JP3542457B2 - 缶詰の内圧検査方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は2ピース缶の缶胴のように側面にシーム部(接合部)を有さない缶胴に缶蓋を固着して密封した缶詰の内圧検査方法、特に缶胴を押圧した場合の反力から該缶詰内圧を推定する缶詰の内圧検査方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、缶詰は内容物が密封された状態にあり、外界からの細菌の侵入、あるいは内容物を酸化させる酸素の侵入などが防止され、内容物の長期保存が可能である。
しかしながら、缶壁に微細な穴があった場合、あるいは巻締め不良部分があった場合には、内容物の漏出が問題となるばかりでなく、保存安定性が大幅に害されるため、その適切な検出が必要である。
【0003】
一般に密封が不十分な缶詰はリーク缶詰とよばれ、その検出を行うために各種手法が考案されているが、代表的な手法として缶詰の内圧検査法が挙げられる。すなわち、缶詰は、内圧を減圧状態に保ち内容物変質の場合の膨張を検出しやすくした陰圧缶詰(負圧缶詰)、炭酸飲料などの内圧が加圧状態となった陽圧缶詰(正圧缶詰)に分類される。
【0004】
ここで、陽圧缶詰に関しては、例えば特開昭62−162937号公報あるいは特公昭63−15538号公報に示されるように、缶詰を、その缶胴径よりも狭くなるように設定された2つのローラ間を通過させ、その両ローラ間を缶胴が通過した際の当該缶胴の反力を測定して缶詰の内圧を検出するものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記特開昭62−162937号公報に開示された缶内圧検査法は、陽圧缶詰の内圧を直接的に検出できるという点で優れた方法であるが、一方で缶の胴径のバラツキにより検出内圧値に誤差を生じるという課題があった。
すなわち、同一種の缶詰の缶胴は、基本的に同一の円周長を有しているが、その形状は必ずしも真円とは限らず、例えば長円の場合にはその短径方向が内圧測定ローラに対向すれば内圧が低く判定され、一方その長径方向が内圧測定ローラに対向すれば内圧が高く判定され、たとえ同一の缶詰であっても検出内圧値に誤差を生じてしまうのである。
【0006】
この点で、特公昭63−15538号公報に開示される技術は、缶胴径のばらつきに考慮を払ったものであるが、缶胴の同一箇所を異なる押し込み量で押圧させるという工程上、缶胴を回転させずに移送する側面保持ベルトなどが要求され、構成が複雑になるとともに、高速処理が困難で缶胴にも傷がつきやすく、まだ改良の余地を残したものであった。
【0007】
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は缶胴径の多少の誤差にかかわらず、缶詰の正確な缶内圧検査を行うことのできる缶詰の内圧検査方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明にかかる缶詰の内圧検査方法は、弾性変形可能であり側面シーム部を有さない缶胴に、缶蓋を固着した飲料缶詰の内圧検査方法において、第一測定工程と、第二測定工程と、演算工程と、を備え、前記第一測定工程で缶詰を押圧する側と前記第二測定工程で缶詰を押圧する側との相対角度差が、90度±30度であることを特徴とする。
【0009】
ここで、前記第一測定工程は、被検査対象となる缶詰を単一方向に連続搬送して、その直径方向内方に押圧し、その反力を測定する。
また前記第二測定工程は、前記第一測定工程を通過した後、該被検査缶詰を回転させて、該被検査缶詰の缶胴を、前記第一測定工程の押圧する側と相対角度が異なる側からその直径方向内方に押圧し、その反力を測定する。
【0010】
前記演算工程は、前記第一測定工程及び第二測定工程の測定結果の平均値より缶詰内圧を算出する。
【0011】
また、本発明にかかる缶詰の内圧検査方法において、前記第一測定工程で缶詰を押圧する側と前記第二測定工程で缶詰を押圧する側との相対角度が90度±20度であることが、さらに好適である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる缶詰の内圧検査方法及び装置は、前述したように第一及び第二測定手段により同一の被検査缶詰の缶胴の押圧反力を異なる2本の半径方向(又は直径方向)から測定することとしたので、缶胴が変形していて長径と短径がある場合にも、短径方向のみあるいは長径方向のみから押圧反力を測定した場合の誤差を低減させることが可能となり、検査精度の大幅な向上を図り得る。
【0013】
特に、缶胴が楕円形に変形した場合を考慮すれば、第一測定手段と第二測定手段の押圧する径方向の相対角度を90度とし、その測定値の平均をとることで、実質的に缶胴が真円の場合と同等の押圧反力の測定結果を得ることができる。
【0014】
また、90度±30度程度で実用上十分な測定結果のばらつき抑制を行い得るため、缶胴の回転が多少ずれたとしても測定精度には大きな影響を与えず、高速処理が可能となる。この点で特公昭63−15538号公報に開示されている、同一位置で押圧反力を測定しなければむしろ測定誤差を大きくしてしまう手法とは異なり、本発明は極めて現実性の高い缶詰の内圧検査手法であるといえる。
【0015】
なお、第一測定手段および第二測定手段を備え、両測定手段間で被検査缶詰を回転させる技術として、特公平6−50280号公報に記載の技術があるが、これは3ピース缶詰の缶胴特有の側面シーム部にいずれかの測定手段が対応してしまったときに生じる誤差を除去するために、両測定手段の検出結果のうち低い反力を採用するものであり、側面シーム部を有さない缶胴に缶蓋を固着した缶詰を被検査缶詰とすることを前提とし、両検出手段の検出結果の平均をとる本発明とは基本的に異なるものである。
【0016】
以下、図面に基づき本発明の好適な実施形態について説明する。
図1には本発明の一実施形態にかかる缶内圧検査装置の部分破断正面図が示されている。
同図には、第一測定手段10部分が主に示されており、同図に示す第一測定手段10は被検査缶詰12の両側に対向し、被検査缶詰10の直径よりも狭い間隔で配置された一対のローラ14a,14bと、ローラ14a,14bを離隔する方向への押圧力を検出する検出部16a(ローラ14a側の検出部のみを図示)とを備える。また、第一測定手段10のローラ14a,14bは、その上部に配置された駆動モータ18a,18bにより各所定の速度で回転駆動されている。
【0017】
そして、被検査缶詰12は、図中、紙面奥方向へベルトコンベア20により正立又は倒立状態で搬送されており、上記第一測定手段10を通過した後に、同様の構成を有する第二測定手段に進入する。
ここで、前記第一測定手段10の構成をさらに詳細に説明する。
【0018】
本実施形態において、ローラ14a,14bはそれぞれローラ保持枠22a,22bにより回転可能に軸支されており、これら保持枠22a,22bの上部には支柱24a,24bを介して前記駆動モータ18a,18bが支持されている。これら駆動モータ18a,18bの回転軸は、それぞれパイプ状伝達部材26a,26bを介してローラ14a,14bの上部支軸に連結されており、これら伝達部材26を介在させることによりローラ14に加わる偏心力がモータ18の負荷となることを低減させている。
【0019】
一方、保持枠22aは、その姿勢保持に要する荷重を、押圧力伝達ロッド28a及び該ロッド28aを密着支持する筒状支持部30aを介して支持ブロック32aにかけている。また、前記ロッド28aの図中(図1)左側先端34aは前記押圧力検出部16aに接続されており、ローラ14aに加わる図中(図1)左方向への押圧力のみがロッド28aを介して検出部16aにより検出される。
なお、図中一部省略してあるが、図1の右側部分にも左側部分と同様に押圧力伝達ロッド28b、筒状支持部30b、支持ブロック32b、押圧力検出部16bがそれぞれ設けられている。
【0020】
前記支持ブロック32a,32bは支持橋36に図中左右方向にスライド移動可能に吊下支持されており、ローラ14a,14bの間隙が被検査缶詰12の標準缶胴径よりも1〜数mm狭い状態となるようにブロック32a,32bを位置決め固定する。すなわち、支持橋36の両側部にはボルト38a,38bが螺合固定されており、ボルト38a,38bからはそれぞれ下方にアーム40a,40bが延びている。そして、アーム40a,40b下端がそれぞれボルト42a,42bなどを介して支持ブロック32a,32bに連結されている。従って、アーム40a,40bとボルト38a,38b,42a,42bなどの相対固定位置を変更することで、支持橋36に対してブロック32a,32bを任意の拡幅位置に固定することができる。
【0021】
図2には本実施形態にかかる缶詰の内圧検査装置を上方より見た概念図が示されている。
同図において、被検査缶詰12はベルトコンベアとともに右方向に進行している。そして、まず前記図1に示した第一測定手段10によりその内圧が測定され、次に、第一測定手段10と同様に構成された第二測定手段50により再度内圧が測定される。
【0022】
本発明において特徴的なことは、第二測定手段は第一測定手段とは異なる直径方向を押圧して被検査缶詰の内圧を測定することであり、このために本実施形態においては第一測定手段のローラ14aの回転速度をロール14bの回転速度よりも大きくしている。
【0023】
この結果、第一測定手段10に進入した被検査缶詰12は、ローラ14a,14bにより単に右方向へ搬送されるだけでなく、搬送中に矢印A方向に回転され、第一測定手段10から排出される段階すなわち第二測定手段50に進入する段階では、前記第一測定手段10で内圧測定されたときの直径方向矢印Bとは異なる直径方向矢印Cを第二測定手段50のローラ54a,54bに向けている。
【0024】
そして、ローラ54a,54bは同一の周速度で回転しているので、第二測定手段50で測定される缶詰内圧は前記第一測定手段10とは異なる直径方向を押圧され、その反力が測定されることとなる。
前記第一測定手段10及び第二測定手段50により測定された缶詰押圧反力は、演算手段100に送られ、平均部102により平均化される。そして、内圧演算部104は、その平均値より予め求めておいた缶詰押圧反力と缶詰内圧との関係図から缶詰内圧を演算し、判定部106で基準値と比較して被検査缶詰の内圧適否を判定する。
【0025】
該演算手段100による処理の結果、被検査缶詰12が適正内圧を有していないと判断された場合には、その缶詰の除去信号が除去手段110に送り出され、不良缶詰はコンベア20上より除去される。
以上のように本実施形態にかかる缶詰の内圧検査装置によれば、缶胴が楕円形あるいは梨型など真円でない場合にも、異なる2本の直径方向で押圧反力の測定を行うので、その平均押圧反力に対する缶胴形状の影響は極めて小さくなる。
【0026】
なお、本実施形態にあっては、第一測定手段、第二測定手段における被検査缶詰の内圧測定直径方向の相違を、第一測定手段の相対向するローラの相対角速度の相違により被検査缶詰を回転させて得ることとしたが、これに限られるものではなく、たとえば、以下の手段により前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
▲1▼第二測定手段の一対のローラの相対角速度を相違させる。
▲2▼第一測定手段及び第二測定手段のそれぞれのローラ対の相対角速度を相違させる。
▲3▼第一測定手段と第二測定手段の間に、別途ローラなどの缶詰回転機構を設ける。
▲4▼いずれかの測定手段の一方のローラに抵抗を与えて回転しない様にし、他方のローラのみを回転させる。
【0027】
【実施例】
図3には、本発明に係る缶詰の内圧検査装置の検出結果と従来装置による検出結果とが示されている。
【0028】
同図において、(a)は、250g用ブリキ製絞りしごき缶に所定量の水を充填してから、所定量の液体窒素を添加し、直ちに缶蓋で密封して製造した内圧が約1.7Kg/cm2の缶詰を用いて、従来技術に準じて第一測定手段(相対する一対の押圧ローラで缶胴を押圧し、その反力を測定する。)のみにより、同一の内圧測定を10回行った場合の検出出力(デジット値)の平均値とバラツキ(標準偏差)を示しており、同一の缶詰の測定を行っている(但し、一回毎に一対の押圧ローラの押圧箇所が異なる)にも拘わらず、バラツキが非常に大きい。
【0029】
これに対し、同図(b)は本発明にかかる缶詰の内圧検査装置を用いて、図(a)で測定したと同一の缶詰を、第一測定手段の一対の押圧ローラが缶胴を挟んで押圧した位置と第二測定手段の一対に押圧ローラが缶胴を挟んで押圧した位置、即ち、測定位置を角度で示すと10度ずつ変化させた各10回ずつ測定した場合の測定結果が示されている。
【0030】
同図から明らかなように、第一測定手段10と、第二測定手段50の直径方向(又は半径方向)の相対角度差が60度程度で、図(a)と比較してバラツキは約1/2となり、かなり大幅な測定精度の向上となることが分かる。
また、相対角度差が70度程度になるとバラツキは図(a)の場合の約3/7と大幅に少なくなり、更に、相対角度差が90度付近ではバラツキは最小となり、測定結果のバラツキは図(a)の場合の約1/10になり、非常に大幅な測定精度向上となることが分かる。
以上の結果を考慮すると、第一測定手段10と第二測定手段50の相対角度差は90度±30度程度が好ましく、更に言えば90度±20度程度がより好ましい。
【0031】
次に、250g用ブリキ製絞りしごき缶に所定量の水を充填し、缶蓋で密封する前に缶内に添加する液体窒素の添加量を少しずつ変えて、それぞれ缶内圧が0.65Kg/cm2、1.25Kg/cm2、1.85Kg/cm2、2.5Kg/cm2の缶詰を製造した。
【0032】
本発明にかかる缶詰の内圧検査装置を使ってこれらの缶詰の内圧測定を行った(第一測定手段と第二測定手段とで測定位置を90度変えた)結果を図4に示す。
ここで、測定値は前記した本発明の方法により求め、内圧は缶詰を破壊して内圧計で求めたものである。また、図には各測定値の平均(X)と標準偏差(σ)を求めX±σを図示した。
【0033】
また、図5には、同様に製造した上記4種類の内圧を持つ缶詰の内圧測定を、従来装置(第一測定手段により缶詰の胴部を測定)により各10回ずつ行った(測定位置は一回毎にランダムである)結果が示されている(表示の仕方は図4と同じ)。
【0034】
両図を比較すると、従来装置にあっても内圧が低い場合(1Kg/cm2以下)には、内圧測定結果のバラツキが比較的小さい(但し、本実施形態装置の場合の約2倍のバラツキとなっている。)が、内圧が高くなるとバラツキが極めて大きくなることが分かる。一方、本実施形態にかかる装置にあっては、内圧の高低に拘わらず、高い測定精度を維持しており、バラツキも小さいことが分かる。
【0035】
これらのことから、缶詰内圧が高い場合に缶胴変形を生じやすいこと、及び缶詰内圧が高い場合には缶胴の長径と短径の差が小さくても大きな測定誤差を生じやすいものと考えられる。以上の結果、本発明は、缶詰内圧の内圧の高低に拘わらず、従来装置ら比べて測定精度が高く、また、内圧が1Kg/cm2以上の缶詰を検査対象とした場合に特に本発明が有効であることが理解される。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかる缶詰の内圧検査方法によれば、第一測定工程と第二測定工程を備え、各測定工程による被検査缶詰の測定直径方向を異なるものとすることにより、缶胴に変形を生じている場合にも、高精度で正確な缶詰内圧測定を行うことが可能となる。また、第一測定工程と第二測定工程の測定する直径方向の角度差を90度±30度とすることにより、特に精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる缶詰の内圧検査装置の第一測定手段の部分破断正面図である。
【図2】図1に示した装置の上面概要図である。
【図3】本発明にかかる缶詰の内圧検査装置の第一測定手段と第二測定手段における測定径方向の角度差と測定精度の関係を示す説明図である。
【図4】本発明にかかる缶詰の内圧検査装置による各種内圧缶詰の測定結果の説明図である。
【図5】従来の一測定手段のみを有する装置による各種内圧缶詰の測定結果の説明図である。
【符号の説明】
10 第一測定手段
12 被検査缶詰
14 ローラ
50 第二測定手段
54 ローラ
Claims (2)
- 弾性変形可能であり側面シーム部を有さない缶胴に、缶蓋を固着した飲料缶詰の内圧検査方法において、
被検査対象となる缶詰を単一方向に連続搬送して、その直径方向内方に押圧し、その反力を測定する第一測定工程と、
前記第一測定工程を通過した後、該被検査缶詰を回転させて、該被検査缶詰の缶胴を、前記第一測定工程の押圧する側と相対角度が異なる側からその直径方向内方に押圧し、その反力を測定する第二測定工程と、
前記第一測定工程及び第二測定工程の測定結果の平均値より缶詰内圧を算出する演算工程と、
を備え、
前記第一測定工程で缶詰を押圧する側と前記第二測定工程で缶詰を押圧する側との相対角度差が、90度±30度であることを特徴とする缶詰の内圧検査方法。 - 第一測定工程で缶詰を押圧する側と第二測定工程で缶詰を押圧する側との相対角度が、90度±20度であることを特徴とする請求項1記載の缶詰の内圧検査方法。
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Family Applications (1)
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