JP3542140B2 - 投射型イオンビーム加工装置 - Google Patents
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Description
本発明は半導体等の電子部品の微小部を直接加工するためのイオンビーム加工装置の構成に関わり、特に投射型イオンビームを使用して加工の高速化をはかるイオンビーム加工装置に関する。
背景技術
この分野の技術としては、集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)照射によって生じるスパッタリングを利用した直接加工技術が知られており、またこの加工技術を用いて半導体装置の断面を観察したり、配線を修正する技術(日本国特開平02−295040号公報)が知られている。
周知のとおりFIBは、液体金属イオン源から放出されるイオンビームを静電レンズ系によって試料上にイオン源の像を作るように集束して形成される。イオン源像が非常に小さいため、主に静電レンズ系の収差によって決まるビーム径を持ち、その大きさは実用的に数10nm〜数μmである。また、直接加工の応用では、一般的に加速電圧を20〜60kVに設定し、電流は数pA〜10nAである。このFIBは、静電偏向器を用いて試料上で最大1mm程度の領域内で任意点に照射したり、走査することが可能である。ここで、FIBでは静電レンズの収差のために、電流を増やすとビーム径が大きくなる。ビーム電流が数nAになると静電レンズの球面収差のために急激にボケが大きくなり、電流密度が下がる。このため、加工速度ができるだけ低下しないように、加工面積と加工精度に合わせて、アパチャーもしくは集束状態を変えることによってビーム径を切り替える。特に、FIBによる加工を用いて最も一般に行われている図7(a)に示すような走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)観察用の試料の断面形成では、10μm程度の矩形領域の穴を同じ程度の深さだけ掘るが、断面観察を行う面のみを仕上げるために2〜3度順次細いビームに切り替えて加工を行う。また、図7(b)に示すような透過電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)観察用の試料の壁形成においても同様なことが行われている。
また、高精度のパターンを形成できるイオンビーム技術として、投射型イオンビームが知られている。日本国出願の特開平2−65117号公報においては、これをリソグラフィに用いて数10mmの大きさの面積をサブμmの精度で露光している。投射型イオンビームは大面積を高精度に照射するのに適しているが、直接スパッタリング加工するような高電流密度を必要とする応用には向かないとされている。ここで、日本国出願の特開平8−213350号公報においては、FIB装置を投射型イオンビーム装置に転用して、高精度の加工を行う技術が記載されている。上記公知例では、FIB装置の構成を用いているためビーム電流はFIBと同様に高々10nAであり、FIBに起き替わるような高速加工を可能とする技術については述べられていない。
上述のように数10μm以下の領域をサブミクロンの精度で加工できるFIBに対して、これを上回る加工速度を実現するイオンビーム形成技術は知られていない。
本発明の課題は、開口部を有する部材(ステンシルマスク)のパターンを投射するイオンビームを用いて、数10μm以下の大きさの領域を、高速に、かつ領域のエッジを高精度に加工することが可能な投射型イオンビーム加工装置を提示することにある。
発明の開示
本発明は、投射型イオンビーム装置をFIBに比較して高速、高精度に加工できる装置とするために我々が見いだした静電レンズ系設計の最適条件および装置構成の必須用件に基づいている。ここで言う、静電レンズ系設計の最適条件とは、主に、イオン源とイオン源に近いレンズとの間の距離、試料と試料に近いレンズとの間の距離、およびこれら二つのレンズ間の距離の最適範囲のことである。この設計条件を満たすためには、装置構成について特定の組み合わせが必要であった。
以下で静電レンズ系の設計条件の説明を行う。まず単純化のために図8に示すような2つの静電レンズ、すなわちイオン源に近いレンズ1と試料に近いレンズ2とを用いた場合を検討する。図8(a)はFIBが形成される場合を示し、イオンビームでイオン源の像を試料上に結像するように両レンズの強度(焦点距離の逆数)が調整してある。図8(b)は投射型イオンビームが形成される場合を示し、イオンビームでステンシルマスクの像を試料上に結像するようにレンズ2の強度が調整してある。ここで、レンズ1はステンシルマスクへのイオン照射量を調整する照射レンズであり、レンズ2の中心にイオンビームを収束させている。また、レンズ2はマスクの像を試料上に投射する投射レンズであり、ステンシルマスクの各点から放射するイオンビームを図8(b)中の点線の軌道のように試料上に収束する。
これら二つのイオン光学系の特性を計算により検討して以下のことを見いだした。すなわち、イオン源とレンズ1の中心との距離をLo、試料とレンズ2の中心との距離をLi、レンズ1とレンズ2の中心間の距離をLで表すと、図8(a)の場合にはFIBの試料上での電流密度は1/(Lo x Li)に比例する。一方、図8(b)の場合には投射型イオンビームの試料上での電流密度は、L/(Lo x Li)の2乗に比例する。すなわち、同じレンズ配置で比較すると、FIBの電流密度に対する投射型イオンビームの電流密度の比は(L/Lo)x(L/Li)に比例する。また、投射型イオンビームでは電流密度を高くする場合、同じ大きさで同じ電流密度のパターンでも、歪みがLoの9乗、およびLiの3乗に比例して大きくなる。
これらの知見から、本発明の投射型イオンビーム装置の静電レンズ系において、FIB装置では考えられないほど、Lを大きくしてLoとLiを小さくすること、特にLoを小さくして歪みを最小限にすることが必要なことを見いだした。このためには、静電レンズ以外のイオン光学系要素を全て静電レンズの間に配置することが必須である。一方、Lを長くすると、イオン源に近い静電レンズの強度(焦点距離の逆数)を調整するために必要なレンズ電源電圧の設定精度がだんだん厳しくなるため、Lには上限があることを見いだした。ただし、静電レンズを3段に増やせば、この制限を緩和できて実効的にLを伸ばせばることも見いだした。さらに、マスクのパターンの大きさ毎に、その試料上での投射パターンの歪みが最小となるためのイオンビームの集束条件が異なることを見いだした。したがって、マスクのパターンの大きさと連動して各静電レンズの強度を切り替える機構が必要なことが分かった。以上は、イオンビームがレンズの中心軸上を通ると仮定した議論であって、イオンビームが(特に試料に近いレンズ内で)軸外にあるときは、試料上での投射型イオンビームの位置がずれるとともに、そのパターンのエッジが大きく歪むことが分かった。そこで、イオンビームを常に正確に軸上に導く偏向器が必須なことを見いだした。また、マスクを投射するレンズの強度が不正確だと、試料上でのイオンビームのパターンの大きさが変動することが分かった。そこで、投射レンズの条件を確認するためには、実効的にイオン源を動かす手段、すなわちマスクよりイオン源側に配置した偏向器が必須であることを見いだした。
具体的には、イオン源と、試料を保持するステージと、前記イオン源と前記ステージとの間にあって、前記イオン源側に設けた第1の静電レンズと、前記ステージ側に設けた第2の静電レンズと、前記第1の静電レンズと前記第2の静電レンズとの間に設けられた開口部を有するマスクと、前記マスクと前記第1の静電レンズとの間に設けられた第1の静電偏向器と、前記第2の静電レンズと前記マスクとの間に設けられた2段の静電偏向器を具備する投射型イオンビーム加工装置により課題が達成される。
また、上記投射型イオンビーム加工装置において、前記第1の静電レンズが、2枚電極の加速レンズと3枚電極のアインツェルレンズ(両端の電極の電位が同じであるレンズ)とをイオン源側から順に配置して合成したレンズであることにより課題が達成される。
更にまた、上記投射型イオンビーム加工装置において、前記2枚電極の加速レンズと、前記3枚電極のアインツェルレンズとの間に制限絞りを配置することにより課題が達成される。
更にまた、上記投射型イオンビーム加工装置において、前記第2の静電レンズがアインツェルレンズであることにより課題が達成される。
更にまた、上記投射型イオンビーム加工装置において、前記第2の静電レンズよりイオン源側に配達されたイオンビームをブランキングする静電偏向器と、該静電偏向器の試料側に配置された固定絞りとを有することにより課題が達成される。
更にまた、上記投射型イオンビーム加工装置において、前記イオン源が液体金属イオン源であることにより課題が達成される。
更にまた、上記投射型イオンビーム加工装置において、前記イオンビームの加速電圧を20kV以上60kV以下にすることにより、高いスパッタ効率で試料を加工して課題が達成される。
また、上記投射型イオンビーム加工装置において、前記マスクに複数の選択可能な開口群を有し、前記静電レンズ系の動作を制御する制御系が二組み以上の制御パラメータを記憶する手段を有し、該制御パラメータの組を前記マスクの開口毎に変更する手段を有することにより課題が達成される。
更にまた、上記投射型イオンビーム加工装置において、前記マスクの開口の少なくとも一つが円形であることにより課題が達成される。
また、上記投射型イオンビーム加工装置において、前記試料から放出される2次粒子(2次電子、2次イオン、または2次光)を検出する手段と、前記第2の静電レンズと前記マスクとの間に設けられた2段の静電偏向器、または前記マスクと前記第1の静電レンズとの間に設けられた静電偏向器を用いて、前記試料の上で前記イオンビームを走査する手段と、該走査と同期して前記2次粒子の検出手段から得られる出力信号を用いて前記試料の像を形成して表示する手段とを有することにより課題が達成される。
更にまた、上記投射型イオンビーム加工装置において、前記試料の一次元または二次元の像の表示を用いて、前記投射型イオンビームの試料上の照射位置を指定する手段を有することにより課題が達成される。
また、液体金属イオン源と、試料を保持するステージと、該イオン源と該試料との間に配置された2段ないし3段の静電レンズの組みと、該静電レンズの組みの間に配置された開口部を有するマスクとを具備する投射型イオンビーム加工装置であって、該イオン源に最も近い静電レンズの略中心と該イオン源のイオン放出部までの距離をLoで表し、該試料に最も近い静電レンズの略中心と該試料の表面までの距離をLiで表し、該両レンズの略中心の間の距離をLで表した時に、(L/Lo)x(L/Li)の値が400以上である投射型イオンビーム加工装置により課題が達成される。
また、液体金属イオン源と、試料を保持するステージと、該イオン源と該試料との間に配置された2段ないし3段の静電レンズの組みと、該静電レンズの組みの間に配置された開口部を有するマスクとを具備するイオンビーム加工装置であって、該イオン源のイオン放出部から該試料の表面までの距離が400mm以上1500mm以下であり、該イオン源から該イオン源に最も近い静電レンズにおける試料側の端までの距離が40mm以下であり、かつ前記試料に最も近い静電レンズにおけるイオン源側の端から該試料の表面までの距離が40mm以下である投射型イオンビーム加工装置により課題が達成される。
また、開口部を有するマスクの開口パターンを試料ステージに保持された試料上に投射するイオンビームを形成する静電レンズ系を備えた投射型イオンビーム加工装置において、該イオンビームの試料上での電流密度が1平方cm当たり20mA以上である投射型イオンビーム加工装置により課題が達成される。
更にまた、上記投射型イオンビーム加工装置において、前記イオンビームの試料上での大きさが5μmであるときのエッジ分解能が0.2μm以下である投射型イオンビーム加工装置により課題が達成される。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の投射型イオンビーム加工装置の全体構成を示す図である。図2は投射型イオンビームで断面を形成中の試料の斜視図である。図3は本発明の投射型イオンビーム加工装置の静電偏向器の動作を示す図である。図4は本発明の投射型イオンビーム加工装置のステンシルマスクを示す図である。図5は投射型イオンビームで壁を形成中の試料の斜視図である。図6は本発明の投射型イオンビーム加工装置の代替案の全体構成を示す図である。図7は集束イオンビーム(FIB)で加工中の試料の斜視図である。図8は集束イオンビーム光学系と投射型イオンビーム光学系の動作比較を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
本発明をより詳細に説述するために、添付の図面に従ってこれを説明する。
図1は本発明の第1の実施例である投射型イオンビーム加工装置の概略構成を示す断面図である。装置本体1は、投射型イオンビーム装置としての基本構成要素であるGaの液体金属イオン源2、ステンシルマスク3、2段の静電レンズである照射レンズ5−1と投射レンズ5−2、および試料6を可動に保持する試料ステージ20とを有する。この他に、2段の静電偏向器8、ブランキング偏向器9、ブランキング絞り10、レンズ条件設定用偏向器11、および二次電子検出器12を有する。さらに、電子源310、およびガス源320を有する。ここで、これらを収納している真空容器は省略してある。イオン源2には加速電源100が接続されており、その電源電圧で試料6上でのイオンビーム4の加速電圧が決まる。照射レンズ5−1の最もイオン源側の電極1010はイオン引き出し電極を兼ねており、イオン引き出し電源101が接続されている。照射レンズ5−1のアインツェルレンズ部の中央電極1020には電源102が接続されており、この電源電圧でレンズの強度が変えられる。投射レンズ5−2の中央電極1030にはレンズ電源103が接続されており、この電源電圧でレンズの強度が変えられる。マスク3は、駆動機構111によって交換可能に保持されており、駆動機構111には、これを駆動してマスク上の複数の開口の一つを選択する駆動電源110が接続されている。2段の静電偏向器8には偏向電源120が接続されている。ブランキング偏向器9には偏向電源121が接続されている。レンズ条件設定用偏向器11には、偏向電源122が接続されている。二次電子検出器12には信号アンプ130が接続されている。ここで、ビーム制御回路400は、加速電源100、イオン引き出し電源101、レンズ電源102、レンズ電源103、および駆動電源110を制御するとともに、それらの設定を記憶することができる。また、偏向制御回路200は、偏向電源120または122の動作と連動して信号アンプ130からの信号を取り込み、一次元または二次元の画像を生成してディスプレイ201に表示することができる。
次にこの装置の動作を説明する。イオン源2から放出されたイオンビーム4は、イオン制限絞り7でそのビーム量を制御され、照射レンズ5−1で加速および集束されて、ステンシルマスク3に照射される。ここで、イオンビーム4の加速電圧は30kVであり、イオンの引き出し電流は2μAである。また、照射レンズ5−1の強度は、イオンビーム4が投射レンズ5−2の中心で最小ビーム径を持つように、ビーム制御回路400によって設定される。次に、マスク3を透過したイオンビーム4は、投射レンズ5−2を通って試料ステージ20に保持された試料6上に照射される。ここで、投射レンズ5−2の強度は、マスク3上の任意点を透過して発散するイオンビームを試料上に集約するように、ビーム制御回路400によって設定される。したがって、投射レンズ5−2の作用により、マスク3の開口のパターンがイオンビーム4で試料6上に投射される。
本実施例で第1に特徴的なのは、高電流密度の投射型イオンビームを形成するために、イオン光学系のサイズがFIB装置のイオン光学系とは大きく異なることである。また、それは従来の投射型イオンビーム装置のイオン光学系のサイズとも全く異なる。すなわち、照射レンズ5−1と投射レンズ5−2の中心間距離Lは、通常のFIB装置では200mm程度であるのに対して、本装置では約550mmと倍以上の長さにした。また、イオン源2と照射レンズ5−1中心間距離Loを約20mmと短くした。このために、照射レンズ5−1には2枚電極の加速レンズと3枚電極のアインツェルレンズ(両端の電極の電位が同じであるレンズ)とをイオン源側から順に配置して一体化した4枚電極の軸対称レンズを採用した。(グランドに接続された電極を1枚共有している。)アインツェルレンズ部分は短焦点化しやすい減速モードで動作させている。(レンズ電源102を正の電源である。)また、投射レンズ5−2と試料6間の距離Liを約11mmと短くした。このために、静電偏向器8を、投射レンズ5−2よりイオン源側に配置して、試料と投射レンズ5−2の空間を減らした。さらに、投射レンズ5−2には、これを短焦点のレンズとするために、減速モードで動作するアインツェルレンズを採用した。(レンズ電源103は正の電源である。)ここで、イオン源2と試料6との間の距離Bは600mmである。また、イオン源2から照射レンズ5−1における試料側の端までの距離Aは30mmであり、試料6から投射レンズ5−2におけるイオン源側の端までの距離Cは21mmである。また、(L/Lo)x(L/Li)は約1380である。上記のような設計により、本装置ではマスク3のパターンを試料6上に縮小率45分の1で投射することができる。また試料6上でのイオンビーム4の電流密度は1平方cm当たり28mAである。
図2に本装置で試料の断面を形成する様子を示す。マスクに450μm角のパターンを用いて、試料6上の10μm角の領域にイオンビーム4を投射することによって、一括で高速に穴が形成できる。この穴の壁面にはSEM等で観察するのに適したエッジだれの少ない断面が形成される。試料6上でのイオンビーム4の電流は28nAであり、加工領域のエッジの分解能は約10nmである。約10μmの深さの穴を形成するのに要した時間は約3分である。FIBの電流密度は一般に1平方cm当たり10A程度なので、ビーム径を0.1μmとすると電流が1nA程度になる。本装置の性能をこのFIBと比較すると、28倍高速に穴の加工ができる上に、10倍高精度で断面を形成できる。ここで、試料6が絶縁物の場合には、電子源310から電子シャワー311を試料6上に照射することで、イオンビーム4の照射中の帯電をほぼ完全に防止することができた。ただし、電子シャワーを使用するときには、2次電子検出器12の極性を変えて、2次イオンを検出して試料像を形成する必要がある。また、試料6上にガス源320からタングステンカルボニルW(CO)6等のガス321を吹き付けながらイオンビーム4を照射して、タングステン様の膜を数千nm程堆積させた後に穴加工すると、断面の平坦性を良くすることができた。また、キセノンフロライドXeF2等のガスを使うとイオンビーム4による加工が試料の一部の材料で増速された。
本実施例で第2に特徴的なのは、投射型イオンビームを、そのパターンの歪みを小さくして、試料上の正確な位置に照射するために、イオンビームを投射レンズの中心軸に常に入射させる手段を備えたことである。すなわち、図1に示すように、レンズ条件設定用偏向器11を用いて、イオンビーム4を投射レンズ5−2の中心軸に合わせるように偏向する。また、2段の静電偏向器8を用いて、常に投射レンズ5−2の中心を通るようにイオンビーム4を偏向して、試料6上へのイオンビーム4の照射位置を高精度に設定する。ここで、図1の投射型イオンビーム加工装置の投射レンズ5−2の周辺を図3に示す。2段偏向器8は、8極静電偏向器を2段重ねて構成した。偏向回路120は2段の偏向器8のイオン源側の段と試料側の段とに同じ電圧の組みを供給しているが、配線を反対称に接続してある。両段の偏向器の長さの比を最適化して、イオンビーム4が常に投射レンズ5−2の中心を通るようにしてある。試料6上でのイオンビーム4の照射位置は、大きさ500μm角の範囲で設定可能であり、半径50μmの範囲内では、パターンの歪みやボケは10nm以下である。従来の投射型イオンビーム装置においては、照射パターンの大きさよりも大きく照射位置を可変な例はなかった。偏向器8によってイオンビーム4を試料上で走査しながら照射することにより、マスクのパターンとは異なる形状で試料を加工できる。特にマスクのパターンの直線部分と平行にイオンビーム4を走査した場合には、加工領域のエッジ分解能を損なわないで加工することができる。同様のことは試料ステージ20を走査して、相対的にイオンビーム4を動かすことでも行える。また、逆に試料ステージ20により試料6を動かしながら、イオンビーム4が試料6上で相対的に移動しないようにもできる。この場合は試料ステージ20の位置変動を補正するように偏向器8の偏向電圧を調整する機能を制御電源200に持たせればよい。なお、投射レンズ5−2の強度を正確に設定して試料6上でのイオンビーム4のパターンの大きさの変動を防ぐために、レンズ条件設定用偏向器11をマスク3よりイオン源側に配置してある。ここで、レンズ条件設定用偏向器11でイオンビーム4を偏向した時に、試料6上でイオンビーム4の照射位置が変動しないように投射レンズ5−2の強度を設定することにより、マスク3のパターンは試料6上に正確に投射される。これは、マスク3のパターンを投射する投射レンズ5−2の強度が適切に設定されていれば、イオン源2の位置が実効的に変動してもイオンビーム4の試料6上での位置は変動しないことを利用している。ここで、試料6の異なる場所を連続して加工する場合を考えると、試料の高さが変化すると投射型イオンビーム4の投射条件がずれて加工パターンの大きさが変化する。この対策として、上述のような手順で投射レンズ5−2の強度調整するのは時間がかかり不向きである。これには、試料のイオンビーム照射部の高さ変化を反射光センサ等で検知して、投射レンズ5−2の強度を試料高さ変化に比例した量だけ変化させるのが良い。これを自動制御で行うのは良く知られた方法である。
本実施例で第3に特徴的なのは、試料上に照射する投射型イオンビームの照射時間を高精度に制御するための手段を備えていることである。すなわち、図3に示すように、イオンビーム4をブランキング偏向器9を用いてイオンビーム4'のように偏向してブランキング絞り10に照射することで、これを試料6上から高速に遮断する。ブランキング偏向器9およびブランキング絞り10を投射レンズ5−2よりイオン源側に配置したことで、投射レンズ5−2と試料6の間を最小にした。また、これらをマスク3より試料側に配置したことで、試料上に実際に照射されるイオンビームの電流をブランキング絞り10の部分で計測することを可能にした。このビーム電流を使って加工速度を計算することにより、必要な深さを握るためのイオン照射時間が正確に求められる。ブランキング偏向器9は2極の静電偏向器であり、ブランキング偏向電源121からの電圧供給により約1μsの立ち上がりでイオンビーム4を一杯に偏向できる。偏向電源は121はイオンビームの照射時間を制御する偏向制御回路200によって制御される。
本実施例で第4に特徴的なのは、マスク上に複数の選択可能な開口群を有し、これら開口群毎に最適なイオンビームの集束条件(レンズ条件)を記憶部へ記憶して、その条件を任意に変更するビーム制御回路400を設けたことである。また、これらの最適条件を試料像により確認する手段を設けたことである。マスクの開口パターンの外側程、試料上に投射された際に歪みを生じやすい。これを可能な限り小さくするためには、投射レンズ5−2の中心においてイオンビーム4が最小のビーム径を持つように照射レンズ5−1を調整する必要がある。このビーム径は照射レンズ5−1の球面収差によって支配されるので、前記パターンの大きさが大きい程、照射レンズ5−1の強度を弱くする必要がある。一方、開口パターンの中心部の歪みやボケをできるだけ小さくする場合は、一度小さなパターンで照射レンズ5−1の強度を最適化する必要がある。図1におけるステンシルマスク3の上面図を図4に示す。ステンシルマスク3には複数の開口群が設けられている。開口3−1と開口3−2は矩形であり、図2に示したような試料断面を形成するための穴の加工を行うときに用いる。二つの開口の角度を45度変えてあるのは、半導体試料の断面を形成するときに、半導体パターンの向きに対して断面の方向を合わせるためである。開口3−3と開口3−4はそれぞれ、二つの矩形を略線対象に並べたものである。これらの開口は、図5に示すような試料に薄い壁を形成するための穴の加工を行うときに用いる。塞がっている開口3−7はイオンビーム4を遮断するシャッターである。これらの開口のそれぞれに対してレンズ条件を設定するには以下のように行う。まず、マスク3を移動して、使用したい開口をイオン光学系の中心に設定し、イオンビーム位置調整用偏向器8を使ってイオンビーム4を走査する。次に、試料6から発生する2次電子の強度信号をこの走査と同期して取得して形成した試料像を観察する。ここで、投射レンズ5−2の強度を揺動させながら、試料像内の分解能変化が最も少なくなるように照射レンズ5−1を調整すれば良い。ただし、照射レンズ5−2の強度はあらかじめ適切に設定されている必要がある。これは以下の方法で簡単に設定できる。まず、マスク3を移動して、最も小さい円形の開口3−3をイオン光学系の中心に設定し、レンズ条件設定用偏向器11を使ってイオンビーム4を走査する。次に、試料6から発生する2次電子の強度信号をこの走査と同期して取得して形成した試料像を観察する。ここで、試料像内の強度変化が最も少なくなるように投射レンズ5−2を調整すれば良い。ここで、試料6上に適当な矩形マークを設置し、偏向器8によってこの上でイオンビーム4を走査して得られる2次電子信号から、イオンビーム4の位置校正を行うことができる。また、最も小さい円形の開口3−3を投射するイオンビーム4を試料6上で偏向器8によって走査して得られる2次電子像をディスプレイ201に表示して、この像に基づいて別の開口でのイオンビームの照射位置を指定することができる。さらに簡便な方法は、FIBで形成した試料像で、イオンビームの照射位置を指定する方法である。まず、図1において、マスク3の開口3−3をイオン光学系の中心に設定する。次に、イオン源2の像が試料6上に投射されるように照射レンズ5−1と投射レンズ5−2の強度を設定する。これが、FIBの形成条件である。前述のように、本装置ではこのレンズ条件はマスクの開口毎に記憶して、必要なときに瞬時にレンズ条件を変更する手段を有している。FIBとなったイオンビーム4を偏向器8によって試料6上を走査して、試料から発生する2次電子で高分解能の試料像を形成できる。マスクのパターンを投射するイオンビームでは加工形状に制限があるが、上記のようにレンズ条件を変更してFIBを形成すれば、試料を任意形状に追加工することが可能である。
図6は本発明の第2の実施例である投射型イオンビーム加工装置の概略構成図である。装置本体1は、投射型イオンビーム装置としての基本構成要素であるGaの液体金属イオン源2、ステンシルマスク3、3段の静電レンズである照射レンズ5−1と第1の投射レンズ5−2と第2の投射レンズ5−3、および試料6を可動に保持する試料ステージ20とを有する。この他に、2段の静電偏向器8、ブランキング偏向器9、ブランキング絞り10、レンズ条件設定用偏向器11、および二次電子検出器12を有する。さらに、固定絞り13、アライメント偏向器14、可動絞り15、および汚れ防止用絞り300を有する。ここで、これらを収納している真空容器は省略してある。イオン源2には加速電源100が接続されている。加速電源100の電圧によって試料6上でのイオンビーム4の加速電圧が決まる。照射レンズの中で最もイオン源側の電極1010はイオンの引き出し電極を兼ねており、この電極にイオン引き出し電源101が接続されている。照射レンズ5−1のアインツェルレンズ部の中央電極1020にはレンズ電源102が接続されており、この電源電圧によってレンズの強度が変えられる。投射レンズ5−2の中央電極1030にはレンズ電源103が接続されており、この電源電圧によってレンズの強度が変えられる。投射レンズ5−3の中央電極1040には、レンズ電源104が接続されており、この電源電圧によってレンズの強度が変えられる。マスク3は、駆動機構111によって交換可能に保持されており、駆動機構111には、これを駆動してマスク上の複数の開口の一つを選択する駆動電源110が接続されている。可動絞り15には、駆動機構113と、これを駆動する駆動電源112が接続されている。2段の静電偏向器8には偏向電源120が接続されている。ブランキング偏向器9には偏向電源121が接続されている。レンズ条件設定用偏向器11には、偏向電源122が接続されている。アライメント偏向器14には、偏向電源123が接続されている。二次電子検出器12には信号アンプ130が接続されている。ここで、ビーム制御回路400は、加速電源100、イオン引き出し電源101、レンズ電源102、レンズ電源103、レンズ電源104、および駆動電源110を制御するとともに、それらの設定を記憶することができる。また、偏向制御回路200は、偏向電源120、偏向電源122、または偏向電源123の動作と連動して信号アンプ130からの信号を取り込み、一次元または二次元の画像を生成してディスプレイ201に表示することができる。
次にこの装置の動作を説明する。イオン源2から放出されたイオンビーム4は、イオン制限絞り7でそのビーム量を制御され、照射レンズ5−1で加速および集束されて、ステンシルマスク3に照射される。ここで、イオンビーム4の加速電圧は30kVであり、イオンの引き出し電流は2μAである。また、照射レンズ5−1の強度は、イオンビーム4が固定絞り13の中心で最小ビーム径を持つように、ビーム制御回路400によって設定される。さらに、投射レンズ5−3の強度は、イオンビーム4が投射レンズ5−2の中心で最小ビーム径を持つように、ビーム制御回路400によって設定される。次に、マスク3を透過したイオンビーム4は、投射レンズ5−2および投射レンズ5−3で集束されて試料6上に照射される。ここで、投射レンズ5−2および投射レンズ5−3は、マスク3上の任意点を透過しで発散するイオンビームを試料上に集束するように、ビーム制御回路400によって設定される。以上のようにして、マスク3の開口のパターンはイオンビーム4によって試料6上に投射される。
本実施例で第1に特徴的なのは、3段の静電レンズを用いたことである。これによって、実施例1の投射型イオンビーム加工装置に比較して、さらに高電流密度の投射型イオンビームが形成できるようになった。図8(b)に示したような2段のレンズを用いた投射型イオンビーム光学系において、電流密度を増加させるために単純にLを延長すると、静電レンズ1の強度の調整が微妙になってくる。すなわち、静電レンズの電圧設定には高い分解能が要求される。実際、Lの設定には10μm以下の精度が必要だが、Lが1000mmを越えると通常の高圧電源およびデジタルアナログコンバーター(DAC:Digital Analog Converter)の分解能では対応が困難になる。そこで、本実施例では、図6に示すように、イオンビーム4を第1の投射レンズ5−2の中心に集束する作業を、照射レンズ5−1と追加した第2の投射レンズ5−3で分担して行わせた。これによって、それぞれのレンズの電圧設定の必要分解能を実用範囲におさめた。ここで、イオン源2と試料6との間の距離Bは600mmである。また、イオン源2から照射レンズ5−1における試料側の端までの距離Aは31mmであり、試料6から投射レンズ5−2のイオン源側の端までの距離Cは21mmである。照射レンズ5−1と投射レンズ5−2の中心間距離Lは約550mmであるが、実効的なL(2段レンズで同様の性能を得るためのL)は1250mmである。また、(L/Lo)x(L/Li)は約2290であるが、実効的には約11900である。上記のような設計により、本装置ではマスク3のパターンを試料6上に縮小率100分の1で投射することができ、試料6上でのイオンビーム4の電流密度は1平方cm当たり400mAである。なお、レンズ数が3段と増えたために光学軸がずれる可能性が高いので、この補正のためにアライメント偏向器16を備えるのが望ましい。
本装置で図5のように試料にTEM観察用の壁状構造を形成する様子を説明する。マスク上に間隔10μmに配置した大きさ300μm x 200μm角の二つの矩形パターンをイオンビーム4で試料6上に投射することによって、長さ3μm、幅0.1μmの壁構造を一括で高速に形成できる。試料6上でのイオンビーム4の電流は48nAであり、加工領域のエッジの分解能は約20nmである。約10μmの深さの穴を形成するのに要した時間は約3分である。このような高速な加工を連続して行うと、図6において試料6からスパッタされた物質が汚れ防止用絞り300に大量に付着する。試料6が絶縁性の場合、この付着物が帯電を引き起こしてイオンビーム4の位置を変化させる可能性がある。このため、汚れ防止用絞り300はアースしてあり、また適宜単独で交換できるように設置してある。
なお、図6において、ステンシルマスク3を可動絞り15の位置に設置しても、投射レンズ5−2の強度を適当に設定すれば、同様な電流密度の投射型イオンビーム4を形成することが可能である。ただし、その場合はステンシルマスク上のパターンを小さく作る必要がある。また、図6において、照射レンズ5−1、投射レンズ5−2、および投射レンズ5−3を適当な強度に調整してFIBを形成することが可能である。この場合、可動絞り15でイオンビーム4を制限することで、より細いFIBが形成できる。
本実施例で第2に特徴的なのは、初段の静電レンズに特殊な構成を用いたことである。これによって、実施例1の投射型イオンビーム加工装置に比較して、さらに高電流密度の投射型イオンビームが形成できるようになっている。図1においてイオン源2に照射レンズ5−1を近付けてLoを小さくすると、必然的に制限絞り7もイオン源2に近づき、これに伴って制限絞り7から放出されるバックスパッタ粒子や2次電子がイオン源2の先端に到達する確率も上昇する。これはイオン源2のイオン放出安定性や寿命に多大な悪影響をおよぼす。そのため、イオン源2と制限絞り7との距離は5mm程度が下限であり、Loは15mm程度が下限であった。そこで、本実施例では、図6に示すように、照射レンズ5−1を2枚電極の加速レンズと3枚電極のアインツェルレンズとで構成して、これらレンズの間に制限絞り7を配置した。さらに制限絞り7を、定電圧回路70に接続して約50Vにバイアスし、2次電子の放出を防止した、これにより、本実施例では、イオン源2と照射レンズ5−1の中心間距離Loを約12mmに短縮できたとともに、イオン源2と制限絞り7との距離を10mmに延長できた。
産業上の利用可能性
以上のように、本発明にかかる投射型イオンビーム加工装置は、数10μm以下の大きさの領域をサブミクロンの精度で高速に加工する応用に有用であり、特に半導体の断面観察等のように、加工領域の一部の辺に特に高精度を要求するに加工への応用に適している。
また、本発明にかかる投射型イオンビーム加工装置は、従来の集束イオンビーム加工装置ではスループットの問題で実用化が困難であった加工への応用にも適用できる可能性がある。
Claims (14)
- イオン源と、試料を保持するステージと、前記イオン源と前記ステージとの間にあって、前記イオン源側に設けた第1の静電レンズと、前記ステージ側に設けた第2の静電レンズと、
複数の開口部を有し、前記第1の静電レンズと前記第2の静電レンズとの間に設けられたマスクと、
該マスクを駆動して所定の開口部にイオンビームを通過させる駆動手段と、
前記マスクと前記第1の静電レンズとの間に設けられた第1の静電偏向器と、
前記第2の静電レンズと前記マスクとの間に設けられた2段の静電偏向器と、
前記第1の静電レンズおよび第2の静電レンズとを制御するビーム制御回路とを備え、
前記ビーム制御回路は、イオンビームの集束条件を前記複数の開口群ごとに記憶した記憶部を有し、イオンビームが通過する開口部に応じて前記第1の及び第2の静電レンズの集束条件を変更することを特徴とする投射型イオンビーム加工装置。 - 請求の範囲第1項に記載の投射型イオンビーム加工装置において、前記第1の静電レンズが、アインツェルレンズであることを特徴とする投射型イオンビーム加工装置。
- 請求の範囲第1項に記載の投射型イオンビーム加工装置において、
前記第1の静電レンズよりイオン源側に配置された加速レンズと、前記第1の静電レンズと前記加速レンズとの間に配置された制限絞とを具備することを特徴とする投射型イオンビーム加工装置。 - 請求の範囲第1項に記載の投射型イオンビーム加工装置において、
前記第2の静電レンズがアインツェルレンズである投射型イオンビーム加工装置。 - 請求の範囲第1項に記載の投射型イオンビーム加工装置において、
前記第2の静電レンズよりイオン源側に配置されたイオンビームをブランキングする静電偏向器と、該静電偏向器の試料側に配置された固定絞りとを有する投射型イオンビーム加工装置。 - 請求の範囲第1項に記載の投射型イオンビーム加工装置において、
前記イオン源が液体金属イオン源である投射型イオンビーム加工装置。 - 請求の範囲第1項に記載の投射型イオンビーム加工装置において、
前記イオンビームの加速電圧が20kV以上60kV以下である投射型イオンビーム加工装置。 - 請求の範囲第1項に記載の投射型イオンビーム加工装置において、
前記マスクの開口の少なくとも一つが円形である投射型イオンビーム加工装置。 - 請求の範囲第1項に記載の投射型イオンビーム加工装置において、
前記試料から放出される2次粒子を検出する手段と、前記第2の静電レンズと前記マスクとの間に設けられた2段の静電偏向器、または前記マスクと前記第1の静電レンズとの間に設けられた静電偏向器を用いて前記試料の上で前記イオンビームを走査する手段と、
該走査と同期して前記2次粒子の検出手段から得られる出力信号を用いて前記試料の像を形成して表示する手段とを有する投射型イオンビーム加工装置。 - 請求の範囲第9項に記載の投射型イオンビーム加工装置において、
前記試料の一次元または二次元の像の表示を用いて、前記投射型イオンビームの試料上への照射位置を指定する手段を有する投射型イオンビーム加工装置。 - 請求の範囲1に記載の投射型加工イオンビーム装置において、
前記イオンビームの試料上での電流密度が1平方cm当たり20mA以上である投射型イオンビーム加工装置。 - 請求の範囲11に記載の投射型加工イオンビーム装置において、
前記イオンビームの試料上での大きさが5μmであるときのエッジ分解能が0.2μm以下である投射型イオンビーム加工装置。 - 液体金属イオン源と、試料を保持するステージと、該イオン源と該試料との間に配置された2段ないし3段の静電レンズの組みと、該静電レンズの組みの間に配置された開口部を有するマスクとを具備する放射型イオンビーム加工装置であって、該イオン源に最も近い静電レンズの略中心と該イオン源のイオン放出部までの距離をLoで表し、該試料に最も近い静電レンズの略中心と該試料の表面までの距離をLiで表し、該両レンズの略中心の間の距離をLで表した時に、(L/Lo)x(L/Li)の値が400以上である投射型イオンビーム加工装置。
- 液体金属イオン源と、試料を保持するステージと、該イオン源と該試料との間に配置された2段ないし3段の静電レンズの組みと、該静電レンズの組みの間に配置された開口部を有するマスクとを具備する投射型イオンビーム加工装置であって、該イオン源のイオン放出部から該試料の表面までの距離が400mm以上1500mm以下であり、該イオン源から該イオン源に最も近い静電レンズにおける試料側の端までの距離が40mm以下であり、かつ前記試料に最も近い静電レンズにおける前記イオン源側の端から該試料の表面までの距離が40mm以下である投射型イオンビーム加工装置。
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