JP3541917B2 - エステル基含有多孔質樹脂およびその製造方法 - Google Patents

エステル基含有多孔質樹脂およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エステル基含有多孔質樹脂の製造方法に関する。本発明により得られるエステル基含有多孔質樹脂は、カラムの充填剤や種々の吸着剤、担体等として有用な素材であり、また化学的に2次修飾し機能性多孔質樹脂としてさらに有用な素材となり得る。
【0002】
【従来の技術】
従来より、多孔質素材はその構造的特性及び化学的特性を生かして、分析用や分取用カラムの充填剤、或いは酵素や触媒、有用物質等の担体や種々の吸着担体等様々な用途・分野で古くから研究開発され、利用されている。代表的なものには、多孔性シリカゲルやアルミナ等の無機系素材、ジビニルベンゼン−スチレン系多孔質樹脂やジビニルベンゼン−メタクリル酸エステル系多孔質樹脂等の合成高分子系素材が挙げられる。
【0003】
多孔性シリカゲルは、機械的強度に優れており、それ自体でまたはその表面シラノール基を利用して様々な官能基や有用物質を化学修飾した形で、カラム充填剤、固相抽出用基材、固定化触媒など広く利用されているが、塩基性媒体中での安定性や残存シラノール基の影響といった、シリカゲル本来の化学的安定性に起因する問題を有している[例えば、ジャーナル・オブ・クロマトグラフィック・サイエンス(J.Chromatogr.Sci.)第22巻386頁(1984年)、ジャーナル・オブ・クロマトグラフィー(J.Chromatogr.)第149巻199頁(1978年)を参照]。
【0004】
一方、ジビニルベンゼン−スチレン系多孔質樹脂は、その基本的な製造方法は一般によく知られており、例えば、ジビニルベンゼンおよびスチレンを含有するモノマー混合物、重合開始剤、ならびに重合反応に関与せず水に難溶でかつ該モノマー混合物は溶解するがそれから得られる共重合体は溶解しない有機溶媒と混合したモノマー溶液を水系媒体中で懸濁重合することにより得られる[例えばジャーナル・オブ・アプライド・ポリマー・サイエンス(J.Appl.Polym.Sci.)第23巻927頁(1979年)、アンゲバンテ・マクロモレキュラ・ケミ(Angew.Makromol.Chem.)第80巻31頁(1979年)参照]。一般に、この種の通常の懸濁重合では、見掛け粒子(以下、2次粒子と称する)の直径が50μm〜2mm程度の多孔質樹脂が得られる。
【0005】
また、重合前に、モノマー溶液を水系媒体中に分散または懸濁させる工程として、ホモジナイザーまたはホモミキサーを用いて高速撹拌下で行なう工程(以下、ミクロサスペンジョン工程と称する)を採用した懸濁重合の場合には、2次粒子の直径が通常0.5〜50μm程度の多孔質樹脂が得られる。また、重合前に、モノマー溶液を水系媒体中に分散または懸濁させる工程として、均一細孔径を有する多孔質ガラス膜を介して、アニオン性又は非イオン性の界面活性剤を含む水系媒体中に圧入することにより行なう工程(以下、膜乳化工程と称する)を採用した懸濁重合には、2次粒子の直径が通常0.3〜100μm程度でしかも粒子径が非常に揃った多孔質樹脂が得られる。
【0006】
これら何れの方法においても、電子顕微鏡などを用いて、得られた2次粒子の表面または内部を観察すると、大きさが10〜100nm程度の細かい微粒子(以下、1次粒子と称する)が強固に凝集している様子がわかる。つまり、凝集した1次粒子と1次粒子の隙間は、重合中、有機溶媒が存在していた空間であり、この1次粒子自体は、高次に架橋された樹脂である場合には、殆どの有機溶媒に不溶であり、かつ基本的に殆ど膨潤しない。
【0007】
このようなジビニルベンゼン−スチレン系多孔質樹脂は、その樹脂母体の優れた機械的強度及び化学的安定性を生かし、1次粒子の表面またはその近傍に官能基を導入したり、有用物質を化学修飾して新たな機能性を付与した、所謂、機能性多孔質樹脂として、様々な用途・分野で注目を集めている。官能基を導入する方法としては、従来より基本的に次の2つの方法が知られている:(i)合成したジビニルベンゼン−スチレン系多孔質樹脂の芳香環部位や残存しているビニル基との化学反応を利用して様々な官能基を導入する方法、(ii)ジビニルベンゼン、スチレンモノマーに加え、目的の官能基を有するモノマー(以後、官能基含有モノマーと称する)を予め混合しておき、これを重合する方法。しかし、(i)の方法においては、化学反応が本質的に固−液間で行われるため、しばしば過激な反応条件を強いられたり、反応転化率が極端に悪かったり、反応中に2次粒子が破壊されたりする、様々な欠点を有している。また、(ii)の方法においても、用いた官能基含有モノマーの官能基部位を効率良く1次粒子の表面またはその近傍に配列・配向させることは困難であり、殆どの場合、官能基含有モノマーの大半がモノマー混合物の領域の内部に存在し、結果的に官能基部位は架橋された樹脂マトリックスの内部に埋めこまれてしまい、その機能を十分に発揮できないという欠点を持っている。すなわち、ジビニルベンゼンによる架橋度が高ければ高いほど1次粒子の溶媒に対する膨潤性は極端に減少するため、この欠点は機能性多孔質樹脂を設計・合成して行く上で深刻な問題となってくる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、官能基部位を効率良く1次粒子の表面またはその近傍に配列・配向させた多孔質樹脂を提供することを目的とした。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、機能性多孔質樹脂あるいは官能基含有多孔質樹脂の技術開発における重要性を鑑み、上述したような従来の製造方法における欠点を克服すべく、特に上記(ii)の官能基含有モノマーの樹脂の1次粒子表面への配列・配向の問題に着眼し、鋭意検討を重ねた。その結果、従来より行われている懸濁重合において、官能基含有モノマーとして、有機溶媒と親和性が強いまたは強い部分を有する下記一般式(1)で表されるビニルベンジルオキシアルキルエステル誘導体を用いた場合には、重合中、該誘導体が「ポリマー+モノマー」と「有機溶媒」の両領域の界面付近に優占的に存在し、結果として得られる樹脂の1次粒子の表面またはその近傍に、該誘導体に由来するエステル基が配列・配向することを見い出し本発明に到達した。
【0010】
すなわち、本発明は、ジビニルベンゼンおよび一般式(1):
【0011】
【化4】
Figure 0003541917
【0012】
(式中、nは2〜16の整数を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表わされるビニルベンジルオキシアルキルエステル誘導体を含有するモノマー混合物を重合して得られるエステル基含有多孔質樹脂、さらにはジビニルベンゼンおよび前記一般式(1)で表わされるビニルベンジルオキシアルキルエステル誘導体を含有するモノマー混合物、重合開始剤、ならびに重合反応に関与せず水に難溶でかつ該モノマー混合物は溶解するがそれから得られる共重合体は溶解しない有機溶媒とを混合して得られたモノマー溶液を、水系媒体中に分散または懸濁させた状態で重合することを特徴とするエステル基含有多孔質樹脂の製造方法に関する。
【0013】
上記本発明は、樹脂の1次粒子の表面またはその近傍に、前記一般式(1)で表わされるビニルベンジルオキシアルキルエステル誘導体に由来するエステル基が効率よく配列・配向したジビニルベンゼン−スチレン系のエステル基含有多孔質樹脂およびその製造方法を提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のエステル基含有多孔質樹脂の製造方法に関して、原料および重合工程について詳細に説明する。
【0015】
本発明の重合に用いるモノマー混合物は、ジビニルベンゼンおよび前記一般式(1)で表わされるビニルベンジルオキシアルキルエステル誘導体を含有してなる。
【0016】
ジビニルベンゼンは、一般的に入手可能である純度約50〜60%の市販ジビニルベンゼンをそのまま使用してもよく、或は蒸留精製して使用してもよいが、その場合、主な不純物として約50〜40%のエチルビニルベンゼンを含有する。勿論、入手可能であれば高純度のものを使用しても何ら差し支えない。なお、ジビニルベンゼンは、主にメタ及びパラ異性体が存在するが、本発明においては、これらの異性体の混合物であってもよく、或はそれぞれの異性体単独であってもよい。
【0017】
一般式(1)で表わされるビニルベンジルオキシアルキルエステル誘導体は、メタ及びパラ異性体の混合物であってもよく、或はそれぞれの異性体単独であってもよい。また、式中のnは、2〜16の整数である。nが2より小さい場合には樹脂表面へのエステル基の配列・配向が低下し、nが16より大きい場合には重合速度が低下したり、得られる樹脂の比表面積が低下したりするため好ましくない。これらの点から、特にnは4以上の整数であるのがよく、また12以下の整数であるのが好ましい。なお、一般式(1)で表わされるビニルベンジルオキシアルキルエステル誘導体のアルキレン鎖の部分は一般にスぺーサーと呼ばれ、炭化水素系溶媒やエステル系溶媒等の有機溶媒との親和性に重要な役割を担っている。
【0018】
一般式(1)で表されるビニルベンジルオキシアルキルエステル誘導体は、公知の方法により製造することができる[例えば、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイアティ(J.Am.Chem.Soc.)第112巻6723頁(1990)を参照]。すなわち、一般式(2):
【0018】
【化5】
Figure 0003541917
【0019】
(式中、nは2〜16の整数を示す。)で表わされるアルキルジオールを水素化ナトリウム等で処理してアルコキシドとし、続いてこれにビニルベンジルクロリドを反応させることにより、一般式(3):
【0020】
【化6】
Figure 0003541917
【0021】
で表されるビニルベンジルオキシアルカノールとし、次いで得られた一般式(3)で表されるビニルベンジルアルカノールを脂肪族カルボン酸やその無水物と反応させることにより、容易に一般式(1)ビニルベンジルオキシアルキルエステル誘導体を得ることができる。なお、ビニルベンジルクロリドは、通常、メタ及びパラ異性体の混合物で入手できるが、本発明に於いては、そのまま混合物で使用しても何ら差し支えない。勿論、メタ或はパラ異性体のそれぞれ単独で使用してもよい。また、一般式(3)で表されるビニルベンジルアルカノールは、アルキルジオール、水素化ナトリウム、ビニルベンジルクロリドの仕込みモル量論比を適当に選択することにより、目的物への反応選択率を向上することができる。
【0022】
一般式(1)で表されるビニルベンジルオキシアルキルエステル誘導体は、エステル基により該誘導体の疎水性が増し、使用する有機溶媒との親和性が強くなり、重合中、該誘導体の「ポリマー+モノマー」と「有機溶媒」の界面付近への配列・配向に一層の効果をもたらすことが期待される。
【0023】
モノマー混合物中に含まれるジビニルベンゼンおよび前記一般式(1)で表わされるビニルベンジルオキシアルキルエステル誘導体の含有量は、モノマー総重量100重量%に基づいて決められる。通常、モノマー混合物中の、一般式(1)で表わされるビニルベンジルオキシアルキルエステル誘導体の含有量は3〜30重量%程度であり、残部としてジビニルベンゼン等を含む。一般式(1)で表わされるビニルベンジルオキシアルキルエステル誘導体は、樹脂表面またはその近傍に官能基であるエステル基を導入するため、その含有量は、通常、モノマー総重量の3重量%以上とされる。特に5重量%以上が好ましい。また、重合速度の低下や、得られる樹脂の表面積の低下を抑えられることから、該誘導体の含有量は、モノマー総重量の30重量%以下とするのが好ましい。また、一般式(1)で表されるビニルベンジルオキシアルキルエステル誘導体の75%以上を樹脂の1次粒子の表面またはその近傍に配列・配向させることができ(一般式(1)でnが4以上のビニルベンジルオキシアルキルエステル誘導体の場合)、言い換えれば、1次粒子表面またはその近傍に配列・配向できる量はスペース的に限られているので、目的とするエステル基含有多孔質樹脂を得るには、モノマー総重量の30重量%まで使用すれば十分であるとも言える。
【0025】
また、モノマー混合物には、芳香族モノビニルモノマーを含有することもできる。芳香族モノビニルモノマーとしては、スチレン、メチルスチレン、エチルビニルベンゼン等を使用でき、これらの一種または2種以上を使用する。これらは、市販のものをそのまま使用してもよく、或は蒸留精製したものを使用してもよい。メチルスチレンは、メタ−、パラ−、α−及びβ−等の異性体が存在するが、本発明においては、これらの異性体の混合物であってもよく、或はそれぞれの異性体単独であってもよい。また、エチルビニルベンゼンは、メタ及びパラ異性体が存在するが、本発明においては、これらの異性体の混合物であってもよく、或はそれぞれの異性体単独であってもよい。さらに、エチルビニルベンゼンの場合は、市販ジビニルベンゼン中に所定量含まれているので、通常これをそのまま使用することになるが、勿論、入手可能であれば、これを新たに加えて使用してもよい。
【0026】
モノマー混合物中に、芳香族モノビニルモノマーを含む場合にも、前記一般式(1)で表わされるビニルベンジルオキシアルキルエステル誘導体の含有量は3〜30重量%程度であり、その残部としてジビニルベンゼン15〜97重量%程度および芳香族モノビニルモノマー0〜82重量%程度を含む。ジビニルベンゼンが15重量%より少ない場合は、得られる樹脂の比表面積が低下して好ましくない。こうした点からジビニルベンゼンの含有量は20重量%以上であるのが好ましい。また、芳香族モノビニルモノマーは、得られる樹脂の機械的強度の点から82重量%以下とされる。なお、通常、モノマー混合物中には、芳香族モノビニルモノマーを5重量%以上含有する場合が多いが、この場合にはジビニルベンゼンの含有量の上限は92重量%となる。
【0027】
重合開始剤としては、上記モノマー混合物に可溶なものであれば特に限定はない。たとえば、ベンゾイルパーオキシド、ラウリルパーオキシド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。重合開始剤の使用量は、得られる多孔質樹脂の要求物性等に応じて任意の範囲で用いられるが、通常は、モノマー総重量の0.5〜5重量%程度とするのがよい。
【0028】
上記モノマー混合物と混合する有機溶媒としては、重合反応に関与せず、水に難溶で、かつ該モノマー混合物は溶解するがそれから得られる共重合体は溶解しないものである。かかる有機溶媒であればいわゆる多孔化溶媒としての機能を充分に発揮することができる。
【0029】
このような有機溶媒としては、得られる多孔質樹脂の1次粒子の表面またはその近傍へのエステル基の配列・配向をより効果的にさせるためには、前記一般式(1)で表されるビニルベンジルオキシアルキルエステル誘導体と親和性が良い有機溶媒が好ましい。例えば、炭素数6〜12の炭化水素系溶媒や炭素数4〜10のエステル系溶媒があげられる。具体的には、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、酢酸ヘプチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ヘキシル等の脂肪族エステル系溶媒等が挙げられる。勿論、前記例示の有機溶媒の脂肪族炭化水素部分は、直鎖型でも分岐型でもかまわない。また、これらの有機溶媒は、単独で用いてもよく、また2種類以上を混合して用いてもよい。有機溶媒とモノマー混合物との混合比は、得られる多孔質樹脂の要求物性等に応じて任意の範囲で混合できるが、通常は、有機溶媒/モノマー混合物の容量比で、70/30から25/75の範囲内で混合するのがよい。
【0030】
本発明の懸濁重合における工程そのものは、従来の懸濁重合と何ら変わりはなく、公知の方法で行うことができる。例えば、前記モノマー混合物、重合開始剤及び有機溶媒を均一に混合したモノマー溶液を、水系媒体中に撹拌しながら分散または懸濁させ、加温して重合するごく一般的な懸濁重合の方法で行うことができる。水系媒体中には適当な分散安定剤を含むことができる。分散安定剤としては、モノマー溶液を液滴として水系媒体中に安定に分散でき得るものであれば特に限定はされないが、一般的によく知られたポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ゼラチンなどの水溶性高分子が挙げられる。その使用量は、目的の粒子径のモノマー液滴が安定に得られる量であれば特に限定はされない。尚、次の重合工程を考慮して、すなわち、モノマー液滴が、合一・凝集することなく重合が進行するための分散安定剤量を調整しておくこともできる。
【0031】
また、該モノマー溶液と水系媒体の量比も分散工程及び重合工程が問題無く行なえる範囲であれば特に限定はされないが、通常、工業的見地から、容量比でモノマー溶液/水系媒体=1/10〜1/2の範囲で行なうのがよい。重合工程における重合温度や重合時間についても特に制限はないが、重合開始剤の分解温度や半減期、有機溶媒の沸点等を考慮しながら適当な条件を選択すればよい。また、重合反応容器の形式や撹拌方法も、モノマー液滴が合一・凝集することなく安定に重合が進行でき得るものであれば何ら限定されるものではない。また、一般の懸濁重合と同様に、重合中のモノマー液滴の合一・凝集を抑制するために上述の水溶性高分子やコロイダルシリカ等の無機系分散剤を添加してもよく、その種類や使用量も特に限定はされない。目的とする多孔質樹脂の2次粒子径が、50μm〜2mm程度を必要とする場合はこの一般的な懸濁重合法が有効である。
【0032】
目的とする多孔質樹脂の2次粒子径が、0.5〜50μm程度を必要とする場合には、重合前にマイクロサスペンジョン工程を含む懸濁重合法が有効である。マイクロサスペンジョン工程は、例えば、前記モノマー混合物、重合開始剤及び有機溶媒を均一に混合したモノマー溶液を、適当な分散剤安定剤を含む水系媒体中で、ホモミキサーやホモジナイザーなどを用いて高速撹拌しながら一旦細かく分散させる方法により行うことができる。
【0033】
マイクロサスペンジョン工程の際の撹拌速度は、モノマー溶液からなる有機相と、分散安定剤を含む水相の量比、分散安定剤の種類や濃度などの種々の条件にもよるが、通常、ホモジナイザーを用いて1〜15Lスケールで調整する場合、1000〜30000rpmの範囲で行なうとホモジナイザーの特性を十分に発揮することができる。なお、重合前にマイクロサスペンジョン工程を含む場合も、重合条件等は従来より知られている懸濁重合法と同様の条件を適用できる。
【0034】
得られる多孔質樹脂の2次粒子径が、0.3〜100μm程度でしかも粒度分布が非常にシャープなことを要求される場合には、重合前に膜乳化工程を含む懸濁重合法が極めて有効である。すなわち、重合前に、モノマー溶液を、均一細孔径を有する多孔質ガラス膜を介して、アニオン性又は非イオン性の界面活性剤を含む水系媒体中に圧入することにより分散または懸濁させる工程を含む懸濁重合である。重合前の膜乳化工程そのものは従来より知られている方法を適用できる。
【0035】
膜乳化工程で用いる多孔質ガラス膜としては、平均細孔径が0.1〜10μm程度の範囲で均一な細孔を有するガラス膜であればよい。特に、シラス多孔質ガラスより調製されるガラス膜は、細孔の均一性という点で優れており本発明に於いては好ましいものである。多孔質ガラス膜の平均細孔径が0.1未満のものを用いた場合は、膜乳化に長時間を要し工業的生産の見地から好ましいとは言えない。また、平均細孔径が10μmを超えるガラス膜を用いた場合は、均一粒径の乳化液滴を得ることが非常に困難となり、均一粒径の2次粒子を欲する場合はやはり好ましくない。すなわち、該ガラス膜の平均細孔径が0.1〜10μm程度のものを使用すれば、膜乳化により得られる乳化液滴は通常ガラス膜の細孔径の3〜10倍程度の粒子径を有し、しかもその粒度分布は非常にシャープである。
【0036】
膜乳化工程において、モノマー溶液からなる有機相を前記ガラス膜を介して水相中に圧入する時の圧力については、目的とする乳化液滴が得られ、変形したり破壊したりしない範囲であればよく特に制限はないが、通常、臨界圧(ここでは、有機相がガラス膜の細孔を透過し得る最低の圧力を意味する)の1.05〜1.5倍程度の圧力とすると、非常にシャープな粒度分布を有する乳化液滴が安定にかつ操作性よく得られる。また、膜乳化時の温度についても、膜乳化が安定に行なえ重合が開始しない温度であれば有機相、水相とも特に制限はないが、通常0〜60℃で行なうとよい。
【0037】
膜乳化の際の水相に用いる界面活性剤としては、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤などを挙げることができ、その使用量は膜乳化工程中、有機相が乳化液滴として安定に存在し得る量であればよいが、通常、水相中の濃度で0.05〜2重量%程度とするのが好ましい。
【0038】
膜乳化工程の後、重合工程に移るが、重合中に乳化液滴が合一・凝集するのを防ぐために、通常の懸濁重合の際よく用いられる水溶性高分子等の分散安定剤を併用してもかまわない。勿論、重合中、乳化液滴が合一・凝集することなく安定に反応が進行する場合は水溶性高分子等の分散安定剤を併用する必要はない。また、分散安定剤を用いる場合、膜乳化工程の時から水相中に含ませていても、重合工程の時に加えてもかまわない。水溶性高分子としては、一般的によく知られたポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ゼラチンなどが挙げられ、その使用量は、重合中、乳化液滴が、要求する粒子径で安定に分散でき得る量であれば特に限定はされない。また、本発明で水相として使用する水の量は何ら制限はなく、膜乳化及び重合の工程がスムーズに実施できる量であればよく、通常の懸濁重合と同様でよい。重合前に膜乳化工程工程を含む場合も、重合条件等は従来より知られている懸濁重合法と同様の条件を適用できる。
【0039】
上述してきた、一般の懸濁重合、重合前にミクロサスペンジョン工程を含む懸濁重合、重合前に膜乳化工程を含む懸濁重合の何れの場合においても、重合で得られた樹脂の単離、洗浄や乾燥の方法には何ら制限はなく、例えば以下のようにして行なうことができる。重合で得られた樹脂を適当な方法でろ別し、樹脂に付着した界面活性剤や分散安定剤を除去するために熱水でよく洗浄した後、さらに未反応モノマーや多孔化溶媒である有機溶媒を除去するためアセトンやメタノールなどで十分に洗浄し、続いて減圧下で加熱乾燥して、エステル基含有多孔質樹脂を得ることができる。
【0040】
このようにして得られたエステル基含有多孔質樹脂は、比表面積、1次及び2次粒子径等の一般的な物性評価に加え、官能基配向率(%)等の化学的物性評価を行うことで特徴づけることができる。すなわち、官能基配向率からは、樹脂中の反応可能なエステル基量を知ることができる。官能基配向率(%)とは、“重合に用いた一般式(1)で表されるビニルベンジルオキシアルキルエステル誘導体に基づく全エステル基量”に対する“1次粒子の表面またはその近傍に存在するエステル基量”の割合を示す。なお、“1次粒子の表面またはその近傍に存在するエステル基量”は、該エステル基含有多孔質樹脂を加水分解処理して得られる水酸基含有多孔質樹脂の水酸基価を求めそれより換算することができる。すなわち、本発明で得られるエステル基含有多孔質樹脂のようなジビニルベンゼン−スチレン系多孔質樹脂は、その1次粒子が高次に架橋しているため、1次粒子の表面またはその近傍で加水分解が進行し、粒子内部のエステル基を加水分解することは殆どなく、加水分解後の樹脂表面またはその近傍の水酸基量を、加水分解前の樹脂表面またはその近傍のエステル基量と仮定できる。
【0041】
本発明のエステル基含有多孔質樹脂は、通常50m2 /g以上の高い表面積を有する。一般的には50〜600m2 /g程度の表面積を有する。また、官能基配向率は、75%以上である。また、本発明のエステル基含有多孔質樹脂は、2次粒子の外観が球状で不透明であり、その粒子径は、通常の懸濁重合による場合は50μm〜2mm、マイクロサスペンジョン工程を含んだ懸濁重合の場合は0.5〜50μm、膜乳化工程を含んだ懸濁重合の場合は0.3〜100μm程度である。また1次粒子の大きさは、何れの方法の場合も、通常10〜100nm程度である。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、効率よくエステル基を1次粒子表面またはその近傍に配列・配向させたエステル基含有多孔質樹脂が得られる。また、本発明のエステル基含有多孔質樹脂は、樹脂母体がジビニルベンゼン−スチレン系樹脂であるため機械的強度及び化学的安定に優れており、勿論、それ自体でカラムの充填剤や種々の吸着剤、担体として有用な素材であるが、さらに、樹脂表面またはその近傍のエステル基を利用して様々な官能基や機能物質で化学的に2次修飾することが可能であり、機能性多孔質樹脂として非常に有用なものである。さらに言えば、エステル基はポリマー主鎖からアルキルスぺーサーを介して存在しているため、エステル基本来の反応性を充分に発揮できると考えられ、2次修飾を容易に行うことができる。
【0043】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明する。
【0044】
実施例1
撹拌機、温度計、窒素導入管及び冷却管を備えた300mlのセパラブルフラスコにイオン交換水150mlを仕込み、これにポリビニルアルコール3.0g(ポバール−210:(株)クラレ製)を加え溶解した。続いて、ジビニルベンゼン(含有量(純度)55%、残り45%はエチルビニルベンゼン)16.47g、スチレン8.24g、ビニルベンジルオキシヘキシルアセテート(一般式(1)でnが6、Rがメチル基の化合物)2.75g、n−ヘプタン13.68g及びアゾビスイソブチロニトリル0.549g(モノマー総量の2.0重量%)とからなるモノマー混合溶液を加え、窒素気流下にて約400〜500rpmの撹拌速度で10分間撹拌し、これを75〜80℃に昇温し、さらに、この温度を保ちながら6時間かけて重合を行なった。重合後、室温まで冷却し、得られた樹脂をろ別した後、これを最初に熱水、続いてアセトンでよく洗浄し、減圧下(約1mm/Hg)で加熱(70〜80℃)乾燥し、25.5gの樹脂を得た。この樹脂の2次粒子径は、体積平均粒子径dvで211μm、数平均粒子径dnで186μm、1次粒子径は、平均44nm、比表面積は、205m2 /gであった。
また、上記で得られた樹脂5.0gを、マグネティックスターラー、温度計、冷却管を備えた100mlの丸底フラスコに、水30ml、エタノール30ml、水酸化ナトリウム1.2gを仕込んだなかに入れ、85〜90℃で20時間加熱撹拌して加水分解して反応後、樹脂をろ別し、最初に熱水、続いてアセトンでよく洗浄し、最後に減圧下(約1mm/Hg)で加熱(70〜80℃)乾燥し、4.9gの多孔質樹脂を得た。水酸基価を測定したところ、17.1mgKOH/gであった。
【0045】
実施例2〜5
実施例1において、各モノマーの仕込み量または有機溶媒の種類もしくは仕込み量を表1に示したように変えた以外は、実施例1と全く同様にして重合を行いエステル基含有多孔質樹脂を得た。また、実施例1と同様にして加水分解を行い、水酸基価を測定した。
【0046】
実施例6
300mlのセパラブルフラスコにイオン交換水160mlを仕込み、これにポリビニルアルコール0.40g(ポバール−210:(株)クラレ製)を加え溶解した。続いて、ジビニルベンゼン(含有量(純度)55%、残り45%はエチルビニルベンゼン)13.18g、スチレン6.59g、ビニルベンジルオキシヘキシルアセテート(一般式(1)でnが6、Rがメチル基の化合物)2.20g、n−ヘプタン10.94g及びアゾビスイソブチロニトリル0.439g(モノマー総量の2.0重量%)とからなるモノマー混合溶液を加え、ホモジナイザー(IKA社製)を用いて約10000rpmの撹拌速度で5分間分散した。次に通常の撹拌機に取り替え、温度計、窒素導入管及び冷却管をセットし、この分散液を窒素気流下にて約400〜500rpmで撹拌しながら、75〜80℃に昇温し、この温度を保ちながら6時間かけて重合を行なった。重合後、室温まで冷却し、得られた樹脂をろ別した後、これを最初に熱水、続いてメタノール、アセトンでよく洗浄し、減圧下(約1mm/Hg)で加熱(70〜80℃)乾燥し、20.2gの樹脂を得た。この樹脂の2次粒子径は、体積平均粒子径dvで6.80μm、数平均粒子径dnで6.15μm、1次粒子径は、平均42nm、比表面積は、218m2 /gであった。また、実施例1と同様にして水酸基価を測定したところ、16.9mgKOH/gであった。
【0047】
実施例7
実施例6において、各モノマーの種類または仕込量を表1に示したように変えた以外は、実施例6と全く同様にして重合を行いエステル基含有多孔質樹脂を得た。また、実施例1と同様にして加水分解を行い、水酸基価を測定した。
【0048】
実施例8
ジビニルベンゼン(含有量(純度)55%、残り45%はエチルビニルベンゼン)51.39g、スチレン25.69g、ビニルベンジルオキシヘキシルアセテート(一般式(1)でnが6、Rがメチル基の化合物)8.56g、n−ヘプタン42.68g及びアゾビスイソブチロニトリル1.713g(モノマー総量の2.0重量%)を均一に混合したモノマー溶液からなる有機相1を調製した。また、イオン交換水630mlにポリビニルアルコール(ポバール−224:(株)クラレ製)12.6g、ドデシル硫酸ナトリウム1.26gを加えて溶解した水系媒体からなる水相2を調製した。図1に示した膜乳化装置(伊勢化学工業(株)製)の有機相タンク3及び水相タンク4に、調製した有機相1及び水相2をそれぞれ投入した。循環ポンプ11を用いて水相ライン6に水相2を循環させ、続いて有機相1を、窒素ガスを用いて0.63kgf/cm2 の圧力で、循環する水相ライン6中に設けられた二重管モジュール7内の平均細孔径0.70μmの多孔質ガラス膜8を介して水相2へ圧入し膜乳化を行ない、エマルジョンを得た。膜乳化は120ml(100g)の有機相1を2時間半程度かけて圧入して行い、そこで終了させた。また、膜乳化は、有機相1及び水相2の温度を25〜30℃に保ちながら行なった。
次に上記で得られたエマルジョン730gを1Lのセパラブルフラスコに仕込み、撹拌機、温度計、窒素導入管及び冷却管をセットし、窒素気流下にて約400〜500rpmで撹拌しながら、75〜80℃に昇温し、この温度を保ちながら6時間かけて重合を行なった。重合後、室温まで冷却し、得られた樹脂をろ別した後、これを最初に熱水、続いてメタノール、アセトンでよく洗浄し、減圧下(約1mm/Hg)で加熱(70〜80℃)乾燥し、53.3gの樹脂を得た。この樹脂の2次粒子径は、体積平均粒子径dvで5.07μm、数平均粒子径dnで5.00μm、粒度分布dv/dnは1.014で単分散性の高いものであった。また、1次粒子径は、平均42nm、比表面積は、213m2 /gであった。また、実施例1と同様にして水酸基価を測定したところ、17.2mgKOH/gであった。
【0049】
実施例9〜11
実施例8において、各モノマーの仕込み量または有機溶媒の仕込み量を表1に示すように変え、膜乳化条件を表2に示したように変えた以外は、実施例8と全く同様にして重合を行いエステル基含有多孔質樹脂を得た。また、実施例1と同様にして加水分解を行い、水酸基価を測定した。
【0050】
【表1】
Figure 0003541917
【0051】
【表2】
Figure 0003541917
【0052】
各実施例で得られた樹脂の諸物性値を表3及び表4に示す。
【0053】
【表3】
Figure 0003541917
【0054】
【表4】
Figure 0003541917
【0055】
尚、各実施例で得られた樹脂の諸物性は下記の方法に従って測定した。
【0056】
1次粒子径(nm):走査型電子顕微鏡(日立製、「S−2000」)写真より、任意の100個以上の1次粒子の大きさを測定し数平均粒子径を算出した。
【0057】
2次粒子径(μm):走査型電子顕微鏡(日立製、「S−2000」)写真より、任意の500個以上の2次粒子の大きさを測定し、体積平均粒子径dv、数平均粒子径dn、粒度分布の目安としてdv/dnを算出した。
【0058】
比表面積(m2 /g):BET表面積測定装置(カウンタクロム社製、「NOVA1200」)を用いて測定した。
【0059】
水酸基価(mgKOH/g):中和滴定法(JIS K 0070)を以下の如くモディファイして行なった。平底フラスコに、樹脂を1gを秤り取り、これにアセチル化試薬(無水酢酸25gを100mlメスフラスコに取り、ピリジンを加えて100mlにし、十分に振り混ぜたもの)2.5ml及びピリジン2.5mlを加え、オイル浴60℃で2時間加熱した。次に、これを室温まで冷却し、水1mlを加え、超音波浴80℃で1時間加熱し無水酢酸を分解した。放冷後エタノール5mlでフラスコ内壁を洗浄し、フェノールフタレイン溶液数滴を指示薬として加え、0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で滴定して水酸基価(mgKOH/g)を算出した。
【0060】
尚、本発明における多孔質樹脂の如きジビニルベンゼン−スチレン系樹脂では、その1次粒子は高次に架橋しているため、本条件下でアセチル化は、1次粒子の表面またはその近傍で進行し、粒子の内部に浸透して反応することは殆どない。従って、上記で測定された水酸基価は、樹脂(1次粒子)表面またはその近傍に存在する水酸基に基づくもの、すなわちエステル基と仮定できる。
【0061】
官能基配向率(%):以下の式により算出した。
【0062】
【数1】
Figure 0003541917
【0063】
ここで、樹脂(1次粒子)表面・近傍の加水分解に関与したエステル基量、即ちこれは、加水分解後の水酸基の量に他ならず、前記水酸基価より次式により算出した。
【0064】
【数2】
Figure 0003541917
【0065】
また、用いた一般式(1)で表されるビニルベンジルオキシアルキルエステル誘導体に基づく理論エステル基量は、次式により算出した。
【0066】
【数3】
Figure 0003541917

【図面の簡単な説明】
【図1】実施例8〜11において用いた膜乳化装置の概略図である。
【符号の説明】
1……有機相
2……水相
3……有機相タンク
4……水相タンク
5……有機相ライン
6……水相ライン
7……2重管モジュール
8……多孔質ガラス膜
9……窒素ガスライン
10…圧力ゲージ
11…循環ポンプ
12…窒素ガスボンベ

Claims (9)

  1. ジビニルベンゼンおよび一般式(1):
    Figure 0003541917
    (式中、nは2〜16の整数を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表わされるビニルベンジルオキシアルキルエステル誘導体を含有するモノマー混合物を重合して得られるエステル基含有多孔質樹脂。
  2. モノマー混合物が、さらに芳香族モノビニルモノマーを含有してなる請求項1記載の多孔質樹脂。
  3. モノマー混合物中に、一般式(1):
    Figure 0003541917
    (式中、nは2〜16の整数を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表わされるビニルベンジルオキシアルキルエステル誘導体を3〜30重量%含んでなる請求項1または2記載の多孔質樹脂。
  4. 比表面積が50m2 /g以上である請求項1、2または3記載の多孔質樹脂。
  5. ジビニルベンゼンおよび一般式(1):
    Figure 0003541917
    (式中、nは2〜16の整数を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表わされるビニルベンジルオキシアルキルエステル誘導体を含有するモノマー混合物、重合開始剤、ならびに重合反応に関与せず水に難溶でかつ該モノマー混合物は溶解するがそれから得られる共重合体は溶解しない有機溶媒とを混合して得られたモノマー溶液を、水系媒体中に分散または懸濁させた状態で重合することを特徴とするエステル基含有多孔質樹脂の製造方法。
  6. モノマー混合物が、さらに芳香族モノビニルモノマーを含有してなることを特徴とする請求項5記載の製造方法。
  7. 有機溶媒が、炭素数6〜12の炭化水素系溶媒及び炭素数4〜10のエステル系溶媒のいずれか少なくとも一種であることを特徴とする請求項5または6記載の製造方法。
  8. モノマー溶液を水系媒体中に分散または懸濁させる工程を、モノマー溶液を、ホモジナイザーまたはホモミキサーを用いて高速撹拌することにより行なうことを特徴とする請求項5、6または7記載の製造方法。
  9. モノマー溶液を水系媒体中に分散または懸濁させる工程を、モノマー溶液を、均一細孔径を有する多孔質ガラス膜を介して、アニオン性または非イオン性の界面活性剤を含む水系媒体中に圧入することにより行なうことを特徴とする請求項5、6または7記載の製造方法。
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