JP3545399B2 - ヌクレオチド配列の不活性化方法およびそれに使用するための金属キレート - Google Patents

ヌクレオチド配列の不活性化方法およびそれに使用するための金属キレート Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、ヌクレオチド配列の不活性化に関し、特に、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびリガーゼ連鎖反応(LCR)の核酸生成物の不活性化およびバイオ生成物またはバイオプロセスにおける汚染核酸配列の不活性化に関する。
背 景
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびリガーゼ連鎖反応(LCR)は、核酸またはその混合物に含まれる所望の核酸配列(標的)を増幅するための方法である。PCRでは、一対のプライマーを過剰に使用して標的核酸の相補鎖の外側末端でハイブリッド形成を行う。プライマーは各々、標的核酸を鋳型として使用するポリメラーゼにより伸長される。伸長産物は、最初の標的鎖から解離すると、それ自体が標的配列となる。次いで、新しいプライマーのハイブリッド形成およびポリメラーゼによる伸長が行われ、そのサイクルが繰り返されて、標的配列分子数が幾何学的に増加する。PCRは、米国特許第4,683,195号および第4,683,202号に開示されている。
LCRは、標的を増幅するための別のメカニズムである。LCRでは、2個のセンス(第一および第二)プローブおよび2個のアンチセンス(第三および第四)プローブを標的に対して過剰に使用する。第一プローブが標的鎖の第一セグメントにハイブリッド形成し、第二プローブが標的鎖の第二セグメントにハイブリッド形成し、第一およひ第二セグメントは、一次プローブが結合して融合産物になることができるように配置されている。さらに、同様の結合可能な方法で、第三(二次)プローブは、第一プローブの一部にハイブリッド形成可能であり、第四(二次)プローブは、第二プローブの一部にハイブリッド形成可能である。標的が最初、二重鎖である場合は、二次プローブも第一段階で標的相補鎖にハイブリッド形成する。センスおよびアンチセンスプローブの融合鎖が標的鎖から分離されると、結合して相補的な二次融合産物を形成することができる第三および第四プローブとハイブリッド形成する。その融合産物は、標的またはその相補鎖のいずれかと機能的に同じである。ハイブリッド形成および結合サイクルを繰り返すことにより、標的配列の増幅が達成される。この技術は、EP−A−320,308に記載されており、これは参考として本明細書に取り入れる。LCR技術の他の特徴に関しては、EP−A−439,182(Backman,K.C.ら)に開示されており、これも参考として本明細書に取り入れる。
皮肉なことに、PCRおよびLCR技術の最大の利点が、同時に、診断アッセイにおいて重大な問題点をも有している。どちらの方法もそれらの標的を指数関数的に増幅するので、それらは極く少量の標的DNAに対しても感受性が高いために、サンプル自体よりむしろ外因性源に由来する10分子のオリゴヌクレオチドでさえも、偽陽性結果及びミスタイピングを招く可能性がある。PCRの場合、もし25〜40サイクルをラウンドするPCRを25μlの容量で行うならば、臭化エチジウムで検出可能な偽りのバンドを得るのに約10,000個の汚染分子があれば十分である。Sarkar,G.ら,BioTechniques,10(5):591−593(1991)。ネステド(nested)PCRまたはブースターPCRを、1〜10,000細胞からのDNAが含有されている応用に使用する場合は、たった1個の分子による汚染でも偽りの結果を生じる可能性があるので、極めて注意を要する。
偽陽性増幅を招く外因性鋳型の主要源は、同じ標的の前のPCRまたはLCR増幅からの持ち越し産物(各々、「PCR産物」または「LCR産物」)である。これらの産物は、実験室領域で分散し、次のPCRまたはLCR増幅の鋳型となる。PCRまたはLCR産物はまた、物理的に類似の陰性サンプルを汚染する可能性もある(「クロスオーバーコンタミネーション」)。PCRまたはLCR産物によるコンタミネーションの他に、試薬、サンプル、装置および一般の実験室領域は、細菌またはウィルス性DNAなどの外因性DNAによっても汚染されている可能性がある。例えば、PCRは、水を含むがDNAは含まないサンプルに対して、ウィルス培養物質をオートクレーブすることにより生じる可能性があるDNAの小断片の存在により、高レベルのバックグランド増幅を示す可能性がある。Porter−Jordan,K.ら,J.Med.Virol.,30(2):85−91(1990)。RNAコンタミネーションによる問題は少ないが、これは、通常、RNAアーゼが環境中に存在するからである。PCRの場合のコンタミネーションを避けるために、鋳型DNAおよびTaq DNAポリメラーゼを添加する前に個々の反応混合物をDNAアーゼIまたは、増幅プライマー対に対し内部で切断する制限エンドヌクレアーゼで処理されねばならない。Furrer,B.ら,Nature(London),346:6282−324(1990)。この処理により、汚染核酸配列が不活性化され、例えば、それがポリメラーゼまたはリガーゼに対して生物学的に不活性化される。
上記コンタミネーションの全てを避けるために、PCRでは、他のある簡単な工程が使用される。その工程は、(1)PCR調製物および産物を物理的に単離すること;(2)可能な場合は溶液をオートクレーブすること;(3)試薬をアリコートに分けて、必要なサンプリングの繰り返し回数を最小にすること;(4)使い捨ての手袋を使用すること;(5)跳ね返りを避けること;(6)使い捨ての置換ピペットを使用すること;(7)可能な場合は試薬を「前混合」すること;(8)DNAは最後に添加すること;および(9)陽性および陰性のコントロールを注意深く選択することを含む。Kwok S.ら,Nature,339,6221,237−38(1989)。
さらに、持ち越しのDNA標的産物を除去するために、いくつかのより特異的な方法が記載されている。これらの方法は、紫外線(UV)照射(例えば、Aminoら,Nature,345:773(1990))、ガンマ線照射(Deraganら,Nucl.Acids Res.,18:6149(1990))、ソラレン(psoralen)処理(Jinnoら,Nucl.Acids Res.,18:6739(1990))およびdU含有DNAのウラシル−N−グラコシラーゼ処理の使用(Lngoら,Gene,93:125(1990);Package Insert,GeneAmp PCR Carry−Over Prevention Kit,Perkin−Elmer,1990)を含む。UVもしくはガンマ線照射または、UV照射とともにソラレン処理を行うと、有効性が限定される。そのような殺菌の有効性は、産物の大きさおよび特定の配列に依存する。UV照射の場合は、例えば、長いPCR産物(700塩基対以上)の方が短いPCR産物(250塩基対未満)よりもUV照射に対して感受性が高いように思える(Aminoら,上掲)。さらに、プライマーの化学的完全性に対する照射効果に関しては、十分なデータが得られていない。
PCRでは、持ち越しによるコンタミネーションの問題が、正常なリボヌクレオシド三リン酸(rNTPs)またはデオキシリボヌクレオチド三リン酸(sNTPs)を、天然の核酸には存在しない外因性のヌクレオチドで置き換えることにより、ある程度解決される(欧州特許出願公開第0401037(Hartley,公開日:1990年12月5日)。使用されるサンプル外(exa−sample)のヌクレオチドは、ウラシルN−グリコシラーゼ(UNG)およびウリジン三リン酸である。すなわち、その方法は、UNGが塩基のウラシルと糖のデオキシリボースとの間のグリコシド結合を切断するのを利用するが、それは、2'−デオキシウリジン部分がデオキシリボ核酸(DNA)に挿入されている場合のみである。その酵素は、dUTP、遊離デオキシウリジンまたはRNAには作用しない。したがって、2'−デオキシウリジンを含むDNAがサンプルに混入すること、その外来DNAは、培地中にUNGがあるならば切断され、一方、天然DNAに対してはUNGは作用しない。切断されたDNAは、PCRの基質とはならない。PCRの第1サイクル中にUNGは変性するので、PCRの一部として成長するオリゴヌクレオチド鎖に取り込まれるUTPには作用しない。重要なことは、この方法では、チミジンがUNGの基質ではないので、ウリジンの代わりにチミジン塩基を有する天然DNAによるキャリーオーバーコンタミネーションの問題が処理されないということである。
上記のPCR研究とは別に、生細胞における遺伝子の活性および不活性化の分野の研究者らは、DNAの切断に関しても研究する。しかし、遺伝子機能は、ヌクレオチド配列のたとえ1個の切断によっても破壊されたり変えられことができるので、この分野の部位特異的突然変移誘発での重点は、遺伝子機能または細胞挙動に対して結果的に得られる効果を確認するために、DNA配列を、好ましくは特定の部位で切断するか、ニックを与えることである。すなわち、PCRまたはLCRと違って、全DNA配列を完全に破壊または不活性化することを意図するものではない。
DNAに損傷を与えるために、酸化剤および還元剤と一緒に金属キレート錯体が使用されている。金属キレートの使用によりDNAが切断できる場合、DNAの損傷には還元剤が必要であるという知見は従来技術に十分見られる。Queらは、大腸菌DNAの1,10−フェナントロリンによる分解がCu(II)、酸素および還元剤を必要とすることを示している(Que,B.G.ら,Biochem.,19(26):5987−5991(1980))。
同様に、Sigman(Acc.Ahem.Res.,19:180−186,1986)およびGoldsteinら(J.Am.Chem.Soc.,108:2244−2250,(1986);J.Free Radicals(Biology & Medicine,2:3−11,1986)は、DNAの切断に還元剤、ビス(1,10−フェナントロリン)銅および過酸化水素の使用を開示している。
LCRおよびPCR結果の妨害とは別に、望ましくないヌクレオチド配列は、バイオプロセスおよびその結果得られるバイオ生成物(例えば、細胞培養により誘導される組換え蛋白質)においても問題を引き起こす。これらの汚染ヌクレオチドは、ウィルス、真菌類または細菌に由来するもの、例えば内因性および外来性のレトロウィルスである可能性もある。(Knight,P.,Bio/Tech.,6(12):1373−73(1988))。これらの汚染ヌクレオチドは、特にバイオ生成物をin vivoで使用する場合は、健康上危険である。例えば、ウィルス性DNAは、輸血組換え蛋白質の受容者に感染する可能性がある。
DNA除去の現在の方法は、DNAアーゼ処理、ポリミンP沈澱および陰イオン交換液体クロマトグラフィー分離から成る。DNAアーゼ処理による主な問題は、培地に存在する阻害剤がその酵素の作用を遮蔽したり、遅くしたりする可能性があるということである。さらに、活性DNAアーゼが、患者に与えられる組換え蛋白質製剤に依然として存在していると、DNAアーゼは患者の細胞に浸透してその中のDNAを破壊するので、患者の健康に対して大いに危険である。ポリミンP沈澱の欠点は、内因性DNAの一部を除去することができるが、その全部を除去することはできないということである。最後に、陰イオン交換液体クロマトグラフィーは、DNA由来の高度に帯電した蛋白質の分離が不完全であり、また、サンプルの持ち越しの可能性がある。
発明の概要
本発明の一態様は、サンプル中のヌクレオチド配列を不活性化する方法を提供する。これらの方法は、好ましくは、PCRまたはLCR産物の不活性化、またはバイオプロセスもしくはバイオ生成物の汚染性ヌクレオチド配列の不活性化に適用される。
その方法は、サンプルを金属キレート錯体、還元剤および酸化剤にさらすことから成る。好ましい方法では、還元剤を使用しない。金属キレート錯体の好ましい二つの種類は、(1)下記化学式:
Figure 0003545399
[式中、Mは金属を示す。上記キレート剤に対する対イオンは当業者によって決定することができる。]のピリジン誘導体(以下、「クラス1のピリジン誘導体」という)および(2)下記化学式:
Figure 0003545399
[式中、Xは、Cl、Br、NO2、フェニル、メチル、アミドアセチル、アミドグリシルおよび水素である。Xは好ましくは水素である。Lはドナーリガンド、好ましくは水およびアミンなどのルイス塩基である。]の一般的種類のフェナントロリンおよびその誘導体由来のクラス2の金属キレート錯体である。このクラスの金属キレート錯体の例としては、desferalフェナントロリン、置換フェナントロリン(例えば、Cu(1,10−フェナントロリン)、すなわちビス(1,10−フェナントロリン)銅)が挙げられる。
上記二つの種類の金属キレート錯体の金属は、好ましくは、ニッケル、銅、鉄、亜鉛、ルテニウム、ロジウムおよびコバルトなどの遷移金属である。
本発明の別の態様では、新規金属キレート剤、クラス1のピリジン誘導体、および上記で示したそれらの金属キレート錯体を提供する。
本発明の別の態様では、ヌクレオチド配列を不活性化するのに有用な、上記金属キレート錯体、酸化剤および還元剤を含む組成物および反応混合物を提供する。好ましくは、還元剤は、組成物または反応混合物中に存在しない。
本発明の別の態様では、上記金属キレート錯体、酸化剤および還元剤を入れた別々の容器から成る、ヌクレオチド配列を不活性化するためのキットを提供する。好ましくは、還元剤はそのキットに含まれない。
【図面の簡単な説明】
図1は、実施例7で使用した標的配列およびC型肝炎ウィルス(HCV)DNAプライマー配列を表す。
図2は、アガロースゲル電気泳動によるPCR産物の分析を表す。レーン1は、1μlの標的配列を含み、レーン2は1キロ塩基ラダー(ladder)の分子サイズ標準物質を含み、レーン3および5は、ビス(1,10−フェナントロリン)銅硫酸塩/過酸化水素の非存在下で、各々0.01μlおよび1μlのPCR産物を含み、レーン4および6は、ビス(1,10−フェナントロリン)銅硫酸塩/過酸化水素の存在下で、各々0.01μlおよび1μlのPCR産物を含み、レーン7にはDNAを添加しておらず、レーン8は1キロ塩基ラダーの分子サイズ標準物質を含む。
発明の説明
金属キレート錯体を使用するヌクレオチド配列の不活性化法
本発明は、ヌクレオチド配列を切断するための金属キレート錯体を使用してそれらを不活性化する方法を提供する。本発明は、外因性または望ましくないヌクレオチド配列を不活性化しようとするいかなる状況でも使用することができる。例えば、増幅された標的DNA、すなわちPCRまたはLCRを使用した場合のPCRまたはLCR産物を不活性することにより、持ち越し(carryover)またはクロスオーバーDNAコンタミネーションの問題が解決される。理解されるように、その方法は、PCRまたはLCR技術および産物と共に使用するとは限らず、ヌクレオチド配列を増幅し、従ってその結果得られる増幅ヌクレオチド配列によってその後のサンプルがコンタミネーションを受けやすいどんな技術にも適応できる。すなわち、この不活性化法は、好ましくは、増幅された標的ヌクレオチド配列を検定または検出した後に使用される。PCRまたはLCR反応の前にその方法を実験室領域に適用して、外因性ヌクレオチド配列、特にDNAを不活性化することもできる。
また、その方法は、バイオプロセスまたはバイオ生成物中に存在する汚染ヌクレオチドを不活性化するために使用することもできる。バイオ生成物としては、組換え蛋白質調製物が挙げられ、バイオプロセスとしては、その組換え蛋白質調製物を得る方法が挙げられる。バイオプロセスは、組換え蛋白質を産生する組換え細胞培養からの組換え蛋白質の増殖、採取、精製を含む。組換え細胞培養としては、ウィルス、昆虫、細菌または哺乳類の組換え細胞培養が挙げられる。また、その細胞培養は、ハイブリドーマまたはトリオーマ(trioma)細胞培養、例えば抗体などの組換え蛋白質の産生に通常使用されるものであってもよい。組換え蛋白質は、組換えにより産生できるどんな蛋白質も含む。本発明は、例えば、組換え蛋白質の調製物中に存在するウィルス、細菌または真菌類の汚染核酸を不活性化するために使用することができる。
DNAなどのヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列の塩基組成および環境に依存して、コンホメーションが変化する。本発明は、一本鎖、二本鎖、三本鎖DNAまたはリボ核酸(RNA);DNAおよびRNAの組み合わせ(例えば、DNA−RNA二重体(duplex));ならびに線状、閉環および超らせんDNAおよびRNAなどの全てのコンホメーションに適応可能である。
PCRまたはLCR技術の高感度性のため、PCRまたはLCR産物の不活性化を最大にすることは困難である。不活性化の理想レベルは、サンプル中の生きた(viable)ヌクレオチド配列の量が、PCRまたはLCR増幅前に存在したヌクレオチド配列の量またはそれ以下のレベルに減少することである。例えば、LCRは、サンプル中の標的DNAを百万倍まで増幅することができる。生きたDNAとは、操作可能な酵素増幅反応のアニーリング温度でその相補鎖にハイブリッド形成可能であるDNAを意味する。LCRの場合、この温度は約55〜65℃である。好ましくは、本発明で提供する方法により、ヌクレオチド配列を、PCRまたはLCRのアニーリング条件下で再ハイブリッド形成することができないような長さのフラグメントに切断する。DNAが切断されると、DNAの50%が全長の相補鎖に対してハイブリッド形成する温度(この温度を「Tm」という)は低下する。DNAは、そのDNAの大部分がアニーリング温度より低いTmを招く長さに切断されると、もはや生きていない(nonviable)と考えられる。
この出願で提供する方法は、サンプル中に存在するヌクレオチド配列の少なくとも約40%、より好ましくはサンプル中に存在するヌクレオチド配列の少なくとも98%または99%を不活性化する。99%以上では、好ましい効率が少なくとも約99.99%であり、次いで好ましくは少なくとも約99.9999%(すなわち、106倍のDNA損失)であり、より好ましくは少なくとも約99.99999%(すなわち、107倍のDNA損失)であり、さらに好ましくは少なくとも約99.999999%(すなわち、108倍のDNA損失)である。
後述の実施例では、本発明のために、不活性化の上記指数関数的ファクター係数をパーセントに変換する方法を示す。DNA標的の100倍(102倍)の不活性化は、100本の出発DNA鎖のうち1本のDNA鎖が増幅可能であることを意味する。従って、サンプルの99%(100本のうち99本)が不活性化されている。DNA標的の107の不活性化は、10,000,000本の出発DNA鎖のうち1本のDNA鎖が増幅可能であることを意味する。すなわち、サンプルの99.99999%(1000万本のうち9,999,999本)が不活性化されている。
ヌクレオチド配列の不活性化を検出するための上記ハイブリッド形成法を、本明細書では「増幅検出法」という。それは、破壊の程度、すなわち、標的ヌクレオチド配列が切断されてPCRまたはLCRのアニーリング条件下でのハイブリッド形成、すなわち増幅が不可能になるような小さい断片になる程度に直接比例する。ヌクレオチド配列の不活性化はまた、物理的手段、例えば不活性化後に残存するヌクレオチド配列の量および長さを推定することにより測定することができる。この物理的検出法は、現在利用可能な装置による増幅検出法よりも感度が小さい。物理的方法による検出の例は、下記実施例8に示す。
本発明は、不活性化のレベルが高く、従来のものより利点が多い。PCRおよびLCRは汚染ヌクレオチド配列を指数関数的に増幅することが可能なので、実際の利用のためには、不活性化法により、PCRまたはLCR産物の少なくとも105〜107倍の不活性化を達成しなければならない。与えられた方法のDNA標的サンプルの不活性化の量は、その不活性化法の有用性に直接関係する。例えば、PCRおよびLCRは、標的DNA濃度を数百万倍に増幅する。説明のために、サンプル中に1000本の標的DNA鎖があり、特定の増幅条件下でLCRがその量を100万倍に増幅すると仮定する。不活性化法の効率がほんの99%(100倍)であるとすると、その方法では、サンプルのみからの潜在的汚染物質として少なくとも107個のDNA分子が残る(増幅された標的DNAを含むサンプル中の109個のDNA分子を100倍の不活性化で割る)ことになる。不活性化法の効率が99.99999%(107倍)の場合は、潜在的汚染物質として約100個の標的DNA分子が残る(増幅された標的DNAを含むサンプル中の109個のDNA分子を107倍の不活性化で割る)ことになる。明らかなように、100個の汚染DNA分子の方が107個の汚染DNA分子よりも扱いやすい。
上記方法は、PCR装置(GeneAmp PCR持ち越し防止キット,Perkin−Elmer,Norwalk,CT)の供給者が現在すすめているウラシル−N−グリコシラーゼ法と違って、天然のDNAおよびRNAを切断する。さらに、本出願人が上記のGeneAmp PCR持ち越し防止キットを使用してウラシル−N−グリコシラーゼ法の操作を適用すると、生きたDNAがほんの100倍だけ減少したにすぎなかった。
本出願人の発明は、好ましくは、ヌクレオチド配列を長さ約1〜10塩基のフラグメント、より好ましくは長さ約1〜5塩基、最も好ましくは長さ約1〜2塩基のフラグメントに切断する。好ましくは、サンプルに存在する少なくとも約99.4%のヌクレオチド配列が長さ1塩基のフラグメントに切断される。本発明におけるヌクレアーゼ活性の増加は、従来技術に対して改善された点である。従来技術では、Sigman,Acc.of Chem.Res.,上掲第181頁の図1に示されるように、サンプル中のヌクレオチドのほとんどが切断されないままであった。
ウィルス、細菌または真菌類のヌクレオチド配列などのバイオプロセスまたはバイオ生成物中の汚染核酸の場合、主な問題は、バイオ生成物使用者における汚染ヌクレオチド配列のin vivo生物学的活性である。ヌクレオチド配列は、蛋白質などの生物学的生成物がもはや複製および/または発現することができないようにそれらを切断することにより不活性化できる。そのために、本発明は、好ましくは、ヌクレオチド配列を約1〜10塩基の長さ、より好ましくは約1〜5塩基の長さ、さらに好ましくは約1〜2塩基の長さ、最も好ましくは1塩基の長さに切断する。あるいは、切断の程度が、増幅検出法の説明に示す通りである。今述べた切断レベルであれば、最長10キロ塩基に達し得るウィルス性ヌクレオチド配列を含むほとんどのコンタミネーションが除去されるであろう。
ここに提示する方法は、酸化剤および特定の種類の金属キレート錯体を使用する。還元剤は本発明で使用することができるが、本発明の最良の態様では使用しない。特定の種類の金属キレート錯体は、下記に示すクラス1および2の金属キレート錯体である。ほとんどの従来技術と違って、これらの金属キレート錯体はヌクレオチド配列のグアノシン塩基のみを切断するわけではない。その代わり、これらの金属キレート錯体はヌクレオチド配列の主鎖中にある糖の1'および4'位に作用し、従ってヌクレオチド配列の不活性化およびより小さいフラグメントへの短縮において、より効果的である。
最大効率のために還元剤を必要とする従来技術に対して、本発明は、その最も好ましい態様において還元剤の使用をやめており、このことは、驚いたことに、ヌクレオチド配列の不活性化の効率を実際に改善するものである。実施例5および7を比較すると、データから、ビス(1,10−フェナントロリン)銅は還元剤を使用すると少なくとも99%の不活性化に達し、還元剤を用いない場合は99.999999%の不活性化に達したことがわかる。ビス(1,10−フェナントロリン)銅は、Sigman、Francoisら、およびGoldsteinら(上掲)が使用しているが、彼らはその反応で還元剤を使用している。事実、SigmanおよびGoldsteinらは大量の還元剤を使用している。
本出願人の不活性化溶液では、金属キレート錯体の最終濃度が好ましくは約10nM〜20mMであり、酸化剤の最終濃度が好ましくは約1μM〜8Mであり、還元剤の最終濃度は、使用する場合、好ましくは約1μM〜8Mである。より好ましくは、金属キレート錯体が約100nM〜10mMであり、酸化剤が約1μM〜8Mである。還元剤は好ましくは、酸化剤と同じ範囲である。
不活性化反応では、増幅されるヌクレオチド配列の1モルごとに、好ましくは、少なくとも0.18モル、より好ましくは1.8×10-1〜3.6×105モルの金属キレート錯体および少なくとも24モル、より好ましくは2.4×10〜9.6×107モルの酸化剤がある。より好ましくは、金属キレートおよび酸化剤が各々、約1.8×105モルおよび2.4×107モルである。還元剤を使用する場合は、酸化剤と同じ範囲である。
ビス(フェナントロリン)銅硫酸塩などの金属キレート錯体および過酸化水素などの酸化剤は比較的安価であり、サンプル中の標的ヌクレオチド配列の量は未知で、従って増幅される標的の量も未知であるため、使用する特定の増幅技術に対して予想される増幅ヌクレオチドの最大量に基づいて不活性化試薬を添加し、こうして、増幅される標的の最大不活性化を確保するのが好ましい。例えば、LCRおよびPCRアッセイ法においてヌクレオチド配列の増幅される分子の予想される量は、各々、1011〜1012および1012〜1013である。LCRの場合、LCRに対する先の数字の平均、すなわち、5×1011分子の増幅標的をベースとし、9×1010〜18×1016分子の金属キレート錯体および1.2×1013〜4.8×1019分子の酸化剤を使用することができる。より好ましくは、金属キレート錯体および酸化剤を各々、9×1016および1.2×1019分子使用することができる。
あるいは、不活性化すべきヌクレオチド配列の量が未知であるサンプル溶液の場合、不活性化溶液に対して上記で示した濃度範囲を使用することができる。ただし、試薬のモルの計算のベースとなる体積は、サンプル溶液と添加する試薬溶液との和となる。例えば、最小では、サンプル溶液および試薬溶液から成る最終溶液に金属キレートが約10nMとなるはずである。
酸化剤は、好ましくは、求電子試薬またはフリーラジカル試薬である。酸化剤の例としては、過酸化水素、オキソン(KHSO5)、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酢酸およびモノペルオキシフタル酸マグネシウム(MMPP)などの一般の過酸化物;過硫酸ナトリウムおよび過硫酸アンモニウムなどの一般の過硫酸塩が挙げられる。好ましい酸化剤は、過酸化水素である。
還元剤は、好ましくは電子を供与することができる求核試薬である。還元剤の例としては、チオール、アスコルビン酸塩、NADH、ジチオトレイトール、メルカプトプロピオン酸、グルタチオン、システアミンおよびシステインが挙げられる。好ましい還元剤はジチオトレイトールである。
反応は、好ましくは、蒸留水またはpHが約2〜13の緩衝液などの不活性溶媒中で行う。緩衝液の例としては、下記実施例5に記載したLCR緩衝液、EP−A−439,182(前出)に記載されたBSA緩衝液またはトリスpH8.2が挙げられる。LCR、BSAおよびトリス緩衝液はアミンを含む。クラス2の金属キレートの場合、緩衝液は、好ましくは水またはアミンを含み、リガンド「L」(下記の「金属キレート錯体」の項に示す。)として作用する。反応は、好ましくは約4〜75℃の温度で行う。より好ましくは、室温で反応を行う。
最も好ましい不活性化法は、ヌクレオチド配列を不活性化するための試薬としてビス(1,10−フェナントロリン)銅および過酸化水素を使用し、還元剤は添加ない。その方法を、「ビス(フェナントロリン)銅硫酸塩/過酸化水素」法または反応という。ビス(1,10−フェナントロリン)銅は、ビス(1,10−フェナントロリン)銅硫酸塩の形が好ましい。ビス(1,10−フェナントロリン)銅は、好ましくは、約15μM〜20mMの最終濃度で存在し、過酸化水素は、好ましくは、容量で約150mM〜8M(v/v)の最終濃度で存在し、反応を不活性溶媒中、室温で行う。不活性化は、ほとんど瞬間的に起こる。最も好ましい態様で還元剤を必要としない点で、本発明は、他の試薬の使用に係るコスト、不便さおよび複雑さを減少させる。
本発明はまた、新規種類のキレート剤であるクラス1のピリジン誘導体およびそれらの金属キレート錯体を提供する。このクラスの例としては、過塩素酸エチルニッケルまたは銅(これらの化合物の式は、下記の「金属キレート錯体」の項に示す。)がある。これらの新規キレート錯体は、驚くべきことに、それらに最も近い従来の金属キレート錯体同等物(本明細書では「過塩素酸プロピル」という(実施例6に示す。)。)と比較すると、DNA不活性化の効率が上昇した。この利点は、下記実施例6の二つ間の比較データで明らかである。増幅検出法を使用した実施例7と違って、実施例6は、テストした金属キレートがDNAを切断するかどうかを検出しただけである。実施例6では、IMx(登録商標)MEIAアッセイによる検出を妨げるには、DNA鎖上に1個の切断があれば充分であった。実施例6で示されるように、過塩素酸プロピルニッケルの効率が低い(6%)のに比べて、過塩素酸エチルニッケルのヌクレオチドの不活性化効率は42%である。
PCRまたはLCR産物を不活性化する場合は、PCRまたはLCR実験を完了し、標的ヌクレオチド配列のアッセイを行った後、金属キレート錯体、酸化剤および還元剤の混合物(好ましくは、還元剤を使用しない。)を、PCRまたはLCR産物またはそれらのエーロゾルが接触したかもしれないサンプル、ピペット、ゲルまたは何らかの表面に適用する。
また、その方法をアッセイまたはバイオプロセスを行う前に使用して実験室領域、装置および試薬のコンタミネーションを除き、微生物DNAコンタミネーションなど、環境中の外因性ヌクレオチド配列を除去することもできる。
以下に本発明を使用する実施例を示す。DNA標的の診断手段としてPCRまたはLCRを使用する場合、サンプルを、検出すべき標的DNAを増幅するための適切な試薬を含むDNA Thermal Cycler(Perkin Elmer,Norwalk,CT)に入れる。増幅完了後、サンプルを、増幅された標的DNAを検出する分析装置に移す。分析装置の例としては、IMx装置(Abbott Laboratories,Abbott Park,IL;装置、その操作および一般的プロトコルの説明に関しては、Barnesら,J.Clin.Imm.,14(2):115−119(1991)およびEP−A−288,793;Ludingtonら,Clin.Chem.,34(9),1726−1732(1988)も参照)がある。アッセイ終了後、サンプルは処分されるが、この段階でしばしばコンタミネーションが起こる。これは、一般に、増幅およびアッセイを同じ技術者が行うからである。分析の終わりにサンプルを手動で処分する場合、増幅された標的DNA(PCRまたはLCR産物)がサンプルから技術者自身にこぼれる可能性がある。あるいは、PCRまたはLCR産物がエーロゾルとして空気中に存在したり、技術者の体、手袋または衣類に付着する可能性がある。すなわち、技術者が新たなサンプルを取り扱い、Thermal Cyclerを操作するために戻るとき、その技術者が新たなサンプルをLCRまたはPCR産物で汚染する可能性がある。そのため、不注意に、汚染LCRまたはPCR産物が新しいサンプル中で増幅されると、分析結果が不正確になる(例えば、偽陽性結果が得られる。)。上記の点を鑑みて、サンプルを分析した後で、それらを処分するために技術者が取り扱う前に、LCRまたはPCR産物を不活性化して、技術者の汚染、従って新しいサンプルの汚染を防ぐことは有用である。不活性化は、分析したサンプルを取り扱い、処分する前に、金属キレート錯体を酸化剤および還元剤(好ましくは、還元剤は含まない)とともに本明細書に開示した不活性化試薬をアッセイサンプルに分配し、適当な時間をおいて不活性化させる(ほとんどの場合、反応は室温でほとんど瞬間的である。)ことにより達成される。好ましくは、不活性化試薬をアッセイサンプルに分配した後で、アッセイサンプルを取り扱って処分する前に、そのアッセイしたサンプルを密閉する。
上記の方法および金属キレート錯体はまた、バイオプロセスまたはバイオ生成物の調製物における汚染ヌクレオチドを不活性化するために使用することもできる。この場合、不活性化試薬は、バイオプロセスの操作中、またはバイオ生成物を含む調製物に添加し、好ましくは、もはや生物学的産物を複製および/または発現することができないように汚染ヌクレオチド配列を切断する。蛋白質などのバイオ生成物は、限外濾過、蛋白質沈澱、サイズ排除クロマトグラフィー、透析、および/または他の蛋白質精製法により不活性化試薬から分離することができる。例えば、蛋白質は、カットオフ値が30000ダルトンである透析チューブ(SchleicherとScheull,Keene,NH)で、100mMトリス/100nM NaCl(pH7.0)に対して透析することができる。あるいは、Amicon(Beverly,MA)限外濾過装置(カットオフ値が30000ダルトン)を使用して蛋白質を濃縮することができ、その蛋白質は次いで、20ml〜100mlのトリス/100mM NaClで2回洗浄する。あるいは、Bio−Rad Bio−Gel P100(Richmond,CA)を使用して蛋白質をサイズ排除クロマトグラフィーかけ、50mMのトリスで溶離することもできる。
金属キレート錯体
好ましい二つの金属キレート錯体の種類は、(1)下記化学式を有するクラス1のピリジン誘導体:
Figure 0003545399
[式中、Mは金属を示す。上記式に対する金属対イオンは、好ましくは1価または2価の陰イオンで、例えば塩化物、臭化物、硫酸、テトラフルオロホウ酸、テトラフェニルホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、硝酸および過塩素酸イオンである。好ましくは、対イオンが立体的に剛直で、かさ高い錯体であり、単離および精製を容易にするための金属キレート錯体の結晶化を促す。好ましい対イオンの例としては、過塩素酸、テトラフルオロホウ酸およびテトラフェニルホウ酸イオンが挙げられる。クラス1のピリジン誘導体の例は、下記式の過塩素酸エチルニッケルおよび銅:
Figure 0003545399
である。]、および(2)下記化学式を有する一般的種類の1,10−フェナントロリン由来のクラス2の金属キレート錯体:
Figure 0003545399
[式中、Mは金属を示す。上記式に対する金属対イオンは、好ましくは1価または2価のイオンで、その例は、クラス1の金属キレート錯体に対して挙げたものと同じである。XはCl、Br、NO2、フェニル、メチル、アミドアセチル、アミドグリシルおよび水素である。Xは好ましくは水素である。Lはドナーリガンドであり、好ましくは水およびアミンなどのルイス塩基である。このクラスの金属キレート錯体の例としては、desferalフェナントロリン、置換フェナントロリン、および(1,10−フェナントロリン)2銅、すなわちビス(1,10−フェナントロリン)銅が挙げられる。]である。
上記の両方のクラスの金属キレート錯体に対して、好ましい金属イオンは、ニッケル、銅、鉄、亜鉛、ルテニウム、ロジウムおよびコバルトなどの遷移金属イオンである。より好ましくは、酸化−還元反応を触媒することができる金属イオンである。
金属キレート錯体の合成
金属キレート錯体は、Karnら,Natrue,211:160−163(1966)に開示された方法などの周知の方法を使用して合成できる。キレート剤および金属イオンの錯体は、一般に、キレート剤を、その二つの反応物が安定である緩衝溶液中で金属イオンとインキュベーションすることにより作ることができる。適切な緩衝液としては、クエン酸塩、酢酸塩またはグリシンなどの金属結合性が弱いものが挙げられる。当業者であれば、金属イオンをキレート形成基に確実に結合させるために、適切な濃度、温度およびpHを選択することができる。溶液は全て、金属不純物を含まないのが特に好ましい。適切な時間インキュベーションした後、必要であれば、未結合金属イオンを、ゲル濾過または結晶化などの方法により金属キレート錯体から分離することができる。
また、本発明は、上記金属キレート錯体、酸化剤および還元剤を含む容器を備えた、ヌクレオチド配列を不活性化するためのキットも提供する。還元剤を含まないキットが好ましい。
以上、本発明を一般的に記載したが、以下の実施例により本発明の特定の実施態様を説明する。
実施例
実施例1〜6では、オリゴヌクレオチドの両末端を新規カルバゾールまたは新規アダマンタン誘導ハプテン(同時係属中の米国特許出願第808,508号(Mattingly,P.G.)、1991年12月17日出願、「3−フェニル−1−アダマンタン酢酸に対するハプテン、トレーサー、免疫原および抗体」;および同時係属中の米国特許出願第808,839号(Fino,J.R.)、1991年12月17日出願、「カルバゾールおよびジベンゾフラン誘導体に対するハプテン、トレーサー、免疫原および抗体」に記載)で標識化した。ハプテンをオリゴヌクレオチドの3'端に付加する方法は、同時係属中の米国特許出願第630,908号(1990年12月20日出願)に開示され、ハプテンを5'端に付加する方法は、Thuong,N.T.ら,Tet.Letters,29(46):5905−5908(1988)または米国特許出願第07/246,688号(Cohen,J.S.ら)(NTISオーダーNo.Pat−Appl−4−246,688(1988))に記載のホスホルアミダイト試薬を使用するものである。
LCR増幅の前に、一方のセンスプローブの5'端をカルバゾールで、他方のセンスプローブの3'端をアダマンタンで標識化した。アンチセンスプローブに対しても同様にこれを行う。次いで、これらのプローブおよびEP−A−439,182(前出)に開示された方法を使用してLCRを行った。使用できる別の方法は、EP−A−320,308(Beckman,K.C.)に開示されている。増幅され、結合したDNAは、下記IMx装置による検出のために、一端にカルバゾールおよびアダマンタンを有する(以下、「カルバゾール−ヌクレオチド配列−アダマンタンハプテン」という。)。
上記の標識化したオリゴヌクレオチドの不活性化の定量結果は、微粒子エンザイムイムノアッセイ(MEIA)法を使用して、IMx装置(Abbott Laboratories,Abbott Park,IL;反応セルの成分は、Clin.Chem.,34(9).上掲,第1727頁の図2(a)に示される。)により求めた。プロトコルは、市販のα−フェトプロテインアッセイで使用されるものと同様に行うが、次の点は修正する。(1)抗α−フェトプロテイン抗体をコートした微粒子は、抗カルバゾール抗体をコートした微粒子(以下、「抗カルバゾール被覆微粒子」という。)で置き換え、(2)抗α−フェトプロテイン抗体:アルカルホスファターゼの結合体は、抗3−フェニル−1−アダマンタン酢酸抗体:アルカリホスファターゼの結合体(以下、アルカリホスファターゼに結合した抗アダマンタン」という。)で置き換える。IMx MEIA法のプロトコルは、EP−A−439,182(前出)にさらに詳しく記載されている。
簡単に述べると、このプロトコルは次の通りである。LCRで増幅したサンプル100μlをピペットでサンプルウェルに入れる。次いで、このサンプルの30μlをピペットでインキュベーションウェルに入れ、抗カルバゾール被覆微粒子をそのウェルに添加する。適当な時間インキュベートした後、カルバゾール端を有する抗カルバゾールおよびヌクレオチド配列から成る錯体を生成させる。インキュベーション後、その混合物をピペットでIMx反応セルのガラス繊維捕獲マトリックスにおき、アルカリホスファターゼに結合した抗アダマンタンを添加する。この結果、微粒子−オリゴヌクレオチド−酵素錯体となり、これは、ガラス繊維捕獲マトリックスの表面にとどまる。洗浄工程で過剰の試薬を除去した後(このプロトコルの間中、ガラス繊維捕獲マトリックスのすぐ下の吸い取り紙は試薬溶液を吸収し、そうでなければ、ガラス繊維捕獲マトリックスからあふれ出る。)、ガラス繊維捕獲マトリックスをリン酸4−メチルウムベリフェリル(MUP)で処理する。表面結合酵素により非蛍光MUPが4−メチルウムベリフェロン(MU)に変換され、その蛍光を測定することができる。下記実施例で得られた多くの数値は、この工程の速度読み取り値であり、カウント/秒/秒(cpss)で表す。生きたDNAの量はこの速度値に直接比例するので、DNAの不活性化はこの方法によりモニターすることができる。あるサンプルに対する読み取り値が20cpssであると、これは、少なくとも約109分子のカルバゾール−ヌクレオチド配列−アダマンタンハプテンがサンプル中に存在することを示す。この標識化オリゴヌクレオチドのMEIA解読の概念は、欧州特許出願公開第357,011号(公開日:1990年3月7日;「標的核酸配列の検出および増幅」;Laffler T.G.,ら)に記載されている。
上記の増幅検出法は、他の増幅技術に適用可能である。例えば、PCR産物に同様に適用することができる。PCRでのハプテン結合プライマーの増幅およそその結果得られるPCR産物のMEIAの説明は、EP−A−357,011(Laffler T.G.,ら)に記載されている。
ビス(1,10−フェナントロリン)銅硫酸塩および鉄−EDTA硫酸塩の試薬は、水性媒体中で化学量論量の金属塩成分を有機リガンドとともに溶解することにより調製した。全ての化学物質は、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,WI)から入手した。
実施例1
過塩素酸エチルニッケルキレート錯体の調製
以下に、下記式:
Figure 0003545399
の過塩素酸エチルニッケルキレート錯体の合成について記載する。
1189mgのNiCl2(H2O)(5ミリモル)、816mg(5ミリモル)の2,6−ジアセチルピリジンおよび540μl(5ミリモル)のジエチレントリアミンの水:エタノール(1:1)20ml中の溶液を70℃の油浴で3日間加熱した。エタノールを回転蒸発により注意深く除去し、15gの過塩素酸ナトリウム/水(10ml)を添加した。室温で1時間放置した後、上清をデカンテーションにより除去した。残留固体を16mlの熱蒸留水に溶解し、ひだ付濾紙により重力濾過した。濾液を4℃で4時間放置した。上清をデカンテーションにより除去し、橙赤色の結晶を2×10mlの冷水(4℃)で洗浄した後、真空乾燥して、87.4mg(3.6%収率)の生成物を得た。ファーストアトムボンバードメント質量スペクトル分析は、予想される等方性ピークパターンを示した。
実施例2
過塩素酸エチル銅キレート錯体の調製
以下に、クラス1のピリジン誘導体である下記式:
Figure 0003545399
の過塩素酸エチル銅キレート錯体の合成について記載する。
672.2mg(5ミリモル)の塩化銅および815.9mg(5ミリモル)の2,6−ジアセチルピリジンに540μl(5ミリモル)のジエチレントリアミンを添加した。すぐに発熱反応が起こり、緑色の塩化銅が青色に変わった。次いで、20mlのエタノール:水(1:1)を添加し、その溶液を65℃の油浴で3日間保持した。15gの過塩素酸ナトリウム/水(10ml)を添加した後、エタノールを回転蒸発により注意深く除去した。褐色の粗固体を濾別し、10mlの沸騰水中にできるだけ多く取り上げた。その溶液をひだ付濾紙により重力濾過し、濾液を4℃の冷蔵室に24時間放置した。上清をデカンテーションにより除去し、青色の結晶をアモルファスの褐色固体から手動で分離した。青色の結晶は過塩素酸エチル銅キレート錯体であり、195.5mg、8%収率であった。質量スペクトル分析は、その物質のM+Hピークを示した。
実施例3
DNAを不活性化するための過塩素酸エチル銅キレート錯体の使用
プールした10μlのLCR生成物を60℃で1時間、10mMの過酸化水素30μl、 mMのジチオトレイトール(DTT)30μlおよび10mMの過塩素酸エチル銅キレート錯体(実施例2)3μlにより処理した。その反応物の生きたDNAの減少をIMx装置を使用してテストした。未処理LCRコントロールの速度値は560cpssであり、一方、処理したDNAの速度値は325cpssであった。これは、シグナル、すなわち処理したDNA溶液のDNAの42%が減少したことを示す。コントロール実験では、試薬の全てが、個々に、MEIAシグナルを弱めたり、DNAを不活性化したりしないことが立証された。
実施例4
ビス(1,10−フェナントロリン)銅硫酸塩の調製
以下に、Cu(フェナントロリン)2SO4の10mMストック溶液の合成について記載する。三角フラスコに入れた100mlの蒸留水に162mg(1.0ミリモル)の無水硫酸銅(Aldrich Chemical Company,Inc.,Milwaukee,WI)を添加した。固体はすぐに三角フラスコの底に固まって薄青色の塊になった。三角フラスコを振ると、これらの薄青色の塊はゆっくり溶解した。この溶液に399mg(2.0ミリモル)の1,10−フェナントロリン水和物(Aldrich Chemical Company,Inc.,上掲)を添加した。このとき、水性懸濁物の上に針状晶のフェナントロリンが浮いていた。これらの針状晶のフェナントロリンをBranson M2200音波処理機で5分間音波処理することにより溶解した。得られた溶液はCu(フェナントロリン)2SO4の10mM溶液(アクアマリーンブルー)であった。この溶液のA720は、Beckman DU70分光光度計により、0.61O.D.であることがわかった。
実施例5
DNAを不活性化するためのビス(フェナントロリン)銅/過酸化水素/DTTの使用
陽性の高いLCRサンプル30μlに、10mMのDTT(30μl)、10mMの過酸化水素(30μl)、10mMのビス(1,10−フェナントロリン)銅硫酸塩(3μl)、ならびに50mMの〔4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンプロパン−スルホン酸〕(EPPS)、30mMのMgCl2(KOHでpH7.8に滴定)および100mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)から成るLCR緩衝液(36μl)を添加した。反応物を50℃で1時間加熱した後、サンプルをピペットでIMx反応セルのサンプルウェルに入れ、MEIA分析を行った。陽性コントロール(未処理)DNAの速度値はバックグランドより727cpss高く、ビス(1,10−フェナントロリン)銅で処理したDNAの速度値はバックグランドより1.2cpss高く、これは、最小DNA不活性化速度が99.8%であることを示す。
実施例6
DNAの同一サンプルに対する種々の金属キレートのDNA不活性化の定量的比較
プールしたアダマンタン−カルバゾール標識化LCR産物DNAを分配して、各不活性化反応に対して使用するサンプルが35μlのLCR産物プールとなるようにした。この35μlの溶液に、10mMのDTT(30μl)、10mMの過酸化水素(30μl)および10mMの金属キレート/蒸留水(30μl)を添加した。反応を45℃で1時間行った。
使用したキレートは、過塩素酸プロピルニッケル、過塩素酸エチルニッケル(実施例1)、ビス(1,10−フェナントロリン)銅硫酸塩および(EDTA)鉄硫酸塩であった。
テストした過塩素酸プロピルニッケルは、BuschとKarn[Natrue 211:160−163(1966)]の方法に従って合成し、下記式:
Figure 0003545399
を有する。
陽性(未処理)コントロールの速度値は、バックグランドより103cpss高いものであった。金属キレートで処理したDNAサンプルのバックグランドに対するcpss値は、過塩素酸プロピルニッケルの場合が97cpssで、6%の減少を示し;過塩素酸エチルニッケルの場合が60cpssで、42%の減少を示し;ビス(1,10−フェナントロリン)銅硫酸塩の場合が1.6cpssで、99%の減少を示し;(EDTA)鉄硫酸塩の場合が80cpssで、22%の減少を示した。
実施例7
ビス(1,10−フェナントロリン)銅および過酸化水素のみを使用するDNAの不活性化
プールした増幅LCR産物を分配して、各不活性化反応に75μlの産物プールが存在するようにした。いくつかのサンプルを、10mMのビス(1,10−フェナントロリン)銅を5μl、次いで2M(6.8%)の過酸化水素を10μl添加することにより処理した。室温で5分後、反応物をIMxによりテストして、生きたDNAの有無を調べた。陽性コントロール(未処理)サンプルのバックグランドに対する速度値は833cpssであった。ビス(1,10−フェナントロリン)銅で処理したサンプルのバックグランドに対する速度値は1.5cpssであり、シグナルの最小減少は99.8%であった。ビス(1,10−フェナントロリン)銅で処理したサンプルの残りに対してさらにLCR増幅し、そのサンプルを希釈してポリメラーゼまたはリガーゼ阻害が無くなるようにすると、金属キレート処理により、生きたDNAの量が最小107倍減少した)すなわち、サンプルに存在するDNAの99.99999%を不活性化したことと等しい)ことがわかった。その数字は、不活性化した増幅サンプルを連続的に希釈して(10倍ずつ)、不活性化していない増幅サンプルと同じ速度値に達するようにすることにより到達した。
上記実験を数回繰り返した。得られた最高の効率はヌクレオチド配列の少なくとも99.999999%の不活性化(すなわち、生きたDNAの108倍の減少)であった。最も悪い結果でも、生きたDNAの100万倍の減少(すなわち、99.9999%)であった。今日までの実験でのDNAの平均の減少は約107倍である。
実施例8
不活性化後に残存するヌクレオチド配列の物理的測定
1.6×1014分子の25−merオリゴヌクレオチドをビス(フェナントロリン)銅硫酸塩/過酸化水素で処理(上記実施例7と同様)した後、その処理サンプルを毛細管電気泳動(ベックマンP/ACE 2000,Beckman Instruments,Palo Alto,CA)分析にかけると、254nmでのUV吸収に基づく1塩基長さのヌクレオチドのみが示された。その実験は次のように行った。
粗反応物を37cm長さのポリアクリルアミド毛細管に注入した。その毛細管にサーモスタットを付けて30℃とし、電圧は11.1kVで一定に保った。解像ピークのUV吸収は、装置に内蔵されたコンピュータに記憶させた。これらの条件下で、1塩基のヌクレオチドは12分で移動した。全長のヌクレオチドは約20分で移動した。
本出願人は、以前の研究で、DNA鎖に対するこの方法の検出限界が最小1012分子のDNAであることを見出した。1〜2塩基のヌクレオチドの場合、最小1011分子が検出の限界である。上記UV吸収では、1塩基より長いヌクレオチドの存在は示されなかった。すなわち、サンプル中の少なくとも約99.4%のヌクレオチドが1塩基の長さであった。
実施例9
ビス(1,10−フェナントロリン)銅硫酸塩によるPCR鋳型DNAの不活性化
ビス(1,10−フェナントロリン)銅硫酸塩および過酸化水素の添加によるPCR鋳型DNAの不活性化を、C型肝炎ウィルス(HCV)の5'−非翻訳領域を標的DNAとして使用することにより示した。JHC93およびJHC52と名付けたPCRプライマーおよび標的DNA配列は図1に示すが、HCVヌクレオチド23〜248に及ぶと予想される226塩基対のPCR産物を示す。PCRはGene Ampキット(Perkin−Elmer製,Norwalk,CT)を使用し、製造者の指示する方法に従って行った。簡単に述べると、100μl容量のPCR反応を、10μMのビス(1,10−フェナントロリン)銅硫酸塩(15μl)および2Mの過酸化水素(10μl)の存在下、または非存在下、約50ngまたは0.5ngのHCV5'−非翻訳DNAフラグメントを使用して行った。PCRプライマーのJHC93およびJHC52は、94℃で1分、50℃で2分および72℃で2分の30サイクルから成る1反応につき500ngを使用した。DNA鋳型を含まないコントロールPCR反応も、試薬、装置中の、または実験室の環境からのPCR産物コンタミネーションの可能性を評価するために行った。20μlアリコートのPCR反応液を取り出し、Maniatis,ら,(Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1984)に記載の方法に従って、アガロースゲル電気泳動で分析し、DNAフラグメントは臭化エチジウムで染色した。
図2は、この分析の結果を示す。ここで、レーン1は約50ngのHCV5'−非翻訳HCV鋳型DNAを含み、レーン2および8は、分子量標準物質(1kbラダー、カタログNo.5615SA、Bathesda Research Laboratoriesから入手,Gaithersburg,Maryland)を含み、レーン3および4は、各々、ビス(1,10−フェナントロリン)銅硫酸塩および過酸化水素の非存在下および存在下で、5ngの鋳型DNAを使用したPCR反応液を含み、レーン5および6は、各々、ビス(1,10−フェナントロリン)銅硫酸塩および過酸化水素の非存在下および存在下で、50ngの鋳型DNAを使用したPCR反応液を含み、レーン7は、DNA鋳型を存在させないで行ったPCR反応液を含む。レーン3および5は、明らかに、予想された226bpのHCV PCR産物を示すが、レーン4および6は、この物質が検出可能なレベルにない。PCR産物をさらにサザンブロット分析(Maniatisら,上掲)にかけた。ここでは、アガロースゲルで分離したDNAフラグメントをナイロン膜に移動させ、変性して、標的DNA配列と相同の放射性標識化DNAプローブとハイブリッド形成させた。以下に、図2に記載したゲルをサザンブロット分析にかけた結果を記載する。レーン1、3および5は、X−線フィルムに露光すると強いハイブリッド形成シグナルを示すが、レーン4および6は、確認できるシグナルを示さない。この感度のよい検出法は、明らかに、ビス(フェナントロリン)銅硫酸塩および過酸化水素の添加が、PCRの鋳型DNA増幅・検出力を抑制することを示す。さらに、レーン7は、所望の標的鋳型がない場合でもかなり強いハイブリッド形成シグナルがPCRにより生じることを示す。本発明が排除しようとする問題は、まさにこの種のコンタミネーション問題である。
実施例10
ビス(フェナントロリン)銅硫酸塩を使用するバイオ物質調製物の核酸コンタミネーション除去法
特に断らない限り、全ての工程は4℃で行う。1lの大腸菌(E.coli)細胞培養を500xgで15分間遠心分離する。上清をデカンテーションし、ペレットを秤量する。ここに記載する試薬の量は全て、大腸菌の湿重量1gに基づく。ペレットに、50mMのトリス−HCl(pH8.0)/1μMのEDTA/100mMのNaClを3ml添加する。次いで、50mMのフッ化フェニルメチルスルホニルを8μl、次いで10mg/mlのリゾチームを80μl添加する。次いで、4mgのデオキシコール酸を、攪拌を続けながら添加する。次いで、溶菌混合物を、ガラス棒を用いて37℃で手動により攪拌する。溶解物が粘性になると、10mMのビス(フェナントロリン)銅硫酸塩水溶液を15μl、次いで2Mの過酸化水素水溶液を10μl添加する。室温で30分以内に、その溶解物はもはや粘性でなくなる。遠心分離により細胞破片を除去した後、粗蛋白質は、標準クロマトグラフィーまたは沈澱法により精製することができる。
実施例11
LCRまたはPCR産物の不活性化
以下に、LCRまたはPCR産物が診断アッセイにどのように使用できるかを簡単に述べる。サンプル溶液中の標的DNAのLCRまたはPCRによる増幅、標的DNAのIMx装置による分析、ならびにIMx分析値を読み取った後のLCRまたはPCR増幅標的DNA(すなわち、LCRまたはPCR産物)の不活性化およびサンプル溶液の処分(disposal)を記載する。
サンプル溶液中の標的DNAを増幅するために、100μlのサンプル溶液を、好熱性酵素、標識化オリゴヌクレオチドプローブおよびLCRに必要な補因子を含む100μlのLCR緩衝液に添加する。LCRを行うための試薬および方法は、EP−A−439,182(前出)に開示されている。サンプル溶液は、スクリュキャップ付のシラン処理したEppendorf管に入っている。そのサンプル管をPerkin−Elmer M9600 thermal cycler(Perkin−Elmer,Norwalk,CT)の加熱ウェルに入れ、55℃〜85℃で40回サイクルする。温度は、セットした各温度で1分保持する。LCR DNA増幅工程をPCR DNA増幅工程で置き換えて、公知のPCR試薬および操作を使用することにより、PCRをこの工程で同様に使用することもできる。
サンプル中の増幅した標的DNAを分析するために、サンプル管をthermal cyclerから取り外し、IMx装置の反応セルのサンプルウェルに入れる。ここに記載するプロトコルは、反応ウェルの前希釈ウェルを使用しない。反応セルはIMx装置から取り外し可能であり、サンプルウェルおよびインキュベーションウェルを含む。IMx装置は、サンプル管を反応セル上に配置するために開けることができるフロントパネルを有する自己完備した装置である。次いで、フロントパネルを閉じると、分析が自動的に行われる。IMx装置のピペッティングアームがEppendorf管のキャップを貫通して、増幅した標的DNA産物(すなわち、LCRまたはPCR産物)を、標的DNAを検出するための試薬が添加された反応セルの適当な反応ウェルに分配する。ピペットにより反応混合物がガラス繊維捕獲マトリックスに移され、ここで、LCRまたはPCR産物と試薬との反応が蛍光シグナルを生じる。このシグナルは、IMx装置によって読み取られ、テスト結果がIMx装置に内蔵された装置によって表で示される。
各ピペッティング完了後、ピペットは自動的に2回洗浄される。市販のIMx装置は、ライン上の希釈剤緩衝液によりピペットを自動的に洗浄するための特徴を含む。簡単に述べると、ピペットがライン上の希釈剤緩衝液を含む容器に置かれると、緩衝液がピペットの中を流れる。次いで、ピペットが緩衝液を別の容器に排出する。この操作がもう一度繰り返されてピペットが洗浄される。
分析中、隣合うサンプル間のPCRまたはLCRのクロスコンタミネーションの量は、分析結果に対しては無視できる。クロスコンタミネーションが重要なのは、PCRまたはLCR産物が、後に増幅されるサンプルで、それが分析される前に汚染し、それによって、コンタミネーションが指数関数的に増加し、誤った結果を招く場合のみである。
テスト結果が得られると、LCRまたはPCR産物を不活性化する。不活性化工程は、IMx装置により自動的に行われる。10mMのビス(1,10−フェナントロリン)銅硫酸塩15μlおよび2Mの過酸化水素10μlがピペッティングアームにより各インキュベーションウェルおよびEppendorf管に添加される。この不活性化試薬混合物の一部は、分析中のサンプルのヌクレオチド配列のエーロゾル化および分散化の方法に従って、IMx装置内でエーロゾル化し、分散させることができる。次いで、この拡散した試薬混合物により、IMx装置内でエーロゾル化し、分散したヌクレオチド配列を不活性化することができる。分散した不活性化試薬混合物は、過酸化水素成分が約5分で蒸発するので、IMx装置に長くはとどまらず、従って、その混合物は、IMx装置に置かれた分析すべき次のバッチのサンプルの増幅した標的ヌクレオチド配列を不活性化または検出可能に不活性化しない。さらに、過酸化水素がたとえ蒸発しなくても、エーロゾル化した不活性化反応混合物は、分析すべき次のバッチのサンプルに比べて少量であるため、次のサンプルの増幅されたヌクレオチド配列を不活性化または検出可能に不活性化しない。
上記工程で不活性化されなかった残留LCRまたはPCR産物によりさらにコンタミネーションが生じるのを防ぐために、IMx装置は、次いで、Eppendorf管の上部を含む反応セル全体を、粘着テープにより自動的に密閉する。不活性化がかなり有効である場合は、反応セルを密閉しなくてもよい。
ついで、オペレータは、IMx装置のフロントパネルを開けて、使用したIMx反応セルを処分することができる。
本明細書で言及した刊行物および特許出願明細書は全て、参考として、それらが個々に参考として取り入れられてきたようにある程度に本明細書に取り入れるものとする。
本発明を明確にし、理解するために、上述した説明および実施例により本発明を詳細に説明したが、上記方法、試薬、キットおよび金属キレートは、ヌクレオチド配列を除去すべきどんな状況においても使用できることは明らかである。さらに、当業者の技術範囲内での種々の改良および変更は請求の範囲内であると考えられる。本明細書中の基本発明の明らかな変更を可能にする将来の技術的進歩も請求の範囲内である。

Claims (43)

  1. ヌクレオチド配列を、酸化剤と、下記のI、II、およびIII:
    Figure 0003545399
    [式中、Mは酸化−還元反応を触媒する金属を示す。]から成る群から選択される式を有するクラス1のピリジンキレート錯体ならびに下記IVおよびV:
    Figure 0003545399
    [式中、Mは酸化−還元反応を触媒する金属を示し、XはCl、Br、NO2、フェニル、メチル、アミドアセチル、アミドグリシルおよび水素から成る群から選択され、Lはルイス塩基である。]から成る群から選択される式を有するクラス2のフェナントロリンキレート錯体から成る群から選択される金属キレート錯体とにさらすことを包含し、且つ還元剤を添加することなく行うことを特徴とする、該ヌクレオチド配列を化学的に切断する方法。
  2. 金属キレート錯体が、下記IVおよびV
    Figure 0003545399
    [式中、Mは酸化−還元反応を触媒する金属を示し、XはCl、Br、NO2、フェニル、メチル、アミドアセチル、アミドグリシルおよび水素から成る群から選択され、Lはルイス塩基である。]から成る群から選択される式を有するクラス2のフェナントロリンキレート錯体であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 金属キレートがヌクレオチド配列の少なくとも約99.99%を化学的に切断することを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 金属キレート錯体がヌクレオチド配列の少なくとも約99.9999%を化学的に切断することを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 金属キレート錯体がヌクレオチド配列の少なくとも約99.999999%を化学的に切断することを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 該方法がヌクレオチド配列を約5塩基以下のフラグメントに切断することを特徴とする請求項2に記載の方法。
  7. 該方法がヌクレオチド配列を約2塩基以下のフラグメントに切断することを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. ヌクレオチド配列が核酸増幅反応条件下で増幅することができないような長さのフラグメントに切断されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  9. 該方法が、ヌクレオチド配列の複製および/または発現力を破壊することを特徴とする請求項2に記載の方法。
  10. Xが水素であり、Lが水またはアミンであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  11. 金属キレート錯体が下記I、IIおよびIII:
    Figure 0003545399
    [式中、Mは酸化−還元反応を触媒する金属を示す。]からなる群から選択される式を有するクラス1のピリジンキレート錯体であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  12. 金属キレート錯体がヌクレオチド配列の少なくとも約40%を化学的に切断することを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 金属キレート錯体がヌクレオチド配列を約10塩基以下のフラグメントに切断することを特徴とする請求項11に記載の方法。
  14. ヌクレオチド配列が核酸増幅反応条件下で増幅されることができないような長さのフラグメントに切断されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 該方法が、ヌクレオチド配列の複製および/または発現力を破壊することを特徴とする請求項13に記載の方法。
  16. 増幅された標的ヌクレオチド配列による持ち越しまたはクロスオーバーコンタミネーションを低減する増幅方法において、該方法が下記工程:
    (a)サンプル中の標的ヌクレオチド配列を増幅する工程;
    (b)サンプル中の増幅された標的ヌクレオチド配列を検出する工程;および
    (c)サンプルを酸化剤および請求項2に記載のクラス2のフェナントロリンキレート錯体にさらすことによりサンプル中の増幅されたヌクレオチド配列を化学的に切断する工程を含み、該切断が還元剤を添加することなく行われることを特徴とする前記方法。
  17. 該増幅工程がポリメラーゼ連鎖反応またはリガーゼ連鎖反応を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
  18. 増幅された標的ヌクレオチド配列が微粒子エンザイムイムノアッセイ法を使用して検出されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  19. 金属キレート錯体がヌクレオチド配列の少なくとも約99.99%を化学的に切断することを特徴とする請求項16に記載の方法。
  20. 金属キレート錯体がヌクレオチド配列の少なくとも約99.9999%を化学的に切断することを特徴とする請求項19に記載の方法。
  21. 金属キレート錯体がヌクレオチド配列の少なくとも約99.999999%を化学的に切断することを特徴とする請求項20に記載の方法。
  22. Mがニッケル、銅、鉄、亜鉛、ルテニウム、ロジウムおよびコバルトから成る群から選択されることを特徴とする請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. Mがニッケルまたは銅であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
  24. 酸化剤が過酸化物および過硫酸塩から成る群から選択されることを特徴とする請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
  25. 過酸化物および過硫酸塩が、オキソン、t−ブチル ヒドロペルオキシド、過酢酸、モノペルオキシフタル酸マグネシウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムおよび過酸化水素から成る群から選択されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
  26. 酸化剤が過酸化水素であることを特徴とする請求項25に記載の方法。
  27. クラス1または2の金属キレート錯体の対イオンが一価または二価の陰イオンであることを特徴とする請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
  28. 対イオンが塩化物、臭化物、硫酸、テトラフルオロホウ酸、テトラフェニルホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、硝酸および過塩素酸イオンから成る群から選択されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
  29. ヌクレオチド配列1モルにつき、1.8×10-1〜3.6×105モルの金属キレート錯体および2.4×101〜9.6×107モルの酸化剤があることを特徴とする請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
  30. ヌクレオチド配列1モルにつき、金属キレート錯体が約1.8×105モルであり、酸化剤が約2.4×107モルであることを特徴とする請求項29に記載の方法。
  31. 金属キレート錯体がビス(1,10−フェナントロリン)銅であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  32. 金属キレート錯体がビス(1,10−フェナントロリン)銅であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  33. 下記I、IIおよびIII:
    Figure 0003545399
    [式中、Mは酸化−還元反応を触媒する金属を示す。]からなる群から選択される式を有し且つその金属の対イオンを有するクラス1のピリジン金属キレート錯体。
  34. Mがニッケルまたは銅であることを特徴とする請求項33に記載のキレート錯体。
  35. a)酸化剤を含む容器;ならびに
    b)請求項33に記載のクラス1のピリジンキレート錯体および下記式IVおよびV:
    Figure 0003545399
    [式中、Mは酸化−還元反応を触媒する金属を示し、XはCl、Br、NO2、フェニル、メチル、アミドアセチル、アミドグリシルおよび水素から成る群から選択され、Lはルイス塩基である。]から成る群から選択される式を有し且つその金属の対イオンを有するクラス2のフェナントロリン金属キレート錯体から成る群から選択される金属キレート錯体を含む別の容器を含み、還元剤は含まない、還元剤を添加することなくヌクレオチド配列を化学的に切断するためのキット。
  36. 酸化剤が過酸化物または過硫酸塩であることを特徴とする請求項35に記載のキット。
  37. 酸化剤が、金属キレート錯体と混合するときの酸化剤の濃度が約150mM〜8Mであるような濃度であることを特徴とする請求項36に記載のキット。
  38. 酸化剤が過酸化水素であり、金属キレート錯体がビス(1,10−フェナントロリン)銅硫酸塩であることを特徴とする請求項37に記載のキット。
  39. ビス(1,10−フェナントロリン)銅硫酸塩が、過酸化水素と混合するときのキレート錯体の濃度が約15μM〜20mMであるような濃度であることを特徴とする請求項38に記載のキット。
  40. 金属キレート錯体が、酸化剤と混合するときのキレート錯体の濃度が約100nM〜20mMであるような濃度であることを特徴とする請求項35に記載のキット。
  41. 金属キレート錯体がクラス2の錯体であることを特徴とする請求項35に記載のキット。
  42. 金属キレート錯体がビス(1,10−フェナントロリン)銅硫酸塩であることを特徴とする請求項41に記載のキット。
  43. 金属キレート錯体がクラス1の錯体であることを特徴とする請求項35に記載のキット。
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