JP3545972B2 - バックアップ用二次電池パックの充電方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばバックアップ用各種アルカリ電解液系二次電池等を用いたバックアップ用二次電池パックの充電方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種電子機器の小型化、高性能化、携帯型化によって、電池の需要が高まっている。それに応じて電池の改良、開発はますます活発化している。また、電池の新しい適用領域も拡大してきている。
【0003】
電池の普及とともに、電池が適用される環境や条件も多岐に渡ってきている。特に、通信など産業分野においては、これまで屋内設置が大半であったのに対し、屋外のキャビネットや電柱などの厳しい環境条件に設置される場合が多くなってきている。
【0004】
屋外設置の場合、条件の制約上から複数個の直並列に多数個の二次電池を配置しなければならず、さらに、設置された二次電池には一度に充電可能な電流値を確保できず、かつ、停電時などの電池の充電では一度に電池を放電しなければならない場合が出現している。
【0005】
このような場合には、設置された二次電池に同時に充電すると充電電流値が小さくなり、特に高温下になると充電不足が深刻となり信頼性が大きく低下することになる。また、複数並列に配置された二次電池に対して、各並列の電池ごとに順番に充電すると、各並列ごとの二次電池の充電状態に差が生じ、深刻な場合には二次電池の逆充電が生じてこれまたバックアップ電源としての信頼性を大きく損なうことになった。
【0006】
同時に、これら搭載された電池の信頼性向上の要求も高くなってきている。特に、従来の鉛電池やニッケルカドミウム電池(以下、Ni/Cd電池と称す)に比べて大幅な高エネルギー密度であるニッケル水素電池(以下、Ni/MH電池と称す)やリチウムイオン電池では、事故による被害の程度もより深刻となりうるので、信頼性の確保が重要な課題となっている。
【0007】
信頼性のひとつとして、電池寿命の伸長が挙げられる。特に停電時のバックアップ用途に使用される二次電池、および電池パック(以下、電池とまとめて称す)は通常電池を使用している感覚が薄れているため、電池寿命が短いと、いったん停電が発生した際に電池の使用ができなくなって重大事態に陥る危険性がある。また、電池寿命が短いと頻繁に取り替えが必要となり、人件費や維持費が高騰して好ましくない。
【0008】
二次電池の寿命は電池構成材料が経時的な化学劣化を起こしたり、充放電サイクルなどにより電気化学的に劣化することによって容量が減少することに起因する。
【0009】
化学劣化の原因は、完全に明らかにされているとは言いがたいが、セパレータの材質劣化や、電極を構成する高分子化合物の結着剤に含まれる出発物質のモノマーの劣化がその主要因と考えられている。また、充放電サイクルに伴って生じる副反応によって電池反応に関わる鉛、硫酸鉛、ニッケル化合物、水素吸蔵合金、あるいはカドミウムなどの活物質や活物質の吸蔵物質が消耗したり構造変化したりすることも原因として指摘されている。
【0010】
化学劣化の抑制には、電極、電解液の構成材料から劣化が容易に起こりうる不純物を除去したり、充放電に伴って起こりうる副反応の化学反応を抑制することによって対処している。
【0011】
一方、電気化学劣化については、サイクルにおける充電、放電に伴う電極活物質の構造変化に伴う密度の変化が電極の膨れと収縮を繰り返し機械的に劣化したり、放電によって変化した活物質が充電によっても完全に元の構造や化合物に回復しなかったり、あるいは、充電の上限、放電の下限電圧の不適切によって過充電、過放電状態となり、副反応として電解液などの電気化学分解が生じたりすることが主要因として考えられる。
【0012】
電気化学劣化の抑制には、電極の膨張、収縮に耐えられる強固な結着剤の選定、充放電サイクルによる密度変化が小さく、反応可逆性の高い活物質材料の選定、耐過充電、耐過放電特性を向上させる添加剤の採用、電極材料や電解液材料の組成最適化、正極・負極の活物質量バランス最適化などを行うことによって対処している。
【0013】
バックアップ用途の電池においては、待機時のほとんどを充電状態におくため、主に化学劣化と過充電による電気化学劣化の程度が電池寿命を左右する。過充電による電気化学劣化としては、アルカリ水溶液系電池においては、充電末期における発生酸素の処理反応による負極活物質(カドミウム、水素)が挙げられる。過充電による電気化学劣化に対しては、電極構成材料に添加物を混合したり、適当な金属メッキを施したりして耐過充電特性を改善する方策が一般的に採用されている。
【0014】
しかしながら、これら対策を施しても、充電末期の過電圧による劣化は電池反応機構上避けられない。そのため、特に過電圧による劣化低減を目的の一つとして種々の充電方法が提案されてきた。
【0015】
バックアップ用アルカリ水溶液系二次電池に対する従来の充電方法としては、一定の電流値で充電を実施する方法が最も一般的に用いられてきた。最も普及している方法としては、電池を負荷から切り放し0.1CmA以下の微小電流で充電し続けるトリクル充電という方法が知られている。ここで、CmAは、ある公称容量の二次電池にたいする電流量を示す。例えば公称容量が1000mAhの二次電池に対し、電流量0.1CmAといった場合は、1000×0.1=100mAの電流を示す。CmAで示した場合、二次電池の種類によらない。この方法は充電に関わる装置・部品が単純で安価であることがその大きな特徴である。しかしながら、電池の充電電圧は環境温度や劣化の程度で大きく変わり、過充電による電池の劣化がきわめて深刻であった。
【0016】
これに対して、一定期間充電を実施した後、放置し、一定の電圧に降下すると再び充電を行う間欠充電方式が提案された。この充電方法によると、一度満充電した後、あらかじめ設定した電圧まで放置し、自己放電などによって電圧が降下してこの設定値に達すると再び一定の電流で一定時間充電し、以後、この放置と再充電を繰り返して容量を維持するものである。あるいは、再充電を時間ではなく、充電終了の電圧を設定して、この2つの設定電圧値の間で放置と再充電を繰り返す方法も提案されている。また、電圧を設定する代わりに、単純に放置と再充電の時間を設定してこれを経時的に繰り返す方法もある。
【0017】
しかしながら、この方法では上記の単純に充電を続ける方法に比較して過充電に晒される機会は若干改善されるものの、この方法においても環境温度や電池の劣化状態によって充電電圧が変化していく問題は解決されず、根本的な電気化学劣化の抑制はできなかった。
【0018】
上記とは別に、充電を一定電流で行うのではなく、充電電流をある時間的幅を有するパルスとして供給して行う方法も提案されている。この方法では、一定の電流値に比べ、電流パルス間は休止となるため、一定電流での充電に比べて過充電に晒される機会は減少するものの、この方法においても同様に、環境温度や電池の劣化状態によって充電電圧が変化していく問題は解決されず、根本的な電気化学劣化の抑制はできなかった。また、充電電流をパルスとして供給するが、二次電池が満充電状態になっても充電を停止しない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、複数並列から構成される多数個の二次電池、あるいは二次電池パックを、これらを同時に充電できない限定された供給充電電流値のもとで、各並列ごとの二次電池の充電状態に大きな差を生じさせないで効率的に充電を実施し、かつ、環境温度の変化や電池の劣化状態に影響されないバックアップ用二次電池パックの充電方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、バックアップ電源装置に搭載された、並列に接続された複数個のバックアップ用二次電池パックの充電方法において、バックアップ電源装置に接続された充電用電源によって上記二次電池パックを初期充電した後、上記充電用電源に接続されたディストリビュータが、上記二次電池パックに所望の充電電気量をパルス状に順次分配してパルス充電を行い、上記二次電池パック内に搭載されたマイコンが上記ディストリビュータによって分配された電流を受諾もしくは拒絶することを判断して補充電を行い、補充電は、二次電池パックの電圧が自己放電によってマイコンに設定した下限電圧V1に到達すると、ディストリビュータから発出された出力信号を受け、マイコンが充電電流受諾信号を発してパルス充電が開始され、充電電流パルスを一定回数繰り返した後所定時間R1の休止することを1サイクルとした補充電サイクルを繰り返し、二次電池パックの電圧がマイコン設定の上限電圧V2に到達すると、マイコンから充電電流拒絶信号を発出して二次電池パックの充電を休止して自己放電するように行われることを特徴とする。
【0032】
また本発明は、上記バックアップ用二次電池パックの充電方法において、補充電の充電電気量は1並列あたり0.1CmA以上0.35CmA以下であることを特徴とする。
【0033】
また本発明は、上記バックアップ用二次電池パックの充電方法において、補充電の充電電気量は、パルス充電にかかわる総時間に対する平均充電電流値が1並列あたり0.033CmA以上0.15CmA以下とすることを特徴とする。
【0034】
また本発明は、上記バックアップ用二次電池パックの充電方法において、下限電圧V1は1.25V/セル以上1.3V/セル以下であることを特徴とする。
【0035】
また本発明は、上記バックアップ用二次電池パックの充電方法において、上限電圧V2は1.3V/セル以上1.35V/セル以下であることを特徴とする。
【0036】
また本発明は、上記バックアップ用二次電池パックの充電方法において、下限電圧V1と上限電圧V2の差は1.5V/セル以上であることを特徴とする。
【0037】
また本発明は、上記バックアップ用二次電池パックの充電方法において、休止時間R1は、前記休止時間R1の直前のパルス充電時間以下であることを特徴とする。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施形態例を詳細に説明する。
【0040】
図1は本発明における充電方法の概念に基づくバックアップ電源の構成の一例を示した図であり、電源部、搭載電池、および充電電流供給をコントロールするディストリビュータの構成概念を示し、二次電池パックを4並列搭載したバックアップ電源の構成を示している。
【0041】
図1において、電源部1内にある充電用電源2は、商用電源3からの電力の一部を使用して電力供給配線4を介して並列に配置された各バックアップ用二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4に充電電流を供給するが、この充電電流の供給は充電用電源2とは別に設けられたディストリビュータ6により、該ディストリビュータ6から各二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4に配された線路7−1,7−2,7−3,7−4を介して入力信号P−1,P−2,P−3,P−4を発することによりそれぞれの二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4が順次充電用電源2から供給された充電電流を受諾して充電されることになる。ディストリビュータ6は、電源部1内に設置してもよいし、図1に示したように、電源部1とは独立の装置内の残余スペースに配置してもよい。
【0042】
ディストリビュータ6から搭載二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4に発出される出力信号P−1,P−2,P−3,P−4は、一定時間tcの間、充電電流を図1に示したように順次二次電池パック5−1から5−4へと供給するよう制御する。従って、各二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4には、充電時間がtcの一定電流が、間隔がtcの残り電池パック数(n−1)倍の時間、すなわちtc×(n−1)(図1の場合は3tc)をもって行われるパルス充電として充電電流が供給されることになる。
【0043】
各二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4内では、ディストリビュータ6から発せられた入力信号P−1,P−2,P−3,P−4と、該各二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4内に設置された充電制御用マイコン8−1,8−2,8−3,8−4(図1には充電制御用マイコン8−1、ナンド回路N−1、充電用スイッチ9−1、バックアップ用二次電池10−1よりなる二次電池パック5−1のみの表示であるが、二次電池パック5−2,5−3,5−4にも、二次電池パック5−1と同様に、それぞれ対応した充電制御用マイコン8−2,8−3,8−4、ナンド回路N−2,N−3,N−4、充電用スイッチ9−2,9−3,9−4、バックアップ用二次電池10−2,10−3,10−4よりなる回路が構成されている。)から送出された充電許可信号とがナンド回路N−1,N−2,N−3,N−4で合致(AND)をみた場合のみ、充電用スイッチ9−1,9−2,9−3,9−4がONとなってバックアップ用二次電池10−1,10−2,10−3,10−4が充電される。
【0044】
必要容量以上の充電量で待機している各二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4は、停電時、あるいは劣化確認試験時など必要時には放電用スイッチ11がONとなり放電電力の供給配線12を介して放電される。
【0045】
充電用電源2より供給される充電電流値Icは、二次電池パック1並列当たり0.10CmA以上、0.35CmA以下となるよう、充電用電源2内で制御するか、二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4内のマイコン8−1,8−2,8−3,8−4で0.10CmA以上、0.35CmA以下となるよう制御するのが好ましい。0.10CmA未満であると二次電池(パック)の充電が不十分になり、また、0.35CmAより大きくなると電池が過充電され、劣化が促進されることになり好ましくない。
【0046】
ディストリビュータ6により各二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4に出力信号P−1,P−2,P−3,P−4によって供給される充電時間tcは1秒以上、10分以内であるのが好ましい。充電時間tcが1秒より短いと充電不足となり、また、充電時間tcが10分より長くなると逆に充電過剰(過充電)となって電池の劣化が促進されることになり、ともに好ましくない。
【0047】
あるいは、一定の時間tcで最初から搭載二次電池(パック)を充電する代わりに、最初に、該二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4を電源装置内に搭載した直後、および、搭載されている該二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4を停電時に放電した直後は、各並列ごと、すなわち各二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4ごとに満充電に達するまでの時間tc1で充電電流を供給して初期充電を終えた後で、図1に示した出力信号P−1,P−2,P−3,P−4のように、補充電として1秒以上10分以内の充電時間tcで各並列ごとに電流供給する。
【0048】
上記二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4は、初期充電とそれに引き続く補充電とで構成される充電によって停電時に必要な放電容量を常時確保する。初期充電は、装置に二次電池(パック)を搭載した直後、あるいは、停電時に放電を行った直後に実施される充電であり、該二次電池(パック)をできるだけすみやかにいったん満充電か、それに近い充電状態に達することを目的としている。
【0049】
補充電は、初期充電によっていったん満充電、あるいはそれに近い充電状態に達した後、時間経過とともに自己放電によって減少する容量を補填し、その充電状態を維持することを目的にしている。
【0050】
図1に示したように、搭載した二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4のそれぞれには、充電制御用マイコン8−1,8−2,8−3,8−4が内蔵され、ディストリビュータ6による出力信号P−1,P−2,P−3,P−4に基づいて充電用電源2から配線4を介して供給される充電電流をさらに該二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4内に分配する制御を行う。
【0051】
該充電制御用マイコン8−1,8−2,8−3,8−4内には、あらかじめ各環境温度下で測定した必要初期充電容量と自己放電速度に関する基礎データを入力しておく。電池(パック)内の充電制御は、温度、電圧、電流をモニタし、この基礎データを参照して、環境温度における必要充電容量を算出して行う。具体的には、上述した時間間隔tc×(n−1)(nは電池パックの並列数)で繰り返される充電時間tcの充電機会を受諾するか、受諾しないかの判断を行う。
【0052】
初期充電では、満充電を達成することがもっとも好ましく、定電流で充電対象の二次電池(パック)の(総)公称容量の100%以上、160%以下の電気量でこれを実現する。
【0053】
該初期充電は、ディストリビュータ6によって、各並列の二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4ごとに一定時間tcで順次充電電流を供給して総計が上記100%以上、160%以下の満充電状態に到達させるか、あるいは、構成する全二次電池、あるいは二次電池パックの該初期充電を達成するに必要な時間のみ、1CmA以上の大電流を充電電流として電源部から供給することが可能ならば、各並列ごとに順次100%以上、160%以下の満充電に到達させるまでの時間tc1で該初期充電を実施することができる。
【0054】
初期充電が完了した後、各二次電池、あるいは二次電池パックを(総)公称容量の60%以上、90%以下、好ましくは70%以上85%以下の容量に減少するまで自己放電をさせ、上記設定容量に達したら充電を行う間欠充電を補充電として実施する。
【0055】
図2は本発明に係る第1の補充電方法を示す。すなわち、図1に示した各二次電池パック5(5−1,5−2,5−3,5−4)内に搭載された充電制御用マイコン8(8−1,8−2,8−3,8−4)が補充電のパルス充電を再開する下限容量C1と補充電のパルスを完了し休止(休止時間R1)を開始する上限容量C2とを、あらかじめ入力しておいた基礎データとモニタした環境温度から決定する。各二次電池(パック)の(総)容量が自己放電によって設定下限容量C1に到達すると、ディストリビュータ6から発出された出力信号P(P−1,P−2,P−3,P−4)を受け、充電制御用マイコン8が充電電流受諾の信号を発し、パルス充電が開始される。パルス充電によって該二次電池(パック)の蓄積容量は上昇し、設定上限容量C2に到達すると、上記充電制御用マイコン8は充電電流拒絶の信号を発出し、ディストリビュータ6によって間隔tc×(n−1)ごとに時間tcの充電機会が与えられてもこの充電を拒絶して休止となり再び蓄積容量が設定容量C1に達するまでの休止時間R1に放置、自己放電を続行する。
【0056】
また、該パルス充電は、1並列当たり充電電流の平均値が0.033CmA以上0.15CmA以下となることを提案しており、これを実施するために該充電制御用マイコン8が、ディストリビュータ6によって充電電流の出力信号Pを振り向けられても、適宜これに対する拒絶信号を発出して、(1並列当たりのピーク電流値)/[(パルス幅)+(パルス間隔)]の値が、上述した平均電流値になるよう制御することができる。平均電流値が1並列当たり0.033CmAより小さいと、電池セルの自己放電を補填するに十分な充電電気量が得られず結果的に充電不足となる。また、平均電流値が1並列当たり0.15CmAより大きいと室温以下の温度環境下で過充電となり電池の劣化を促進することになっていずれも好ましくない。
【0057】
パルス充電は、充電用電源2から送出される充電電流値Icをピーク電流として上記に示した容量の算定は、実際の二次電池内に蓄積された容量と深刻な差が生じなければその方法を何ら限定されることはないが、一例として、パルス電流値Icとパルス幅tcとの積を積算して算出することができる。
【0058】
補充電の実施を、(総)公称容量の90%より上限で行うと、極めて浅い充放電を繰り返すことになり、メモリー効果が発現して、かえって容量低下を引き起こすことになり好ましくない。補充電の実施を(総)公称容量の60%より小さくなる容量で繰り返すと、負荷に対する容量が不足し、搭載電池をさらに増やさなければならなくなり、設備投資が過剰となりこれも好ましくない。最も好ましいのは、自己放電を(総)公称容量の70%以上、85%以下の値まで続けさせる間欠的な該充電パルスの充電であり、この場合、メモリー効果を回避するとともに、最小限の搭載電池(パック)で負荷に対する必要なバックアップ時間を確保できる。
【0059】
また、本発明において、別の効果的な充電方法として以下の方法を提案する。
【0060】
すなわち、搭載二次電池、あるいは二次電池パックに対し、該電池(パック)を装置に搭載した直後、および停電時にバックアップ放電した直後、上述した初期充電方法と同様な方法で初期充電を実施し、これをまず完了する。
【0061】
該初期充電が完了した後に補充電を実施する。
【0062】
図3は本発明に係る第2の補充電方法を示す。
【0063】
すなわち、あらかじめ補充電再開の下限電圧V1と補充電完了の上限電圧V2とを該二次電池(パック)内に搭載した充電制御用マイコンに入力しておき、この設定電圧V1からV2に上昇させるまで、充電電流パルスと所定時間の休止とを1サイクルとした補充電サイクルを繰り返す。いったん、該二次電池(パック)の電圧が設定上限電圧V2に達すると、自己放電によって設定下限電圧V1に低下するまで放置する。
【0064】
すなわち、図1に示したディストリビュータ6によって充電電流値Ic、充電時間tcの出力信号P−1,P−2,P−3,P−4が各二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4にそれぞれ時間間隔tc×(n−1)(nは二次電池パックの並列数、図1の場合はn=4)ごとに発出され、各二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4に搭載されている充電制御用マイコン8−1,8−2,8−3,8−4から充電電流受諾信号が発出されたときに限って、ピーク電流値Ic、パルス幅tc、パルス間隔tc×(n−1)のパルス充電電流が、対応する二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4に供給される。
【0065】
各二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4に搭載された充電制御用マイコン8−1,8−2,8−3,8−4は、対応する二次電池の電池電圧が設定下限電圧V1に到達するまでは、ディストリビュータ6によって充電電流の出力信号P−1,P−2,P−3,P−4が振り向けられてもこれを拒絶して放置し、該設定値電圧V1に到達すると充電電流の受諾信号を発出して再び上述した方法のパルス充電を行う。
【0066】
この充電電流パルスは、一定回数q回繰り返し、該電流パルスを一定回数q回実施の後には、該充電制御用マイコン8−1,8−2,8−3,8−4は、再び充電電流の拒絶信号を発し、時間R1が経過するまで、拒絶信号を発し続けて充電用電源からの充電電流の供給を停止し、休止時間R1を設定する。補充電はこのq回のパルスからなるパルス充電と、時間R1の休止とを補充電1サイクルとし、これを繰り返すものである。図3によると二次電池の電池電圧VsからVeまでが補充電1サイクルに相当する。
【0067】
この電流パルスと休止の繰り返しによる補充電サイクルを、休止時間R1の終了時点での電圧Veeがあらかじめ設定した電圧値V2に達するか、または上回るまで継続して行うことを提案する。
【0068】
図3において、二次電池をいったん満充電した後、放置し、あらかじめ設定した電圧V1に電池電圧が到達すると再び充電を行うが、この充電は、ピーク電流値Icの電流パルスを一定回数q回繰り返すものであり、このパルス充電の後に休止を設け、パルス充電と休止とを1サイクルとしてこれを繰り返す方法を採用している。パルス充電と休止とのセットにおいて、1サイクル当たりの充電開始電圧Vsと休止終端電圧Veとの差はあらかじめ該電流パルスの回数qを設定することによって調整する。こうして繰り返されるパルス充電と休止のサイクルの最終サイクルにおいて、休止終端電圧Veeがあらかじめ設定された電圧V2に到達するか、これを上回った場合にこの補充電は終了され、再び電池は、あらかじめ設定された電圧V1に電圧が降下するまで放置状態に置かれる。
【0069】
該充電方法において、充電パルスのピーク電流値は、充電用電源2から供給される充電電流値Icを直接使用し、あるいは、電池パック内にさらに二次電池が複数並列になるよう配置されている場合には1並列当たり0.1CmA以上0.35CmA以下となるよう充電制御用マイコンに加えてコンバータ等必要な部品を配置しなければならない。それは、特に高温環境下における大きな自己放電速度に対し必要充電量を充足することによって充電不良の可能性を防止し、かつ、過充電を回避することによって電池の劣化を抑制することができるからである。
【0070】
該充電方法において、補充電サイクルを構成する休止時間R1は、各パルス充電時間(パルスOFF時間も含める)の1倍以下の時間となるよう、該充電パルス回数qを調整する。休止時間R1がパルス充電時間の1倍より長いと、特に高温の環境下で充電量を上回る自己放電量となり充電不良となる可能性が生じて好ましくない。
【0071】
また、該充電方法において、補充電1サイクルにおけるパルス充電時間(パルスONとOFFとの合計時間)と休止時間R1との総時間でパルス充電電気量を除した値、すなわち平均充電電流値が0.033CmA以上0.15CmA以下であることが有効である。0.033CmAより小さい平均充電電流値の場合には、高温環境下での充電不足が深刻となり、一方0.15CmAより大きな平均電流値では、低温環境下などで過充電となりやすく好ましくない。
【0072】
さらに該充電方法において、補充電サイクルを、あらかじめ設定した下限電圧V1から、別にあらかじめ設定した上限電圧V2に達するか、または上回るまで行い、その設定電圧値は、V1が1.25V/セル以上1.3V/セル以下であり、V2が1.3V/セル以上1.35V/セル以下であり、かつ、2つの電圧V1とV2との差が0.5V/セル以上であるのが有効である。V1が1.25V/セルより低い電圧の場合には、使用する場合の容量が10%以上も小さくなり、特に電池の寿命末期において機器の仕様になる使用時間を満たさない可能性が生じてくる。また、設定下限電圧V1が1.3V/セルより高い電圧に設定されると、放置時間がほとんどなくなり、連続充電と大差ない過充電劣化を来たす恐れがあり好ましくない。一方、設定上限電圧であるV2の値については、V2が1.3V/セルより低い電圧だと、充電が十分に果たせず容量が低下し、V2が1.35V/セルより高い電圧だと過充電劣化が進行して電池寿命を縮めることになっていずれも好ましくない。
【0073】
設定下限電圧V1と設定上限電圧V2との電圧差が0.5V/セルより小さいといわゆるメモリー効果を起こす恐れがあり、放電電圧が低下して出力低下となり好ましくない。
【0074】
さらに好ましくは、該充電方法に関して、補充電サイクルが5回以上繰り返されるよう該補充電サイクルにおける充電パルス回数qを調節して充電開始電圧Vsと休止時間終端電圧Veとの差を調整することが有効である。5サイクル未満となると最終補充電サイクルの休止終端電圧Veeが、あらかじめ設定された電圧V2を大きく上回って終了し、過充電劣化が深刻になる恐れがあって好ましくない。
【0075】
以上、提案する本発明におけるバックアップ用二次電池の充電方法は、これを具体的に実施する場合、上記に示した機能を充足しうるために、図1に示したディストリビュータを電源装置内に設置するとともに、各二次電池(パック)内に充電制御用マイコン、と必要な機能を具現する制御回路を搭載しておく。
【0076】
図4には、本発明における充電方法の機能を満たす、複数並列に配置されたセルで構成される二次電池パック充電制御回路のブロック概念の一例を示した。
【0077】
図4において、5は複数並列に二次電池セル10が配置された二次電池パックであり、8は本発明の充電方法を具体的機能として示す充電制御用マイコンであり、9は充電用電源から充電端子14を介して供給される充電電流を各二次電池セル10に供給するトランジスタスイッチであり、ディストリビュータから出力信号端子15を介して発出された充電電流の出力信号と、充電制御用マイコン8から発出された充電電流受諾信号とがナンド回路Nで合致した場合のみセル10に充電電流を供給するものである。
【0078】
13は本発明になる充電方法を具体的に実施するうえで充電制御用マイコン8の機能を補完する異常状態の検出や温度、電圧、電流のモニタと放電制御を行う制御回路である。この場合、図1に示した放電用のスイッチ11を電池パック内に収めておき、該制御回路13は停電時など必要な時期に複数並列に配置されたセル10から放電を行うために該放電用スイッチ11のON,OFFを制御するよう構成することもできる。放電電流は放電端子16を介して負荷へと供給される。17は各並列に配置されたサーミスタであり、制御回路13がこれをモニタする。制御回路13はその他の温度、電流、電圧を必要時、あるいは常時モニタし、異常時には異常出力検出端子18を介して異常信号を発出して、状態を告知する。
【0079】
図4における回路ブロック例では、本発明における充電方法を実施する場合、複数並列に配置されたセル10を一括して充電する方式である。また、放電は各並列のセルから一括してこれを行う。
【0080】
図4における本発明になる充電方法を一括充電として実施するのとは別に各並列のセルを個別に充電する方式について、その一例を図5に示した。
【0081】
図5は、本発明における充電方法の機能を具現化するための別の制御回路概念を複数並列にセルを配置した二次電池パックに対して適用したブロック図の一例を示したものであり、図4における各構成部品の他に、充電用電源から端子14を介して供給される充電電流を、トランジスタスイッチ9を通過した後充電制御用スイッチ19によって各並列のセルごとに順次充電電流を供給するものである。
【0082】
図5において、図4の例と同様に、ディストリビュータから出力信号端子15を介して発出された充電電流の出力信号と、充電制御用マイコン8から発出された充電電流受諾信号とがナンド回路Nで合致した場合のみトランジスタスイッチ9はONとなり、セル10に充電電流を供給する。
【0083】
充電制御用スイッチ19では、トランジスタスイッチ9がONとなって充電電流が供給された時に、制御回路13の充電制御用マイコン8が充電制御用スイッチ19を制御することによって、複数並列に配置された各二次電池セル10に順次充電電流を所定時間ごとに供給する。図5における充電電流を各並列ごとに独立に一定時間供給する方式は、充電用電源から供給される電流値が、図4のような一括して充電を行うのには不十分である場合に有効である。
【0084】
図4、および図5は本発明における充電方法を実施するための充電制御回路の一概念をそれぞれ示しているが、本発明の充電方法を実現することができれば何らこれに限定されることはない。
【0085】
本発明における充電方法の制御対象となるバックアップ用二次電池は、電解液にアルカリ水溶液を用いた電池であり、具体的にはニッケルカドミウム電池(Ni/Cd電池)、あるいは水素吸蔵合金を負極にもつニッケル水素電池(Ni/MH電池)が考えられるが、上述の条件に適合すればこれ以外の電池も制御可能である。
【0086】
本発明におけるバックアップ用二次電池の充電方法は、特に高信頼性を必要とする機器が考えられ、かつ機器に搭載すべき二次電池が多数直並列に配置されており、しかも充電電流が全電池を同時に充電するには不十分であり、かつ放電の際には一括してこの全電池を放電することが求められる条件において特に有効な方法である。
【0087】
本発明における二次電池の充電方法では、必要な使用時間の確保と電池の長寿命化とを実現することによって、停電時の動作を確実のものにする。しかしながら、アルカリ二次電池をバックアップ電池として搭載する機器であれば何ら使用上問題なく、しかも従来を上回る使用時間と長寿命を実現することができるため使用する利点はきわめて大きい。
【0088】
以下に本発明におけるバックアップ用二次電池の充電方法について具体的実施例によって説明するが、本発明は何らこれに限定されることはない。
【0089】
[実施例1]
単三型トリクルニッケルカドミウム電池(Ni/Cd電池、公称容量600mAh)について、該Ni/Cd電池を10セル直列に配置してなる二次電池パックを、図1に記載したように充電制御用マイコン8−1,8−2,8−3,8−4と充電用スイッチ9−1,9−2,9−3,9−4とを搭載して構成した。該電池パックを4パック用意し、それぞれ5−1,5−2,5−3,5−4とし、図1に示したように、ディストリビュータ6を信号配線7−1,7−2,7−3,7−4を介してそれぞれの二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4に連結し、各電池パック5−1,5−2,5−3,5−4には、電源部1内に搭載されている充電用電源2から電力供給配線4で連結し、放電は全二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4から一括して行えるよう放電用スイッチ11と配線12で負荷に連結するよう構成した装置を、商用電源3に繋いでバックアップ電源とした。
【0090】
該バックアップ電源における充電用電源2からは、0.1CmA(60mA)の定充電電流が供給される。ディストリビュータ6は、充電時間を10秒間ずつ各二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4に順次充電出力信号を発生する。すなわち、二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4個々にはピーク電流値0.1CmA、パルス幅10秒間、パルス間隔30秒間のパルス充電がディストリビュータ6の制御によって実施され得るようにした。
【0091】
上記二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4を該バックアップ電源に装着した後、初期充電と、それに続く補充電とも上記充電条件によって実施された。
【0092】
各二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4内に搭載した充電制御用マイコン8−1,8−2,8−3,8−4にはあらかじめ各温度で測定した電池特性のデータを入力してあり、室温における初期充電での満充電は公称容量の120%、すなわち充電容量720mAhに設定し、補充電パルスを開始する下限容量C1は公称容量の80%(480mAh)に設定し、補充電パルスを完了する上限容量C2は公称容量の100%(600mAh)に設定し、該設定下限容量C1より大きい容量を各二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4が保持する間はディストリビュータ6の出力信号が発出されてもこれを充電制御用マイコン8−1,8−2,8−3,8−4が拒絶信号を発出してこれを受け入れず休止を続ける。該充電制御用マイコン8−1,8−2,8−3,8−4は、これらにあらかじめ入力されている自己放電データを参照して自己放電による蓄積容量の減少を演算し、蓄積容量が設定下限容量C1に到達したら充電受諾信号を発出して再び充電パルスを開始させる。該充電制御用マイコン8−1,8−2,8−3,8−4は充電パルスによる電池容量の増大を算出し、設定上限容量C2にこの電池容量が到達したら、今度は充電拒絶信号を発出して、ディストリビュータ6によって割り当てられた充電を拒絶し、休止を続けるように設定して上記各二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4の充電を続けた。
【0093】
該二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4の容量確認のための放電は、30日ごとに1.0CmA(600mA)の定電流で1.0V/セルまで実施し、二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4の容量を測定した。放電が完了したら、上述した方法によって再び初期充電と、初期充電が全二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4において完了したら同様に上述した方法によって補充電を実施した。なお、放電は補充電が100%完了した後に実施した。
【0094】
該バックアップ電源は、25℃±1℃に維持された恒温槽内に設置し、上記充電、放電ともにこの状態で実施した。
【0095】
比較例1として、図1に示したバックアップ電源装置の代わりに、図6に示した電池パックを用意し、図6に示したバックアップ電源装置を用いて実験を行った。
【0096】
すなわち、比較例1では、本発明における充電方法を適用した実施例において用いたものと同じ単三型Ni/Cd電池(公称容量600mAh)を本発明における充電方法による実施例と同様に10セル直列に配置するが、充電制御用マイコンも充電用スイッチも用いず単に10セルを直列しただけで構成する電池パック5′−1,5′−2,5′−3,5′−4とし、これを4パック並列に配置して搭載した。
【0097】
電源部1は、本発明の実施例に用いたものと同じもので、該電源部1には本発明になる実施例で用いたものと同じ充電用電源2が内蔵されている。充電用電源2からは本発明における実施例と同様の配線4を用いて、直接各二次電池パック5′−1,5′−2,5′−3,5′−4に結線した。放電は、放電用スイッチ11と配線12によって全二次電池パック5′−1,5′−2,5′−3,5′−4から一括して行えるようにした。充電用電源2から供給される充電電流値は0.1CmA(60mA)であり、二次電池パック5′−1,5′−2,5′−3,5′−4を装着した後、この充電電流値を4二次電池パック5′−1,5′−2,5′−3,5′−4に同時に供給して充電を行った。
【0098】
該二次電池パック5′−1,5′−2,5′−3,5′−4の容量確認のための放電は、30日ごとに1.0CmA(600mA)の定電流で1.0V/セルまで実施し、二次電池パック5′−1,5′−2,5′−3,5′−4の容量を測定した。放電完了の後は再び上述した方法によって再充電を行った。
【0099】
該バックアップ電源は、25℃±1℃に維持された恒温槽内に設置し、上記充電、放電ともにこの状態で実施した。
【0100】
また、本発明における充電方法の効果を調べるために上記比較例1の他、別の比較として比較例2を実施した。
【0101】
比較例2として、図1に示したバックアップ電源装置の代わりに、図7に示したバックアップ電源装置を用いて実験を行った。
【0102】
すなわち、比較例2では、比較例1で用いたのと同じ単三型Ni/Cd電池(公称容量600mAh)を10セル直列に配置しただけで構成する二次電池パック5″−1,5″−2,5″−3,5″−4を4パック並列に配置して搭載した。
【0103】
電源部1は、本発明の実施例に用いたものと同じもので、該電源部1には本発明になる実施例で用いたものと同じ充電用電源2が内蔵されている。充電用電源2からは本発明における実施例と同様の配線4を用いて、各二次電池パック5″−1,5″−2,5″−3,5″−4に結線するが、途中充電用スイッチ9を設け、ディストリビュータ6によって各二次電池パック5″−1,5″−2,5″−3,5″−4に順次充電を行うようにした。放電は、放電用スイッチ11と配線12によって全電池パックから一括して行えるようにした。充電用電源から供給される充電電流値は0.1CmA(60mA)である。
【0104】
二次電池パック5″−1,5″−2,5″−3,5″−4を装着した後、各二次電池パック5″−1,5″−2,5″−3,5″−4を初期充電するため、ディストリビュータ6は、公称容量の120%(720mAh)分の充電時間、すなわち12時間ごとに充電用スイッチ9を切り替えて順次二次電池パック5″−1から二次電池パック5″−4まで充電を行った。
【0105】
5″−1,5″−2,5″−3,5″−4の4二次電池パック全ての初期充電が完了した後、ディストリビュータ6によって、10秒ごとに充電用スイッチ9を切り替え、順次二次電池パック5″−1から二次電池パック5″−4へと充電電流を供給し、二次電池パック5″−1,5″−2,5″−3,5″−4個々にピーク電流値0.1CmA、パルス幅10秒間、パルス間隔30秒間の電流パルスの補充電を繰り返すようにした。
【0106】
該二次電池パック5″−1,5″−2,5″−3,5″−4の容量確認のための放電は、30日ごとに1.0CmA(600mA)の定電流で1.0V/セルまで実施し、電池パックの容量を測定した。放電を完了したら上述した方法によって初期充電を実施し、初期充電完了の後は、上述した方法によって補充電を繰り返した。
【0107】
該バックアップ電源は、25℃±1℃に維持された恒温槽内に設置し、上記充電、放電ともにこの状態で実施した。
【0108】
結果を図8に示す。
【0109】
図8は、30日ごとに行った公称容量比で示した放電容量の変化を示した図である。
【0110】
図8において、81は本発明における充電方法に従った制御を行ったバックアップ電源搭載の試験二次電池パックの容量の変化を示す曲線であり、83は比較例1として従来の方法による充電を行った試験二次電池パックの容量変化を示す曲線であり、82は他の比較例2として、従来の方法による充電を行った試験二次電池パックの容量変化を示した曲線である。
【0111】
図8の結果から明らかなように、本発明における充電方法に従って充電を制御した二次電池パックの放電容量は、従来法によるトリクル充電を行った二次電池パックの放電容量に比べ、同一サイクルにおける容量が大きく、また、サイクルごとの容量低下が少なく、大きな容量と優れた寿命向上が期待できる。
【0112】
本発明の比較のため行った比較例1の場合は、各二次電池パック当たりに供給される充電電流値の値が小さく試験の初期から放電容量が小さく、かつ補充電量も不十分なため容量は顕著に低下した。
【0113】
また、本発明の比較のため別に実施した比較例2の場合は、初期充電は満足できるレベルに達し、最初の容量は大きいものの、定期的に行う補充電において起こる過充電が本発明で提案した充電方法より大きく、その後の容量低下の割合が大きくなった。
【0114】
[実施例2]
A型ニッケル水素電池(Ni/MH電池、公称容量2300mAh)について、該Ni/MH電池を10セル直列で2並列に配置し、図1に記載したように充電制御用マイコン8と充電制御用スイッチ9とを搭載してNi/MH電池パックを構成した。該電池パックを4パック用意し、それぞれ5−1,5−2,5−3,5−4とし、図1に示したように、ディストリビュータ6を配線7−1,7−2,7−3,7−4を介してそれぞれの電池パック5−1,5−2,5−3,5−4に連結し、各電池パック5−1,5−2,5−3,5−4には、電源部1内に搭載されている充電用電源2から配線4で連結し、放電は全電池パック5−1,5−2,5−3,5−4から一括して行えるよう放電用スイッチ11と配線12で負荷に連結するよう構成した装置6台を作製し、商用電源3に繋いでそれぞれバックアップ電源とした。
【0115】
該バックアップ電源6台における充電用電源2からは、それぞれ0.1CmA(230mA、0.05CmA/各電池パック内の並列数、以下同様)、0.174CmA(400mA、0.087CmA/並列)、0.2CmA(460mA、0.1CmA/並列)、0.4CmA(920mA、0.2CmA/並列)、0.7CmA(1610mA、0.35CmA/並列)、および0.8CmA(1840mA、0.4CmA/並列)の定充電電流が供給されるようにした。
【0116】
各バックアップ電源に搭載したディストリビュータ6からは、充電時間を5分間ずつ各電池パック5−1,5−2,5−3,5−4に順次充電出力信号を発出する。すなわち、電池パック5−1,5−2,5−3,5−4個々にはピーク電流値がそれぞれ上記に示した充電電流値で、パルス幅15分間、パルス間隔15分間のパルス充電がディストリビュータ6の制御によって実施され得るようにした。
【0117】
上記電池パック5−1,5−2,5−3,5−4を各バックアップ電源に装着した後、初期充電と、それに続く補充電とも上記充電条件によって実施された。
【0118】
電池パック5−1,5−2,5−3,5−4内に搭載した充電制御用マイコン8−1,8−2,8−3,8−4にはあらかじめ各温度で測定した電池特性のデータを入力してあり、室温における初期充電での満充電は公称容量の120%、すなわち充電容量2760mAhに設定し、補充電パルスを開始する下限容量C1は公称容量の80%(1840mAh)に設定し、補充電パルスを完了する上限容量C2は公称容量の100%(2300mAh)に設定し、該設定下限容量C1より大きい容量を各電池パック5−1,5−2,5−3,5−4が保持する間はディストリビュータ6の出力信号が発出されてもこれを充電制御用マイコン8−1,8−2,8−3,8−4が拒絶信号を発出してこれを受け入れず休止を続ける。該充電制御用マイコン8−1,8−2,8−3,8−4は、これらにあらかじめ入力されている自己放電データを参照して自己放電による蓄積容量の減少を演算し、蓄積容量が設定下限容量C1に到達したら充電受諾信号を発出して再び充電パルスを開始させる。該充電制御用マイコン8−1,8−2,8−3,8−4は充電パルスによる電池容量の増大を算出し、設定上限容量C2にこの電池容量が到達したら、今度は充電拒絶信号を発出して、ディストリビュータ6によって割り当てられた充電を拒絶し、休止を続けるように設定して上記各電池パック5−1,5−2,5−3,5−4の充電を続けた。
【0119】
該電池パック5−1,5−2,5−3,5−4の容量確認のための放電は、30日ごとに1.0CmA(2300mA)の定電流で1.0V/セルまで実施し、電池パック5−1,5−2,5−3,5−4の容量を測定した。放電は補充電が100%で完了した後に実施した。放電が完了したら、上述した方法によって再び初期充電と、初期充電が全電池パック5−1,5−2,5−3,5−4において完了したら同様に上述した方法によって補充電を実施した。
【0120】
該バックアップ電源は、45℃±1℃に維持された恒温槽内に設置し、上記充電、放電ともにこの状態で実施した。
【0121】
結果を図9に示す。
【0122】
図9は、公称容量に対する比で示した放電容量の変化を示した図である。
【0123】
図9において、91は充電電流が0.1CmA(230mA、0.05CmA/各電池パック内の並列数、以下同様)の場合、92は充電電流が0.174CmA(400mA、0.087CmA/並列)の場合、93は充電電流が0.2CmA(460mA、0.1CmA/並列)の場合、94は充電電流が0.4CmA(920mA、0.2CmA/並列)の場合、95は充電電流が0.7CmA(1610mA、0.35CmA/並列)の場合、そして96は充電電流が0.8CmA(1840mA、0.4CmA/並列)の場合の放電容量の変化を示した曲線である。
【0124】
図9から明らかなように、充電電流値が0.10CmA/並列以上、0.35CmA/並列以下、好ましくは0.2CmA/並列以上、0.35CmA/並列以下の場合、他の場合に比べて放電容量が大きく、かつ、容量の減衰も小さく優れたバックアップ電源を提供できることがわかった。
【0125】
[実施例3]
A型Ni/MH電池(公称容量2300mAh)について、該Ni/MH電池を10セル直列で2並列に配置した実施例2と同様のNi/MH電池パックを構成した。該電池パックを4パック用意し、実施例2と同様に、電源部1、充電用電源2、放電用スイッチ11を配置し、配線した装置6台を作製し、商用電源3に繋いでそれぞれバックアップ電源とした。
【0126】
該バックアップ電源6台における充電用電源2からは、それぞれ0.2CmA(460mA、0.10CmA/各電池パック内の並列)の定充電電流が供給されるようにした。
【0127】
各バックアップ電源に搭載したディストリビュータ6からは、充電を一定時間ずつ各電池パック5−1,5−2,5−3,5−4に順次充電出力信号を発出し、電池パック5−1,5−2,5−3,5−4個々にはピーク電流値が0.2CmA(0.10CmA/並列)で、一定時間のパルス幅、パルス間隔がパルス幅の3倍となるパルス充電がディストリビュータ6の制御によって実施され得るようにした。各バックアップ電源のディストリビュータ6によって各電池パック5−1,5−2,5−3,5−4に割り当てられる充電時間を、それぞれ、0.5秒、1秒、1分、5分、10分、12分に設定した。
【0128】
上記電池パック5−1,5−2,5−3,5−4を各バックアップ電源に装着した後、初期充電と、それに続く補充電とも上記充電条件によって実施された。初期充電の満充電、補充電の下限容量C1、上限容量C2とも実施例2で採用したのと同じ条件で充電を実施し、かつ、30日ごとの放電についても実施例2と同様にして行った。
【0129】
6台のバックアップ電源は、45℃±1℃に維持された恒温槽内に設置し、上記充電、放電ともにこの状態で実施した。
【0130】
結果を図10に示す。
【0131】
図10は、公称容量に対する比で示した放電容量の変化を示した図である。
【0132】
図10において、101は各バックアップ電源において第1回目の放電を実施したときの放電容量を示した曲線であり、102は第5回目の放電容量を示した曲線であり、103は第10回目の放電容量を示した曲線である。
【0133】
図10から明らかなように、ディストリビュータ6から各二次電池パックに供給される充電時間は1秒以上、10分以内、好ましくは5分以上、10分以内の場合は、他の場合に比べて放電容量が大きく、かつ放電回数による容量の減少も小さいことがわかった。
【0134】
[実施例4]
A型Ni/MH電池(公称容量2300mAh)について、該Ni/MH電池を10セル直列で2並列に配置した実施例2と同様のNi/MH電池パックを構成した。該電池パックを4パック用意し、実施例2と同様に、電源部1、充電用電源2、放電用スイッチ11を配置し、配線した装置5台を作製し、商用電源3に繋いでそれぞれバックアップ電源とした。
【0135】
該バックアップ電源5台における充電用電源2からは、それぞれ0.2CmA(460mA、0.10CmA/各電池パック内の並列)の定充電電流が供給されるようにした。
【0136】
各バックアップ電源に搭載したディストリビュータ6からは、充電を1分ずつ各電池パック5−1,5−2,5−3,5−4に順次充電出力信号を発出し、電池パック5−1,5−2,5−3,5−4個々にはピーク電流値が0.2CmA(0.10CmA/並列)で、パルス幅1分、パルス間隔がパルス幅の3倍となる3分のパルス充電がディストリビュータ6の制御によって実施され得るようにした。
【0137】
上記電池パック5−1,5−2,5−3,5−4を各バックアップ電源に装着した後、初期充電とそれに続く補充電を上記充電条件によって実施した。
【0138】
初期充電の満充電をそれぞれ公称容量の90%(2070mAh)、100%(2300mAh)、130%(2990mAh)、160%(3680mAh)、170%(3910mAh)となるようそれぞれバックアップ電源の電池パック内充電制御用マイコン8−1,8−2,8−3,8−4に設定した他は、補充電の下限容量C1、上限容量C2とも実施例2で採用したのと同じ条件で充電を実施し、かつ、30日ごとの放電についても実施例2と同様にして行った。
【0139】
5台のバックアップ電源は、45℃±1℃に維持された恒温槽内に設置し、上記充電、放電ともにこの状態で実施した。
【0140】
結果を図11に示す。
【0141】
図11は、公称容量に対する比で示した放電容量の変化を示した図である。
【0142】
図11において、111は各バックアップ電源において第1回目の放電を実施したときの放電容量を示した曲線であり、112は第5回目の放電容量を示した曲線であり、113は第10回目の放電容量を示した曲線である。
【0143】
図11から明らかなように、各二次電池パックに充電される初期充電の満充電量が公称容量の100%以上160%以下、好ましくは130%以上160%以下の場合、その他の場合に比べて放電容量の値が大きく、かつ放電回数を重ねても容量低下の割合は小さいことがわかった。
【0144】
[実施例5]
A型Ni/MH電池(公称容量2300mAh)について、該Ni/MH電池を10セル直列で2並列に配置した実施例2と同様のNi/MH電池パックを構成した。該電池パックを4パック用意し、実施例2と同様に、電源部1、充電用電源2、放電用スイッチ11を配置し、配線した装置6台を作製し、商用電源3に繋いでそれぞれバックアップ電源とした。
【0145】
該バックアップ電源6台における充電用電源2からは、それぞれ0.2CmA(460mA、0.10CmA/各電池パック内の並列)の定充電電流が供給されるようにした。
【0146】
各バックアップ電源に搭載したディストリビュータ6からは、充電を1分ずつ各電池パック5−1,5−2,5−3,5−4に順次充電出力信号を発出し、電池パック5−1,5−2,5−3,5−4個々にはピーク電流値が0.2CmA(0.10CmA/並列)で、パルス幅1分、パルス間隔がパルス幅の3倍となる3分のパルス充電がディストリビュータ6の制御によって実施され得るようにした。
【0147】
上記電池パック5−1,5−2,5−3,5−4を各バックアップ電源に装着した後、初期充電とそれに続く補充電を上記充電条件によって実施した。
【0148】
初期充電の満充電を公称容量の120%(2760mAh)となるようそれぞれのバックアップ電源の電池パック内充電制御用マイコン8−1,8−2,8−3,8−4に設定した。
【0149】
また、初期充電に続く補充電の下限容量C1、上限容量C2を表1に示す値に設定した。
【0150】
【表1】
【0151】
実施例2と同様に初期充電と、上記のように設定した補充電の下限容量C1、上限容量C2について実施例2で採用したのと同じ条件で補充電を実施し、かつ、30日ごとの放電についても実施例2と同様にして行った。
【0152】
6台のバックアップ電源は、30℃±1℃に維持された恒温槽内に設置し、上記充電、放電ともにこの状態で実施した。
【0153】
結果を表1に示す。
【0154】
表1には、公称容量に対する比で示した放電容量の値を示した。
【0155】
表1から明らかなように、各二次電池パックに対する補充電の下限設定容量C1が公称容量に対して60%以上90%以下のとき、放電容量が大きく、かつ、放電回数が経過してもその低下は小さかった。その傾向は、特に70%以上85%以下で優れていることがわかる。
【0156】
[実施例6]
A型Ni/MH電池(公称容量2300mAh)について、該Ni/MH電池を10セル直列で3並列に配置した図5に示す構造のNi/MH電池パックを作製した。該電池パックを2パック用意し、実施例2と同様に、電源部1、充電用電源2、放電用スイッチ11を配置し、配線した装置5台を作製し、商用電源3に繋いでそれぞれバックアップ電源とした。
【0157】
上記4電池パックを各バックアップ電源に装着した後、ディストリビュータ6から、表2に示した値の定電流を1分ずつ各電池パックごとに交互に出力信号を発出して電池パックに供給するようにし、電池パック内のそれぞれの充電制御用マイコンは充電制御用スイッチ19をすべて閉じて1並列当たり表2の電流が1分、休止1分の条件で公称容量の120%(2760mAh)となるよう初期充電を行った。
【0158】
【表2】
【0159】
初期充電完了の後の補充電については、各充電用電源から表2に示した値の電流値を供給し、ディストリビュータ6の出力信号の発出のパターンと、電池パック個々には充電制御用マイコン8によって、充電電流をスイッチ19によって、表2に示すような充電条件となるよう、スイッチ19を全部閉じて3並列を同時に充電するか、あるいは一部のみ閉じて各並列を順次充電し、かつ、ある時間間隔で充電されるよう適宜受諾信号と拒絶信号を発してこれを制御した。補充電の下限容量は公称容量の80%(1840mAh)、上限容量は100%(2300mAh)に設定した。
【0160】
容量は30日ごとに実施例2と同様にして放電を行い、確認した放電終了後は、初期充電からこれを繰り返し再充電を行った。バックアップ電源は、30℃±1℃に維持された恒温槽内に設置し、上記充電、放電ともこの状態で実施した。
【0161】
結果を表2に併せて示す。表2に示した放電容量は公称容量に対する比で示している。
【0162】
表2から明らかなように、本発明になる充電方法において、充電パルスの平均電流値が0.033CmA以上0.15CmA以下、好ましくは0.05CmA以上0.15CmA以下の場合、これ以外の場合に比べて放電容量が大きく、かつ放電回数を重ねてもその減少量は小さく、優れたバックアップ電源を提供できることが明らかになった。
【0163】
[実施例7]
単三型トリクルNi/Cd電池(公称容量600mAh)について、該Ni/Cd電池を15セル直列に配置し、充電制御用マイコン、充電用スイッチを搭載したNi/Cd電池パックを作製した。該電池パックを4パック用意し、実施例1と同様に、電源部1、充電用電源2、放電用スイッチ11を配置し、配線した装置を作製し、商用電源3に繋いでバックアップ電源とした。
【0164】
該バックアップ電源における充電用電源2からは、0.2CmA(120mA)の定充電電流が供給されるようにした。
【0165】
初期充電は、ディストリビュータ6から、各電池パック5−1,5−2,5−3,5−4に1時間ずつ充電電流を供給するように設定し、各電池パック5−1,5−2,5−3,5−4当たり充電時間の総計が16時間で満充電とした。
【0166】
補充電については、ディストリビュータ6からの充電の出力信号を各電池パック当たり1秒間とし、各電池パック5−1,5−2,5−3,5−4内の充電制御用マイコン8−1,8−2,8−3,8−4は、以下の制御を行うよう作製した。
【0167】
すなわち、充電受諾信号として、該ディストリビュータ6よりの出力信号を60回受け入れる毎に、拒絶信号を2分間発出し、充電パルス60回の後の休止時間R1となるようにした。また、再充電開始のための下限電圧V1を18.75V(1.25V/セル)、補充電終了の判断となる上限電圧V2を20.25V(1.35V/セル)にそれぞれ設定し、15直列セルの電圧が該下限電圧1.25V/セルに達するまでは拒絶信号を発出してディストリビュータ6からの出力信号を拒絶し、該下限電圧に達すると受諾信号を発出して充電電流を受け入れるよう制御し、これを設定上限電圧1.35V/セルに達するか上回るまで同様の信号を発出し続けるようにした。
【0168】
これによって、補充電は充電パルスのピーク電流0.2CmA、パルス幅1秒間、パルス間隔3秒間、充電パルス後の休止時間R1が2分間となり、このパルス充電/休止の比が2/1となる補充電サイクル(平均充電電流値は0.033mA)を繰り返し、該補充電サイクルは1.25V/セルの電圧から開始し、1.35V/セルに到達すると該サイクルを停止し、再び電池パックの電圧が1.25V/セルへと低下するまで放置し、この補充電サイクルと放置とを繰り返して実施された。
【0169】
このようにして初期充電、補充電を行った該バックアップ電源内の電池パックについて、30日ごとに、電流値1.0CmAで1.1V/セルまで定電流放電を行い容量確認を実施した。
【0170】
該バックアップ電源は55℃±1℃の恒温槽内に設置し、充電、放電ともこの環境下で実施した。
【0171】
比較例3として、図1に示した本発明になる充電方法を具現化したバックアップ電源装置の代わりに、実施例1に記載した比較例1に用いた、図6に示す電池パックとバックアップ電源装置を用いて本発明の効果の比較に用いた。
【0172】
すなわち、比較例3では、本発明における充電方法を適用した実施例に用いた同じ単三型トリクルNi/Cd電池(公称容量600mAh)を同様に15セル直列に配置するが、充電制御用マイコンも充電用スイッチも用いず単に15セルを直列しただけで構成する電池パック5′−1,5′−2,5′−3,5′−4とし、これを4パック並列に配置して搭載した。
【0173】
電源部1には本発明になる実施例で用いたものと同じ充電用電源2が内蔵され、該電源2からは本発明における実施例と同様の配線4を用いて、直接各電池パック5′−1,5′−2,5′−3,5′−4に結線した。
【0174】
充電用電源2から供給される充電電流値は、該電池パック5′−1,5′−2,5′−3,5′−4を装着した直後の初期充電には0.8CmA(480mA)を4電池パックに同時に15時間供給し、各電池パック5′−1,5′−2,5′−3,5′−4には0.2CmAで実施例と相当の満充電になるようにした(16時間より1時間短いのは、実施例が各電池パックに1時間毎に充電するために、3時間の待機中に起こる自己放電による容量低下を考慮したため。)。
【0175】
初期充電完了の後、補充電はトリクル充電とし、実施例における平均電流値0.033CmAと同一の電流値となるよう、充電用電源から0.132CmA(79.2mA)の電流値を電池パック5′−1,5′−2,5′−3,5′−4に同時に供給した。
【0176】
該電池パック5′−1,5′−2,5′−3,5′−4は、30日ごとに1.0CmA(600mA)の定電流で1.0V/セルまで放電し、電池パック5′−1,5′−2,5′−3,5′−4の容量を測定した。
【0177】
該バックアップ電源は、実施例と同じ55℃±1℃に維持された恒温槽内に設置し、上記充電、放電ともにこの状態で実施した。
【0178】
結果を図12に示す。
【0179】
図12は、公称容量に対する値で示した放電容量の変化を示した図である。
【0180】
図12において、121は本発明になる充電方法によって充電を実施された電池パックの容量変化を示す曲線であり、122は比較として実施した比較例3による充電を実施した電池パックの容量変化を示した曲線である。
【0181】
図12から明らかなように、本発明になる充電方法では、大きな放電容量を示し、かつ放電回数による容量の減少も小さくなることがわかった。
【0182】
[実施例8]
単三型トリクルNi/Cd電池(公称容量600mAh)15セル直列の電池パック4個並列に搭載した、本発明の充電方法による図1記載の構造になるバックアップ電源4台を作製した。
【0183】
初期充電については、電源部1内の充電用電源2からは0.2CmA(120mA)の充電電流が供給され、該二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4を装置に搭載した後、ディストリビュータ6により、各電池パック5−1,5−2,5−3,5−4に1秒間ずつ順次充電電流を供給するよう制御し、公称容量当たり120%(720mAh)分の充電を行って満充電とした。
【0184】
初期充電を上記の通り完了した後、補充電における再補充電開始の下限電圧V1を18.75V(1.25V/セル)に、補充電終了の上限電圧V2を20.25V(1.35V/セル)にそれぞれ設定し、15直列セルの電圧が該下限電圧1.25V/セルに達するまでは拒絶信号を発出してディストリビュータ6からの出力信号を拒絶し、該下限電圧に達すると受諾信号を発出して充電電流を受け入れるよう制御し、これを設定上限電圧1.35V/セルに達するか上回るまで同様の信号を発出し続けるようにした。
【0185】
ディストリビュータ6からの充電の出力信号を各電池パック当たり1秒間とし、各電池パック5−1,5−2,5−3,5−4内の充電制御用マイコン8−1,8−2,8−3,8−4は、以下の制御を行うよう作製した。
【0186】
すなわち、充電受諾信号として、該ディストリビュータ6よりの出力信号を60回受け入れる毎に、拒絶信号を2分間発出し、充電パルス60回の後の休止時間R1となるようにし、各電池パック5−1,5−2,5−3,5−4にはパルス幅1秒、パルス間隔3秒、パルス充電時間(パルスON,OFF総計の時間)4分間、休止時間2分間、パルス充電時間と休止時間との比が2/1となる補充電サイクルを繰り返すようにした。
【0187】
各電源装置の充電用電源2から供給される補充電の定電流値は、それぞれ、0.05CmA、0.1CmA、0.35CmA、0.40CmAに設定した。
【0188】
電池パック5−1,5−2,5−3,5−4の容量は30日ごとに、補充電サイクルが上限設定値V2に到達した直後に1.0CmA(600mA)の定電流で1.1V/セルまで放電して確認を行った。放電終了の後は、再び上述した初期充電を行い、初期充電を完了した後には上述した条件で補充電サイクルを繰り返した。
【0189】
各バックアップ電源装置は55℃±1℃に設定された恒温槽に設置し、充電、放電ともこの状態で実施した。
【0190】
結果を図13に示す。
【0191】
図13は、異なる充電電流値での補充電サイクルを行った各装置の搭載電池パックのサイクルに伴う容量変化を示した図である。
【0192】
図13において、131は、供給電流値を0.05CmAに、132は0.1CmAに、133は0.35CmAに、134はピーク電流値を0.40CmAに、それぞれ設定した場合の放電容量の変化を示した曲線である。
【0193】
図13から、ピーク電流値を0.1CmA以上0.35CmA以下に設定した場合、他の条件の場合と比較すると放電容量が大きく、かつ放電回数に伴う容量減少が小さく優れた特性を示すことが明らかとなった。
【0194】
[実施例9]
単三型トリクルNi/Cd電池(公称容量600mAh)15セル直列、3並列の電池パック2個を図1の配置になるよう搭載した、実施例8と同様の構造になるバックアップ電源5台を作製した。
【0195】
初期充電については、充電用電源から0.3CmA(180mA)の定電流が供給され、これをディストリビュータ6によって、各電池パックに1秒間ずつ交互に供給され、各電池パック内の3並列には同時に0.1CmA/並列の電流値が1秒、休止1秒で供給されて公称容量当たり120%(720mAh)分の充電を行うよう制御して満充電とした。
【0196】
初期充電を上記の通り完了した後、実施例8において実施したように、補充電における再補充電開始の下限電圧V1を18.75V(1.25V/セル)に、補充電終了の上限電圧V2を20.25V(1.35V/セル)にそれぞれ設定し、15直列セルの電圧が該下限電圧1.25V/セルに達するまでは拒絶信号を発出してディストリビュータからの出力信号を拒絶し、該下限電圧に達すると受諾信号を発出して充電電流を受け入れるよう制御し、これを設定上限電圧1.35V/セルに達するか上回るまで同様の信号を発出し続けるようにした。
【0197】
補充電では、ディストリビュータ6からの充電の出力信号を各電池パック当たり1秒間とし、各電池パック5−1,5−2内の充電制御用マイコン8−1,8−2は、以下の制御を行うよう作製した。
【0198】
すなわち、パルス充電を該ディストリビュータ6よりの出力信号60回分(2分間)の時間とし、この信号60回毎に、拒絶信号を2分間発出し、充電パルス60回分の後の休止時間R1としパルス充電時間と休止時間との時間比率が1/1となる補充電サイクルを繰り返すようにした。
【0199】
パルス充電では、充電用電源2から供給される補充電の電流値と、パルス充電の平均充電電流値をコントロールするため、パルス充電中の電池パック内充電制御用マイコン8−1,8−2から発出される充電受諾/拒絶信号の頻度を変え調節したパルス間隔とを表3に示すように設定し実施した。
【0200】
【表3】
【0201】
電池パックの容量は30日ごとに、補充電サイクルが上限設定値V2に到達した直後に1.0CmA(600mA)の定電流で1.1V/セルまで放電して確認を行った。放電終了の後は、再び上述した初期充電を行い、初期充電を完了した後には上述した条件で補充電サイクルを繰り返した。
【0202】
各バックアップ電源装置は55℃±1℃に設定された恒温槽に設置し、充電、放電ともこの状態で実施した。
【0203】
結果を表3に示す。
【0204】
表3には、異なる充電電流値での補充電サイクルを行った各装置の搭載電池パックのサイクルに伴う容量変化を示した。
【0205】
表3から、補充電におけるパルス充電の平均電流値が0.033CmA/並列以上0.15CmA/並列以下、好ましくは0.033CmA/並列以上0.05CmA/並列以下に設定した場合、他の条件の場合と比較すると放電容量が大きく、かつ放電回数に伴う容量減少が小さく優れた特性を示すことが明らかとなった。
【0206】
[実施例10]
単三型トリクルNi/Cd電池(公称容量600mAh)15セル直列1並列の電池パック4個並列に搭載した、実施例8と同様の構造になるバックアップ電源4台を作製した。
【0207】
初期充電については、実施例8と同様に、電源部1内の充電用電源2からは0.2CmA(120mA)の充電電流が供給され、該二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4を装置に搭載した後、ディストリビュータ6により、各電池パック5−1,5−2,5−3,5−4に1秒間ずつ順次充電電流を供給するよう制御し、公称容量当たり120%(720mAh)分の充電を行って満充電とした。
【0208】
初期充電を上記の通り完了した後、補充電における再補充電開始の下限電圧V1を18.75V(1.25V/セル)に、補充電終了の上限電圧V2を20.25V(1.35V/セル)にそれぞれ設定し、15直列セルの電圧が該下限電圧1.25V/セルに達するまでは拒絶信号を発出してディストリビュータ6からの出力信号を拒絶し、該下限電圧に達すると受諾信号を発出して充電電流を受け入れるよう制御し、これを設定上限電圧1.35V/セルに達するか上回るまで同様の信号を発出し続けるようにした。
【0209】
補充電は充電用電源2から0.2CmA(120mA)の定電流を供給し、ディストリビュータ6からの充電の出力信号を各電池パック5−1,5−2,5−3,5−4当たり1秒間とし、各電池パック5−1,5−2,5−3,5−4内の充電制御用マイコン8−1,8−2,8−3,8−4は、以下の制御を行うよう作製した。
【0210】
すなわち、充電受諾信号として、該ディストリビュータ6よりの出力信号を一定回数m回受け入れる毎に、拒絶信号を2分間発出し、充電パルス一定回数の後の休止時間R1となるようにし、パルス充電時間と休止時間との時間比率を調整した。すなわち、各電池パック5−1,5−2,5−3,5−4にはパルス幅1秒、パルス間隔3秒、パルス充電平均電流が0.05CmA、パルス充電時間(パルスON,OFF総計の時間)4m/60分間、休止時間2分間、パルス充電時間と休止時間との比がm/30となる補充電サイクルを繰り返すようにした。
【0211】
電池パック5−1,5−2,5−3,5−4の容量は30日ごとに、補充電サイクルが上限設定値V2に到達した直後に1.0CmA(600mA)の定電流で1.1V/セルまで放電して確認を行った。放電終了の後は、再び上述した初期充電、補充電を行ってこれを繰り返した。
【0212】
各バックアップ電源装置は55℃±1℃に設定された恒温槽に設置し、充電、放電ともこの状態で実施した。
【0213】
結果を図14に示す。
【0214】
図14は、異なる(パルス充電時間)/(休止時間)比率での補充電サイクルを行った各装置の搭載電池パックの放電5回目の容量を示した図である。
【0215】
図14から、(パルス充電時間)/(休止時間)比率を1倍以上、すなわち休止時間R1=2分間がパルス充電時間4m/60分間と同じか、それより小さく設定すると良好な容量維持が達成されることがわかった。
【0216】
[実施例11]
単三型トリクルNi/Cd電池(公称容量600mAh)15セル直列1並列の電池パック4個並列に搭載した、図1に示す、実施例8と同様の構造になるバックアップ電源4台を作製した。
【0217】
初期充電については、実施例8と同様に、電源部1内の充電用電源2からは0.2CmA(120mA)の充電電流が供給され、該二次電池パック5−1,5−2,5−3,5−4を装置に搭載した後、ディストリビュータ6により、各電池パック5−1,5−2,5−3,5−4に1秒間ずつ順次充電電流を供給するよう制御し、公称容量当たり120%(720mAh)分の充電を行って満充電とした。
【0218】
補充電は、充電用電源2から定電流0.2CmA(120mA)を供給し、ディストリビュータ6によって、各電池パック5−1,5−2,5−3,5−4に1秒ずつ、順次充電するよう電池パック5−1,5−2,5−3,5−4内の充電制御用マイコン8−1,8−2,8−3,8−4から受諾信号を発し、該1秒間/パックの充電パルスが60回終了すると、充電制御用マイコン8−1,8−2,8−3,8−4からは一転して拒絶信号を発して休止を開始し、該休止を2分間継続するようにして、ピーク電流0.2CmA、パルス幅1秒、パルス間隔3秒を示す平均充電電流値が0.05CmAとなるパルス充電を4分と休止2分の補充電サイクルを繰り返して実施した。
【0219】
上記補充電サイクルの開始を行う下限電圧V1を、それぞれ1.20V/セル、1.25V/セル、1.30V/セル、および1.32V/セルに設定し、該補充電サイクルを終了して放置を始める上限電圧V2を1.3V/セルに設定した。上記補充電サイクルは、満充電から放置を行い、設定下限電圧V1に達したら補充電サイクルを開始し、電圧が設定上限電圧V2に達するかこれより高くなったら補充電サイクルを終了し再び放置に入り、これら補充電サイクルと放置とを繰り返して電池電圧を維持した。
【0220】
電池パック容量の確認は30日ごとに、該補充電サイクルが設定上下電圧範囲内の任意の電圧にある状態で、1.0CmA(600mA)の定電流で電池電圧が1.1V/セルに達するまで放電して行った。放電が終了すると再び初期充電を行い、初期充電が完了すると、補充電サイクルと放置を繰り返した。
【0221】
各バックアップ電源装置は45℃±1℃に設定された恒温槽に設置し、充電、放電ともこの状態で実施した。
【0222】
結果を図15に示す。
【0223】
図15は、異なる下限電圧V1での補充電サイクルを行った各装置の搭載電池パックの放電容量の変化を示した図であり、151はV1が1.20V/セル、152はV1が1.25V/セル、153は1.30V/セル、そして154はV1が1.32V/セルに設定された各装置搭載の電池パックの容量変化を示した曲線である。
【0224】
図15から、再充電開始の下限電圧V1を1.25V/セル以上1.3V/セル以下に設定した場合、これを1.25V/セルより低くしたり、あるいは1.3V/セルより高い値にした場合と比較すると容量減少も小さく優れた特性を示すことが明らかとなった。1.25V/セルより低い値に設定すると、放電開始電圧が極端に低い電圧となり、容量が小さい場合がしばしば生じ、1.3V/セルより高い値の場合には、0.5Vより小さい電圧範囲で頻繁に充電、休止(自己放電)が繰り返されることになり、メモリー効果と見られる電圧低下が起こり容量低下が大きくなっている。
【0225】
[実施例12]
実施例11に使用したのと同様の、単三型トリクルNi/Cd電池(公称容量600mAh)15セル直列1並列の電池パック4個並列に搭載したバックアップ電源4台を作製した。
【0226】
初期充電については、実施例11と同様の方法、条件で公称容量当たり120%(720mAh)分の充電を行って満充電とした。
【0227】
補充電は充電用電源2から定電流0.2CmA(120mA)を供給し、ディストリビュータ6によって、各電池パック5−1,5−2,5−3,5−4に1秒ずつ、順次充電するよう電池パック5−1,5−2,5−3,5−4内の充電制御用マイコン8−1,8−2,8−3,8−4から受諾信号を発し、該1秒間/パックの充電パルスが60回終了すると、充電制御用マイコン8−1,8−2,8−3,8−4からは一転して拒絶信号を発して休止を開始し、該休止を2分間継続するようにして、ピーク電流0.2CmA、パルス幅1秒、パルス間隔3秒を示す平均充電電流値が0.05CmAとなるパルス充電を4分と休止2分の補充電サイクルを繰り返して実施した。
【0228】
上記補充電サイクルの開始を行う下限電圧V1を、1.25V/セルに設定し、該補充電サイクルを終了して放置を始める上限電圧V2をそれぞれ、1.28V/セル、1.3V/セル、1.35V/セル、および1.40V/セルに設定した。上記補充電サイクルは、満充電から放置を行い、設定下限電圧V1に達したら補充電サイクルを開始し、電圧が設定上限電圧V2に達するかこれより高くなったら補充電サイクルを終了し再び放置に入り、これら補充電サイクルと放置とを繰り返して電池電圧を維持した。
【0229】
電池パック容量の確認は30日ごとに、実施例11と同様にして行った。放電が終了すると再び初期充電を行い、初期充電が完了すると、補充電サイクルと放置を繰り返した。
【0230】
各バックアップ電源装置は45℃±1℃に設定された恒温槽に設置し、充電、放電ともこの状態で実施した。
【0231】
結果を図16に示す。
【0232】
図16は、再充電終了判断となる上限電圧V2を異なる値に設定した充電制御回路に接続した各試験電池のサイクルに伴う容量変化を示した図である。
【0233】
図16において、161は該電圧V2を1.28V/セルに、162はV2を1.3V/セルに、163はV2を1.35V/セルに、164はV2を1.40V/セルに設定した電源の電池容量変化を示した曲線である。
【0234】
図16から、再充電終了の判断となる電圧V2を1.3V以上1.35V以下に設定した場合、これを1.3Vより低くしたり、あるいは1.35Vより高い値にした場合と比較すると容量減少も小さく優れた特性を示すことが明らかとなった。
【0235】
以上のように本発明は、商用電源の停止時に動作することを目的とするバックアップ電源装置に搭載されるn並列(n>2、nは整数)で構成される複数個のアルカリ水溶液二次電池、または二次電池パックについて、該搭載二次電池、あるいは二次電池パックの全数を一度に充電できる十分な電流値が供給されない条件下においても、電源部と二次電池(パック)との間に充電をコントロールするディストリビュータを配置して、一並列、または可能な並列数を順次一定時間充電機会を振り分け、これによって、各並列ごとの充電状態にほとんど差を生じさせず、かつ、一定時間の電流供給を利用した間欠的なパルス充電を実施可能な二次電池(パック)の充電方法を提供するものである。
【0236】
本発明におけるバックアップ用二次電池の充電方法は、限定された充電電流値でも搭載電池ごとの充電状態に劣化や故障・事故を誘発させうるような深刻なアンバランスを生じさせることなく、かつ、充電に放置期間を挟むことにより充電に伴う副反応や過電圧の電気化学劣化を抑制することができ、過充電に晒される期間を根絶し、常時使用に必要な容量を確保できる。さらに、該ディストリビュータから割り当てられる充電期間を利用したパルスで充電することによって、充電不足も解消できうるという大きな利点がある。
【0237】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、供給可能な充電電流が限定され、大きな負荷へのバックアップ容量が求められるバックアップ電源に搭載するバックアップ用二次電池を充電し、容量を維持しておく場合、環境温度の影響を最小限におさえ、電池劣化を少なくして効果的に充電することができ、バックアップ用二次電池の使用においてきわめて大きな貢献を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるバックアップ電源の一例を示した構成ブロック概念図である。
【図2】本発明の第1の補充電方法の一概念を示した波形図である。
【図3】本発明の第2の補充電方法の一概念を示した波形図である。
【図4】本発明の充電方法を具体化した電池パック充電制御回路の一概念を示すブロック構成図である。
【図5】本発明の充電方法を具体化した電池パック充電制御回路の別の一概念を示すブロック構成図である。
【図6】本発明の実施例1における比較例1の従来の充電方法を具体化した電池パック充電制御回路を示すブロック構成図である。
【図7】本発明の実施例1における比較例2の従来の充電方法を具体化した電池パック充電制御回路を示すブロック構成図である。
【図8】本発明の実施例1における試験結果を示した特性図である。
【図9】本発明の実施例2における試験結果を示した特性図である。
【図10】本発明の実施例3における試験結果を示した特性図である。
【図11】本発明の実施例4における試験結果を示した特性図である。
【図12】本発明の実施例7における試験結果を示した特性図である。
【図13】本発明の実施例8における試験結果を示した特性図である。
【図14】本発明の実施例10における試験結果を示した特性図である。
【図15】本発明の実施例11における試験結果を示した特性図である。
【図16】本発明の実施例12における試験結果を示した特性図である。
【符号の説明】
1 電源部
2 充電用電源
3 商用電源
4 充電用電源から電池パックへの電力供給配線
5,5−1,5−2,5−3,5−4 バックアップ用二次電池パック
6 ディストリビュータ
7−1,7−2,7−3,7−4 ディストリビュータから電池パックへの信号配線
8,8−1,8−2,8−3,8−4 充電制御用マイコン
9−1,9−2,9−3,9−4 充電用スイッチ
10,10−1,10−2,10−3,10−4 バックアップ用二次電池
11 放電用スイッチ
12 放電電力の供給配線
13 電池パック内制御回路
14 充電端子
15 出力信号端子
16 放電端子
17 サーミスタ
18 異常出力検出端子
19 充電制御用スイッチ
Claims (7)
- バックアップ電源装置に搭載された、並列に接続された複数個のバックアップ用二次電池パックの充電方法において、
バックアップ電源装置に接続された充電用電源によって上記二次電池パックを初期充電した後、
上記充電用電源に接続されたディストリビュータが、上記二次電池パックに所望の充電電気量をパルス状に順次分配してパルス充電を行い、
上記二次電池パック内に搭載されたマイコンが上記ディストリビュータによって分配された電流を受諾もしくは拒絶することを判断して補充電を行い、
補充電は、
二次電池パックの電圧が自己放電によってマイコンに設定した下限電圧V1に到達すると、ディストリビュータから発出された出力信号を受け、
マイコンが充電電流受諾信号を発してパルス充電が開始され、
充電電流パルスを一定回数繰り返した後所定時間R1の休止することを1サイクルとした補充電サイクルを繰り返し、
二次電池パックの電圧がマイコン設定の上限電圧V2に到達すると、マイコンから充電電流拒絶信号を発出して二次電池パックの充電を休止して自己放電するように行われることを特徴とするバックアップ用二次電池パックの充電方法。 - 補充電の充電電気量は1並列あたり0.1CmA以上0.35CmA以下であることを特徴とする請求項1記載のバックアップ用二次電池パックの充電方法。
- 補充電の充電電気量は、パルス充電にかかわる総時間に対する平均充電電流値が1並列あたり0.033CmA以上0.15CmA以下とすることを特徴とする請求項1記載のバックアップ用二次電池パックの充電方法。
- 下限電圧V1は1.25V/セル以上1.3V/セル以下であることを特徴とする請求項1記載のバックアップ用二次電池パックの充電方法。
- 上限電圧V2は1.3V/セル以上1.35V/セル以下であることを特徴とする請求項1記載のバックアップ用二次電池パックの充電方法。
- 下限電圧V1と上限電圧V2の差は1.5V/セル以上であることを特徴とする請求項1記載のバックアップ用二次電池パックの充電方法。
- 休止時間R1は、前記休止時間R1の直前のパルス充電時間以下であることを特徴とする請求項1記載のバックアップ用二次電池パックの充電方法。
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