JP3545027B2 - 撚線機及び撚り戻し具 - Google Patents
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、撚り戻しが可能なように支持されたサプライボビンから供給される素線を撚り合せ部材に導くための回転自在なアーチ部材と、該アーチ部材に沿って走行する素線のガイド部材とを有する撚線機に関する。
【０００２】
【従来の技術】
撚り線を製造するための撚線機は、撚られる各素線にねじりが発生するため、ねじりを解放するための撚り抜き機構を有している。各種の撚線機のうち、筒型撚線機や籠型撚線機は、撚り戻しが可能なように支持されたサプライボビンから供給される素線が撚り合せ部材にストレートに近いラインで供給されるため、素線のガイド部材は最小限で済み、撚り戻しはスムーズに行われる。
【０００３】
ところが、上述したアーチ部材とガイド部材を有する弓型撚線機にあっては、素線はアーチ部材に沿ってアーチ状ラインを走行するため、多数のガイド部材で案内される構造になっている。そのため、筒型撚線機や籠型撚線機に比較して、サプライボビンから撚り合せ部材に至るまでの通過抵抗が大きくなるが、従来、この程度の通過抵抗は問題外として扱われてきた。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特に弓型撚線機にあっては、近年大型化が進み、太物から細物迄の広範囲の撚り線を製造するようになった。すると、細物にあっては必要以上にアーチ部材における走行距離が長くなり、多くのガイド部材を通過することで通過抵抗が大きくなりすぎる。通常ガイド部材は鼓型ローラをアーチ部材に所定間隔で軸支した構造であり、素線の撚り戻し時に鼓型ローラの底部で回転する必要があり、この時に通過抵抗が発生する。
【０００５】
また、大型化された弓型撚線機で、近年ＣＶＴ、ＣＶ、ＶＶＲ等の撚り線の撚り合わせを行うようになっており、これらの撚り線の素線は導体外周にビニール被覆がなされており、ローラ底部と素線の摩擦抵抗が大きく、撚り戻し時の回転に対する抵抗となる。上述したように、大型の弓型撚線機で８ｍｍ２ や１４ｍｍ２ の細物を撚り合わせると、通過抵抗が一層大きくなる。
【０００６】
通過抵抗が大きくなると、サプライボビンから撚り合せ部材に至る迄の撚り抜きが不十分となり、撚り線にしたときにうねりが発生するという問題点が発生するようになった。
【０００７】
本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、撚り戻しが完全に行われる弓型の撚線機及びそのための撚り戻し具を提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する撚線機は、撚り戻しが可能なように支持されたサプライボビンから供給される素線を撚り合せ部材に導くための回転自在なアーチ部材と、該アーチ部材に沿って走行する素線を案内するガイド部材とを有する撚線機であって、前記アーチ部材に前記ガイド部材を兼用する撚り戻し具が設けられ、前記撚り戻し具は、前記素線を案内する鼓型ローラと、該ローラを回転自在に軸支する第１軸と、前記第１軸内にあって第１軸の中心軸と交差する中心軸を有する第２軸とを有し、該第２軸と前記第１軸とは相対回転可能であると共に、前記素線の走行方向と前記ローラの案内方向とが所定角度で傾斜する所望の相対回転位置で相互に固定可能であり、前記第２軸で素線が走行する所望場所の前記アーチ部材に取り付けられ、前記素線の走行方向と前記ローラの案内方向とが所定角度で傾斜し、前記ローラと案内される素線との摩擦で撚り戻し力を生じさせるように構成されているものである。
【０００９】
より具体的な撚り戻し具としては、回転自在なアーチ部材に沿って走行する素線を案内する鼓型ローラと、該ローラを回転自在に軸支する第１軸と、該第１軸内にあって第１軸の中心軸と交差する中心軸を有する第２軸とを有し、該第２軸と前記第１軸とは相対回転可能であると共に、前記素線の走行方向と前記ローラの案内方向とが所定角度で傾斜する所望の相対回転位置で相互に固定可能であり、前記第２軸で素線が走行する所望場所の前記アーチ部材に取り付けられ、前記素線の走行方向と前記ローラの案内方向とが所定角度で傾斜し、前記ローラと案内される素線との摩擦で撚り戻し力を生じさせるようにしたものがある。
【００１０】
【作用】
アーチ部材に沿って走行する素線に対して、ガイド部材と共に撚り戻し具を設けることと、ガイド部材での素線の回転抵抗を相殺するように撚り戻し具が素線に回転力を付与し、１００％の撚り抜きとなる。
【００１１】
鼓型ローラを軸支する第１軸が支持のための第２軸に対して交差して設けられると、第２軸に対する第１軸の回転によって、鼓型ローラ案内方向と素線の走行方向とが所定角度で傾斜させることができ、所定角度に比例した撚り戻し力を生じさせる。
【００１２】
【実施例】
以下本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図１は、本発明の撚線機の要部を示す図であり、図２は、本発明の撚り戻し具を示す図である。
【００１３】
図１において、１，２はアーチ支持軸であり、スタンド３，４に軸受５を介して回転自在に支持されている。この支持軸の突出部１ａ，２ａに、一対の弓型アーチ部材６，７の両端が取り付けられている。このアーチ部材６，７はＵ字型断面を有しており、所定間隔でガイド部材兼用の撚り戻し具８が取り付けられている。
【００１４】
また、支持軸の中空部１ｂ，２ｂにはフライヤー支持軸９，１０が嵌入され、サプライボビン１１が軸支されるフライヤー１２がこのフライヤー支持軸９，１０に対して軸受１３を介して回転自在に支持されている。そして、アーチ部材６，７は支持軸１，２の駆動ギヤー１ｃ，２ｃの部分で回転駆動される。
【００１５】
図面右方の図示されないサプライボビンから供給された第１素線１４は、ガイド部材兼用の撚り戻し具８で案内されつつ、アーチ部材７に沿って走行して図外の撚り合わせ部材に進行する。フライヤー１２に支持されたサプライボビン１１から供給される第２素線１５はフライヤー支持軸１０の中心を通り、ガイドローラ１７を通過して図外の撚り合わせ部材に進行する。
【００１６】
つぎに、ガイド部材兼用の撚り戻し具８の構造を図２により説明する。図２（ａ）は側面図、図２（ｂ）は断面図である。
【００１７】
鼓型ローラ２１は第１軸２２に軸受２３を介して回転自在に軸支され、この第１軸２２の両端側には斜めにカットされたフランジ２４が止めボルト２５で固定されており、第１軸２２の両端はフランジ２４と平面になるように斜めにカットされている。更に、この第１軸２２には貫通孔２６が加工されており、この貫通孔２６に第２軸２７が嵌入されている。特に第１軸２２の中心線２８と第２軸２７の中心線２９とは中心Ｏで角度θを有するように交差している。
【００１８】
第２軸２７の両端側にはナット３０が螺合できるようになっており、アーチ部材６を第１軸２２の両端に挟み込むように締め付けて第１軸２２と第２軸２７の相対回転位置を固定する。図示例は、鼓型ローラ２１が最も傾いた状態（角度θ）を示しているが、ナット３０を緩めると、第１軸２２が第２軸２７に対して相対回転可能になり、傾斜角度はプラスθからマイナスθまでの間の任意に設定できる。θがゼロの場合には、素線１４の走行方法Ａと鼓型ローラ１２の案内方向Ｂとが一致する。
【００１９】
さらに、上述したガイド部材兼用の撚り戻し具８の作動を図３により説明する。図３（ａ）は鼓型ローラ２１が傾斜した場合、図３（ｂ）は鼓型ローラ２１が傾斜しない場合を示している。図３（ｂ）の場合には、素線１４は鼓型ローラ２１の湾曲部分の底部で案内され、鼓型ローラ２１は矢印ｂの方向に回転する。ところで、素線１４は矢印ｃの方向に撚り戻しが必要であるとすると、素線１４は鼓型ローラ２１の底部で滑りながら回転することになる。そのため、素線１４と底部の摩擦によって撚り戻しが不十分になる場合がある。
【００２０】
図３（ａ）の場合には、素線の走行方向Ａと鼓型ローラ２１の案内方向Ｂとが角度θだけ傾斜している。素線１４の走行によって鼓型ローラ２１が矢印ｂの方向に回転するのは同様であるが、案内方向Ｂが走行方向Ａに対して傾いているため、素線１４は矢印ｄのように鼓型ローラ２１の底部を駈け上がろうとする。しかし、鼓型ローラ２１の底部で案内されているため、素線１４は矢印ｃの方向に回転することで底部に落ち着く。すなわち、素線１４には矢印ｃの積極的な回転力が付与される。これによって、鼓型ローラ２１の底部と素線１４の滑りがなくなり、摩擦力が働かず、完全な撚り戻しが行われる。
【００２１】
この傾斜角度θは素線の太さや素線表面の材質によって適切な値があり、調整される。この調整は、図２のナット３０を緩め、第１軸２２を第２軸２７に対して相対回転させるだけで、プラスθ〜ゼロ〜マイナスθまで簡単に変更できる。例えば撚り方向が逆になると、マイナス方向に傾ける。
【００２２】
上述した撚り戻し具８はガイド部材兼用であるが、図３（ｂ）の如き固定的なガイドの中間に斜めのストレートローラを適宜配置する撚り戻し具とすることもできるが、アーチ部材に取り付ける部品の数が多くなる。したがって、ガイド部材兼用の撚り戻し具８は取り付け部品の数を増やすことなく、１００％撚り抜きを達成できる簡便な構造である。
【００２３】
つぎに、上述した撚線機が適用される撚線システムの一例を図４により説明する。このシステムは、第０サプライボビン１０１と、機内ボビン１０２と第２撚線機１０３とを連設した二度撚り機である。そして、機内ボビン１０３の先に介在撚り込み機１０４と、撚り合せ部材１０５と、テーピング１０６と、計尺装置１０７と、引取装置１０８と、巻取装置１１０とが連設されている。
【００２４】
特に、二度撚りのように、アーチ部材で案内される素線の距離が長いと、大型機であるにも係わらず細物を撚り合わせる場合や、素線の被覆がビニールである場合には、撚り戻しが不十分になりがちであるが、本発明の撚り戻し具を用いると、１００％の撚り戻しが実現できる。
【００２５】
【発明の効果】
上記本発明の撚線機は、アーチ部材に沿って素線を走行させる多数のカイド部材での回転抵抗が撚り戻し具の積極的な撚り戻しで相殺され、完全な撚り戻しが達成されるので、大型の弓型撚線機で細物を撚り合わせる場合や外周がビニール被覆された素線を撚り合わせる場合であって、撚り戻しが不十分になりやすい場合であっても、うねりの無い高品質の撚り線を製造することができ、大型の弓型撚線機の加工範囲を広げることができる。
【００２６】
また、本発明の撚り戻し具は、素線のガイドと撚り戻しとして兼用する構造であって、従来のガイド部材の部位に設けることができ、特別の設置場所を用意する必要がなく実用的である。また、鼓型ローラ案内方向と素線の走行方向との傾斜角度で決まる撚り戻し具の撚り戻し程度は、第２軸に対する第１軸の回転によって簡単にでき、加工すべき撚り線に性質に応じて容易に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の撚線機の要部を示す図である。
【図２】本発明の撚り戻し具を示す図である。
【図３】撚り戻し具の作動を示す図である。
【図４】本発明の撚線機が適用される撚線システムのライン構成図である。
【符号の説明】
６，７ アーチ部材
８ ガイド部材兼用の撚り戻し具
１１ サプライボビン
２１ 鼓型ローラ
２２ 第１軸
２７ 第２軸
１０５ 撚り合せ部材
Ａ 走行方向
Ｂ 案内方向
θ 傾斜角度
【産業上の利用分野】
本発明は、撚り戻しが可能なように支持されたサプライボビンから供給される素線を撚り合せ部材に導くための回転自在なアーチ部材と、該アーチ部材に沿って走行する素線のガイド部材とを有する撚線機に関する。
【０００２】
【従来の技術】
撚り線を製造するための撚線機は、撚られる各素線にねじりが発生するため、ねじりを解放するための撚り抜き機構を有している。各種の撚線機のうち、筒型撚線機や籠型撚線機は、撚り戻しが可能なように支持されたサプライボビンから供給される素線が撚り合せ部材にストレートに近いラインで供給されるため、素線のガイド部材は最小限で済み、撚り戻しはスムーズに行われる。
【０００３】
ところが、上述したアーチ部材とガイド部材を有する弓型撚線機にあっては、素線はアーチ部材に沿ってアーチ状ラインを走行するため、多数のガイド部材で案内される構造になっている。そのため、筒型撚線機や籠型撚線機に比較して、サプライボビンから撚り合せ部材に至るまでの通過抵抗が大きくなるが、従来、この程度の通過抵抗は問題外として扱われてきた。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特に弓型撚線機にあっては、近年大型化が進み、太物から細物迄の広範囲の撚り線を製造するようになった。すると、細物にあっては必要以上にアーチ部材における走行距離が長くなり、多くのガイド部材を通過することで通過抵抗が大きくなりすぎる。通常ガイド部材は鼓型ローラをアーチ部材に所定間隔で軸支した構造であり、素線の撚り戻し時に鼓型ローラの底部で回転する必要があり、この時に通過抵抗が発生する。
【０００５】
また、大型化された弓型撚線機で、近年ＣＶＴ、ＣＶ、ＶＶＲ等の撚り線の撚り合わせを行うようになっており、これらの撚り線の素線は導体外周にビニール被覆がなされており、ローラ底部と素線の摩擦抵抗が大きく、撚り戻し時の回転に対する抵抗となる。上述したように、大型の弓型撚線機で８ｍｍ２ や１４ｍｍ２ の細物を撚り合わせると、通過抵抗が一層大きくなる。
【０００６】
通過抵抗が大きくなると、サプライボビンから撚り合せ部材に至る迄の撚り抜きが不十分となり、撚り線にしたときにうねりが発生するという問題点が発生するようになった。
【０００７】
本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、撚り戻しが完全に行われる弓型の撚線機及びそのための撚り戻し具を提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する撚線機は、撚り戻しが可能なように支持されたサプライボビンから供給される素線を撚り合せ部材に導くための回転自在なアーチ部材と、該アーチ部材に沿って走行する素線を案内するガイド部材とを有する撚線機であって、前記アーチ部材に前記ガイド部材を兼用する撚り戻し具が設けられ、前記撚り戻し具は、前記素線を案内する鼓型ローラと、該ローラを回転自在に軸支する第１軸と、前記第１軸内にあって第１軸の中心軸と交差する中心軸を有する第２軸とを有し、該第２軸と前記第１軸とは相対回転可能であると共に、前記素線の走行方向と前記ローラの案内方向とが所定角度で傾斜する所望の相対回転位置で相互に固定可能であり、前記第２軸で素線が走行する所望場所の前記アーチ部材に取り付けられ、前記素線の走行方向と前記ローラの案内方向とが所定角度で傾斜し、前記ローラと案内される素線との摩擦で撚り戻し力を生じさせるように構成されているものである。
【０００９】
より具体的な撚り戻し具としては、回転自在なアーチ部材に沿って走行する素線を案内する鼓型ローラと、該ローラを回転自在に軸支する第１軸と、該第１軸内にあって第１軸の中心軸と交差する中心軸を有する第２軸とを有し、該第２軸と前記第１軸とは相対回転可能であると共に、前記素線の走行方向と前記ローラの案内方向とが所定角度で傾斜する所望の相対回転位置で相互に固定可能であり、前記第２軸で素線が走行する所望場所の前記アーチ部材に取り付けられ、前記素線の走行方向と前記ローラの案内方向とが所定角度で傾斜し、前記ローラと案内される素線との摩擦で撚り戻し力を生じさせるようにしたものがある。
【００１０】
【作用】
アーチ部材に沿って走行する素線に対して、ガイド部材と共に撚り戻し具を設けることと、ガイド部材での素線の回転抵抗を相殺するように撚り戻し具が素線に回転力を付与し、１００％の撚り抜きとなる。
【００１１】
鼓型ローラを軸支する第１軸が支持のための第２軸に対して交差して設けられると、第２軸に対する第１軸の回転によって、鼓型ローラ案内方向と素線の走行方向とが所定角度で傾斜させることができ、所定角度に比例した撚り戻し力を生じさせる。
【００１２】
【実施例】
以下本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図１は、本発明の撚線機の要部を示す図であり、図２は、本発明の撚り戻し具を示す図である。
【００１３】
図１において、１，２はアーチ支持軸であり、スタンド３，４に軸受５を介して回転自在に支持されている。この支持軸の突出部１ａ，２ａに、一対の弓型アーチ部材６，７の両端が取り付けられている。このアーチ部材６，７はＵ字型断面を有しており、所定間隔でガイド部材兼用の撚り戻し具８が取り付けられている。
【００１４】
また、支持軸の中空部１ｂ，２ｂにはフライヤー支持軸９，１０が嵌入され、サプライボビン１１が軸支されるフライヤー１２がこのフライヤー支持軸９，１０に対して軸受１３を介して回転自在に支持されている。そして、アーチ部材６，７は支持軸１，２の駆動ギヤー１ｃ，２ｃの部分で回転駆動される。
【００１５】
図面右方の図示されないサプライボビンから供給された第１素線１４は、ガイド部材兼用の撚り戻し具８で案内されつつ、アーチ部材７に沿って走行して図外の撚り合わせ部材に進行する。フライヤー１２に支持されたサプライボビン１１から供給される第２素線１５はフライヤー支持軸１０の中心を通り、ガイドローラ１７を通過して図外の撚り合わせ部材に進行する。
【００１６】
つぎに、ガイド部材兼用の撚り戻し具８の構造を図２により説明する。図２（ａ）は側面図、図２（ｂ）は断面図である。
【００１７】
鼓型ローラ２１は第１軸２２に軸受２３を介して回転自在に軸支され、この第１軸２２の両端側には斜めにカットされたフランジ２４が止めボルト２５で固定されており、第１軸２２の両端はフランジ２４と平面になるように斜めにカットされている。更に、この第１軸２２には貫通孔２６が加工されており、この貫通孔２６に第２軸２７が嵌入されている。特に第１軸２２の中心線２８と第２軸２７の中心線２９とは中心Ｏで角度θを有するように交差している。
【００１８】
第２軸２７の両端側にはナット３０が螺合できるようになっており、アーチ部材６を第１軸２２の両端に挟み込むように締め付けて第１軸２２と第２軸２７の相対回転位置を固定する。図示例は、鼓型ローラ２１が最も傾いた状態（角度θ）を示しているが、ナット３０を緩めると、第１軸２２が第２軸２７に対して相対回転可能になり、傾斜角度はプラスθからマイナスθまでの間の任意に設定できる。θがゼロの場合には、素線１４の走行方法Ａと鼓型ローラ１２の案内方向Ｂとが一致する。
【００１９】
さらに、上述したガイド部材兼用の撚り戻し具８の作動を図３により説明する。図３（ａ）は鼓型ローラ２１が傾斜した場合、図３（ｂ）は鼓型ローラ２１が傾斜しない場合を示している。図３（ｂ）の場合には、素線１４は鼓型ローラ２１の湾曲部分の底部で案内され、鼓型ローラ２１は矢印ｂの方向に回転する。ところで、素線１４は矢印ｃの方向に撚り戻しが必要であるとすると、素線１４は鼓型ローラ２１の底部で滑りながら回転することになる。そのため、素線１４と底部の摩擦によって撚り戻しが不十分になる場合がある。
【００２０】
図３（ａ）の場合には、素線の走行方向Ａと鼓型ローラ２１の案内方向Ｂとが角度θだけ傾斜している。素線１４の走行によって鼓型ローラ２１が矢印ｂの方向に回転するのは同様であるが、案内方向Ｂが走行方向Ａに対して傾いているため、素線１４は矢印ｄのように鼓型ローラ２１の底部を駈け上がろうとする。しかし、鼓型ローラ２１の底部で案内されているため、素線１４は矢印ｃの方向に回転することで底部に落ち着く。すなわち、素線１４には矢印ｃの積極的な回転力が付与される。これによって、鼓型ローラ２１の底部と素線１４の滑りがなくなり、摩擦力が働かず、完全な撚り戻しが行われる。
【００２１】
この傾斜角度θは素線の太さや素線表面の材質によって適切な値があり、調整される。この調整は、図２のナット３０を緩め、第１軸２２を第２軸２７に対して相対回転させるだけで、プラスθ〜ゼロ〜マイナスθまで簡単に変更できる。例えば撚り方向が逆になると、マイナス方向に傾ける。
【００２２】
上述した撚り戻し具８はガイド部材兼用であるが、図３（ｂ）の如き固定的なガイドの中間に斜めのストレートローラを適宜配置する撚り戻し具とすることもできるが、アーチ部材に取り付ける部品の数が多くなる。したがって、ガイド部材兼用の撚り戻し具８は取り付け部品の数を増やすことなく、１００％撚り抜きを達成できる簡便な構造である。
【００２３】
つぎに、上述した撚線機が適用される撚線システムの一例を図４により説明する。このシステムは、第０サプライボビン１０１と、機内ボビン１０２と第２撚線機１０３とを連設した二度撚り機である。そして、機内ボビン１０３の先に介在撚り込み機１０４と、撚り合せ部材１０５と、テーピング１０６と、計尺装置１０７と、引取装置１０８と、巻取装置１１０とが連設されている。
【００２４】
特に、二度撚りのように、アーチ部材で案内される素線の距離が長いと、大型機であるにも係わらず細物を撚り合わせる場合や、素線の被覆がビニールである場合には、撚り戻しが不十分になりがちであるが、本発明の撚り戻し具を用いると、１００％の撚り戻しが実現できる。
【００２５】
【発明の効果】
上記本発明の撚線機は、アーチ部材に沿って素線を走行させる多数のカイド部材での回転抵抗が撚り戻し具の積極的な撚り戻しで相殺され、完全な撚り戻しが達成されるので、大型の弓型撚線機で細物を撚り合わせる場合や外周がビニール被覆された素線を撚り合わせる場合であって、撚り戻しが不十分になりやすい場合であっても、うねりの無い高品質の撚り線を製造することができ、大型の弓型撚線機の加工範囲を広げることができる。
【００２６】
また、本発明の撚り戻し具は、素線のガイドと撚り戻しとして兼用する構造であって、従来のガイド部材の部位に設けることができ、特別の設置場所を用意する必要がなく実用的である。また、鼓型ローラ案内方向と素線の走行方向との傾斜角度で決まる撚り戻し具の撚り戻し程度は、第２軸に対する第１軸の回転によって簡単にでき、加工すべき撚り線に性質に応じて容易に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の撚線機の要部を示す図である。
【図２】本発明の撚り戻し具を示す図である。
【図３】撚り戻し具の作動を示す図である。
【図４】本発明の撚線機が適用される撚線システムのライン構成図である。
【符号の説明】
６，７ アーチ部材
８ ガイド部材兼用の撚り戻し具
１１ サプライボビン
２１ 鼓型ローラ
２２ 第１軸
２７ 第２軸
１０５ 撚り合せ部材
Ａ 走行方向
Ｂ 案内方向
θ 傾斜角度
Claims (2)
- 撚り戻しが可能なように軸支されたサプライボビンから供給される素線を撚り合せ部材に導くための回転自在なアーチ部材と、該アーチ部材に沿って走行する素線を案内するガイド部材とを有する撚線機であって、前記アーチ部材に前記ガイド部材を兼用する撚り戻し具が設けられ、前記撚り戻し具は、前記素線を案内する鼓型ローラと、該ローラを回転自在に軸支する第１軸と、前記第１軸内にあって第１軸の中心軸と交差する中心軸を有する第２軸とを有し、該第２軸と前記第１軸とは相対回転可能であると共に、前記素線の走行方向と前記ローラの案内方向とが所定角度で傾斜する所望の相対回転位置で相互に固定可能であり、前記第２軸で素線が走行する所望場所の前記アーチ部材に取り付けられ、前記素線の走行方向と前記ローラの案内方向とが所定角度で傾斜し、前記ローラと案内される素線との摩擦で撚り戻し力を生じさせるように構成されていること特徴とする撚線機。
- 回転自在なアーチ部材に沿って走行する素線を案内する鼓型ローラと、該ローラを回転自在に軸支する第１軸と、該第１軸内にあって第１軸の中心軸と交差する中心軸を有する第２軸とを有し、該第２軸と前記第１軸とは相対回転可能であると共に、前記素線の走行方向と前記ローラの案内方向とが所定角度で傾斜する所望の相対回転位置で相互に固定可能であり、前記第２軸で素線が走行する所望場所の前記アーチ部材に取り付けられ、前記素線の走行方向と前記ローラの案内方向とが所定角度で傾斜し、前記ローラと案内される素線との摩擦で撚り戻し力を生じさせるようにした撚り戻し具。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP34492493A JP3545027B2 (ja) | 1993-12-20 | 1993-12-20 | 撚線機及び撚り戻し具 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP34492493A JP3545027B2 (ja) | 1993-12-20 | 1993-12-20 | 撚線機及び撚り戻し具 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07176229A JPH07176229A (ja) | 1995-07-14 |
| JP3545027B2 true JP3545027B2 (ja) | 2004-07-21 |
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ID=18373062
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP34492493A Expired - Fee Related JP3545027B2 (ja) | 1993-12-20 | 1993-12-20 | 撚線機及び撚り戻し具 |
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-
1993
- 1993-12-20 JP JP34492493A patent/JP3545027B2/ja not_active Expired - Fee Related
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|---|---|
| JPH07176229A (ja) | 1995-07-14 |
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