JP3543739B2 - 魚病用ワクチン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は魚類の連鎖球菌疾患の予防乃至治療のためのワクチンに関する。さらに詳しくは、魚類の連鎖球菌症の原因菌が属するエンテロコッカス属(Enterococcus)の新規な菌株、該新規株を利用した魚類の連鎖球菌症を予防治療するためのワクチンならびにワクチン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
魚類の連鎖球菌症は1974年に高知県のブリ養殖場で初めて発生が報告され、以来、毎年水温の高い夏から秋にかけて全国的に流行をみている。ブリ以外にもマアジ、カンパチ等で発生することが確認されている。
連鎖球菌症の原因菌としては、現在までにアルファ溶血性のエンテロコッカス・セリオリシダ(Enterococcus seriolicida)、ベータ溶血性のストレプトコッカス・イニアエ(Streptococcus iniae)およびストレプトコッカス・エキシミリス(Streptococcus equisimilis)、ガンマ溶血性のストレプトコッカス・エスピー(Streptococcus sp.)の4種類が報告されている。
【0003】
本発明はこれらの細菌による疾病のうち、エンテロコッカス・セリオリシダによって魚類に発症する連鎖球菌症に関するものである。
本細菌は従来ストレプトコッカス属として扱われてきたが、1991年にエンテロコッカス属に分類され、エンテロコッカス・セリオリシダと命名された。さらに、1996年には、ラクトコッカス・ガルビアエ(Lactococcus garvieae)のシノニム(Synonym)とするという報告がなされた(Teixeira, L. M. et al., International J. Systematic Bacteriol., 46, 664−668, 1996)が、今なお、エンテロコッカス・セリオリシダと呼ばれることが多い。このような経緯から、本菌や本菌により発症する疾病には複数の呼称が混在しているが、本明細書中では現在でも使用されることの多い、エンテロコッカス・セリオリシダおよび連鎖球菌症と表記する。
【0004】
本菌にはKG抗原との反応性によって、2つの抗原型があることが知られている。莢膜がなくKG抗原が細菌細胞の表面に露出しているものをKG+型細菌(以下KG+と表記することもある)といい、莢膜を有しKG抗原が露出していないものをKG―型(以下KG―と表記することもある)細菌という。野生のものは通常KG―タイプであるが、人工培地で継代することによって、一代〜十数代の間に莢膜が消失しKG+に変化する。KG―タイプの株は莢膜を保有しており、この莢膜が毒性に関与しているとの報告がある(Yoshida, T., et al., Disease Aquatic Organism, 25, 81−86, 1996、Yoshida, T., et al., Disease Aquatic Organism, 29, 233−235,
1997)。
【0005】
魚類の連鎖球菌症は一般型と脳炎型に大別される。一般型では眼球の腫大・突出、鰓蓋内側の発赤、鰭基部・鰓蓋部の膿瘍、心外膜炎等の症状・症候がみられる。脳炎型では一般型にみられるような症状は乏しいが、横転、旋回を伴う狂奔遊泳が特徴的である。
本症の発生初期には、マクロライド系やテトラサイクリン系の抗生物質が有効であるが、中期以降になると効果的な治療法はない。抗生物質の使用は魚体内への残留性の問題から制限される場合も多く、また、投与を繰り返すことによって耐性菌を発生させてしまうため、なるべくその使用を控える必要がある。既に、これらの抗生物質に対して耐性を獲得している菌が分離されたことが報告されている(魚病学概論, 宝賀清邦編, 恒星社厚生閣, p58−61, 1996)。したがって、魚類の連鎖球菌症への対処法として、今後はワクチン投与による予防治療がますます重要視されるものと考えられる。
【0006】
現在市販されている連鎖球菌症ワクチンとしては、不活化処理した連鎖球菌を飼料(餌料)に混合してブリに経口投与するタイプのものがあるが、効果の発現にばらつきがあり安定しない上、大量に使用しなければならないため、経済性に問題がある。そのため、不活化されかつ菌体外壁蛋白を含むエンテロコッカス属細菌溶出処理物を含有する魚類の腸球菌感染症用予防剤を使用することによって、投与量を減らす方法が提案されている(特開平8−231408号公報)が、未だ実用化されるには至っていない。
これに対して、注射または浸漬による投与方法も考えられる。注射による方法は、一個体ごとに魚を取り上げ投与しなければならないため手間を要するが、効果の発現の面では確実性が高く、またワクチンの使用量も少なくて済むという利点がある。
一方、浸漬による方法は、ワクチン液を懸濁させた飼育水中に魚を一定時間泳がせておく方法であり、魚を入れ替えることによって、同じワクチン懸濁液を数回から数十回程度繰り返して使用できるという点で、手間、経済性ともに、前記の2つの方法の中間に位置するといえる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如く現在までに、ワクチンによって魚類の連鎖球菌症を予防乃至治療する方法が各種提案されてはいるが、何れも効果と経済性を満足させ得るものとは云えない。
したがって本発明は、従来知られているワクチンよりも高いワクチン効果を示し、安全性、経済性にも優れる新規連鎖球菌症予防乃至治療用のワクチンの提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鹿児島県出水郡東町の海域で、連鎖球菌症を発症した野外ブリを採取しこのブリから細菌を分離した。この細菌についてバージー(Bergey, D. H.)のマニュアル第9版に照らして同定したところ、連鎖球菌エンテロコッカス・セリオリシダ(Enterococcus seriolicida)であることが判明した。しかしながら、この菌株は60代継代を重ねても、莢膜が消失しないという特異な特徴を有し、さらに病原性に関与すると考えられる繊毛を有していることから、新規株と判断しKG9408株と命名した。
さらに本発明者らは、このエンテロコッカス・セリオリシダKG9408株を用いたときは、魚の連鎖球菌症に対して、継代を重ねることによって莢膜が消失する従来公知の連鎖球菌から調製したワクチンに比し遥かに優れた、高いワクチン効果を有することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させた。
【0009】
すなわち本発明は、継代しても莢膜が消失しないエンテロコッカス属に属する連鎖球菌、その代表株である新規な連鎖球菌エンテロコッカス・セリオリシダKG9408( FERM BP―6749)、継代しても莢膜が消失しないエンテロコッカス属に属する連鎖球菌を含む魚類の連鎖球菌症ワクチン、さらに本ワクチンと薬理学的に許容される担体を含む魚類の連鎖球菌症ワクチン組成物、該ワクチンまたはワクチン組成物を魚類に投与することからなる連鎖球菌症の予防治療方法である。
なお、本発明に係る連鎖球菌KG9408株は、工業技術院生命工学工業技術研究所に1999年 6月10日に寄託されており、その受託番号はFERM BP―6749である。
本発明において、継代培養しても莢膜が消失しないエンテロコッカス属に属する連鎖球菌とは、通常の培地において少なくとも45代継代培養しても莢膜が消失しないもの、さらに好ましくは、60代継代培養しても莢膜が消失しないものを云う。
【0010】
本発明に係る連鎖球菌エンテロコッカス・セリオリシダKG9408株の菌学的性状は以下の通りである。
(1)グラム陽性球菌、数個の連鎖を形成
(2)通性嫌気性
(3)芽胞形成:−
(4)莢膜:+
(5)繊毛:+
(6)運動性:−
(7)硝酸塩の還元:+
(8)MRテスト:+
(9)VPテスト:+
(10)インドール産生:−
(11)硫化水素産生:−
(12)デンプン生成:−
(13)クエン酸利用能(Koser培地):−
(14)クエン酸利用能(Christensen培地):−
(15)無機窒素源(硝酸塩およびアンモニウム塩):−
(16)色素生成:−
(17)オキシダーゼ:−
(18)カタラーゼ:−
(19)生育pH:4.5〜9.6、温度:10〜45℃
(20)OFテスト:F
(21)糖からのガス産生:
D−アラビノース:−、D−キシロース:−、D−グルコース:+、
D−マンノース:+、D−フラクトース:+、D−ガラクトース:+、
マルトース:+、シュークロース:−、ラクトース:−、トレハロース:+、
D−ソルビトール:+、D−マンニトール:+、イノシトール:−、
グリセリン:−、デンプン:−、D−ラフィノース:−
(22)エスクリンの分解:+
(23)セルロースの分解:−
(24)馬尿酸の分解:−
(25)アルギニンの分解:+
(26)コアグラーゼ:−
(27)溶血性:α型
(28)塩化ナトリウム耐性:0.0〜6.5%
(29)抗酸性:−
(30)40%胆汁酸添加培地における発育:+
(31)0.1%メチレンブルー添加培地における発育:+
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係る連鎖球菌エンテロコッカス・セリオリシダKG9408株をワクチンとして使用する場合には、生菌のまま投与してもよいが、加熱、紫外線照射等の物理的処理、ホルマリン、クロロホルム、フェノール、ベータプロピオラクトン等の化学的処理など、公知の方法を用いて不活化させてから投与するのが好ましい。生菌のまま使用するときには、菌を継代培養、高温度培養等公知の方法で培養し、無毒化または感染しても発症しない程度に弱毒化することが望ましい。不活化させて用いる場合には、ゴマ油、菜種油等の植物油、フロイントの完全アジュバント、フロイントの不完全アジュバント等の鉱物オイル、水酸化アルミニウムゲル、硫酸アルミニウムゲル等の公知のアジュバントとともに投与すると、ワクチン効果を高めることができる。
また、ビタミンE、ペプチドグリカン、レバミゾール等の公知の免疫増強剤を加えることによって、効果を一層高めることができる。
【0012】
本発明に係るワクチンを投与する場合、投与経路は経口、浸漬、腹腔内または筋肉内等であり特に限定されないが、好ましくは筋肉内、腹腔内への注射投与または経口投与である。
本ワクチンは発症する前に予防的に投与することができ、また、発症後に投与することによって、治療剤としても効果を期待することができる。
投与量は不活化前の菌数で1×10〜1×1012CFU/尾、好ましくは1×10〜1×10 CFU/尾、さらに好ましくは1×10〜1×10CFU/尾である。
【0013】
ワクチン投与の対象魚は、ブリ、カンパチ、ヒラマサ、マアジ、シマアジ、ヒラメ、イシダイ等、連鎖球菌症に罹患する魚種であれば特に限定されない。
また、投与するときの魚齢は特に限定されず、技術的に注射することが可能な大きさに成長したものであればよい。通常、魚種を問わず体重が10〜20g以上に達したものであればよい。
投与回数は1回で十分であるが、さらに3〜12ヵ月後に再免疫することが望ましい。
【0014】
本発明に係る継代培養しても莢膜が消失しないエンテロコッカス属に属する連鎖球菌、例えばエンテロコッカス・セリオリシダKG9408株の培養方法は特に限定されず、一般的な連鎖球菌の培養方法を用いればよい。
肉汁培地、ミューラーヒントン培地、トリプチケース・ソイ培地、ハートインフージョン培地、ブレイン・ハートインフージョン(BHI)培地、トッド・ヘーヴィッド(Todd−Hewitt)培地、血液寒天培地、血清加培地等で培養可能であるが、血液または血清、グルコースおよび海水(または食塩)を加えた培地でよく発育する。
培養温度は通常10〜45℃、好ましくは15〜37℃、さらに好ましくは20〜30℃である。また、培養時のpHは4.5〜9.6、好ましくは5.5〜8.5、さらに好ましくは7.0〜8.0である。
培養に当たっては、静置培養、振とう培養、攪拌培養等の何れの条件下でも良いが、緩やかに攪拌しながら培養すると良好な成育が得られる。
【0015】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1 種々の連鎖球菌株の培養
表1に示した25株の連鎖球菌エンテロコッカス・セリオリシダを、トッド・ヘーヴィッド寒天培地で継代培養した。
−80℃で保存した菌を解凍し、その1滴を平板に白金耳で広げ、25℃で24時間培養した。その後、出現したコロニー10個を抗血清で反応させた。抗血清を使用した抗原判定は5代継代ごとに行った。KG+に変異していた場合はその継代数で培養を終え、KG―のままであった場合には、細菌が十分に繁殖しており、コロニーが密集している部分を白金耳でかきとり、さらに同様にトッド・ヘーヴィッド寒天培地に白金耳で植菌し、25℃で24時間培養し、以後同様の操作を繰り返した。
その結果、25株中8株は15代継代で、6株は30代継代で、10株は45代継代でKG+に変異したが、KG9408株のみは60代継代してもKG―のままであり、莢膜に変化は認められなかった。
【0016】
【表1】
Figure 0003543739
【0017】
注1:エンテロコッカス・セリオリシダNG8206,SA9201,MZ9201,KG7409は、吉田等;ディジージーズ・オブ・アクアティック・オーガニズムズ;第25巻、81−86、1996年(Diseases of Aquatic Organisms, 25, 81−86, 1996)に記載されている。
又、エンテロコッカス・セリオリシダNG8206,KG7409,MZ9501は、同上誌 第29巻、233−235、1997年に記載されている。
【0018】
実施例2 連鎖球菌エンテロコッカス・セリオリシダKG9408株の培養(1)
連鎖球菌KG9408株、1×10CFU/mlを、トッド・ヘーヴィッド液体培地(Difco社製)を使用して、pH7.4、25℃で24時間、攪拌培養した。その結果、KG9408株は1×10CFU/mlに増殖した。
【0019】
実施例3 連鎖球菌エンテロコッカス・セリオリシダKG9408株の培養(2)
連鎖球菌KG9408株、1×10CFU/mlを、トッド・ヘーヴィッド液体培地(BBL社製)を使用して、pH7.8、25℃で12時間培養した。その後、常法により、生菌数を測定したところ、KG9408株は2×10CFU/mlであった。
実施例4 生菌数と吸光度の関係
【0020】
連鎖球菌KG9408株、1×10CFU/mlを、トッド・ヘーヴィッド液体培地(BBL社製)を使用して、pH7.4、27℃で2、4、8、12(2サンプル)、24(2サンプル)、48(2サンプル)または96時間培養した。培養菌液に0.3%ホルマリンを加え、25℃で48時間不活化した後、660nmにおける吸光度を測定した。
その結果、生菌数と吸光度の間には、図1に示した関係があることが明らかになった。
【0021】
実施例5 ワクチンの作製(1)
トッド・ヘーヴィッド液体培地(Difco社製)に、BHI培地に懸濁させた連鎖球菌エンテロコッカス・セリオリシダKG9408株の2×10CFU/mlを加え、25℃で24時間培養した。培養菌液に0.3%ホルマリンを加え、25℃で48時間不活化した後、遠心・集菌し、得られた菌体を660nmにおける吸光値が約1(菌数として約1×10CFU/mlに相当する)となるように調整して、リン酸緩衝食塩液(pH7.2)に再浮遊した。
【0022】
実施例6 ワクチンの作製(2)
BHI培地に懸濁させた連鎖球菌KG9408株の5×10CFU/mlを、血液寒天培地に加え、30℃で48時間培養した。培養菌液に0.3%ホルマリンを加え、25℃で48時間不活化した後、遠心・集菌し、得られた菌体を660nmにおける吸光値が約1となるように調整して、リン酸緩衝食塩液(pH7.2)に再浮遊した。
【0023】
実施例7 ワクチンの作製(3)
実施例5と同様の方法で調製したワクチン液を、500mlのアンプルに充填した後に65℃で30分間加熱滅菌し、ワクチン製剤とした。
【0024】
実施例8 ワクチンの作製(4)
実施例6と同様の方法で調製したワクチン液を、250mlのアンプルに充填した後に72℃で15分間加熱滅菌し、ワクチン製剤とした。
【0025】
実施例9 ワクチンの作製(5)
実施例5と同様の方法で調製したワクチン液を、凍結乾燥してワクチン製剤とした。本製剤は投与時に、リン酸緩衝食塩液で1×10CFU/mlとなるように覆水して使用した。
【0026】
次に、本発明に係るワクチンの有用性を、実験データを挙げて、以下に詳述する。
試験例1 カンパチにおける免疫原性
40尾のカンパチを水温23±0.5℃、循環式飼育槽で5日間飼育した後、外観検査で異常がみられず、体重が20g以上に達したものを32尾選択した。これらの魚を各群間の平均体重がほぼ等しくなるように、ワクチン注射群および攻撃対照群の2群、各16尾に群分けした。
ワクチン注射群の魚には、実施例5の方法で調製したワクチン液を1尾当たり0.2ml、腹腔内に注射投与した。攻撃対照群には、リン酸緩衝食塩液を1尾当たり0.2ml、同様に投与した。その後、それぞれ飼育温度23±0.5℃、循環式で14日間飼育し観察した。最終日に飼育水温を約1日かけて25±0.5℃に上昇させた。その結果、観察期間中、全ての試験魚に異常は認められなかった。
【0027】
連鎖球菌エンテロコッカス・セリオリシダの強毒株(KG9408株)を、トッド・ヘーヴィッド液体培地で24時間培養し、菌液をリン酸緩衝食塩液で希釈して、攻撃用菌株液を調製した。菌濃度は予備試験でへい死率が約80%となった濃度とした。
ワクチン注射群および攻撃対照群の全ての魚の腹腔内に、攻撃用菌液0.1mlを注射投与した後、飼育水温を4時間かけて27±0.5℃に上昇させ、14日間観察した。 その結果、攻撃対照群のへい死率が87.5%であったのに対し、ワクチン注射群ではへい死例はみられなかった(表2―実験1)。
さらに同様の条件で試験を繰り返したところ、攻撃対照群、ワクチン注射群のへい死率は、それぞれ93.8%、6.3%であった(表2―実験2)。
【0028】
【表2】
Figure 0003543739
【0029】
試験例2 ブリにおける免疫原性(1)
試験例1とほぼ同様の方法で、ブリにおける攻撃試験を実施した。攻撃菌量は5.1×10CFU/0.1ml/尾とした。ワクチンとしては実施例5の方法で作製したものを、1尾当たり0.1ml投与する群を3群、ワクチン液をリン酸緩衝生理食塩液でそれぞれ2または4倍希釈したものを、1尾当たり0.1ml投与する群を各1群設定した。攻撃対照群にはワクチン液の代わりにリン酸緩衝生理食塩液を0.1ml投与した。
その結果、攻撃対照群のへい死率が87.5%であったのに対して、各ワクチン群の死亡率はいずれも0%であった(表3)。
【0030】
【表3】
Figure 0003543739
【0031】
試験例3 ブリにおける免疫原性(2)
試験例2と同様の方法で、ブリにおける攻撃試験を実施した。攻撃菌量は5.1×10CFU/0.1ml/尾とした。
その結果、攻撃対照群のへい死率が100%であったのに対して、ワクチン投与群のへい死率は0から6.3%と、高いワクチン効果がみられた(表4)。
【0032】
【表4】
Figure 0003543739
【0033】
比較試験例1 連鎖球菌NS株ワクチンによる効果
継代によって莢膜および繊毛が消失した連鎖球菌エンテロコッカス・セリオリシダNSS9310株を用いて、実施例5と同様の方法でワクチン液を調製した。このワクチン液を使用して、試験例1と同様の方法で免疫原性を調べた。
その結果、攻撃対照群として設定した2群のへい死率が、93.8%、87.5%であったのに対して、NS株ワクチン注射群(2群設定)におけるへい死率は、62.5%、68.8%であり、本発明のエンテロコッカス・セリオリシダKG9408株を使用して調製したワクチンよりも効果は遥かに低かった。
【0034】
【表5】
Figure 0003543739
【0035】
【発明の効果】
本発明の、継代培養によっても莢膜が消失しないエンテロコッカス属の連鎖球菌から調製したワクチンは、ブリ、カンパチ、ヒラマサ、マアジ、シマアジ、ヒラメ、イシダイ等、連鎖球菌症に罹患する魚種の連鎖球菌症の予防治療に高い効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、生菌数と吸光度の関係を示した図である。

Claims (3)

  1. 連鎖球菌の新菌株エンテロコッカス・セリオリシダKG9408(FERM BP−6749)
  2. 請求項1に記載の連鎖球菌を含む魚類の連鎖球菌症予防・治療用ワクチン組成物。
  3. 請求項2に記載の連鎖球菌を含む魚類の連鎖球菌症予防乃至治療用ワクチン組成物を投与することを特徴とする魚類の連鎖球菌症の予防・治療方法。
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