JP3542353B2 - 流体指向性、決適性、及び装着性を改善した吸収体物品、特に生理用品 - Google Patents

Description

技術分野
本発明は、吸収体物品に関し、更に詳細には、衛生ナプキンのような生理用品に関する。このような物品は、身体からの種々の流体、特に月経を吸収するようになっており、着用者にとって快適であり且つ着用者に装着されるようになっている。
発明の背景
身体の流体を収集するための使い捨て吸収体物品用の種々の構造が当該技術分野で周知である。商業的な吸収体物品には、おむつ、成人失禁者用製品、生理用品及び生理帯が含まれる。この種の使い捨て製品は、流体を受け取り、吸収し、保持するための幾つかの機能部材を含む。一般に、このような吸収体物品は、主に繊維質のセルロースからなる吸収体材料でできたコアを包含する。代表的には、、このような物品は流体透過性上シート、吸収体コア、及び流体不透過性後シートを有する。
生理用パッドの場合には、女性は、快適さ及び装着感、流体保持性、及び最小の汚損について高度の性能を期待する。とりわけ、パッドから下着上への流体の漏れは全く受入れることのできないものと考えられている。
衛生ナプキンの材料及び構造の両方について多くの改善がなされてきたが、衛生ナプキンの性能の改善は非常に困難な企てであった。しかしながら、装着感及び快適さを損なわずに特に太股の内側に沿った漏れをなくすことは、消費者が必要であると考えている程度に到っていない。
衛生ナプキンからの漏れは、一般に、月経が身体から出る箇所に流体が高度に集中すること及びナプキンの表面とのぴったりとした接触に帰せられる。この排出箇所では、ナプキンの吸収体材料は迅速に過飽和状態になる。血液はこの箇所から半径方向に移動し、着用者の脚と最も近い側部から漏れる。これは、血液を身体に付着させ、下着を汚す結果をもたらす。漏れをなくす試みには、流体を内部に留めるため縁部を圧縮した構造（米国特許第4,820,295号）、物品を包囲する障壁シート（1987年５月19日にウィリアムズ等に賦与された米国特許第4,666,439号）、及びパンティを取り囲む「翼部を備えた」側縁部（1987年10月10日にエリス等に賦与された米国特許第4,701,177号）が含まれる。これらの特許について触れたことにより、これらの特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。
残念なことに、衛生ナプキンの過度に圧縮した区分は使用中の快適さを損なう。使用者によっては、「翼部を備えた」製品に魅力を感じず、人によっては、障壁を持つ製品に満足しない。しかしながら、多くの吸収体物品はその大部分が比較的乾燥した使用されていない状態のままであるため、本願発明では、流体を排出箇所から完全には使用されていない物品の領域へ差し向けるための手段を提供し、これによって過飽和をなくし、漏れをかなり少なくするか或いはなくす。
下着の汚損は別として、最近の衛生ナプキン等の使用者は、このような物品の表面が、従来の布又は不織材料がこれまで提供したよりも清浄で更に衛生的で乾燥した特徴を提供することを期待している。かくして、最近の衛生ナプキン、おむつ、失禁者用装置には、代表的には、流体を、貯蔵のため、前記上シートの下の吸収体コア内に上シートを通して迅速に移動するように設計された上シートを備えている。予想できるように、この移動を更に迅速に且つ完全にすると、物品の表面が更に乾燥し且つ清浄になる。
簡潔に述べると、本発明は、物品の全吸収力の使用を改善し且つ横漏れを少なくできる上述の流体の所望の方向性を持った移動を提供するばかりでなく、流体を上シートを通して引き込むための手段をも提供し、これによって、使用中の所望の乾燥した衛生的な利点を高める。
更に、本発明で具体化した技術を使用した物品は、流体の移動を例えば高密度吸収体コア領域に依存して行う物品よりも快適性及び装着性に優れている。換言すると、本願発明の技術は、密度が大きいけれども快適でないコアで得られる流体指向性及び取扱い特性を軟質で可撓性の低密度の快適なパッドで得る。
従って、本発明の目的は、流体吸収性及び保持性が改善された使い捨て吸収体物品を提供することである。本発明の別の目的は、皮膚からの流体の輸送を改善した物品を提供することである。本発明の他の目的は、柔らかさ及び柔軟性が改善され装着し易く汚れが付き難いという特徴を持つ衛生ナプキン及びパンティライナーを提供することである。本発明による物品の特徴は上掲の特徴に限定されない。
これらの利点は、以下の開示からわかるように、本願発明で得られる。
背景技術
人体の流体及び排泄物を保持するのに使用される使い捨て物品は当該技術分野で周知である。1975年１月14日にブエルに賦与された米国特許第3,860,003号、及び1972年６月20日にハーモンに賦与された米国特許第3,670,731号には、使い捨ておむつ及びその製造が開示されている。これらの特許に開示されたおむつは、子供の尿及び便を吸収し保持するのに大量のセルロース材料を包含している。
おむつで用いられる技術は、パッド、衛生ナプキン、及びパンティライナーのような生理用品の分野でも使用される。上述の全ての製品で同様の目的を追求したが、生理用品は、乳児用おむつとは異なり、活動的な女性についての幾つかの特別の必要が求められている。大きさを小さくし、装着感及び快適さを改善し、汚損をなくすことが、当該技術分野において開示された発展の多くの動機である。
使い捨て生理用品についての初期特許には、1953年12月15日にジャックに賦与された米国特許第2,662,527号が含まれ、この特許には、一部が着用者の陰唇の外側及び内側に少なくとも部分的にあることを特徴とする衛生パッドが開示されている。このようなパッド用の吸収体材料としてセルロース型のファイバが使用されている。
ジャックから、生理用パッドは、少なくとも二つの一般的な種類に分けられてきた。これらの種類は、大量の月経を吸収できるパッドと、少量の月経について使用するようになったパッドである。
1987年３月31日にルセリに賦与された米国特許第4,654,040号に開示された生理用品には、身体の外形に合わせた製品を製造するため「タック」が設けらている。本願に開示したパッドは、セルロース並びにセルロースファイバとポリエステル／ポリエチレンコンジュゲートファイバの混合物であるのがよい。
従来、少量の月経について使用されてきた第２の種類のパッドは、エリス等の米国特許第4,701,177号に例示されている。この特許に記載されたパッドは高密度でありこれは繊維質材料が互いに緊密に圧縮されているということを意味する。通常は、これらのパッドの厚さは、約1.27繊維（1/2インチ）以下である。
薄型パッドが主流になりつつある。1990年８月21日にオズボーンに賦与された米国特許第4,950,264号には、身体面及び下着面を持つ薄型衛生ナプキンが開示されており、このナプキンでは、吸収体コアは、ポリマーゲル化剤を繊維質材料とともに含むことによって可撓性が非常に大きくしてある。これらのパッドは、中程度乃至大量の月経を取扱う能力がある。
可撓性を損なうことなく薄型にするため、ポリマーゲル化剤が吸収体物品に組み込まれてきた。1987年５月５日にウィーグナーに賦与された米国特許第4,662,876号、1989年９月12日にワイズマン等に賦与された米国特許第4,865,596号、及び1990年５月８日にセイモア等に賦与された米国特許第4,923,454号を参照されたい。
本発明の特徴の一つは、流体指向性を促す材料を使用することである。これを行うための多くの方法には、流体を案内するためのチャンネルパターンを形成すること（1988年11月１日にメジソン等に賦与された米国特許第4,781,710号参照）、物品のウェブ構造の一体化（1987年１月20日にオエレット等に賦与された米国特許第4,637,819号参照）、及びセルロースファイバの化学的改質（1981年３月17日にラセンに賦与された米国特許第4,256,111号参照）が含まれる。
1990年10月10日に公開されたフィリップス等の欧州特許出願第391,814号には、液体を自発的に輸送する、吸収体物品で使用するのに適した毛管チャンネルファイバが開示されており、この特許出願では、ファイバは物品の中央近くに配置されている。ファイバをこのように使用することによって流体を物品の更に大きな表面積まで輸送できる。
1988年２月９日にピエニアックに賦与された米国特許第4,723,954号は、不織織物対面シート及び吸収体バットからなる吸収体物品に関する。バットのファイバの幾つかは対面織物内に延びてこれと一体になっている。対面織物内に延びたファイバは、液体を対面シートを通してバット内に運び、バットを安定化させるのを確実に行う。
1989年１月17日にメイヤー等に賦与された米国特許第4,798,603号は、親水性吸収体本体、液体透過性上シート、前記上シートと前記吸収体本体との間の液体透過性輸送層からなる吸収体物品に関し、前記輸送層の効果的な平均孔径は、上シートの孔径よりも小さく、輸送層は吸収体よりも親水性が小さい。輸送層は、上シート及び吸収体本体と実質的にぴったりと接触できるように形成されており、これは、流体を上シートから輸送層へ及び輸送層から吸収体本体へ効果的に連通させるのに有用である。輸送層は、液体をその横方向長さ即ち幅寸法に沿って側方に迅速に拡げ、吸収体本体の大きな表面積を液体に露呈することができる。
1990年11月27日にシェロード等に賦与された米国特許第4,973,325号は、互いに隣接して位置決めされた一対の吸収体を持つ吸収体物品に関する。流体不透過性バッフル及び流体移送部材は、身体の流体をカバーから下方及び外方に吸収体の遠方の領域まで容易に移動できるようにするものである。
1990年５月８日にラチマー等に賦与された欧州特許第397,110号は、流体の少なくとも三回の連続したサージ（surge）を迅速に吸収して一時的に保持する選択された坪量のサージ管理部分を持つ吸収体物品に関する。
1950年１月16日にポールシュバリエに賦与された「スピニング人工ファイバにおける改善」という標題のフランス特許第955,625号には、毛管現象が改善された合成ファイバが開示されている。シュバリエは、これらのファイバの主な用途をタオル、ハンカチ、バスマット等をつくるための吸収体材料として開示した。ファイバは、長さ方向に位置決めされた、即ちファイバの軸線に平行な連続した又は不連続の溝を有する。ファイバは、中央核を有するのがよく、この核から半径方向葉部が延びている。更に、この特許にはファイバを所望の形状に形成するための第１紡糸口金及び第１紡糸口金と直接連通し絶縁プレートで第１紡糸口金から分離された、ファイバを冷却するための第２紡糸口金を使用するファイバ製造プロセスが開示されている。第２紡糸口金は冷却要素と接触している。
1964年２月11日にギルバートショーに賦与された「無配向ポリオレフィンフィラメント」という標題の米国特許第3,121,040号には、種々のプラスチックフィラメント、及びその製造方法が開示されており、この特許のフィラメントは、変形後の良好な回復を確実に示し、塗料用ブラシとしての用途での使用時に配向に抗する（即ちマッティング）。これらの目的は、ウェブ長、ウェブ厚さ、及び特定の半径を備えた相互連結ウェブからなる断面を持つファイバを製造することによって達成される。
1977年10月18日にM.N.ベリチン等に賦与された「人造ファイバ、ヤーン、及びこれから製造した織物」という標題の米国特許第4,054,709号には、開放毛管チャンネルを構成する交差放射組織で形成された少なくとも二つの要素で形成された断面形状を有する、ポリカプロアミド及びポリエチレンテレフタレートからなるファイバ、及び要素の特定の放射組織を相互連結するブリッジが開示されている。放射組織は、10゜乃至70゜の角度で交差して毛管チャンネルを形成する。ファイバは、外観、導水率、及び吸収率が天然の絹に近い。カーリングが開示されたベリチンの米国特許第4,179,259号を更に参照されたい。
1983年４月26日にユタカマスダ等に賦与された「液体保持合成繊維、その製造方法及び製品」という標題の米国特許第4,381,325号には、実質的に尖った自由端及びテーパ部分を持つ液体保持合成繊維が開示されている。開示されたファイバは、ファイバの軸線方向長さに沿って延びる複数のチャンネルを持つ実施例を含む。
1989年２月１日に公開されたアンドリューG.ウィルキンス及びアランJ.バーソロミューの「セルロースファイバ」という標題の欧州特許出願88306987.4号、即ち公開番号第0,301,874号には、多数のリムを備えた断面、例えばＹ字形状断面、Ｘ字形状断面、Ｈ字形状断面、及びＴ字形状断面を持つ粘性フィラメントが開示されている。これらのフィラメントは吸収体製品及び織布及び不織布について有用である。
1981年８月25日にリチャードM.バーガーに賦与された「マーキング器具で使用するためのインクリザーバ要素、及びこれを製造するための方法及び装置」という標題の米国特許第4,286,005号には、一連の平行な溝でエンボス加工が均等に施された、可撓性熱可塑性繊維質材料製の凝集性のシート又はフォームで繊細化した押出ポリエステル織物から形成されたインクリザーバ要素が開示されている。エンボス加工が施されたシートを圧縮し結合して長さ方向軸線がエンボス溝と平行に延びる寸法の安定した本体にする。
1986年11月18日にジェームスL.ドロビッシュ等に賦与された「流体状抗菌剤用のリザーバを形成する毛管スリーブを持つ注入用カテーテル」という標題の米国特許第4,623,329号には、長さ方向に延びる毛管チャンネル即ち溝を内面に備えたカテーテルチューブが開示されている。これらの溝は、好ましくは、小分けされるべき特定の流体について好ましい表面接触角度を有する。表面接触角度を変更するための表面処理を加えることができる。
1979年11月29日に公開されたテイジン株式会社の「合成繊維」という標題の特開昭151617号には、種々の形状の合成繊維、特に0.01μｍ乃至５μｍの直径を持ち全断面積がファイバの全断面積の0.016％乃至50％の微孔が軸線方向に並んでいることを特徴とする断面形状を持つポリエステル又はポリアミドが開示されている。これらのファイバは、吸水性を高めるための添加剤を持っていてもよい。
1989年６月27日にバグロディア等に賦与された米国特許第4,842,792号、及び1990年９月４日にバグロディア等に賦与された米国特許第4,954,398号には、製造方法及びこの製造方法でつくられたポリエステルファイバが開示されており、これらの特許では、ファイバは、少なくとも一つの溝を有し、溝の表面は、溝以外の表面よりも粗い。このようなファイバは、このようなファイバでつくられた織物又はヤーンのカバー、軟質性、及び湿潤特性を改善するのに使用される。
1989年９月19日にモドラック等に賦与された米国特許第4,868,031号には、不透明な性質を持つ。この発明は、カバー素材の不透明度及び汚れ隠し性を改善するため直腸的な形状を持つ軟質の透水性ポリオレフィン不織布が開示されているファイバを使用する。この発明で使用するための開示されたファイバには、菱形、三角形、「Ｙ」字形状、「Ｘ」字形状、「Ｏ」字形状、楕円形、正方形、矩形、等からなる群から選択された断面形状を持つファイバが含まれる。
発明の概要
本発明の吸収体物品は、好ましくは衛生ナプキン又はパンティライナーであるが、おむつ、成人失禁者用下着を含む。
本発明の吸収体物品は、
（ａ）流体を受ける前面と、後面と、流体を通すために前記前面と前記後面との間を連通する多数の開口部と、を有する流体透過性非繊維質成形フィルム上シートと、
（ｂ）前記上シートの開口部の幅より小さいチャンネル幅としたファイバ毛管チャンネルを有し、前記上シートの後面の下側に前記上シートと流体輸送接触するように位置された毛管チャンネルファイバ層と、
（ｃ）多数の非毛管チャンネルファイバ又は多数の非毛管チャンネルファイバと吸収体ゲル化剤との混合物からなり、前記多数の非毛管チャンネルファイバ間の間隔を前記毛管チャンネルファイバ層のファイバの毛管チャンネルの幅よりも小さく、前記毛管チャンネルファイバ層の下側に前記毛管チャンネルファイバ層と流体輸送接触するように位置された繊維質水分吸収構造と、
（ｄ）前記繊維質水分吸収構造の下側に位置された流体不透過性後シートとを有する。
毛管チャンネルファイバは自発湿潤性であり、代表的には、親水性であり、又は好ましくは親水化してある。非常に好ましい物品では、毛管チャンネルファイバはそれらのチャンネルが実質的に機械方向に延びるように位置決めされている。
上シートと毛管チャンネルファイバ層との間の接触は、上シートと毛管チャンネルファイバ層との間の張力、又は結合手段によって維持される。
毛管チャンネルファイバはカールした形状をなし、毛管チャンネルファイバの一部は、上シート内に部分的に突出している。
同様に、毛管チャンネルファイバ層からのファイバの一部が少なくとも部分的に繊維質水分吸収構造内に突き出ているか、繊維質水分吸収構造からのファイバの一部が毛管チャンネルファイバ層内に少なくとも部分的に突き出ているのが好ましい。
本願発明で使用される毛管チャンネルファイバは、代表的には、非セルロースであり且つ便利にはポリエステル型であるが、他の種類のファイバ形成ポリマーをこれらの製造で使用できる。例えば、ポリアルケン、ポリアミド、ポリラクテート、ポリジオキサノン等を使用できる。
本願発明の目的は、身体の流体を吸収することでなく毛管チャンネルファイバを差し向けることであるため、ファイバは、流体膨潤性（即ち水をベースとした身体の流体）が最小であるか或いは実質的にない。ファイバ自体が流体を吸収して膨潤する場合には、毛管チャンネルが詰まることがあるということは容易に理解される。かくして、所望であれば、セルロース誘導体、例えばセルロースプロピオネート、セルロースアセテート等を、上述の配慮だけを考慮に入れて、使用してもよい。
好ましい実施例では、本願発明の吸収体物品は、毛管チャンネルファイバの少なくとも幾つかが、上シートの毛管チャンネルファイバに載った部分にある開口部の少なくとも幾分か（好ましくは少なくとも約30％、更に好ましくは少なくとも約50％）内に突出するように製造される。
更に別の態様では、毛管チャンネルファイバの少なくとも幾つかにニードルパンチング等を施して、上シートの毛管チャンネルファイバに載った部分にある開口部の少なくとも幾分か（好ましくは少なくとも約30％、更に好ましくは少なくとも約50％）を通って突出させる。後者の場合には、毛管チャンネルファイバは、代表的には、上シートを通って約0.1mm乃至約3mmの距離突出している。これによって流体を上シートを通して吸収体物品の内部領域内に非常に積極的に吸収する。
図面の説明
第１図は、平らなベース及び該ベースの両側から対称的に延びる毛管チャンネルを持つ対称的な「Ｈ」字形状の毛管チャンネルファイバをつくるのに適当な設計のオリフィス（２）を備えた押出ダイ（１）の正面図である。
第２図は、第１図のダイを通してポリマーを押出すことによってつくられた、平らなベース（４）、壁間幅（５）、及び壁の深さ（６）を持つ対称的な「Ｈ」字形状の毛管チャンネルファイバ（３）の断面図である。
第３図は、平らなベース及び該ベースの両側から対称的に延びる多数の毛管チャンネルを持ち、これらの毛管チャンネルが全て、随意には、ほぼ同じチャンネル幅及び高さを有する、対称的な「多Ｈ」字形状の毛管ファイバをつくるのに適当な設計のオリフィス（８）を備えた変形例の押出ダイ（７）の正面図である。
第４図は、第３図のダイを通してポリマーを押出すことによってつくられた、毛管チャンネルファイバの断面図である。
第５図は、第４図に示す毛管チャンネルファイバーの変形例を示す毛管チャンネルファイバの断面図である。
第6A図は、Ｈ字形状毛管チャンネルファイバの、部分的に潰した状態での断面図である。このようなファイバは最適ではないが本願発明で使用できる
第6B図は、拡張させた毛管チャンネルファイバの断面図である。このようなファイバは本願発明で使用できる。
第6C図は、完全に潰された毛管チャンネルファイバの断面図である。このようなファイバは本願発明では使用されない。
第１図乃至第6C図は、単なる例示であって、縮尺はこの通りでなく、毛管チャンネルファイバの壁及び平らなベースの厚さは、好ましくは、壁間の幅よりも かに薄い。壁及びベースが薄ければ薄い程ファイバは柔軟であり、流体吸収力が大きくなる。
第７図は、生理用パッドの長さ方向軸線に沿った断面図である。この断面図は、流体透過性上シート（９）、本願発明の毛管チャンネルファイバからなる「副上シート」層（10）、流体保持コア（11）、及び流体不透過性後シート（12）を示す。
第8A図は、流体透過性上シート（13）、流体分配毛管チャンネルファイバ層即ち流体保持コア（15）を実質的にカバーする「副上シート」（14）、及び流体不透過性後シート（16）を持つ生理用パッドの一部を切除した斜視図である。
第8B図は、流体透過性上シート（17）及び毛管チャンネルファイバ層（18）を持つ、一部が除去してある生理用パッドの斜視図であり、毛管チャンネルファイバ層は、周囲縁部（19）をカバーせず且つ吸収体コア（20）の端部から約2.5cm（１インチ）のところで終端する。後シート（21）もまた示してある。
第９図は、種々の層間の接触が多数の圧縮線（22）によって行われる生理用パッドの斜視図である。
第10図は、多孔質上シート（23）の下側及び上シートを毛管チャンネルファイバ層に取り付けるのに使用される糊線（24）の好ましい多螺旋状パターンを示す平面図である。代表的な生理用パッドで使用されたパターンの機械方向寸法（25）は17.78cm（７インチ）であり、横方向寸法（26）は約5.08cm（２インチ）である。
第11図は、多孔質上シート（27）の下側及び機械方向寸法（29）及び横方向寸法（30）を持つ接着剤スポットの所定のパターンを示す平面図である。
第12図は、成形フィルム上シート（31）及び毛管チャンネルファイバ層（32）の断面の写真である。毛管チャンネルファイバと上シートとの間のぴったりとした接触は、上シートの孔（34）内への毛管チャンネルファイバ（33）の突出によって示されている。
第13図は、例 の衛生ナプキンの分解斜視図であり、この衛生ナプキンは、上シート（35）、CCF SW194毛管チャンネルファイバからなる層（36）、層（36）の下にあるCCF SW173毛管チャンネルファイバからなる布きれ（37）、クレープバウンティ（BOUNTY）紙タオル層（38）、スリット領域（40）及び無スリット領域（41）を持つ、吸収体ゲル化剤を包含した湿式堆積繊維質吸収体コア（39）、後シート（42）、ポリエチレン端部保護体（43）、及び随意の剥離紙（44）を有し、八枚のパンティ止め接着剤ストリップ（45）の相対的な配置が示してある。使用に当たっては、パンティ止め接着剤ストリップは、剥離紙（44）を物品から除去したとき、後シート（42）の外側に残る。
発明の詳細な説明
基準として、第10図を参照する。本明細書の全体に亘って長い方の軸線（即ちｘ軸）を「機械方向」と呼ぶ。これは、製造中に物品が機械をこの軸線の方向で通過するためである。短い方の軸線（即ちｙ軸）を「機械方向に対して横方向」と呼ぶ。これは、この方向が物品の幅を横切る方向であるためである。「ｚ軸」方向は、下に向かって上シートを通過し、その後毛管チャンネルファイバ層を通り、流体貯蔵コアが設けられている場合にはこのコアを通過する方向である。目的は、上シートと本願発明の物品の上シートの下側にある層との間に毛管吸収の勾配をつくりだして流体を「Ｚ軸」方向に引き込み、物品の表面から物品の最終的な貯蔵層内に遠ざけることである。経験によれば、毛管吸収は、付着応力に比例し、開口部の大きさに反比例する。即ち、代表的な場合において、上シートの開口部はファイバ内毛管チャンネルよりも大きく、ファイバ内毛管チャンネルは繊維質貯蔵コアのファイバ間毛管チャンネルよりも大きい。各層の構成要素の表面親水性は、理論的には、毛管吸収勾配に影響する。
簡単に述べると、本願発明で使用した毛管チャンネルファイバは、吸収体物品の「ｚ軸」方向での流体の通過を促す。更に、ファイバが実質的に機械方向に平行に並ぶように位置決めされた毛管チャンネルファイバ層を使用することによって、流体を機械方向にも流し、これによって物品の全有効吸収力を高める。しかしながら、かくして位置決めされた毛管チャンネルファイバにより機械方向に対して横方向での流体の流れを制御し、これによって、物品の側縁部の周りでの流体の漏れを最小にし、又は完全になくす。かくして、ファイバ間毛管ボイドを有する繊維質バットによって流体をｘ軸方向、ｙ軸方向、ｚ軸方向に無指向的に移動する従来技術の吸収体物品とは異なり、本願発明のファイバは、ファイバ内毛管チャンネルを使用して所望の流体指向性を提供できる。更に、本発明の繊維質層の毛管現象はファイバ自体に存するのであってファイバ間空間に存するものではないため、ファイバ間空間が置き換えられた場合でも毛管現象は失われない。更に、本発明の毛管チャンネルファイバ層は、圧縮され密度が高く比較的剛性のバット材料とは異なり、層が軟質で毛羽立っており着用者にとって快適であるにも関わらず、ファイバ間毛管作用によりその流体引込み機能及び差し向け機能を発揮する。かくして、本発明の吸収体物品は、ファイバ内毛管チャンネルを持つファイバを使用しない従来技術に開示された種々の吸収体構造とは全く異なる方法で機能し、全く異なる材料を使用して全く異なる利点を提供するということは理解されよう。
本願発明で使用した種類の毛管チャンネルファイバの製造は本発明の一部ではないということは理解されるべきである。欧州特許出願第391,814号（上文中に言及した）又はその継続中の1991年７月23日付けで出願された「流体を自然に移送できるファイバ」という標題の米国一部継続出願第736,627号（発明者：フィリップ・ジョーンズ等、イーストマンケミカル社）、又は1990年２月20日付けで出願された「開放毛管チャンネル構造、毛管チャンネル構造をつくるための改善された方法、及びこの方法で使用するための押出しダイ」という標題の米国一部継続出願第07/482,446号（発明者：トンプソン及びクロイター）に注目されたい。これらの特許出願について触れたことにより、毛管チャンネルファイバを製造するための手段に関する詳細について、これらの特許出願に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。
本願発明では種々の毛管チャンネルファイバを使用できるけれども、配合者の便宜のため、好ましい毛管チャンネルファイバ及び本発明の物品へのこのようなファイバの組み込みに関する種々の点についての以下の配慮をここに記載する。
I.ファイバ構造及び表面特性−本願発明で使用するファイバは、湿潤時に膨潤しない任意の便利なポリマーから製造できる。本願発明では、上文中に説明したように、外毛管チャンネルを持つように形成できるように紡糸可能である限り、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル（好ましい）、等のようなポリマーが有用である。便利には、ポリマーは、溶融押出可能である。代表的には、本願発明の毛管チャンネルファイバは、内部粘度（「IV」）が約0.6乃至約0.9の合成ポリエチレンテレフタレートポリマー溶融体から製造される。IVは、当該技術分野の用語であり、周知の方法で決定できる（例えば、米国特許第4,829,761号の第８コラムを参照されたい）。ポリマー溶融体のIVは、毛管チャンネル壁の形状を保持できるポリマーの性質と関係し、ポリマーの平均分子量と関連している。例えば、内部粘度が約0.7のポリエステルを使用するのが便利であるが、内部粘度が約0.9のポリマーを使用するのが更に好ましい。これは、毛管チャンネルの壁を使用中の圧力で潰れないようにするのに十分強固でありながら更に薄くできるためである。本願発明の好ましい毛管チャンネルファイバは、約10のデニール（フィラメント毎デニール「dpf」）を持ち、特に、このような細いデニールを持つけれども壁が安定している毛管チャンネルファイバを内部粘度が約0.9のポリエステルから得ることができる。しかしながら、このような高内部粘度のポリマーを用いて商業的に実施するには、特別の処理装置が必要とされる。非常に受入れ易い妥協として、及び使用中に潰れることのない毛管チャンネル壁を形成するため、約0.7の内部粘度を持つポリエステル／ポリマーを約22のフィラメント毎デニールで使用できる。しかしながら、使用されるファイバのデニールは、配合者の判断に委ねられており、チャンネル毎のデニールを容易に25内にできるということは理解されるべきである。
本願発明の毛管チャンネルの深さ：幅の比は、好ましくは約2.0であるが、上文中で言及した加工上の制限並びに経済上の理由のため、代表的には、約1.3の深さ：幅の比が用いられる。かくして、本願発明で使用するのに非常に満足のいく代表的であり且つ容易に製造できる毛管チャンネルファイバは、壁の深さが約48μｍであり、壁間の幅が約37μｍである。壁自体は、代表的には、約３μｍ乃至15μｍの厚さである。これらの寸法は変化してもよいが、ポリエステルから製造され、このような性質を持つ毛管チャンネルファイバは、それらの所定の目的について極めて有効である。このようなファイバは、従来の作動装置を使用して製造でき、衛生装置、特定的には、ナプキンやパンティライナー、で遭遇する種類の圧力に、毛管チャンネル壁が潰れたりこれらの壁の毛管機能が損なわれる程に毛管チャンネル壁を拡げたりすることなく、容易に耐えることができる。
毛管チャンネルは、種々の形状であるのがよい。特定の形状は、製品の特定の用途において、特定の利点を提供できる。例えば、「Ｕ字形状」、「Ｈ字形状」、「字形状」、及び「Ｖ字形状」の毛管チャンネルを使用できる。「Ｈ字形状」ファイバは、一つの好ましい形状である。更に、多数のチャンネルを持つファイバを製造するのに基本的な形状を繰り返してもよいし（添付図面参照）、枝分かれしてもよいが、約三つ以上の繰り返し形状を使用する場合には、ファイバの剛性を幾分大きくするのがよいということは理解されよう。第５図の多数の「 」ファイバは、面対面接触及び容易にカールする性質により毛管現象の作用が大きく、容易に曲げることができるという別の利点を提供する。
本願発明の毛管チャンネルファイバの製造に使用されるポリマー自体は吸水性（尿又は月経のような血液含有液体に対しても吸収性でない）でないけれども、ファイバ自体は、最も好ましくは親水性である。多くの合成ポリマーが疎水性であるため、本願発明の毛管チャンネルファイバには、これらのファイバを親水性にするための表面処理が施してある。ポリマー製ファイバの表面処理には、ファイバについての広範な文献で周知の工程が含まれ、本願発明では、このような工程を使用できる。一般に、このような工程にはファイバの表面を「親水化剤」、特定的には界面活性剤で処理することが含まれる。（ファイバを水性流体で湿潤できるようにする親水化は、通常の方法で、例えば接触角計測を用いて計測できる。一般に、90゜以下の接触角が親水性表面を示す。当該技術分野で周知の種々の他の機器が可能であるように、親水性を計測するのにCAHN表面力分析機（SFA 222）を使用できる。）このような工程で有用な代表的な界面活性剤には、洗剤の文献で周知の一般的な種類の種々の非イオン性又は陰イオン性の洗剤界面活性剤が含まれる。親水化剤には、ポリエチレングリコールモノオレエート（例えば、米国ペンシルバニア州ウィリアムズポートのロンザ社から入手できるポリエチレングリコール200モノオレエートであるペゴスパーゼ（PEGOSPERSE）200ML）、及びエトキシ化オレインアルコール（例えば、米国ニューヨーク州ニューヨークのクローダ社から入手できるボルポ（VOLPO）−３）のような湿潤化剤が含まれる。吸い上げ性能を高めたり汚物解放特性を改善したりするため、ファイバ及び織物の技術分野の当業者に周知の親水化剤及び親水化技術を含む他の種類の親水化剤及び親水化技術を使用してもよい。親水化剤は、使用前の種々の段階でポリマーに加えることができるが、好ましくは、毛管チャンネルファイバをその最終的な大きさに延伸する前に加えられる。例えば、親水化剤は、ポリマーの溶融前に加えてもよいし、ポリマーの溶融に続いて混合してもよい。添加剤である親水化剤は、形成に続いて、例えば、溶融紡糸工程、湿潤紡糸工程、又は乾燥紡糸工程で押出ダイを出るのに続いて、好ましくはファイバを延伸して縮径する前に、ポリマーに加えてもよい。勿論、本願発明の物品は、人体の敏感な領域と接触するようになっているため、毛管チャンネルファイバの表面の親水化に用いられる界面活性剤は、人間の皮膚に対して毒性がなく刺激のないものであるのが好ましい。毛管チャンネルファイバを親水化するための種々の界面活性剤処理を以下の例で説明する。繊維質表面を親水化するための別の方法には、プラズマ状態の電離線を前記表面に当てることが含まれ、このような方法には、ファイバの表面上に界面活性剤が残らないという利点がある。どのような手段をとるにせよ、全体としての目的は、輸送しようとする流体によって自然に湿潤される、本願発明で使用するための毛管チャンネルファイバを提供することである。
II.ファイバ形態学−本願発明の毛管チャンネルファイバは、上文中に説明し添付図面に示したように、その外面に毛管チャンネルを有する。更に、毛管チャンネルファイバは、毛管現象を幾分高める中空中央コアを有してもよいけれども、このような中空コアファイバを使用しないのが好ましい。一般に、中央中空コアを持つ毛管チャンネルファイバを提供するには、ファイバの剛性を、コアが圧力で潰れないようにするために所望であるよりも幾分高くする必要がある。毛管チャンネルファイバに亘って延びる中央コアは、流体を迅速に吸収しなくてもよい。これは、流体がコア自体内に進む前にファイバの端部に向かって進むためである。更に、中央コア毛管チャンネルファイバは、中央コアファイバの端部とリザーバコア材料とを適切に接触させないと吸収した流体を吸収体リザーバコアに解放できない。簡単に述べると、外毛管チャンネルを持つ毛管チャンネルファイバは、流体の吸い上げ及び移送の両方で大きな利点を提供し、中央コアを設けることは性能上の利点に寄与することがほとんどなく、中央コアを備えた毛管チャンネルファイバで製造した、人体と接触する物品の快適さについて悪影響を与える。
更に、本願発明で使用する毛管チャンネルファイバは、好ましくは、直線状の形体ではなく、曲がっているか或いは最も好ましくはカールした形体である。直線状でない毛管チャンネルファイバは、所与の数のファイバについて、ロフトが大きく、これによって弾性が高められているということは容易に理解されよう。個々のファイバのロフトを高めることによって、これからつくられたパッドは全体としてのロフトが厚くなり、柔らかくなる。これによって、低密度高ロフトのパッドを形成でき、このパッドは、個々のファイバ自体が厚過ぎたり剛過ぎたりしない場合（上述のデニールを参照されたい）には、極めて快適であるにも関わらず流体の輸送について効果的である。
しかしながら、本願発明の好ましい直線状でない毛管チャンネルファイバは「キンク」してはならない。毛管チャンネルファイバがキンクすると、キンクの場所に毛管チャンネルの絞りを形成してしまうということは容易に理解されよう。勿論、これは、前記毛管チャンネルに沿った流体流れに干渉する。
直線状でない毛管チャンネルファイバを使用するのには、以上の他に別の大きな利点がある。本願の第12図に示すように、毛管チャンネルファイバの小さな部分即ち「タフト」が本願発明の物品の上シートオリフィスの少なくとも幾分かの中に実際に突出しているのが非常に好ましい。想像できるように、これらの突出部は、カールした毛管チャンネルファイバを使用して高ロフト毛管チャンネルパッドを製造した場合に、作用が容易になる。偶然にであるが、カールした毛管チャンネルファイバは、その端部及び／又はカールが実質的に直線状の毛管チャンネルを使用した場合よりも多く上シート材料のオリフィス内に突出する見込みが大きい。
好ましい態様では、本願発明の毛管チャンネルファイバは、「実質的にカールしている」（又はそうでない場合にはギャザー付けされている）。ファイバの技術分野は周知であるように、ファイバのカール付けは、ファイバが成形ダイから出るときにファイバの一方の側を他方の側よりも僅かに加熱することによって（又は逆に一方の側を他方の側よりも迅速に冷却することによって）ファイバを選択的に加熱し急冷することによって行うことができる。変形例では、ポリエステルのような合成ポリマーからつくられたファイバは、延伸に続いて弛緩させることによって、又は鋭い縁部の周りでファイバに張力を加えるのに続いて弛緩させることによって、カールを付けることができる。毛管チャンネルファイバは、メタノールに浸漬することによってもカールを付けることができる。好ましい態様では、ファイバは、実質的に螺旋状である。毛管チャンネルファイバを捲縮させ又はカールさせるのにどのような手段を使用しようとも、これらのファイバは、所望であれば、これに続いてカーディング処理を施してファイバのアッセンブリを形成することができる。
カールの好ましい大きさは、約0.1mm乃至約3mmであり、代表的には、カールの数は、ファイバ1cm当たり0.5個乃至約５個である。カールの大きさが約3mmでカールの数がファイバ1cm当たり0.5個のファイバは、大きな毛管チャンネルを持つ高デニールのファイバでも良好な軟質性を示す。換言すると、平均約2cmの直線長さを持つ毛管チャンネルファイバをカールさせ又はギャザー付けして約0.5cm乃至約1.5cmの長さを持つ最適のファイバを形成する。
III.多ファイバパッド−かくして、本願発明で使用した毛管チャンネルファイバの種類及び個々のファイバの形態学を考えてきたが、本発明の方法で製造した物品の配合者はこのようなファイバを吸収体物品に形成することに関係している。一般に、配合者は、このようなファイバの束を物品内に並べる。一つの態様では、例えばセルロースファイバから作った吸収体コア上にファイバを吹き付けるのがよい。更に好ましい態様では、上述の多数の毛管チャンネルファイバをバット又はパッドに形成する。このようなパッドは多数の毛管チャンネルファイバの網状組織からなる。このような多ファイバパッドは、代表的には、約0.254cm（0.1インチ）乃至約1.78cm（0.7インチ）の厚さを有し、好ましくは、衛生ナプキンの用途について、0.254cm（0.1インチ）乃至1.02cm（0.4インチ）の厚さを有し、好ましくはパンティライナーの用途について約0.127cm（0.05インチ）乃至約0.38cm（0.15インチ）の厚さを有し、好ましくは幼児用おむつ又は成人失禁者用衣料の用途について約0.254cm（0.1インチ）乃至1.27cm（0.5インチ）の厚さを有する。使い捨て吸収体物品の用途については、このようなパッドは、代表的には、1cm2の表面積当たり約0.003g乃至約0.016gのファイバを含み、1cm3の体積（圧縮状態で計測した）当たり約0.003g乃至約0.03gの毛管チャンネルファイバを含む。パンティライナー、おむつ、及び成人失禁者用衣料についての単位面積当たりのファイバの量及び単位体積当たりのファイバの量は、上掲の厚さの差に基づいて計算することができる。
好ましくは、毛管チャンネルファイバのデニール及び強度は、本願発明のファイバでできたパッドの湿潤：乾燥厚さの比が少なくとも約80％、更に好ましくは少なくとも約90％持であるように選択される。これにより、パッドは、その軟質さ及び形状に馴染む品質を使用中でも保持する。
換言すると、代表的には、衛生ナプキンでは、本願に記載した種類の約1.5gのカールしたファイバが約160cm2の表面積を持つ矩形のパッドを構成する。このパッドは、以下に説明する種類の流体受入れ一次上シートの下にある層（ｂ）として使用するのに適している。層（ｂ）は、「副上シート」と呼ぶのがよい。
IV.吸収体物品での多ファイバパッドの使用−かくして、ファイバ、ファイバの形態学、パッド状構造へのファイバの包含を説明したが、本願発明の吸収体物品の配合者は、このようなパッドを完成した吸収体物品に組み込むことに関係している。上述の方法で製造した毛管チャンネルファイバパッドは、月経流体のような流体に対してそれ自体が幾らかの保持能力を持っているけれども、これは本発明の物品では、こうしたパッドの主な機能ではない。従って、上述の方法でつくられたパッドは、所望であれば、例えばパンティライナーの吸収体コア全体を形成することができる。しかしながら、多くの用途では、毛管チャンネルファイバからなるパッドは、毛管チャンネルファイバパッドから前記コア内へ移送された流体のリザーバとして役立つ吸収体コアと関連して使用される。実際、多くのコアは、セルロースファイバ製空気堆積フェルト又はセルロースファイバと吸収体ゲル化剤との混合物でできている。（このようなコアは、衛生ナプキン、おむつ、等の現在使用されている従来の使い捨て物品での用途について周知であるということは配合者には理解されよう。）このような吸収体コアにおけるセルロースファイバの極めて精密な構造により、コアは高い吸収力を持ち、この吸収力により流体を毛管チャンネルファイバから最終的な貯蔵のためコア内に引き込む傾向がある。これがまさに所期の効果である。かくして、衛生ナプキンについては、約1g乃至約5gの多セルロースファイバ及び随意であるが約0.5g乃至約1.5gの吸収体ゲル化剤からつくられた代表的なコアを上文中に説明した方法で製造した毛管チャンネルファイバパッドに重ねる。流体は、物品内に進むと毛管チャンネルファイバの網状組織と遭遇し、この網状組織は流体を分配し、次いで流体を下にある吸収体コアに引渡し、これによって毛管チャンネルファイバ網状組織を流体の次の排出について少なくとも部分的に「更新」する。好ましい態様では、毛管チャンネルファイバパッドは、多孔質（好ましくは形成フィルム）上シートの下の「副」上シートとして使用される。かくして、毛管チャンネルファイバは流体を上シートを通して引込み、これによって、上シートに新たな乾燥した外観及び感触を残し、次いで流体を下にある吸収体コアに引渡し、かくしてコアが飽和するまでこうしたプロセスを続けることができる。
非常に好ましい態様では、毛管チャンネルファイバ製パッドは、その上に重なった上シートと、接着剤による接着又は張力のいずれかによって、ぴったりと接触した状態に保たれており、これによって、上シート及び毛管チャンネルパッドは、均等にぴったりと接触した状態に保持される。上述のように、上シートと毛管チャンネルファイバパッドとの間の接触は、好ましくは、毛管チャンネルファイバのタフトが上シート自体のオリフィス内に延びるようにぴったりとしている。同様に、流体を吸収体コアに効率的に移送するため、毛管チャンネルパッドとその下にある吸収体コアとの間が（接着剤又は張力のいずれかによって、又は吸収体コアの表面を荒らすことによって、又は毛管チャンネルファイバの幾らかを吸収体コア内にニードルパンチすることによって）ぴったりと接触しているのが好ましい。かくして、非常に好ましい態様では、上シートから毛管チャンネルファイバパッド内、及びファイバパッドからその下にある吸収体コア内に相互連結網状組織があり、これによって、流体は上シートを通り、毛管チャンネルパッド即ち「副上シート」に沿ってこれを通り、吸収体コア内に効率的に進む。この相互連結は、水分、機械的剪断力、及び着用者の身体の動きと関連した加圧−弛緩が使用中に加わった場合でも維持される。
本発明の物品を製造するのに使用された個々の要素を以下に詳細に説明する。
上シート−本願発明の完成した物品には、流体受入れ上シートが設けられている。このような上シートは、好ましくは疎水性であるが流体透過性の材料でつくられている。本発明の実施にあたって使用された種類の上シート材料は、特許文献に十分に記載されている方法によってつくられているのがよい。例えば、1982年４月13日にムラン及びスミスに賦与された米国特許第4,324,246号のプロセスによれば、0.0038cm厚のポリエチレンフィルムのような熱可塑性材料の試料をその軟化点以上に加熱する。（軟化点は、熱可塑性材料を成形又は金型成形できる温度であり、材料の融点以下である。）次いで、加熱したシート形態の熱可塑性材料を加熱した成形スクリーンと接触させる。成形スクリーンは、好ましくは、所望の孔径、パターン、及び形体を持つ多孔メッシュスクリーンである。加熱したフィルムを成形スクリーンに引き付けるのに負圧が用いられ、これによってフィルムを所望の孔径を持つ所望のパターンに形成する。負圧をフィルムに加えた状態で、高温空気の噴流をフィルムに通す。高温空気の噴流は、成形スクリーンの孔のパターン及び大きさと対応するパターンでフィルムを穿孔する。
ムラン等の特許の方法で製造した流体透過性の上シートを便宜的に「成形フィルム」と呼ぶ。このようなフィルムの厚さが厚過ぎる場合には液体が孔に溜まってフィルムを容易に通過しないため、フィルムの厚さは重要である。おむつ、生理用品、失禁者用物品、等のような吸収体物品を製造するためには、上シートは、代表的には、約0.075cm以下、好ましくは約0.064cm以下の厚さを有する。
本願発明の上シートとして有用な別の成形フィルムシート材料は、ファイバのような外観を呈し触感を提供する弾性立体ウェブである。このウェブは多数の孔を備えた流体不透過性プラスチック材料でできており、これらの孔は多数の交差するファイバ状要素によって構成されている。以上は1982年８月３日にラデル及びトンプソンに賦与された米国特許第4,342,314号に開示されている。ラデル及びトンプソンのシート材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、等の疎水性プラスチックを用いて製造でき、生理用品等のような吸収体製品での用途について周知である。
本願発明で有用な更に別の種類の成形フィルムシート材料が1975年12月30日にトンプソンに賦与された米国特許第3,929,135号に記載されており、このシート材料は、テーパをなした毛管の形体の穴を持つ疎水性ポリマーフィルムからなる。これらの「テーパをなした毛管」を持つ上シートもまた、成人失禁者用物品を含む吸収体物品での用途について周知である。これらのシートは、上文中で言及したように、種々の疎水性ポリマーから製造でき、代表的には、厚さが0.0025cm乃至0.0051cmの低密度ポリエチレンが使用される。
テーパをなした毛管を持つ上シートを更に視覚化するため、米国特許第3,929,135号を参照する。使用に当たっては、このようなテーパをなした毛管を持つ上シートの毛管の頂点を上シートの下にある吸収体コア材料と接触させる。一般に、テーパをなした毛管は円錐形の表面を持つ錐台の形体であるが、三角形、正方形、又は多角形形状のベースを持つ錐台のような任意の全体にテーパをなした構造が「テーパをなした毛管」という用語の範疇にあるということは理解されよう。しかしながら、本記載では、便宜的に円形のテーパをなした毛管を使用する。テーパをなした毛管は、非対称であってもよく（即ちテーパの一方の側の角度が他方の側の角度と異なっていてもよく）、テーパの角度がベースから頂点までの距離に亘って連続的に変化してもよい（即ち湾曲していてもよい）ということもまた理解されよう。後者の場合には、テーパの角度は、毛管の最小の頂点開口部の寸法の点での毛管の側部に対する接線の角度として定義される。本発明による上シートで使用するのに適したテーパの角度は、約10゜乃至約60゜である。
毛管のベース開口部の寸法は、前記テーパをなした毛管の上シートの平面における開口部の最大計測値と定義される。頂点開口部の寸法は、前記テーパをなした毛管の、上シートの平面から遠隔の頂点における開口部の最大値と定義される。テーパをなした毛管が円錐形の表面を持つ錐台の形体である場合には、ベース開口部の寸法及び頂点開口部の寸法は、夫々、ベース直径及び頂点直径である。以下、ベース直径及び頂点直径をベース開口部寸法及び頂点開口部寸法と夫々相互交換自在に使用する。
テーパをなした毛管の頂点寸法は、液体を上シートの表面から上シートの下にある吸収体コアまで容易に通過させることができる直径である。頂点直径は、約0.010cm乃至0.254cm（0.004インチ乃至0.100インチ）であり、好ましくは約0.013cm乃至0.051cm（0.005インチ乃至0.020インチ）である。
テーパをなした毛管のベース直径は、二つの判定基準を満足するように選択される。第１の判定基準は、着用者の皮膚と接触する上シートの表面の感触である。ポリエチレンは、ベース直径が約0.015cm乃至0.635cm（0.006インチ乃至0.250インチ）の範囲内にある場合、快適で布のようなさらっとした特性を持つようにつくることができるということがわかっている。好ましくは、ベース直径は約0.076cm乃至約0.152cm（約0.030インチ乃至約0.060インチ）の範囲に内になければならない。第２の判定基準は、毛管のベース直径が、予想される液滴が少なくとも一つの毛管に亘って橋渡しできるのに十分に小さくなければならないということである。この判定基準は、使い捨ておむつ及び衛生用品について上述の寸法によって満足される。
テーパをなした毛管の高さは、上シートの最も外側の表面（この表面は、通常は、着用者の皮膚と接触する）とテーパをなした毛管の頂点との間の距離と定義される。勿論、この高さは、上文中に説明したように選択された頂点直径、ベース直径、及びテーパ角度に応じて決まる。テーパをなした毛管の高さは、使用中に潰れることがほとんどない構造を提供しなければならない。上シートの構造材料の性質は、高さについての適当な範囲を大きく左右する。上シートが0.003cm乃至0.005cm（0.001インチ乃至0.002インチ）の厚さを持つ低密度ポリエチレンでできており、頂点直径及びベース直径が好ましい範囲内にあり、テーパ角度αがその臨界範囲内にある場合、テーパをなした毛管の高さは約0.008cm乃至約0.404cm（約0.003インチ乃至約0.159インチ）であるのがよい。
上シートの表面上が比較的に乾燥した状態にあるということは、上シートと接触した液体の多くが上シートを通して吸収体要素に移送されたということを意味する。これは、更に、上シートと接触した流体の各滴がテーパをなした毛管のベース直径と接触していなければらないということを意味する。この状態は、ランド領域（テーパをなした毛管のベース間に存在する上シートの領域）を最小に維持した場合に最もよく得ることができる。最小限度値は、円錐形のテーパをなした毛管又は角錐形のテーパをなした毛管が密集したアレイ（各毛管のベースの周囲が隣接した毛管のベースの範囲と全ての側部で接触した）をなして設けられている場合である。最小ランド領域の好ましい構成では、個々の液滴は少なくとも一つのテーパをなした毛管と接触する。使い捨ておむつでの好ましい構成は、上文中に説明したテーパをなした毛管が規則正しく並べられた、テーパをなした毛管を1cm2当たり５個乃至231個（１平方インチ当たり約30個乃至約1500個）持つ構成である。
テーパをなした毛管を備えたシートは、当該技術分野で周知の幾つかの方法のうちの任意の方法で製造できる。特に適当な一つの方法は、所望のテーパをなした毛管の形状及び配置の雌要素を持つ加熱した金型（以下、ピン金型と呼ぶ）を提供することである。各雌要素は、その頂点がピン金型のベースから遠ざかるように延びるように固定される。シート材料の一部をピン金型と弾性裏打ちプレートとの間で加熱したピン金型と接触させる。圧力を金型、シート、及び弾性裏打ちプレートの組み合わせに加え、テーパをなした毛管をシートに形成してテーパをなした毛管を備えた上シートを形成する。上シートをつくるための変形例の方法は、液体不透過性材料の一部に負圧を加えて適当な金型上で成形することである。上述の方法のうちの一方でテーパをなした毛管を備えたシートを形成した後、頂点直径が所望の値であるように毛管の頂点から材料を物理的に除去することが必要である。このような材料の除去は、例えば、頂点に制御された研磨を加えるか或いは頂点を溶融して開放するように成形上シートを加熱することによって行うことができる。触感が改善された微小な孔を持つポリマーフィルムについての、1986年12月16日にカロ及びリンマンに賦与された米国特許第4,629,643号を更に参照されたい。本発明を実施する上でこのポリマーフィルムを使用してもよい。
本発明を実施する上で使用できる非常に好ましい流体透過性成形フィルム上シート材料が、1984年７月31日にアー等に賦与された米国特許第4,463,045号に開示されており、アー等の構造を視覚化するのを更に助けるため、上記特許を参照する。
概括的に述べると、米国特許第4,463,045号が提供する上シートは、所望の布のような触感を提供するばかりでなく表面の光沢を実質的になくすように設計されている。かくして、プラスチックでできた上シートは、望ましからぬぴかぴかした「プラスチックのような」外観を持たない。
このような非常に好ましい上シート材料は、光を当てたときに実質的に光沢がないように見える少なくとも一つの視認可能な表面を持つ巨視的に膨張させた立体的なプラスチック「ウェブ」であると簡潔に説明でき、前記視認可能な表面のほぼ全体には、ばらばらの表面異常（surface aberration）からなる等間隔に間隔を隔てられた微小なパターンが設けられており、前記表面異常の各々は、前記表面異常が設けられた表面に対して垂直に配向されたその大きさを有し、前記表面異常の各々の最大寸法は、その大きさに対して実質的に垂直に配向された平面で計測して約0.152cm（６ミル）以下であり、これによって、前記表面異常は、表面を見る人の眼と前記ウェブの平面との間の垂直方向距離が少なくとも30.48cm（12インチ）である場合には通常の裸眼で確認できず、更に、前記表面異常の各々には、0.102cm（４ミル）直径の円が内接するのに十分大きい平らな表面がなく、前記表面異常の各々は、全ての隣接した表面異常に対し、前記視認可能な表面の任意の部分上の前記表面異常と前記隣接した表面異常との間の任意の平らな表面上で内接できる任意の円の最大直径が約0.102cm（４ミル）以下であるように間隔を隔てられており、そのため、前記視認可能な表面の任意の部分に入射する光が前記表面異常によって多数の方向に拡散的に反射され、その結果、前記視認可能な表面の外観は実質的に光沢がないように見える。
米国特許第4,463,045号の上シート材料は、表面から全体に外方に突出した突起を構成する前記表面異常の少なくとも一部、及び前記ウェブの表面から全体に内方に突出した窪みを構成する前記表面異常の少なくとも一部を持つのがよい。
これらの好ましい上シートは、上文中に概括的に記載したように、成形スクリーン又は構造を使用することによって製造でき、前記成形スクリーンは、支持部材上に設けられた「ナックル」によって前記表面異常を構成する。（このようなシートの製造は、米国特許第4,463,045号に詳細に説明されており、このようなシートの製造方法は本発明の部分を形成しない。）一般に、結果的に得られた表面異常は、前記プラスチックシートの製造中にこのプラスチックシートの視認可能な表面と直接接触する織布メッシュ支持構造のナックルと対応する。
好ましい製造方法では、前記上シートの視認可能な表面と直接接触する織布メッシュ支持構造は、約0.0254cm乃至0.0508cm（１ミル乃至２ミル）の直径を持つフィラメントからなり、メッシュ数は、2.54cm（１インチ）当たり約160本のフィラメント×2.54cm（１インチ）当たり約160本のフィラメント乃至2.54cm（１インチ）当たり約400本のフィラメント×2.54cm（１インチ）当たり約400本のフィラメントである。
本願発明の好ましい上シートは、前記表面異常の平均の大きさが少なくとも約0.00508cm（0.2ミル）であり、更に好ましくは、少なくとも約0.00762cm（0.3ミル）である。最も好ましくは、前記表面異常の各々の大きさが、前記表面異常が設けられた前記表面に対して垂直に計測して、全ての隣接した表面異常についての平均値の約±20％の範囲内、望ましくは±10％である、上シートを使用する。
後面が親水性のラテックスで処理してある「一方向」成形フィルム上シートは、1988年４月５日にノダに賦与された米国特許第4,735,843号に記載されている。
本発明は、上文中に言及した高性能の有孔材料に加え、簡単な孔が設けられた疎水性シート材料でも実施できる。
本発明を実施する上で上シートとして使用される上文中で言及した好ましい「シート」又は「フィルム」材料は、材料の厚さに亘って互いに重なり合った多数のファイバからなることを特徴とする繊維質不織材料とは実質的に異なっているということは、以上から理解されよう。更に、本願発明で使用される上シート材料は、使用に当たって清浄な外観を持つ耐汚染性即ち「無汚染」表面を提供する材料（好ましくは、疎水性熱可塑性ポリマー材料）からつくられる。界面活性剤、例えばペゴスパーゼを周知の方法でスプレーすることによって、このような上シート（並びに繊維質上シート）を親水性にできる。
ポリエチレン、ポリプロピレン、及びこれらの混合物のような材料からつくられた繊維質の不織上シートが市販の衛生ナプキン及びパンティライナーで一般的に使用されており、このような繊維質の上シートもまた本願発明で使用できるということもまた理解されよう。
このような繊維質の即ち非形成フィルムでできた本願発明で使用できる上シート材料には、例えば非吸収性の繊維質又はフィラメント製の種々の網状組織シートが含まれ、これらのシートは、これを貫通した多数の穴又はチャンネルのため、水性の流体に対して透過性である。このようなシート材料は、特許文献に十分に説明された方法によって製造できる。例えば、1987年１月13日にマドセン等に賦与された米国特許第4,636,419号の方法によれば、二つの異なる化学的種類の二つの異なる融点又は軟化点を持つリボン状フィラメントでできている網状組織からなるシートを接触させ且つ冷却させてポリマー材料が長さ方向と横方向で異なることを特徴とする網状組織シートを形成する。本願発明の実施にあたりこのようなシートを使用できる。
本願発明で有用な別のシート材料は、ポリマーフィラメントの網状組織からなるホルムアミノスネット（formaminous net）であり、このネットは、20゜乃至90゜の変位角で配向されたフィラメントの二つのアレイからなる。このシートの視覚化を更に助けるため、1986年９月６日にスネイド等に賦与された欧州特許第0215417号を参照されたい。上述のシート材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、等のような疎水性プラスチックを使用して製造でき、生理用品等の吸収体製品での用途について周知である。このようなシート材料は、代表的には、坪量が0.0016g/cm2乃至0.016g/cm2（１平方ヤード当たり0.5オンス乃至5.0オンス）であり、厚さが0.127cm乃至0.635cm（５ミル乃至25ミル）の厚さを有し、開放領域が30％乃至80％であり、メッシュが20乃至40である。従来の不織上シートを使用してもよい。
上シートと毛管チャンネルファイバとの間の接触−本願発明の物品の製造における重要な配慮は、上シート材料と毛管チャンネルファイバ層とをぴったりと一様に接触させることである。ファイバ層及び上シートをその間の界面でこのようにぴったりと一様に接触させると、完成した物品の流体受容特性及び流体分配特性が最大になる。上述のように、ぴったりと接触した状態に保持するための一つの方法は、上シートと毛管チャンネルファイバ層との間で張力を調節することである。張力を用いることは、所期の目的について有効であるけれども、製造において困難性をもたらし、物品をカップ型形体にしてしまうことさえある。超音波接着を用いてもよい。
好ましい態様では、上シートと毛管チャンネルファイバ層との間にぴったりとした接触は、接着剤による接着によって得られる。しかしながら、この作動態様においても、最良の結果を得るには幾らかの注意を払わなければならない。
使用する接着剤の量が多過ぎる場合には、望ましからぬことに、物品が使用者の身体に貼り付いてしまうことがあるということは理解されよう。
更に、使用する接着剤の量が多過ぎる場合には、望ましからぬことに、ファイバの毛管チャンネルを詰まらせて毛管チャンネルファイバの有効性を損なうことがあるということは理解されよう。従って、「不干渉」量の接着剤を使用する。このような量は、選択された接着剤、接着剤を塗布するパターン、ファイバの毛管チャンネルの幅、等に応じて変えるのがよい。更に、接着剤の領域及び螺旋状の接着剤の線の直径を例示のように制御することは、使用者の身体への物品の貼付きを最小にするのに役立つ。
接着剤は、皮膚に対して刺激がないものでなければならず、また、敏感な身体組織とぴったりと接触した状態での使用について毒物学的に受入れることのできるものでなければならない。接着剤は、水分が存在しない場合に、即ち物品が製造されるときに、最も好ましくは、水分が存在する場合、即ち物品の使用中にその接着特性を維持しなければならない。
接着剤は、上シートを製造するのに使用された材料及び毛管チャンネルファイバを製造するのに使用された材料の両方に接着しなければならない。上シート又はファイバに表面処理、例えば親水化プロセスが施してある場合には、接着剤の選択にあたってこのような表面処理を考慮しなければならない。
本願発明で有用な代表的な接着剤には、ラテックス接着剤及びホットメルト接着剤から選択された材料が含まれる。幸運なことに、当該技術分野において、非常に多種に亘るこのような接着剤が周知であり、上文中に言及したファクタに対して適当に配慮することによって、製造者は任意の環境に対して適当な接着剤を選択できる。物品の使用中に、即ち身体の流体で濡らされるときに良好な接触を保つため、接着剤は身体の流体に不溶性であるのが好ましい。
かくして、上シートを毛管チャンネルファイバ層に接着する場合に考慮しなければならないパラメータの全体的な性質を考慮したが、下文では、本願発明の実施に当たって使用するための好ましい材料及び技術を例示する。
接着剤はランダムなパターンで塗布できるけれども、最も好ましくは、第10図に示すように螺旋パターン又は多数の螺旋パターンを使用する。変形例では、第11図のスポットパターンを使用してもよいが、これは、あまり好ましくない。
好ましい態様では、接着剤の線を0.2mmのノズルを使用して螺旋状のパターンで塗布するが、少なくとも0.6mm程度のノズルを使用して塗布を行うのがよい。
接着剤の選択は、配合者の必要に従って変化するのがよいが、以下の点に注意されたい。経験によれば、ラテックス接着剤は、一般に、ホットメルト接着剤と比べて幾分満足度が低いということがわかっている。フィンドレー接着剤社から入手できる接着剤、特にホットメルト接着剤4031、並びにほとんど独特であるが、ラテックス8085が本願発明で有用である。（記：フィンドレーＨ−4031−01は疎水性であり、これがこの接着剤の性能が優れていることの理由である。これに対し、ラテックスＨ−8082−05は親水性であり、使用中の状態で湿潤されたとき望ましからぬことに分離してしまう。）毛管チャンネルファイバには種々の親水性仕上げが施してあるのがよく、接着剤の種類は、使用された完成品及びその使用レベルに応じて幾分変えることができる。上述のように、目的は、上シートと毛管チャンネルファイバ層とを常に良好に接触させ、かくして流体受容特性及び流体隔離特性を最大にすることである。SW194のようなイーストマン社の毛管チャンネルファイバでは、イーストマン社の表面処理剤であるLK5570（49％がPEG400モノオレート、49％がPEG600モノオレート、２％が４−セチル−４−エチルモルホリニウム（４−cetyl−４−etylmorpholinium）〔帯電防止剤〕）は、フィンドレー接着剤4031について、高度、中程度、低度（ファイバの重量パーセントで0.78乃至0.87、0.38乃至0.57、0.28乃至0.33）の仕上げレベルで最良に作用する。代表的には、フィンドレー4031の約0.07g、0.08g、又は0.05gの夫々が（高度、中程度、低度の仕上げレベルに応じて）優れた接着効果を提供する。
本願発明の他の表面処理剤には、イーストマン社のLK5483（70％がPM〔PEG600モノオレート、ポリオキシルオレート（polyoxylaurate）（13.64）モノオレート〕、30％がラウリル燐酸カリウム）、イーストマン社のLK5563（45％がPEG400モノオレート、45％がPEG600モノオレート、10％が４−セチル−４−エチルモルホリニウムエトサルフェート）並びに米国ICI社から入手できる洗剤の技術分野でファイバコーティングエチレンテレフタレート／ポリエチレングリコールテレフタレート汚物解放ポリマーとして周知のミリーゼ（MILEASE）Ｔとして入手できるポリマー（例えば米国特許第4,132,680号を参照されたい）が含まれる。
上述のように、使用される接着剤の量は変化するが、代表的には、ホットメルト接着剤を使用する場合には、5.08cm×12.7cm（２インチ×５インチ）の螺旋状パターンに対する約0.05gから5.08cm×17.78cm（２インチ×７インチ）の螺旋状パターンに対する約0.07gまでの範囲である。ラテックス接着剤については、5.08cm×12.7cm（２インチ×５インチ）のパターンに対する約0.1g乃至約0.15gで十分である。スポットパターンについては、約0.05を約5.08cm×12.7cm（２インチ×５インチ）の領域で使用する。
上シートとその下にある毛管チャンネルファイバ層との間のぴったりとした接触は、糊付けプロセス中に圧力を加えること及び／又は層の最も上の毛管チャンネルファイバを「コーミング」して接着剤との接触を良好にする個々のファイバ突起を構成することによって更に改善することができる。
用いられる接着方法に関わらず、上シートとその下にある毛管チャンネルファイバ層との間の接触を判断するための手段は、上シート上に衝突する流体を毛管チャンネルファイバ層内に引き込む速度と関連している。上シートを通って毛管チャンネルファイバ層内に輸送された流体を判断するための種々の手段を想到することができる。しかしながら、便宜的に簡単な滴下試験を使用する。この試験では、羊の血液又は任意の所望の種類の人工月経を室温に置き、ゆっくりと攪拌する。生理用パッドを水平に置いた状態で、このパッドを視覚的に水平方向に三つに区分する。パッドの上方約1.27cm（1/2インチ）のところに保持した滴下器を使用して四滴の血液を上シート上にパッドの上三分の一に加え、2.54.cm（１インチ）間隔でパッドの中央に向かって滴を加える。血液又は人工月経の最初の滴を加えると同時にタイマーを始動させる。各滴が上シートに浸透するのに要する時間を秒で記録する。パッドの中央三分の一に３滴加えることによって、滴を加えることを繰り返す。パッドの下三分の一に４滴加えることを繰り返す。読みを平均する。上シートを通って上シートの下の毛管チャンネルファイバ層内への移動速度を示すのに、配合者が選択した任意の記述子を使用できる。このような記述子は配合者が使用する基準に従って変化するということは理解されよう。流体が上シートを通って毛管チャンネル層内へ１秒乃至10秒で移動する場合には優れた評価を得ることができ、流体が10秒乃至15秒の期間で移動する場合には良好な評価を得ることができ、流体が15秒乃至20秒で移動する場合にはそこそこの評価を得ることができ、20秒以上かかる場合には劣っていると評価が下される。
一般に、米国特許第4,463,045号による成形フィルム上シート、本願に開示した好ましい毛管チャンネルファイバ材料層、及び第10図の螺旋状糊（ホットメルト）パターンを使用した衛生ナプキンについては、上シートを通って毛管チャンネル層内への流体の移動は、上述の滴下試験を使用して、優れている乃至良好であると判断される。
吸収体コア−代表的には、完成した吸収体物品は、商業的な実施において周知の綿毛、セルロースパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等の繊維質吸収体材料でできたシート又はバットを包含する。最近の商業的実施から非常によく知られているように、吸収体ゲル化剤（超吸収体と呼ばれることもある）を更に含むコアが吸収体物品で広範に使用されるようになってきている。特に好ましい吸収体ゲル化剤は、ポリアクリレート及びアクリル酸でグラフトしたスターチである。このような湿式堆積吸収体コア及び空気堆積吸収体コアの製造は、型通りの事項である。本願発明は、スポンジ、水蘚、綿、布、等の種々の流体吸収材料を使用できる。
本願発明では、特定の種類の吸収体コアを使用するのが好ましい。この種類の吸収体コアでは、カールした、捩じれた、好ましくは化学的に補剛され且つ架橋されたセルロースファイバをリファイニングして吸収体コアとしてシートの形態で使用できるファイバを提供する。カールされ化学的に補剛された適当なセルロースファイバ（このセルロースファイバから本発明を実施する上で使用されるリファイニングし、カールし、化学的に補剛したセルロースファイバを製造できる）は、米国特許第4,888,903号、米国特許第4,822,543号、米国特許第4,889,595号、米国特許第4,889,597号、米国特許第4,889,596号、及び米国特許第4,898,642号に記載されている。これらの特許について触れたことにより、これらの特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。このようなファイバを吸収体ゲル化剤と組み合わせて使用すること、及びこのような組み合わせを製造するための手段は、米国特許第4,935,022号に記載されている。こうした製造には、代表的には、グルタルアルデヒドのようなアルデヒドを架橋剤として使用することを必要とする。更に、ポリカルボン酸を架橋剤として使用してもよい。（他の架橋済みセルロースファイバを製造するための他の手段もまた周知であり、流体吸収特性が上述のファイバと比べて最適状態に及ばないけれども、こうしたファイバもまた本願発明で使用できるということは理解されよう。他の種類のファイバについて、米国特許第4,898,642号及びPCT米国89 01581号での種々の引用を参照されたい。）ひとたび手に入れたら、カールしたセルロースファイバをリファイニングして本発明を実施する上で使用される好ましい吸収体コアの製造に使用されるファイバを提供する。
後シート−後シートは従来のものであり、流体不透過性のポリマーシート、例えば可撓性であるのに十分薄いポリエチレン又はポリプロピレン製のシートでできているのがよい。0.001mm乃至0.5mm厚のポリエチレンシートが代表的である。水洗可能な又は生分解性の後シートを、例えば本願発明のパンティライナーで使用してもよい。
随意の保持手段−本願発明の吸収体構造には、このような吸収体構造を使用者の身体上の所定位置又は使用者の身体の近くに保持して吸収体構造がその所期の機能を果たすことができるようにするための手段が、随意であるけれども、設けられているのが好ましい。例えば、衛生ナプキンには、糊ストリップが、後シートに周知の方法で外方に面するように設けられているのがよい。周知の種類の種々のピン、クリップ、及びファスナを随意に使用できる。
以下の例は、本発明の実施を更に詳細に例示するが、これらの例は、吸収体物品をその範疇に限ろうとするものではない。
例
厚パッド
衛生ナプキン物品は以下の構成要素を使用して手作りされる。製品の組み立てについては第13図を参照されたい。
完成した製品の仕様は以下の通りである。

SW194ファイバは、約22dpfのデニールを有し、チャンネル幅が約37μｍでチャンネル深さが約48μｍのＨ字形状断面のファイバである。SW173ファイバは、捲縮箇所を2.54cm（１インチ）当たり7.8個の持つようにスタッファボックス捲縮加工が施してあるカーディング処理を施してステープルスライバからなり、これらは、好ましくは、チャンネル幅が38μｍでチャンネル深さが約19μｍのＨ字形状断面のファイバである。毛管チャンネルファイバSW194は、長さが15.24cm（６インチ）であり、毛管チャンネルファイバSW173は、長さが5.08cm（２インチ）である。
製造手順において、リングで圧延した上シートを所望の大きさに合わせて切断し、テンプレート（5.08cm×17.78cm（２インチ×７インチ）の開口部を持つ）を上シートの後側に当て、フィンドレー4031接着剤をスプレーする。接着剤は、螺旋状のパターンで塗布される（第10図参照）。毛管チャンネルファイバSW194を、糊がスプレーされた領域の中央に手でプレスする。ファイバは、物品の長さ方向軸線に平行に延びる。毛管チャンネルファイバSW173を、層状毛管チャンネルファイバSW194の中央に小布をなして（ファイバが物品の長さ方向軸線と平行な状態で）手でプレスする。これによって上シート及び毛管チャンネルファイバを予備アッセンブリを形成する。
便宜的に、凹状の成形ダイを使用して以下の手順を行う。フィンドレー接着剤後シート（接着剤コーティング及び剥離紙を備えたポリエチレン後シート）を型に置く。スリットを備えたAGMコアを後シート上に置き、クレープ紙（バウンティ）をAGMコア上に置く。準備した予備アッセンブリを第13図に示すように、クレープ紙上に置く。予備アッセンブリをクレープ紙上に置いた状態で物品の構成要素を型の縁部上にぴったりと、しかし構成要素が型から引き離され始まるほどぴったりとでなく引きつける。圧力を加えて接着剤の付いた縁部を後シートにしっかりと接着する。物品を型から取り出し、ローラを使用して縁部を所定位置にプレスする。剥離紙を後シートの後側から引き剥がす。端部を保護するポリエチレンストリップを加え、パンティ止め接着剤のストリップを物品上に配置する。上シートの外面に0.01gのペゴスパーゼ界面活性剤をスプレーする。
例
薄パッド
第13図を参照する。薄パッドのアッセンブリは、CCF SW173ファイバがCCF SW194ファイバ（36）の代わりに使用され、ファイバの小布（37）が使用されないということを除けば同じである。
製品の組み立ては以下の通りである。毛管チャンネルファイバ（CCF SW173）を17.78cm（７インチ）の長さに合わせて切断する。0.75gのファイバを使用する。リングで圧延した上シートを大きさに合わせて切断する。テンプレートを上シートの後側上に配置し、フィンドレー4031接着剤を（螺旋状のパターンで）塗布する。CCF SW173ファイバを、ファイバが上シートの長さ方向軸線と実質的に平行に延びる状態で、糊が塗布された領域の中央に手でプレスする。フィンドレー後シートを平らな表面上に載せる。スリットを備えたAGM積層体コアをフィンドレー後シート上に置く。ダイで形成した薄葉紙を積層体コアの中央に置く。上シート／毛管チャンネルファイバ予備アッセンブリをクレープ紙上の中央に置く。予備アッセンブリを固定し、縁部を滑らかにする。縁部を圧延してシールする。剥離紙をパターンの後ろから引き剥がす。二つ又は３通路の片に引裂き、取り外してポリを物品の端部に配置する、PFAをパターン上に配置する。上シートにペゴスパーゼを0.01gスプレーする。
完成した製品の仕様は以下の通りである。

以下の例III及びIVにおいて、毛管チャンネルファイバは、リファイニングしたカールしたセルロースファイバで吸収体コアができている吸収体物品で使用される。このようなリファイニングした吸収体ファイバの製造は本発明の部分を構成しない。ファイバの製造に関する詳細は、1991年７月23日に本願と同時に出願された「生理用品で使用するための吸収体コア」という標題の米国特許出願第734,405号（発明者：ベンガー、ホーニー、及びハモンズ）に記載されている。同特許について触れたことにより、その特許に開示されている内容は本明細書中に組み入れたものとする。配合者の便宜のため、このようなファイバの製造、ファイバをリファイニングするための手段、及び前記リファイニングしたファイバを吸収体シートに成形するための手段を以下に説明する。
ファイバ製造−上掲の文献に記載された方法で製造されたカールしたファイバは、個々に区別されたカールしたセルロースファイバからなり、これらのセルロースファイバは、好ましくは、架橋剤で化学的に補剛してある。米国特許第4,898,642号に記載されているように、このようなカールしたファイバは、1mm当たり少なくとも約4.5個の捩じり瘤からなる平均乾燥ファイバ捩じり数、及び捩じり瘤の数が乾燥ファイバ捩じり数よりも1mm当たり少なくとも約0.5個少ない1mm当たり少なくとも約3.0個の捩じり瘤からなる平均湿潤ファイバ捩じり数を有し、平均イソピルアルコール保持値は約30％以下であり、平均水保持値は約28％乃至約50％である。非常に好ましいファイバの平均乾燥ファイバカールファクタは少なくとも約0.30であり、更に好ましくは、少なくとも約0.50である。ここで言及したリファイニングプロセスは、元々のカールし捩じったファイバのデフィブリル化がほとんど又は全くないようにこのプロセスを実施する限り、上述のパラメータに実質的に影響しないということは理解されよう。というよりは、元々のファイバは、全体として長さが短くされている。概して、本願で使用する元々のカールしたファイバは、約1.6mm乃至約7mmの範囲の長さを有する。本願に開示した方法でリファイニングした後、結果的に得られたファイバの少なくとも約30％、好ましくは少なくとも約50％、更に好ましくはリファイニングしたファイバの約90％の平均長さは、元々のリファイニングしていないカールしたファイバの長さの約20％乃至40％である。換言すると、概して、上文中で言及したプロセスによって製造したリファイニングしていないファイバの長さは、約1.6mm乃至約7mmであり、これに対し、リファイニング後のファイバの長さは、代表的には、主として、約0.25mm乃至約1.5mmの平均範囲内にある。
ファイバリファイニング−カールしたセルロースファイバは、上文中で言及した従来技術に開示されたプロセスのうちの任意のプロセスによって製造された後、リファイニングされ、本発明の実施で使用されるファイバを形成する。
代表的なプロセスでは、前記ファイバを約３重量％、水を97重量％含む水性紙料を、17804−Ａ型のデノッティングディスク（deknotting disk）を使用して、スプラウト−ワルドロン（現在はスプラウト−ボイヤーとして入手できる）単ディスクリファイナー（ペンシルバニア州マンシーのコパース社から入手できる型番105A−LAB）に通す。重要なことは、本願発明のリファイニングプロセスの目的は、捩じったファイバを、実質的にデフィブリル化することなく、切断することである。
３％水性紙料溶液を0.5％の濃度に希釈し、約0.0127cm乃至0.0762cm（５ミル乃至30ミル）、好ましくは約0.00635（2.5ミル）に設定された隙間を使用してスプラウト−ワルドロンリファイナーを通して流す。（記：スプラウト−ワルドロンは平衡ばねを取り外すことによって改造してあり、そのため、隙間の設定は繊維質紙料溶液の流れに亘って一定である。）代表的な流量は毎分34.0677乃至37.853（９ガロン乃至10ガロン）であり、リファイニングアンペア数は、25馬力のモータについて約45である。（アンペア数という用語の使用は、リファイニング中にファイバに加えられる機械的エネルギの計測単位である。）ファイバは隙間に一回だけ通される。
変形例では、カールしたセルロースファイバは、カナダ標準濾水度が約50ml乃至約100ml（タッピ標準）の高度にリファイニングした南方針葉樹材クラフトファイバであるクリルと組み合わせて使用できる。代表的には、クリルは、カールしたセルロースファイバの最大約５重量％乃至10重量％を構成する。クリルを加えることによって、所望の強化特性を最終的なシートに与えることができ、更に、経済的な理由のためのシートの希釈材として役立つことができる。
リファイニング工程に続き、リファイニングした捩じれたファイバの0.5％水性スラリーを更に希釈して、以下に説明するシート形成作業に使用するため、約0.1重量％乃至0.2重量％のスラリーにする。
シート形成−一般に、上文中に説明した方法で製造したリファイニングしたカールしたセルロースファイバを生理用品等の吸収体コアとして使用するのに適したシートに形成するのには、標準の固定ルーフ成形技術での長網式製紙プロセスが使用され、シートを通気乾燥機を横切って垂直方向に移送することを必要とする。例えば、米国特許第4,889,597号を参照されたい。このプロセスでは、化粧紙、フィルタ紙、等の製造にブレストロールが当該技術分野で周知の方法で使用される。しかしながら、フィルタ紙の製造とは異なり、本願発明のシートは、大きな圧力を加えることなく、通気乾燥機システムを乾燥される。
更に詳細には、リファイニングした捩じれたセルロースファイバを約0.1重量％乃至約0.2重量％含む上文中に説明した水性スラリーを、製紙機のヘッドボックスから標準のフォーミングワイヤ上に導入する。目的は、結果的に得られたシートでファイバを非均等にするファイバのフロキュレーションを回避することである。ヘッドボックスの頂部とフォーミングワイヤとの間の距離（「スライスの設定」）は、好ましくは、約0.2286cm（90ミル）に設定される。沈殿によるフロキュレーションを回避するため、希釈水もまた調節するのがよい。上述のように、フロキュレーションを回避することよってファイバが実質的に均等に分散されたシートが得られる。
シートの脱水は比較的迅速に行われ、23％のレベルまで脱水される。フォーミングワイヤから過剰な水を除去するのに真空ボックスが使用され、その後、シートを乾燥用織物に移送する。乾燥は、標準的な通気式乾燥機を使用して約148.9℃（300゜F）の空気で行われる。これによって、水分が約３重量％乃至約４重量％のシートが得られ、このシートを（周囲湿度に応じて）８％乃至10％の水分に再平衡させるのがよい。シートには、乾燥中に圧縮が加えられないということに注目されたい。これは、圧縮が吸収能力を損なうためである。以上の方法で形成されたシートは、吸収性が大きく、多くの吸収体構造で使用するのに適しているが、このようなシートは衛生ナプキン及びパンティライナーの配合者が所望であるよりも幾分堅いということは理解されよう。標準的な技術を使用してシートにカレンダー仕上げを施したり及び／又はシートをローラに「Ｓ」形態で通し、シートを軟質で柔軟な触感になるまで揉む。これは、配合者の所望の通りに繰り返すのがよい。
上述の方法で製造されたシートは吸収性が非常に大きく、生理用品で使用するのに非常に適しているということは理解されよう。しかしながら、こうしたシートは、目的によっては、特に、例えば使用者による着用中に濡らされて応力が加えられる場合には強度に欠けている。この問題点を解決するため、例えばアモコ（AMOCO）D2スクリムのような商業的に入手できる不織の極めて多孔質で坪量が非常に小さいポリプロピレンでできた薄いスクリムを長網のフォーミングワイヤ上に敷き、その後リファイニングしたカールしたファイバをスクリム上でシートに形成すると決定された。このようなスクリム上でのシートの形成中、少量のファイバをスクリムに通し、シートをスクリムに当該技術分野で「ステープリング」と呼ばれる現象で取り付ける。このプロセスでシート／スクリムを製造することは、シートを形成し、スクリムをシートの上に置き、結果的に得られたスクリム／シートに真空を加える他のプロセスよりも好ましい。このような他のプロセスでは、良好な「ステープリング」が起こらず、スクリムはシートから外れ易い。
ファイバＡ−米国特許第4,898,642号の例 の手順に従って調製されたファイバを上述の方法でリファイニングする。リファイニングしたファイバのスラリーを坪量が0.05696kg/m2（4000平方フィート当たり35ポンド）の薄葉紙のシートに形成する。この薄葉紙は、例えば、ポリアクリレート吸収体ゲル化剤でできた中央層を持つ薄葉紙積層体で使用できる。吸収体ゲル化剤を代表的には約0.68g含むこのような積層体は、本発明が提供する種類の超薄型衛生ナプキンの吸収体コアとして有用である。
ファイバＢ−個々に区別された架橋ファイバをクエン酸を架橋剤として使用する乾式架橋プロセスでつくる。クエン酸架橋ファイバの製造に使用される手順は以下の通りである。
1. 各試料について、一度乾燥した南方針葉樹材クラフト（SSK）パルプを1735g提供する。ファイバの水分量は約７％（93％濃度と等価）である。
2. 約2.942gのクエン酸及び410mlの50％水酸化ナトリウム水溶液を含む水性媒体をファイバに加えることによってスラリーを形成する。ファイバをスラリーに約60分間に亘って浸軟する。この工程を「浸漬」と呼ぶ。浸漬phは約3.0である。
3. 次いで、遠心力を加えることによってファイバを約40％乃至50％の範囲の濃度まで脱水する。この工程の遠心力を加えたスラリーの濃度は、工程２でのスラリー濾液でのカルボン酸濃度とあいまって、遠心力を加えた後にファイバ上に存在する架橋剤の量を設定する。この例では、乾燥ファイバセルロース無水グルコースを基剤としたクエン酸の約５重量％がファイバに存在する。実施上、スラリー濾液中の架橋剤の濃度は、目的とする脱水濃度及びファイバ上の所望の化学物質のレベルを仮定することによって算出される。
4. 次に、脱水したファイバをスプラウト−ワルドロン30.48cm（12インチ）ディスクリファイナー（型番105−Ａ）を用いてデファイブレートする。このリファイナーのプレートは、実質的に個々に区分されたファイバを生産するがファイバに加わる損傷が最小の隙間に設定されている。個々に区分されたファイバがリファイナーを出るとき、これらのファイバは、ファイバに捩じり及びカールを与えるため、二つの垂直なチューブ内で高温空気で瞬間的に乾燥される。ファイバは、これらのチューブを出るとき、約10％の水分を含み、硬化を受ける準備ができている。瞬間乾燥チューブを出るときのファイバの含水量が約10％以上である場合には、ファイバは、含水量が約10％になるまで周囲温度で乾燥される。
5. 次いで、ほとんど乾燥したファイバをトレーに置き、通風乾燥オーブン内で所定時間に亘って所定温度で硬化させる。この温度は、添加されたクエン酸の量、ファイバの乾燥度、等に応じて変わる。この例では、試料を約188℃の温度で約８分間の期間に亘って硬化させる。架橋は、オーブン内にある期間中に完了する。
6. 架橋済みの個々に区分されたファイバをメッシュスクリーン上に置き、約20℃の水で濯ぎ、１％の濃度の60℃の水中で１時間に亘って浸軟し、精選し、約20℃の水で１分間に亘って濯ぎ、遠心力を加えて約60％のファイバ濃度にし、周囲温度の空気で約８％の平衡含水量まで乾燥する。
結果的に得られた個々に区分されたクエン酸で架橋したセルロースファイバを上述の方法でリファイニングし、68.04kgのシート／スクリム坪量でこれをアモコD2上でシートに形成する。Ｓロールに通すことによって軟化した後、シート／スクリムは、本発明の衛生ナプキンで使用するのに適している。
ファイバＣ−1,2,3,4ブタンテトラカルボン酸（BTCA）を架橋剤として使用する乾燥架橋プロセスによって、個々に区分された架橋ファイバをつくる。個々に区分された架橋ファイバを、以下の変更がなされた上述の例IIのプロセスに従って製造する：例IIの工程２のスラリーが150gの乾燥パルプ、1186gの水、64gのBTCA、及び4gの水酸化ナトリウムを含む。工程５では、ファイバを約165℃の温度で約60分間の期間に亘って硬化させる。
結果的に得られたファイバをリファイニングし、本願発明で使用するためファイバＢの方法でシート／スクリムに形成する。
ファイバＤ−1,2,3プロパントリカルボン酸を架橋剤として使用する乾燥架橋プロセスによって、個々に区分された架橋ファイバをつくる。個々に区分された架橋ファイバを、以下の変更がなされた上述の例IIのプロセスに従って製造する：例IIの工程２のスラリーが150gのパルプ、1187gの水、64gの1,2,3プロパントリカルボン酸、及び3gの水酸化ナトリウムを含む。工程３では、ファイバを約165℃の温度で約60分間の期間に亘って硬化させる。
結果的に得られたファイバをリファイニングし、本願発明で使用するためファイバＢの方法でシート／スクリムに形成する。
ファイバＥ−オキシジサシン酸（oxydisuccinic acid）を架橋剤として使用する乾燥架橋プロセスによって、個々に区分された架橋ファイバをつくる。個々に区分された架橋ファイバを、以下の変更がなされた上述の例IIのプロセスに従って製造する：例IIの工程２のスラリーが140gのパルプ、985gの水、40gのオキシジサシン酸のナトリウム塩、及び98％の硫酸10mlを含む。
結果的に得られたファイバをリファイニングし、本願発明で使用するためファイバＡの方法でシートに形成する。
ファイバＦ−クエン酸を架橋剤として使用し硫酸ナトリウムを触媒として使用する乾燥架橋プロセスによって、個々に区分された架橋ファイバをつくる。個々に区分された架橋ファイバを、以下の変更がなされた上述の例IIのプロセスに従って製造する：例IIの工程２のスラリーが200gのパルプ、7050gの水、368gの硫酸ナトリウム及び368gのクエン酸を含む。浸漬phは約2.0である。工程５では、ファイバを約165℃の温度で約60分間の期間に亘って硬化させる。
結果的に得られたファイバを上述のようにリファイニングし、約37.65kg（83ポンド）の坪量のシート／スクリムに形成する。Ｓロールに通すことによって軟質化した後、シートはパンティライナーで使用するのに適している。
ファイバＧ−クエン酸を架橋剤として使用しハイポホスフィットナトリウム（sodium hypophosphite）を触媒として使用する乾燥架橋プロセスによって、個々に区分された架橋ファイバをつくる。個々に区分された架橋ファイバを、以下の変更がなされた上述の例IIのプロセスに従って製造する：例IIの工程２に記載されたスラリーが326gのパルプ、138gのハイポホスフィットナトリウム、552gのクエン酸、10.906gの水に溶解した78gの水酸化ナトリウムを含む。工程５では、ファイバを約188℃の温度で約６分間の期間に亘って硬化させる。
結果的に得られたファイバをリファイニングし、（0.1psi.の圧力が加わった状態で）約0.125の密度のシート／スクリムに形成する。このシートは、羊の血液に対し、シート1g当たり約8.0gの血液の容量を有する。このようなシートは、衛生ナプキン及びパンティライナーで種々の坪量で使用できる。
変形例では、リファイニングしたファイバからなる吸収体コアを支持し且つ強化するのに使用されるスクリムは、毛管チャンネルファイバからなるのがよい。代表的には、このようなスクリムは、毛管チャンネルファイバを約80重量％、融点が毛管チャンネルファイバよりも低いファイバを約20重量％含む。例えば、コデル（KODEL）ファイバが適当である。融点が低い方のファイバが部分的に溶融するまで加熱し、これらのファイバが、冷却時にスクリムを互いに結合するという標準的な方法でスクリムを準備する。
上述のように、リファイニングした吸収体ファイバをスクリム上に載せる。次いで、結果的に得られた構造体をスクリムが完成した吸収体物品の上シートと流体連通した状態で接触するように位置決めする。
例III
生理期間中に使用するのに適した軽量のパンティライナーは、ファイバＦを吸収体コアとして有するシート／スクリムを包含する表面積が約117gの実質的に矩形のパッド上に載った1gのSW173の毛管チャンネルファイバ層を有する。毛管チャンネルファイバは、コアの機械方向に対して実質的に平行に並んでいる。シート／スクリムに毛管チャンネルファイバを加えたものが米国特許第4,463,045号の成形フィルム上シートと可撓性ポリエチレン後シートとの間に挟まっている。毛管チャンネルファイバの上シートへの接着剤による接着は、上文中で説明した通りである。パンティライナーは、吸収体ゲル化剤を使用する必要なしに経膣排出物を吸収する機能を有する。
例IV
吸収体コアから外方に延びる二つのフラップを持つ衛生ナプキンの形態の生理用品を1987年８月18日にバン・チルバーグに賦与された米国特許第4,687,478号の設計に従って準備する。吸収体コアは、本願発明のファイバＧに従って約68.04kg（150ポンド）の坪量を持つシート／スクリムからなる。カールしたSW173ファイバの1.5gの層が、ファイバが機械方向に平行な状態で、吸収体コアに載っている。本願発明の例IIの手順に従って組み立てを行う。米国特許第4,463,045号の光沢のないシートを上シートとして使用する。
例Ｖ
毛管チャンネルファイバ層にニードルパンチを施して多数の前記ファイバを吸収体コア内に下方に部分的に突出させることによって例IVの衛生ナプキンを変更する。これにより、流体が更にｚ軸方向にも、即ち、毛管チャンネルファイバ層の外に吸収体コア内に移動するようにする。変形例では、ファイバが吸収体コアから毛管チャンネルファイバ層内に上方に延びるように吸収体コアの上層をコーミング処理等で荒らす。
例VI
成形フィルム上シート、ポリエチレン後シート、及び2.0gのカールした毛管チャンネルファイバSW173からなる薄いパンティライナー。ファイバは大量の経膣排出物を他の吸収体材料を必要とせずに吸収するのに十分な流体吸収力をそれらのチャンネルに有する。
例VII
成形フィルム上シートを米国特許第4,636,419号即ち欧州特許第215417号の夫々による繊維質上シートに代えることによって例IVの衛生ナプキンを変更する。
かくして、本発明を詳細に説明したが、配合者が考慮するための幾つかの点がある。毛管チャンネルファイバを吸収性の繊維質コアが上側に湿式堆積されるスクリムとして随意に使用する場合には毛管チャンネルファイバの表面上の界面活性剤を濯ぎ流されてしまう。これは、追加の界面活性剤、例えばペゴスパーゼの塗布することによって容易に交換できる。
更に、上文中に開示したリファイニングしたカールしたファイバからなる吸収体構造の使用中の一体性は、種々の方法で高めることができるということは理解されよう。例えば、超音波接着又は熱接着を、特に10重量％乃至15重量％の熱可塑性ファイバ（例えばコデル410ポリエステル）をリファイニングしたファイバと混ぜて使用することと関連して使用できる。更に別の方法では、後シートをコアに固定するのに種々のスポット接着手段を、特にパンティ止め接着剤を付けた領域上で使用できる。
最後に、本願発明の好ましい物品は、スリットを備えた又は部分的にスリットが設けられた吸収体コアをカールした毛管チャンネルファイバ及び他の伸長性構成要素とともに使用できるということは理解されるべきである。これによって、物品に或る程度（15％乃至40％程度）の伸長性を与える。この伸長性により、使用中の装着性及び快適さが向上し、物品を着用者の下着に固定した場合の汚れを減少させる。
更に別の態様では、毛管チャンネルファイバ層の中央部分を皺寄せして小さな「ループ」又は「タフト」を形成するのがよい。かくして、このループ又はタフトは、毛管チャンネルファイバ層から上方に延び、上シートとしっかりと接触する。更に、ループ又はタフトは、流体を迅速に捕捉してこれを毛管チャンネルファイバ層の残りの部分に、その後物品の流体貯蔵層内に輸送できるように物品全体の中央に位置決めされている。有利な事には、このような「ループ」又は「タフト」は流体が物品に当たる箇所に毛管チャンネルファイバを集中させるだけでなく、ループ又はタフトを構成する毛管チャンネルファイバを実質的にｚ軸方向上方に配向し、かくして、物品のｚ軸方向下方での流体の移動を高める。以下の例は、毛管チャンネルファイバの実質的に中央のｚ軸タフトを持つ吸収体物品を例示する。
例VIII
本願に開示した種類の（15.24cm（６インチ）長の）毛管チャンネルファイバでできた層をその中央部で皺寄せして僅かに盛り上がった楕円形の「タフト」を構成する。このタフトのおおよその寸法は、5.08cm乃至7.62cm（２インチ乃至３インチ）（ｘ軸方向）:3.81cm（1.5インチ）（最も広幅の箇所でのｙ軸方向）：及び5mm乃至10mm（ｚ軸方向）である。タフト状ファイバ束は、任意の便利な手段によってそのタフト状の形体に保持できる。代表的には、タフトを紙又は親水性ポリマーの拘束スリットに通す。本願に開示した手順を使用して、タフト状ファイバ束を、上文中に説明したように、タフトがその上の上シートのほぼ中央にあり且つタフトが上シートとぴったりと接触した状態で、吸収体物品に組み込む。衛生ナプキンとして使用する場合には、物品は、タフトによる流体取り出しを最大にするように（例えば陰唇間に）位置決めされる。変形例では、タフトをなしたループ状ファイバの端部を切断し、端部の開放した毛管チャンネルファイバでできたフリース状のｚ軸方向束を構成する。更に別の実施例では、タフトのベースを構成する毛管チャンネルファイバ層を、コアの上に置くのでなく、物品の湿式堆積又は乾式堆積吸収体コア内に完全に又は部分的に位置決めする。この後者の実施例では、二つの薄葉紙製外層及び吸収体ゲル化剤（AGM）中間層からなる商業的に入手できる層状の積層体コアを使用できる。毛管チャンネルファイバをタフトのベースで内部AGM包含層に滑り込ませることができる。
更に、種々の結合プロセスによって吸収体物品に容易に製造できるようにするため、便利には、毛管チャンネルファイバを安定したシートに形成してもよい。例えば、約20重量％乃至30重量％のポリエステル熱可塑性ファイバ（例えばコデル410）を毛管チャンネルファイバと混合し、結果的に得られた繊維質のシートに直接的な熱即ち通気加熱を加える。
種々の結合プロセスによって吸収体物品に容易に製造できるようにするため、便利には、リファイニングしたカールしたセルロースファイバを安定したシートに形成してもよい。例えば、約７重量％乃至15重量％のポリエステル熱可塑性ファイバ（例えばコデル410）をリファイニングしたカールした毛管チャンネルファイバと混合し、結果的に得られた繊維質のシートに通気加熱又は超音波結合を加える。
追加の熱可塑性ファイバを毛管チャンネルファイバ層又は吸収体コア層、或いはこれらの層の両方に組み込むことによって、上述のシートの安定性の他の利点を提供する。詳細には、コア、又は毛管チャンネルファイバ層、或いはこれらの両方に熱可塑性ファイバを組み込むことによって、製造者が、例えば衛生ナプキン又はパンティライナーの周囲で（少なくとも股領域で）シールを行うことができるようにし、前記シールは、物品の縁部の周りで流体が溢れるのを妨げる又は停止する手段を構成する。
更に詳細には、熱可塑性ファイバを含むリファイニングしたカールしたセルロースファイバのシートを標準的なプラスチック製裏打ちシート上に置くことによって上述の種類の物品を準備できる。シートの外縁部から内方に0.635cm（0.25インチ）の位置に、約0.3175cm（0.125インチ）幅の実質的に連続した超音波結合部をコアの周囲に亘って形成する。これは、流体妨害シールを形成するばかりでなく、コアを後シートに結合する。
変形例では、熱可塑性上シート、熱可塑性ファイバを包含するコア、及び後シートを全て、周囲又は周知の近くで超音波結合によって互いに結合する。更に別の態様では、混合した熱可塑性ファイバを含む毛管チャンネルファイバ層をコアに同様に結合するのがよい。（所望であれば、この毛管チャンネルファイバ層は上シートにも結合される。）更に別の態様では、コア及び／又は毛管チャンネルファイバ層に熱可塑性ファイバが存在するため、物品に亘って種々の箇所でスポット結合でき、これによって物品が濡らされるときに付加的な一体性が提供される。
本願発明の物品は、流体をｚ軸方向に引き込むための圧力勾配をつくりだすのに上シート、毛管チャンネルファイバ、及びコア間の間隔の相違を使用するけれども、このようなｚ軸方向流体流れ勾配をつくりだすのに他の手段を使用してもよいということは流体輸送の物理学に精通した人には理解されるであろう。例えば、上シートの穴又は間隔が毛管チャンネルファイバの幅よりも小さい場合（及び90μｍ程度のこのようなファイバ内チャンネル幅が月経のような比較的粘度の高い流体を輸送する上で有用である）には、例えば毛管チャンネルファイバよりも疎水性の高い上シートを選択することによって所望の圧力勾配をつくりだすことができる。

Claims (1)

1. （ａ）流体を受ける前面と、後面と、流体を通すために前記前面と前記後面との間を連通する多数の開口部と、を有する流体透過性非繊維質成形フィルム上シートと、
   （ｂ）前記上シートの開口部の幅より小さいチャンネル幅としたファイバ毛管チャンネルを有し、前記上シートの後面の下側に前記上シートと流体輸送接触するように位置された毛管チャンネルファイバ層と、
   （ｃ）多数の非毛管チャンネルファイバ又は多数の非毛管チャンネルファイバと吸収体ゲル化剤との混合物からなり、前記多数の非毛管チャンネルファイバ間の間隔を前記毛管チャンネルファイバ層のファイバの毛管チャンネルの幅よりも小さく、前記毛管チャンネルファイバ層の下側に前記毛管チャンネルファイバ層と流体輸送接触するように位置された空気堆積又は湿式堆積繊維質水分吸収構造と、
   （ｄ）前記繊維質水分吸収構造の下側に位置された流体不透過性後シートとを有し、前記上シートと前記毛管チャンネルファイバ層との間の接触は、前記上シートと前記毛管チャンネルファイバ層との間の張力、又は結合手段によって維持され、
   前記毛管チャンネルファイバはカールした形状をなし、毛管チャンネルファイバの一部は、前記上シート内に部分的に突出していることを特徴とする吸収体物品。

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