JP3541162B2 - 歯科用治療剤を噴射するためのノズル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気と粉末の混合物を水とともに歯牙に吹き付けることにより歯科治療を行なう歯科用ハンドピースのためのノズルに関する。
【０００２】
【従来の技術】
歯を研磨または洗浄するための粉末を空気と混合し、この空気と粉末の混合物を水とともに歯牙に吹き付ける歯科用ハンドピースが知られている。
このような歯科用ハンドピースとしては、例えば、粉末と空気を混合して混合物を生成するための容器と、この混合物を容器からノズルまで移送するための混合物移送路と、混合物とともに歯牙に吹き付けるための水をノズルまで移送するための水移送路とを備えたものがある。
【０００３】
また、かかる歯科用ハンドピースの先端には、図５（ａ）（ｂ）の断面図や端面図で示したようなノズル４０を取り付けており、図５を参照してこの先端部分について説明すると、外パイプ４１と内パイプ４３とからなる二重管により水移送路４２と混合物移送路４４を形成し、外パイプ４１の先端に先端部材４５を接続して水移送路４２を絞り込み、先端に向けて縮径した内パイプ４３の縮径部４３ａを先端部材４５の孔から突出してノズル４０を形成している。そして、孔４２ａからは水を、また孔４４ａからは粉末と空気の混合物をそれぞれ同時に歯牙に吹き付けることにより、歯を研磨または洗浄したり、あるいは虫歯の予防治療を行なっている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
この種の歯科治療において、歯牙の状態によっては、混合物や水を歯の隙間などの特定部分に集中的に吹付けることが求められる。この要求に応えるため、従来のノズル４０において、先端の孔を極めて小径に絞り込むことも可能であるが、この場合には、粉末が詰まり易くなるという新たな問題を生じる。
【０００５】
したがって、本発明の課題は、粉末などの噴出物を歯牙の特定部分に集中的に吹付けることが可能で且つ閉塞を生じ難い歯科ハンドピース用ノズルを提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的に鑑みてなされたものであり、その要旨は、粉末と空気の混合物をノズルまで移送するための混合物移送路と、水をノズルまで移送するための水移送路とを備え、前記混合物を前記水とともに歯牙に吹き付けることにより歯科治療を行なう歯科用ハンドピースのノズルであって、該ノズルは、前記混合物と前記水とのためにそれぞれ通路と噴出孔とを各別に備え、前記混合物の通路には内径が絞り込まれた縮径部が形成され、この縮径部から内径が扁平に拡大して混合物の噴出孔が形成され、前記水の噴出孔が前記混合物の噴出孔を囲むように設けられたことを特徴とするノズルにある。
【０００８】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【０００９】
図１は本発明に係るノズル１０の断面図であり、このノズル１０は、炭酸水素ナトリウムなどの粉末と空気の混合物を水とともに歯牙に吹き付けることにより歯科治療を行なう歯科用ハンドピースのノズルであって、図１の歯科用ハンドピースは、内パイプ２２と外パイプ２４とからなる二重管２０により形成された水移送路２３と混合物移送路２１を備え、一方、ノズル１０は、二重管２０の先端において回転可能に設けられ、混合物のための通路および噴出孔２１ｂと、水のための通路および噴出孔３１とをそれぞれ各別に有し、混合物の噴出孔２１ｂは混合物を扁平に噴出するように形成されている。
【００１０】
更に詳細に説明すると、前記ノズル１０は、外パイプ２４の先端に固定された固定部材１６と、この固定部材１６に対して摺動可能かつ回転可能に当接して配置した後端部材１１と、内パイプ２２の先端に摺動可能かつ回転可能に当接して配置した先端部材１３と、これら後端部材１１と先端部材１３とを回転可能な状態で一体に連結する外周部材１２と、この外周部材１２と固定部材１６との間から水が漏れないようにパッキングとして設けたＯリング１５と、内パイプ２２と先端部材１３との間から水が漏れないようにパッキングとして設けたＯリング１４とから成る。
【００１１】
ここで、図３は図１におけるIII−III線に沿った断面図であり、前記先端部材１３の周面軸方向には、図１と図３に示したように切欠き溝１３ａを設け、この切欠き溝１３ａにより外周部材１２との間に水の通路を構成する。また先端部材１３は、前端面１３ａを扁平な小判形状に形成し、縮径部２１ａに向けて内径を絞り込み、この縮径部２１ａから前端面１３ａの内周に向けて内径を拡大して扁平な小判形状の噴出孔２１ｂを形成し、さらに、外周部材１２先端の内面との間に水の通路としての隙間１８を備えるように形成する。
【００１２】
また、前記外周部材１２は前端面１２ａを、先端部材１３の噴出孔２１ｂを囲むように円形に形成し、先端部材１３の外周面との隙間を水の噴出孔３１と為し、これにより、水の噴出孔３１は、混合物の噴出孔２０ｂの両側に縦長な部分が、また上下に隙間が狭い部分が形成される。
【００１３】
さらに、図４は図１におけるIV−IV線に沿った断面図であり、前記固定部材１６の前端面には、図１と図４に示したように、切欠き溝１６ａを上下に設ける。これにより、二重管２０の水移送路２３は、切欠き溝１６ａを通り隙間１７に連通し、さらに、切欠き溝１３ａから隙間１８を介して噴出孔３１まで連通する。
【００１４】
次に、ノズル１０の作用について説明する。
粉末と空気の混合物は混合物移送路２１を通って先端部材１３の縮径部２１ａに至り、ここから更に拡径面を流れて噴出孔２１ｂから扁平な状態で吹き出される。一方、水は水移送路２３を通って流れ、固定部材１６の内側から切欠き溝１６ａを介して隙間１７に至り、ここから更に切欠き溝１３ａを通って隙間１８を介して噴出孔３１から扁平な状態で吹き出される。
噴出孔２１ｂから吹き出された混合物と、噴出孔３１から吹き出された水とは、扁平な状態で吹き飛びながら混合するか、あるいは歯牙に吹き付けられたときに混合して、歯の隙間などの特定部分に集中的に吹き付けられて歯科治療は効率よく為される。
【００１５】
【発明の効果】
本発明に係るノズルは、水移送路と混合物移送路を形成した管の先端に回転可能に設け、混合物と水のために各別に形成した通路と噴出孔とを備え、混合物の噴出孔は混合物を扁平に噴出するような形状に形成したので、ノズルを回転させて混合物の扁平に噴出する角度を適宜調節すれば、粉末などの噴出物を歯牙の所望部分、特に、歯の隙間などに集中的に吹付けることが可能になった。しかも、混合物が扁平に噴出するように形成した噴出孔は、従来のように極めて小径に絞り込む必要も無く、したがって、粉末が詰まることによる閉塞を生じ難いという利点もある。
【００１６】
また本発明に係るノズルでは、混合物が扁平に噴出するように形成した噴出孔のまわりに水の噴出孔を形成したので、この水の噴出孔の外形を、例えば、従来のように円形に形成しても、混合物の噴出孔との隙間、すなわち、水の噴出孔は扁平な形状に形成することができる。したがって、水の噴出孔の製造は比較的容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係るノズルの断面図である。
【図２】図１のノズルの端面図である。
【図３】図１におけるIII−III線に沿った断面図である。
【図４】図１におけるIV−IV線に沿った断面図である。
【図５】（ａ）は従来のノズルの断面図であり、（ｂ）はその端面図である。
【符号の説明】
１０ ノズル
２１ 混合物移送路
２１ｂ 混合物の噴出孔
２３ 水移送路
３１ 水の噴出孔
Claims (2)
- 粉末と空気の混合物をノズルまで移送するための混合物移送路と、水をノズルまで移送するための水移送路とを備え、前記混合物を前記水とともに歯牙に吹き付けることにより歯科治療を行なう歯科用ハンドピースのノズルであって、
該ノズルは、前記混合物と前記水とのためにそれぞれ通路と噴出孔とを各別に備え、前記混合物の通路には内径が絞り込まれた縮径部が形成され、この縮径部から内径が扁平に拡大して混合物の噴出孔が形成され、
前記水の噴出孔が前記混合物の噴出孔を囲むように設けられたことを特徴とするノズル。 - 前記ノズルは、前記水移送路と前記混合物移送路に対して回転可能に設けられたものである請求項１記載のノズル。
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