JP3540102B2 - セグメントにおけるインサートナットの固定構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、六角形セグメント等に埋設されたインサートナットの固定構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
トンネルを構築する方法の一つに、掘進とセグメント組立てとを同時に行いながら施工しいく、いわゆるシードル工法がある。従来、このようなシールド工法に用いられるコンクリート製のセグメントとして、図5に示す六角形セグメントSが知られている。
【0003】
この六角形セグメントSは、互いに平行な直線状の側部接合面Sa,Sbの両端に、傾斜接合面Sc,Sdを角状に突き出してそれぞれ連設したもので、側面視において円弧状に湾曲しており、側部接合面Sa,Sb間と、一方の側部接合面Saとこれに向き合う一方の傾斜接合面Sdとの間に、シース管1,2によって接合用の貫通孔Se,Sfがそれぞれ形成され、また他方の傾斜接合面Scにインサートナット3が埋設されている。
【0004】
上記六角形セグメントSを長さ方向に複数連結してリング状にするには、2枚の六角形セグメントS,Sのそれぞれ1つの傾斜接合面Sc,Sdどうしを互いに突き合わせ、一方の六角形セグメントSの貫通孔Sfに接合ボルト4を挿入して他方の六角形セグメントSのインサートナット3に螺着することにより六角形セグメントS,Sどうしを接合し、また、リング間の接合は、2枚の六角形セグメントS,Sの側部接合面Sa,Sbどうしを互いに突き合わせ、それらの貫通孔Se,Seに接合ボルト5を挿入して互いに螺着することにより行っている。なお、トンネル覆工の場合、図5で右が坑口側であり、左が切羽側である。
【0005】
上記従来の六角形セグメントSにおいては、インサートナット3を単にコンクリートC内に埋設しただけでは固定力が不足し、接合ボルト4をインサートナット3に螺着してセグメントS,Sどうしを接合する際にインサートナット3が周方向に回転したり、或いはセグメントから抜け出したりするおそれがあるため、図6に示すように、インサートナット3にアンカー筋11を溶接等で固着して固定力を強化している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記したインサートナットの固定構造ては、インサートナット3の固定力を高めるためには、アンカー筋11の固定本数を増したり、或いは長大なアンカー筋11を使用しなければならず、コスト高につくほか、インサートナット3の固定準備作業に手間がかかる不満がある。
【0007】
本発明は、インサートナットの固定力を合理的に強化することができるセグメントにおけるインサートナットの固定構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係るセグメントにおけるインサートナットの固定構造は、接合面にインサートナットが埋設され、接合ボルトが挿通される貫通孔が上記接合面とほぼ平行にシース管によって形成されたコンクリート製のセグメントにおいて、上記インサートナットとシース管の間に、アンカー部材を、その基端をインサートナットに一体に固着するとともに、自由端をシース管に、上記インサートナットの固定力を強化するよう係止して設けた構成とした。
【0009】
アンカー部材を環状とし、その孔にシース管を挿通させた構成とすることも、アンカー部材の自由端をフック状に形成することもできる。また、六角形セグメントに実施することができ、その場合は対象接合面は六角形セグメントの傾斜接合面となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
図1と図2は本発明に係るセグメントにおけるインサートナットの固定構造の一実施例を示す。なお、図5及び図6と同一の部材等には同一の符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0011】
図1と図2において符号7はアンカー部材であり、鋼等の金属棒を横に長く湾曲させて環状に形成されている。このアンカー部材7は、2個、その長さ方向をインサートナット3の長さ方向に揃えた状態でインサートナット3の根端部3aを基端7a,7aで挟さみ、溶接によってインサートナット3に一体に固着されている。
【0012】
2個のアンカー部材7,7は、互いにほぼ平行であり、自由端7b,7bの孔部分にシース管2を挿通されてそのシース管2に自由端7b,7bをそれらの間のコンクリートCを介して係止されている。インサートナット3の根端部3aは大形の六角形状とされており、アンカー部材7の固着力を強めている。シース管2、つまり貫通孔Sfと傾斜接合面Scとはほぼ平行である。
【0013】
インサートナットの上記固定構造においては、貫通孔Sfを形成しているシース管2とこれに挿入された接合ボルト4がインサートナット3の固定に働くこととなる。したがって、インサートナット3の固定力を、コストを高めたり手間をかけたりせずに、きわめて合理的に強化することができる。
【0014】
図3は本発明の他の実施例を示す。この実施例では、鋼等の金属棒からなる2本のアンカー部材8,8が、長さ方向をインサートナット3の長さ方向に揃え、インサートナット3の根端部3bを基端8a,8aで挟んだ状態で溶接によりインサートナット3に一体に固着されるとともに、フック状に湾曲させられた自由端8b,8bをシース管2にそれらの間のコンクリートCを介して係止されている。
【0015】
この接合構造においても、図1の接合構造と同一の効果があるうえ、アンカー部材8の形状が単純なだけ実施しやすく、コスト安になる。
【0016】
図4は本発明の別の実施例であり、鋼等の金属棒からなる1本のアンカー部材9が、その基端9aをインサートナット3の根端部3cに螺着してインサートナット3に一体に固着されるとともに、フック状に湾曲させられた自由端9bをシース管2にそれらの間のコンクリートCを介して係止されている。
【0017】
この実施例の場合も図1及び図3の接合構造と同一の効果が期待でき、しかも図3のものよりも更にコストを低減することができる。
【0018】
図の実施例のものは、いずれも、アンカー部材7,8,9の自由端7b,8b,9bがシース管2にコンクリートCを介して係止されているが、自由端7b,8b,9bをシース管2に接触させて直接係止してもよく、また単に接触させるだけでなく溶接等の手段で両者を一体に結合してもよい。
【0019】
図1と図3のアンカー部材7,8は直径19mmの鋼の丸棒製であり、図4のアンカー部材9は直径24mmの鋼の丸棒製であるが、太さは上記よりも大きくても、小さくてもよい。また横断面形状は円形以外の四角形や六角形等でもよい。アンカー部材3自体の形状や使用本数も任意であり、図のものに限られるものではない。
【0020】
本発明は主として六角形セグメントに実施されるが、四角形等の他の形状のセグメントに実施することが可能である。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るセグメントにおけるインサートナットの固定構造は、接合面にインサートナットが埋設され、接合ボルトが挿通される貫通孔が上記接合面とほぼ平行にシース管によって形成されたコンクリート製のセグメントにおいて、上記インサートナットとシース管の間に、アンカー部材がその基端をインサートナットに一体に固着するとともに自由端をシース管に係止して設けられた構成とされているので、インサートナットの固定力を、コストを高めたり手間をかけたりせずに合理的に強化することができる。
【0022】
アンカー部材を環状とし、その孔にシース管を挿通した構成とすると、インサートナットの固定力を最大限に高めることができる。また、アンカー部材の自由端をフック状に形成した場合は、コストを低減することができる。
【0023】
六角形セグメントの傾斜接合面に埋設されたインサートナットに適用した場合は、六角形セグメントどうしのリング状接合の強度を十分に高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るセグメントにおけるインサートナットの固定構造の一実施例を示す断面図である。
【図2】図1のインサートナットとアンカー部材の関係を示す一部破断の正面図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す要部の断面図である。
【図4】本発明の別の実施例を示す要部の断面図である。
【図5】従来の六角形セグメントの一部を破断した図である。
【図6】従来のインサーナットの固定構造を示す断面図である。
【符号の説明】
2 シース管
3 インサーナット
3a,3b,3c 根端部
4 接合ボルト
7,8,9 アンカー部材
7a,8a,9a 基端
7b,8b,9b 自由端
S セグメント
Sc 傾斜接合面
C コンクリート
Claims (4)
- 接合面にインサートナットが埋設され、接合ボルトが挿通される貫通孔が上記接合面とほぼ平行にシース管によって形成されたコンクリート製のセグメントにおいて、上記インサートナットとシース管の間に、アンカー部材がその基端をインサートナットに一体に固着するとともに、自由端をシース管に、上記インサートナットの固定力を強化するよう係止して設けられたことを特徴とするセグメントにおけるインサートナットの固定構造。
- アンカー部材が環状とされ、その孔にシース管が挿通されたことを特徴とする請求項1記載のセグメントにおけるインサートナットの固定構造。
- アンカー部材の自由端がフック状に形成されたことを特徴とする請求項1記載のセグメントにおけるインサートナットの固定構造。
- 接合面は六角形セグメントの傾斜接合面であることを特徴とする請求項1,2又は3記載のセグメントにおけるインサートナットの固定構造。
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JP23708996A JP3540102B2 (ja) | 1996-09-06 | 1996-09-06 | セグメントにおけるインサートナットの固定構造 |
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JPH1082285A JPH1082285A (ja) | 1998-03-31 |
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Family Applications (1)
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JP23708996A Expired - Lifetime JP3540102B2 (ja) | 1996-09-06 | 1996-09-06 | セグメントにおけるインサートナットの固定構造 |
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JP7417436B2 (ja) * | 2020-02-27 | 2024-01-18 | 株式会社奥村組 | 六角形セグメント |
-
1996
- 1996-09-06 JP JP23708996A patent/JP3540102B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH1082285A (ja) | 1998-03-31 |
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