JP3544306B2 - 圧接型コネクタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイ(COG、TABタイプ)と回路基板との接続、あるいは電子回路基板間の接続等に用いられる圧接型コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子回路基板間等の接続にU字型金属線コネクタ(以下、単にコネクタと称する)が用いられている。このコネクタは、弾性を有する絶縁性エラストマ体上に、幅方向にU字状に多数の導電性細線が平行に配列されたものである。
このコネクタは圧接型コネクタに属し、圧接によりコネクタが有する弾性でソフトに接続される。
従来、このタイプのコネクタは、絶縁性エラストマ体上に設けられた絶縁性ゴムシート上に、多数の導電性細線をU字状に平行に配列して長尺のコネクタ素材を製造し、次いで切断刃で切断して所望の長さを有するコネクタを得ていた。
【0003】
しかし、このようなコネクタは導電性細線が露出しているために、成形時や製品の取り扱い時にコネクタ表面に傷やへこみ、打痕をつけてしまうことが多く、外観不良や接続不良の原因となることがあった。
また、液晶ディスプレイと回路基板、あるいは回路基板間の接続時に、導電性細線が円柱状であるため、導電性細線と液晶ディスプレイや回路基板との接触が線接触となり、接触面積が少ないために製品に組み込んだ場合、取り扱い時の振動等によって接触している場所が不安定になってしまい、導通抵抗が取り難い状況になることがある。これは、液晶ディスプレイでは表示不良という状態を惹き起こす。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような問題点を解決するために、本発明は、コネクタ表面の導電性細線への傷や打痕を防ぐとともに、液晶ディスプレイと回路基板、あるいは回路基板間等の接続において安定した導通抵抗を得ることのできる圧接型コネクタを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の圧接型コネクタは、柱状絶縁性エラストマ体もしくは絶縁性エラストマシート上に絶縁性ゴムシートを配し、この表面上に、導電性細線に樹脂バインダ中に導電性粒子を分散してなる異方導電性部材が被覆された導電体が平行に配列され、該導電性細線の径が3〜500μmであり、導電性粒子の平均粒子径(50%粒径)が0.02〜20μmの範囲にあることを特徴とし、該導電性粒子は、その表面が金メッキ処理されたものを使用するのがよい。
導電性粒子を分散させる樹脂バインダとしてポリシロキサン結合を有する樹脂を用いるのが望ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明を、一例としての実施態様を示す図1、図2を用いて詳細に説明する。図1は本発明のコネクタを示す斜視図であり、コネクタ1は、絶縁性ゴムシート2の表面上に導電体3が、コネクタ1の幅方向に等ピッチで平行にU字状に配列されている。絶縁性ゴムシート2は、柱状絶縁性エラストマ体4の周りに横断面形状がU字状をなすように、柱状絶縁性エラストマ体4の長さ方向に沿って設けられている。
【0007】
図2は、本発明の導電体3の一部を拡大して示すものであり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
導電体3は、導電性細線3aの表面が樹脂バインダ5中に導電性粒子6を分散してなる異方導電性部材によって被覆され、この導電性粒子6を介して導電性細線3aと、液晶ディスプレイや回路基板等の被接続電極とが電気的に接続される。このコネクタに加えられた接続時の荷重(圧接力)が導電性粒子6に集中する結果、電気的に確実に接続されることになる。
導電性細線3aが異方導電性部材で保護されていることによって、製品を取り扱うときに発生しがちな、コネクタ表面への傷や打痕等は防止される。さらに、樹脂バインダ中に数多く分散された導電性粒子により、コネクタを圧接したときに、液晶ディスプレイや回路基板の被接続電極との接触点が多くなり、確実に接続され、安定した導通抵抗が得られる。
【0008】
また、この応用例として、図3に示すように、絶縁性エラストマ体4を用いずに、絶縁性エラストマシート4a上に絶縁性ゴムシート2を配し、この絶縁性ゴムシート2の表面上に、樹脂バインダ5中に導電性粒子6を含む異方導電性部材で導電性細線3aを被覆した導電体3を埋設し、配列したコネクタとすることもできる。
【0009】
本発明で用いられる導電性細線としては、金、金合金、白金、銅、真鍮、りん青銅、ベリリウム銅、アルミニウム、アルミニウム−珪素合金、ニッケル、モリブデン、タングステン、ステンレス鋼などからなる金属細線、これらの金属細線に金、金合金、ロジウムなどの導電性および耐環境特性に優れる材料をめっき加工した金属細線、導電性合成樹脂線や炭素繊維からなる細線、あるいはこれら導電性合成樹脂線や炭素繊維に金、金合金、ロジウムなどの導電性および耐環境特性に優れる材料をめっき加工した細線などが使用できる。中でも、優れた導電性と耐環境特性、低い接触特性を有する金属線や金めっき金属細線が好ましく使用される。
【0010】
導電性細線の径が大きすぎると細かい配線ピッチのものが得られなくなり、さらにU字状に成形する際、導電性細線の曲げ弾性が強すぎて、金型に沿ってU字状にし難く、また、径が小さすぎると配線時に断線しやすくなるので、導電性細線の太さは、成形しやすく、取り扱いやすい3〜500μm、好ましくは10〜100μm、より好ましくは15〜50μmの範囲とするのがよく、未加硫の絶縁性ゴムシート層上に導電性細線の太さの70〜80%、好ましくは40〜60%が埋設されるのが好ましい。
【0011】
樹脂バインダ中に分散させる導電性粒子としては、例えば、金、銀、銅、真鍮、ニッケル、パラジウム、ステンレス鋼、半田等の金属粒子、タングステンカーバイド、シリカカーバイド等のセラミック粒子、カーボン粒子、グラファイト粒子、表面を上記の金属粒子を構成する金属で被覆したプラスチック粒子が挙げられる。
【0012】
上記カーボン粒子は製法によって分類され、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、ランプブラック等があるが、いずれもカーボンブラックとして総称されている。
本発明においては、商業上最も多く使用され、品質が安定し安価な導電性ファーネスブラックを使用するのが好ましい。また、これらカーボンブラックの酸性処理品、黒鉛化品、高ストラクチャー化による導電性向上品等の改良品も市販されており、これらを使用しても同様の効果が得られる。
グラファイト粒子は大別して天然黒鉛と人造黒鉛があり、さらに天然黒鉛は外観と特性によって鱗状黒鉛と土状黒鉛とに分けられる。また、鱗状黒鉛も完全結晶黒鉛と半結晶黒鉛に分けられる。土状黒鉛は黒鉛質黒鉛と無煙炭質黒鉛に分類される。この中でも特に半結晶黒鉛が良好な結果が得られるが、本発明はこれに限られるものではない。
【0013】
導電性粒子の粒径は、接着剤層となる樹脂バインダの厚さ、導電性細線の隣接間隔等の兼ね合いにより、接続の安定性、接着強度等を考慮して決定されるが、通常は平均粒径で5〜15μmである。
導電性粒子の形状は、球状、針状、鱗片状、板状、樹枝状、サイコロ状、有突起球状、不定形状等、任意である。
導電性粒子の量は、樹脂バインダ原料100重量部に対し、0.1〜30重量部、特には1〜15重量部とするのが好ましい。30重量部を超えると導電性粒子が多すぎることになり、0.05mmピッチのような隣接する導電性細線間の間隔が狭い場合、隣接する導電性細線上の導電性粒子が互いに接触してリーク電流を生じることがあり、コネクタとしての機能を果たせなくなる。反対に、0.1重量部未満では導電性細線と被接続回路の電極を安定して繋ぐための導電性粒子が不足し安定した導通抵抗を得ることができない。
【0014】
導電性粒子としてカーボン粒子が加えられる場合には、その量は、樹脂バインダ原料100重量部に対して0.1〜40重量部である。40重量部を超えるとエラストマとしての弾性がなくなるほど硬くなる、また強度等の物性も著しく低下するために好ましくない。反対に、0.1重量部未満では添加による抵抗値の安定効果が得られない。
導電性粒子としてグラファイト粒子が加えられる場合には、その量は、樹脂バインダ原料100重量部に対し、0.1〜50重量部、特には1〜30重量部とするのが好ましい。50重量部を超えると導電性粒子が連なって隣の導電性細線に接触してしまいコネクタとしての機能を果たさなくなる。反対に、0.1重量部未満であると導電性細線と回路を安定して繋ぐための導電性粒子が不足し、安定した導通抵抗を得ることができない。
【0015】
樹脂バインダ原料としては、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、これらの共重合体、スチレン樹脂、アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム、などの合成ゴム、スチレン系、ポリエステル系、ウレタン系等の熱可塑性エラストマ、シリコーンゴム類等が挙げられる。
【0016】
また、上記シリコーンゴム類としては、通常、ジメチル、メチル−フェニル、メチル−ビニル、またはシリカのような充填剤を混合して適当なレオロジー特性を与えたハロゲン化シロキサン類、あるいは金属塩類でバルカナイズされたもしくは硬化されたハロゲン化シロキサン類等が挙げられるが、なかでも、その時効特性及び電気絶縁性、耐熱性、圧縮永久歪に優れ、価格的にも安定したシリコーンゴムが好ましく用いられる。
さらに、樹脂バインダとしてUV硬化型の樹脂でも良く、例えば、不飽和ポリエステル系、アクリレート系、ポリエチレン/ポリチオール系、エポキシ系等を主成分とするUV硬化型樹脂でもよい。
また、絶縁性エラストマは形状的に安定し、自重で甚だしく変形したり、硬化後、塑性変形しないものでなければならない。
【0017】
導電性細線への被覆方法は、導電性細線上に導電性粒子を分散させた樹脂バインダをコートできればどのような方法を用いてもよい。
一例を挙げると、一般的なコーティング方式を用いたリバース、グラビア、グラビアオフセット、キスロール、キャスト、スプレイ、カーテン、押し出し、エアドクタ、ブレード、ナイフ、ロッド、スクイズ、含浸、コンマコート、ワイヤーバー等これらの方法を単一、もしくは組み合わせての使用や、ディッピング、スクリーン印刷、オフセット印刷等がある。
【0018】
【実施例】
本発明のコネクタの製造方法について説明する。
樹脂バインダとしてメチルビニルシリコーン樹脂100重量部に対して、導電性粒子として表面にNi−Auメッキを施した平均粒径7μmのグラファイト粒子10重量部を十分に混合して、樹脂バインダ中に導電性粒子を分散させた異方導電性部材を調製した。この異方導電性部材を、線径40μmの真鍮線に金メッキを施した導電性細線の表面に5μm厚にコーティングして導電体を得た。
【0019】
一方、シリコーンゴムコンパウンドKE−153U(信越化学工業社製、商品名)100重量部に、加硫剤C−19A、19B(同前)をそれぞれ0.5、2.5重量部およびシランカップリング剤KBM403(同前)1.0重量部を添加配合したシリコーンゴム原料を、カレンダーロールにより非伸縮性基材である厚さ50μm、幅350mmのPETシートからなる長尺の基材シート上に、厚さ100μm、幅300mmとなるようにシーティングして絶縁性ゴムシートを形成した。
【0020】
次に、得られたシートを長さ600mmに切断し、これを外周600mmの回転ドラムの周面上に絶縁性ゴムシートが外側となるように固定し、絶縁性ゴムシート上に、先に用意した導電体を、送り出し装置から回転している回転ドラム上に供給するとともに、導電体の供給部を回転ドラムの軸方向に1回転当り100μm移動させながらピッチ100μmで導電体を軸方向に10mm配列した後、さらに回転ドラムを1回転させて導電体の供給部を回転ドラムの軸方向に0.4mm移動し、その後引き続きピッチ100μmで導電体を軸方向に10mm配列する。この操作を繰り返してシート全面への導電体の配列が終了した時点でドラムを停止して回転ドラムから取り外し、前記0.4mm移動箇所の導電体を取り除き、表面に導電体が約20μm埋設されて配列された絶縁性ゴムシートを得た。
このシートを120℃のオーブン中で30分間加熱して1次加硫を行った後、基材シート(PETシート)を剥離して取り去り、さらに195℃のオーブン中で4時間加熱して2次加硫を行った。
【0021】
次に、この2次加硫したシートを、導電体を横切る方向に切断して幅4.5mm、長さ300mmの芯材シートを製作した。
さらに、成形部がU字状溝をなす成形用下金型内に芯材シートの導電体を成形面に向けてセットした。
他方、シリコーンゴムコンパウンドKE−151U(信越化学工業社製、商品名)100重量部に、加硫剤C−1、C−3(同前)をそれぞれ0.5、2.0重量部および発泡剤2,2−アゾビスイソブチロニトリル1.8重量部を添加配合したスポンジシリコーンゴム原料を、カレンダーロールを用いて所定の厚さにシーティングした。
【0022】
このスポンジシリコーンゴムシートを所定の幅、長さに切断した後、この切断品を、成形用下金型内に先にセットされた芯材シート上に載置し、成形用上金型を被せ、10kg/cm の加圧下にて175℃、5分間加熱してスポンジシリコーンゴムシートを発泡させて絶縁性エラストマとし、次いで金型から取り出し、200℃で1時間のポストキュアーを行い、長尺のコネクタ素材を得た。このコネクタ素材を、前記0.4mm移動箇所すなわち導電体が配設されていない絶縁性ゴムシートが露出する箇所で切断(好ましくは、移動箇所の中央部分で切断)して、コネクタを製作した。
【0023】
製作したコネクタを、ITO−PCB回路基板間に挟み、0.5mm/分の一定速度で加重をかけていき、30%圧縮したところでその荷重を維持し、その後同じ早さで荷重を解放した。この間のITO−PCB回路基板間の導通抵抗を測定したところ、安定した導通抵抗値が得られた。
測定に供した試料の導電体の配列ピッチは0.1mmであり、サイズは長さ10mm、高さ3.4mm、幅1.0mmである。導通抵抗値の測定結果を図4に示す。
同図において、曲線aは時間の推移に対する導通抵抗値の変化を示し、曲線bは時間の推移に対する圧縮荷重の変化を示す。図から1本の導電体に対する荷重がほぼ400gで20mΩの安定した導通抵抗値が得られた。
このコネクタは、成形時や製品の取り扱い時に、傷、へこみ、打痕等の発生は認められなかった。
【0024】
【比較例】
導電性細線に、樹脂バインダ中に導電性粒子を含む異方導電性部材でコーティング処理を行わずに金メッキ処理のみを行い、他は、上記実施例と同様にしてコネクタを作製した。実施例と同様にして導通抵抗を測定したところ、図5に示すように安定した導通抵抗値を得ることができなかった。図から明らかなように、30mΩの導通抵抗値を得るのに1本の導電性細線に対してほぼ500gの高い圧縮荷重を必要とし、接続状態も不安定であった。
また、このコネクタは、成形時や製品の取り扱い時に、傷、へこみ、打痕等の発生が認められた。
【0025】
【発明の効果】
本発明の圧接型コネクタは、導電性細線を樹脂バインダー中に導電性粒子を分散させた異方導電性部材で被覆してなる導電体を用いることにより、導通抵抗の接続安定性を向上させることができるとともに、導電性細線の表面を保護し、傷やへこみ、打痕等の発生を防止することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコネクタを示す斜視図である。
【図2】(a)は本発明で用いる導電体を拡大して示した平面図であり、(b)はその断面図である。
【図3】本発明の他の応用例を示す斜視図である。
【図4】本発明のコネクタを圧縮したときの圧縮荷重と導通抵抗値との関係を示す図である。
【図5】比較例のコネクタを圧縮したときの圧縮荷重と導通抵抗値との関係を示す図である。
【符号の説明】
1・・・コネクタ
2・・・絶縁性ゴムシート
3・・・導電体
3a・・導電性細線
4・・・柱状絶縁性エラストマ体
4a・・絶縁性エラストマシート
5・・・樹脂バインダ
6・・・導電性粒子

Claims (1)

  1. 柱状絶縁性エラストマ体もしくは絶縁性エラストマシート上に絶縁性ゴムシートを配し、この表面上に、導電性細線に樹脂バインダ中に導電性粒子を分散してなる異方導電性部材が被覆された導電体が平行に配列され、該導電性細線の径が3〜500μmであり、導電性粒子の平均粒子径(50%粒径)が0.02〜20μmの範囲にあることを特徴とする圧接型コネクタ。
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