JP3540788B2 - 鋳造用鋳型の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高強度な鋳造用鋳型の製造方法に関する。特に、人造セラミック鋳型の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鋳造用鋳型の鋳型材料の1つである鋳物砂としては、珪砂、ジルコン砂、クロマイト砂、オリビン砂などがあり、とくに平均粒径が0.4〜0.5mmの珪砂が広く用いられてきた。また、Al2O3とSiO2が主体のアルミノケイ酸塩の組成となるように配合された原料をスラリー調整して、造粒した後、造粒相互の融着阻止用の微粒粉末を混合して1400〜1750℃で焼成し、解砕と同時に融着阻止用の微粒粉末を除去して製造された焼成法による人造セラミック粒子が、▲1▼造型工数が低減する、▲2▼耐破砕性に優れ廃棄物が減少する、▲3▼耐火度に優れることから、徐々に使用されてきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した珪砂を使用した鋳造用鋳型は耐火度が低く、かつ粒子が破砕され易いためにリサイクル率が低い。すなわち廃棄物量が多いという問題があった。また、前述した焼成法で製造された人造セラミック粒子(以下、焼成人造セラミック粒子という)は、図2の焼成人造セラミック粒子1の断面形状の模式図に示すように、製造条件によっては粒子表面に凹凸が多い。
【0004】
表面に凹凸が多い粒子では、回収再生過程で凹部に残留したバインダを除去しにくく、再生利用した場合、この残留バインダの性能劣化により、図17に示すように、焼成人造セラミック再生砂を使用した鋳造用鋳型の圧壊強度は著しく低下する問題がある。その結果、とくに製品重量が約20トン以上の大物鋳鋼用の鋳型では、鋳造後に鋳型の割れ、鋳型の変形などが発生し、鋳物の表面性状の不良、鋳型中への溶湯の浸入(焼着き)が発生して鋳物の仕上げに多大の工数を要する場合がある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、良好な表面性状の鋳物を製造でき、また鋳物の仕上げ工数を低減できる高強度な鋳造用鋳型の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、圧壊強度が25kgf/cm2以上となる高強度で大型の鋳造用鋳型の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、電気炉で2000℃以上の高温に完全に溶融された酸化物溶湯からアトマイズ法によって粒子を作る技術として、近年開発された溶融造粒法による人造セラミック粒子(以下、溶融造粒人造セラミック粒子という)に注目し粒子性状などについて鋭意研究の結果、鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を併用することが有効であるとの知見を得て本発明に至った。図3に溶融造粒人造セラミック粒子2の断面形状の模式図を示す。また、人造セラミック粒子を繰り返し再生利用する場合、表面の凹凸が多い焼成人造セラミック粒子の凹部に残留するバインダが再生鋳型の圧壊強度の劣化の原因となることを究明し、残留バインダの除去手段を適用して再生人造セラミック粒子を使用した本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明の鋳造用鋳型の製造方法は、鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を用意する工程と、原料組成物を結合させるバインダを原料組成物に混合して混練砂を得る工程と、混練砂を造型する工程と、からなることを特徴とする。
本発明において、溶融造粒人造セラミック粒子は、その表面の凹凸が、前記焼成人造セラミック粒子の凹凸より少ない。ここで、原料組成物が溶融造粒人造セラミック粒子を30〜80wt%含有していることが好ましい。また、焼成人造セラミック粒子及び溶融造粒人造セラミック粒子の組成が、Al2O3とSiO2を主体とし、合計で5wt%以下のFe2O3、TiO2、K2O、Na2O、CaO、MgOの一種または二種以上を含有することができる。
【0008】
また、本発明の鋳造用鋳型の製造方法は、鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を用意する工程と、原料組成物を結合させるバインダを原料組成物に混合して混練砂を得る工程と、混練砂を造型する工程と、前記造型された鋳型に金属溶湯を鋳込後型ばらし回収された再生用焼成人造セラミック粒子及び再生用溶融造粒人造セラミック粒子からなる再生用粒子を得る工程と、再生用焼成人造セラミック粒子に10μm以下の微細セラミック粒子を機械的手段により混合して残留バインダを除去した後、微細セラミック粒子を分級、除去した再生人造セラミック粒子を製造する工程と、鋳型用の鋳物砂の再原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子に再生人造セラミック粒子を配合する工程と、再原料組成物を結合させるバインダを再原料組成物に混合して再混練砂を得る工程と、再混練砂を造型する工程と、からなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の鋳造用鋳型の製造方法は、鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を用意する工程と、原料組成物を結合させるアルカリフェノールバインダを原料組成物に混合して混練砂を得る工程と、混練砂を造型する工程と、前記造型された鋳型に金属溶湯を鋳込後型ばらし回収された再生用焼成人造セラミック粒子及び再生用溶融造粒人造セラミック粒子からなる再生用粒子を得る工程と、再生用焼成人造セラミック粒子に酸を混練して残留バインダを反応、除去することにより再生人造セラミック粒子を得る工程と、鋳型用の鋳物砂の再原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子に再生人造セラミック粒子を配合する工程と、再原料組成物を結合させるアルカリフェノールバインダ及び硬化剤を再原料組成物に混合して再混練砂を得る工程と、再混練砂を造型する工程と、からなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の鋳造用鋳型の製造方法は、鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を用意する工程と、原料組成物を結合させるアルカリフェノールバインダを原料組成物に混合して混練砂を製造する工程と、混練砂を造型する工程と、造型された鋳型に金属溶湯を鋳込後型ばらし回収された再生用焼成人造セラミック粒子及び再生用溶融造粒人造セラミック粒子からなる再生用粒子を得る工程と、再生用焼成人造セラミック粒子を水中で残留バインダを溶出、除去し、乾燥することにより再生人造セラミック粒子を得る工程と、鋳型用の鋳物砂の再原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子に再生人造セラミック粒子を配合する工程と、再原料組成物を結合させるアルカリフェノールバインダ及び硬化剤を再原料組成物に混合して再混練砂を製造する工程と、再混練砂を造型する工程と、からなることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の鋳造用鋳型の製造方法は、鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を用意する工程と、原料組成物を結合させるバインダを原料組成物に混合して混練砂を得る工程と、混練砂を造型機に充填し先端に特殊形状の粒子拘束部位を有した型込め治具にて前記原料組成物の充填密度を高めるように造型する工程と、からなることを特徴とする。好ましくは、先端に特殊形状の粒子拘束部位を有した型込め治具が、先端にテーパ状もしくはコの字状の窪みを有した型込め治具である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の鋳造用鋳型の製造方法を完成するにあたって行った基礎的な検討結果を述べる。
【0013】
図1は、本発明にかかる鋳造用鋳型の製造方法の一例を示す工程図である。まず、鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を用意する(ステップS11)。原料組成物を結合させるバインダを原料組成物に混合して混練砂を製造(ステップS12)し、その後、混練砂を造型(ステップS13)して鋳造用鋳型を製造する(ステップS14)。
なお、原料組成物を結合させるバインダを原料組成物に混合して混練砂を製造する場合に、接合力を増加するためのバインダのほかに他の目的で硬化剤ほかの添加剤を混合してもよい。
【0014】
鋳型用の鋳物砂の原料組成物として使用される焼成人造セラミック粒子や溶融造粒人造セラミック粒子は、繰り返し鋳物砂の原料組成物として再生利用できる必要がある。図4に鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を併用して造型した鋳型に金属溶湯を鋳込後型ばらし回収されたままの再生用焼成人造セラミック粒子の残留バインダ量と、この再生用焼成人造セラミック粒子に10μm以下の微細セラミック粒子を衝撃、摩擦、研磨などの機械的手段により混合して残留バインダを除去し、その後鋳型材料として利用できない微細セラミック粒子を分級、除去する場合の微細セラミック粒子の配合割合の影響を示す。
【0015】
微細セラミック粒子の配合割合が高くなると、これら微細セラミック粒子が再生用焼成人造セラミック粒子の凹部に残留したバインダを機械的に除去する効果があるために、残留バインダ量が低減する。再生利用されたときの鋳型の強度の劣化の原因となる再生用焼成人造セラミック粒子の残留バインダ量が減少すると、再生鋳型の強度は増加する。図5に再生鋳型の圧壊強度に及ぼす微細セラミック粒子の配合割合の影響を示す。これより、微細セラミック粒子を再生用焼成人造セラミック粒子に機械的手段で混合適用することで、鋳型用の好適な再生人造セラミック粒子を製造でき、これを用いることで圧壊強度の高い鋳型を得ることができる。
【0016】
図6は焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子の残留バインダ量と鋳型の圧壊強度の関係を示すもので、焼成人造セラミック粒子(焼成セラミックス)を用いたものは繰り返し再生使用することにより残留バインダ量が多くなり圧壊強度が大きく低下することがわかる。一方、溶融造粒人造セラミック粒子(溶融造粒法セラミックス)は表面の凹凸が少ないので、回収再生時に残留バインダは除去し易く繰り返し再生使用されても残留バインダ量の増加は少ないことがわかる。鋳造用鋳型の鋳物砂の原料組成物を結合させるバインダとして、アルカリフェノールバインダを用いた場合、バインダはアルカリ性であり、再生用焼成人造セラミック粒子の残留バインダを除去するために酸との反応利用を検討した。
【0017】
図7に鋳込後型ばらし回収された古砂の再生用焼成人造セラミック粒子のPHに及ぼす塩酸水溶液添加量の影響を示す。塩酸水溶液の添加量が多くなるほど、塩酸水溶液との反応が生じた結果、再生人造セラミック粒子のPHがより小さくなり中和されていることがわかる。図8は中和に使用した酸消費量と鋳型圧壊強度の関係を示すものである。アルカリフェノールバインダ中には金属カリウムやナトリウムが含まれているので、繰り返し再生使用により再生用焼成人造セラミック粒子の表面に残留バインダ量が多くなると、これらが蓄積されてくるので新たなバインダを混合する前に酸で中和する必要がある。従って、鋳型の圧壊強度の低いものは残留バインダ量が多く、これを中和するために使用される酸消費量が多くなることがわかる。
【0018】
図9は塩酸水溶液の添加量と鋳型圧壊強度の関係を示すもので、再生用焼成人造セラミック粒子に混練する塩酸水溶液の添加量が多くなると再生用焼成人造セラミック粒子の凹部に残留したバインダを反応、除去する効果があるために、残留バインダ量が低減する。古砂が新砂と一緒に再生利用されるときは、あらたにアルカリフェノールバインダと硬化剤が鋳物砂の原料組成物に混合される。鋳型の強度の劣化の原因となる再生用焼成人造セラミック粒子の残留バインダ量が減少するので、再生鋳型の強度は増加する。これより、酸を混練することで、鋳型用の好適な再生人造セラミック粒子を製造でき、これを用いることで圧壊強度の高い鋳型を得ることができる。なお、酸としては塩酸などの無機酸でも酢酸などの有機酸であってもよい。
【0019】
図10は残留バインダ量に及ぼす水洗時間の影響を示すもので、水洗時間が長くなると残留バインダ量が大きく減少することがわかる。鋳造用鋳型の鋳物砂の原料組成物を結合させるバインダとして、アルカリフェノールバインダを用いた場合、バインダは水溶性であり、再生用焼成人造セラミック粒子の残留バインダを除去するために水洗処理が有効であることがわかる。
【0020】
図11は水洗時間と鋳型圧壊強度の関係を示すもので、再生用焼成人造セラミック粒子を水洗する時間が長くなると、水中で処理された再生用焼成人造セラミック粒子の凹部に残留したバインダを溶出、除去する効果があるために、残留バインダ量が低減する。その後乾燥され、古砂と新砂と一緒に再生利用されるときは、あらたにアルカリフェノールバインダと硬化剤が鋳物砂の原料組成物に混合される。鋳型の強度の劣化の原因となる再生用焼成人造セラミック粒子の残留バインダ量が水中処理により減少するので、再生鋳型の強度は増加する。これより、水中で処理することで、鋳型用の好適な再生人造セラミック粒子を製造でき、これを用いることで圧壊強度の高い鋳型を得ることができる。
【0021】
高強度で大型の鋳造用鋳型を製造するためには、造鋳型の人造セラミック粒子の充填密度を高める必要がある。従来、一般的に使用されていた非球形状の人造珪砂と異なり、焼成人造セラミック粒子はもとより、とくに溶融造粒人造セラミック粒子の形状は球状であるために、造型機でいかにして砂をしまるようにつき固めて充填密度を高めるかが重要である。とくに、重量が数トン以上の鋳物の造型では、鋳型枠全体を振動させることや、機械的な自動型込めも困難であり、人力による型込め作業が必要である。
【0022】
通常用いられる先端に平板をとりつけた型込め治具では、充填後つき固めしようとしても粒子が球状であるために拘束できず平板の外側に逃げてしまい砂がしまらず充填密度を高めることが困難である。そこで、図12に示す先端が特殊形状の粒子拘束部位を有した型込め治具を検討した。テーパ状窪みの先端部31を有した型込め治具3とコの字状窪みの先端部32を有した型込め治具3の例を示す。この特殊形状の粒子拘束部位を有した型込め治具3を備えた振動充填機で、充填後移動しながら人造セラミック粒子をテーパ状もしくはコの字状の特殊形状の粒子拘束部位で粒子を拘束しながらつき固める作業を何回も繰り返して充填率を高め、造型全体を緻密化しなければ大型の高強度な鋳造用鋳型が得られない。
【0023】
図13は従来の先端に平板をとりつけた型込め治具を備えた振動充填機と本発明の先端に特殊形状の粒子拘束部位を有した型込め治具を備えた振動充填機で充填、つき固めた場合の鋳型圧壊強度に及ぼす粒子の充填率の影響を示すものである。先端に特殊形状の粒子拘束部位を有した型込め治具にて粒子の充填率を高めるように造型することにより圧壊強度の高い鋳型を得ることができる。
【0024】
以下では、以上の基礎的な検討に基づく鋳造用鋳型の製造方法の具体例について説明する。
鋳型用の鋳物砂の原料組成物として、平均粒径が0.12〜0.15mmの焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を併用2することを検討した。なお、両方の人造セラミック粒子の組成は、Al2O3とSiO2を主体とアルミノケイ酸塩の組成であり、通常ムライトと呼ばれているAl2O3が61wt%−SiO2が37wt%の3Al2O3・2SiO2相当の組成である。なお、人造セラミック粒子の組成としては、Al2O3とSiO2を主体とするが、合計で5wt%以下のFe2O3、TiO2、K2O、Na2O、CaO、MgOの一種または二種以上を含有することができる。
【0025】
図14に鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子単独の場合と溶融造粒人造セラミック粒子を併用して造型した鋳型に金属溶湯を鋳込後型ばらし回収されたままの再生用焼成人造セラミック粒子の残留バインダ量について、溶融造粒人造セラミック粒子の配合割合の影響を示す。これより、鋳型用の鋳物砂の原料組成物として表面凹凸の多い焼成人造セラミック粒子単独の場合に比して、表面凹凸の少ない溶融造粒人造セラミック粒子の配合割合が高くなると、再生用焼成人造セラミック粒子の残留バインダ量が少なくなることがわかり、再生用として好適である。これは、溶融造粒人造セラミック粒子の表面についた残留バインダは、焼成人造セラミック粒子の表面についたものより除去し易いためである。
【0026】
図15に鋳型圧壊強度に及ぼす溶融造粒人造セラミック粒子の配合割合の影響を示す。これより、溶融造粒人造セラミックス粒子の配合割合が高くなるにつれて鋳型圧壊強度が増加し、30wt%以上になると25kgf/cm2以上の高い鋳型圧壊強度が得られ、大型の鋳造用鋳型に好適である。一方、図16に鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を併用して造型した鋳型に金属溶湯を鋳込後型ばらし回収された再生用焼成人造セラミック粒子を繰り返し再生使用したときの回収率に及ぼす溶融造粒人造セラミック粒子の配合割合の影響を示す。
【0027】
従来使用されている珪砂の場合は、砂の耐破砕性が小さいために再生を1回繰り返すたびに回収率は6〜10%づつ低下するが、焼成人造セラミック粒子や溶融造粒人造セラミック粒子は砂の強度が高く、繰り返し再生されても回収率の低下は少ない。溶融造粒人造セラミック粒子からなる鋳型の耐破砕性は焼成人造セラミック粒子からなるものより若干低いので、図16より、溶融造粒人造セラミック粒子の配合割合が高くなるにつれて、若干回収率が低下する傾向があり、93%以上の回収率を得るためには溶融造粒人造セラミック粒子の配合割合の上限を80wt%にするのが望ましい。
【0028】
従って、高強度な鋳造用鋳型は、鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子とこの焼成人造セラミック粒子の表面凹凸より少ない表面凹凸を有する溶融造粒人造セラミック粒子を併用することによって得られる。とくに、溶融造粒人造セラミック粒子の混合率が30〜80wt%の場合に、回収率が高く、かつ25kgf/cm2以上の圧壊強度を有する有用な鋳造用鋳型が得られる。この高強度な鋳造用鋳型を用いて鋳物を製造した結果、鋳物の表面性状が改善されること、鋳物の寸法精度が向上されること、鋳型の焼着きの防止も達成できることが確認された。その結果、鋳物品質の向上と仕上げ工数の低減効果も発揮された。
【0029】
【発明の効果】
以上、説明したとおり、本発明によれば、良好な表面性状の鋳物を製造でき、また鋳物の仕上げ工数を低減できる高強度な鋳造用鋳型の製造方法が得られる。また、圧壊強度が25kgf/cm2以上となる高強度で大型の鋳造用鋳型の製造法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる鋳造用鋳型の製造方法の一例を示す工程図である。
【図2】本発明に使用する焼成人造セラミック粒子の断面形状の模式図である。
【図3】本発明に使用する溶融造粒人造セラミック粒子の断面形状の模式図である。
【図4】本発明にかかる鋳造用鋳型の製造方法において、再生後の残留バインダ量に及ぼす微細セラミック粒子配合割合の影響を示す図である。
【図5】本発明にかかる鋳造用鋳型の製造方法において、鋳型圧壊強度に及ぼす微細セラミック粒子配合割合の影響を示す図である。
【図6】本発明に使用する焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を用いた場合の鋳型圧壊強度と残留バインダ量の関係を示す図である。
【図7】本発明にかかる鋳造用鋳型の製造方法において、回収再生した古砂である処理砂のPHに及ぼす塩酸水溶液添加量の影響を示す図である。
【図8】本発明に使用する焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を用いた場合の酸消費量と残留バインダ量の関係を示す図である。
【図9】本発明にかかる鋳造用鋳型の製造方法において、鋳型圧壊強度に及ぼす塩酸水溶液添加量の影響を示す図である。
【図10】本発明にかかる鋳造用鋳型の製造方法において、残留バインダ量に及ぼす水洗時間の影響を示す図である。
【図11】本発明にかかる鋳造用鋳型の製造方法において、鋳型圧壊強度に及ぼす水洗時間の影響を示す図である。
【図12】本発明にかかる鋳造用鋳型の製造方法において、先端が特殊形状の型込め治具の先端部の断面形状の模式図である。
【図13】本発明に用いる先端が特殊形状の型込め治具を備えた振動充填機と従来の先端に平板をとりつけた型込め治具を備えた振動充填機で造型した鋳型圧壊強度に及ぼす粒子の充填率の影響を示す図である。
【図14】本発明にかかる鋳造用鋳型の製造方法において、再生後の残留バインダ量に及ぼす溶融造粒人造セラミック粒子の配合割合の影響を示す図である。
【図15】本発明にかかる鋳造用鋳型の製造方法において、鋳型圧壊強度に及ぼす溶融造粒人造セラミック粒子の配合割合の影響を示す図である。
【図16】本発明にかかる鋳造用鋳型の製造方法において、回収率に及ぼす溶融造粒人造セラミック粒子の配合割合の影響を示す図である。
【図17】従来使用されている珪砂と焼成人造セラミック粒子を単独で用いた場合と焼成人造セラミック粒子の再生砂を用いた場合の鋳型圧壊強度を示す図である。
【符号の説明】
1…焼成人造セラミック粒子、2…溶融造粒人造セラミック粒子、3…型込め治具、31…テーパ状窪みの先端部、32…コの字状窪みの先端部
【発明の属する技術分野】
本発明は、高強度な鋳造用鋳型の製造方法に関する。特に、人造セラミック鋳型の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鋳造用鋳型の鋳型材料の1つである鋳物砂としては、珪砂、ジルコン砂、クロマイト砂、オリビン砂などがあり、とくに平均粒径が0.4〜0.5mmの珪砂が広く用いられてきた。また、Al2O3とSiO2が主体のアルミノケイ酸塩の組成となるように配合された原料をスラリー調整して、造粒した後、造粒相互の融着阻止用の微粒粉末を混合して1400〜1750℃で焼成し、解砕と同時に融着阻止用の微粒粉末を除去して製造された焼成法による人造セラミック粒子が、▲1▼造型工数が低減する、▲2▼耐破砕性に優れ廃棄物が減少する、▲3▼耐火度に優れることから、徐々に使用されてきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した珪砂を使用した鋳造用鋳型は耐火度が低く、かつ粒子が破砕され易いためにリサイクル率が低い。すなわち廃棄物量が多いという問題があった。また、前述した焼成法で製造された人造セラミック粒子(以下、焼成人造セラミック粒子という)は、図2の焼成人造セラミック粒子1の断面形状の模式図に示すように、製造条件によっては粒子表面に凹凸が多い。
【0004】
表面に凹凸が多い粒子では、回収再生過程で凹部に残留したバインダを除去しにくく、再生利用した場合、この残留バインダの性能劣化により、図17に示すように、焼成人造セラミック再生砂を使用した鋳造用鋳型の圧壊強度は著しく低下する問題がある。その結果、とくに製品重量が約20トン以上の大物鋳鋼用の鋳型では、鋳造後に鋳型の割れ、鋳型の変形などが発生し、鋳物の表面性状の不良、鋳型中への溶湯の浸入(焼着き)が発生して鋳物の仕上げに多大の工数を要する場合がある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、良好な表面性状の鋳物を製造でき、また鋳物の仕上げ工数を低減できる高強度な鋳造用鋳型の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、圧壊強度が25kgf/cm2以上となる高強度で大型の鋳造用鋳型の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、電気炉で2000℃以上の高温に完全に溶融された酸化物溶湯からアトマイズ法によって粒子を作る技術として、近年開発された溶融造粒法による人造セラミック粒子(以下、溶融造粒人造セラミック粒子という)に注目し粒子性状などについて鋭意研究の結果、鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を併用することが有効であるとの知見を得て本発明に至った。図3に溶融造粒人造セラミック粒子2の断面形状の模式図を示す。また、人造セラミック粒子を繰り返し再生利用する場合、表面の凹凸が多い焼成人造セラミック粒子の凹部に残留するバインダが再生鋳型の圧壊強度の劣化の原因となることを究明し、残留バインダの除去手段を適用して再生人造セラミック粒子を使用した本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明の鋳造用鋳型の製造方法は、鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を用意する工程と、原料組成物を結合させるバインダを原料組成物に混合して混練砂を得る工程と、混練砂を造型する工程と、からなることを特徴とする。
本発明において、溶融造粒人造セラミック粒子は、その表面の凹凸が、前記焼成人造セラミック粒子の凹凸より少ない。ここで、原料組成物が溶融造粒人造セラミック粒子を30〜80wt%含有していることが好ましい。また、焼成人造セラミック粒子及び溶融造粒人造セラミック粒子の組成が、Al2O3とSiO2を主体とし、合計で5wt%以下のFe2O3、TiO2、K2O、Na2O、CaO、MgOの一種または二種以上を含有することができる。
【0008】
また、本発明の鋳造用鋳型の製造方法は、鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を用意する工程と、原料組成物を結合させるバインダを原料組成物に混合して混練砂を得る工程と、混練砂を造型する工程と、前記造型された鋳型に金属溶湯を鋳込後型ばらし回収された再生用焼成人造セラミック粒子及び再生用溶融造粒人造セラミック粒子からなる再生用粒子を得る工程と、再生用焼成人造セラミック粒子に10μm以下の微細セラミック粒子を機械的手段により混合して残留バインダを除去した後、微細セラミック粒子を分級、除去した再生人造セラミック粒子を製造する工程と、鋳型用の鋳物砂の再原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子に再生人造セラミック粒子を配合する工程と、再原料組成物を結合させるバインダを再原料組成物に混合して再混練砂を得る工程と、再混練砂を造型する工程と、からなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の鋳造用鋳型の製造方法は、鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を用意する工程と、原料組成物を結合させるアルカリフェノールバインダを原料組成物に混合して混練砂を得る工程と、混練砂を造型する工程と、前記造型された鋳型に金属溶湯を鋳込後型ばらし回収された再生用焼成人造セラミック粒子及び再生用溶融造粒人造セラミック粒子からなる再生用粒子を得る工程と、再生用焼成人造セラミック粒子に酸を混練して残留バインダを反応、除去することにより再生人造セラミック粒子を得る工程と、鋳型用の鋳物砂の再原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子に再生人造セラミック粒子を配合する工程と、再原料組成物を結合させるアルカリフェノールバインダ及び硬化剤を再原料組成物に混合して再混練砂を得る工程と、再混練砂を造型する工程と、からなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の鋳造用鋳型の製造方法は、鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を用意する工程と、原料組成物を結合させるアルカリフェノールバインダを原料組成物に混合して混練砂を製造する工程と、混練砂を造型する工程と、造型された鋳型に金属溶湯を鋳込後型ばらし回収された再生用焼成人造セラミック粒子及び再生用溶融造粒人造セラミック粒子からなる再生用粒子を得る工程と、再生用焼成人造セラミック粒子を水中で残留バインダを溶出、除去し、乾燥することにより再生人造セラミック粒子を得る工程と、鋳型用の鋳物砂の再原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子に再生人造セラミック粒子を配合する工程と、再原料組成物を結合させるアルカリフェノールバインダ及び硬化剤を再原料組成物に混合して再混練砂を製造する工程と、再混練砂を造型する工程と、からなることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の鋳造用鋳型の製造方法は、鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を用意する工程と、原料組成物を結合させるバインダを原料組成物に混合して混練砂を得る工程と、混練砂を造型機に充填し先端に特殊形状の粒子拘束部位を有した型込め治具にて前記原料組成物の充填密度を高めるように造型する工程と、からなることを特徴とする。好ましくは、先端に特殊形状の粒子拘束部位を有した型込め治具が、先端にテーパ状もしくはコの字状の窪みを有した型込め治具である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の鋳造用鋳型の製造方法を完成するにあたって行った基礎的な検討結果を述べる。
【0013】
図1は、本発明にかかる鋳造用鋳型の製造方法の一例を示す工程図である。まず、鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を用意する(ステップS11)。原料組成物を結合させるバインダを原料組成物に混合して混練砂を製造(ステップS12)し、その後、混練砂を造型(ステップS13)して鋳造用鋳型を製造する(ステップS14)。
なお、原料組成物を結合させるバインダを原料組成物に混合して混練砂を製造する場合に、接合力を増加するためのバインダのほかに他の目的で硬化剤ほかの添加剤を混合してもよい。
【0014】
鋳型用の鋳物砂の原料組成物として使用される焼成人造セラミック粒子や溶融造粒人造セラミック粒子は、繰り返し鋳物砂の原料組成物として再生利用できる必要がある。図4に鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を併用して造型した鋳型に金属溶湯を鋳込後型ばらし回収されたままの再生用焼成人造セラミック粒子の残留バインダ量と、この再生用焼成人造セラミック粒子に10μm以下の微細セラミック粒子を衝撃、摩擦、研磨などの機械的手段により混合して残留バインダを除去し、その後鋳型材料として利用できない微細セラミック粒子を分級、除去する場合の微細セラミック粒子の配合割合の影響を示す。
【0015】
微細セラミック粒子の配合割合が高くなると、これら微細セラミック粒子が再生用焼成人造セラミック粒子の凹部に残留したバインダを機械的に除去する効果があるために、残留バインダ量が低減する。再生利用されたときの鋳型の強度の劣化の原因となる再生用焼成人造セラミック粒子の残留バインダ量が減少すると、再生鋳型の強度は増加する。図5に再生鋳型の圧壊強度に及ぼす微細セラミック粒子の配合割合の影響を示す。これより、微細セラミック粒子を再生用焼成人造セラミック粒子に機械的手段で混合適用することで、鋳型用の好適な再生人造セラミック粒子を製造でき、これを用いることで圧壊強度の高い鋳型を得ることができる。
【0016】
図6は焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子の残留バインダ量と鋳型の圧壊強度の関係を示すもので、焼成人造セラミック粒子(焼成セラミックス)を用いたものは繰り返し再生使用することにより残留バインダ量が多くなり圧壊強度が大きく低下することがわかる。一方、溶融造粒人造セラミック粒子(溶融造粒法セラミックス)は表面の凹凸が少ないので、回収再生時に残留バインダは除去し易く繰り返し再生使用されても残留バインダ量の増加は少ないことがわかる。鋳造用鋳型の鋳物砂の原料組成物を結合させるバインダとして、アルカリフェノールバインダを用いた場合、バインダはアルカリ性であり、再生用焼成人造セラミック粒子の残留バインダを除去するために酸との反応利用を検討した。
【0017】
図7に鋳込後型ばらし回収された古砂の再生用焼成人造セラミック粒子のPHに及ぼす塩酸水溶液添加量の影響を示す。塩酸水溶液の添加量が多くなるほど、塩酸水溶液との反応が生じた結果、再生人造セラミック粒子のPHがより小さくなり中和されていることがわかる。図8は中和に使用した酸消費量と鋳型圧壊強度の関係を示すものである。アルカリフェノールバインダ中には金属カリウムやナトリウムが含まれているので、繰り返し再生使用により再生用焼成人造セラミック粒子の表面に残留バインダ量が多くなると、これらが蓄積されてくるので新たなバインダを混合する前に酸で中和する必要がある。従って、鋳型の圧壊強度の低いものは残留バインダ量が多く、これを中和するために使用される酸消費量が多くなることがわかる。
【0018】
図9は塩酸水溶液の添加量と鋳型圧壊強度の関係を示すもので、再生用焼成人造セラミック粒子に混練する塩酸水溶液の添加量が多くなると再生用焼成人造セラミック粒子の凹部に残留したバインダを反応、除去する効果があるために、残留バインダ量が低減する。古砂が新砂と一緒に再生利用されるときは、あらたにアルカリフェノールバインダと硬化剤が鋳物砂の原料組成物に混合される。鋳型の強度の劣化の原因となる再生用焼成人造セラミック粒子の残留バインダ量が減少するので、再生鋳型の強度は増加する。これより、酸を混練することで、鋳型用の好適な再生人造セラミック粒子を製造でき、これを用いることで圧壊強度の高い鋳型を得ることができる。なお、酸としては塩酸などの無機酸でも酢酸などの有機酸であってもよい。
【0019】
図10は残留バインダ量に及ぼす水洗時間の影響を示すもので、水洗時間が長くなると残留バインダ量が大きく減少することがわかる。鋳造用鋳型の鋳物砂の原料組成物を結合させるバインダとして、アルカリフェノールバインダを用いた場合、バインダは水溶性であり、再生用焼成人造セラミック粒子の残留バインダを除去するために水洗処理が有効であることがわかる。
【0020】
図11は水洗時間と鋳型圧壊強度の関係を示すもので、再生用焼成人造セラミック粒子を水洗する時間が長くなると、水中で処理された再生用焼成人造セラミック粒子の凹部に残留したバインダを溶出、除去する効果があるために、残留バインダ量が低減する。その後乾燥され、古砂と新砂と一緒に再生利用されるときは、あらたにアルカリフェノールバインダと硬化剤が鋳物砂の原料組成物に混合される。鋳型の強度の劣化の原因となる再生用焼成人造セラミック粒子の残留バインダ量が水中処理により減少するので、再生鋳型の強度は増加する。これより、水中で処理することで、鋳型用の好適な再生人造セラミック粒子を製造でき、これを用いることで圧壊強度の高い鋳型を得ることができる。
【0021】
高強度で大型の鋳造用鋳型を製造するためには、造鋳型の人造セラミック粒子の充填密度を高める必要がある。従来、一般的に使用されていた非球形状の人造珪砂と異なり、焼成人造セラミック粒子はもとより、とくに溶融造粒人造セラミック粒子の形状は球状であるために、造型機でいかにして砂をしまるようにつき固めて充填密度を高めるかが重要である。とくに、重量が数トン以上の鋳物の造型では、鋳型枠全体を振動させることや、機械的な自動型込めも困難であり、人力による型込め作業が必要である。
【0022】
通常用いられる先端に平板をとりつけた型込め治具では、充填後つき固めしようとしても粒子が球状であるために拘束できず平板の外側に逃げてしまい砂がしまらず充填密度を高めることが困難である。そこで、図12に示す先端が特殊形状の粒子拘束部位を有した型込め治具を検討した。テーパ状窪みの先端部31を有した型込め治具3とコの字状窪みの先端部32を有した型込め治具3の例を示す。この特殊形状の粒子拘束部位を有した型込め治具3を備えた振動充填機で、充填後移動しながら人造セラミック粒子をテーパ状もしくはコの字状の特殊形状の粒子拘束部位で粒子を拘束しながらつき固める作業を何回も繰り返して充填率を高め、造型全体を緻密化しなければ大型の高強度な鋳造用鋳型が得られない。
【0023】
図13は従来の先端に平板をとりつけた型込め治具を備えた振動充填機と本発明の先端に特殊形状の粒子拘束部位を有した型込め治具を備えた振動充填機で充填、つき固めた場合の鋳型圧壊強度に及ぼす粒子の充填率の影響を示すものである。先端に特殊形状の粒子拘束部位を有した型込め治具にて粒子の充填率を高めるように造型することにより圧壊強度の高い鋳型を得ることができる。
【0024】
以下では、以上の基礎的な検討に基づく鋳造用鋳型の製造方法の具体例について説明する。
鋳型用の鋳物砂の原料組成物として、平均粒径が0.12〜0.15mmの焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を併用2することを検討した。なお、両方の人造セラミック粒子の組成は、Al2O3とSiO2を主体とアルミノケイ酸塩の組成であり、通常ムライトと呼ばれているAl2O3が61wt%−SiO2が37wt%の3Al2O3・2SiO2相当の組成である。なお、人造セラミック粒子の組成としては、Al2O3とSiO2を主体とするが、合計で5wt%以下のFe2O3、TiO2、K2O、Na2O、CaO、MgOの一種または二種以上を含有することができる。
【0025】
図14に鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子単独の場合と溶融造粒人造セラミック粒子を併用して造型した鋳型に金属溶湯を鋳込後型ばらし回収されたままの再生用焼成人造セラミック粒子の残留バインダ量について、溶融造粒人造セラミック粒子の配合割合の影響を示す。これより、鋳型用の鋳物砂の原料組成物として表面凹凸の多い焼成人造セラミック粒子単独の場合に比して、表面凹凸の少ない溶融造粒人造セラミック粒子の配合割合が高くなると、再生用焼成人造セラミック粒子の残留バインダ量が少なくなることがわかり、再生用として好適である。これは、溶融造粒人造セラミック粒子の表面についた残留バインダは、焼成人造セラミック粒子の表面についたものより除去し易いためである。
【0026】
図15に鋳型圧壊強度に及ぼす溶融造粒人造セラミック粒子の配合割合の影響を示す。これより、溶融造粒人造セラミックス粒子の配合割合が高くなるにつれて鋳型圧壊強度が増加し、30wt%以上になると25kgf/cm2以上の高い鋳型圧壊強度が得られ、大型の鋳造用鋳型に好適である。一方、図16に鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を併用して造型した鋳型に金属溶湯を鋳込後型ばらし回収された再生用焼成人造セラミック粒子を繰り返し再生使用したときの回収率に及ぼす溶融造粒人造セラミック粒子の配合割合の影響を示す。
【0027】
従来使用されている珪砂の場合は、砂の耐破砕性が小さいために再生を1回繰り返すたびに回収率は6〜10%づつ低下するが、焼成人造セラミック粒子や溶融造粒人造セラミック粒子は砂の強度が高く、繰り返し再生されても回収率の低下は少ない。溶融造粒人造セラミック粒子からなる鋳型の耐破砕性は焼成人造セラミック粒子からなるものより若干低いので、図16より、溶融造粒人造セラミック粒子の配合割合が高くなるにつれて、若干回収率が低下する傾向があり、93%以上の回収率を得るためには溶融造粒人造セラミック粒子の配合割合の上限を80wt%にするのが望ましい。
【0028】
従って、高強度な鋳造用鋳型は、鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子とこの焼成人造セラミック粒子の表面凹凸より少ない表面凹凸を有する溶融造粒人造セラミック粒子を併用することによって得られる。とくに、溶融造粒人造セラミック粒子の混合率が30〜80wt%の場合に、回収率が高く、かつ25kgf/cm2以上の圧壊強度を有する有用な鋳造用鋳型が得られる。この高強度な鋳造用鋳型を用いて鋳物を製造した結果、鋳物の表面性状が改善されること、鋳物の寸法精度が向上されること、鋳型の焼着きの防止も達成できることが確認された。その結果、鋳物品質の向上と仕上げ工数の低減効果も発揮された。
【0029】
【発明の効果】
以上、説明したとおり、本発明によれば、良好な表面性状の鋳物を製造でき、また鋳物の仕上げ工数を低減できる高強度な鋳造用鋳型の製造方法が得られる。また、圧壊強度が25kgf/cm2以上となる高強度で大型の鋳造用鋳型の製造法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる鋳造用鋳型の製造方法の一例を示す工程図である。
【図2】本発明に使用する焼成人造セラミック粒子の断面形状の模式図である。
【図3】本発明に使用する溶融造粒人造セラミック粒子の断面形状の模式図である。
【図4】本発明にかかる鋳造用鋳型の製造方法において、再生後の残留バインダ量に及ぼす微細セラミック粒子配合割合の影響を示す図である。
【図5】本発明にかかる鋳造用鋳型の製造方法において、鋳型圧壊強度に及ぼす微細セラミック粒子配合割合の影響を示す図である。
【図6】本発明に使用する焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を用いた場合の鋳型圧壊強度と残留バインダ量の関係を示す図である。
【図7】本発明にかかる鋳造用鋳型の製造方法において、回収再生した古砂である処理砂のPHに及ぼす塩酸水溶液添加量の影響を示す図である。
【図8】本発明に使用する焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を用いた場合の酸消費量と残留バインダ量の関係を示す図である。
【図9】本発明にかかる鋳造用鋳型の製造方法において、鋳型圧壊強度に及ぼす塩酸水溶液添加量の影響を示す図である。
【図10】本発明にかかる鋳造用鋳型の製造方法において、残留バインダ量に及ぼす水洗時間の影響を示す図である。
【図11】本発明にかかる鋳造用鋳型の製造方法において、鋳型圧壊強度に及ぼす水洗時間の影響を示す図である。
【図12】本発明にかかる鋳造用鋳型の製造方法において、先端が特殊形状の型込め治具の先端部の断面形状の模式図である。
【図13】本発明に用いる先端が特殊形状の型込め治具を備えた振動充填機と従来の先端に平板をとりつけた型込め治具を備えた振動充填機で造型した鋳型圧壊強度に及ぼす粒子の充填率の影響を示す図である。
【図14】本発明にかかる鋳造用鋳型の製造方法において、再生後の残留バインダ量に及ぼす溶融造粒人造セラミック粒子の配合割合の影響を示す図である。
【図15】本発明にかかる鋳造用鋳型の製造方法において、鋳型圧壊強度に及ぼす溶融造粒人造セラミック粒子の配合割合の影響を示す図である。
【図16】本発明にかかる鋳造用鋳型の製造方法において、回収率に及ぼす溶融造粒人造セラミック粒子の配合割合の影響を示す図である。
【図17】従来使用されている珪砂と焼成人造セラミック粒子を単独で用いた場合と焼成人造セラミック粒子の再生砂を用いた場合の鋳型圧壊強度を示す図である。
【符号の説明】
1…焼成人造セラミック粒子、2…溶融造粒人造セラミック粒子、3…型込め治具、31…テーパ状窪みの先端部、32…コの字状窪みの先端部
Claims (9)
- 鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を用意する工程と、
前記原料組成物を結合させるバインダを前記原料組成物に混合して混練砂を得る工程と、
前記混練砂を造型する工程と、
を備えたことを特徴とする鋳造用鋳型の製造方法。 - 前記溶融造粒人造セラミックス粒子は、その表面の凹凸が、前記焼成人造セラミック粒子の凹凸より少ないことを特徴とする請求項1記載の鋳造用鋳型の製造方法。
- 前記原料組成物が、前記溶融造粒人造セラミック粒子を30〜80wt%含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鋳造用鋳型の製造方法。
- 前記焼成人造セラミック粒子および前記溶融造粒人造セラミック粒子の組成が、Al2O3とSiO2を主体とし、合計で5wt%以下のFe2O3、TiO2、K2O、Na2O、CaO、MgOの一種または二種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鋳造用鋳型の製造方法。
- 鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を用意する工程と、
前記原料組成物を結合させるバインダを前記原料組成物に混合して混練砂を得る工程と、
前記混練砂を造型する工程と、
前記造型された鋳型に金属溶湯を鋳込後型ばらし回収された再生用焼成人造セラミック粒子及び再生用溶融造粒人造セラミック粒子からなる再生用粒子を得る工程と、
前記再生用焼成人造セラミック粒子に10μm以下の微細セラミック粒子を機械的手段により混合して残留バインダを除去した後、前記微細セラミック粒子を分級、除去した再生人造セラミック粒子を製造する工程と、
鋳型用の鋳物砂の再原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子に前記再生人造セラミック粒子を配合する工程と、
前記再原料組成物を結合させるバインダを前記再原料組成物に混合して再混練砂を得る工程と、
前記再混練砂を造型する工程と、
を備えたことを特徴とする鋳造用鋳型の製造方法。 - 鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を用意する工程と、
前記原料組成物を結合させるアルカリフェノールバインダを前記原料組成物に混合して混練砂を製造する工程と、
前記混練砂を造型する工程と、
前記造型された鋳型に金属溶湯を鋳込後型ばらし回収された再生用焼成人造セラミック粒子及び再生用溶融造粒人造セラミック粒子からなる再生用粒子を得る工程と、
前記再生用焼成人造セラミック粒子に酸を混練して残留バインダを反応、除去することにより再生人造セラミック粒子を得る工程と、
鋳型用の鋳物砂の再原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子に前記再生人造セラミック粒子を配合する工程と、
前記再原料組成物を結合させるアルカリフェノールバインダ及び硬化剤を前記再原料組成物に混合して再混練砂を得る工程と、
前記再混練砂を造型する工程と、
を備えたことを特徴とする鋳造用鋳型の製造方法。 - 鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を用意する工程と、
前記原料組成物を結合させるアルカリフェノールバインダを前記原料組成物に混合して混練砂を製造する工程と、
前記混練砂を造型する工程と、
前記造型された鋳型に金属溶湯を鋳込後型ばらし回収された再生用焼成人造セラミック粒子及び再生用溶融造粒人造セラミック粒子からなる再生用粒子を得る工程と、
前記再生用焼成人造セラミック粒子を水中で残留バインダを溶出、除去し、乾燥することにより再生人造セラミック粒子を得る工程と、
鋳型用の鋳物砂の再原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子に前記再生人造セラミック粒子を配合する工程と、
前記再原料組成物を結合させるアルカリフェノールバインダ及び硬化剤を前記再原料組成物に混合して再混練砂を得る工程と、
前記再混練砂を造型する工程と、
を備えたことを特徴とする鋳造用鋳型の製造方法。 - 鋳型用の鋳物砂の原料組成物として焼成人造セラミック粒子と溶融造粒人造セラミック粒子を用意する工程と、
前記原料組成物を結合させるバインダを前記原料組成物に混合して混練砂を製造する工程と、
前記混練砂を造型機に充填し先端に粒子拘束部位を有した型込め治具にて前記原料組成物の充填密度を高めるように造型する工程と、
を備えたことを特徴とする鋳造用鋳型の製造方法。 - 前記先端に特殊形状の粒子拘束部位を有した型込め治具が、先端にテーパ状もしくはコの字状の窪みを有した型込め治具であることを特徴とする請求項8記載の鋳造用鋳型の製造方法。
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