JP3539751B2 - 光ディスク及び光ディスク装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、記録再生可能領域と再生専用領域とを有する光ディスクと、該光ディスクで情報信号を記録,再生する光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンパクトディスクなどの再生専用光ディスクに比べて利便性ある大容量ファイルとなるものとして、予め情報信号が記録され、この情報信号を読み出すことしかできない再生専用領域(以下、ROM領域という)と、情報信号の新たな追記または書換えを可能とする記録再生可能領域(以下、RAM領域という)とを有する光ディスクが提案されている。かかる光ディスクの一例が特開平2−239440号公報に開示されているが、この光ディスクでは、RAM領域の光学的情報記録層として遷移金属と希土類金属の合金からなる光磁気膜が用いられている。
【0003】
以下、この光ディスクについて図13及び図14により説明する。但し、図13はこの光ディスクの記録面を示す平面図であって、200は光ディスク、201はRAM領域、202はROM領域である。また、図14は図13におけるRAM領域201とROM領域との境界部分を拡大して示す斜視図であり、203は記録ピット、204はガイド溝、206は記録ピットであり、図13に対応する部分には同一符号を付けている。
【0004】
図13及び図14において、光ディスク200の内周部にROM領域202が、外周部にRAM領域201が夫々設けられてある。
【0005】
RAM領域201には、光ヘッドから照射される光スポットを情報信号が記録されるトラック(以下、情報トラックという)に正確に位置合わせするための、いわゆるトラッキング制御用のガイド溝204が螺旋状に設けられており、追記される情報信号はこれらガイド溝204間の光磁気膜に磁気の方向の違いによる記録ピット205(図示せず)として記録される。これにより、情報信号をガイド溝204上に記録するのに対して情報信号の信号品質の向上を図っている。また、情報トラックの位置または情報トラック内の記録情報位置などを識別するための識別信号も、ガイド溝204間に凹凸ピット203として予め記録されている。
【0006】
一方、ROM領域202には、RAM領域201でのようなトラッキング制御用のガイド溝204は設けられておらず、情報信号が凹凸状の一連のピット206の列として予め記録されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の光ディスクでは、ROM領域やRAM領域における凹凸ピットの形状や、トラッキング用のガイド溝の形状,深さなどについては配慮されていない。ROM領域の凹凸ピットやガイド溝の形状は、ROM領域の情報信号の品質ばかりでなく、ROM領域やRAM領域に記録されている情報信号を正確に再生するために必要なサ−ボ信号の品質に多大な影響を与える。このため、上記従来の光ディスクでは、光ディスクから良好なサ−ボ信号を得ることができず、その結果、光ディスク上のROM領域やRAM領域から情報信号を正確に再生することができないという問題があった。
【0008】
また、光ディスクとしても、光学的情報記録層の材料の種類や線速度などが異なるものがあり、このような種類が異なる光ディスクでも、同じ光ディスク装置で扱うことができるようにすることが望ましい。しかし、異なる種類の光ディスクを使用する場合、まず、使用される光ディススクがどのようなパワーの光スポットでどのような線速度で動作させたらよいか判定する必要があり、このため、光ディスクを収納したディスクケースが光ディスク装置に装着されると、光ディスクに光スポットを照射してROM領域での再生動作を行ない、これによって光ディスクの種類を判定することが従来行なわれている。
【0009】
しかし、このような方法によると、光ディスクの光学的情報記録層によっては光スポットのパワーが強すぎて、予め記録されている情報を破壊してしまうおそれがあった。
【0010】
本発明の第1の目的は、かかる問題を解消し、サ−ボ信号を良好に得ることができ、この結果、情報信号を良好に再生することができるROM領域とRAM領域とを有する光ディスクを提供することにある。
【0011】
また、本発明の第2の目的は、光ディスクのROM領域での情報信号の再生と、該光ディスクのRAM領域での情報信号の記録,再生を行なうことができるようにした光ディスク装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために、本発明による光ディスクは、RAM領域には、溝が設けられ、該溝の間に凹凸ピット列からなる第1の情報信号が予め記録されていて、該溝に沿って第2の情報信号が記録可能であり、ROM領域には、凹凸ピット列からなる第3の情報信号が予め記録されており、該第3の情報信号を示す凹凸ピットの深さと該溝の深さとを略等しくし、かつ該ROM領域の凹凸ピット列からなるトラックのトラックピッチが、該RAM領域での該溝に沿うトラックのトラックピッチよりも狭くしたものである。
【0013】
また、上記第1の目的を達成するために、本発明による光ディスクは、ROM領域とRAM領域とを有するとともに、該ROM領域と該RAM領域との間に、光ディスク装置が該ROM領域から情報を再生するためのトラッキングサーボ信号と該RAM領域から情報を再生するためのトラッキングサーボ信号とを切り替えるための遷移領域を有するものである。
【0014】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明による光ディスク装置は、ROM領域とRAM領域とを有し、かつ該ROM領域と該RAM領域との間に遷移領域を有する光ディスクが装着されるものであって、該光ディスクに光スポットを照射する光ヘッドと、該光ヘッドで該光ディスクからの反射光により得られるトラッキングサーボ信号を用いて該光スポットのトラッキング制御を行なう制御部とを有し、該制御部は、該光スポットが該遷移領域に照射されている間に、該ROM領域から情報を再生するためのトラッキングサーボ信号と該RAM領域から情報を再生するためのトラッキングサーボ信号とを切り替えてトラッキング制御を行なうものである。
【0017】
【作用】
上記本発明による光ディスクでは、RAM領域での溝の溝深さとROM領域の第2の情報信号の凹凸ピットの深さを等しくしているために、いずれも1つの光スポットを用いて回折光の変化を検出する、いわゆるプッシュプル法でトラッキング誤差信号の検出と情報信号の再生とを行なうことができる。従って、ROM領域、RAM領域ともに1つの光スポットを共通に使用できるから、光ヘッドの光利用率の確保及び部品点数の削減が可能となる。しかも、光ディスクの製造に際し、RAM領域の溝の形成に続けてROM領域の凹凸ピット列の形成を行なうことが可能となる。また、ROM領域の凹凸ピット列からなるトラックのトラックピッチがRAM領域での該溝に沿うトラックのトラックピッチよりも狭くできるので、光ディスクの容量が増大化できる。
【0018】
また、上記本発明による光ディスクでは、ROM領域とRAM領域との間に、光ディスク装置が該ROM領域から情報を再生するためのトラッキングサーボ信号と該RAM領域から情報を再生するためのトラッキングサーボ信号とを切り替えるための遷移領域を有するものであるから、光スポットがROM領域からRAM領域へ、あるいはその逆方向に移るときに、円滑な切り替えが行なわれることになる。
【0019】
上記本発明による光ディスク装置では、光ディスクにおいて、光スポットがROM領域からRAM領域へ、あるいはその逆方向に移るとき、ROM領域とRAM領域との間に設けられた遷移領域で情報を再生するためのトラッキングサーボ信号の切り替えが行なわれ、円滑な切り替えが行なわれることになる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面により説明する。
図1は本発明による光ディスクの一実施例のRAM領域とROM領域との境界部分を拡大して示す平面図であって、1は光ディスク、2はRAM領域、3はROM領域、4はトラッキング制御用のガイド溝、5は第1の情報信号、6は第2の情報信号、7は第3の情報信号、100はガイド溝4の間の領域である。
【0022】
図1において、光ディスク1のRAM領域2には、ピッチTp1でスパイラル上にトラッキング制御用のガイド溝4が設けられ、このガイド溝4の間の領域100に光学的情報記録層としての光磁気層が形成されている。かかる光磁気層にガイド溝4に沿うように光スポットのトラッキング制御がなされて第1の情報信号5の情報トラックが形成される。従って、この情報トラックのトラックピッチはTp1である。追記する第1の情報信号5は、ガイド溝4によってトラッキング制御される光ヘッドからの第1の情報信号で強度変調された光スポットと磁場とにより、情報トラック上に第1の情報信号の“1”,“0”に応じて磁化方向が反転する光磁気信号として記録される。これにより、第1の情報信号5をガイド溝4上に記録する場合に比べて、ディスクノイズを小さく押えることができ、この結果、記録される第1の情報信号5の光磁気信号の信号品質が良好になる。
【0023】
また、情報トラックの番地や情報トラック内のセクタの番地などを認識するための認識信号や情報信号を再生するための同期信号などの第2の情報信号6も、凹凸ピットとしてRAM領域2のガイド溝4の間の領域100に予め記録されている。
【0024】
一方、ROM領域3には、RAM領域2のようにはガイド溝が設けられておらず、第3の情報信号7のみがトラックピッチTp2の情報トラックに凹凸ピットの列として予め記録されている。ガイド溝間に設けてその間に凹凸ピット列の情報トラックを形成した場合には、特に、かかる情報トラックのトラックピッチTp2が狭くなると、次のような問題が生ずる。
【0025】
即ち、例えば光ヘッドからのレーザ光を透過する透過性基板上にガイド溝と凹凸ピットの列を形成する際、ディスク成型のためのマスター版を作製するときは、一般に、ディスク作成用光ヘッドから出射される別々のレーザ光の強度を変調してガイド溝と凹凸ピット列とを形成している。このため、ガイド溝部と凹凸ピット部が接近すると、これらレーザ光が互いに干渉(即ち、光強度干渉)し、その結果、ガイド溝と凹凸ピット列が、例えば半径方向に幅広となるなどして、正確に成型できないという問題である。また、他の問題としては、トラッキング信号(トラッキング誤差信号、トラッキング和信号)の信号レベルが低下するといった問題がある。
【0026】
これに対し、この実施例では、ROM領域3にガイド溝を設けないので、トラックピッチTp2を狭くしても、第3の情報信号7の凹凸ピット列を良好に成型でき、しかも、かかる凹凸ピット列から良好なトラッキング信号を得ることができるし、この結果、第3の情報信号7も精度良く再生できる。
【0027】
図2(a)は図1での分断線A−Aに沿う断面図、同図(b)は図1での分断線B−Bに沿う断面図である。
【0028】
図2(a),(b)において、情報信号の読取りのための光スポットの波長をλとすると、RAM領域2でのガイド溝4の溝深さをλ/8、第2の情報信号6の凹凸ピットの深さをλ/4、ROM領域3での第3の情報信号7の凹凸ピットの深さをガイド溝4の溝深さと等しくλ/8とする(但し、これら深さは光学的深さである)。このように、RAM領域2でのガイド溝4の深さとROM領域3での凹凸ピットの深さとを等しくλ/8とすることにより、トラッキング制御方式として、光ディスク1上の読取り光スポットがディスク半径方向に移動する際の反射光の回折パターンの変化を検出する方式(即ち、プッシュプル方式)を用いた場合、RAM領域2,ROM領域3のいずれにおいても、同じ光スポットでもってトラッキング信号(トラッキング和信号,トラッキング誤差信号)が良好に得られる。
【0029】
この結果、ROM領域3では、ガイド溝を不要として情報トラックのトラックピッチTp2を狭くできて、光ディスク1の容量を増大化できるし、また、プッシュプル方式は読取り光スポットを1個使用するだけで済むので、マルチスポットを形成する光ヘッドに比べて良好な光利用率を確保でき、かつマルチスポット用の光学部品(回折格子)を新たに設ける必要がないため、光学系を簡素化できるという長所がある。
【0030】
なお、この実施例では、第2の情報信号6の凹凸ピット列のピット深さはλ/4である。このため、RAM領域2での第2の情報信号6の凹凸ピット部によってガイド溝4からのトラッキング信号(トラッキング誤差信号、トラッキング和信号)が劣化する場合がある。しかし、実際には、RAM領域2での第1の情報信号5が記録されるガイド4間の平坦な領域100に対して第2の情報信号6の凹凸ピット部の割合は小さいため、トラッキング制御を行なう上で問題とならない。
【0031】
以上説明したように、この実施例では、トラッキング方式としては読取り光スポットが1つのプッシュプル方式が使用してトラッキング制御を良好に行なうことができるので、記憶容量を増大化可能とするとともに、第1〜第3の情報信号、特に、重要となる追記された第1の情報信号5(ここでは、光磁気信号)が良好に再生でき、かつ光ヘッドの構成が簡単にでき、かつ光利用率を充分確保できるという長所がある。
【0032】
なお、ここでは、第2の情報信号6のピット深さをλ/4としたが、これに限るものではなく、例えば、第3の情報信号7のピット深さと等しくλ/8としてもよい。一般に、ガイド溝4とROM領域3でのピットの深さは、これらが等しければ、λ/9〜λ/5の範囲、好ましくはλ/8〜λ/6の範囲にあれば、充分トラッキング信号の良好な検出と情報信号の良好な再生が可能であり、また、RAM領域2での第2の情報信号6のピットの深さも、λ/9〜λ/4の範囲にあればよい。
【0033】
図3はこの実施例でのROM領域3とRAM領域2との配置構成の一例を示す図である。
【0034】
同図において、光ディスク1の中央に、光ディスク1を回転するための回転系に装着するためのセンタ穴8が設けられ、読出し専用のROM領域3が内周部と外周部に夫々設けられ、書込み可能なRAM領域2はこれら2つのROM領域3の間の領域に設けられている。これにより、読出し専用の光ディスクと書込み可能光ディスクの両方の機能を持った利便性のある光ディスクとなる。
【0035】
なお、これは一例を示すものであり、ROM領域3とRAM領域2の配置または分布関係は図3に示すものに限るものではなく、また、これら領域の比率も適宜設定できる。
【0036】
図4は本発明による光ディスクの他の実施例のROM領域3とRAM領域2との境界部分を拡大して示す平面図であって、図1に対応する部分には同一符号をつけている。
【0037】
図1に示した実施例では、ROM領域3の情報トラックがRAM領域2の情報トラックの延長線上に形成されているが、図4に示すこの実施例では、RAM領域2での第1の情報信号5と第2の情報信号6との情報トラックが、図1に示した実施例と同様、ガイド溝4間にトラックピッチTp1で形成されるのに対し、ROM領域3での第3の情報信号7の情報トラックはガイド溝4の延長線上にトラックピッチTp2で形成されるものである。凹凸ピットの深さやガイド溝の深さは図1に示した実施例と同様である。
【0038】
これによると、レジスト上に感光性のあるレーザ光を照射してピットやガイド溝4を形成するようにするディスクの形成の際、ガイド溝4を形成する光スポットを、その光強度を変えずに、ガイド溝4の形成に続けてROM領域3で第3の情報信号7の記録を行なうことができるため、ディスク作成用光ヘッドの構成を簡単にできるという長所がある。
【0039】
次に、図4に示した光ディスクにおいて、読取り光スポットがROM領域3からRAM領域2(または、RAM領域2からROM領域3)に移動するときのトラッキング信号の極性反転について図5により説明する。
【0040】
図5(a)はRAM領域2でのトラッキング信号(トラッキング(TR)誤差信号、トラッキング(TR)和信号)を、同図(b)はROM領域3でのトラッキング信号(トラッキング(TR)誤差信号、トラッキング(TR)和信号)を夫々示し、縦軸に信号レベルを、横軸に情報トラック(オントラック)からのずれ、即ち、オフトラック量を示している。
【0041】
図5(a),(b)から明らかなように、RAM領域2のトラッキング和信号10,トラッキング誤差信号11はROM領域3のトラッキング和信号12,トラッキング誤差信号13と極性が異なる。即ち、RAM領域2のトラッキング和信号10は読取り光スポットがオントラック位置(図4でのガイド溝4の間の領域100)で最大となり、ROM領域3のトラッキング和信号12は読取り光スポットがオントラック位置(図4でのピット列101)で最小となる。なお、必ずしもオントラック位置において信号レベルは一定ではなく、信号や変調方式によって変化する。また、読取り光スポットがオントラック位置にあるときには、RAM領域2のトラッキング誤差信号11とROM領域3のトラッキング誤差信号13はともに0レベルであるが、読取り光スポットのオントラック位置からのずれ方向が同じの場合、RAM領域2のトラッキング誤差信号11とROM領域3のトラッキング誤差信号13との極性が異なる。
【0042】
ここで、読取り光スポットをオントラック位置に位置合わせするトラッキングサーボはトラッキング誤差信号11,13を用いる。このため、ROM領域3からRAM領域2、あるいはRAM領域2からROM領域3へ読取り光スポットが移動するとき、トラッキング誤差信号の極性を切り換える必要がある。しかし、トラッキング誤差信号の極性の切換えにはある程度の時間を要する。即ち、図6において、いま、読取り光スポット20がRAM領域2からROM領域3へ連続して移るものとすると、RAM領域2では、読取り光スポット20がガイド溝4間にトラッキングするように図5(a)に示すトラッキング誤差信号11でトラッキング制御されていたが、読取り光スポット20がROM領域3に移るとともにトラッキング誤差信号の極性の切換えを行ない、図5(b)に示すトラッキング誤差信号13でトラッキング制御するようにしても、読取り光スポットは直ちにROM領域3の情報トラックにオントラックするのではなく、ある程度の時間を要してオントラックすることになる。読取り光スポット20がROM領域3からRAM領域2に移る場合も同様である。
【0043】
そこで、図4に示した光ディスクでは、図6に示すように、さらに、ディスク作成の際に予めこのオントラックに要する期間読取り光スポット20がディスク半径方向に移動する領域をトラッキングサーボ用の凹凸ピット列のみが形成された遷移領域14とし、RAM領域2とROM領域3との間にかかる遷移領域14を設ける。従って、ディスク作成の際には、ガイド4を形成した後、同じレーザ光で遷移領域14の凹凸ピット列を形成し、それからROM領域3として第3の情報信号7を記録する。従って、RAM領域2からROM領域3に連続して情報信号を再生する場合にも、第3の情報信号7を良好に再生することができる。
【0044】
なお、ここでは、遷移領域14を凹凸ピット列で構成したが、これに限るものではなく、例えば、図7に示すように、遷移領域15をガイド溝で構成してもよい。この場合には、ガイド溝4をRAM領域2よりも延長し、この延長部分を遷移領域15とすることができる。
【0045】
以上のように、図4に示すようにROM領域3の情報トラックをRAM領域2のガイド溝4の延長線上に設ける場合には、これらROM領域3とRAM領域2の境界に遷移領域を設けらればよく、かかる遷移領域の長さは、読取り光スポットが移動先の領域の情報トラックにオントラックするに要する時間を少なくとも確保できる長さとすればよい。
【0046】
ところで、上記のように、RAM領域2での情報トラックのトラックピッチTp1とROM領域3での情報トラックのトラックビッチTp2とが異なり、かつこれらRAM領域2とROM領域3とがそれらの境界部で隣合わせで設けられているので、読取り光スポットがRAM領域2からROM領域3へ、あるいはその逆方向に移るとき、反射光が他方の領域での凹凸ピットやガイド溝4の影響を受ける。そこで、読取り光スポットがオントラックしても、読取り光スポットの照射領域でのディスク半径方向の光学的構造が非対象となるため、即ち、一方がROM領域3のピット列で片方がRAM領域2のガイド溝4というようになるために、ディスク1からの反射光の回折が反射光に投影されたオントラック方向に対して強度的に非対称となってトラッキング誤差信号に不必要なオフセットが生ずることもあり、このような場合、光スポットがオフトラックしてしまうという事態が生ずる。今後、光ディスクの高密度化が進んで狭トラック化されてくると、かかる問題がより重要となる。
【0047】
そこで、かかる問題を解消するために、図8に示すように、RAM領域2とROM領域3との境界部分において、これら領域2,3の境界線を符号130で示すと、RAM領域2でのこの境界線130から1周分(位置Y1から位置Y2まで)を情報信号を記録しない遷移領域とし、同様に、ROM領域3でのこの境界線130から1周分(位置X1から位置X2まで)も情報信号を記録しない遷移領域とし、RAM領域2の遷移領域での情報信号を記録しないトラック100のトラックピッチTp1’,ROM領域3の遷移領域での情報信号を記録しないトラック102のトラックピッチTp2’を夫々RAM領域2やROM領域3の他の部分の情報トラックのトラックピッチTp1(=Tp2)と異ならせることにより、トラッキング誤差信号にオフセットが生じないようにすることも可能である。
【0048】
次に、以上説明した実施例でのROM領域3とRAM領域2との情報トラックのトラックピッチについて説明する。
【0049】
上記したように、今後光ディスクの高密度化が進むと、情報トラックのトラックピッチは狭くなる。狭トラック化による信号再生上の制約は、隣接トラックからの信号の漏込み、いわゆるクロストークである。かかる制約のもとでは、トラックピッチはこのクロストークを一定値以下に保つ範囲で狭くすることが可能である。しかし、実際のRAM領域2においては、トラックピッチTp1は、クロストークばかりでなく、第1の情報信号5を光スポットで高温にして記録または書換えする際の隣接トラックへの熱伝導の点からも制限されている。RAM領域2におけるトラッキングサーボ用のガイド溝4はこの隣接トラックへの熱伝導の遮断などとしての役割もある。従って、狭トラック化に伴ってRAM領域2においてトラックピッチTp1の制限が記録の際の熱伝導から制限される場合、情報信号が再生されるのみROM領域3では、狭トラック化は隣接トラックからの信号の漏込みなどの再生特性を考慮して決定すればよく、この結果、RAM領域2のトラックピッチTp1よりもROM領域3のトラックピッチを狭くすることができる。即ち、図8においては、RAM領域2のトラックピッチTp1よりROM領域3のトラックピッチTp2を狭く(Tp1>Tp2)する。これにより、光ディスクの容量を大きくすることが可能となる。
【0050】
例えば上記実施例の光ディスクと従来の光ディスクとのような異種の光ディスクを同じディスク装置で使用できるようにすることが望ましいが、これを可能とするためには、まず、異種の光ディスクを判別することが必要である。そこで、次には、かかる異種の光ディスクを判別するための手段について説明する。
【0051】
一般に、光ディスクの種類(光ディスクの記録層の材料や構成などで種類が異なる)の判別は、光ディスクの記録層に光ヘッドからの光スポットを照射させることにより、予め光ディスクに書き込まれている光ディスクの性質や使用条件(例えば、光スポットの適切な再生パワーなど)信号を再生して行なるが、光スポットを記録層上に合焦させないと、かかる信号を正確に検出することができない。しかし、光ディスクに予め記録されているかかる信号を再生するために、光ディスクに光スポットを照射した場合、光ディスクの記録層によっては、照射される光スポットのパワーが強すぎて記録層に記録されている情報信号が破壊されるおそれがあったり、例えば、光ディスクの表面の反射率が大き過ぎて回路系が飽和し、光ディスク上に光スポットを合焦させるフォーカスサーボが正常に動作しなかったりするという問題が生ずることもある。
【0052】
図9はかかる問題を解消し、簡単に光ディスクの種類を判別することができるようにしたディスクケースの一例を示す平面図であって、同図(a)はその表面側を、同図(b)はその裏面側を夫々示し、50はこのディスクケース、51はシャッタ、52はグリッパ、53はライトプロテクタ、54は切欠き部、55a,55bはバーコード、56はラベル部である。
【0053】
図9(a),(b)において、ディスクケース50内には光ディスクが収納されており、図示しない開口部を開閉するシャッタ51が摺動可能に設けられている。かかるディスクケース50がディスク装置に装着されたときには、このディスク装置に設けられている駆動機構により、シャッタ51が駆動されて上記開口部が開き、光ヘッドから光スポットを照射できる。また、ディススクケース50の両側辺にはグリッパが設けられ、これによってディスクケース50がディスク装置に装着されたときの正規の位置への位置決めがなされる。さらに、ディスクケース50には、ライトプロテクタ53が設けられ、これによって光ディスクへの記録が可能かどうかを判別できるようになっている。ディスクケース50の先端角部に設けられる斜めの切欠き部54は、ディスクケース50が表面を上にして装着されたか、裏面を上にして装着されたかを判別するためのものであり、さらには、磁気ディスク(フロッピーディスク)の誤挿入の防止の機能をも備えている。
【0054】
以上の構成は従来の光ディスクでのディスクケースと同様であるが、この図9に示すディスクケースにおいては、さらに、ディスクケース50の表面と裏面とにこれに収納された光ディスクの種類を表わす情報のディスク判別部材が、例えば光学的に読取り可能なバーコード55a,55bとして設けられている。かかる情報としては、光ディスク反射率や上限の再生パワー(即ち、光ディスクに記録されている情報信号が破壊されない最大パワーやそのときの線速度)などである。
【0055】
図10はかかるディスクケース50からバーコード55a,55bを読み取ってそこに収納されている光ディスクの種類を判別する手段を備えた光ディスク装置の一例を示す構成図であって、59はこのディスク装置、60は信号処理回路や制御部などの回路系、61は回転駆動系、62はコース系、63は光ヘッド、64は判別手段、65は光束であり、前出図面に対応する部分には同一符号をつけている。
【0056】
同図において、光ディスク装置59は、少なくとも、装着されたディスクケース50に収納されている光ディスク1を回転駆動するための回転駆動系61と、光ヘッド63と、光ヘッド63を光ディスク1の半径方向に移動させるためのコース系62と、これらを制御する制御部や記録再生情報信号を処理する信号処理部などからなる回路系60を有している。
【0057】
かかる光ディスク装置59にディスクケース50が挿入される際、判別手段64から出射された光束65がディスクケース50のバーコード55aまたは55bを走査し、これを読み取ってディスクケース50に収納されている光ディスク1の種類が判別される。
【0058】
判別手段64の判別結果に応じてディスク装置59の再生パワーなどが設定されるが、判別手段64の判別結果から挿入された光ディスク1がサーボ的に対応できない場合、あるいは再生パワーが上限の再生パワーを超える場合には、挿入されたディスクケース59を外部に排出する。
【0059】
なお、ここでは、判別手段64をディスクケース50の裏面側に位置するようにし、ディスクケース50の裏面側に設けられたバーコード55bを読み取るようにしてもよい。
【0060】
また、光ディスクの種類として光ディスク上の情報信号が破壊されることを防止するために上限の再生パワーをディスクケース50にバーコードとして設けたが、磁界の上限も設けてもよい。
【0061】
図11は図10における判別手段64の一具体例を示す構成であって、67は半導体レーザ素子、68は発散光束、69はレンズ、70はビームスプリッタ、72は光束、73は光検出器、74は検出信号であり、図10に対応する部分には同一符号をつけている。
【0062】
同図において、判別手段64では、半導体レーザ素子67から発射された発散光束68はレンズ69によって平行光束65に変換され、ビームスプリッタ70で反射されてディスクケース50のバーコード55aに照射される。バーコード55aで反射された光束72はビームスプリッタ70を通り、光検出器73で検出される。この光束72はバーコード55aによって強度変調されており、光検出器73からこの強度変調に応じた検出信号74が得られる。図10の回路系60はこの検出信号74から光ディスク1の種類を判定する。
【0063】
なお、この具体例では、光源として半導体レーザ素子67を用いたが、これに限るものではなく、可干渉性のない光を発する例えば発光ダイオードなどの光源を用いてもよい。
【0064】
また、光ディスク1のディスク判別部材や判別手段64に光学的手段を用いたが、これに限るものではなく、要するに、ディスクの反射率や最適再生パワーを判別できる適宜の手段をディスクケース50や光ディスク装置59に設けるようにすればよい。
【0065】
図12は本発明におけるディスク装置の一実施例のディスク記録再生部を示すものであって、同図(a)は概略側面図、同図(b)は図12(a)の上方からみた概略平面図であり、80はこのディスク装置、81は再生専用光ヘッド、82記録・再生用光ヘッド、83は回転駆動系である。なお、前出図面に対応する部分には同一符号をつけている。
【0066】
図12(a),(b)において、光ディスク1には、その外周側に読出し専用のROM領域3が、内周側に書込み専用のRAM領域2が夫々設けられており、回転駆動系83に装着されて回転駆動される。そして、再生専用光ヘッド81と記録・再生用光ヘッド82との2つの光ヘッドが設けられており、再生専用光ヘッド81が光ディスク1のROM領域81の情報信号の再生に、記録・再生用光ヘッド82が光ディスク1のRAM領域2での情報信号の記録,再生に夫々使用される。
【0067】
この実施例においては、かかる構成により、光ディスク3のROM領域3での情報信号の再生と同時に、RAM領域2での情報信号の再生や新たな情報信号の記録を行なうことができる。また、2個の光ヘッドのうち1つを再生専用としたことにより、再生専用光ヘッド81に組み込まれる光源(例えば、半導体レーザ素子)のパワーを小さくでき、価格の面で有利となる。
【0068】
さらに、図12(b)に示すように、再生専用光ヘッド81と記録・再生用光ヘッド82とが、光ディスク3を挟んで対向して設けられる。これにより、光ディスク装置80を小型化できる。なお、再生専用光ヘッド81で、ROM領域3の情報信号ばかりでなく、RAM領域2の情報信号を再生できるようにしてもよいし、RAM領域2への情報信号の書込みを熱磁気記録を用いて行なう場合、記録・再生用光ヘッド82を記録専用光ヘッドとしてもよい。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、読出し専用のROM領域と読み書き可能のRAM領域とが設けられた光ディスクにおいて、ROM領域のピットの深さとRAM領域の溝の深さとを略等しくしているので、ROM領域に溝を設けずとも、ROM領域とRAM領域とで1つの光スポットによるトラッキング誤差信号の検出が可能となり、いずれの領域でも安定したトラッキング誤差信号が得られて情報信号の良好な再生が可能となり、また、ROM領域でのトラックピッチを狭くできて、記録容量を高めることができる。
【0070】
また、本発明によれば、読出し専用のROM領域と読み書き可能のRAM領域とが設けられた光ディスクにおいて、これらROM領域とRAM領域との間に、ROM領域での情報再生のためのトラッキングサーボ信号とRAM領域での情報再生のためのトラッキングサーボ信号とを切り替えるための遷移領域を設けたものであるから、トラッキングサーボ信号の円滑な切り替えが行なわれることになる。
【0071】
さらに、本発明によるディスク装置によれば、光ディスクのROM領域とRAM領域とで同じ光ヘッドで記録再生を行なっても、これらROM領域とRAM領域との間に設けられた遷移領域でROM領域でのトラッキングサーボ信号とRAM領域でのトラッキングサーボ信号との切り替えを行なうものであるから、ROM領域とRAM領域とのいずれにおいても、安定したトラッキング制御で情報再生を行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光ディスクの一実施例の要部を拡大して示す平面図である。
【図2】図1における分断線A−A,B−Bに沿う断面図である。
【図3】図1に示した光ディスクの全体構成を示す平面図である。
【図4】本発明による光ディスクの他の実施例の要部を拡大して示す平面図である。
【図5】図4におけるROM領域とRAM領域とでのトラッキング和信号とトラッキング誤差信号を示す図である。
【図6】本発明による光ディスクのさらに他の実施例の要部を拡大して示す平面図である。
【図7】本発明による光ディスクのさらに他の実施例の要部を拡大して示す平面図である。
【図8】本発明による光ディスクのさらに他の実施例の要部を拡大して示す平面図である。
【図9】内蔵の光ディスクの種類を判別可能とするディスクケースの一例を示す外観図である。
【図10】光ディスクの種類を判別する手段を備えたディスク装置の一例を示す内部側面図である。
【図11】図10のおける判別手段の一具体例を示す構成図である
【図12】
本発明によるディスク装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図13】ROM領域とRAM領域とを備えた従来の光ディスクの一例を示す平面図である。
【図14】図13におけるROM領域とRAM領域との境界部を拡大して示す斜視図である。
【符号の説明】
1 光ディスク
2 RAM領域
3 ROM領域
4 ガイド溝
5 RAM領域に光磁気信号として記録される第1の情報信号
6 RAM領域に凹凸ピット列として記録される第2の情報信号
7 ROM領域に凹凸ピット列として記録される第3の情報信号
【産業上の利用分野】
本発明は、記録再生可能領域と再生専用領域とを有する光ディスクと、該光ディスクで情報信号を記録,再生する光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンパクトディスクなどの再生専用光ディスクに比べて利便性ある大容量ファイルとなるものとして、予め情報信号が記録され、この情報信号を読み出すことしかできない再生専用領域(以下、ROM領域という)と、情報信号の新たな追記または書換えを可能とする記録再生可能領域(以下、RAM領域という)とを有する光ディスクが提案されている。かかる光ディスクの一例が特開平2−239440号公報に開示されているが、この光ディスクでは、RAM領域の光学的情報記録層として遷移金属と希土類金属の合金からなる光磁気膜が用いられている。
【0003】
以下、この光ディスクについて図13及び図14により説明する。但し、図13はこの光ディスクの記録面を示す平面図であって、200は光ディスク、201はRAM領域、202はROM領域である。また、図14は図13におけるRAM領域201とROM領域との境界部分を拡大して示す斜視図であり、203は記録ピット、204はガイド溝、206は記録ピットであり、図13に対応する部分には同一符号を付けている。
【0004】
図13及び図14において、光ディスク200の内周部にROM領域202が、外周部にRAM領域201が夫々設けられてある。
【0005】
RAM領域201には、光ヘッドから照射される光スポットを情報信号が記録されるトラック(以下、情報トラックという)に正確に位置合わせするための、いわゆるトラッキング制御用のガイド溝204が螺旋状に設けられており、追記される情報信号はこれらガイド溝204間の光磁気膜に磁気の方向の違いによる記録ピット205(図示せず)として記録される。これにより、情報信号をガイド溝204上に記録するのに対して情報信号の信号品質の向上を図っている。また、情報トラックの位置または情報トラック内の記録情報位置などを識別するための識別信号も、ガイド溝204間に凹凸ピット203として予め記録されている。
【0006】
一方、ROM領域202には、RAM領域201でのようなトラッキング制御用のガイド溝204は設けられておらず、情報信号が凹凸状の一連のピット206の列として予め記録されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の光ディスクでは、ROM領域やRAM領域における凹凸ピットの形状や、トラッキング用のガイド溝の形状,深さなどについては配慮されていない。ROM領域の凹凸ピットやガイド溝の形状は、ROM領域の情報信号の品質ばかりでなく、ROM領域やRAM領域に記録されている情報信号を正確に再生するために必要なサ−ボ信号の品質に多大な影響を与える。このため、上記従来の光ディスクでは、光ディスクから良好なサ−ボ信号を得ることができず、その結果、光ディスク上のROM領域やRAM領域から情報信号を正確に再生することができないという問題があった。
【0008】
また、光ディスクとしても、光学的情報記録層の材料の種類や線速度などが異なるものがあり、このような種類が異なる光ディスクでも、同じ光ディスク装置で扱うことができるようにすることが望ましい。しかし、異なる種類の光ディスクを使用する場合、まず、使用される光ディススクがどのようなパワーの光スポットでどのような線速度で動作させたらよいか判定する必要があり、このため、光ディスクを収納したディスクケースが光ディスク装置に装着されると、光ディスクに光スポットを照射してROM領域での再生動作を行ない、これによって光ディスクの種類を判定することが従来行なわれている。
【0009】
しかし、このような方法によると、光ディスクの光学的情報記録層によっては光スポットのパワーが強すぎて、予め記録されている情報を破壊してしまうおそれがあった。
【0010】
本発明の第1の目的は、かかる問題を解消し、サ−ボ信号を良好に得ることができ、この結果、情報信号を良好に再生することができるROM領域とRAM領域とを有する光ディスクを提供することにある。
【0011】
また、本発明の第2の目的は、光ディスクのROM領域での情報信号の再生と、該光ディスクのRAM領域での情報信号の記録,再生を行なうことができるようにした光ディスク装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために、本発明による光ディスクは、RAM領域には、溝が設けられ、該溝の間に凹凸ピット列からなる第1の情報信号が予め記録されていて、該溝に沿って第2の情報信号が記録可能であり、ROM領域には、凹凸ピット列からなる第3の情報信号が予め記録されており、該第3の情報信号を示す凹凸ピットの深さと該溝の深さとを略等しくし、かつ該ROM領域の凹凸ピット列からなるトラックのトラックピッチが、該RAM領域での該溝に沿うトラックのトラックピッチよりも狭くしたものである。
【0013】
また、上記第1の目的を達成するために、本発明による光ディスクは、ROM領域とRAM領域とを有するとともに、該ROM領域と該RAM領域との間に、光ディスク装置が該ROM領域から情報を再生するためのトラッキングサーボ信号と該RAM領域から情報を再生するためのトラッキングサーボ信号とを切り替えるための遷移領域を有するものである。
【0014】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明による光ディスク装置は、ROM領域とRAM領域とを有し、かつ該ROM領域と該RAM領域との間に遷移領域を有する光ディスクが装着されるものであって、該光ディスクに光スポットを照射する光ヘッドと、該光ヘッドで該光ディスクからの反射光により得られるトラッキングサーボ信号を用いて該光スポットのトラッキング制御を行なう制御部とを有し、該制御部は、該光スポットが該遷移領域に照射されている間に、該ROM領域から情報を再生するためのトラッキングサーボ信号と該RAM領域から情報を再生するためのトラッキングサーボ信号とを切り替えてトラッキング制御を行なうものである。
【0017】
【作用】
上記本発明による光ディスクでは、RAM領域での溝の溝深さとROM領域の第2の情報信号の凹凸ピットの深さを等しくしているために、いずれも1つの光スポットを用いて回折光の変化を検出する、いわゆるプッシュプル法でトラッキング誤差信号の検出と情報信号の再生とを行なうことができる。従って、ROM領域、RAM領域ともに1つの光スポットを共通に使用できるから、光ヘッドの光利用率の確保及び部品点数の削減が可能となる。しかも、光ディスクの製造に際し、RAM領域の溝の形成に続けてROM領域の凹凸ピット列の形成を行なうことが可能となる。また、ROM領域の凹凸ピット列からなるトラックのトラックピッチがRAM領域での該溝に沿うトラックのトラックピッチよりも狭くできるので、光ディスクの容量が増大化できる。
【0018】
また、上記本発明による光ディスクでは、ROM領域とRAM領域との間に、光ディスク装置が該ROM領域から情報を再生するためのトラッキングサーボ信号と該RAM領域から情報を再生するためのトラッキングサーボ信号とを切り替えるための遷移領域を有するものであるから、光スポットがROM領域からRAM領域へ、あるいはその逆方向に移るときに、円滑な切り替えが行なわれることになる。
【0019】
上記本発明による光ディスク装置では、光ディスクにおいて、光スポットがROM領域からRAM領域へ、あるいはその逆方向に移るとき、ROM領域とRAM領域との間に設けられた遷移領域で情報を再生するためのトラッキングサーボ信号の切り替えが行なわれ、円滑な切り替えが行なわれることになる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面により説明する。
図1は本発明による光ディスクの一実施例のRAM領域とROM領域との境界部分を拡大して示す平面図であって、1は光ディスク、2はRAM領域、3はROM領域、4はトラッキング制御用のガイド溝、5は第1の情報信号、6は第2の情報信号、7は第3の情報信号、100はガイド溝4の間の領域である。
【0022】
図1において、光ディスク1のRAM領域2には、ピッチTp1でスパイラル上にトラッキング制御用のガイド溝4が設けられ、このガイド溝4の間の領域100に光学的情報記録層としての光磁気層が形成されている。かかる光磁気層にガイド溝4に沿うように光スポットのトラッキング制御がなされて第1の情報信号5の情報トラックが形成される。従って、この情報トラックのトラックピッチはTp1である。追記する第1の情報信号5は、ガイド溝4によってトラッキング制御される光ヘッドからの第1の情報信号で強度変調された光スポットと磁場とにより、情報トラック上に第1の情報信号の“1”,“0”に応じて磁化方向が反転する光磁気信号として記録される。これにより、第1の情報信号5をガイド溝4上に記録する場合に比べて、ディスクノイズを小さく押えることができ、この結果、記録される第1の情報信号5の光磁気信号の信号品質が良好になる。
【0023】
また、情報トラックの番地や情報トラック内のセクタの番地などを認識するための認識信号や情報信号を再生するための同期信号などの第2の情報信号6も、凹凸ピットとしてRAM領域2のガイド溝4の間の領域100に予め記録されている。
【0024】
一方、ROM領域3には、RAM領域2のようにはガイド溝が設けられておらず、第3の情報信号7のみがトラックピッチTp2の情報トラックに凹凸ピットの列として予め記録されている。ガイド溝間に設けてその間に凹凸ピット列の情報トラックを形成した場合には、特に、かかる情報トラックのトラックピッチTp2が狭くなると、次のような問題が生ずる。
【0025】
即ち、例えば光ヘッドからのレーザ光を透過する透過性基板上にガイド溝と凹凸ピットの列を形成する際、ディスク成型のためのマスター版を作製するときは、一般に、ディスク作成用光ヘッドから出射される別々のレーザ光の強度を変調してガイド溝と凹凸ピット列とを形成している。このため、ガイド溝部と凹凸ピット部が接近すると、これらレーザ光が互いに干渉(即ち、光強度干渉)し、その結果、ガイド溝と凹凸ピット列が、例えば半径方向に幅広となるなどして、正確に成型できないという問題である。また、他の問題としては、トラッキング信号(トラッキング誤差信号、トラッキング和信号)の信号レベルが低下するといった問題がある。
【0026】
これに対し、この実施例では、ROM領域3にガイド溝を設けないので、トラックピッチTp2を狭くしても、第3の情報信号7の凹凸ピット列を良好に成型でき、しかも、かかる凹凸ピット列から良好なトラッキング信号を得ることができるし、この結果、第3の情報信号7も精度良く再生できる。
【0027】
図2(a)は図1での分断線A−Aに沿う断面図、同図(b)は図1での分断線B−Bに沿う断面図である。
【0028】
図2(a),(b)において、情報信号の読取りのための光スポットの波長をλとすると、RAM領域2でのガイド溝4の溝深さをλ/8、第2の情報信号6の凹凸ピットの深さをλ/4、ROM領域3での第3の情報信号7の凹凸ピットの深さをガイド溝4の溝深さと等しくλ/8とする(但し、これら深さは光学的深さである)。このように、RAM領域2でのガイド溝4の深さとROM領域3での凹凸ピットの深さとを等しくλ/8とすることにより、トラッキング制御方式として、光ディスク1上の読取り光スポットがディスク半径方向に移動する際の反射光の回折パターンの変化を検出する方式(即ち、プッシュプル方式)を用いた場合、RAM領域2,ROM領域3のいずれにおいても、同じ光スポットでもってトラッキング信号(トラッキング和信号,トラッキング誤差信号)が良好に得られる。
【0029】
この結果、ROM領域3では、ガイド溝を不要として情報トラックのトラックピッチTp2を狭くできて、光ディスク1の容量を増大化できるし、また、プッシュプル方式は読取り光スポットを1個使用するだけで済むので、マルチスポットを形成する光ヘッドに比べて良好な光利用率を確保でき、かつマルチスポット用の光学部品(回折格子)を新たに設ける必要がないため、光学系を簡素化できるという長所がある。
【0030】
なお、この実施例では、第2の情報信号6の凹凸ピット列のピット深さはλ/4である。このため、RAM領域2での第2の情報信号6の凹凸ピット部によってガイド溝4からのトラッキング信号(トラッキング誤差信号、トラッキング和信号)が劣化する場合がある。しかし、実際には、RAM領域2での第1の情報信号5が記録されるガイド4間の平坦な領域100に対して第2の情報信号6の凹凸ピット部の割合は小さいため、トラッキング制御を行なう上で問題とならない。
【0031】
以上説明したように、この実施例では、トラッキング方式としては読取り光スポットが1つのプッシュプル方式が使用してトラッキング制御を良好に行なうことができるので、記憶容量を増大化可能とするとともに、第1〜第3の情報信号、特に、重要となる追記された第1の情報信号5(ここでは、光磁気信号)が良好に再生でき、かつ光ヘッドの構成が簡単にでき、かつ光利用率を充分確保できるという長所がある。
【0032】
なお、ここでは、第2の情報信号6のピット深さをλ/4としたが、これに限るものではなく、例えば、第3の情報信号7のピット深さと等しくλ/8としてもよい。一般に、ガイド溝4とROM領域3でのピットの深さは、これらが等しければ、λ/9〜λ/5の範囲、好ましくはλ/8〜λ/6の範囲にあれば、充分トラッキング信号の良好な検出と情報信号の良好な再生が可能であり、また、RAM領域2での第2の情報信号6のピットの深さも、λ/9〜λ/4の範囲にあればよい。
【0033】
図3はこの実施例でのROM領域3とRAM領域2との配置構成の一例を示す図である。
【0034】
同図において、光ディスク1の中央に、光ディスク1を回転するための回転系に装着するためのセンタ穴8が設けられ、読出し専用のROM領域3が内周部と外周部に夫々設けられ、書込み可能なRAM領域2はこれら2つのROM領域3の間の領域に設けられている。これにより、読出し専用の光ディスクと書込み可能光ディスクの両方の機能を持った利便性のある光ディスクとなる。
【0035】
なお、これは一例を示すものであり、ROM領域3とRAM領域2の配置または分布関係は図3に示すものに限るものではなく、また、これら領域の比率も適宜設定できる。
【0036】
図4は本発明による光ディスクの他の実施例のROM領域3とRAM領域2との境界部分を拡大して示す平面図であって、図1に対応する部分には同一符号をつけている。
【0037】
図1に示した実施例では、ROM領域3の情報トラックがRAM領域2の情報トラックの延長線上に形成されているが、図4に示すこの実施例では、RAM領域2での第1の情報信号5と第2の情報信号6との情報トラックが、図1に示した実施例と同様、ガイド溝4間にトラックピッチTp1で形成されるのに対し、ROM領域3での第3の情報信号7の情報トラックはガイド溝4の延長線上にトラックピッチTp2で形成されるものである。凹凸ピットの深さやガイド溝の深さは図1に示した実施例と同様である。
【0038】
これによると、レジスト上に感光性のあるレーザ光を照射してピットやガイド溝4を形成するようにするディスクの形成の際、ガイド溝4を形成する光スポットを、その光強度を変えずに、ガイド溝4の形成に続けてROM領域3で第3の情報信号7の記録を行なうことができるため、ディスク作成用光ヘッドの構成を簡単にできるという長所がある。
【0039】
次に、図4に示した光ディスクにおいて、読取り光スポットがROM領域3からRAM領域2(または、RAM領域2からROM領域3)に移動するときのトラッキング信号の極性反転について図5により説明する。
【0040】
図5(a)はRAM領域2でのトラッキング信号(トラッキング(TR)誤差信号、トラッキング(TR)和信号)を、同図(b)はROM領域3でのトラッキング信号(トラッキング(TR)誤差信号、トラッキング(TR)和信号)を夫々示し、縦軸に信号レベルを、横軸に情報トラック(オントラック)からのずれ、即ち、オフトラック量を示している。
【0041】
図5(a),(b)から明らかなように、RAM領域2のトラッキング和信号10,トラッキング誤差信号11はROM領域3のトラッキング和信号12,トラッキング誤差信号13と極性が異なる。即ち、RAM領域2のトラッキング和信号10は読取り光スポットがオントラック位置(図4でのガイド溝4の間の領域100)で最大となり、ROM領域3のトラッキング和信号12は読取り光スポットがオントラック位置(図4でのピット列101)で最小となる。なお、必ずしもオントラック位置において信号レベルは一定ではなく、信号や変調方式によって変化する。また、読取り光スポットがオントラック位置にあるときには、RAM領域2のトラッキング誤差信号11とROM領域3のトラッキング誤差信号13はともに0レベルであるが、読取り光スポットのオントラック位置からのずれ方向が同じの場合、RAM領域2のトラッキング誤差信号11とROM領域3のトラッキング誤差信号13との極性が異なる。
【0042】
ここで、読取り光スポットをオントラック位置に位置合わせするトラッキングサーボはトラッキング誤差信号11,13を用いる。このため、ROM領域3からRAM領域2、あるいはRAM領域2からROM領域3へ読取り光スポットが移動するとき、トラッキング誤差信号の極性を切り換える必要がある。しかし、トラッキング誤差信号の極性の切換えにはある程度の時間を要する。即ち、図6において、いま、読取り光スポット20がRAM領域2からROM領域3へ連続して移るものとすると、RAM領域2では、読取り光スポット20がガイド溝4間にトラッキングするように図5(a)に示すトラッキング誤差信号11でトラッキング制御されていたが、読取り光スポット20がROM領域3に移るとともにトラッキング誤差信号の極性の切換えを行ない、図5(b)に示すトラッキング誤差信号13でトラッキング制御するようにしても、読取り光スポットは直ちにROM領域3の情報トラックにオントラックするのではなく、ある程度の時間を要してオントラックすることになる。読取り光スポット20がROM領域3からRAM領域2に移る場合も同様である。
【0043】
そこで、図4に示した光ディスクでは、図6に示すように、さらに、ディスク作成の際に予めこのオントラックに要する期間読取り光スポット20がディスク半径方向に移動する領域をトラッキングサーボ用の凹凸ピット列のみが形成された遷移領域14とし、RAM領域2とROM領域3との間にかかる遷移領域14を設ける。従って、ディスク作成の際には、ガイド4を形成した後、同じレーザ光で遷移領域14の凹凸ピット列を形成し、それからROM領域3として第3の情報信号7を記録する。従って、RAM領域2からROM領域3に連続して情報信号を再生する場合にも、第3の情報信号7を良好に再生することができる。
【0044】
なお、ここでは、遷移領域14を凹凸ピット列で構成したが、これに限るものではなく、例えば、図7に示すように、遷移領域15をガイド溝で構成してもよい。この場合には、ガイド溝4をRAM領域2よりも延長し、この延長部分を遷移領域15とすることができる。
【0045】
以上のように、図4に示すようにROM領域3の情報トラックをRAM領域2のガイド溝4の延長線上に設ける場合には、これらROM領域3とRAM領域2の境界に遷移領域を設けらればよく、かかる遷移領域の長さは、読取り光スポットが移動先の領域の情報トラックにオントラックするに要する時間を少なくとも確保できる長さとすればよい。
【0046】
ところで、上記のように、RAM領域2での情報トラックのトラックピッチTp1とROM領域3での情報トラックのトラックビッチTp2とが異なり、かつこれらRAM領域2とROM領域3とがそれらの境界部で隣合わせで設けられているので、読取り光スポットがRAM領域2からROM領域3へ、あるいはその逆方向に移るとき、反射光が他方の領域での凹凸ピットやガイド溝4の影響を受ける。そこで、読取り光スポットがオントラックしても、読取り光スポットの照射領域でのディスク半径方向の光学的構造が非対象となるため、即ち、一方がROM領域3のピット列で片方がRAM領域2のガイド溝4というようになるために、ディスク1からの反射光の回折が反射光に投影されたオントラック方向に対して強度的に非対称となってトラッキング誤差信号に不必要なオフセットが生ずることもあり、このような場合、光スポットがオフトラックしてしまうという事態が生ずる。今後、光ディスクの高密度化が進んで狭トラック化されてくると、かかる問題がより重要となる。
【0047】
そこで、かかる問題を解消するために、図8に示すように、RAM領域2とROM領域3との境界部分において、これら領域2,3の境界線を符号130で示すと、RAM領域2でのこの境界線130から1周分(位置Y1から位置Y2まで)を情報信号を記録しない遷移領域とし、同様に、ROM領域3でのこの境界線130から1周分(位置X1から位置X2まで)も情報信号を記録しない遷移領域とし、RAM領域2の遷移領域での情報信号を記録しないトラック100のトラックピッチTp1’,ROM領域3の遷移領域での情報信号を記録しないトラック102のトラックピッチTp2’を夫々RAM領域2やROM領域3の他の部分の情報トラックのトラックピッチTp1(=Tp2)と異ならせることにより、トラッキング誤差信号にオフセットが生じないようにすることも可能である。
【0048】
次に、以上説明した実施例でのROM領域3とRAM領域2との情報トラックのトラックピッチについて説明する。
【0049】
上記したように、今後光ディスクの高密度化が進むと、情報トラックのトラックピッチは狭くなる。狭トラック化による信号再生上の制約は、隣接トラックからの信号の漏込み、いわゆるクロストークである。かかる制約のもとでは、トラックピッチはこのクロストークを一定値以下に保つ範囲で狭くすることが可能である。しかし、実際のRAM領域2においては、トラックピッチTp1は、クロストークばかりでなく、第1の情報信号5を光スポットで高温にして記録または書換えする際の隣接トラックへの熱伝導の点からも制限されている。RAM領域2におけるトラッキングサーボ用のガイド溝4はこの隣接トラックへの熱伝導の遮断などとしての役割もある。従って、狭トラック化に伴ってRAM領域2においてトラックピッチTp1の制限が記録の際の熱伝導から制限される場合、情報信号が再生されるのみROM領域3では、狭トラック化は隣接トラックからの信号の漏込みなどの再生特性を考慮して決定すればよく、この結果、RAM領域2のトラックピッチTp1よりもROM領域3のトラックピッチを狭くすることができる。即ち、図8においては、RAM領域2のトラックピッチTp1よりROM領域3のトラックピッチTp2を狭く(Tp1>Tp2)する。これにより、光ディスクの容量を大きくすることが可能となる。
【0050】
例えば上記実施例の光ディスクと従来の光ディスクとのような異種の光ディスクを同じディスク装置で使用できるようにすることが望ましいが、これを可能とするためには、まず、異種の光ディスクを判別することが必要である。そこで、次には、かかる異種の光ディスクを判別するための手段について説明する。
【0051】
一般に、光ディスクの種類(光ディスクの記録層の材料や構成などで種類が異なる)の判別は、光ディスクの記録層に光ヘッドからの光スポットを照射させることにより、予め光ディスクに書き込まれている光ディスクの性質や使用条件(例えば、光スポットの適切な再生パワーなど)信号を再生して行なるが、光スポットを記録層上に合焦させないと、かかる信号を正確に検出することができない。しかし、光ディスクに予め記録されているかかる信号を再生するために、光ディスクに光スポットを照射した場合、光ディスクの記録層によっては、照射される光スポットのパワーが強すぎて記録層に記録されている情報信号が破壊されるおそれがあったり、例えば、光ディスクの表面の反射率が大き過ぎて回路系が飽和し、光ディスク上に光スポットを合焦させるフォーカスサーボが正常に動作しなかったりするという問題が生ずることもある。
【0052】
図9はかかる問題を解消し、簡単に光ディスクの種類を判別することができるようにしたディスクケースの一例を示す平面図であって、同図(a)はその表面側を、同図(b)はその裏面側を夫々示し、50はこのディスクケース、51はシャッタ、52はグリッパ、53はライトプロテクタ、54は切欠き部、55a,55bはバーコード、56はラベル部である。
【0053】
図9(a),(b)において、ディスクケース50内には光ディスクが収納されており、図示しない開口部を開閉するシャッタ51が摺動可能に設けられている。かかるディスクケース50がディスク装置に装着されたときには、このディスク装置に設けられている駆動機構により、シャッタ51が駆動されて上記開口部が開き、光ヘッドから光スポットを照射できる。また、ディススクケース50の両側辺にはグリッパが設けられ、これによってディスクケース50がディスク装置に装着されたときの正規の位置への位置決めがなされる。さらに、ディスクケース50には、ライトプロテクタ53が設けられ、これによって光ディスクへの記録が可能かどうかを判別できるようになっている。ディスクケース50の先端角部に設けられる斜めの切欠き部54は、ディスクケース50が表面を上にして装着されたか、裏面を上にして装着されたかを判別するためのものであり、さらには、磁気ディスク(フロッピーディスク)の誤挿入の防止の機能をも備えている。
【0054】
以上の構成は従来の光ディスクでのディスクケースと同様であるが、この図9に示すディスクケースにおいては、さらに、ディスクケース50の表面と裏面とにこれに収納された光ディスクの種類を表わす情報のディスク判別部材が、例えば光学的に読取り可能なバーコード55a,55bとして設けられている。かかる情報としては、光ディスク反射率や上限の再生パワー(即ち、光ディスクに記録されている情報信号が破壊されない最大パワーやそのときの線速度)などである。
【0055】
図10はかかるディスクケース50からバーコード55a,55bを読み取ってそこに収納されている光ディスクの種類を判別する手段を備えた光ディスク装置の一例を示す構成図であって、59はこのディスク装置、60は信号処理回路や制御部などの回路系、61は回転駆動系、62はコース系、63は光ヘッド、64は判別手段、65は光束であり、前出図面に対応する部分には同一符号をつけている。
【0056】
同図において、光ディスク装置59は、少なくとも、装着されたディスクケース50に収納されている光ディスク1を回転駆動するための回転駆動系61と、光ヘッド63と、光ヘッド63を光ディスク1の半径方向に移動させるためのコース系62と、これらを制御する制御部や記録再生情報信号を処理する信号処理部などからなる回路系60を有している。
【0057】
かかる光ディスク装置59にディスクケース50が挿入される際、判別手段64から出射された光束65がディスクケース50のバーコード55aまたは55bを走査し、これを読み取ってディスクケース50に収納されている光ディスク1の種類が判別される。
【0058】
判別手段64の判別結果に応じてディスク装置59の再生パワーなどが設定されるが、判別手段64の判別結果から挿入された光ディスク1がサーボ的に対応できない場合、あるいは再生パワーが上限の再生パワーを超える場合には、挿入されたディスクケース59を外部に排出する。
【0059】
なお、ここでは、判別手段64をディスクケース50の裏面側に位置するようにし、ディスクケース50の裏面側に設けられたバーコード55bを読み取るようにしてもよい。
【0060】
また、光ディスクの種類として光ディスク上の情報信号が破壊されることを防止するために上限の再生パワーをディスクケース50にバーコードとして設けたが、磁界の上限も設けてもよい。
【0061】
図11は図10における判別手段64の一具体例を示す構成であって、67は半導体レーザ素子、68は発散光束、69はレンズ、70はビームスプリッタ、72は光束、73は光検出器、74は検出信号であり、図10に対応する部分には同一符号をつけている。
【0062】
同図において、判別手段64では、半導体レーザ素子67から発射された発散光束68はレンズ69によって平行光束65に変換され、ビームスプリッタ70で反射されてディスクケース50のバーコード55aに照射される。バーコード55aで反射された光束72はビームスプリッタ70を通り、光検出器73で検出される。この光束72はバーコード55aによって強度変調されており、光検出器73からこの強度変調に応じた検出信号74が得られる。図10の回路系60はこの検出信号74から光ディスク1の種類を判定する。
【0063】
なお、この具体例では、光源として半導体レーザ素子67を用いたが、これに限るものではなく、可干渉性のない光を発する例えば発光ダイオードなどの光源を用いてもよい。
【0064】
また、光ディスク1のディスク判別部材や判別手段64に光学的手段を用いたが、これに限るものではなく、要するに、ディスクの反射率や最適再生パワーを判別できる適宜の手段をディスクケース50や光ディスク装置59に設けるようにすればよい。
【0065】
図12は本発明におけるディスク装置の一実施例のディスク記録再生部を示すものであって、同図(a)は概略側面図、同図(b)は図12(a)の上方からみた概略平面図であり、80はこのディスク装置、81は再生専用光ヘッド、82記録・再生用光ヘッド、83は回転駆動系である。なお、前出図面に対応する部分には同一符号をつけている。
【0066】
図12(a),(b)において、光ディスク1には、その外周側に読出し専用のROM領域3が、内周側に書込み専用のRAM領域2が夫々設けられており、回転駆動系83に装着されて回転駆動される。そして、再生専用光ヘッド81と記録・再生用光ヘッド82との2つの光ヘッドが設けられており、再生専用光ヘッド81が光ディスク1のROM領域81の情報信号の再生に、記録・再生用光ヘッド82が光ディスク1のRAM領域2での情報信号の記録,再生に夫々使用される。
【0067】
この実施例においては、かかる構成により、光ディスク3のROM領域3での情報信号の再生と同時に、RAM領域2での情報信号の再生や新たな情報信号の記録を行なうことができる。また、2個の光ヘッドのうち1つを再生専用としたことにより、再生専用光ヘッド81に組み込まれる光源(例えば、半導体レーザ素子)のパワーを小さくでき、価格の面で有利となる。
【0068】
さらに、図12(b)に示すように、再生専用光ヘッド81と記録・再生用光ヘッド82とが、光ディスク3を挟んで対向して設けられる。これにより、光ディスク装置80を小型化できる。なお、再生専用光ヘッド81で、ROM領域3の情報信号ばかりでなく、RAM領域2の情報信号を再生できるようにしてもよいし、RAM領域2への情報信号の書込みを熱磁気記録を用いて行なう場合、記録・再生用光ヘッド82を記録専用光ヘッドとしてもよい。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、読出し専用のROM領域と読み書き可能のRAM領域とが設けられた光ディスクにおいて、ROM領域のピットの深さとRAM領域の溝の深さとを略等しくしているので、ROM領域に溝を設けずとも、ROM領域とRAM領域とで1つの光スポットによるトラッキング誤差信号の検出が可能となり、いずれの領域でも安定したトラッキング誤差信号が得られて情報信号の良好な再生が可能となり、また、ROM領域でのトラックピッチを狭くできて、記録容量を高めることができる。
【0070】
また、本発明によれば、読出し専用のROM領域と読み書き可能のRAM領域とが設けられた光ディスクにおいて、これらROM領域とRAM領域との間に、ROM領域での情報再生のためのトラッキングサーボ信号とRAM領域での情報再生のためのトラッキングサーボ信号とを切り替えるための遷移領域を設けたものであるから、トラッキングサーボ信号の円滑な切り替えが行なわれることになる。
【0071】
さらに、本発明によるディスク装置によれば、光ディスクのROM領域とRAM領域とで同じ光ヘッドで記録再生を行なっても、これらROM領域とRAM領域との間に設けられた遷移領域でROM領域でのトラッキングサーボ信号とRAM領域でのトラッキングサーボ信号との切り替えを行なうものであるから、ROM領域とRAM領域とのいずれにおいても、安定したトラッキング制御で情報再生を行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光ディスクの一実施例の要部を拡大して示す平面図である。
【図2】図1における分断線A−A,B−Bに沿う断面図である。
【図3】図1に示した光ディスクの全体構成を示す平面図である。
【図4】本発明による光ディスクの他の実施例の要部を拡大して示す平面図である。
【図5】図4におけるROM領域とRAM領域とでのトラッキング和信号とトラッキング誤差信号を示す図である。
【図6】本発明による光ディスクのさらに他の実施例の要部を拡大して示す平面図である。
【図7】本発明による光ディスクのさらに他の実施例の要部を拡大して示す平面図である。
【図8】本発明による光ディスクのさらに他の実施例の要部を拡大して示す平面図である。
【図9】内蔵の光ディスクの種類を判別可能とするディスクケースの一例を示す外観図である。
【図10】光ディスクの種類を判別する手段を備えたディスク装置の一例を示す内部側面図である。
【図11】図10のおける判別手段の一具体例を示す構成図である
【図12】
本発明によるディスク装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図13】ROM領域とRAM領域とを備えた従来の光ディスクの一例を示す平面図である。
【図14】図13におけるROM領域とRAM領域との境界部を拡大して示す斜視図である。
【符号の説明】
1 光ディスク
2 RAM領域
3 ROM領域
4 ガイド溝
5 RAM領域に光磁気信号として記録される第1の情報信号
6 RAM領域に凹凸ピット列として記録される第2の情報信号
7 ROM領域に凹凸ピット列として記録される第3の情報信号
Claims (4)
- 再生専用領域と記録再生可能領域とを有する光ディスクであって、
該記録再生可能領域は、溝を有し、該溝の間に凹凸ピット列からなる第1の情報信号が予め記録されていて、該溝に沿って第2の情報信号が記録可能であり、
該再生専用領域には、凹凸ピット列からなる第3の情報信号が予め記録され、
該第3の情報信号を示す凹凸ピットの深さと該溝の深さとが略等しく、かつ該再生専用領域の凹凸ピット列からなるトラックのトラックピッチが、該記録再生可能領域での該溝に沿うトラックのトラックピッチよりも狭いことを特徴とする光ディスク。 - 請求項1に記載の光ディスクにおいて、
前記第1,第2及び第3の情報信号を再生するレーザ光の波長をλとし、前記第3の情報信号の凹凸ピットの深さと前記溝の深さをλ/9〜λ/5としたことをことを特徴とする光ディスク。 - 請求項1または2に記載の光ディスクにおいて、
前記再生専用領域と前記記録再生可能領域との間に、光ディスク装置が前記再生専用領域から情報を再生するためのトラッキングサーボ信号と前記記録再生可能領域から情報を再生するためのトラッキングサーボ信号とを切り替えるための遷移領域を有することを特徴とする光ディスク。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載の光ディスクから情報を再生する光ディスク装置。
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