JP3540261B2 - 保留剤及び保留剤含有組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種揮発性成分を長時間にわたって保持し、且つ徐放する保留剤、及び該保留剤を含有する保留剤含有組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
各種揮発性成分、例えば忌避剤や香料の保留剤としては、例えば特開昭60−61509号公報や特開平5−263097号公報に記載のもの等が知られている。特開昭60−61509号公報には、ヒルに対する忌避剤の保留剤として、ヤシ油、パーム核油、牛脂などの硬化油等の水素添加油脂、ステアリン酸モノグリセリドやステアリン酸ジグリセリドなどのステアリン酸グリセリドを用いることが記載されている。特開平5−263097号公報には、香料の保留剤として、100℃における蒸気圧が0.1〜300mmHgである揮発性炭化水素油、例えば軽質流動イソパラフィンを用いることが記載されている。
【0003】
しかし、これらの保留剤は、特定の揮発性成分に対しては保留効果を示すものの、広範な種類の揮発性成分に対して十分な保留効果を示すとはいえなかった。
【0004】
従って、本発明は、広範な種類の揮発性成分に対して十分な保留効果を示す保留剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、植物油とグリセリンとのエステル交換反応又は植物油から誘導される脂肪酸若しくは当該脂肪酸のエステルとグリセリンとのエステル交換反応によって得られ且つ不飽和脂肪酸由来のアシル基を有するジアシルグリセロールを含有する揮発性の殺虫剤、忌避剤又は抗菌剤の保留剤を提供することにより前記目的を達成したものである。
【0006】
また本発明は、前記保留剤、及び揮発性成分として殺虫剤、忌避剤又は抗菌剤の少なくとも1つを含有する保留剤含有組成物を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。
本発明の保留剤は、ジアシルグリセロールを含有する。ジアシルグリセロールは、グリセリンにおける2つの水酸基に脂肪酸残基がエステル結合してなるものである。ジアシルグリセロールには、以下の化学式A及び化学式Bで表される構造のものが含まれるが、本発明においては、これらのそれぞれ単独で又は双方の混合物として用いることができる。またこれらのジアシルグリセロールは一種又は二種以上を用いることができる。
【0008】
【化1】
【0009】
化学式A及び化学式Bにおいて、Rで示されるアシル基は、同一の又は異なる炭素数8〜18、特に12〜18の飽和又は不飽和のものであることが好ましい。
【0010】
Rで示されるアシル基は、不飽和脂肪酸由来のものである。不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等の混合物が挙げられ、これらの不飽和脂肪酸は、菜種油、大豆油、サフラワー油、トウモロコシ油、シソ油、アマニ油、エノ油等の植物油から誘導される。
【0011】
ジアシルグリセロールの製造法に特に制限は無く、例えば油脂とグリセリンとの混合物を、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物の存在下でエステル交換反応させるか、或いは脂肪酸又は脂肪酸エステルとグリセリンとの混合物にリパーゼを作用させてエステル交換反応させる方法が挙げられる。尚、ジアシルグリセロールの製造においては、副生成物としてモノ体及びトリ体が含まれるが、これらの副生成物は、本発明の効果を損なわない範囲においてジ体と共に用いられてもよい。保留剤中に、ジアシルグリセロールは、50重量%以上含有されることが好ましく、75重量%以上が更に好ましく、83重量%以上が一層好ましい。勿論、保留剤がジアシルグリセロール100%からなることが、最も好ましい。
【0012】
ジアシルグリセロールを揮発成分の保留剤として用いることで、後述する実施例からも明らかなように、広範な種類の揮発性成分に対して十分な保留効果が発揮される。
【0013】
本発明に係る保留剤の使用対象となる揮発性成分としては、その種類に特に制限は無い。例えば、揮発性成分として殺虫剤、忌避剤又は抗菌剤等を用いることができる。
【0014】
本発明の保留剤は、前記揮発性成分と混合されて保留剤含有組成物となされ、該揮発性成分に対する保留効果、即ち、該揮発性成分を長時間に亘って保持し、且つ徐放する効果を示す。この場合、揮発性成分と保留剤との配合比率は、揮発性成分の種類にもよるが、一般に揮発性成分:保留剤=1:1/4〜1:4、特に1:1/3〜1:3(重量比)であることが、揮発性成分の特性を損なわずに十分な保留効果が発現する点から好ましい。
【0015】
具体的な揮発性成分との関係では、例えば揮発性成分として忌避剤又は殺虫剤を用いる場合には、忌避剤又は殺虫剤:保留剤=1:1/3〜1:3、特に1:1〜1:3(重量比)であることが、前記の理由から好ましい。
【0016】
本発明の保留剤が配合された保留剤含有組成物としては、殺虫剤組成物、忌避剤組成物及び抗菌剤組成物等が挙げられる。これらの組成物には、該組成物の用途に応じて、その他の成分、例えばワセリン等の基剤、増量剤、界面活性剤等を配合することもできる。
【0017】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかし、本発明は斯かる実施例に制限されるものではない。以下の例中、特に断らない限り「%」及び「部」は、それぞれ「重量%」及び「重量部」を意味する。先ず、ジアシルグリセロールを含む保留剤の製造法を説明する。
【0018】
〔実施例1〕
菜種油(ヨウ素価168)375gにグリセリン125gを配合し、全系に対して0.1%の水酸化カルシウムを添加して、窒素雰囲気下、230℃で30分間攪拌を続けてランダムエステル交換反応を行った。冷却後、反応物を分液漏斗に移して、分層後に下層を除去した。更に10%クエン酸水溶液500mlを加えて攪拌し、放置分離後、上層部を脱水濾過し、粗菜種油脂脂肪酸組成ジグリセロールを得た。更に、この粗菜種油脂脂肪酸組成ジグリセロールを190℃、0.1mmHgの条件下で薄膜式分子蒸留器に通して反応生成物165gを得た。反応生成物における脂肪酸組成(%)は以下の通りであった。
C 16:0 8
C 18:0 3
C 18:1 49
C 18:2 29
C 18:3 10
また反応生成物における各グリセロールの組成(%)は以下の通りであった。
モノグリセロール
2-18 痕跡量
1-18 2
ジグリセロール
1,2-16,18 5
1,3-16,18 8
1,2-18,18 20
1,3-18,18 46
トリグリセロール
16,16,18 痕跡量
16,18,18 4
18,18,18 11
20,18,18 痕跡量
【0019】
〔実施例2〕
揮発性成分として忌避剤の一種であるN,N−ジエチル−m−トルアミドを用い、該揮発性成分100部に対して実施例1で得られた保留剤100部を添加混合し、保留剤含有組成物を得た。
【0020】
相互薬工(株)製のにおい測定システムMSF−450NDを用い、前記混合物から揮発する揮発性成分が、該測定システムのセンサーに吸着する量を測定した。測定温度は60℃、測定時間は5分であり、センサーとしてNo.151AJを用いた。結果を以下の表1に示す。吸着量は、その値が小さいほど保留効果が高いことを意味する。
【0021】
また、揮発性成分として、殺虫剤としての3−フェノキシベンジル−d−シス/トランス−クリサンテマート及びdl−3−アリル−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル−dl−シス/トランス−クリサンテマートを用いる以外は前記と同様にして揮発性成分の吸着量を測定した。結果を表1に示す。
【0022】
〔比較例1及び2〕
実施例1で得られた保留剤を添加しない(比較例1)、及び実施例1で得られた保留剤に代えてジプロピレングリコールを用いる(比較例2)以外は実施例2と同様にして揮発性成分の吸着量を測定した。結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
表1に示す結果から明らかなように、ジアシルグリセロールを含有する保留剤を用いる(実施例2)と、揮発性成分単独の場合(比較例1)及び他の揮発性成分を用いた場合(比較例2)に比して、揮発性成分の吸着量が少なく、高い保留効果が発現することが判る。
【0025】
【発明の効果】
本発明の保留剤は、殺虫剤、忌避剤、抗菌剤等の広範な種類の揮発性成分に対して十分な保留効果を示す。
Claims (3)
- 植物油とグリセリンとのエステル交換反応又は植物油から誘導される脂肪酸若しくは当該脂肪酸のエステルとグリセリンとのエステル交換反応によって得られ且つ不飽和脂肪酸由来のアシル基を有するジアシルグリセロールを含有する揮発性の殺虫剤、忌避剤又は抗菌剤の保留剤。
- 前記植物油が、菜種油、大豆油、サフラワー油、トウモロコシ油、シソ油、アマニ油又はエノ油である請求項1記載の保留剤。
- 請求項1又は2記載の保留剤、及び揮発性成分として殺虫剤、忌避剤又は抗菌剤の少なくとも1つを含有する保留剤含有組成物。
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