JP3545016B2 - 電位治療器の電源装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は電位治療器の電源装置に関し、特に被治療者に高電圧を印加した際に、被治療者に正常時の電流値以上の電流が流れた場合の安全機能を図り得る電源装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
肩凝りなどの治療法として高電圧を利用する物理療法が知られており、その治療器が市販されている。この治療器は例えば図7に示すように絶縁シート1上に、シート状帯電板2が座部におかれた椅子3をおき、この上に被治療者4を座らせて帯電板2と接地間に交流電源5の交流電圧を高圧トランス6により高電圧、例えば5000〜12000Vとして帯電板2に印加して行うものである。
なお、前記椅子3をベッドに変えベッド用帯電板上に被治療者を寝かせて、治療することもある。
この電位治療器は高電圧を印加するものであるため、絶縁性を高くして被治療者に電流を流さないようにするか、極めて微弱な電流に抑制をする必要がある。
【0003】
そこで従来は、図8に示すように、交流電源5の交流電圧を高圧トランス6により高電圧に変換して被治療者に印加するシート状帯電板2に加えられるが、高圧トランス6の2次側に高抵抗7を挿入して被治療者に流れる電流を制限しようとするものである。
また、図9に示すように、高圧トランス6の1次側にヒューズ8を設け、被治療者に過大な電流(過電流)が流れた場合にはこのヒューズ8を溶断して電源回路を遮断しようとするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図8の高圧トランス6の2次側に高抵抗7を挿入する回路では、電源部から帯電板2まで導かれるコードや帯電板2と接地間の、対地容量により印加電圧がドロップして十分な高電圧が得られないという問題がある。
また、図9の高圧トランス6の1次側にヒューズ8を設ける回路では、被治療者に高電圧を印加していた状態から電源を切断することにより、一気に解放されるものであるため、被治療者にショックを与えるという問題がある。即ち被治療者に高電圧を印加する場合、或いは高電圧印加状態から解放する場合は、電圧を徐々に上げたり下げるようにすることが安全性の点から好ましいからである。また、微小な電流変化でヒューズ8の溶断を制御することは極めて困難であり、安全性の点でも問題があり、かつヒューズ8を新規なものに交換するなど、回路の動作回復が繁雑になるという問題がある。
本発明は、このような従来回路の問題を解決するために成されたものであり、帯電板と接地間に規定以上の電流が流れた場合にこれを検知し、安全な電流値まで減少せしめるようにしたものである。以下図面を用いて詳細に説明する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の電位治療器の電源装置は、絶縁状態にある人体に高電圧を印加して、治療を行う電位治療器の電源装置において、前記電源装置の高圧トランスの1次側に該1次側に流れる電流値を所定の電流値とそれ以下の電流値とに切換え可能に設けられた抵抗回路と、前記高圧トランスの2次側に正常時に流れる電流値以上の電流が流れた場合にこの過電流を検出する過電流検出回路と、この過電流検出回路の出力で前記抵抗回路を正常状態接続から異常状態接続に切替える切替回路とを備え、電位治療を行う被治療者に異常電流が流れたとき、直ちに前記高圧トランスの出力電流を低減させるようにしたものである。
【0006】
また本発明の他の電位治療器の電源装置は、絶縁状態にある人体に高電圧を印加して、治療を行う電位治療器の電源装置において、前記電源装置の高圧トランスの1次側に該1次側に流れる電流値を所定の電流値とそれ以下の電流値とに切換え可能に設けられた1次側入力電圧制御回路と、前記高圧トランスの2次側に正常時に流れる電流値以上の電流が流れた場合にこの過電流を検出する過電流検出回路と、この過電流検出回路の出力で前記1次側入力電圧制御回路を正常状態接続から異常状態接続に切替える切替回路とを備え、電位治療を行う被治療者に異常電流が流れたとき、直ちに前記高圧トランスの出力電流を低減させるようにしたものである。
【0007】
また本発明の他の電位治療器の電源装置は、絶縁状態にある人体に高電圧を印加して、治療を行う電位治療器の電源装置において、前記電源装置の高圧トランスの1次側に該1次側に流れる電流値を所定の電流値とそれ以下の電流値とに切換え可能に設けられた抵抗回路と、前記人体に異常電流が流れて前記高圧トランスの2次側の電流波形の位相が正常状態における電流波形の位相に対してズレを生じたことによる出力電圧変化を検出する位相検波回路と、この位相検波回路の出力で前記抵抗回路を正常状態接続から異常状態接続に切替える切替回路とを備え、電位治療を行う被治療者に異常電流が流れたとき、直ちに前記高圧トランスの出力電流を低減させるようにしたものである。
【0008】
【実施例】
図1は本発明の実施例の回路図で、9は電流検出用の電流トランス、10は増幅器、11はコンパレータ、12は基準電圧回路、13は高圧トランス6の1次側に設けられた電流制御用の抵抗回路14を切替えるスイッチ131の駆動回路である。なお、帯電板2,交流電源5および高圧トランス6は図7の従来例で示したものと同様である。
この回路において、絶縁シート上に設けられた帯電板2に被治療者が腰掛け電位治療が行われている場合、高圧トランス6の2次側の電流を電流トランス9で検出し、これを増幅器10で増幅してその出力電圧と基準電圧回路12の基準電圧とをコンパレータ11で比較し、被治療者に正常状態で流れる電流に相当する電圧、即ち基準電圧以下であれば、コンパレータ11は出力信号を送出しないため、スイッチ131の駆動回路13は不動作状態であり、高圧トランス6の1次側に正常な電流を流す端子aにスイッチ131が接続されている状態が維持される。
【0009】
この電位治療中に、例えば、被治療者の手や足などが絶縁シート上にない家具や家屋構造物(柱、床)等の物体に触れた場合、正常状態時の電流値以上の電流(過電流)が被治療者に流れ危険な状態となる。しかし、この過電流が電流トランス9で検出され、これが基準電圧以上になるとコンパレータ11動作し、その出力でスイッチ131の駆動回路13を動作させて、スイッチ131は端子b(破線側)に接続されることにより、抵抗回路14が挿入されて1次側および2次側に流れる電流を減少させ、被治療者に流れていた過電流を低減し、被治療者を危険状態から安全状態にすることができる。
なお、スイッチ131とその駆動回路13としては、リレー回路や電子的スイッチ回路等で構成されるものである。
また、被治療者に過電流が流れたことに基づく高圧トランス6の1次側の電流低減制御にかえて、図2に示すように、高圧トランス6の1次側に降圧用トランス60を設け、そのタップc,dを駆動回路13により動作するスイッチ132で切替えて1次側入力電圧を制御したり、或いは図3に示すように、高圧トランス61の1次側巻線に中間タップを設け、そのタップe、fを駆動回路13により動作するスイッチ133で切替えて1次側入力電圧を制御するようにしてもよい。
【0010】
図4は本発明の他の実施例を示すもので、図1に示した実施例との相違点は、過電流の電流検出回路等を高圧トランス6の1次側にも設けたものである。即ち、正常状態においては、高圧トランス6の2次側における電流検出と同様に、1次側に設けられた電流トランス15で基準電圧回路18の基準電圧に相当する電流以下が検出されるため、コンパレータ17は出力を停止しており、スイッチ191の駆動回路19は不動作状態にあるため、スイッチ191は端子gに接続れ、前記した高圧トランス6の2次側の電流検出によって制御されるスイッチ131の端子aを介して正常な電流が流されている。
しかし、例えば高圧トランス6の巻線にレーアショウトが生じ、高圧トランス6の1次側に過電流が流れた場合、これが電流トランス15で検出され、コンパレータ17の入力部において基準電圧以上の電圧になるため、コンパレータ17が動作して駆動回路19を動作させて、端子h(破線側)にスイッチ191を接続して抵抗回路14を挿入し、1次側および2次側に流れる電流を減少させることができる。
従って、図4の実施例は、高圧トランス6の1次側または2次側のいずれで過電流が生じた場合にも、電流を減少させ得ることができる。
なお、被治療者や高圧トランス6の1次側に過電流が流れた場合、この過電流検知による高圧トランス6の1次側の電流低減制御にかえて、図2または図3に示した1次側入力電圧制御回路を切替えて制御するようにしてもよい。
【0011】
図5は本発明の他の実施例を示すもので、高圧トランス6の2次側に正常な電流が流れている場合と、過電流が流れた場合との電流波形の位相差を検出して、高圧トランス6の1次側に設けてある抵抗回路を切り替えるようにしたものである。
図5において、20は移相回路、21は位相検波回路、22はリング復調器である。なお、その他の回路構成は、図1の実施例に示した符号と同一のものは、同一の構成を示している。この実施例は、高圧トランス6の2次側の被治療者に正常な微弱な電流が流れている状態は、帯電板2と被治療者である人体とはアースに対して回路が容量性になっている。しかし、前述したように被治療者の一部が絶縁シート上にない物体に触れた場合には、その接触箇所を通じて過電流が流れ、絶縁不良等の抵抗のように回路が抵抗性になるため、前記した正常な場合である容量性の回路との間で電流の位相に変化が現れる。
【0012】
即ち、正常な場合の電流と、異常な場合の90°位相が異なる電流の大きさを検出するようにしたものである。この位相にズレによる電流の変化を位相検波回路21で検出して、図1の実施例と同様にコンパレータ11で基準電圧回路12の基準電圧と比較し、基準電圧以上になった場合にコンパレータ11の出力でスイッチ131の駆動回路13を動作させて、スイッチ131は端子b(破線側)に接続して抵抗回路14を挿入するようにしたものである。
この位相検波回路21での位相のズレを確実に検出できるようにするため、被治療者に正常な電流が流れている状態、即ち容量性の回路状態にある場合の感度が最低になるよう移相回路20で調整する。なお、位相検波回路21の出力電流波形は、例えば図6(a)(b)のようになる。図6(a)は被治療者に正常な電流が流れている状態、図6(b)は被治療者に異常な電流が流れた場合の状態をそれぞれ示している。
なお、この実施例においても被治療者に過電流が流れた場合の制御を、前述したと同様に図2または図3に示した1次側入力電圧制御回路を切替えて制御してもよい。
【0013】
【発明の効果】
本発明は前述したように、被治療者に異常電流が流れた場合に直ちにこれを確実に検出すると共に、この被治療者に流れる異常電流を安全な電流値まで減少させるものであるため、従来装置のように異常電流が流れる状態になった場合においても安全性を確保するために、正常な場合の電位治療の効果を犠牲にすることがなく、また、異常電流が流れた際に電源を切断することにより被治療者にショックを与えるようなこともなく、電位治療器としての機能を損なうことなく安全性が高められるもので、電位治療器の電源装置として優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例回路図である。
【図2】本発明の他の実施例回路図である。
【図3】本発明の他の実施例回路図である。
【図4】本発明の他の実施例回路図である。
【図5】本発明の他の実施例回路図である。
【図6】本発明の図5で示した実施例における位相検波回路の出力波形図である。
【図7】従来の一般的電位治療器の電源装置の回路図である。
【図8】従来の安全機能を用いた回路図である。
【図9】従来の他の安全機能を用いた回路図である。
【符号の説明】
1 絶縁シート
2 電極板
3 椅子
4 被治療者
5 交流電源
6,60 高圧トランス
7,14 抵抗
8 ヒューズ
9,15 電流トランス
10,16 増幅器
11,17 コンパレータ
12,18 基準電圧回路
13,19 スイッチの駆動回路
20 移相回路
21 位相検波回路
22 リング復調器
131,132,133,191 スイッチ
61 降圧用トランス
Claims (5)
- 絶縁状態にある人体に高電圧を印加して、治療を行う電位治療器の電源装置において、前記電源装置の高圧トランスの1次側に該1次側に流れる電流値を所定の電流値とそれ以下の電流値とに切換え可能に設けられた抵抗回路と、前記高圧トランスの2次側に正常時に流れる電流値以上の電流が流れた場合にこの過電流を検出する過電流検出回路と、この過電流検出回路の出力で前記抵抗回路を正常状態接続から異常状態接続に切替える切替回路とを備え、電位治療を行う被治療者に異常電流が流れたとき、直ちに前記高圧トランスの出力電流を低減させるようにしたことを特徴とする電位治療器の電源装置。
- 絶縁状態にある人体に高電圧を印加して、治療を行う電位治療器の電源装置において、前記電源装置の高圧トランスの1次側に該1次側に流れる電流値を所定の電流値とそれ以下の電流値とに切換え可能に設けられた1次側入力電圧制御回路と、前記高圧トランスの2次側に正常時に流れる電流値以上の電流が流れた場合にこの過電流を検出する過電流検出回路と、この過電流検出回路の出力で前記1次側入力電圧制御回路を正常状態接続から異常状態接続に切替える切替回路とを備え、電位治療を行う被治療者に異常電流が流れたとき、直ちに前記高圧トランスの出力電流を低減させるようにしたことを特徴とする電位治療器の電源装置。
- 前記高圧トランスの1次側に正常時に流れる電流値以上の電流が流れた場合にこの過電流を検出する過電流検出回路を設け、この過電流検出回路の出力で回路を正常状態接続から異常状態接続に切替え得るようにした請求項1または請求項2に記載の電位治療器の電源装置。
- 絶縁状態にある人体に高電圧を印加して、治療を行う電位治療器の電源装置において、前記電源装置の高圧トランスの1次側に該1次側に流れる電流値を所定の電流値とそれ以下の電流値とに切換え可能に設けられた抵抗回路と、前記人体に異常電流が流れて前記高圧トランスの2次側の電流波形の位相が正常状態における電流波形の位相に対してズレを生じたことによる出力電圧変化を検出する位相検波回路と、この位相検波回路の出力で前記抵抗回路を正常状態接続から異常状態接続に切替える切替回路とを備え、電位治療を行う被治療者に異常電流が流れたとき、直ちに前記高圧トランスの出力電流を低減させるようにしたことを特徴とする電位治療器の電源装置。
- 絶縁状態にある人体に高電圧を印加して、治療を行う電位治療器の電源装置において、前記電源装置の高圧トランスの1次側に該1次側に流れる電流値を所定の電流値とそれ以下の電流値とに切換え可能に設けられた1次側入力電圧制御回路と、前記人体に異常電流が流れて前記高圧トランスの2次側の電流波形の位相が正常状態における電流波形の位相に対してズレを生じたことによる出力電圧変化を検出する位相検波回路と、この位相検波回路の出力で前記1次側入力電圧制御回路を正常状態接続から異常状態接続に切替える切替回路とを備え、電位治療を行う被治療者に異常電流が流れたとき、直ちに前記高圧トランスの出力電流を低減させるようにしたことを特徴とする電位治療器の電源装置。
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