JP3543420B2 - 採血容器 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、採血容器に関わり、さらに詳しくは抗血液凝固性およびフィブリノーゲン除去性のあるスルホン酸基およびその塩から選ばれる少なくとも1種の基を含有するスルホン化共役ジエン系重合体を収納した採血容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年における予防医学および臨床医学の発展を反映して、各種診断に使用される血液検査の果たす役割は極めて大きいものとなっている。このような状況のなか、血液検査用に採血した血液の凝固防止のための抗血液凝固剤の開発も多面的に進められている。
このような抗血液凝固剤としてヘパリンナトリウム(以下、「ヘパリンNa」という。)
がよく知られている。また、ある種の血液形態検査には、エチレンジアミン四酢酸金属塩からなる抗血液凝固剤も使用されている。
しかし、前記ヘパリンNaの原料となるヘパリンは、動物臓器からの抽出によってのみ得られるものであるために、量的に充分に確保することが困難であり、対象動物の健康状態や飼育状態によっては病原菌の混入の恐れもある。また、抽出対象となる臓器が異なるとヘパリンNaの性能が相違し、抗血液凝固剤としての信頼性も影響を受けることとなる。
さらに、前記エチレンジアミン四酢酸金属塩は、血液形態検査の抗血液凝固剤としては使用できるものの、これを添加した血液は生化学検査の一種である無機イオンの定量には不向きであり、酵素検査に対しては阻害作用を示す等の欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、容易に合成することができ、かつ優れた抗血液凝固性やフィブリノーゲン除去性を常に安定して示し、蛋白分画検査を支障なく実施することができ、しかも多方面にわたる血液検査に対しても悪影響を与えない抗血液凝固剤を収納した、血液を安定的に長期保存することが可能な採血容器を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の前記目的は、共役ジエン系単量体単位を必須の構成単位として含有し、共役ジエン系単量体と共重合可能な他の単量体の共重合量が全単量体の80重量%未満であり、スルホン酸基およびその塩から選ばれるすくなくとも1種の基を2mmol/g以上含有し、かつポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算重量平均分子量が3,000以上であるスルホン化共役ジエン系重合体(以下、単に「特定スルホン化重合体」という。)を容器内に収納してなる採血容器、により達成される。
以下、本発明を詳細に説明する。これにより、本発明の目的、構成および効果が明確となるであろう。
【0005】
特定スルホン化重合体
本発明において使用される特定スルホン化重合体は、共役ジエン系単量体単位を必須の構成単位として含有し、スルホン酸基およびその塩から選ばれるすくなくとも1種の基(以下、これらの基をまとめて「スルホン酸基等」という。)を2mmol/g以上含有し、かつポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算重量平均分子量が3,000以上である重合体からなり、抗血液凝固剤としての作用を有するものである。
特定スルホン化重合体中のスルホン酸基等の総含量は、2mmol/g以上であることが必要であり、好ましくは4mmol/g以上、さらに好ましくは4.2〜7.5mmol/gである。この場合、スルホン酸基等の総含量が2mmol/g未満であると、抗血液凝固性が不十分となる。
また、特定スルホン化重合体のポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算の重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は3,000以上であることが必要であり、好ましくは4,000〜500,000、特に好ましくは5,000〜500,000である。Mwが3,000未満であると、抗血液凝固性が不十分となる。なお、Mwの上限には特に臨界性はないが、その値が高すぎると、水溶液の粘度が高くなって血液との混和性が損なわれ、フィブリノーゲンの除去性能が低下する場合がある。
ここで、特定スルホン化重合体に含有されるスルホン酸の塩は、スルホン酸基を、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、アンモニア等の塩基性化合物で中和した基である。
特定スルホン化重合体としては、下記(I)および(II)に示すものを挙げることができる。
(I)共役ジエン系単量体および必要に応じてこれと共重合可能な他の単量体(以下、単に「他の単量体」という。)を重合して、共役ジエン系重合体を合成したのち、スルホン化して得られる重合体(以下、「スルホン化重合体(I)」という。)、
(II)共役ジエン系単量体のスルホン化物および必要に応じて他の単量体を重合して得られる重合体(以下、「スルホン化重合体(II) 」という。)。
【0006】
スルホン化重合体(I)は、例えば特開平2−227403号公報に記載されているような下記(a)および(b)の方法によって製造することができる。
(a) 共役ジエン系単量体および必要に応じて他の単量体を、過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤あるいはn−ブチルリチウム、ナトリウムナフタレン、金属ナトリウム等のアニオン重合開始剤の存在下、通常、−100〜150℃、好ましくは0〜130℃で、重合を行い、共役ジエン系重合体を合成する。
ここで使用される共役ジエン系単量体としては、例えば1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘプタジエン、2,4−ヘプタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン等の鎖状または分岐状の脂肪族共役ジエンを挙げることができる。これらの共役ジエン系単量体は、1種単独でまたは2種以上を使用することができる。
また、他の単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等の重合性二重結合含有芳香族化合物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の重合性二重結合含有モノカルボン酸もしくはジカルボン酸または該ジカルボン酸の無水物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化ビニルデン等の重合性二重結合含有シアン化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルメチルエチルケトン、ビニルメチルエーテル、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、酢酸アリル、酢酸メタアリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、アクリル酸グリシジル、メタアクリル酸グリシジル、アクロレイン、アリルアルコール等の前記以外の重合性二重結合含有化合物を挙げることができる。他の単量体としては、重合性二重結合含有芳香族化合物が好ましく、特にスチレンが好ましい。これらの他の単量体は1種単独であるいは2種以上を使用することができる。
前記他の単量体を使用する場合の共重合量は、全単量体の80重量%未満、好ましくは60重量%未満、特に好ましくは50重量%未満である。
(a)の方法により合成される共役ジエン系重合体は、ブロック型でもランダム型でもよい。
(b) 次に、共役ジエン系重合体をスルホン化する。
共役ジエン系重合体のスルホン化は、該共役ジエン系重合体中の二重結合を無水硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、亜硫酸水素ナトリウム等のスルホン化剤を用いて行うが、好ましくは無水硫酸の単独使用のほか、さらに好ましくは無水硫酸と電子供与性化合物との錯体が使用される。
ここで、電子供与性化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類;ピリジン、ピペラジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類;ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド等のスルフィド類;アセトニトリル、エチルニトリル、プロピルニトリル等のニトリル類等が挙げられ、なかでも、N,N−ジメチルホルムアミドおよびジオキサンが好ましい。
前記無水硫酸と電子供与性化合物との錯体によるスルホン化方法は、まず、共役ジエン系重合体を前記電子供与性化合物にそのまま溶解させるか、あるいは共役ジエン系重合体を無水硫酸に不活性な溶媒に溶解させておき、別容器で反応させて得た前記錯体を適当量添加し反応させることにより行われる。
ここで、無水硫酸に不活性な溶媒としては、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、液体二酸化イオウ等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独でまたは2種以上を使用することができる。
前記スルホン化剤として無水硫酸または無水硫酸と電子供与性化合物との錯体を使用する場合は、共役ジエン系重合体に無水硫酸が結合した中間体(共役ジエン系重合体のスルホン酸エステル、以下「中間体」という)が生成する。この場合は、次いで中間体に水またはアルカリ金属化合物(好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アルカリ土類金属化合物(好ましくは水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等)、アンモニア等の塩基性化合物を作用させることにより、二重結合が開裂してスルホン酸基等が結合した単結合になるか、あるいは二重結合は残ったまま、共役ジエン系重合体中の水素原子がスルホン酸基等と置換することによって、スルホン化重合体(I)が得られる。
【0007】
また、スルホン化重合体(II) は、下記(c)および(d)の方法によって製造することができる。
(c) 共役ジエン系単量体のスルホン化物を合成する。
ここで使用される共役ジエン系単量体としては、例えば1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘプタジエン、2,4−ヘプタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン等の鎖状または分岐状の脂肪族共役ジエンを挙げることができる。これらの共役ジエン系単量体は、1種単独でまたは2種以上を使用することができる。
共役ジエン系単量体のスルホン化は、日本化学会編集、新実験化学講座(14巻III 、1773頁)に示されているような条件で、すなわち共役ジエン系単量体をそのまま、あるいは適当な溶媒中に溶解させた状態で、スルホン化剤中に滴下することによって行うことができる。
この場合に用いられるスルホン化剤としては、好ましくは無水硫酸の単独使用のほか、さらに好ましくは無水硫酸と電子供与性化合物との錯体が使用される。
ここで使用する電子供与性化合物および溶媒は、前記スルホン化重合体(I)の製造方法において例示した電子供与性化合物および溶媒と同様のものを挙げることができる。
かくして、共役ジエン系単量体に無水硫酸が結合した環状中間体(共役ジエン系単量体の環状スルホン酸エステル、一般名称スルトン、以下「環状中間体」という)が生成する。
この環状中間体にアルカリ金属化合物(好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アルカリ土類金属化合物(好ましくは水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等)、アンモニア等の塩基性化合物を作用させ、スルホン酸塩基が結合した共役二重結合を有する単量体に変化させることによって、スルホン酸塩基を含有する共役ジエン系単量体のスルホン化物が得られる。
また、前記環状中間体に水あるいはアルコールを加えたのち、脱水反応や脱アルコール反応を行なうことによって、スルホン酸基を含有する共役ジエン系単量体のスルホン化物が得られる。
(d) 次に、前記のようにして得られた共役ジエン系単量体のスルホン化物および必要に応じて他の単量体を、ラジカル重合開始剤またはアニオン重合開始剤の存在下、通常、−100〜150℃、好ましくは0〜130℃で重合を行うことにより、スルホン化重合体(II) が製造される。
ここで、共役ジエン系単量体のスルホン化物は、1種単独でまたは2種以上を使用することができる。
また、共役ジエン系単量体のスルホン化物と共重合することができる他の単量体としては、スルホン化重合体(I)の製造方法において例示したものと同様の他の単量体およびそれらのスルホン化物(例えばスチレンスルホン酸やその塩等)を挙げることができる。
前記他の単量体の共重合量は、得られる共重合体のスルホン酸基等の総含量が本発明の範囲内となるように決定されるが、全単量体の、通常、80重量%未満、好ましくは60重量%未満、特に好ましくは50重量%未満である。
(d)の方法により合成されるスルホン化重合体(II) は、ブロック型でもランダム型でもよい。
本発明において、前記スルホン化重合体(I)およびスルホン化重合体(II)は、それぞれ1種単独でまたは2種以上を使用することができ、またスルホン化重合体(I)とスルホン化重合体(II)とを併用してもよい。
【0008】
採血容器
本発明の採血容器は、特定スルホン化重合体をその容器内に収納してなるものである。
この場合の特定スルホン化重合体は、粉末または溶液として使用される。
特定スルホン化重合体の粉末は、通常、前記(I)または(II) のスルホン化重合体から水や溶媒を減圧下で分離したのち、水に再溶解し、透析により低分子量物を除去して精製し、凍結乾燥することにより得られる。
また、特定スルホン化重合体の溶液は、前記のようにして精製した特定スルホン化重合体の粉末を、血液検査を妨害しない水性溶媒、好ましくは生理食塩水に溶解して使用する。この場合、特定スルホン化重合体の水性溶媒中の濃度は、通常、0.01〜10重量%程度である。
本発明の採血容器は、血液検査のために血液を採取し、または保存するための全血用、血清分離用、糖分析用等の採血管、採血瓶、採血バッグ等の容器を意味し、容器自体の形状は特に限定されないが、該容器としては真空採血管が最適である。この真空採血管は、通常、ホルダー、採血針等の付属機器と組合せた真空採血システムとして実用に供される。
これらの採血容器の素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ノルボルネン系樹脂、ガラス等やこれらの1種以上の素材を含む積層材料あるいは組合せ材料を挙げることができる。
採血容器の容量は、該容器の使用目的に応じて変わるが、通常、2〜20mlである。
本発明において、採血容器に収納される特定スルホン化重合体の量は、採取する血液1mlあたり、通常、0.0001〜2mg、好ましくは0.01〜1mgとなる量である。この量が0.0001mg未満では、抗血液凝固性やフィブリノーゲン除去性が不充分となる傾向があり、また2mgを超えると、血液検査の内容によっては検査結果に影響を与える場合がある。
また、本発明の採血容器は、特定スルホン化重合体のほかに、血清と血球成分とを分離しやすくするために添加される分離剤や、血液検査に悪影響を与えない程度の微量のヘパリン塩、しゅう酸塩、しゅう酸複合塩、クエン酸塩等がその容器内に存在していてもよい。
また、本発明の採血容器は、特定スルホン化重合体を収納する前または後に、必要に応じて滅菌することもでき、滅菌法としてはエチレンオキサイドガス滅菌法、γ線滅菌法等を挙げることができる。
【0009】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
なお、実施例における各種の測定は、下記方法により実施した。
スルホン酸基等の総含量
スルホン化重合体(I)または(II)の20重量%水溶液を調製し、透析膜(スペクトルム・メディカル・インダストリー (Spectrum Medical Indus- tries)社製、商品名スペクトラポア6( MW cut off 1000))により、低分子量物を除去し、精製した。次いで、精製したサンプルを陽イオン交換樹脂(オルガノ(株)製、商品名アンバーライト IR-118(H))を用いてイオン交換し、完全に酸型にした後、そのスルホン酸基の量を中和適定により求めた。
Mw
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準サンプルとしてポリスチレンスルホン酸ナトリウムを用いて測定した。
抗血液凝固性
採血管に鮮血1.0mlを加え、数回混和したのち静置し、30分間隔で5時間、血液の凝固の有無を目視により判定した。
フィブリノーゲン量
採血管に鮮血0.9mlを加えて混和し、トロンビン(250NIH単位/ml)0.1mlを加え、37℃における凝固時間を測定し、凝固時間と濃度との検量線を用いて、鮮血中のフィブリノーゲン濃度を求めた。なお、前記検量線は、濃度が既知の精製フィブリノーゲン溶液を希釈して、種々の濃度の溶液に調製したものを用いて、上記と同様の操作を行うことにより作成した。
血液型検査
採血管に鮮血0.9mlを加えて混和し、これを遠心分離により血球成分と血清とに分離した。血球成分は生理食塩水で2回洗浄し、抗A型血清、抗B型血清および抗Rh型血清それぞれに加えた。血清成分は、A型赤血球およびB型赤血球それぞれに加えた。その後、これらの血球成分および血清成分について、赤血球の凝集度を目視により測定し、血液型を判定した。
++ ;強く凝集する
+ ;凝集する
± ;判定困難
− ;凝集しない
血液生化学検査
採血管に鮮血0.9mlを加えて混和し、これを遠心分離して血清を取り出したのち、日立製作所(株)7250型自動検査装置を用いて血液生化学検査を行った。この場合の対照試料としては、抗血液凝固剤無添加の血液を静置して凝固させたのち、遠心分離して得られた血清を用いた。
【0010】
実施例1
(1) 耐圧反応容器に、イソプレン35.0g、n−ブチルリチウム0.44gおよびシクロヘキサン200gを仕込み、60〜90℃に保ちながら4時間重合したのち、イソプロピルアルコール1gを加えて重合を停止した。
次いで、減圧下で溶剤および未反応単量体を留去したのち、1,2−ジクロロエタン50gを加えて希釈し、ポリマー溶液を得た。
(2) 次に、別容器でジオキサン100g中に無水硫酸32.9gを内温25℃に保ちながら添加し、2時間撹拌して、無水硫酸−ジオキサン錯体を得た。
(3) 前記(1)で得られたポリマー溶液中に前記(2)で得られた無水硫酸−ジオキサン錯体を、内温を25℃に保ちながら2時間かけて添加した。添加後、2時間撹拌を続け、水酸化ナトリウム18.0gおよび水150gを添加し、80℃で1時間撹拌した。撹拌後、減圧下で水および溶剤を留去し、得られた生成物を透析によって精製し、次いで凍結乾燥を行って粉末状のスルホン化重合体(I) を得た。このスルホン化重合体(I) のスルホン酸基等の総含量およびMwの測定結果を表1に示す。
(4) 前記(3)で得られたスルホン化重合体(I)の粉末を1重量%水溶液とし、その0.1mlを内容量2mlのポリエチレン製真空採血管に封入した。
(5) 前記(4)で作製した真空採血管を用いて採血を行い、抗血液凝固性、フィブリノーゲン量の測定、血液型検査および血液生化学検査を行った。結果を表1〜表3に示す。
【0011】
実施例2〜7および比較例1〜2
(1) 共役ジエン系重合体の単量体組成を表1に示すものとし、実施例1(1)における触媒および溶媒の量または種類、実施例1(2)における無水硫酸−ジオキサン錯体の種類、実施例1(3)における無水硫酸−ジオキサン錯体および水酸化ナトリウムの使用量等を適宜変更することにより、表1に示すスルホン酸基等の総含量およびMwのスルホン化重合体(I)の粉末を得た。
(2) 前記(1)で得られた各スルホン化重合体(I) の粉末を1重量%水溶液とし、各水溶液の0.1mlを内容量2mlのポリエチレン製真空採血管に封入した。
(3) 前記(2)で作製した真空採血管を用いて採血を行い、抗血液凝固性、フィブリノーゲン量の測定および血液型検査を行なった。結果を表1および表2に示す。
【0012】
実施例8
(1) 耐圧反応容器の内部を窒素置換したのち、塩化メチレン400mlを入れ、次にジオキサン31mlを加えて、撹拌しながら5〜10℃に冷却した。次に無水硫酸28.8gを滴下して、無水硫酸とジオキサンの錯体を形成させ、さらに15分間反応させた。
この反応溶液に、イソプレン24.5gを溶解した塩化メチレン溶液150mlを1時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに30分間撹拌を続けた。
次に、水酸化ナトリウム14.4gを溶解した水溶液100mlを加えたのち、減圧下で溶媒およびジオキサンを留去し、乾固して、粗生成物(粗2−メチル−1,3−ブタジエン−1−スルホン酸ナトリウム)50.2gを得た。
この粗生成物を300mlの水に溶解したのち、トルエンを200ml加え激しく振とうして、水相中のトルエン可溶分を抽出し、トルエン相を分離したのち、水相を乾固して、2−メチル−1,4−ブタジエンスルホン酸ナトリウム(以下「MBSNa 」という。)を得た。
(2) 前記(1)で得られたMBSNa 2gを、耐圧ビンに入れて窒素置換したのち、水15mlおよび過硫酸ナトリウム0.06gを加え、70℃で2時間重合を行った。得られた重合体を透析によって精製し、凍結乾燥を行って粉末状のスルホン化重合体(II) を得た。このスルホン化重合体(II) のスルホン酸基等の総含量およびMwの測定結果を表1に示す。
(3) 前記(2)で得られたスルホン化重合体(II) の粉末を1重量%水溶液とし、その0.1mlを内容量2mlのポリエチレン製真空採血管に封入した。
(4) 前記(3)で作製した真空採血管を用いて採血を行い、抗血液凝固性、フィブリノーゲン量の測定、血液型検査および血液生化学検査を行った。結果を表1〜表3に示す。
【0013】
実施例9〜10および比較例3〜4
(1) 実施例8(1)で合成したMBSNa またはそれと表1に示す他の単量体を用いる以外は、実施例8(2)と同様にして、表1に示すスルホン酸基等の総含量およびMwのスルホン化重合体(II) の粉末を得た。
(2) 前記(1)で得られた各スルホン化重合体(II) の粉末を1重量%水溶液とし、各水溶液の0.1mlを内容量2mlのポリエチレン製真空採血管に封入した。
(3) 前記(2)で作製した真空採血管を用いて採血を行い、抗血液凝固性、フィブリノーゲン量の測定および血液型検査を行なった。結果を表1および表2に示す。
【0014】
比較例5
(1) ヘパリンNaの1重量%水溶液0.1mlを内容量2mlのポリエチレン製真空採血管に封入した。
(2) 前記(1)で作製した真空採血管を用いて採血を行い、抗血液凝固性、フィブリノーゲン量の測定および血液型検査を行なった。結果を表1および表2に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】
表3における各略記号は、次のとおりである。
TP :総蛋白量
AST:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ
LDH:ラクトースデヒドロキナーゼ
AMY:アミラーゼ
CPK:クレアチンキナーゼ
BUN:血中尿素窒素
CHE:コリンエステラーゼ
【0019】
試験例1
実施例1および比較例5で作製した真空採血管に鮮血1mlを封入して数回混和し、4℃で2日間保存したのち、血液の凝固の有無を目視により判定したところ、実施例1は変化は見られなかったが、比較例5は血液の凝固が見られた。
また、特定スルホン化重合体(JAC:スルホン酸基等の総含量=4.6mmol/g、Mw=30,000のスルホン化ポリイソプレン)を0.3mg/ml添加した血液、ヘパリンNaを0.3mg/ml添加した血液および対照試料(抗血液凝固剤無添加の血液を自然凝固させて血清を分離したもの)について、ラクトースデヒドロキナーゼ(LDH)の測定を経時的に行った結果を図1に、またグルクロン酸(GLU)の測定を経時的に行った結果を図2に示す。
【0020】
試験例 2
特定スルホン化重合体(JAC:スルホン酸基等の総含量=4.6mmol/g、Mw=30,000のスルホン化ポリイソプレン)を0.3mg/ml添加した血液および対照試料(抗血液凝固剤無添加の血液を自然凝固させてフィブリノーゲンを除去したもの)について、経時的に測定した蛋白分画結果を、図3に示す。
【0021】
試験例 3
スルホン酸等の総含量を4.0、4.5、5.0、5.5mmol/gに変量した特定スルホン化重合体(Mw=30,000のスルホン化ポリイソプレン)を0.3mg/ml添加した血液および対照試料(抗血液凝固剤無添加の血液を自然凝固させてフィブリノーゲンを除去したもの)について測定した蛋白分画結果を、図4に示す。
図4における各略記号は、次のとおりである。.:アルブミン
α1 :α1 −グロブリン
α2 :α2 −グロブリン
β :β−グロブリン
γ :γ−グロブリン.:フィブリノーゲン
【0022】
試験例 4
特定スルホン化重合体(JAC:スルホン酸基等の総含量=4.6mmol/g、Mw=30,000のスルホン化ポリイソプレン)を0.3mg/ml添加した血液、特定スルホン化重合体0.3mg/mlとヘパリンNa0.03mg/mlとを添加した血液、ヘパリンNaを0.03mg/ml添加した血液および対照試料(抗血液凝固剤無添加の血液を自然凝固させてフィブリノーゲンを除去したもの)について測定した蛋白分画結果を、図5に示す。
【0023】
【発明の効果】
本発明の採血容器において抗血液凝固剤として使用される特定スルホン化重合体は容易に合成することができ、かつ優れた抗血液凝固性やフィブリノーゲン除去性を常に安定して示すものであり、蛋白分画検査を支障なく実施することができ、しかも多方面にわたる血液検査に対しても悪影響を与えることがない。さらに、前記特定スルホン化重合体は、抗血液凝固性にヘパリンNaのような半減期がなく、血液を安定的に長期保存することができる。
したがって、本発明の採血容器は、各種の血液検査のために血液を採取し、または保存するための容器として、極めて好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】特定スルホン化重合体(JAC)またはヘパリンNaを添加した血液および対照試料の経時的なLDH測定結果を示す図である。
【図2】特定スルホン化重合体(JAC)またはヘパリンNaを添加した血液および対照試料の経時的なGLU測定結果を示す図である。
【図3】特定スルホン化重合体(JAC)を添加した血液および対照試料の経時的な蛋白分画結果を示す図である。
【図4】スルホン酸基等の総含量を変えた特定スルホン化重合体を添加した血液および対照試料の蛋白分画結果を示す図である。
【図5】特定スルホン化重合体(JAC)またはそれとヘパリンNaを添加した血液、ヘパリンNaを添加した血液および対照試料の蛋白分画結果を示す図である。
Claims (3)
- 共役ジエン系単量体単位を必須の構成単位として含有し、共役ジエン系単量体と共重合可能な他の単量体の共重合量が全単量体の80重量%未満であり、スルホン酸基およびその塩から選ばれるすくなくとも1種の基を2mmol/g以上含有し、かつポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算重量平均分子量が3,000以上であるスルホン化共役ジエン系重合体を容器内に収納してなる採血容器。
- スルホン化共役ジエン系重合体における共役ジエン系単量体が1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘプタジエン、2,4−ヘプタジエンおよび2−フェニル−1,3−ブタジエンから選ばれる1種単独または2種以上からなる請求項1に記載の採血容器。
- スルホン化共役ジエン系重合体における共役ジエン系単量体と共重合可能な他の単量体の共重合量が全単量体の50重量%未満である請求項2に記載の採血容器。
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