JP3543411B2 - 4−アミノピリミジン誘導体、その製法及び農園芸用の有害生物防除剤 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、殺虫剤,殺ダニ剤,殺菌剤,殺線虫剤などとして有用な農園芸用の有害生物防除剤である新規な4−アミノピリミジン誘導体に関するものである。
【0002】
【従来技術の説明】
本発明に近似した4−アミノピリミジン誘導体としては、WO92/08704号公報(PCT)に開示された、次式
【0003】
【化8】
【0004】
〔式中、Qは表1に示す置換基を表す。AはR1 で置換されていてもよいC1 からC5 のアルキレン基又はC3 〜C5 のシクロアルキレン基を表し;GはO又はSを表し;XはSi又はGeを表し;R1 はC1 又はC2 のハロアルキル基、CN基、C(O)R8 、CO2 R8 、C(O)N(R8 )R9 、N3 、NO2 、N(R8 )R9 、N(R8 )C(O)R9 、N(R8 )C(O)N(R10)R9 、N(R8 )S(O)2 R10、OR8 、O(C)R8 、OCO2 R8 、OC(O)N(R8 )R9 、OS(O)2 R8 、SR8 、S(O)R8 、S(O)2 R8 及びSCNを表し;R2 はH、ハロゲン原子、C1 〜C6 のアルキル基又はC1 〜C6 のハロアルキル基を表し;R3 はH、ハロゲン原子、C1 〜C6 のアルキル基、C1 〜C6 のハロアルキル基、C2 〜C6 のアルコキシアルキル基又はC2 〜C6 のアルキルチオアルキル基を表し;R4 はハロゲン原子、C1 〜C6 のアルキル基、C1 〜C6 のハロアルキル基、C2 〜C6 のアルコキシアルキル基又はC2 〜C6 のアルキルチオアルキル基を表し;R5 はH、HCO、C2 〜C6 のアルコキシアルキル基、C2 〜C6 のアルキルカルボニル基、C2 〜C6 のアルコキシカルボニル基、C2 〜C6 のハロアルコキシカルボニル基、COR15、R11OC(O)N(R12)S−、R11(R12)NS−又はSR8 を表し;R6 はH、C1 〜C6 のアルキル基、C1 〜C6 のアルコキシ基、C2 〜C6 のアルコキシアルキル基、C2 〜C6 のアルケニル基、C2 〜C6 のハロアルケニル基、C2 〜C6 のアルキニル基、C2 〜C6 のアルケニルオキシ基、C2 〜C6 のアルキニルオキシ基、C3 〜C6 のシクロアルキル基、C3 〜C6 のシクロアルキルアルキル基、C1 〜C6 のアルキルチオ基、C1 〜C6 のアルキルスルフィニ基、C1 〜C6 のアルキルスルホニル基、C1 〜C6 のハロアルキルチオ基、C1 〜C6 のハロアルキルスルフィニ基、C1 〜C6 のハロアルキルスルホニル基及び置換基Wで置換されてもよいフェニル基を表し;R7 はH、ハロゲン、CN、NO2 、C1 又はC2 アルキル基、C1 又はC2 アルコキシ基又はCF3 を表し;R8 及びR10は互いに独立して、C1 〜C6 のアルキル基、C1 〜C6 のハロアルキル基、C2 〜C6 のアルケニル基、C2 〜C6 のハロアルケニル基、C2 〜C6 のアルキニル基、C2 〜C6 のハロアルキニル基、C2 〜C6 のアルコキシアルキル基、C2 〜C6 のアルキルチオアルキル基、C1 〜C6 のニトロアルキル基、C2 〜C6 のシアノアルキル基、C3 〜C6 のアルコキシカルボニルアルキル基、C3 〜C6 のシクロアルキル基、C3 〜C6 のハロシクロアルキル基、置換基Wで置換されてもよいフェニル基又は置換基Wで置換されてもよいベンジル基を表し;R9 はH又はC1 〜C4 のアルキル基を表し;R8 とR9 とで−(CH2 )4 −、−(CH2 )5 −又は−CH2 CH2 OCH2 CH2 −を表し;R11とR12とはそれぞれ独立して、C1 〜C4 のアルキル基を表し;R13はC1 〜C4 のアルキル基、C1 〜C4 のアルコキシアルキル基又は置換基Wで置換されてもよいフェニル基を表し;R14はC1 〜C6 のアルキル基、C1 〜C6 のアルコキシ基、C1 〜C6 のハロアルコキシ基又は1〜3個の置換基Wで置換されてもよいフェニル基又は置換基Wで置換されてもよいベンジル基を表し;R15はイミダゾール−1−イル基、ピラゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基及び1,2,4−トリアゾール−1−イル基を表し;Wはハロゲン原子、CN、NO2 、C1 又はC2 のアルキル基、C1 又はC2 のハロアルキル基、C1 又はC2 のアルコキシ基、C1 又はC2 のハロアルコキシ基、C1 又はC2 のアルキルチオ基、C1 又はC2 のハロアルキルチオ基、C1 又はC2 のアルキルスルホニル基又はC1 又はC2 のハロアルキルスルホニル基を表す。なお、この式で定義した各種置換基の記号は、この式だけに限定する。)
【0005】
【表1】
【0006】
で示される化合物が殺虫剤,殺ダニ剤,殺菌剤として有効であることが記載されている。
しかしながら、本発明のようなピリミジン環の6−位エチル基にフッ素原子を有する4−アミノピリミジン誘導体の開示は認められない。
従って、本発明の4−アミノピリミジン誘導体は新規化合物であることから、殺虫剤,殺ダニ剤,殺菌剤,殺線虫剤などとして有用な農園芸用の有害生物防除活性を有することについても知られていない。
【0007】
【発明が解決すべき課題】
本発明の目的は、新規な4−アミノピリミジン誘導体、その製法及びそれを有効成分とする殺虫剤,殺ダニ剤,殺菌剤,殺線虫剤などとして有用な農園芸用の有害生物防除剤を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するために検討した結果、新規な4−アミノピリミジン誘導体が殺虫剤,殺ダニ剤,殺菌剤,殺線虫剤などとして有用な農園芸用の有害生物防除剤として顕著な防除活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は次の通りである。
第1の発明は、次式(1):
【0009】
【化9】
【0010】
(式中、R1 は炭素数1〜4個のハロアルコキシ基、炭素数1〜4個のハロアルキル基、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、水素原子、ハロゲン原子、又はニトロ基を表す。R2 は炭素数1〜4個のアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、炭素数1〜4個のアルキルを置換基として有するアミノ基、ピペリジン基、ピラゾール基、イミダゾール基、トリアゾール基、チアゾリジン基、又は炭素数1〜4個のアルキルチオ基を表す。*は不斉炭素原子を表す。)で示される4−フェネチルアミノピリミジン誘導体に関するものである。
第2の発明は、次式(2):
【0011】
【化10】
【0012】
(式中、R1 は前記と同義である。)
で示されるピリミジン誘導体と
次式(3):
【0013】
【化11】
【0014】
(式中、R3 は炭素数1〜4個のアルキル基を表す。)
で示される低級脂肪族カルボン酸クロライド類とを反応させることを特徴とする、前記の式(1)で示されるR2 が炭素数1〜4個のアルキル基である4−アミノピリミジン誘導体の製法に関するものである。
第3の発明は、次式(2):
【0015】
【化12】
【0016】
(式中、R1 は前記と同義である。)
で示されるピリミジン誘導体と
次式(4):
【0017】
【化13】
【0018】
で示されるトリクロロメチルクロロホーメートとを反応させて、
次式(5):
【0019】
【化14】
【0020】
(式中、R1 は前記と同義である。)
で示される中間体を製造し、次いで、
次式(6):
【0021】
【化15】
【0022】
(式中、R4 は炭素数1〜4個のアルコキシ基、炭素数1〜4個のアルキルを有するアミノ基、ピペリジン基、ピラゾール基、イミダゾール基、トリアゾール基、チアゾリジン基、又は炭素数1〜4個のアルキルチオ基を表す。)
で示される炭素数1〜4個のアルコール類,炭素数1〜4個のアルキルアミン類,飽和環状アミン類,アゾール類,チアゾリジン基,又は炭素数1〜4個のメルカプタン類とを反応させることを特徴とする、請求項1記載の式(1)で示されるR2 が炭素数1〜4個のアルコキシ基,炭素数1〜4個のアルキルを有するアミノ基,ピペリジン基,ピラゾール基,イミダゾール基,トリアゾール基,チアゾリジン基,又は炭素数1〜4個のアルキルチオ基である4−アミノピリミジン誘導体の製法に関するものである。
【0023】
第4の発明は、前記の式(1)で示される4−フェネチルアミノピリミジン誘導体を有効成分とする農園芸用の有害生物防除剤に関するものである。
【0024】
以下、本発明について詳細に説明する。
目的化合物及び原料化合物について
目的化合物である新規な4−アミノピリミジン誘導体〔化合物(1)〕並びにその製造原料〔化合物(2),化合物(3),化合物(5),化合物(6)〕で表したR1 〜R2 は、次の通りである。
【0025】
〔R1 〕
R1 としては、炭素数1〜4個のハロアルコキシ基、炭素数1〜4個のハロアルキル基、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基などを挙げることができる。
【0026】
ハロアルコキシ基としては、アルコキシが直鎖状又は分岐状であり、塩素原子,ヨウ素原子,臭素原子,フッ素原子などのハロゲン原子を有するものを挙げることができるが;好ましくは炭素数が1〜4個であり、臭素原子又はフッ素原子からなるものであり;さらに好ましくは−OCH2 CF3 ,−OCF3 である。
ハロアルキル基としては、アルキルが直鎖状又は分岐状であり、塩素原子,ヨウ素原子,臭素原子,フッ素原子などのハロゲン原子を有するものを挙げることができるが;好ましくは炭素数が1〜4個であり、フッ素原子を有するものであり;さらに好ましくは−CF3 である。
【0027】
アルキル基としては、直鎖状又は分岐状のものを挙げることができるが;好ましくは炭素数1〜4個のものであり;さらに好ましくはCH3 、t-C4 H9 である。
アルコキシ基としては、直鎖状又は分岐状のものを挙げることができるが;好ましくは−OCH3 である。
ハロゲン原子としては、塩素原子,ヨウ素原子,臭素原子,フッ素原子などを挙げることができるが;塩素原子が好ましい。
【0028】
〔R2 〕
R2 としては、炭素数1〜4個のアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、炭素数1〜4個のアルキルを置換基として有するアミノ基、ピペリジン基、ピラゾール基、イミダゾール基、トリアゾール基、チアゾリジン基、炭素数1〜4個のアルキルチオ基などを挙げることができる。
【0029】
アルキル基としては、直鎖状又は分岐状のものを挙げることができるが;好ましくは炭素数1〜3個のものであり;さらに好ましくはCH3 、C3 H7 である。
アルコキシ基としては、直鎖状又は分岐状のものを挙げることができるが;好ましくは−OCH3 、−OC2 H5 である。
アルキルを置換基として有するアミノ基としては、直鎖状又は分岐状のアルキルを置換基として有するものを挙げることができるが;アルキル基は、好ましくはCH3 、C2 H5 である。そして、好ましいアルキルを置換基として有するアミノ基としては、NHCH3 、N(C2 H5 )2 などを挙げることができる。
【0030】
ピペリジン基としては、好ましくはピペリジン−1−イル基などを挙げることができる。
ピラゾール基としては、好ましくはピラゾール−1−イル基などを挙げることができる。
イミダゾール基としては、好ましくはイミダゾール−1−イル基などを挙げることができる。
トリアゾール基としては、好ましくは1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基などを挙げることができる。
チアゾリジン基としては、好ましくはチアゾリジン−3−イル基、チアゾリジン−1,1−ジオキサイド−3−イル基などを挙げることができる。
アルキルチオ基としては、直鎖状又は分岐状のアルキル基を有するものを挙げることができるが;好ましくは−SCH3 である。
※は不斉炭素原子を表す。
【0031】
化合物(1)としては、前記の各種の置換基を組み合わせたものを挙げることができるが、薬効の面から好ましいものは、次の通りである。
(a) R1 が炭素数1〜4個のハロアルコキシ基であり、R2 が炭素数1〜4個のアルキル基である化合物。
(b) R1 が炭素数1〜4個のハロアルコキシ基であり、R2 が炭素数1〜4個のアルコキシ基である化合物。
(c) R1 が炭素数1〜4個のハロアルコキシ基であり、R2 が炭素数1〜4個のアルキルを置換基として有するアミノ基である化合物。
(d) R1 が炭素数1〜4個のハロアルコキシ基であり、R2 がピペリジン基である化合物。
(e) R1 が炭素数1〜4個のハロアルコキシ基であり、R2 がピラゾール基である化合物。
(f) R1 が炭素数1〜4個のハロアルコキシ基であり、R2 がイミダゾール基である化合物。
(g) R1 が炭素数1〜4個のハロアルコキシ基であり、R2 がトリアゾール基である化合物。
【0032】
(h) R1 が炭素数1〜6個のアルキル基であり、R2 が炭素数1〜4個のアルキル基である化合物。
(i) R1 が炭素数1〜4個のアルコキシ基であり、R2 が炭素数1〜4個のアルキル基である化合物。
(j) R1 が水素原子であり、R2 が炭素数1〜4個のアルキル基である化合物。
(k) R1 がハロゲン原子であり、R2 が炭素数1〜4個のアルキル基である化合物。
(l) R1 が炭素数1〜4個のハロアルコキシ基であり、R2 がチアゾリジン基である化合物。
(m) R1 が炭素数1〜4個のハロアルコキシ基であり、R2 がアルキルチオ基である化合物。
【0033】
これらの好ましい組み合わせからなる(a) 〜(m) で示した化合物(1)のR1 及びR2 としては、前記の説明箇所で示した好ましいもの、さらに好ましいものを例示することができる。
これらの具体的な化合物(1)としては、後述の表2〜6中に記載した化合物1、2、4、7〜11、33、34を挙げることができる。
【0034】
本発明の化合物(1)はアミノ基を有しているので、これらに由来する酸付加塩も本発明に含まれる。
酸付加塩を形成する酸としては、例えば、塩酸,臭化水素酸,硝酸,硫酸,リン酸などの無機酸;ギ酸,シュウ酸,フマル酸,アジピン酸,ステアリン酸,オレイン酸,アコニット酸などのカルボン酸;メタンスルホン酸,ベンゼンスルホン酸,p−トルエンスルホン酸などの有機スルホン酸;サッカリンなどを挙げることができる。
また、本発明の化合物(1)は*で示した不斉炭素原子を含むので、これらに由来する個々の光学異性体,ラセミ体,又はそれらの混合物のいずれも本発明に含まれる。
【0035】
化合物(1)は、以下に示す方法によって合成することができる。
化合物(2)の合成
化合物(2)は、特願平6−10688号に記載の方法と同様に、次に示すように、通常、化合物(7)と化合物(8)とを、溶媒中で反応させることによって製造することができる。
【0036】
【化16】
【0037】
(式中、R1 は前記と同義である。)
溶媒の種類としては、本反応に直接関与しないものであれば特に限定されず、例えば、ベンゼン,トルエン,キシレン,メチルナフタリン,石油エーテル,リグロイン,ヘキサン,クロルベンゼン,ジクロルベンゼン,塩化メチレン,クロロホルム,ジクロルエタン,トリクロルエチレン,シクロヘキサンのような塩素化された又はされていない芳香族,脂肪族,脂環式の炭化水素類;ジエチルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキサンなどのようなエーテル類;アセトン,メチルエチルケトンなどのようなケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミドなどのようなアミド類;アセトニトリル,プロピオニトリルなどのようなニトリル類;トリエチルアミン,ピリジン,N,N−ジメチルアニリンなどのような有機塩基;1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン;ジメチルスルホキシド;前記溶媒の混合物を挙げることができる。
【0038】
溶媒の使用量は、化合物(7)が5〜80重量%になるようにして使用することができるが;10〜70重量%が好ましい。
塩基の種類としては、特に限定されず、例えば、トリエチルアミン,ピリジン,N,N−ジメチルアニリン,DBUなどの有機塩基、ナトリウムメトキシド,ナトリウムエトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、水素化ナトリウム,ナトリウムアミド,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,炭酸ナトリウム,炭酸水素ナトリウム,炭酸カリウムなどの無機塩基を挙げることができるが;有機塩基が好ましい。
【0039】
塩基の使用量は、化合物(7)に対して0.001〜5倍モルであるが;1.0〜2倍モルが好ましい。
反応温度は、特に限定されないが、室温から使用する溶媒の沸点以下の温度範囲内であり;80〜110℃が好ましい。
反応時間は、前記の濃度,温度によって変化するが;通常0.3〜2時間である。
原料化合物の使用量は、化合物(7)に対して化合物(8)が0.5〜2倍モルであるが;0.8〜1.2倍モルが好ましい。
化合物(7)は、特開平5−194417号公報に記載の方法と同様に、次に示すように、通常、化合物(9)と化合物(10)とを、溶媒中で反応させることによって製造することができる。
【0040】
【化17】
【0041】
(式中、R1 は前記と同義である。)
化合物(8)は、次式に示すように行うことによって、製造することができる。
【0042】
【化18】
【0043】
(式中、R2 は前記と同義である。)
化合物(8)としては、後述の表2〜6に示した化合物1〜35に対応した置換基R1 からなる化合物(8)を挙げることができる〔化合物(8)1 〜(8)35と称する。例えば、化合物(8)1 は、化合物(8)で示される式におけるR1 が2,2,2−トリフルオロエトキシ基である。〕。
【0044】
化合物(1)の合成
〔合成法1〕
合成法1は、化合物(2)と化合物(3)とを溶媒中又は無溶媒で反応させて化合物(1-1)〔化合物(1)におけるR2 が炭素数1〜4個のアルキル基である化合物〕を得る方法であり、塩基の存在下で反応させることによって反応を促進させることができる。
【0045】
【化19】
【0046】
(式中、R1 及びR3 は前記と同義である。)
溶媒の種類としては、化合物(2)の合成法に記載の溶媒の他に、無水酢酸,無水プロピオン酸,無水ブタン酸などのような脂肪族カルボン酸の無水物、それらの混合物などを挙げることができるが;導入するアシル基と同一の脂肪族カルボン酸の無水物が好ましい。
【0047】
溶媒の使用量は、化合物(2)が5〜80重量%になるようにして使用することができるが;10〜70重量%が好ましい。
塩基の種類としては、化合物(2)の合成法に記載の塩基を挙げることができるが;有機塩基が好ましい。
塩基の使用量は、化合物(2)に対して1〜5倍モルであるが;2〜5倍モルが好ましい。
反応温度は、特に限定されないが、室温から使用する溶媒の沸点以下の温度範囲内であり;80〜120℃が好ましい。
反応時間は、前記の濃度,温度によって変化するが;通常2〜10時間である。
【0048】
化合物(3)は、市販品を使用することができる。
以上のようにして製造された目的の化合物(1-1) は、反応終了後、抽出,濃縮,濾過などの通常の後処理を行い、必要に応じて再結晶,各種クロマトグラフィーなどの公知の手段で適宜精製することができる。
化合物(1-1) としては、後述の表2〜6中に示した化合物1〜3,12,16,18,20,21,24,25,27,29,30などを挙げることができる。
【0049】
〔合成法2〕
合成法2は、次のように、化合物(2)と化合物(4)とを溶媒中で反応させて中間体化合物(5)を合成し、次いで、化合物(6)を反応させて化合物(1-2) 〔化合物(1)においてR2 が炭素数1〜4個のアルコキシ基、炭素数1〜4個のアルキルを置換基として有するアミノ基、ピペリジン基、ピラゾール基、イミダゾール基、トリアゾール基、チアゾリジン基である化合物〕を得る方法であり、塩基の存在下で反応させることによって反応を促進させることができる。
【0050】
【化20】
【0051】
(式中、R1 及びR4 は前記と同義である。)
溶媒の種類としては、化合物(2)の合成法に記載の溶媒を挙げることができるが;トルエンなどの芳香族炭化水素が好ましい。
【0052】
溶媒の使用量は、化合物(2)が5〜80重量%になるようにして使用することができるが;10〜70重量%が好ましい。
塩基の種類としては、化合物(2)の合成法に記載の塩基を挙げることができるが;ピリジン、トリエチルアミンなどの有機塩基が好ましい。
塩基の使用量は、化合物(2)に対して1〜5倍モルであるが;2〜5倍モルが好ましい。
反応温度は、特に限定されないが、室温から使用する溶媒の沸点以下の温度範囲内であり;室温〜50℃が好ましい。
反応時間は、前記の濃度,温度によって変化するが;通常0.5〜11時間である。
【0053】
化合物(4)及び(6)は、市販品を使用することができる。
以上のようにして製造された目的の化合物(1-2) は、反応終了後、抽出,濃縮,濾過などの通常の後処理を行い、必要に応じて再結晶,各種クロマトグラフィーなどの公知の手段で適宜精製することができる。
化合物(1-2) としては、後述の表2〜6中に示した化合物4〜11,13〜15,17,19,22,23,26,28,31〜34などを挙げることができる。
【0054】
農園芸用の有害生物防除剤
〔防除効果〕
本発明の化合物(1)で防除効果が認められる農園芸における有害生物としては、農園芸害虫〔例えば、半翅目(ウンカ類,ヨコバイ類,アブラムシ類,コナジラミ類など)、鱗翅目(ヨトウムシ類,コナガ,ハマキムシ類,メイガ類,シンクイムシ類,モンシロチョウなど)、鞘翅目(ゴミムシダマシ類,ゾウムシ類,ハムシ類,コガネムシ類など)、ダニ目(ハダニ科のミカンハダニ,ナミハダニなど、フシダニ科のミカンサビダニなど)〕、衛生害虫(例えば、ハエ,カ,ゴキブリなど)、貯穀害虫(コクストモドキ類,マメゾウムシ類など)、土壌中のネコブセンチュウ、マツノザイセンチュウ、ネダニなどを挙げることができ、また、農園芸病原菌(例えば、コムギ赤さび病,大麦うどんこ病,キュウリべと病、イネいもち病、トマト疫病など)を挙げることができる。
【0055】
〔有害生物防除剤〕
本発明の農園芸用の有害生物防除剤は、特に、殺虫・殺ダニ・殺菌・殺線虫効果が顕著であり、化合物(1)の1種以上を有効成分として含有するものである。
化合物(1)は、単独で使用することもできるが、通常は常法によって、担体,界面活性剤,分散剤,補助剤などを配合(例えば、粉剤,乳剤,微粒剤,粒剤,水和剤,油性の懸濁液,エアゾールなどの組成物として調製する)して使用することが好ましい。
【0056】
担体としては、例えば、タルク,ベントナイト,クレー,カオリン,ケイソウ土,ホワイトカーボン,バーミキュライト,消石灰,ケイ砂,硫安,尿素などの固体担体;炭化水素(ケロシン,鉱油など)、芳香族炭化水素(ベンゼン,トルエン,キシレンなど)、塩素化炭化水素(クロロホルム,四塩化炭素など)、エーテル類(ジオキサン,テトラヒドロフランなど)、ケトン類(アセトン,シクロヘキサノン,イソホロンなど)、エステル類(酢酸エチル,エチレングリコールアセテート,マレイン酸ジブチルなど)、アルコール類(メタノール,n−ヘキサノール,エチレングリコールなど)、極性溶媒(ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキシドなど)、水などの液体担体;空気,窒素,炭酸ガス,フレオンなどの気体担体(この場合には、混合噴射することができる)などを挙げることができる。
【0057】
本剤の動植物への付着,吸収の向上,薬剤の分散,乳化,展着などの性能を向上させるために使用できる界面活性剤や分散剤としては、例えば、アルコール硫酸エステル類,アルキルスルホン酸塩,リグニンスルホン酸塩,ポリオキシエチレングリコールエーテルなどを挙げることができる。そして、その製剤の性状を改善するためには、例えば、カルボキシメチルセルロース,ポリエチレングリコール,アラビアゴムなどを補助剤として用いることができる。
本剤の製造では、前記の担体,界面活性剤,分散剤及び補助剤をそれぞれの目的に応じて、各々単独で又は適当に組み合わせて使用することができる。
本発明の化合物(I)を製剤化した場合の有効成分濃度は、乳剤では通常1〜50重量%,粉剤では通常0.3〜25重量%,水和剤では通常1〜90重量%,粒剤では通常0.5〜5重量%,油剤では通常0.5〜5重量%,エアゾールでは通常0.1〜5重量%である。
これらの製剤を適当な濃度に希釈して、それぞれの目的に応じて、植物茎葉,土壌,水田の水面に散布するか、又は直接施用することによって各種の用途に供することができる。
【0058】
【実施例】
以下、本発明を参考例及び実施例によって具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
参考例1〔化合物(7)の合成〕
(1) 4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)−ピリミジンの合成
4,5−ジクロロ−6−(1−ヒドロキシエチル)ピリミジン(2.1g)をジクロロメタン(15ml)に溶解し、氷冷、攪拌下にジエチルアミノサルファートリフルオライド(2.0g)を滴下し、さらに1時間室温で反応して反応を完結した。
反応液に冷水(20ml)を加え、ジクロロメタン層を分取し、水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。次いで、減圧下に溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200、クロロホルム溶出)で精製することによって、淡黄色油状の液体である目的物を1.3g得た。
【0059】
・b.p.229〜231℃
・ 1H−NMR(CDCl3 ,δppm)
1.64〜1.81(d−d,3H)、5.84〜6.19(d−q,1H)、8.92(s,1H)
【0060】
参考例2〔化合物(2)の合成〕
(1) 5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−{2−〔4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル〕エチルアミノ}ピリミジンの合成
2−〔4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル〕エチルアミン(2.2g)とトリエチルアミン(3g)とをトルエン(20ml)に溶解し、参考例1で得た4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)−ピリミジン(2.0g)を加え、約60℃で4時間加熱攪拌した。
反応終了後、反応混合物に水を加え、トルエンで目的化合物を抽出し、水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を減圧下で留去した。
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200、トルエン溶出)で精製することによって、無色油状液体の目的物を1.3g得た。
【0061】
1H−NMR(CDCl3 ,δppm)
1.60〜1.75(d−d,3H)、2.88〜2.93(t,2H)
3.75〜3.79(t,2H)、4.30〜4.39(q,2H)
5.54(s,1H)、5.75〜6.00(d−q,1H)
6.89〜6.92(d,2H)、7.16〜7.19(d,2H)
8.55(s,1H)
【0062】
実施例1〔化合物(1)の合成〕
(1)N−アセチル−5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−{2−〔4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル〕エチルアミノ}ピリミジン〔化合物1〕の合成
5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−{2−〔4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル〕エチルアミノ}ピリミジン(1.8g)を無水酢酸(15ml)に溶解し、ピリジン(0.45g)とアセチルクロライド(1.5g)とを加え、約80℃で24時間加熱攪拌した。
反応終了後、室温まで冷却し、水を加え、酢酸エチルで目的化合物を抽出し、水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を減圧下で留去した。
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200,トルエン:酢酸エチル=9:1溶出)で精製することによって、淡黄色結晶である目的化合物を1.1g得た。
【0063】
1H−NMR(CDCl3 ,δppm)
1.66〜1.78(d−d,3H)、2.00(s,3H)
2.86〜2.92(t,2H)、4.02〜4.08(t,2H)
4.24〜4.34(q,2H)、5.88〜6.12(d−q,2H)
6.78〜6.82(d,2H)、7.08〜7.12(d,2H)
9.05(s,1H)
【0064】
(2)N−メトキシカルボニル−5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−{2−〔4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル〕エチルアミノ}ピリミジン〔化合物4〕の合成
5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−{2−〔4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル〕エチルアミノ}ピリミジン(1.8g)とピリジン((0.4g)とをトルエン(20ml)に溶解し、トリクロロホーメート(1.1g)を滴下し、約80℃で5時間攪拌した。
反応終了後、室温まで冷却し、水(20ml)を加え、トルエンで目的化合物を抽出し、水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を減圧下で留去し、中間体であるN−クロロカルボニル−5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−{2−〔4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル〕エチルアミノ}ピリミジンを淡黄色結晶として1.9g得た。
このN−クロロカルボニル−5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−{2−〔4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル〕エチルアミノ}ピリミジン(0.35g)とトリエチルアミン(0.2g)とをトルエン(10ml)に溶解し、メタノール(0.2g)を滴下し、約50℃で5時間攪拌した。
反応終了後、室温まで冷却し、水(10ml)を加え、酢酸エチルで目的化合物を抽出し、水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を減圧下で留去した。
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200,トルエン:酢酸エチル=9:1溶出)で精製することによって、淡黄色液体である目的化合物を0.27g得た。
【0065】
1H−NMR(CDCl3 ,δppm)
1.12〜1.20(t,6H)、1.62〜1.72(d−d,3H)
2.96〜3.02(t,2H)、3.32〜3.42(q,4H)
3.88〜3.94(t,2H)、4.28〜4.38(q,2H)
5.87〜6.10(d−q,1H)、6.86〜6.89(d,2H)
7.18〜7.21(d,2H)、8.82(s,1H)
【0066】
(3)N−(N,N−ジエチルカルバモイル)−5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−{2−〔4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル〕エチルアミノ}ピリミジン〔化合物7〕の合成
(2) で得られた化合物4(0.80g)をトルエン(10ml)に溶解し、トリエチルアミン(0.8g)とジエチルアミン(0.5g)とを順次加え、室温で1時間攪拌した。
反応終了後、酢酸エチルで目的化合物を抽出し、水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を減圧下で留去した。
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200,トルエン:酢酸エチル=9:1溶出)で精製することによって、淡黄色液体である目的化合物を0.66g得た。
【0067】
1H−NMR(CDCl3 ,δppm)
1.12〜1.20(t,6H)、1.62〜1.72(d−d,6H)
2.96〜3.02(t,2H)、3.32〜3.42(m,4H)
3.88〜3.94(t,2H)、4.28〜4.38(q,2H)
5.87〜6.10(d−q,1H)、6.86〜6.89(d,2H)
7.18〜7.21(d,2H)、8.82(s,1H)
【0068】
(4)N−(イミダゾール−1−イル−カルボニル)−5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−{2−〔4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル〕エチルアミノ}ピリミジン〔化合物9〕の合成
(2) で得られた化合物4(0.63g)をトルエン(10ml)に溶解し、ピリジン(0.12g)とイミダゾール(0.11g)とを順次加え、室温で2時間攪拌した。
反応終了後、水を加え、酢酸エチルで目的化合物を抽出し、水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を減圧下で留去した。
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200,トルエン:酢酸エチル=9:1溶出)で精製することによって、無色液体である目的化合物を0.50g得た。
【0069】
1H−NMR(CDCl3 ,δppm)
1.51〜1.62(d−d,6H)、3.03〜3.09(t,2H)
4.23〜4.32(m,4H)、5.67〜5.91(d−q,1H)
6.76〜6.79(d,2H)、6.85〜6.89(d,2H)
7.09〜7.12(d,2H)、7.64(s,1H)
8.99(s,1H)
【0070】
(5) 表2〜6中のその他の化合物(1)の合成
前記(1) 〜(4) に記載の方法に準じて、表2〜6中のその他の化合物(1)を合成した。
以上のようにした合成した化合物を表2〜6に示す。
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】
【表5】
【0075】
【表6】
【0076】
実施例2〔製剤の調製〕
(1) 粒剤の調製
化合物1を5重量部,ベントナイト35重量部,タルク57重量部,ネオペレックスパウダー(商品名;花王株式会社製)1重量部及びリグニンスルホン酸ソーダ2重量部を均一に混合し、次いで少量の水を添加して混練した後、造粒、乾燥して粒剤を得た。
【0077】
(2) 水和剤の調製
化合物1を10重量部,カオリン67.5重量部,ホワイトカーボン20重量部,ネオペレックスパウダー(商品名;花王株式会社製)2重量部及びデモール(商品名;花王株式会社製)0.5重量部とを均一に混合し、次いで粉砕して水和剤を得た。
【0078】
(3) 乳剤の調製
化合物1を20重量部及びキシレン70重量部に、トキサノン(商品名;三洋化成工業製)10重量部を加えて均一に混合し、溶解して乳剤を得た。
【0079】
(4) 粉剤の調製
化合物1を5重量部,タルク50重量部及びカオリン45重量部を均一に混合して粉剤を得た。
【0080】
実施例3〔効力試験〕
(1) コナガに対する効力試験
実施例2に準じて調製した表2〜6に示す化合物(1)の各水和剤を界面活性剤(0.01%)を含む水で300ppmに希釈し、これらの各薬液中にキャベツ葉片(5×5cm)を30秒間浸漬し、各プラスチックカップに一枚づつ入れて風乾した。
次に、これらのカップ内に各々10頭のコナガ(3齢幼虫)を放って蓋をし、25℃の定温室に放置し、2日後に各カップの生死虫数を数えて死虫率を求めた。
殺虫効果の評価は、死虫率の範囲によって、4段階(A:100%,B:100未満〜80%,C:80未満〜60%,D:60%未満)で示した。
これらの結果を表7に示す。
【0081】
【表7】
【0082】
(2) トビイロウンカに対する効力試験
実施例2に準じて調製した表2〜6に示す化合物(1)の各水和剤を界面活性剤(0.01%)を含む水で各々300ppmに希釈し、これらの各薬液中にイネ稚苗を30秒間づつ浸漬して風乾後、それぞれのガラス円筒に挿入した。
次に、各円筒にトビイロウンカ(4齢幼虫)を10頭放って多孔質の栓をし、25℃の定温室に放置し、4日後に生死虫数を数えて殺虫率を求めた。
殺虫効果の評価の結果を、前記の(1) に記載した4段階の評価方法で表8に示す。
【0083】
【表8】
【0084】
(3) ツマグロヨコバイに対する効力試験
実施例2に準じて調製した表2〜6に示す化合物(1)の各水和剤を界面活性剤(0.01%)を含む水で各々300ppmに希釈し、これらの各薬液中にイネ稚苗を30秒間づつ浸漬して風乾後、それぞれのガラス円筒に挿入した。
次に、各円筒にツマグロヨコバイ(4齢幼虫)を10頭放って多孔質の栓をし、25℃の定温室に放置し、4日後に生死虫数を数えて殺虫率を求めた。
殺虫効果の評価の結果を、前記の(1) に記載した4段階の評価方法で表9に示す。
【0085】
【表9】
【0086】
(4) ナミハダニ雌成虫に対する効力試験
実施例2に準じて調製した表2〜6に示す化合物(1)の各水和剤を界面活性剤(0.01%)を含む水で300ppmに希釈し、これらの各薬液中に10頭のナミハダニ雌成虫を寄生させた各インゲン葉片(直径20mm)を15秒間づつ浸漬した。
次に、これらの各葉片を25℃の定温室に放置し、3日後に各葉片における生死虫数を数えて殺ダニ率を求めた。
【0087】
殺ダニ効果の評価は、殺ダニ率の範囲によって、4段階(A:100%,B:100未満〜80%,C:80未満〜60%,D:60%未満)で示した。
殺ダニ効果の評価の結果を、表10に示す。
【0088】
【表10】
【0089】
(5) ハスモンヨトウに対する効力試験
実施例2に準じて調製した表2〜6に示す化合物(1)の各水和剤を界面活性剤(0.01%)を含む水で各々500ppmに希釈し、これらの各薬液中にダイズ本葉を30秒間浸漬し、各プラスチックカップに1枚づつ入れて風乾した。
これらのカップ内に各々10頭のハスモンヨトウ(2齢幼虫)を放って蓋をし、25℃の定温室に放置し、2日後に各カップ内の生死虫数を数えて殺虫率を求めた。
殺虫効果の評価の結果を、前記の(1) に記載した4段階の評価方法で表11に示す。
【0090】
【表11】
【0091】
なお、表12に示すようなWO92/08704号公報(PCT)に記載された比較化合物1及び2を、化合物(1)の場合と同様に検討し、比較例とした。
【0092】
【表12】
【0093】
(6) サツマイモネコブセンチュウに対する効力試験
実施例2に準じて調製した表2〜6に示す化合物(1)の各水和剤を界面活性剤(0.01%)を含む水で10ppmに希釈し、これらの各薬液中に約100頭のサツマイモネコブセンチュウ(2期幼虫)を放った。
次に、25℃の定温室に放置し、2日後に顕微鏡下で生死虫数を数えて殺線虫率を求めた。
殺線虫効果の評価の結果は、殺線虫率の範囲によって、4段階(A:100〜90%,B:90未満〜80%,C:80未満〜60%,D:60%未満)で示した。
これらの結果を表13に示す。
【0094】
【表13】
【0095】
なお、表12に示す比較化合物1及び2を、化合物(1)の場合と同様に検討し、比較例とした。
(7) コムギ赤さび病に対する防除効力試験(予防効果)
直径6cmのプラスチック植木鉢に1鉢あたり10本づつコムギ(品種;コブシコムギ)を育成し、1.5葉期の幼植物体に、実施例2に準じて調製した表2〜6で示した化合物(1)の水和剤を、界面活性剤(0.01%)を含む水で500ppmに希釈して、1鉢あたり20mlで散布した。
散布後、2日間ガラス温室で栽培し、次いで、コムギ赤さび病菌の胞子懸濁液(7×104 胞子/ml)を植物体に均一に噴霧接種した。
接種後、1週間ガラス温室内で育成し、第一葉に現れたコムギ赤さび病病斑の程度を調査した。
殺菌効果の評価は、無処理区の病斑の程度と比較して、6段階(0:全体が罹病、1:病斑面積が60%程度、2:病斑面積が40%程度、3:病斑面積が20%程度、4:病斑面積が10%以下、5:病斑無し)で示した。
その結果を表14に示す。
【0096】
【表14】
【0097】
(8) イネいもち病に対する防除効力試験(予防効果)
直径6cmのプラスチック植木鉢に1鉢あたり10本のイネ(品種;日本晴)を育成し、1.5葉期の幼植物体に、実施例2に準じて調製した表2〜6で示した化合物(I)の各水和剤を、界面活性剤(0.01%)を含む水で500ppmに希釈して、1鉢あたり20mlづつ散布した。
散布後、2日間ガラス温室で栽培し、次いで、罹病葉から調製したイネいもち病菌の分生胞子懸濁液を植物葉に均一に噴霧接種した。
接種後、5日間28℃湿室内で育成し、葉に現れたイネいもち病病斑の程度を調査した。
その結果を、前記の(1) に記載した6段階の評価方法で、表15に示す。
【0098】
【表15】
【0099】
【発明の効果】
本発明の新規な4−アミノピリミジン誘導体は、殺虫,殺ダニ,殺菌,殺線虫などの優れた効果を有するものである。
【産業上の利用分野】
本発明は、殺虫剤,殺ダニ剤,殺菌剤,殺線虫剤などとして有用な農園芸用の有害生物防除剤である新規な4−アミノピリミジン誘導体に関するものである。
【0002】
【従来技術の説明】
本発明に近似した4−アミノピリミジン誘導体としては、WO92/08704号公報(PCT)に開示された、次式
【0003】
【化8】
【0004】
〔式中、Qは表1に示す置換基を表す。AはR1 で置換されていてもよいC1 からC5 のアルキレン基又はC3 〜C5 のシクロアルキレン基を表し;GはO又はSを表し;XはSi又はGeを表し;R1 はC1 又はC2 のハロアルキル基、CN基、C(O)R8 、CO2 R8 、C(O)N(R8 )R9 、N3 、NO2 、N(R8 )R9 、N(R8 )C(O)R9 、N(R8 )C(O)N(R10)R9 、N(R8 )S(O)2 R10、OR8 、O(C)R8 、OCO2 R8 、OC(O)N(R8 )R9 、OS(O)2 R8 、SR8 、S(O)R8 、S(O)2 R8 及びSCNを表し;R2 はH、ハロゲン原子、C1 〜C6 のアルキル基又はC1 〜C6 のハロアルキル基を表し;R3 はH、ハロゲン原子、C1 〜C6 のアルキル基、C1 〜C6 のハロアルキル基、C2 〜C6 のアルコキシアルキル基又はC2 〜C6 のアルキルチオアルキル基を表し;R4 はハロゲン原子、C1 〜C6 のアルキル基、C1 〜C6 のハロアルキル基、C2 〜C6 のアルコキシアルキル基又はC2 〜C6 のアルキルチオアルキル基を表し;R5 はH、HCO、C2 〜C6 のアルコキシアルキル基、C2 〜C6 のアルキルカルボニル基、C2 〜C6 のアルコキシカルボニル基、C2 〜C6 のハロアルコキシカルボニル基、COR15、R11OC(O)N(R12)S−、R11(R12)NS−又はSR8 を表し;R6 はH、C1 〜C6 のアルキル基、C1 〜C6 のアルコキシ基、C2 〜C6 のアルコキシアルキル基、C2 〜C6 のアルケニル基、C2 〜C6 のハロアルケニル基、C2 〜C6 のアルキニル基、C2 〜C6 のアルケニルオキシ基、C2 〜C6 のアルキニルオキシ基、C3 〜C6 のシクロアルキル基、C3 〜C6 のシクロアルキルアルキル基、C1 〜C6 のアルキルチオ基、C1 〜C6 のアルキルスルフィニ基、C1 〜C6 のアルキルスルホニル基、C1 〜C6 のハロアルキルチオ基、C1 〜C6 のハロアルキルスルフィニ基、C1 〜C6 のハロアルキルスルホニル基及び置換基Wで置換されてもよいフェニル基を表し;R7 はH、ハロゲン、CN、NO2 、C1 又はC2 アルキル基、C1 又はC2 アルコキシ基又はCF3 を表し;R8 及びR10は互いに独立して、C1 〜C6 のアルキル基、C1 〜C6 のハロアルキル基、C2 〜C6 のアルケニル基、C2 〜C6 のハロアルケニル基、C2 〜C6 のアルキニル基、C2 〜C6 のハロアルキニル基、C2 〜C6 のアルコキシアルキル基、C2 〜C6 のアルキルチオアルキル基、C1 〜C6 のニトロアルキル基、C2 〜C6 のシアノアルキル基、C3 〜C6 のアルコキシカルボニルアルキル基、C3 〜C6 のシクロアルキル基、C3 〜C6 のハロシクロアルキル基、置換基Wで置換されてもよいフェニル基又は置換基Wで置換されてもよいベンジル基を表し;R9 はH又はC1 〜C4 のアルキル基を表し;R8 とR9 とで−(CH2 )4 −、−(CH2 )5 −又は−CH2 CH2 OCH2 CH2 −を表し;R11とR12とはそれぞれ独立して、C1 〜C4 のアルキル基を表し;R13はC1 〜C4 のアルキル基、C1 〜C4 のアルコキシアルキル基又は置換基Wで置換されてもよいフェニル基を表し;R14はC1 〜C6 のアルキル基、C1 〜C6 のアルコキシ基、C1 〜C6 のハロアルコキシ基又は1〜3個の置換基Wで置換されてもよいフェニル基又は置換基Wで置換されてもよいベンジル基を表し;R15はイミダゾール−1−イル基、ピラゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基及び1,2,4−トリアゾール−1−イル基を表し;Wはハロゲン原子、CN、NO2 、C1 又はC2 のアルキル基、C1 又はC2 のハロアルキル基、C1 又はC2 のアルコキシ基、C1 又はC2 のハロアルコキシ基、C1 又はC2 のアルキルチオ基、C1 又はC2 のハロアルキルチオ基、C1 又はC2 のアルキルスルホニル基又はC1 又はC2 のハロアルキルスルホニル基を表す。なお、この式で定義した各種置換基の記号は、この式だけに限定する。)
【0005】
【表1】
【0006】
で示される化合物が殺虫剤,殺ダニ剤,殺菌剤として有効であることが記載されている。
しかしながら、本発明のようなピリミジン環の6−位エチル基にフッ素原子を有する4−アミノピリミジン誘導体の開示は認められない。
従って、本発明の4−アミノピリミジン誘導体は新規化合物であることから、殺虫剤,殺ダニ剤,殺菌剤,殺線虫剤などとして有用な農園芸用の有害生物防除活性を有することについても知られていない。
【0007】
【発明が解決すべき課題】
本発明の目的は、新規な4−アミノピリミジン誘導体、その製法及びそれを有効成分とする殺虫剤,殺ダニ剤,殺菌剤,殺線虫剤などとして有用な農園芸用の有害生物防除剤を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するために検討した結果、新規な4−アミノピリミジン誘導体が殺虫剤,殺ダニ剤,殺菌剤,殺線虫剤などとして有用な農園芸用の有害生物防除剤として顕著な防除活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は次の通りである。
第1の発明は、次式(1):
【0009】
【化9】
【0010】
(式中、R1 は炭素数1〜4個のハロアルコキシ基、炭素数1〜4個のハロアルキル基、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、水素原子、ハロゲン原子、又はニトロ基を表す。R2 は炭素数1〜4個のアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、炭素数1〜4個のアルキルを置換基として有するアミノ基、ピペリジン基、ピラゾール基、イミダゾール基、トリアゾール基、チアゾリジン基、又は炭素数1〜4個のアルキルチオ基を表す。*は不斉炭素原子を表す。)で示される4−フェネチルアミノピリミジン誘導体に関するものである。
第2の発明は、次式(2):
【0011】
【化10】
【0012】
(式中、R1 は前記と同義である。)
で示されるピリミジン誘導体と
次式(3):
【0013】
【化11】
【0014】
(式中、R3 は炭素数1〜4個のアルキル基を表す。)
で示される低級脂肪族カルボン酸クロライド類とを反応させることを特徴とする、前記の式(1)で示されるR2 が炭素数1〜4個のアルキル基である4−アミノピリミジン誘導体の製法に関するものである。
第3の発明は、次式(2):
【0015】
【化12】
【0016】
(式中、R1 は前記と同義である。)
で示されるピリミジン誘導体と
次式(4):
【0017】
【化13】
【0018】
で示されるトリクロロメチルクロロホーメートとを反応させて、
次式(5):
【0019】
【化14】
【0020】
(式中、R1 は前記と同義である。)
で示される中間体を製造し、次いで、
次式(6):
【0021】
【化15】
【0022】
(式中、R4 は炭素数1〜4個のアルコキシ基、炭素数1〜4個のアルキルを有するアミノ基、ピペリジン基、ピラゾール基、イミダゾール基、トリアゾール基、チアゾリジン基、又は炭素数1〜4個のアルキルチオ基を表す。)
で示される炭素数1〜4個のアルコール類,炭素数1〜4個のアルキルアミン類,飽和環状アミン類,アゾール類,チアゾリジン基,又は炭素数1〜4個のメルカプタン類とを反応させることを特徴とする、請求項1記載の式(1)で示されるR2 が炭素数1〜4個のアルコキシ基,炭素数1〜4個のアルキルを有するアミノ基,ピペリジン基,ピラゾール基,イミダゾール基,トリアゾール基,チアゾリジン基,又は炭素数1〜4個のアルキルチオ基である4−アミノピリミジン誘導体の製法に関するものである。
【0023】
第4の発明は、前記の式(1)で示される4−フェネチルアミノピリミジン誘導体を有効成分とする農園芸用の有害生物防除剤に関するものである。
【0024】
以下、本発明について詳細に説明する。
目的化合物及び原料化合物について
目的化合物である新規な4−アミノピリミジン誘導体〔化合物(1)〕並びにその製造原料〔化合物(2),化合物(3),化合物(5),化合物(6)〕で表したR1 〜R2 は、次の通りである。
【0025】
〔R1 〕
R1 としては、炭素数1〜4個のハロアルコキシ基、炭素数1〜4個のハロアルキル基、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基などを挙げることができる。
【0026】
ハロアルコキシ基としては、アルコキシが直鎖状又は分岐状であり、塩素原子,ヨウ素原子,臭素原子,フッ素原子などのハロゲン原子を有するものを挙げることができるが;好ましくは炭素数が1〜4個であり、臭素原子又はフッ素原子からなるものであり;さらに好ましくは−OCH2 CF3 ,−OCF3 である。
ハロアルキル基としては、アルキルが直鎖状又は分岐状であり、塩素原子,ヨウ素原子,臭素原子,フッ素原子などのハロゲン原子を有するものを挙げることができるが;好ましくは炭素数が1〜4個であり、フッ素原子を有するものであり;さらに好ましくは−CF3 である。
【0027】
アルキル基としては、直鎖状又は分岐状のものを挙げることができるが;好ましくは炭素数1〜4個のものであり;さらに好ましくはCH3 、t-C4 H9 である。
アルコキシ基としては、直鎖状又は分岐状のものを挙げることができるが;好ましくは−OCH3 である。
ハロゲン原子としては、塩素原子,ヨウ素原子,臭素原子,フッ素原子などを挙げることができるが;塩素原子が好ましい。
【0028】
〔R2 〕
R2 としては、炭素数1〜4個のアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、炭素数1〜4個のアルキルを置換基として有するアミノ基、ピペリジン基、ピラゾール基、イミダゾール基、トリアゾール基、チアゾリジン基、炭素数1〜4個のアルキルチオ基などを挙げることができる。
【0029】
アルキル基としては、直鎖状又は分岐状のものを挙げることができるが;好ましくは炭素数1〜3個のものであり;さらに好ましくはCH3 、C3 H7 である。
アルコキシ基としては、直鎖状又は分岐状のものを挙げることができるが;好ましくは−OCH3 、−OC2 H5 である。
アルキルを置換基として有するアミノ基としては、直鎖状又は分岐状のアルキルを置換基として有するものを挙げることができるが;アルキル基は、好ましくはCH3 、C2 H5 である。そして、好ましいアルキルを置換基として有するアミノ基としては、NHCH3 、N(C2 H5 )2 などを挙げることができる。
【0030】
ピペリジン基としては、好ましくはピペリジン−1−イル基などを挙げることができる。
ピラゾール基としては、好ましくはピラゾール−1−イル基などを挙げることができる。
イミダゾール基としては、好ましくはイミダゾール−1−イル基などを挙げることができる。
トリアゾール基としては、好ましくは1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基などを挙げることができる。
チアゾリジン基としては、好ましくはチアゾリジン−3−イル基、チアゾリジン−1,1−ジオキサイド−3−イル基などを挙げることができる。
アルキルチオ基としては、直鎖状又は分岐状のアルキル基を有するものを挙げることができるが;好ましくは−SCH3 である。
※は不斉炭素原子を表す。
【0031】
化合物(1)としては、前記の各種の置換基を組み合わせたものを挙げることができるが、薬効の面から好ましいものは、次の通りである。
(a) R1 が炭素数1〜4個のハロアルコキシ基であり、R2 が炭素数1〜4個のアルキル基である化合物。
(b) R1 が炭素数1〜4個のハロアルコキシ基であり、R2 が炭素数1〜4個のアルコキシ基である化合物。
(c) R1 が炭素数1〜4個のハロアルコキシ基であり、R2 が炭素数1〜4個のアルキルを置換基として有するアミノ基である化合物。
(d) R1 が炭素数1〜4個のハロアルコキシ基であり、R2 がピペリジン基である化合物。
(e) R1 が炭素数1〜4個のハロアルコキシ基であり、R2 がピラゾール基である化合物。
(f) R1 が炭素数1〜4個のハロアルコキシ基であり、R2 がイミダゾール基である化合物。
(g) R1 が炭素数1〜4個のハロアルコキシ基であり、R2 がトリアゾール基である化合物。
【0032】
(h) R1 が炭素数1〜6個のアルキル基であり、R2 が炭素数1〜4個のアルキル基である化合物。
(i) R1 が炭素数1〜4個のアルコキシ基であり、R2 が炭素数1〜4個のアルキル基である化合物。
(j) R1 が水素原子であり、R2 が炭素数1〜4個のアルキル基である化合物。
(k) R1 がハロゲン原子であり、R2 が炭素数1〜4個のアルキル基である化合物。
(l) R1 が炭素数1〜4個のハロアルコキシ基であり、R2 がチアゾリジン基である化合物。
(m) R1 が炭素数1〜4個のハロアルコキシ基であり、R2 がアルキルチオ基である化合物。
【0033】
これらの好ましい組み合わせからなる(a) 〜(m) で示した化合物(1)のR1 及びR2 としては、前記の説明箇所で示した好ましいもの、さらに好ましいものを例示することができる。
これらの具体的な化合物(1)としては、後述の表2〜6中に記載した化合物1、2、4、7〜11、33、34を挙げることができる。
【0034】
本発明の化合物(1)はアミノ基を有しているので、これらに由来する酸付加塩も本発明に含まれる。
酸付加塩を形成する酸としては、例えば、塩酸,臭化水素酸,硝酸,硫酸,リン酸などの無機酸;ギ酸,シュウ酸,フマル酸,アジピン酸,ステアリン酸,オレイン酸,アコニット酸などのカルボン酸;メタンスルホン酸,ベンゼンスルホン酸,p−トルエンスルホン酸などの有機スルホン酸;サッカリンなどを挙げることができる。
また、本発明の化合物(1)は*で示した不斉炭素原子を含むので、これらに由来する個々の光学異性体,ラセミ体,又はそれらの混合物のいずれも本発明に含まれる。
【0035】
化合物(1)は、以下に示す方法によって合成することができる。
化合物(2)の合成
化合物(2)は、特願平6−10688号に記載の方法と同様に、次に示すように、通常、化合物(7)と化合物(8)とを、溶媒中で反応させることによって製造することができる。
【0036】
【化16】
【0037】
(式中、R1 は前記と同義である。)
溶媒の種類としては、本反応に直接関与しないものであれば特に限定されず、例えば、ベンゼン,トルエン,キシレン,メチルナフタリン,石油エーテル,リグロイン,ヘキサン,クロルベンゼン,ジクロルベンゼン,塩化メチレン,クロロホルム,ジクロルエタン,トリクロルエチレン,シクロヘキサンのような塩素化された又はされていない芳香族,脂肪族,脂環式の炭化水素類;ジエチルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキサンなどのようなエーテル類;アセトン,メチルエチルケトンなどのようなケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミドなどのようなアミド類;アセトニトリル,プロピオニトリルなどのようなニトリル類;トリエチルアミン,ピリジン,N,N−ジメチルアニリンなどのような有機塩基;1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン;ジメチルスルホキシド;前記溶媒の混合物を挙げることができる。
【0038】
溶媒の使用量は、化合物(7)が5〜80重量%になるようにして使用することができるが;10〜70重量%が好ましい。
塩基の種類としては、特に限定されず、例えば、トリエチルアミン,ピリジン,N,N−ジメチルアニリン,DBUなどの有機塩基、ナトリウムメトキシド,ナトリウムエトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、水素化ナトリウム,ナトリウムアミド,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,炭酸ナトリウム,炭酸水素ナトリウム,炭酸カリウムなどの無機塩基を挙げることができるが;有機塩基が好ましい。
【0039】
塩基の使用量は、化合物(7)に対して0.001〜5倍モルであるが;1.0〜2倍モルが好ましい。
反応温度は、特に限定されないが、室温から使用する溶媒の沸点以下の温度範囲内であり;80〜110℃が好ましい。
反応時間は、前記の濃度,温度によって変化するが;通常0.3〜2時間である。
原料化合物の使用量は、化合物(7)に対して化合物(8)が0.5〜2倍モルであるが;0.8〜1.2倍モルが好ましい。
化合物(7)は、特開平5−194417号公報に記載の方法と同様に、次に示すように、通常、化合物(9)と化合物(10)とを、溶媒中で反応させることによって製造することができる。
【0040】
【化17】
【0041】
(式中、R1 は前記と同義である。)
化合物(8)は、次式に示すように行うことによって、製造することができる。
【0042】
【化18】
【0043】
(式中、R2 は前記と同義である。)
化合物(8)としては、後述の表2〜6に示した化合物1〜35に対応した置換基R1 からなる化合物(8)を挙げることができる〔化合物(8)1 〜(8)35と称する。例えば、化合物(8)1 は、化合物(8)で示される式におけるR1 が2,2,2−トリフルオロエトキシ基である。〕。
【0044】
化合物(1)の合成
〔合成法1〕
合成法1は、化合物(2)と化合物(3)とを溶媒中又は無溶媒で反応させて化合物(1-1)〔化合物(1)におけるR2 が炭素数1〜4個のアルキル基である化合物〕を得る方法であり、塩基の存在下で反応させることによって反応を促進させることができる。
【0045】
【化19】
【0046】
(式中、R1 及びR3 は前記と同義である。)
溶媒の種類としては、化合物(2)の合成法に記載の溶媒の他に、無水酢酸,無水プロピオン酸,無水ブタン酸などのような脂肪族カルボン酸の無水物、それらの混合物などを挙げることができるが;導入するアシル基と同一の脂肪族カルボン酸の無水物が好ましい。
【0047】
溶媒の使用量は、化合物(2)が5〜80重量%になるようにして使用することができるが;10〜70重量%が好ましい。
塩基の種類としては、化合物(2)の合成法に記載の塩基を挙げることができるが;有機塩基が好ましい。
塩基の使用量は、化合物(2)に対して1〜5倍モルであるが;2〜5倍モルが好ましい。
反応温度は、特に限定されないが、室温から使用する溶媒の沸点以下の温度範囲内であり;80〜120℃が好ましい。
反応時間は、前記の濃度,温度によって変化するが;通常2〜10時間である。
【0048】
化合物(3)は、市販品を使用することができる。
以上のようにして製造された目的の化合物(1-1) は、反応終了後、抽出,濃縮,濾過などの通常の後処理を行い、必要に応じて再結晶,各種クロマトグラフィーなどの公知の手段で適宜精製することができる。
化合物(1-1) としては、後述の表2〜6中に示した化合物1〜3,12,16,18,20,21,24,25,27,29,30などを挙げることができる。
【0049】
〔合成法2〕
合成法2は、次のように、化合物(2)と化合物(4)とを溶媒中で反応させて中間体化合物(5)を合成し、次いで、化合物(6)を反応させて化合物(1-2) 〔化合物(1)においてR2 が炭素数1〜4個のアルコキシ基、炭素数1〜4個のアルキルを置換基として有するアミノ基、ピペリジン基、ピラゾール基、イミダゾール基、トリアゾール基、チアゾリジン基である化合物〕を得る方法であり、塩基の存在下で反応させることによって反応を促進させることができる。
【0050】
【化20】
【0051】
(式中、R1 及びR4 は前記と同義である。)
溶媒の種類としては、化合物(2)の合成法に記載の溶媒を挙げることができるが;トルエンなどの芳香族炭化水素が好ましい。
【0052】
溶媒の使用量は、化合物(2)が5〜80重量%になるようにして使用することができるが;10〜70重量%が好ましい。
塩基の種類としては、化合物(2)の合成法に記載の塩基を挙げることができるが;ピリジン、トリエチルアミンなどの有機塩基が好ましい。
塩基の使用量は、化合物(2)に対して1〜5倍モルであるが;2〜5倍モルが好ましい。
反応温度は、特に限定されないが、室温から使用する溶媒の沸点以下の温度範囲内であり;室温〜50℃が好ましい。
反応時間は、前記の濃度,温度によって変化するが;通常0.5〜11時間である。
【0053】
化合物(4)及び(6)は、市販品を使用することができる。
以上のようにして製造された目的の化合物(1-2) は、反応終了後、抽出,濃縮,濾過などの通常の後処理を行い、必要に応じて再結晶,各種クロマトグラフィーなどの公知の手段で適宜精製することができる。
化合物(1-2) としては、後述の表2〜6中に示した化合物4〜11,13〜15,17,19,22,23,26,28,31〜34などを挙げることができる。
【0054】
農園芸用の有害生物防除剤
〔防除効果〕
本発明の化合物(1)で防除効果が認められる農園芸における有害生物としては、農園芸害虫〔例えば、半翅目(ウンカ類,ヨコバイ類,アブラムシ類,コナジラミ類など)、鱗翅目(ヨトウムシ類,コナガ,ハマキムシ類,メイガ類,シンクイムシ類,モンシロチョウなど)、鞘翅目(ゴミムシダマシ類,ゾウムシ類,ハムシ類,コガネムシ類など)、ダニ目(ハダニ科のミカンハダニ,ナミハダニなど、フシダニ科のミカンサビダニなど)〕、衛生害虫(例えば、ハエ,カ,ゴキブリなど)、貯穀害虫(コクストモドキ類,マメゾウムシ類など)、土壌中のネコブセンチュウ、マツノザイセンチュウ、ネダニなどを挙げることができ、また、農園芸病原菌(例えば、コムギ赤さび病,大麦うどんこ病,キュウリべと病、イネいもち病、トマト疫病など)を挙げることができる。
【0055】
〔有害生物防除剤〕
本発明の農園芸用の有害生物防除剤は、特に、殺虫・殺ダニ・殺菌・殺線虫効果が顕著であり、化合物(1)の1種以上を有効成分として含有するものである。
化合物(1)は、単独で使用することもできるが、通常は常法によって、担体,界面活性剤,分散剤,補助剤などを配合(例えば、粉剤,乳剤,微粒剤,粒剤,水和剤,油性の懸濁液,エアゾールなどの組成物として調製する)して使用することが好ましい。
【0056】
担体としては、例えば、タルク,ベントナイト,クレー,カオリン,ケイソウ土,ホワイトカーボン,バーミキュライト,消石灰,ケイ砂,硫安,尿素などの固体担体;炭化水素(ケロシン,鉱油など)、芳香族炭化水素(ベンゼン,トルエン,キシレンなど)、塩素化炭化水素(クロロホルム,四塩化炭素など)、エーテル類(ジオキサン,テトラヒドロフランなど)、ケトン類(アセトン,シクロヘキサノン,イソホロンなど)、エステル類(酢酸エチル,エチレングリコールアセテート,マレイン酸ジブチルなど)、アルコール類(メタノール,n−ヘキサノール,エチレングリコールなど)、極性溶媒(ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキシドなど)、水などの液体担体;空気,窒素,炭酸ガス,フレオンなどの気体担体(この場合には、混合噴射することができる)などを挙げることができる。
【0057】
本剤の動植物への付着,吸収の向上,薬剤の分散,乳化,展着などの性能を向上させるために使用できる界面活性剤や分散剤としては、例えば、アルコール硫酸エステル類,アルキルスルホン酸塩,リグニンスルホン酸塩,ポリオキシエチレングリコールエーテルなどを挙げることができる。そして、その製剤の性状を改善するためには、例えば、カルボキシメチルセルロース,ポリエチレングリコール,アラビアゴムなどを補助剤として用いることができる。
本剤の製造では、前記の担体,界面活性剤,分散剤及び補助剤をそれぞれの目的に応じて、各々単独で又は適当に組み合わせて使用することができる。
本発明の化合物(I)を製剤化した場合の有効成分濃度は、乳剤では通常1〜50重量%,粉剤では通常0.3〜25重量%,水和剤では通常1〜90重量%,粒剤では通常0.5〜5重量%,油剤では通常0.5〜5重量%,エアゾールでは通常0.1〜5重量%である。
これらの製剤を適当な濃度に希釈して、それぞれの目的に応じて、植物茎葉,土壌,水田の水面に散布するか、又は直接施用することによって各種の用途に供することができる。
【0058】
【実施例】
以下、本発明を参考例及び実施例によって具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
参考例1〔化合物(7)の合成〕
(1) 4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)−ピリミジンの合成
4,5−ジクロロ−6−(1−ヒドロキシエチル)ピリミジン(2.1g)をジクロロメタン(15ml)に溶解し、氷冷、攪拌下にジエチルアミノサルファートリフルオライド(2.0g)を滴下し、さらに1時間室温で反応して反応を完結した。
反応液に冷水(20ml)を加え、ジクロロメタン層を分取し、水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。次いで、減圧下に溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200、クロロホルム溶出)で精製することによって、淡黄色油状の液体である目的物を1.3g得た。
【0059】
・b.p.229〜231℃
・ 1H−NMR(CDCl3 ,δppm)
1.64〜1.81(d−d,3H)、5.84〜6.19(d−q,1H)、8.92(s,1H)
【0060】
参考例2〔化合物(2)の合成〕
(1) 5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−{2−〔4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル〕エチルアミノ}ピリミジンの合成
2−〔4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル〕エチルアミン(2.2g)とトリエチルアミン(3g)とをトルエン(20ml)に溶解し、参考例1で得た4,5−ジクロロ−6−(1−フルオロエチル)−ピリミジン(2.0g)を加え、約60℃で4時間加熱攪拌した。
反応終了後、反応混合物に水を加え、トルエンで目的化合物を抽出し、水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を減圧下で留去した。
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200、トルエン溶出)で精製することによって、無色油状液体の目的物を1.3g得た。
【0061】
1H−NMR(CDCl3 ,δppm)
1.60〜1.75(d−d,3H)、2.88〜2.93(t,2H)
3.75〜3.79(t,2H)、4.30〜4.39(q,2H)
5.54(s,1H)、5.75〜6.00(d−q,1H)
6.89〜6.92(d,2H)、7.16〜7.19(d,2H)
8.55(s,1H)
【0062】
実施例1〔化合物(1)の合成〕
(1)N−アセチル−5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−{2−〔4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル〕エチルアミノ}ピリミジン〔化合物1〕の合成
5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−{2−〔4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル〕エチルアミノ}ピリミジン(1.8g)を無水酢酸(15ml)に溶解し、ピリジン(0.45g)とアセチルクロライド(1.5g)とを加え、約80℃で24時間加熱攪拌した。
反応終了後、室温まで冷却し、水を加え、酢酸エチルで目的化合物を抽出し、水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を減圧下で留去した。
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200,トルエン:酢酸エチル=9:1溶出)で精製することによって、淡黄色結晶である目的化合物を1.1g得た。
【0063】
1H−NMR(CDCl3 ,δppm)
1.66〜1.78(d−d,3H)、2.00(s,3H)
2.86〜2.92(t,2H)、4.02〜4.08(t,2H)
4.24〜4.34(q,2H)、5.88〜6.12(d−q,2H)
6.78〜6.82(d,2H)、7.08〜7.12(d,2H)
9.05(s,1H)
【0064】
(2)N−メトキシカルボニル−5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−{2−〔4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル〕エチルアミノ}ピリミジン〔化合物4〕の合成
5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−{2−〔4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル〕エチルアミノ}ピリミジン(1.8g)とピリジン((0.4g)とをトルエン(20ml)に溶解し、トリクロロホーメート(1.1g)を滴下し、約80℃で5時間攪拌した。
反応終了後、室温まで冷却し、水(20ml)を加え、トルエンで目的化合物を抽出し、水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を減圧下で留去し、中間体であるN−クロロカルボニル−5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−{2−〔4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル〕エチルアミノ}ピリミジンを淡黄色結晶として1.9g得た。
このN−クロロカルボニル−5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−{2−〔4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル〕エチルアミノ}ピリミジン(0.35g)とトリエチルアミン(0.2g)とをトルエン(10ml)に溶解し、メタノール(0.2g)を滴下し、約50℃で5時間攪拌した。
反応終了後、室温まで冷却し、水(10ml)を加え、酢酸エチルで目的化合物を抽出し、水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を減圧下で留去した。
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200,トルエン:酢酸エチル=9:1溶出)で精製することによって、淡黄色液体である目的化合物を0.27g得た。
【0065】
1H−NMR(CDCl3 ,δppm)
1.12〜1.20(t,6H)、1.62〜1.72(d−d,3H)
2.96〜3.02(t,2H)、3.32〜3.42(q,4H)
3.88〜3.94(t,2H)、4.28〜4.38(q,2H)
5.87〜6.10(d−q,1H)、6.86〜6.89(d,2H)
7.18〜7.21(d,2H)、8.82(s,1H)
【0066】
(3)N−(N,N−ジエチルカルバモイル)−5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−{2−〔4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル〕エチルアミノ}ピリミジン〔化合物7〕の合成
(2) で得られた化合物4(0.80g)をトルエン(10ml)に溶解し、トリエチルアミン(0.8g)とジエチルアミン(0.5g)とを順次加え、室温で1時間攪拌した。
反応終了後、酢酸エチルで目的化合物を抽出し、水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を減圧下で留去した。
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200,トルエン:酢酸エチル=9:1溶出)で精製することによって、淡黄色液体である目的化合物を0.66g得た。
【0067】
1H−NMR(CDCl3 ,δppm)
1.12〜1.20(t,6H)、1.62〜1.72(d−d,6H)
2.96〜3.02(t,2H)、3.32〜3.42(m,4H)
3.88〜3.94(t,2H)、4.28〜4.38(q,2H)
5.87〜6.10(d−q,1H)、6.86〜6.89(d,2H)
7.18〜7.21(d,2H)、8.82(s,1H)
【0068】
(4)N−(イミダゾール−1−イル−カルボニル)−5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−4−{2−〔4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル〕エチルアミノ}ピリミジン〔化合物9〕の合成
(2) で得られた化合物4(0.63g)をトルエン(10ml)に溶解し、ピリジン(0.12g)とイミダゾール(0.11g)とを順次加え、室温で2時間攪拌した。
反応終了後、水を加え、酢酸エチルで目的化合物を抽出し、水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を減圧下で留去した。
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200,トルエン:酢酸エチル=9:1溶出)で精製することによって、無色液体である目的化合物を0.50g得た。
【0069】
1H−NMR(CDCl3 ,δppm)
1.51〜1.62(d−d,6H)、3.03〜3.09(t,2H)
4.23〜4.32(m,4H)、5.67〜5.91(d−q,1H)
6.76〜6.79(d,2H)、6.85〜6.89(d,2H)
7.09〜7.12(d,2H)、7.64(s,1H)
8.99(s,1H)
【0070】
(5) 表2〜6中のその他の化合物(1)の合成
前記(1) 〜(4) に記載の方法に準じて、表2〜6中のその他の化合物(1)を合成した。
以上のようにした合成した化合物を表2〜6に示す。
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】
【表5】
【0075】
【表6】
【0076】
実施例2〔製剤の調製〕
(1) 粒剤の調製
化合物1を5重量部,ベントナイト35重量部,タルク57重量部,ネオペレックスパウダー(商品名;花王株式会社製)1重量部及びリグニンスルホン酸ソーダ2重量部を均一に混合し、次いで少量の水を添加して混練した後、造粒、乾燥して粒剤を得た。
【0077】
(2) 水和剤の調製
化合物1を10重量部,カオリン67.5重量部,ホワイトカーボン20重量部,ネオペレックスパウダー(商品名;花王株式会社製)2重量部及びデモール(商品名;花王株式会社製)0.5重量部とを均一に混合し、次いで粉砕して水和剤を得た。
【0078】
(3) 乳剤の調製
化合物1を20重量部及びキシレン70重量部に、トキサノン(商品名;三洋化成工業製)10重量部を加えて均一に混合し、溶解して乳剤を得た。
【0079】
(4) 粉剤の調製
化合物1を5重量部,タルク50重量部及びカオリン45重量部を均一に混合して粉剤を得た。
【0080】
実施例3〔効力試験〕
(1) コナガに対する効力試験
実施例2に準じて調製した表2〜6に示す化合物(1)の各水和剤を界面活性剤(0.01%)を含む水で300ppmに希釈し、これらの各薬液中にキャベツ葉片(5×5cm)を30秒間浸漬し、各プラスチックカップに一枚づつ入れて風乾した。
次に、これらのカップ内に各々10頭のコナガ(3齢幼虫)を放って蓋をし、25℃の定温室に放置し、2日後に各カップの生死虫数を数えて死虫率を求めた。
殺虫効果の評価は、死虫率の範囲によって、4段階(A:100%,B:100未満〜80%,C:80未満〜60%,D:60%未満)で示した。
これらの結果を表7に示す。
【0081】
【表7】
【0082】
(2) トビイロウンカに対する効力試験
実施例2に準じて調製した表2〜6に示す化合物(1)の各水和剤を界面活性剤(0.01%)を含む水で各々300ppmに希釈し、これらの各薬液中にイネ稚苗を30秒間づつ浸漬して風乾後、それぞれのガラス円筒に挿入した。
次に、各円筒にトビイロウンカ(4齢幼虫)を10頭放って多孔質の栓をし、25℃の定温室に放置し、4日後に生死虫数を数えて殺虫率を求めた。
殺虫効果の評価の結果を、前記の(1) に記載した4段階の評価方法で表8に示す。
【0083】
【表8】
【0084】
(3) ツマグロヨコバイに対する効力試験
実施例2に準じて調製した表2〜6に示す化合物(1)の各水和剤を界面活性剤(0.01%)を含む水で各々300ppmに希釈し、これらの各薬液中にイネ稚苗を30秒間づつ浸漬して風乾後、それぞれのガラス円筒に挿入した。
次に、各円筒にツマグロヨコバイ(4齢幼虫)を10頭放って多孔質の栓をし、25℃の定温室に放置し、4日後に生死虫数を数えて殺虫率を求めた。
殺虫効果の評価の結果を、前記の(1) に記載した4段階の評価方法で表9に示す。
【0085】
【表9】
【0086】
(4) ナミハダニ雌成虫に対する効力試験
実施例2に準じて調製した表2〜6に示す化合物(1)の各水和剤を界面活性剤(0.01%)を含む水で300ppmに希釈し、これらの各薬液中に10頭のナミハダニ雌成虫を寄生させた各インゲン葉片(直径20mm)を15秒間づつ浸漬した。
次に、これらの各葉片を25℃の定温室に放置し、3日後に各葉片における生死虫数を数えて殺ダニ率を求めた。
【0087】
殺ダニ効果の評価は、殺ダニ率の範囲によって、4段階(A:100%,B:100未満〜80%,C:80未満〜60%,D:60%未満)で示した。
殺ダニ効果の評価の結果を、表10に示す。
【0088】
【表10】
【0089】
(5) ハスモンヨトウに対する効力試験
実施例2に準じて調製した表2〜6に示す化合物(1)の各水和剤を界面活性剤(0.01%)を含む水で各々500ppmに希釈し、これらの各薬液中にダイズ本葉を30秒間浸漬し、各プラスチックカップに1枚づつ入れて風乾した。
これらのカップ内に各々10頭のハスモンヨトウ(2齢幼虫)を放って蓋をし、25℃の定温室に放置し、2日後に各カップ内の生死虫数を数えて殺虫率を求めた。
殺虫効果の評価の結果を、前記の(1) に記載した4段階の評価方法で表11に示す。
【0090】
【表11】
【0091】
なお、表12に示すようなWO92/08704号公報(PCT)に記載された比較化合物1及び2を、化合物(1)の場合と同様に検討し、比較例とした。
【0092】
【表12】
【0093】
(6) サツマイモネコブセンチュウに対する効力試験
実施例2に準じて調製した表2〜6に示す化合物(1)の各水和剤を界面活性剤(0.01%)を含む水で10ppmに希釈し、これらの各薬液中に約100頭のサツマイモネコブセンチュウ(2期幼虫)を放った。
次に、25℃の定温室に放置し、2日後に顕微鏡下で生死虫数を数えて殺線虫率を求めた。
殺線虫効果の評価の結果は、殺線虫率の範囲によって、4段階(A:100〜90%,B:90未満〜80%,C:80未満〜60%,D:60%未満)で示した。
これらの結果を表13に示す。
【0094】
【表13】
【0095】
なお、表12に示す比較化合物1及び2を、化合物(1)の場合と同様に検討し、比較例とした。
(7) コムギ赤さび病に対する防除効力試験(予防効果)
直径6cmのプラスチック植木鉢に1鉢あたり10本づつコムギ(品種;コブシコムギ)を育成し、1.5葉期の幼植物体に、実施例2に準じて調製した表2〜6で示した化合物(1)の水和剤を、界面活性剤(0.01%)を含む水で500ppmに希釈して、1鉢あたり20mlで散布した。
散布後、2日間ガラス温室で栽培し、次いで、コムギ赤さび病菌の胞子懸濁液(7×104 胞子/ml)を植物体に均一に噴霧接種した。
接種後、1週間ガラス温室内で育成し、第一葉に現れたコムギ赤さび病病斑の程度を調査した。
殺菌効果の評価は、無処理区の病斑の程度と比較して、6段階(0:全体が罹病、1:病斑面積が60%程度、2:病斑面積が40%程度、3:病斑面積が20%程度、4:病斑面積が10%以下、5:病斑無し)で示した。
その結果を表14に示す。
【0096】
【表14】
【0097】
(8) イネいもち病に対する防除効力試験(予防効果)
直径6cmのプラスチック植木鉢に1鉢あたり10本のイネ(品種;日本晴)を育成し、1.5葉期の幼植物体に、実施例2に準じて調製した表2〜6で示した化合物(I)の各水和剤を、界面活性剤(0.01%)を含む水で500ppmに希釈して、1鉢あたり20mlづつ散布した。
散布後、2日間ガラス温室で栽培し、次いで、罹病葉から調製したイネいもち病菌の分生胞子懸濁液を植物葉に均一に噴霧接種した。
接種後、5日間28℃湿室内で育成し、葉に現れたイネいもち病病斑の程度を調査した。
その結果を、前記の(1) に記載した6段階の評価方法で、表15に示す。
【0098】
【表15】
【0099】
【発明の効果】
本発明の新規な4−アミノピリミジン誘導体は、殺虫,殺ダニ,殺菌,殺線虫などの優れた効果を有するものである。
Claims (4)
- 次式(2):
で示されるピリミジン誘導体と
次式(4):
次式(5):
で示される中間体を製造し、次いで、
次式(6):
で示される炭素数1〜4個のアルコール類,炭素数1〜4個のアルキルアミン類,飽和環状アミン類,アゾール類,チアゾリジン基,又は炭素数1〜4個のメルカプタン類とを反応させることを特徴とする、請求項1記載の式(1)でR2 が炭素数1〜4個のアルコキシ基,炭素数1〜4個のアルキルを有するアミノ基,ピペリジン基,ピラゾール基,イミダゾール基,トリアゾール基,チアゾリジン基,又は炭素数1〜4個のアルキルチオ基である4−アミノピリミジン誘導体の製法。 - 請求項1記載の式(1)で示される4−アミノピリミジン誘導体を有効成分とする農園芸用の有害生物防除剤。
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1995
- 1995-03-30 JP JP7262195A patent/JP3543411B2/ja not_active Expired - Fee Related
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