JP3544647B2 - 光ファイバ位置決め部品及び光コネクタフェルール - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光コネクタ、光ファイバアレイ等の一部分を構成する光ファイバ位置決め部品とそれを使った光コネクタフェルールに関する。
【0002】
【従来の技術】
光コネクタ、光ファイバアレイ等では、複数の光ファイバを精密な寸法間隔で配列させて固定するための光ファイバ位置決め部品がそれら製品の構成部分の一部分として用いられている。図4(A)は、その代表的な光ファイバ位置決め部品に光ファイバを固定した例を示す縦断面部分図であって、図4(B)はそのA−A断面部分図、図4(C)はC−C断面部分図である。また図4において、11は光ファイバ、12は光ファイバ心線、13は接着剤、20は樹脂成形体、21は光ファイバ挿入穴、22は案内溝、23は接着剤注入穴、24は光ファイバ心線挿入穴である。
【0003】
図4に示す光ファイバ位置決め部品は、樹脂成形体20に複数の断面円形の光ファイバ挿入穴21と、複数の断面半円形の案内溝22と、1つの断面矩形の光ファイバ心線挿入穴24とをそれらが順次前方から後方に向かって配置して設け、更に案内溝22の上面に樹脂成形体20の側方に向かって開口した接着剤注入穴23を設けたものである。なお、光ファイバ位置決め部品の前方というのは、固定された光ファイバの光ファイバ心線側から見て光ファイバの先端面が位置する側、即ち他の光部品との結合を行う側を向く方向であって、後方はその反対方向である。
【0004】
また、その光ファイバ位置決め部品に光ファイバを固定するに当たっては、光ファイバ心線12の端部において被覆を除去して平行配置された複数本の光ファイバ11を露出させたものを、光ファイバ位置決め部品の後方側から前方に向かって光ファイバ心線挿入穴24に差込んで挿通させ、複数の光ファイバ11の先端部分をそれぞれ案内溝22に案内させながら光ファイバ挿入穴21に差込んで挿通させる。その後、案内溝22上にある露出した光ファイバ11の周辺に、接着剤注入穴23から接着剤13を注入して硬化させることによって、光ファイバ11と光ファイバ心線12とを樹脂成形体20に固着させる。
【0005】
その時、光ファイバ挿入穴21の内壁面と光ファイバ11との間にはわずかに隙間があるので、接着剤13の一部はその隙間にも侵入し、光ファイバ挿入穴21の先端開口部から溢れ出ることもある。しかし通常の場合は、その後光ファイバ11の先端面と樹脂成形体20の先端面はほぼ一平面になるように研磨するので、同時に溢れ出た接着剤も削られ、光ファイバの先端面に接着剤が付着して光ファイバの結合を妨げることはない。また、現地で結線するような簡易組立て用途の光ファイバ位置決め部品においては、接着剤や組立て工法の工夫により、光ファイバ挿入穴端面まで接着剤が流れない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した光ファイバ位置決め部品は、樹脂成形体に光ファイバを接着固定した後、その先端面を研磨しているが、研磨作業には大掛かりな研磨装置が必要で、工事現場等での作業には適さない。そのため、樹脂成形体の先端面及び光ファイバの先端面の研磨を不要とする方法が開発されつつある。この方法は、光ファイバ位置決め部品の先端面及び光ファイバの先端面を予め研磨不要の状態に作り込んで、それらの先端面の位置が一致するように光ファイバ挿入穴に光ファイバを挿入し、接着剤で固定する方法である。
【0007】
図5(A)は、開発中の2段型光ファイバ挿入穴を有する光ファイバ位置決め部品に光ファイバを固定した状態を示す縦断面部分図であって、図5(B)はそのA−A断面部分図、図5(C)はB−B断面部分図、図5(D)はC−C断面部分図である。図5において、図4と同じ符号は同じものを示す。また、図5において、21aは細穴部、21bは太穴部、21cは連通部、21dは空隙部である。また、図5の光ファイバ位置決め部品と、図4の光ファイバ位置決め部品の相違点は次の通りである。
【0008】
図4の光ファイバ位置決め部品では、光ファイバ挿入穴21は、前方先端部に位置する比較的内径の小さい細穴部と、挿入口付近の比較的内径の大きい太穴部とからなり、太穴部は隣接する太穴部とは連通していない。一方、図5の光ファイバ位置決め部品では、光ファイバ挿入穴21は、前方先端部に位置する比較的内径の小さい細穴部21aと、その後方に繋がる比較的内径の大きい太穴部21bとからなり、細穴部21aと太穴部21bとの境界部はテーパ部となっている。また、太穴部は図5(B)に示す通り隣接する太穴部21b同士の互いの穴はスリット状の連通部21cによって連通している。なお、寸法の一例を挙げれば、光ファイバの外径が125μmの場合、細穴部21aの内径は約126μm、太穴部21bの内径は約250μm、隣接する太穴部21b間の連通部21cのスリット幅は約100μmである。
【0009】
この光ファイバ位置決め部品に光ファイバを挿通させて接着剤を注入すると、図5に示す通り接着剤13は案内溝22から太穴部21bの内壁面と光ファイバ11との隙間にも侵入して充填される。しかし、細穴部21aの内壁面と光ファイバ11との隙間は殆どないので、適切な粘度を有する接着剤を用いることにより、接着剤は細穴部にはわずかに侵入するが先端の開口部に接着剤が溢れ出ることはない。従って、光ファイバの先端面に接着剤が付着することはない。
【0010】
一方、太穴部21bの内部への接着剤13の充填に伴って太穴部21b内にあった空気を追い出す必要があるが、細穴部21aの内壁面と光ファイバ11の隙間は小さいため、その隙間を通して空気を追い出すだけでは十分でない。それゆえ、太穴部21bの内部への接着剤13の充填は光ファイバ配列の中心に近い側から進み、太穴部21b間の連通部21cを通して空気は光ファイバ配列の外側に近い太穴部側に追い出される。
【0011】
しかし、両端の太穴部の先端側に近い奥の部分には、空気が追い出されず接着剤も充填されない空隙部21dが残ることが多い。そして、この空隙部21dがあると環境温度の変化等による空気の膨張・収縮によって、その近傍部の接着固定が剥がれたりして接着強度が弱くなり、長期信頼性の問題が生じる。
本発明はこのような従来技術による問題点を解消し、光ファイバ挿入穴の全ての太穴部に十分に接着剤を充填することが可能な光ファイバ位置決め部品及びそれを使った光コネクタフェルールを提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の光ファイバ位置決め部品は、平行配置された複数の光ファイバ挿入穴と、該光ファイバ挿入穴の後方に繋がり光ファイバを案内する案内溝と、該案内溝に繋がってその上方を向いて開口された接着剤注入穴とを有する樹脂成形体からなる光ファイバ位置決め部品であって、前記複数の光ファイバ挿入穴はそれぞれ前方の先端部に位置して挿入される光ファイバの外径よりもわずかに大きい内径を有する細穴部と該細穴部の後方に位置し細穴部より大きい内径を有する太穴部とからなり、複数の太穴部のうち両端に位置する2つの太穴部の外側にはそれと平行してそれぞれ前方端が閉じ後方端が前記接着剤注入穴に向かって開口した空気放出穴が設けられ、隣り合う光ファイバ挿入穴の太穴部同士の間及び前記空気放出穴と隣り合う太穴部との間は互いにスリット状の連通部によって連通しているものである。
【0013】
これによって、案内溝側から光ファイバ挿入穴の前方に向かって光ファイバを挿通させ、案内溝側の光ファイバの周囲に接着剤を注入すると、太穴部内の光ファイバの周辺にも十分に接着剤が充填される。なお、接着剤の太穴部への充填は中心側に位置する太穴部側から進み、太穴部内の空気は太穴部間の連通部を通して外側に配置させた太穴部側に追い出され、その空気は最後には空気放出穴側に追い出されので、全ての太穴部内の光ファイバの周りには空隙部が殆ど残らないようにして接着剤を充填することが出来る。
【0014】
また、上記の本発明の光ファイバ位置決め部品の樹脂成形体に、光ファイバ挿入穴と平行にガイドピン穴を設け、案内溝の後方に光ファイバ心線挿入穴を設ければ光コネクタフェルールとすることが出来る。そして、この光コネクタフェルールを使用して、光ファイバ心線の端末部において被覆を除去して光ファイバを露出させたものの先端部分をそれに挿入して接着剤を接着剤注入穴から注入して硬化させ、光ファイバ及び光ファイバ心線を光コネクタフェルールに固定したものを使用すれば、案内溝上の光ファイバの周辺及び太穴部内の光ファイバの周辺は接着剤でほぼ完全に満たされるので、環境温度の変化を受けても接着固定が十分で長期信頼性のある光ファイバ付き光コネクタとすることが出来る。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1(A)は本発明の光ファイバ位置決め部品を使った光コネクタフェルールに光ファイバを挿通させて接着固定したものを示す縦断面図であって、図1(B)はその光コネクタフェルールのX−X断面図である。また、図1(C)(D)(E)(F)はそれぞれA−A断面図、B−B断面図、C−C断面図、D−D断面図であって、図1(F)は光コネクタフェルールの斜視図である。図1において、1は樹脂成形体、2は光ファイバ挿入穴、2aは細穴部、2bは太穴部、2cは連通部、3は案内溝、4は光ファイバ心線挿入穴、5は接着剤注入穴、6は鍔部、7はガイドピン穴、8は空気放出穴、9は成形ピン溝、11は光ファイバ、12は光ファイバ心線、13は接着剤、14はブーツである。
【0016】
図1(B)〜(G)に示す光コネクタフェルールでは、エポキシ樹脂、ポリフェニレン・スルフィド樹脂等からなる樹脂成形体1に、光ファイバ挿入穴2、接着剤注入穴5等を設ける。光ファイバ挿入穴2は、樹脂成形体1の前方先端部に複数本を通常等間隔に平行に配置して設ける。なお。各光ファイバ挿入穴2は、前方先端部分に位置する断面円形の比較的内径の小さい穴からなる細穴部2aとその後方に繋がる断面円形の比較的内径の大きい穴からなる太穴部2bとで構成し、それらの境界部分は内径が滑らかに変化するようにテーパ状にして光ファイバ11の挿通がスムーズになるようにする。また、細穴部2aの内径は、挿通される光ファイバの外径よりもわずかに大きい程度、即ち光ファイバの外径に対して+0μm〜+2μm程度とする。
【0017】
また、隣接する光ファイバ挿入穴2の太穴部2b同士は、その側面に沿ってスリット状の連通部2cによって連通させる。また、最も端に位置する太穴部2bの外側に平行して空気放出穴8を設け、空気放出穴8と太穴部2bとの間もスリット状の連通部2cによって連通させる。また、それぞれの光ファイバ挿入穴2の後方にはそれに繋がる断面半円形の溝からなる案内溝3を設け、その案内溝3に繋がりその上方に向かって開口した接着剤注入穴5を設ける。また、空気放出穴8の前方端は閉じて、後方端は接着剤注入穴5に向かって開口させる。
【0018】
また、光ファイバ挿入穴その他の寸法例をあげれば、光ファイバ11の外径が125μmの場合、細穴部2aの内径は約126μm、太穴部2bの内径は約250μm、案内溝の半円の内径は太穴部と同じ約250μm、隣接する太穴部2b間の連通部2c及び太穴部2bと空気放出穴8との間の連通部2cのスリット幅は約100μmである。
【0019】
また、樹脂成形体1に空気放出穴8を形成するに当たって、金型の中子の一部を成形ピンとし、その成形ピンを後方に移動させて抜き去り空気放出穴8を形成する場合がある。この場合、空気放出穴8の断面の下半分に見合った成形ピン溝9が案内溝3と平行に出来る。この成形ピン溝9に間違って光ファイバが案内されることを避けるために、空気放出穴8の底側を浅くし、それに合わせて成形ピン溝9の溝の底を案内溝3の底よりも浅くすることが望ましい。また、空気放出穴8を形成する成形ピン等の都合で空気放出穴8の先端部に後述する図2(A)に示すような細穴10が出来ることがある。その場合であっても、細穴10の先端は閉じて空気放出穴8に入った接着剤13が樹脂成形体1の先端面側に出ないようにすれば特に問題はない。
【0020】
また、空気放出穴8には光ファイバが間違って挿入されることのないように、空気放出穴8の断面は光ファイバが入らないような小さい断面または円形でない変形した断面とすることが望ましい。図3(A)(B)(C)(D)(E)は、それぞれ各種の空気放出穴の断面形状の例を示す断面図である。いずれの場合も空気放出穴8は、光ファイバが通らない大きさまたは断面形状になっている。また、図3(B)〜(E)に示すように空気放出穴8の下側を浅くした形状とすることで、それに繋がる成形ピン溝の底も浅くすることが出来るので、光ファイバが成形ピン溝に間違って案内されることも少なくなる。
【0021】
また、案内溝3の後方に連通して、断面矩形の光ファイバ心線挿入穴4を設け、更に複数の光ファイバ挿入穴2の両側に光ファイバ挿入穴2と平行するようにして、それぞれ断面円形のガイドピン穴7を設ける。また、樹脂成形体1の後方端には側面の4方向に向かって横断面が拡大した鍔部6を設けることもある。以上によって、図1(B)〜(G)に示す光コネクタフェルールが出来る。この光コネクタフェルールに光ファイバを固定するには、図1(A)及び下記に示すようにする。
【0022】
まず、平行配置された複数本の光ファイバ11を有する光ファイバ心線12の端末において、被覆を除去して複数本の光ファイバ11を露出させ、その光ファイバ11の先端部を鏡面切断する等して光ファイバ結合に適した端面に加工する。そして、露出した光ファイバ側を光コネクタフェルールの後方端の光ファイバ心線挿入穴4に通して光ファイバ11の先端を案内溝3に沿わせて案内させながら光ファイバ挿入穴2にそれぞれ挿通させ、光ファイバ11の先端面と光ファイバ挿入穴2の先端面に対して所定の位置に合わせる。
【0023】
その後、接着剤注入穴5から接着剤13を注入し、案内溝3上の光ファイバ11の周辺、太穴部2b内の光ファイバ11の周辺、接着剤注入穴5内の光ファイバ心線12の周辺に接着剤を満たして硬化させる。図2(A)は光コネクタフェルールに光ファイバを固定した状態を示す縦断面部分図であって、図2(B)はそのA−A断面部分図、図2(C)はB−B断面部分図、図2(D)はC−C断面部分図である。なお、図2において、図1と同じ符号は同じものを示す。また、8aは空隙部、10は細穴である。
【0024】
光ファイバ挿入穴2の太穴部2b内における光ファイバ11の周辺への接着剤の充填は、通常次のようにして行う。接着剤注入穴5の開口部がある側面を上にして、接着剤注入穴5の開口部からスポイト、注射器用シリンダ等によって接着剤13を案内溝3の上に垂らす。そうすると、案内溝3上に垂らされた接着剤13は、接着剤注入穴5中の光ファイバ心線12の周囲を満たすと共に、比較的中心部に近い側にある太穴部2bに入って、太穴部内にあった空気を空気放出穴8側に追い出しながら中心部に近い側にある太穴部から順次接着剤が充填される。
【0025】
この時、図2(A)(C)に示すように、太穴部2bには細穴部2aに近い前方部分までほぼ完全に接着剤13が充填されるが、空気放出穴8の部分では空気放出穴8の前方に追い出しきれない空気が残った状態で接着剤13の充填が終わることがある。その場合、空気放出穴8の前方部には残留空気によって空隙部8aが出来る。しかし、この空隙部8aは光ファイバ11からは遠い位置にあるので、環境温度等の変化によって空気の膨張・収縮をおこなっても、光ファイバ11に影響を与えることはない。
【0026】
また、光ファイバ挿入穴2の細穴部2aと光ファイバ11との隙間は1μm以下程度で極めて小さいため、適切な粘度を有する接着剤を用いれば、接着剤13はその隙間に少し入り込むことがあっても先端開口部まで溢れ出ることはない。従って、接着剤13が光ファイバ11の先端面に付着することはなく、光ファイバの結合を妨げることはない。
【0027】
以上で光コネクタフェルールへの光ファイバの固定を行うことが出来るが、接着剤の注入の前または後で、光ファイバ心線12と光ファイバ心線挿入穴4の隙間に合成ゴム等からなるブーツ14を後方から差込んで、光ファイバ心線12が光ファイバ心線挿入穴4の中で動かないようにする。このブーツ14によって光ファイバ心線12が光コネクタフェルールの際で小さい曲率半径での曲げを受けることがなくなるので、光コネクタフェルール際で光ファイバの伝送特性が悪化することもない。
【0028】
以上図1、図2に基づいて本発明の光ファイバ位置決め部品を使った光コネクタフェルールとそれに光ファイバを固定する事例を説明したが、この光コネクタフェルールのうち、請求項1にかかる本発明の光ファイバ位置決め部品として必須の部分は、樹脂成形体1と、それに設けた細穴部2aと太穴部2bとからなる光ファイバ挿入穴2と案内溝3と接着剤注入穴5と空気放出穴8とからなる部分であって、隣接する太穴部2b同士及び太穴部2bと空気放出穴8との間はそれぞれの側面に沿ってスリット状の連通部2cによって連通しているものである。
【0029】
この必須部分を構成部分の一部に使って上述した通り図1に示す形態の光コネクタフェルールを作成し、それに光ファイバを固定して光ファイバ付き光コネクタとすることが出来る。また、上記の必須部分のみを使ってその光ファイバ挿入穴に光ファイバを挿入して固定し、光ファイバアレイとすることも可能である。勿論、光ファイバアレイの場合であっても、光ファイバ心線挿入穴及びガイドピン穴等を設けることは許される。
【0030】
また、光ファイバ位置決め部品あるいはそれを構成部分の一部として使った光コネクタフェルールは、通常金型に成形樹脂を流し込んで作るが、光ファイバ挿入穴2、案内溝3、空気放出穴8、光ファイバ心線挿入穴4、ガイドピン穴7等は、金型の内部にそれらの形状に合わせて作成したピン状部材等からなる中子を配置して、金型内の中子の周囲に成形樹脂を流し込み充填して硬化させ、金型を開いて中子を抜き去ることによって形成する。この場合、光ファイバ挿入穴2と空気放出穴8を形成するピン状部材は、隣接するピン同士が太径部分で長手方向に直線に沿って接触した状態で互いに平行になるように配置する。
【0031】
そのピン状部材の周囲には成形樹脂が充填されるが、上記の接触線に沿った部分には成形樹脂の粘度の関係もあって十分に樹脂が流れ込まない。従って、ピン同士の接触線に沿って樹脂のない部分が出来る。それによって、隣接する太穴部2bの側面間及び太穴部2bと空気放出穴8との間には、スリット状の連通部2cが出来る。なお、連通部2cのスリット幅は成形樹脂の粘度にもよるが、約100μm程度になることが多い。
【0032】
【発明の効果】
本発明の光ファイバ位置決め部品は、複数の光ファイバ挿入穴と光ファイバを案内する案内溝と上方を向いて開口された接着剤注入穴とを有する樹脂成形体からなる光ファイバ位置決め部品であって、前記複数の光ファイバ挿入穴はそれぞれ前方に位置する細穴部と後方に位置する太穴部とからなり、複数の太穴部のうち両端に位置する2つの太穴部の外側にはそれと平行して前方端が閉じ後方端が接着剤注入穴側に向かって開口した空気放出穴が設けられ、隣り合う太穴部同士の間及び太穴部と空気放出穴との間は互いにスリット状の連通部によって連通したものであるので、案内溝側から光ファイバ挿入穴の前方に向かって光ファイバを挿通させ、案内溝側の光ファイバの周囲に接着剤を注入すると、太穴部内に侵入した接着剤によって太穴部内の空気は太穴部間の連通部を通して外側に配置した太穴部側に追い出され、その空気は最後には太穴部と空気放出穴との間にある連通部を通して空気放出穴側に追い出されので、全ての太穴部内の光ファイバの周りには空隙部が殆ど残らないようにして接着剤を充填することが出来る。
【0033】
また、上記の本発明の光ファイバ位置決め部品の樹脂成形体に、光ファイバ挿入穴と平行にガイドピン穴を設け、案内溝の後方に光ファイバ心線挿入穴を設ければ光コネクタフェルールとすることが出来る。またそれに、光ファイバを固定して光ファイバ付き光コネクタとすれば、案内溝上の光ファイバの周辺及び太穴部内の光ファイバの周辺は接着剤でほぼ完全に満たされるので、環境温度の変化を受けても接着固定が十分で長期信頼性のある光ファイバ付き光コネクタが出来る。
【0034】
また、空気放出穴を光ファイバを挿通することが出来ない大きさまたは断面形状とすれば、光ファイバを間違って空気放出穴に挿入することもない。また、空気放出穴の成形のための成形ピンを引抜くために成形ピン溝が案内溝と平行に形成される場合は、空気放出穴の底側を浅くし、それに合わせて成形ピン溝の溝の底を案内溝の底よりも浅くすれば、光ファイバの挿入に当たって光ファイバの先端が案内溝と間違って成形ピン溝に沿って案内されることも起こらない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の光ファイバ位置決め部品を使った光コネクタフェルールに光ファイバを挿通させて接着固定したものを示す縦断面図であって、(B)はその光コネクタフェルールのX−X断面図である。また、(C)(D)(E)(F)はそれぞれA−A断面図、B−B断面図、C−C断面図、D−D断面図であって、(F)は光コネクタフェルールの斜視図である。
【図2】(A)は本発明にかかる光コネクタフェルールに光ファイバを固定した状態を示す縦断面部分図であって、(B)はそのA−A断面部分図、(C)はB−B断面部分図、(D)はC−C断面部分図である。
【図3】(A)(B)(C)(D)(E)は、それぞれ各種の空気放出穴の断面形状の例を示す断面図である。
【図4】(A)は、従来技術による光ファイバ位置決め部品に光ファイバを固定した例を示す縦断面部分図であって、(B)はそのA−A断面部分図、(C)はC−C断面部分図である。
【図5】(A)は、従来技術による2段型光ファイバ挿入穴を有する光ファイバ位置決め部品に光ファイバを固定した状態を示す縦断面部分図であって、(B)はそのA−A断面部分図、(C)はB−B断面部分図、(D)はC−C断面部分図である。
【符号の説明】
1:樹脂成形体
2:光ファイバ挿入穴
2a:細穴部
2b:太穴部
2c:連通部
3:案内溝
4:光ファイバ心線挿入穴
5:接着剤注入穴
6:鍔部
7:ガイドピン穴
8:空気放出穴
8a:空隙部
9:成形ピン溝
10:細穴
11:光ファイバ
12:光ファイバ心線
13:接着剤
14:ブーツ
【発明の属する技術分野】
本発明は、光コネクタ、光ファイバアレイ等の一部分を構成する光ファイバ位置決め部品とそれを使った光コネクタフェルールに関する。
【0002】
【従来の技術】
光コネクタ、光ファイバアレイ等では、複数の光ファイバを精密な寸法間隔で配列させて固定するための光ファイバ位置決め部品がそれら製品の構成部分の一部分として用いられている。図4(A)は、その代表的な光ファイバ位置決め部品に光ファイバを固定した例を示す縦断面部分図であって、図4(B)はそのA−A断面部分図、図4(C)はC−C断面部分図である。また図4において、11は光ファイバ、12は光ファイバ心線、13は接着剤、20は樹脂成形体、21は光ファイバ挿入穴、22は案内溝、23は接着剤注入穴、24は光ファイバ心線挿入穴である。
【0003】
図4に示す光ファイバ位置決め部品は、樹脂成形体20に複数の断面円形の光ファイバ挿入穴21と、複数の断面半円形の案内溝22と、1つの断面矩形の光ファイバ心線挿入穴24とをそれらが順次前方から後方に向かって配置して設け、更に案内溝22の上面に樹脂成形体20の側方に向かって開口した接着剤注入穴23を設けたものである。なお、光ファイバ位置決め部品の前方というのは、固定された光ファイバの光ファイバ心線側から見て光ファイバの先端面が位置する側、即ち他の光部品との結合を行う側を向く方向であって、後方はその反対方向である。
【0004】
また、その光ファイバ位置決め部品に光ファイバを固定するに当たっては、光ファイバ心線12の端部において被覆を除去して平行配置された複数本の光ファイバ11を露出させたものを、光ファイバ位置決め部品の後方側から前方に向かって光ファイバ心線挿入穴24に差込んで挿通させ、複数の光ファイバ11の先端部分をそれぞれ案内溝22に案内させながら光ファイバ挿入穴21に差込んで挿通させる。その後、案内溝22上にある露出した光ファイバ11の周辺に、接着剤注入穴23から接着剤13を注入して硬化させることによって、光ファイバ11と光ファイバ心線12とを樹脂成形体20に固着させる。
【0005】
その時、光ファイバ挿入穴21の内壁面と光ファイバ11との間にはわずかに隙間があるので、接着剤13の一部はその隙間にも侵入し、光ファイバ挿入穴21の先端開口部から溢れ出ることもある。しかし通常の場合は、その後光ファイバ11の先端面と樹脂成形体20の先端面はほぼ一平面になるように研磨するので、同時に溢れ出た接着剤も削られ、光ファイバの先端面に接着剤が付着して光ファイバの結合を妨げることはない。また、現地で結線するような簡易組立て用途の光ファイバ位置決め部品においては、接着剤や組立て工法の工夫により、光ファイバ挿入穴端面まで接着剤が流れない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した光ファイバ位置決め部品は、樹脂成形体に光ファイバを接着固定した後、その先端面を研磨しているが、研磨作業には大掛かりな研磨装置が必要で、工事現場等での作業には適さない。そのため、樹脂成形体の先端面及び光ファイバの先端面の研磨を不要とする方法が開発されつつある。この方法は、光ファイバ位置決め部品の先端面及び光ファイバの先端面を予め研磨不要の状態に作り込んで、それらの先端面の位置が一致するように光ファイバ挿入穴に光ファイバを挿入し、接着剤で固定する方法である。
【0007】
図5(A)は、開発中の2段型光ファイバ挿入穴を有する光ファイバ位置決め部品に光ファイバを固定した状態を示す縦断面部分図であって、図5(B)はそのA−A断面部分図、図5(C)はB−B断面部分図、図5(D)はC−C断面部分図である。図5において、図4と同じ符号は同じものを示す。また、図5において、21aは細穴部、21bは太穴部、21cは連通部、21dは空隙部である。また、図5の光ファイバ位置決め部品と、図4の光ファイバ位置決め部品の相違点は次の通りである。
【0008】
図4の光ファイバ位置決め部品では、光ファイバ挿入穴21は、前方先端部に位置する比較的内径の小さい細穴部と、挿入口付近の比較的内径の大きい太穴部とからなり、太穴部は隣接する太穴部とは連通していない。一方、図5の光ファイバ位置決め部品では、光ファイバ挿入穴21は、前方先端部に位置する比較的内径の小さい細穴部21aと、その後方に繋がる比較的内径の大きい太穴部21bとからなり、細穴部21aと太穴部21bとの境界部はテーパ部となっている。また、太穴部は図5(B)に示す通り隣接する太穴部21b同士の互いの穴はスリット状の連通部21cによって連通している。なお、寸法の一例を挙げれば、光ファイバの外径が125μmの場合、細穴部21aの内径は約126μm、太穴部21bの内径は約250μm、隣接する太穴部21b間の連通部21cのスリット幅は約100μmである。
【0009】
この光ファイバ位置決め部品に光ファイバを挿通させて接着剤を注入すると、図5に示す通り接着剤13は案内溝22から太穴部21bの内壁面と光ファイバ11との隙間にも侵入して充填される。しかし、細穴部21aの内壁面と光ファイバ11との隙間は殆どないので、適切な粘度を有する接着剤を用いることにより、接着剤は細穴部にはわずかに侵入するが先端の開口部に接着剤が溢れ出ることはない。従って、光ファイバの先端面に接着剤が付着することはない。
【0010】
一方、太穴部21bの内部への接着剤13の充填に伴って太穴部21b内にあった空気を追い出す必要があるが、細穴部21aの内壁面と光ファイバ11の隙間は小さいため、その隙間を通して空気を追い出すだけでは十分でない。それゆえ、太穴部21bの内部への接着剤13の充填は光ファイバ配列の中心に近い側から進み、太穴部21b間の連通部21cを通して空気は光ファイバ配列の外側に近い太穴部側に追い出される。
【0011】
しかし、両端の太穴部の先端側に近い奥の部分には、空気が追い出されず接着剤も充填されない空隙部21dが残ることが多い。そして、この空隙部21dがあると環境温度の変化等による空気の膨張・収縮によって、その近傍部の接着固定が剥がれたりして接着強度が弱くなり、長期信頼性の問題が生じる。
本発明はこのような従来技術による問題点を解消し、光ファイバ挿入穴の全ての太穴部に十分に接着剤を充填することが可能な光ファイバ位置決め部品及びそれを使った光コネクタフェルールを提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の光ファイバ位置決め部品は、平行配置された複数の光ファイバ挿入穴と、該光ファイバ挿入穴の後方に繋がり光ファイバを案内する案内溝と、該案内溝に繋がってその上方を向いて開口された接着剤注入穴とを有する樹脂成形体からなる光ファイバ位置決め部品であって、前記複数の光ファイバ挿入穴はそれぞれ前方の先端部に位置して挿入される光ファイバの外径よりもわずかに大きい内径を有する細穴部と該細穴部の後方に位置し細穴部より大きい内径を有する太穴部とからなり、複数の太穴部のうち両端に位置する2つの太穴部の外側にはそれと平行してそれぞれ前方端が閉じ後方端が前記接着剤注入穴に向かって開口した空気放出穴が設けられ、隣り合う光ファイバ挿入穴の太穴部同士の間及び前記空気放出穴と隣り合う太穴部との間は互いにスリット状の連通部によって連通しているものである。
【0013】
これによって、案内溝側から光ファイバ挿入穴の前方に向かって光ファイバを挿通させ、案内溝側の光ファイバの周囲に接着剤を注入すると、太穴部内の光ファイバの周辺にも十分に接着剤が充填される。なお、接着剤の太穴部への充填は中心側に位置する太穴部側から進み、太穴部内の空気は太穴部間の連通部を通して外側に配置させた太穴部側に追い出され、その空気は最後には空気放出穴側に追い出されので、全ての太穴部内の光ファイバの周りには空隙部が殆ど残らないようにして接着剤を充填することが出来る。
【0014】
また、上記の本発明の光ファイバ位置決め部品の樹脂成形体に、光ファイバ挿入穴と平行にガイドピン穴を設け、案内溝の後方に光ファイバ心線挿入穴を設ければ光コネクタフェルールとすることが出来る。そして、この光コネクタフェルールを使用して、光ファイバ心線の端末部において被覆を除去して光ファイバを露出させたものの先端部分をそれに挿入して接着剤を接着剤注入穴から注入して硬化させ、光ファイバ及び光ファイバ心線を光コネクタフェルールに固定したものを使用すれば、案内溝上の光ファイバの周辺及び太穴部内の光ファイバの周辺は接着剤でほぼ完全に満たされるので、環境温度の変化を受けても接着固定が十分で長期信頼性のある光ファイバ付き光コネクタとすることが出来る。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1(A)は本発明の光ファイバ位置決め部品を使った光コネクタフェルールに光ファイバを挿通させて接着固定したものを示す縦断面図であって、図1(B)はその光コネクタフェルールのX−X断面図である。また、図1(C)(D)(E)(F)はそれぞれA−A断面図、B−B断面図、C−C断面図、D−D断面図であって、図1(F)は光コネクタフェルールの斜視図である。図1において、1は樹脂成形体、2は光ファイバ挿入穴、2aは細穴部、2bは太穴部、2cは連通部、3は案内溝、4は光ファイバ心線挿入穴、5は接着剤注入穴、6は鍔部、7はガイドピン穴、8は空気放出穴、9は成形ピン溝、11は光ファイバ、12は光ファイバ心線、13は接着剤、14はブーツである。
【0016】
図1(B)〜(G)に示す光コネクタフェルールでは、エポキシ樹脂、ポリフェニレン・スルフィド樹脂等からなる樹脂成形体1に、光ファイバ挿入穴2、接着剤注入穴5等を設ける。光ファイバ挿入穴2は、樹脂成形体1の前方先端部に複数本を通常等間隔に平行に配置して設ける。なお。各光ファイバ挿入穴2は、前方先端部分に位置する断面円形の比較的内径の小さい穴からなる細穴部2aとその後方に繋がる断面円形の比較的内径の大きい穴からなる太穴部2bとで構成し、それらの境界部分は内径が滑らかに変化するようにテーパ状にして光ファイバ11の挿通がスムーズになるようにする。また、細穴部2aの内径は、挿通される光ファイバの外径よりもわずかに大きい程度、即ち光ファイバの外径に対して+0μm〜+2μm程度とする。
【0017】
また、隣接する光ファイバ挿入穴2の太穴部2b同士は、その側面に沿ってスリット状の連通部2cによって連通させる。また、最も端に位置する太穴部2bの外側に平行して空気放出穴8を設け、空気放出穴8と太穴部2bとの間もスリット状の連通部2cによって連通させる。また、それぞれの光ファイバ挿入穴2の後方にはそれに繋がる断面半円形の溝からなる案内溝3を設け、その案内溝3に繋がりその上方に向かって開口した接着剤注入穴5を設ける。また、空気放出穴8の前方端は閉じて、後方端は接着剤注入穴5に向かって開口させる。
【0018】
また、光ファイバ挿入穴その他の寸法例をあげれば、光ファイバ11の外径が125μmの場合、細穴部2aの内径は約126μm、太穴部2bの内径は約250μm、案内溝の半円の内径は太穴部と同じ約250μm、隣接する太穴部2b間の連通部2c及び太穴部2bと空気放出穴8との間の連通部2cのスリット幅は約100μmである。
【0019】
また、樹脂成形体1に空気放出穴8を形成するに当たって、金型の中子の一部を成形ピンとし、その成形ピンを後方に移動させて抜き去り空気放出穴8を形成する場合がある。この場合、空気放出穴8の断面の下半分に見合った成形ピン溝9が案内溝3と平行に出来る。この成形ピン溝9に間違って光ファイバが案内されることを避けるために、空気放出穴8の底側を浅くし、それに合わせて成形ピン溝9の溝の底を案内溝3の底よりも浅くすることが望ましい。また、空気放出穴8を形成する成形ピン等の都合で空気放出穴8の先端部に後述する図2(A)に示すような細穴10が出来ることがある。その場合であっても、細穴10の先端は閉じて空気放出穴8に入った接着剤13が樹脂成形体1の先端面側に出ないようにすれば特に問題はない。
【0020】
また、空気放出穴8には光ファイバが間違って挿入されることのないように、空気放出穴8の断面は光ファイバが入らないような小さい断面または円形でない変形した断面とすることが望ましい。図3(A)(B)(C)(D)(E)は、それぞれ各種の空気放出穴の断面形状の例を示す断面図である。いずれの場合も空気放出穴8は、光ファイバが通らない大きさまたは断面形状になっている。また、図3(B)〜(E)に示すように空気放出穴8の下側を浅くした形状とすることで、それに繋がる成形ピン溝の底も浅くすることが出来るので、光ファイバが成形ピン溝に間違って案内されることも少なくなる。
【0021】
また、案内溝3の後方に連通して、断面矩形の光ファイバ心線挿入穴4を設け、更に複数の光ファイバ挿入穴2の両側に光ファイバ挿入穴2と平行するようにして、それぞれ断面円形のガイドピン穴7を設ける。また、樹脂成形体1の後方端には側面の4方向に向かって横断面が拡大した鍔部6を設けることもある。以上によって、図1(B)〜(G)に示す光コネクタフェルールが出来る。この光コネクタフェルールに光ファイバを固定するには、図1(A)及び下記に示すようにする。
【0022】
まず、平行配置された複数本の光ファイバ11を有する光ファイバ心線12の端末において、被覆を除去して複数本の光ファイバ11を露出させ、その光ファイバ11の先端部を鏡面切断する等して光ファイバ結合に適した端面に加工する。そして、露出した光ファイバ側を光コネクタフェルールの後方端の光ファイバ心線挿入穴4に通して光ファイバ11の先端を案内溝3に沿わせて案内させながら光ファイバ挿入穴2にそれぞれ挿通させ、光ファイバ11の先端面と光ファイバ挿入穴2の先端面に対して所定の位置に合わせる。
【0023】
その後、接着剤注入穴5から接着剤13を注入し、案内溝3上の光ファイバ11の周辺、太穴部2b内の光ファイバ11の周辺、接着剤注入穴5内の光ファイバ心線12の周辺に接着剤を満たして硬化させる。図2(A)は光コネクタフェルールに光ファイバを固定した状態を示す縦断面部分図であって、図2(B)はそのA−A断面部分図、図2(C)はB−B断面部分図、図2(D)はC−C断面部分図である。なお、図2において、図1と同じ符号は同じものを示す。また、8aは空隙部、10は細穴である。
【0024】
光ファイバ挿入穴2の太穴部2b内における光ファイバ11の周辺への接着剤の充填は、通常次のようにして行う。接着剤注入穴5の開口部がある側面を上にして、接着剤注入穴5の開口部からスポイト、注射器用シリンダ等によって接着剤13を案内溝3の上に垂らす。そうすると、案内溝3上に垂らされた接着剤13は、接着剤注入穴5中の光ファイバ心線12の周囲を満たすと共に、比較的中心部に近い側にある太穴部2bに入って、太穴部内にあった空気を空気放出穴8側に追い出しながら中心部に近い側にある太穴部から順次接着剤が充填される。
【0025】
この時、図2(A)(C)に示すように、太穴部2bには細穴部2aに近い前方部分までほぼ完全に接着剤13が充填されるが、空気放出穴8の部分では空気放出穴8の前方に追い出しきれない空気が残った状態で接着剤13の充填が終わることがある。その場合、空気放出穴8の前方部には残留空気によって空隙部8aが出来る。しかし、この空隙部8aは光ファイバ11からは遠い位置にあるので、環境温度等の変化によって空気の膨張・収縮をおこなっても、光ファイバ11に影響を与えることはない。
【0026】
また、光ファイバ挿入穴2の細穴部2aと光ファイバ11との隙間は1μm以下程度で極めて小さいため、適切な粘度を有する接着剤を用いれば、接着剤13はその隙間に少し入り込むことがあっても先端開口部まで溢れ出ることはない。従って、接着剤13が光ファイバ11の先端面に付着することはなく、光ファイバの結合を妨げることはない。
【0027】
以上で光コネクタフェルールへの光ファイバの固定を行うことが出来るが、接着剤の注入の前または後で、光ファイバ心線12と光ファイバ心線挿入穴4の隙間に合成ゴム等からなるブーツ14を後方から差込んで、光ファイバ心線12が光ファイバ心線挿入穴4の中で動かないようにする。このブーツ14によって光ファイバ心線12が光コネクタフェルールの際で小さい曲率半径での曲げを受けることがなくなるので、光コネクタフェルール際で光ファイバの伝送特性が悪化することもない。
【0028】
以上図1、図2に基づいて本発明の光ファイバ位置決め部品を使った光コネクタフェルールとそれに光ファイバを固定する事例を説明したが、この光コネクタフェルールのうち、請求項1にかかる本発明の光ファイバ位置決め部品として必須の部分は、樹脂成形体1と、それに設けた細穴部2aと太穴部2bとからなる光ファイバ挿入穴2と案内溝3と接着剤注入穴5と空気放出穴8とからなる部分であって、隣接する太穴部2b同士及び太穴部2bと空気放出穴8との間はそれぞれの側面に沿ってスリット状の連通部2cによって連通しているものである。
【0029】
この必須部分を構成部分の一部に使って上述した通り図1に示す形態の光コネクタフェルールを作成し、それに光ファイバを固定して光ファイバ付き光コネクタとすることが出来る。また、上記の必須部分のみを使ってその光ファイバ挿入穴に光ファイバを挿入して固定し、光ファイバアレイとすることも可能である。勿論、光ファイバアレイの場合であっても、光ファイバ心線挿入穴及びガイドピン穴等を設けることは許される。
【0030】
また、光ファイバ位置決め部品あるいはそれを構成部分の一部として使った光コネクタフェルールは、通常金型に成形樹脂を流し込んで作るが、光ファイバ挿入穴2、案内溝3、空気放出穴8、光ファイバ心線挿入穴4、ガイドピン穴7等は、金型の内部にそれらの形状に合わせて作成したピン状部材等からなる中子を配置して、金型内の中子の周囲に成形樹脂を流し込み充填して硬化させ、金型を開いて中子を抜き去ることによって形成する。この場合、光ファイバ挿入穴2と空気放出穴8を形成するピン状部材は、隣接するピン同士が太径部分で長手方向に直線に沿って接触した状態で互いに平行になるように配置する。
【0031】
そのピン状部材の周囲には成形樹脂が充填されるが、上記の接触線に沿った部分には成形樹脂の粘度の関係もあって十分に樹脂が流れ込まない。従って、ピン同士の接触線に沿って樹脂のない部分が出来る。それによって、隣接する太穴部2bの側面間及び太穴部2bと空気放出穴8との間には、スリット状の連通部2cが出来る。なお、連通部2cのスリット幅は成形樹脂の粘度にもよるが、約100μm程度になることが多い。
【0032】
【発明の効果】
本発明の光ファイバ位置決め部品は、複数の光ファイバ挿入穴と光ファイバを案内する案内溝と上方を向いて開口された接着剤注入穴とを有する樹脂成形体からなる光ファイバ位置決め部品であって、前記複数の光ファイバ挿入穴はそれぞれ前方に位置する細穴部と後方に位置する太穴部とからなり、複数の太穴部のうち両端に位置する2つの太穴部の外側にはそれと平行して前方端が閉じ後方端が接着剤注入穴側に向かって開口した空気放出穴が設けられ、隣り合う太穴部同士の間及び太穴部と空気放出穴との間は互いにスリット状の連通部によって連通したものであるので、案内溝側から光ファイバ挿入穴の前方に向かって光ファイバを挿通させ、案内溝側の光ファイバの周囲に接着剤を注入すると、太穴部内に侵入した接着剤によって太穴部内の空気は太穴部間の連通部を通して外側に配置した太穴部側に追い出され、その空気は最後には太穴部と空気放出穴との間にある連通部を通して空気放出穴側に追い出されので、全ての太穴部内の光ファイバの周りには空隙部が殆ど残らないようにして接着剤を充填することが出来る。
【0033】
また、上記の本発明の光ファイバ位置決め部品の樹脂成形体に、光ファイバ挿入穴と平行にガイドピン穴を設け、案内溝の後方に光ファイバ心線挿入穴を設ければ光コネクタフェルールとすることが出来る。またそれに、光ファイバを固定して光ファイバ付き光コネクタとすれば、案内溝上の光ファイバの周辺及び太穴部内の光ファイバの周辺は接着剤でほぼ完全に満たされるので、環境温度の変化を受けても接着固定が十分で長期信頼性のある光ファイバ付き光コネクタが出来る。
【0034】
また、空気放出穴を光ファイバを挿通することが出来ない大きさまたは断面形状とすれば、光ファイバを間違って空気放出穴に挿入することもない。また、空気放出穴の成形のための成形ピンを引抜くために成形ピン溝が案内溝と平行に形成される場合は、空気放出穴の底側を浅くし、それに合わせて成形ピン溝の溝の底を案内溝の底よりも浅くすれば、光ファイバの挿入に当たって光ファイバの先端が案内溝と間違って成形ピン溝に沿って案内されることも起こらない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の光ファイバ位置決め部品を使った光コネクタフェルールに光ファイバを挿通させて接着固定したものを示す縦断面図であって、(B)はその光コネクタフェルールのX−X断面図である。また、(C)(D)(E)(F)はそれぞれA−A断面図、B−B断面図、C−C断面図、D−D断面図であって、(F)は光コネクタフェルールの斜視図である。
【図2】(A)は本発明にかかる光コネクタフェルールに光ファイバを固定した状態を示す縦断面部分図であって、(B)はそのA−A断面部分図、(C)はB−B断面部分図、(D)はC−C断面部分図である。
【図3】(A)(B)(C)(D)(E)は、それぞれ各種の空気放出穴の断面形状の例を示す断面図である。
【図4】(A)は、従来技術による光ファイバ位置決め部品に光ファイバを固定した例を示す縦断面部分図であって、(B)はそのA−A断面部分図、(C)はC−C断面部分図である。
【図5】(A)は、従来技術による2段型光ファイバ挿入穴を有する光ファイバ位置決め部品に光ファイバを固定した状態を示す縦断面部分図であって、(B)はそのA−A断面部分図、(C)はB−B断面部分図、(D)はC−C断面部分図である。
【符号の説明】
1:樹脂成形体
2:光ファイバ挿入穴
2a:細穴部
2b:太穴部
2c:連通部
3:案内溝
4:光ファイバ心線挿入穴
5:接着剤注入穴
6:鍔部
7:ガイドピン穴
8:空気放出穴
8a:空隙部
9:成形ピン溝
10:細穴
11:光ファイバ
12:光ファイバ心線
13:接着剤
14:ブーツ
Claims (4)
- 平行配置された複数の光ファイバ挿入穴と、該光ファイバ挿入穴の後方に繋がり光ファイバを案内する案内溝と、該案内溝に繋がってその上方を向いて開口された接着剤注入穴とを有する樹脂成形体からなる光ファイバ位置決め部品であって、前記複数の光ファイバ挿入穴はそれぞれ前方の先端部に位置して挿入される光ファイバの外径よりもわずかに大きい内径を有する細穴部と該細穴部の後方に位置し細穴部より大きい内径を有する太穴部とからなり、複数の太穴部のうち両端に位置する2つの太穴部の外側にはそれと平行してそれぞれ前方端が閉じ後方端が前記接着剤注入穴に向かって開口した空気放出穴が設けられ、隣り合う光ファイバ挿入穴の太穴部同士の間及び前記空気放出穴と隣り合う太穴部との間は互いにスリット状の連通部によって連通していることを特徴とする光ファイバ位置決め部品。
- 前記空気放出穴の断面形状は、光ファイバが挿通出来ない大きさまたは断面形状であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ位置決め部品。
- 前記樹脂成形体は、前記複数の光ファイバ挿入穴と平行に配置された複数のガイドピン挿入穴を具えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光ファイバ位置決め部品。
- 請求項3に記載の光ファイバ位置決め部品を構成部分の一部とし、前記樹脂成形体には案内溝に連通してその後方に位置する光ファイバ心線挿入穴を具えたことを特徴とする光コネクタフェルール。
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