JP3541095B2 - カッター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、石材、コンクリート、アスファルトなどを切断するのに用いるカッターに関する。
【0002】
【従来の技術】
カッターの円形基板には、一般に、SK(炭素工具鋼)を焼入し、これを研摩して、ひずみや変形を修正したものを用いている。そして、この円形基板に、所要の間隔と深さに切り込みを入れ、その端部に割れ止め用の孔を穿設すると共に、円板外周部にダイヤモンド粉末を樹脂に練り込んで接着して切り刃を形成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のカッターには、岩石やコンクリートなどの硬性物質を切断するときに大きな騒音を発してしまうという問題点がある。
また、カッター使用時の発熱を考慮して、冷却水を注水することによりダイヤモンドの切り刃を保護しているが、冷却効果が十分とは言えないので、発熱と水冷の繰り返しによって、カッター基板が伸縮することになる。そのため、カッター基板の変形やひずみが防げず、回転板に振れが発生することにより、真直ぐな切断ができなかったり、切断面が粗面になるなどの欠陥が生じていた。
この発明は、上記の問題点に着目してなされたものであって、騒音が少なく歪み変形の生じないカッターを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に係るカッターは、熱間等方加圧焼結体からなる金属多孔質体を円柱状に形成し、これを円板状に切断してなる基板に中央開口部を設けると共に、前記基板の外周部に切削刃を設けている。
請求項2に係るカッターは、中空筒状に形成された金属芯のまわりに、熱間等方加圧焼結体からなる金属多孔質体を円筒状に形成し、これを円板状に切断してなる円形基板の外周部に切削刃を設けている。ここで、金属芯には、径方向に突出する突出リブを設けて一体性を高めるのが好ましい。
請求項4に係るカッターは、同心円状に配置された複数個の金属円筒の間に、熱間等方加圧焼結体からなる金属多孔質体を設け、この複合円筒を円板状に切断して最外部の金属円筒を除いてなる円形基板の外周部に切削刃を設けている。
なお、熱間等方加圧処理とは、圧力容器中に処理材を挿入し、高温下においてガスを圧力媒体として高い等方圧力を加えることにより、高温、高圧の相乗効果を利用して、金属粉末の加圧焼結をする処理をいう。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、実施例に基づいて、この発明を更に詳細に説明する。図1(b)は、本発明に係るカッター1を図示したものであり、図1(a)は、熱間等方加圧焼結体からなる円柱状の金属多孔質体2を図示したものである。
カッター1を製造するには、先ず、熱間等方加圧処理によって、円柱状の金属多孔質体2を形成する必要がある。
金属多孔質体2の焼結原料粉末には、例えば、ステンレス鋼系(SUS304,SUS630など)、工具鋼系(SKD61,SKD11など)、マルエージング鋼系(18Ni系、20Ni系など)、高速度鋼(SKH51,SKH55など)の各種金属が使用される。金属多孔質体の気孔率や気孔径は、必要に応じて適宜に選択されるが、気孔率を7.0〜50.0%、気孔径を500μm以下とする場合には、特願平6−255228号の出願明細書に開示されたところによる。
【0006】
すなわち、気孔率や気孔径に対応した粒径の原料粉末を真空密封し、高緻密質の焼結体における処理条件より、低温・低圧・短時間の処理条件にて熱間等方加圧焼結(HIP)処理を行う。例えば、ステンレス鋼や合金工具鋼系粉末を原料粉末とするHIP処理では、温度400〜800℃程度、加圧力50〜150MPa程度、処理時間0.5〜4Hr程度とし、高速度鋼系粉末を原料粉末とする場合は、温度300〜800℃程度、加圧力50〜150MPa程度、処理時間0.5〜4Hr程度とする。なお、焼結体として得られる金属多孔体の気孔率や気孔径は、加圧温度や加圧力や処理時間などを制御因子として調整される。また、HIP処理の後、融点の60〜90%の温度域に2〜10Hr程度の時間保持する熱処理を施せば、焼結体の気孔率や気孔径に実質的な変化を生じさせずに、粒子同志の結合を強化することができる。
【0007】
上記のようなHIP処理によって、図1(a)に示す金属多孔質体2が形成されると、次に、これを所要の厚さ(2.5 mm〜5mm)に輪切りに切断して円形基板を形成する。そして、円形基板の中央に開口2aを形成すると共に、金属多孔質体2の径方向に所要間隔に切り込み2aを入れ、切り込み2aの終端に、割れ止め防止の小孔2bを穿設する(図2参照)。
また、金属多孔質体2の周方向には、ダイヤモンド粉末を練り込んだ合成樹脂3を接着して固めて切り刃とすれば、金属多孔質体を用いたカッター1が完成する。
【0008】
図2は、本発明の別の実施例であるカッターを説明する図面である。
金属芯4と金属円筒5とを同心円状に配置した状態で(図2(c)参照)、その中に金属粉末を充填して熱間等方加圧処理することによって、金属芯4と金属多孔質体6と金属円筒5とを一体化させる。ここで、金属芯4には、径方向外向きの突出リブ4b…が設けられているので、金属芯4と金属多孔質体6とは強固に一体化されている。なお、金属芯4は、ステンレス、チタン、合金などの耐食性金属で形成されており、中心部には貫通孔4aが設けられている。
金属多孔質体6は熱間等方加圧焼結体であって、上述したHIP処理によって、図2(c)のような複合筒が形成されると、次に、この複合筒を、所要の厚さ(2.5 mm〜5mm)に輪切りに切断してゆく。そして、金属円筒5を除去すると共に、金属多孔質体6の径方向に所要間隔に切り込み6aを入れる。また、切り込み6aの終端に、割れ止め防止の小孔6bを穿設する(図3参照)。
また、金属多孔質体6の径方向には、ダイヤモンド粉末を練り込んだ合成樹脂7を接着して固めて切り刃とすれば、金属多孔質体を用いたカッター8が完成する。
【0009】
図4は、本発明に係るカッター1(8)を用いた切断機を図示したものである。図4に示す通り、この切断機は、取付台9の石材10をカッター1によって切断しており、カッター1の発熱は、注水口11からの注水により冷却されている。注水された冷却水は、カッター1の微細な空洞に浸透すると共に、高速回転に伴う遠心力によって振り切られ、次の注水点で再び吸水浸透される。これは、高速回転するカッターの気圧低下により吸水浸透するためである。この作用は、カッターの回転に連動して連続的に行われるので、冷却効率は極めて高く、切断加工の正確度が高い。また、多孔質体2に微細な気孔(空洞)が多く存在している為に、発熱による膨張や水冷による収縮が吸収され、この点からも、ひずみや変形を防止しており、更に、多孔質体の吸音効果によって切断時の防音効果が極めて大きい。
【0010】
以上、本発明の一実施例について説明したが、適宜に変更することが可能であり、例えば、金属芯1の形状を適宜に変更できるのは勿論である。また、図5に示すように、同心円状に配置された大中小の金属円筒12,13,14の中に、適宜な金属粉を充填してHIP処理すれば、円筒12,13,14と多孔質体15,16,17を一体構造にした焼結体が出来上がる。その後、この焼結体に中空部を設けて円板状に切断して、この円板の外周部の金属円筒12を除くと共に、切削刃18を形成すればカッターが完成する。
この多重構造のカッターでは、各多孔質体15,16,17の気孔率などを個々に設定できる利点の他、金属円筒13,14の存在により防音に寄与するという利点がある。これは、切削点で発生した振動が、多孔質体15を通って高密度の金属円筒13に伝わり、更に多孔質体16に伝わるので、粗密差によって振動波が有効に減衰されるためである。
【0011】
【発明の効果】
以上の説明したように、本発明に係るカッターは、熱間等方加圧焼結体からなる金属多孔質体を円柱状に形成し、これを円板状に切断してなる基板に中央開口部を設けると共に、前記基板の外周部に切削刃を設けたものであるので、金属多孔質体が有効に機能して、騒音が少なく歪み変形の生じないカッターを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るカッターの一実施例を図示したものである。
【図2】本発明に係るカッターの別の実施例を図示したものである。
【図3】金属多孔質体の周方向に、切り刃を形成した状態を図示したものである。
【図4】本発明のカッターを用いた切断機を図示したものである。
【図5】本発明に係るカッターの更に別の実施例を図示したものである。
【符号の説明】
1,8 カッター
2,6 金属多孔質体
3,7 切削刃
Claims (3)
- 熱間等方加圧焼結体からなる金属多孔質体を円柱状に形成し、これを円板状に切断してなる基板に中央開口部を設けると共に、前記基板の外周部に切削刃を設けたことを特徴とするカッター。
- 中空筒状に形成された金属芯のまわりに、熱間等方加圧焼結体からなる金属多孔質体を円筒状に形成し、これを円板状に切断してなる円形基板の外周部に切削刃を設けたことを特徴とするカッター。
- 前記金属芯は、径方向に突出する突出リブを備えていることを特徴とする請求項2に記載のカッター。
【請求項4】同心円状に配置された複数個の金属円筒の間に、熱間等方加圧焼結体からなる金属多孔質体を設け、この複合円筒を円板状に切断して最外部の金属円筒を除いてなる円形基板の外周部に切削刃を設けたことを特徴とするカッター。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31592495A JP3541095B2 (ja) | 1995-11-08 | 1995-11-08 | カッター |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP31592495A JP3541095B2 (ja) | 1995-11-08 | 1995-11-08 | カッター |
Publications (2)
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JPH09131724A JPH09131724A (ja) | 1997-05-20 |
JP3541095B2 true JP3541095B2 (ja) | 2004-07-07 |
Family
ID=18071249
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31592495A Expired - Lifetime JP3541095B2 (ja) | 1995-11-08 | 1995-11-08 | カッター |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3541095B2 (ja) |
-
1995
- 1995-11-08 JP JP31592495A patent/JP3541095B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09131724A (ja) | 1997-05-20 |
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