JP3544249B2 - モータの制御回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はファン駆動用等に使用されるDCブラシレスモータ等のモータの制御に有用なモータの制御回路の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、DCブラシレスファン駆動用等の用途に使用されるモータは、限られたスペースの中に、そのモータの制御回路を収納する必要があるため小型であることと、低コストで製作できることが求められている。
そのため、この種のモータの制御回路では、回路部品が少なくてすむ方式として、1個の磁極位置検出素子でロータの位置検出を行い、この信号で2個の出力トランジスタを切り替える180度位相差の2相半波駆動が一般的に採用されている。
図6は、従来のこの種の用途に用いられるDCブラシレスモータの制御回路の接続図である。
同図において、1及び2は夫々バイアス抵抗、3はロータの磁極位置を検出する磁極位置検出素子で、例えばホール素子が用いられる。4は磁極位置検出素子3の出力を増幅する差動アンプである。
5は分配回路で、差動アンプ4の出力信号によってモータコイル10、11のいずれかに通電するかを決める相補の通電指令信号を出力する。
このため、分配回路5の通電指令信号を抵抗6及び7を介して出力トランジスタ8及び9をオン(オフ)することで、モータコイル10及び11に通電(通電停止)する。以上の1乃至11で従来のモータの制御回路101が構成される。図7は上記従来の制御回路による動作タイミングチャートを示すものである。同図において、(a)はロータの回転に伴う磁極位置検出素子3による2つの出力を示し、同図に示すように、ホール素子DCバイアス電圧に対して出力が交互にハイレベルになる。(b)は差動アンプ4の出力、(c)及び(d)は夫々分配回路5の出力信号である。(e)及び(f)は夫々モータコイル10及び11の通電電流であり、各周期の末期に通電電流が大きくなっていて、前述したように騒音、モータ効率が悪化している。(g)及び(h)は夫々出力トランジスタ8及び9のコレクタ電圧波形であり、大きな通電電流が遮断された際に、L(di/dt)による大きなサージ電圧が発生している様子が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来のものでは、モータコイルの駆動電流は図7の(e)、(f)に示すように、各モータコイルの通電の末期ではモータ逆起電圧が小さくなるため駆動電流が大きくなってしまう。
ところで、この末期の電流は急峻であるため騒音の原因となり、モータコイルには同図の(g)及び(h)のように大きなサージ電圧も発生する。
また、この末期電流はモータの発生トルクに寄与しないため効率を著しく劣化させる原因となっている。
そこで、この点を改善する先行技術として、特開平6−245584号公報等で示すように、回転に対応する周期毎にモータコイルに通電する電流の末期を周期に比例したデューティで遮断する回路が提案されている。
しかしながら、この先行技術のものでは、モータコイルに対する通電の末期を遮断することは通電角が電気的に180度でなくなっていて、2相コイルの発生トルクの和が零である位置の範囲が広がる。
この現象は電源投入や信号によるモータ起動の際に起動できないデッドポイントが存在することになる。
この対策のために、さらに起動時のみ180度通電とする起動補償回路を追加したり、モータ起動位置を磁気力で決めるためのリラクタンストルクを大きくすることが必要となるが、コストアップや性能劣化を伴うという問題点があった。本発明は従来のものの上記課題(問題点)を解決し、相切り替え時のスイッチングパルスの低減とモータの効率向上を図るようにしたモータの制御回路を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のモータの制御回路は、上記課題を解決するために、磁極位置検出素子の出力を増幅し、これが正弦波状であることを利用して、回転数が高くなるに従い、ある位相まで、位相が進む位相進み回路を設け、その出力をゼロクロスコンパレータでパルス信号として入力し、他方の入力信号であるコイル通電指令(180度通電)信号とで論理回路により両者の位相差の時間だけ遮断パルスを発生させて、コイル電流の通電末期を遮断するように構成した。
【0005】
上述のような構成にすると、モータ起動時の位相進み回路の出力とコイル通電指令信号の位相差は零となり、遮断パルスは発生しない。
モータの回転数が上昇するに従い磁極位置検出素子の出力の周波数が高くなり、徐々に位相進み回路の位相が進むため遮断パルスの幅が長くなり、定格回転数で所定の遮断パルス幅となる。
その遮断パルス幅で通電末期のモータコイルの電流が遮断される。
また、定格回転数で運転中に何らかの原因で回転数が低下すると、位相進み回路の進み量が減少して遮断パルス幅が短くなり、モータコイルの電流の通電末期の遮断量が減り電流は増加する。
また、逆に回転数が高くなると電流は減少する。その結果、モータは若干加速したり、減速したりすることで一定回転数を保つような速度制御ループが形成される。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、2相のDCブラシレスモータに適用した図1に示す一実施の形態により本発明を具体的に説明する。
本発明のモータの制御回路は、同図に示すように、従来の制御回路101に対して、位相進み回路102、ゼロクロスコンパレータ103、論理回路104及びスイッチング回路105を追加して構成したものである。従って、従来のものと同等の構成については、図6と同一の符号を付して、その説明は省略する。
次に、この追加された構成について説明する。
位相進み回路102は、抵抗14、15及びコンデンサ16から成り、同図に示すように差動アンプ4の出力が入力するが、この入力信号は正弦波状となっていて、位相進み回路102により差動アンプ4の出力周波数(ホール素子出力周波数)に合わせて、所定の位相だけ進む。
図2は位相進み回路102の周波数と位相の関係を示すもので、定格回転数で位相進み角が(j)点のようにピーク値手前となるよう抵抗14、15及びコンデンサ16の定数が設定されている。
ゼロクロスコンパレータ103は、オペアンプ20、基準電圧用抵抗17、18とヒステリシス用抵抗19から成る。
基準電圧は位相進み回路102の出力の振幅中心電圧となるように抵抗17、18の分圧で決められる。これにより、位相進み回路102の出力は振幅の中心でパルス状に変換されるためゼロクロスコンパレータと称する。
ゼロクロスコンパレータでパルスに変換する理由は、ホール素子の温度特性、回路バラツキ等で位相進み回路102の出力が変化することが考えられるためである。
論理回路104は、一致回路で分配回路5の通電指令信号の一方と、ゼロクロスコンパレータ103の信号を比較して、両者が一致していない時ハイレベルの信号パルスを発生する。その信号パルスを、以下遮断パルスと称する。
スイッチング回路105は、トランジスタ21、22及び抵抗23、24より構成され、論理回路104から発生する遮断パルスでトランジスタ8及び9の通電を遮断するものである。
【0007】
図3は本発明による動作タイミングチャートである。同図において(b)は差動アンプ4の出力、(k)は位相進み回路102の出力、(L)はゼロクロスコンパレータ103の出力である。
(m)は分配回路5の通電指令信号の一方、(n)は論理回路104の出力で通電末期の遮断パルスとなる。
(p)及び(p)は夫々モータコイル10及び11の通電電流で、その内(p)は立ち上がりに(m)に示す分配回路5の一方の信号に同期し、立ち下がりに通電電流が大きくなる前で(n)に示す論理回路104の信号に同期し遮断される。
このように、モータコイル10及び11の通電末期が遮断され、トルクに無効な電流をカットすることによりモータの効率が向上する。
(q)及び(r)は夫々出力トランジスタ8及び9のコレクタ電圧であり、通電末期の大きな電流が遮断されモータコイル10及び11に蓄積されるエネルギーが小さくなるため、通電遮断時のサージ電圧が減少している。
【0008】
ここで、起動時から定格回転数まで回転が上昇する際の遮断パルスのパルス幅変化について説明する。
起動時は、回転数が零から徐々に上昇するため、位相進み回路102の出力位相は図2において、周波数が低い場合であり、進みはほとんどない。
回転数が定格に近づくにつれて位相が進み、遮断パルスが発生し、徐々にパルス幅が大きくなり、モータ通電角と対応する定格回転数に到達する。
即ち、起動時は通電角は遮断されることなく、デッドポイントの発生範囲も大きくはならない。
この起動時の動作を図4のタイミングチャートで示す。同図において、(t)は起動時の差動アンプ4の出力、(u)は分配回路5の通電指令信号の一方、(v)はゼロクロスコンパレータ103の出力、(w)は論理回路104の出力であり、遮断パルス幅が回転数の増加に伴い、増加していることがわかる。
また、回転数に応じて遮断パルスのパルス幅が変化する効果により、外乱によるモータの回転数変動に対して、回転が遅くなれば遮断パルス幅が狭くなり、通電電流は増加しモータは加速される。
また、回転が早くなると遮断パルス幅は広くなり、通電電流は減少しモータは減速されることで、速度制御ループも形成されることになる。
図5は、この状態を表わすタイミングチャートである。
同図において、(x)は差動アンプ4の出力、(y)は遮断パルスで、回転数が定格の場合、遅い場合及び早い場合を夫々示したものである。
【0009】
本発明は上記の実施例のものに限定されるものではない。
例えば、上記実施例では本発明を2相のDCブラシレスモータに適用する場合で説明したが、3相又は5相等の他の多相のDCブラシレスモータにも適用可能である。
その場合は、例えば、3相のDCブラシレスモータに適用する場合には、スター接続又はデルタ接続された3相の3個のモータコイルに対応するように、分配回路5の出力端子を3つ、出力トランジスタも3個及びスイッチング回路105内のスイッチング用のトランジスタを3個、夫々設けて図1の2相の場合に準じて接続すれば良い。
また、上記実施例では、ゼロクロスコンパレータ103をオペアンプ20、基準電圧用抵抗17、18及びヒステリシス抵抗19で構成した場合を示したが、このような比較機能を備えた他の論理素子で構成しても良い。
【0010】
【発明の効果】
上記のように本発明のモータの制御回路では、位相進み回路を使用して、ゼロクロスコンパレータにより遮断パルス幅を確実に可変できるようにしたから、次のような優れた効果を有する。
(1)モータの起動時から定格回転数まで自動的に通電末期の遮断時間を可変することができる。
(2)その結果、モータの起動を円滑に行うことができるから騒音は抑制され、相切り替え時のスイッチングパルスを低減できるから、モータの効率は大幅に向上する。
(3)しかも、本発明の制御回路は簡易であり、電子部品数が少なく、温度変化、電子部品バラツキ等による影響が少ない。
(4)また、IC化も可能であり小型、低コスト化も達成されるから、DCブラシレスファンの駆動用モータのほか、小型、コンパクトな状態で収納されることを要求される各種用途のモータの制御回路として実用性が大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施の形態に係わるモータの制御回路の構成を示す接続図である。
【図2】
本発明の構成中の位相進み回路の周波数特性図である。
【図3】
本発明の制御回路による動作タイミングチャートである。
【図4】
本発明による起動時の動作タイミングチャートである。
【図5】
本発明によるモータ回転数変化時の動作タイミングチャートである。
【図6】
従来のモータの制御回路の構成を示す接続図である。
【図7】
従来のモータの制御回路による動作タイミングチャートである。
【符号の説明】
3:磁気位置検出素子
4:差動アンプ
8、9:出力トランジスタ
10、11:モータコイル
102:位相進み回路
103:ゼロクロスコンパレータ
104:論理回路
105:スイッチング回路

Claims (1)

  1. 出力トランジスタのオン、オフによってモータコイルに周期的に電流を流してロータを回転させるモータの制御回路において、
    ロータの回転に応じて信号を出力する磁極位置検出素子と、この磁極位置検出素子の信号を正弦波状に取り出し、その信号を増幅する差動アンプと、この差動アンプの出力の正弦波状出力の位相を進める位相進み回路と、この位相進み回路の出力をパルスに変換するゼロクロスコンパレータと、前記ゼロクロスコンパレータの位相進み量を検出する論理回路と、前記論理回路の出力により、各周期毎に上記モータコイルの通電電流の末期を遮断するように上記出力トランジスタをオフとする回路とを備えたことを特徴とするモータの制御回路。
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