるべく、放熱フィン12が形成されている。
【0018】
ハウジング13は、シール用のOリング15を熱電変換素子10と狭持しながら熱電変換素子10に接着もしくはネジ結合されている。又、ハウジング13は、熱伝導率の小さい樹脂から成っていて、流体が流れる流体通路16、及び第1空気層17が形成されている。尚、図2中13a、13bは、流体通路16に流体が流れ込む流入口と、流体が流れだす流出口とを示している。
【0019】
次に、上記第1実施例の作用について説明する。
【0020】
熱電変換素子10に直流電流を流すことによりペルチェ効果が生じ、放熱側の熱交換面10aに接触している放熱器11からは放熱が行われる一方、流体通路16内の吸熱側の熱交換面10bに接触している流体は吸熱されて冷却される。
【0021】
第1実施例においては、第1空気層17は流体通路16と熱電変換素子との側方にシールされて形成されているために、流体通路16内の流体が放熱器11の熱や外気の熱で温められることが防止される。
【0022】
さらに、第1実施例の流体の冷却装置は、ハウジング13の下面に、第2空気層18を形成するケース19が接着もしくはネジ結合されている。更に、ハウジング13とケース19とでは、シール用のOリング20を狭持している。
【0023】
第2空気層18が流体通路16の熱電変換素子10と逆側である図中下方に形成されているため、流体通路16内の流体が外気で図中下方から温められることが防止される。
【0024】
図4は、第2実施例の流体の冷却装置の断面図であり、同図を用いて第1実施例との相違点についてのみ説明する。第2実施例の流体の冷却装置は、第1実施例のハウジング13に当たる部材が、第1部材13aと第2部材13bとから構成されていて、両者は接着もしくはネジ結合されると共に、Oリング21、22を狭持している。第1部材13aには、第1実施例の第1空気層17に当たる室を第1の室17aと第2の室17bとに分ける隔壁23が形成されている。尚、第1の室17aは、流体通路16の側方に位置する一方、第2の室17bは熱電変換素子10の側方に位置している。
【0025】
第2実施例においては、隔壁23が第1の室17aと第2の室17bとに分けているため、第1空気層17内の空気の対流により、放熱器11の熱が流体通路16内の流体に伝わるのを抑制できて、熱効率の向上が図れるものである。
【0026】
図5は、第3実施例の流体の冷却装置の断面図である。この第3実施例は、図からわかるように、第1及び第2実施例を組み合わせたものであり、効果も二つの実施例の効果を合わせ持っている。
【0029】
【発明の効果】
請求項1の発明においては、第1空気層は流体通路と熱電変換素子との側方にシールされて形成されているために、流体通路内の流体が放熱器の熱や外気の熱で温められることが防止される。さらに、第2空気層が流体通路の熱電変換素子と逆側に形成されているため、流体通路内の流体が外気で温められることがさらに防止される。
【0032】
請求項2の発明においては、隔壁が第1空気層を熱電変換素子の側方に位置する第1の室と流体通路の側方に位置する第2の室とに分けているため、第1空気層内の空気の対流により、放熱器の熱が流体通路内の流体に伝わるのを抑制できて、熱効率の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の流体の冷却装置の平面図を示す。
【図2】第1実施例の流体の冷却装置の正面図を示す。
【図3】図1のA―A断面矢示図を示す。
【図4】第2実施例の流体の冷却装置の断面図を示す。
【図5】第3実施例の流体の冷却装置の断面図を示す。
Claims (2)
- 熱電変換素子と、
該熱電変換素子の放熱側の熱交換面に伝熱関係で接触する放熱器と、
前記熱交換素子の吸熱側の熱交換面に伝熱関係で流体が接触するように形成された流体通路と、
を有した熱電変換素子を用いた流体の冷却装置において、
前記流体通路と前記熱電変換素子との側方に形成された第1空気層と、
前記流体通路の前記熱電変換素子と逆側に形成された第2空気層、
を備えたことを特徴とする熱電変換素子を用いた流体の冷却装置。 - 熱電変換素子と、
該熱電変換素子の放熱側の熱交換面に伝熱関係で接触する放熱器と、
前記熱交換素子の吸熱側の熱交換面に伝熱関係で流体が接触するように形成された流体通路と、
を有した熱電変換素子を用いた流体の冷却装置において、
前記流体通路と前記熱電変換素子との側方に形成され、かつシールされた第1空気層を備え、
前記第1空気層を前記熱電変換素子の側方に位置する第1の室と前記流体通路の側方に位置する第2の室とに分ける隔壁、
を備えたことを特徴とする熱電変換素子を用いた流体の冷却装置。
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JP26667094A JP3546491B2 (ja) | 1994-10-31 | 1994-10-31 | 熱電変換素子を用いた流体の冷却装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JPH08128767A JPH08128767A (ja) | 1996-05-21 |
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JP2009295878A (ja) * | 2008-06-06 | 2009-12-17 | Yamaha Corp | 熱交換装置 |
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1994
- 1994-10-31 JP JP26667094A patent/JP3546491B2/ja not_active Expired - Fee Related
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