JP3541974B2 - 残耕処理刃付き耕耘爪 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、耕耘作業に用いるための耕耘及び残耕処理用の爪の形状に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、土壌を耕起し、反転砕土する作業のための耕耘用の爪として、特公昭44−21361号公報等で示されているような2枚の刃を有する形状のものはよく知られている。また、耕耘によって生じていたロータリーケースの下部の残耕を処理する方法としては、実開昭63−178402号公報や実開平2−90903号公報等で示されているように、ロータリーケースの下部に耕耘用の爪とは別の残耕処理用の刃を追加して取り付けたり、実開平4−2203号公報等で示されているように、真中を傾けて常に傾斜して残耕を処理するクロスセンターを用いることが一般に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のような2枚の刃を有する耕耘用の爪は、それぞれの刃の長さが異なるものであり、土壌を耕耘するためだけのものであって、その耕起反転砕土作業によってできてしまう残耕を処理するものではなかった。
また、この残耕を切り崩すためには、新たに残耕切り崩し用の爪をロータリー部に追加して取り付けるか、クロスセンターを用いる方法が実用化されているが、どちらの場合でも構造が複雑になってしまうし、前進するときにロータリーケースや培土板にその残耕があたってしまい、土の牽引抵抗がかかってトラクターに馬力ロスが生じる等の不具合が生じ、作業効率がよくなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は簡単な構造であって、耕耘したときに土壌の耕起反転砕土と同時に残耕処理ができる、次のような耕耘用の爪を提供するものである。
すなわち、回転軸に取り付ける本体部から、それぞれ反対方向に略ハ字状に延設された2枚の刃を有する耕耘用の爪であって、この2枚の刃の地面からの高さを同一に形成するとともに、一方の刃を残耕を切り崩すための屈曲部のある切り崩し刃に、他方の刃を耕起反転砕土するための湾曲率の小さい反転砕土刃に形成し、かつ、その反転砕土刃の峰部が外側に向かって広げられるように、前記反転砕土刃全体にひねりを入れ、この爪と左右対称な形状に形成された爪とで一対をなすようにして構成する残耕処理刃付き耕耘爪である。
【0005】
【作用】
左右対称な形状のものとで一対をなす、本発明の残耕処理刃付き耕耘爪を、湾曲率の小さい反転砕土刃が外側に位置するように、ロータリー軸に横並びに取り付け、これによって土壌を耕耘すると、この外側に位置している反転砕土刃が耕起反転砕土の役割をすると同時に、内側の屈曲部のある切り崩し刃が、ロータリーケースの下部にできた残耕を切り崩す役割をするものであるから、一度に耕起反転砕土作業も、残耕処理作業も行うことができる。また、2つの刃の地面からの高さが同一に形成されていることから、耕耘された土壌表面を同一平面に仕上げることができる。
【0006】
【実施例】
以下、本発明の残耕処理刃付き耕耘爪を図面に基づいて説明をする。
図1は進行方向左側に取り付ける残耕処理刃付き耕耘爪の斜視図であり、図2は左右対称な形状のものとで一対をなしている残耕処理刃付き耕耘爪の正面図である。
まず、図1で示す通り、この残耕処理刃付き耕耘爪(A)は、回転する軸に取り付けられる本体部(1)から進行方向に向かって、それぞれ反対方向にハ字状に延設されている2枚の刃を有しており、その一方の刃(2)は、ある角度に屈折している屈曲部(2a)を持った残耕を切り崩す作業を行うための切り崩し刃であり、もう一方の刃(3)は、ヘラ型形状に形成されている、湾曲率の小さい緩やかな傾斜面を持った耕起反転砕土作業を行うための反転砕土刃である。そして、この反転砕土刃(3)の峰部(3a)が、もう一方の切り崩し刃(2)が延設されている方と反対の方向を向いて広げられるように、前記反転砕土刃(3)全体に、ひねりが入れられているものである。
また、図2で示すように、この残耕処理刃付き耕耘爪は進行方向に向かって左側用の残耕処理刃付き耕耘爪(A)と左右対称な形状である進行方向右側用の残耕処理刃付き耕耘爪(B)とで一対をなして構成されるものであり、これら2枚の刃を有する一対の残耕処理刃付き耕耘爪(A、B)は、土壌を耕耘するとき同時に地面に着地するように、2枚の刃の地面からの高さ(h)が同一に形成されているものである。
【0007】
図3は残耕処理刃付き耕耘爪がトラクターのロータリー部に取り付けられている様子を表す側面図であり、図4はロータリー軸に残耕処理刃付き耕耘爪を取り付けた様子を表す正面図である。
この図3で示すように、トラクター(C)の後部には耕耘するためのロータリー部(4)が配設され、図4で示すように、ロータリー軸(5)には左右対称な形状の一対の残耕処理刃付き耕耘爪(A、B)がフランジあるいはブラケットを介して取り付けられている。なお、ロータリー軸(5)に一対の残耕処理刃付き耕耘爪(A、B)を取り付けるときには、図4で示す通り、それぞれのヘラ型形状の刃(3)(3)が互いに外側に位置するように、軸方向横並びに取り付けられるものである。
また、この残耕処理刃付き耕耘爪は、ロータリー軸(5)に複数組取り付けることができるものであって、図3及び図4で示されているものは、もう一組、一対の残耕処理刃付き耕耘爪(A'、B')が、最初の一対の残耕処理刃付き耕耘爪(A、B)と同じ方向を向いて、180度反対側に位置するように取り付けられた様子を表しているものである。
【0008】
今、このロータリー軸(5)を図3で示す矢印の方向に回転させて土壌を耕耘すると、まず、図4で示すような外側の反転砕土刃(3)(3)の刃縁部(3b)(3b)が耕耘すべき土壌にささる。このとき、この反転砕土刃(3)(3)は両方とも外側に向かってひねりが入れられていることから、土壌を耕起し、反転砕土する役割を果たすものである。そして、ロータリー軸(5)が回転するにつれて、内側のもう一方の切り崩し刃(2)(2)が、前記反転砕土刃(3)(3)によって耕耘された結果ロータリーケース(6)の下部にできてしまう残耕を、その屈折された屈曲部(2a)(2a)によって切り崩す役割を果たすものである。しかも、この2枚の刃の地面からの高さ(h)が同一に形成されていることから、これらの刃は同方向に回動した後、同時に土壌に着地するものであり、上記作業をほぼ同時に行ってしまうものである。従って、この一対の残耕処理刃付き耕耘爪(A、B)によって、耕耘と同時に残耕の処理ができることになり、かつ、耕耘された土壌の表面を同一平面に仕上げることができるものである。
【0009】
このように、一対の残耕処理刃付き耕耘爪(A、B)によって、一度に土壌の耕耘と残耕処理ができてしまうものであるが、ロータリー軸(5)には複数組の残耕処理刃付き耕耘爪を取り付けることができるものであり、これら複数組の爪で繰り返し耕耘することによって、完全に残耕ができない状態で土壌表面を仕上げることができるものである。
また、本発明の残耕処理刃付き耕耘爪によれば、耕耘された土壌に最初から残耕ができないことから、ロータリーケース(6)に残耕があたることによって生じていたトラクターの馬力ロスが解消され、少ない馬力のトラクターでもスムーズに耕耘作業ができるようになるものである。そして、耕耘作業だけではなく、例えば、耕耘と同時に培土板で畦を形成するような多目的な作業が容易に実行可能になり、それによって作業効率が著しく向上するものである。
【0010】
【発明の効果】
本発明によれば、土壌の耕起反転砕土作業及びそれによって生じていた残耕の処理を、左右対称な形状をした一対の爪だけで一度に行うことができるため、構造が非常に簡単であり、容易に実施が可能であるという利点がある。
また、残耕が最初からできないことによって、ロータリーケースへの障害がなくなり、土の牽引抵抗が解消され、トラクターの馬力ロスが生じなくなる。このため、耕耘馬力の低減がはかれると同時に、多様化された耕耘作業、例えば耕耘と同時に培土板によって畦を形成する等の耕耘作業時の性能が著しく向上し、作業効率が極めてよくなるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の残耕処理刃付き耕耘爪の斜視図
【図2】本発明の残耕処理刃付き耕耘爪の正面図
【図3】本発明の残耕処理刃付き耕耘爪がロータリー部に取り付けられている様子を表す側面図
【図4】本発明の残耕処理刃付き耕耘爪がロータリー軸に取り付けられている様子を表す正面図
【符号の説明】
A 左側用残耕処理刃付き耕耘爪
B 右側用残耕処理刃付き耕耘爪
C トラクター
1 本体部
2 切り崩し刃
2a 屈曲部
3 反転砕土刃
3a 峰部
3b 刃縁部
4 ロータリー部
5 ロータリー軸
6 ロータリーケース

Claims (1)

  1. 回転軸に取り付ける本体部から、それぞれ反対方向に略ハ字状に延設された2枚の刃を有する耕耘用の爪であって、この2枚の刃の地面からの高さを同一に形成するとともに、一方の刃を残耕を切り崩すための屈曲部のある切り崩し刃に、他方の刃を耕起反転砕土するための湾曲率の小さい反転砕土刃に形成し、かつ、その反転砕土刃の峰部が外側に向かって広げられるように、前記反転砕土刃全体にひねりを入れ、この爪と左右対称な形状に形成された爪とで一対をなすようにして構成する残耕処理刃付き耕耘爪。
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