JP3539748B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は半導体装置およびその製造方法に関し、特に下部電極、半導体部および上部電極からなる素子構造を含む半導体装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
下部電極、半導体部および上部電極からなるダイオード構造は種々の半導体装置に用いられている。例えば、ファクシミリ、イメージスキャナ、電子黒板、電子複写機等に用いられる密着型リニアイメージセンサは、複数のフォトダイオードおよび複数のブロッキングダイオードを含む。これらのフォトダイオードおよびブロッキングダイオードは、例えば、クロムCrからなる下部電極、アモルファスシリコン系半導体からなる半導体部およびITO(Indium Tin
Oxide)からなる上部電極により構成されている。
【0003】
このようなダイオード構造を含む半導体装置の製造方法を図4を参照しながら説明する。まず、図4(a)に示すように、絶縁基板1上に、クロムCrからなる下部電極層20、アモルファスシリコン系半導体からなるpin構造の半導体層30およびITOからなる上部電極層40を順に堆積させる。そして、上部電極層40上に所定のパターン形状のレジスト膜50を形成し、上部電極層40をウエットエッチングによりパターニングして、図4(b)に示すように、上部電極4を形成する。
【0004】
このとき、上部電極層40の膜厚のばらつき、上部電極層40のエッチングのばらつき等により上部電極層40のエッチング残りが生じるのを防止するために、上部電極4の縁部がレジスト膜50の縁部より内側に1μm〜3μm程度入り込むようにエッチング条件を設定している。すなわち、上部電極4のエッチングシフト量がレジストパターンに対して1μm〜3μmになるようにオーバーエッチングしている。このように、エッチングシフト量を最小限に設定するのは、上部電極層40のエッチング残りを防止しつつダイオードの面積をできる限り大きくして出力を最大に保つためである。
【0005】
次いで、上部電極4および半導体部のパターン形状は通常同じであることから、図4(c)および図4(d)に示すように、同じレジスト膜50を用いてドライエッチングにより半導体層30をパターニングして半導体部3を形成する。ここで、上部電極層40のパターニングと半導体層30のパターニングとを別々のレジスト膜を用いて行うこともできるが、これらのパターニングを別々のレジスト膜で行うと製造工程が増加し、また、レジストパターンの露光時のアライメントマージン等を考慮すると上部電極4のサイズを大幅に小さく設計しなければならず、ダイオードの出力性能が低下する。そのため、上部電極層40および半導体層30のパターニングは同じレジスト膜50で行う。
【0006】
さらに、レジスト膜50を除去した後、所定のパターン形状の別のレジスト膜を用いて下部電極層20をパターニングして、図5に示すように、下部電極2を形成する。下部電極2、半導体部3および上部電極4によりダイオードが形成される。このダイオードは透明層間絶縁膜6により覆われ、さらに半導体装置全体が透明絶縁保護膜7により覆われる。このようにして、ダイオード構造を含む半導体装置が製造される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の半導体装置の製造において、半導体層30がアモルファスシリコン等からなるので、この半導体層30のパターニングは、通常、四フッ化炭素CF4 を主成分とするエッチングガスを用いて反応性イオンエッチング等のドライエッチングにより行われている。しかしながら、四フッ化炭素CF4 を主成分とするエッチングガスを用いると、半導体層30のエッチングにより露出する下部電極層20の表面にフッ化物等が生成し、その表面が変質してしまうという問題がある。また、レジスト膜のエッチング速度に対する半導体層30のエッチング速度の比、すなわち選択比が小さいためにレジスト膜がダメージを受けやすく、レジスト膜の成分やエッチングガス成分等によるポリマー残査が下部電極層20の表面に残り易くなる。それにより、下部電極層20のエッチング性が低下し、歩留りが低下するとともに、ワイヤーボンディング性が低下する。
【0008】
そこで、本願出願人は、特願平4−339807号においてこのような半導体層のパターニングの際に六フッ化イオウSF6 を主成分とするエッチングガスを用いることを提案している。六フッ化イオウSF6 を主成分とするエッチングガスを用いると、下部電極層20や絶縁基板1へダメージがほとんど与えられず、また、レジスト膜50へのダメージもほとんどないので、下部電極層20上にエッチングガス成分、レジスト成分等からなるポリマー残査がほとんど残らない。
【0009】
しかしながら、六フッ化イオウSF6 を主成分とするエッチングガスを用いて、上記のように上部電極4のエッチングシフト量が1μm〜3μmの範囲になるように反応性イオンエッチングを実施すると、図4(d)に示すように、上部電極4の周縁部の下部の半導体部3がエッチングされて半導体部3の縁部が2段形状となり、上部電極4のオーバーハング60が生じる。このようなオーバーハング60の生成メカニズムは明確ではないが、反応性イオンエッチングの際に、上部電極4の周縁部の下部に局所的にダイオード形成による電界が生じ、図4(c)に示すように、反応性イオンエッチングの初期に垂直方向のエッチングとともに水平方向のエッチングが進行し、反応性イオンエッチングの後半にレジスト膜50のパターンに沿った垂直方向のエッチングのみが進行するものと推測される。
【0010】
図6(a)に示すようにダイオードの平面形状が単純な場合に比較して、図6(b)に示すようにダイオードの平面形状が比較的複雑な場合には、カギ状部分Lで特に複雑な電界が生じるため、上部電極4のオーバーハング60が生じ易い。
【0011】
上部電極4のオーバーハング60のために上部電極4の縁部が崩れ、下部電極層20に接触することがあり、完成されたダイオードにおいて電流のリークが発生する。この場合、そのダイオードは不良となるため、半導体装置の歩留りが低下する。
【0012】
また、このようなオーバーハング60が存在すると、製造工程中にそのオーバーハング部分の下部に薬液等の可動イオンが侵入し、半導体装置の完成後もその可動イオンが残存することになる。さらに、図5に示すように、ダイオードを覆う透明層間絶縁膜5および透明絶縁保護膜6のステップカバレージがオーバーハング60の付近で悪くなり、それらの透明層間絶縁膜5および透明絶縁保護膜6に間隙70が生じ、素子内部への水分等の侵入が容易になるという問題が生じる。その結果、半導体装置の信頼性が著しく低下する。
【0013】
なお、四フッ化炭素CF4 を主成分とするエッチングガスを用いた場合には、半導体部3の縁部は、図4(d)に示したような2段形状にならずに、テーパー状に形成される。しかし、テーパーの角度が大きくなるので、この場合も上部電極4のオーバーハングが生じる。
【0014】
それゆえに、本発明の目的は、上部電極のオーバーハングを生じることなく、高い歩留りで信頼性の高い半導体装置を製造する方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1)第1の発明
第1の発明に係る半導体装置の製造方法の要旨とするところは、絶縁基板上に、少なくとも下部電極、半導体部および上部電極を順に含む半導体素子を備えてなる半導体装置の製造方法において、上部電極層および半導体層を同一のレジストパターンを用いて順にパターニングして上部電極および半導体部を形成する際に、上部電極の縁部がレジストパターンの縁部より内側へ3μm以上入り込むように上部電極層をエッチングした後、エッチングガスを用いて半導体層をエッチングすることにある。
【0018】
(2)第2の発明
第2の発明に係る半導体装置の製造方法の要旨とするところは、絶縁基板上に、少なくとも下部電極、半導体部および上部電極を順に含む半導体素子を備えてなる半導体装置の製造方法において、上部電極層および半導体層を同一のレジストパターンを用いて順にパターニングして上部電極および半導体部を形成する際に、上部電極の縁部がレジストパターンの縁部より内側へ3μm以上入り込むように上部電極層をエッチングした後、六フッ化イオウSF6 を主成分とするエッチングガスを用いて半導体層をエッチングすることにある。
【0019】
(3)第3の発明
第3の発明に係る半導体装置の製造方法の要旨とするとことは、絶縁基板上に、少なくとも下部電極、アモルファスシリコン系半導体部、およびITOからなる上部電極を含むダイオード構造を備えてなる半導体装置の製造方法において、ITO層およびアモルファスシリコン系半導体層を同一のレジストパターンを用いて順にパターニングして上部電極およびアモルファスシリコン系半導体部を形成する際に、上部電極の縁部がレジストパターンの縁部より内側へ3μm以上入り込むようにITO層をエッチングした後、六フッ化イオウSF6 を主成分とするエッチングガスを用いて反応性イオンエッチングによりアモルファスシリコン系半導体層をエッチングすることにある。
【0020】
(4)第4の発明
第4の発明に係る半導体装置の製造方法の要旨とするところは、絶縁基板上に、少なくとも下部電極、アモルファスシリコン系半導体部および上部電極を含むダイオード構造を備えてなる半導体装置の製造方法において、上部電極層およびアモルファスシリコン系半導体層を同一のレジストパターンを用いて順にパターニングして上部電極およびアモルファスシリコン系半導体部を形成する際に、上部電極の縁部がレジストパターンの縁部より内側へ4μm以上入り込むように上部電極層をエッチングした後、六フッ化イオウSF6 を主成分とするエッチングガスを用いて反応性イオンエッチングによりアモルファスシリコン系半導体層をエッチングすることにある。
【0021】
【作用】
【0024】
第1ないし第4の発明に係る半導体装置の製造方法においては、絶縁基板上に少なくとも下部電極層、半導体層および上部電極層を順に積層した後、その最上部に所定のパターン形状のレジスト膜を形成する。次に、上部電極層および半導体層を同一のレジスト膜を用いてパターニングして上部電極および半導体部を形成する。その際、形成された上部電極の縁部がレジスト膜の縁部より内側へ3μm以上入り込むように上部電極層をオーバーエッチングした後、エッチングガスを用いて半導体層をエッチングする。
【0025】
それにより、レジスト膜の周縁部の下部、すなわち形成される半導体部の周縁部の上部には上部電極が存在しないので、半導体部の周縁部付近に電界が発生しない。したがって、半導体層が垂直方向にのみエッチングされ、水平方向にはほとんどエッチングされない。それにより、半導体部の縁部がレジストパターンに沿って断面テーパー状に形成され、上部電極のオーバーハングが生じない。
【0026】
その結果、上部電極の縁部の崩れによる電流のリークが起こらず、また、製造工程中にオーバーハング部分に可動イオンが混入してそれが残存することもない。さらに、素子を覆う層間絶縁膜および絶縁保護膜のステップカバレージが良好となり、素子内への水分等の進入がなくなる。
【0027】
特に、第2ないし第4の発明に係る半導体装置の製造方法においては、半導体層のエッチングの際に六フッ化イオウSF6 を主成分とするエッチングガスを用いているので、下部電極や絶縁基板へダメージがほとんど与えられず、また、レジスト膜へのダメージもほとんどないので、下部電極上にエッチングガス成分、レジスト成分等からなるポリマー残渣がほとんど残らない。
【0028】
また、第4の発明に係る半導体装置の製造方法においては、上部電極の縁部がレジスト膜の縁部より内側へ4μm以上入り込むように上部電極層がオーバーエッチングされているので、エッチングにばらつきがあっても上部電極のオーバーハングの発生が確実に阻止される。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明が適用される半導体装置の一例を示す図であり、(a)はその半導体装置の要部断面図、(b)はその半導体装置の要部平面図である。
【0030】
図1の半導体装置はリニアイメージセンサであり、例えばガラスからなる絶縁基板1上に半導体素子として複数のフォトダイオード10aおよび複数のブロッキングダイオード10bが一次元に配列されてなる。
【0031】
フォトダイオード10aは、絶縁基板1上に順に積層された下部電極2a、アモルファスシリコン系の半導体部3aおよび上部電極4aにより構成される。同様に、ブロッキングダイオード10bは、絶縁基板1上に順に積層された下部電極2b、アモルファスシリコン系の半導体部3bおよび上部電極4bにより構成される。上部電極4a,4bはITOなどの透明導電膜からなる。
【0032】
一定個数のブロッキングダイオード10bの下部電極2bは、共通電極11に共通に接続されている。この共通電極11と、この共通電極11に接続された一定個数のブロッキングダイオード10bと、これらのブロッキングダイオード10bに対応する一定個数のフォトダイオード10aとが1単位としてブロックを構成している。各フォトダイオード10aの下部電極2aは電極線12と一体に形成されている。
【0033】
これらのフォトダイオード10aおよびブロッキングダイオード10bはシリコン酸化物からなる透明層間絶縁膜6により覆われている。この透明層間絶縁膜6の上には接続電極13およびマトリックス配線14がパターニングされて形成されている。接続電極13はコンタクトホール15a,15bを介して上部電極4a,4bにそれぞれ接続され、この接続電極13によってフォトダイオード10aとブロッキングダイオード10bとが逆極性に直列接続されている。一方、透明層間絶縁膜6上に形成されたマトリックス配線14は、コンタクトホール16を介して電極線12に接続されている。これにより、フォトダイオード10aの下部電極2aが対応するマトリックス配線14に電気的に接続されている。このマトリックス配線14によって各ブロックの相対的に同位置にあるフォトダイオード10aどうしが共通に接続されている。
【0034】
また、共通電極11の上には取出し電極17が形成されており、この取出し電極17はコンタクトホール18を介して共通電極11に接続されている。この半導体装置の表面には、取出し電極17の部分を除いて透明絶縁保護膜7が被着されており、上述の各構成要素が保護されている。
【0035】
本発明は図1の半導体装置におけるフォトダイオード10aおよびブロッキングダイオード10bに適用される。次に、図2を参照しながら本発明の一実施例によるダイオードの製造方法を説明する。
【0036】
まず、図2(a)に示すように、例えばガラスからなる絶縁基板1上に下部電極層20、半導体層30および上部電極層40を順に成膜して積層する。下部電極層20の材料としては、例えばクロムCrを用い、DCスパッタリング装置を用いて成膜する。DCスパッタリング装置のスパッタ室内を1×10-3Pa以下の高真空に保ちながら、成膜時の基板温度を室温〜250℃に設定し、放電ガスとしてアルゴンガスをスパッタ室内に導入する。そして、スパッタ圧力を0.1〜1.5Paに調整し、1〜10W/cm2 の電力でスパッタリングを行う。下部電極層20の膜厚は半導体装置の性能や膜の種類によって種々設定され、好ましくは500〜5000Å程度の範囲に形成される。
【0037】
また、半導体層20としては、例えばpin構造の水素化アモルファスシリコン層を用いる。この水素化アモルファスシリコン層は、ホウ素Bまたは周期律表第3族の元素をドープしたp形a−Si:H層、ノンドープのi形a−Si:H層、およびリンPまたは周期律表第5族の元素をドープしたn形a−Si:H層を順に堆積することにより形成される。この半導体部3は、逆の順に積層したnip構造であってもよい。これらの層は真空を保持しつつ連続して成膜するのが好ましい。
【0038】
実験では、p形a−Si:H層、i形a−Si:H層およびn形a−Si:H層をプラズマCVD法により連続してそれぞれ100Å、9000Åおよび100Åの厚さに成膜した。
【0039】
さらに、上部電極層40の材料としては、例えばITOを用い、スパッタリング法や蒸着法により成膜温度が室温〜100℃の範囲で、膜厚が300〜2000Åの範囲になるように成膜する。スパッタリング法ではスパッタターゲットとして酸化インジウム−酸化錫系の焼結体で酸化錫の成分が5〜15wt%のものを用いる。
【0040】
実験では、上部電極層40としてITOを用い、このITOの成膜にはDCスパッタリング装置を用いた。スパッタリング装置のスパッタ室内を1×10-3Pa以下の高真空に保ちながら放電ガスとしてアルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスをスパッタ室内に導入し、スパッタ圧力が0.2Paになるように調整した。アルゴンガスと酸素ガスとの流量比は100:1であり、基板加熱温度を100℃とし、DC電力密度を1.03W/cm2 とした。このような条件で、上部電極層40として膜厚600ÅのITOを成膜した。
【0041】
その後、図2(a)に示すように、フォトリソグラフィー法により上部電極層40の上に所定のパターン形状のレジスト膜50を形成し、図2(b)に示すように、レジスト膜50に覆われていない上部電極層40の部分をウエットエッチングによりパターニングして上部電極4を形成する。ITOのウエットエッチングでは、エッチング液として一般的な塩酸と硝酸との混合溶液を用いる。室温〜50℃の液温でレジスト膜50が被着された絶縁基板1をその混合溶液に浸して上部電極層40のエッチングを行う。
【0042】
この場合、形成された上部電極4の縁部がレジスト膜50の縁部より内側へ3μm以上入り込むように、エッチング条件を設定する。すなわち、上部電極4のエッチングシフト量がレジストパターンに対して3μm以上になるようにオーバーエッチングする。このエッチングシフト量は、エッチングのばらつき等のマージンを考慮して4μm以上にすることが好ましい。特に図6(b)の平面図に示したようなカギ状部分Lでは、エッチング時に複雑な電界が生じるため、完成した素子の出力があまり小さくならない範囲で上部電極4のエッチングシフト量を大きめに設定することが望ましい。
【0043】
実験では、塩酸、硝酸および純水の比が100:3:100のエッチング液を用い、液温を28℃、エッチング時間を9分に設定した。その結果、レジストパターンに対する上部電極4のエッチングシフト量が4.0〜4.5μmとなった。
【0044】
次に、図2(c)に示すように、上部電極4をパターニングするために使用したレジスト膜50をそのまま使用し、ドライエッチングにより半導体層30をパターニングして半導体部を形成する。この場合、エッチングガスとして六フッ化イオウSF6 を主成分とするガスを用い、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching;RIE)によって半導体層30をパターニングする。半導体層30がアモルファスシリコンにより形成されている場合には、平行平板型エッチング装置を用い、エッチングガスをその装置に導入し、圧力を約5〜20Paに調整し、周波数13.56MHzの高周波電源を用いて電極に0.1〜0.7W/cm2 の電力を印加する。
【0045】
実験では、エッチングガスとして六フッ化イオウガスと酸素O2 との混合ガスを用い、六フッ化イオウガスと酸素との流量比を20:10に設定した。また、エッチング圧力を20Paに設定し、基板温度を20℃としRF電力密度を0.33W/cm2 に設定した。
【0046】
図2(c)に示すように、半導体層30が水平方向にはほとんどエッチングされず、垂直方向にのみエッチングされ、図2(d)に示すように、半導体部3が形成された。半導体部3の縁部はレジスト膜50の縁部に沿って断面テーパー状に形成され、上部電極4のオーバーハングが生じていない。上記の実験では、半導体部3のエッチングシフト量はレジスト膜50に対して1.0〜2.5μmとなった。このように、半導体部3のエッチング形状およびエッチングシフト量は、その半導体部3の上に上部電極4が存在しない場合のエッチング形状およびエッチングシフト量と同様になった。
【0047】
半導体層30の上記のエッチング作用において、反応性イオンエッチングのラジカルや活性イオン等のアモルファスシリコンと反応する反応種は下部電極層20の構成成分とほとんど反応しないため、下部電極層20がエッチングされたり、フッ化物の生成による変質層が発生したりすることはなく、また、絶縁基板1は下部電極層20により覆われているため、エッチングされることはない。さらに、六フッ化イオウガスによるレジスト膜50へのダメージは小さいため、レジスト膜50の成分やエッチングガスの成分等によるポリマー残査の発生もほとんどない。したがって、露出した下部電極層20の表面にはポリマー残査等がほとんど被着していない。
【0048】
次に、上部電極4上のレジスト膜50を除去した後、所定のパターン形状のレジスト膜を用いて下部電極層20をパターニングする。下部電極層20がクロムCrからなるときは硝酸第2セリウムアンモニウムと過塩素酸とからなる薬液を用いてエッチングを行う。
【0049】
このようにして、図3に示すように、下部電極2、半導体部3および上部電極4からなるダイオードが形成される。このダイオードは透明層間絶縁膜6により覆われ、さらに半導体装置全体が透明絶縁保護膜7により覆われる。
【0050】
このようにして形成されたダイオードでは、図3に示すように、上部電極4のオーバーハングが生じないので、製造工程中にオーバーハング部分に可動イオンが混入しそれが素子内に残存することもない。また、完成されたダイオードにおいて上部電極4の縁部の崩れによる電流のリークも発生しない。さらに、透明層間絶縁膜6および透明絶縁保護膜7のステップカバレージが良好となり、素子内への水分等の侵入がなくなる。その結果、半導体装置の歩留りおよび信頼性が大幅に向上する。
【0051】
上記実施例ではエッチングガスとして六フッ化イオウSF6 に酸素O2 を添加したものを用いたが、六フッ化イオウSF6 のみを用いてもよく、あるいは六フッ化イオウSF6 にCHF3 ,He,N2 、CF4 等の成分を添加したものを用いてもよい。なお、四フッ化炭素CF4 を主成分とするエッチングガスを用いた場合にも、上部電極4のエッチングシフト量がレジストパターンに対して3μm以上、好ましくは4μm以上になるようにオーバーエッチングすれば、半導体部3の縁部のテーパーの角度は大きくなるが、上部電極4のオーバーハングは生じない。
【0052】
絶縁基板1としてガラス基板の他、ガラス質のその他の基板あるいは他の絶縁材料からなる基板を用いてもよい。また、層間絶縁膜および絶縁保護膜の材料は何ら限定されず、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコンオキシナライド等が用いられる。
【0053】
また、半導体層30はpin構造またはnip構造のアモルファスシリコンに限定されるものではなくて、アモルファスシリコンa−Si、水素化アモルファスシリコンa−Si:H、水素化アモルファスシリコンカーバイドa−SiC:H、アモルファスシリコンナイトライド等の他、シリコンと炭素、ゲルマニウム、錫等の他の元素との合金からなるアモルファスシリコン系半導体の非晶質あるいは微結晶をpin型、nip型、ni型、pn型、MIS型、ヘテロ接合型、ホモ接合型、ショットキバリア型、あるいはこれらを組み合わせた型に構成したものが用いられる。半導体層30としてアモルファスシリコン系以外の半導体、例えばGaAs系やCdS−CdSe系等の半導体を用いてもよいが、特にアモルファス系半導体が好ましく、さらにアモルファスシリコン系半導体が最も好ましい。
【0054】
さらに、下部電極層20の材料はクロムCrに限定されるものではなく、絶縁基板1との被着性に優れかつ電気的良導体であるとともに半導体層30に拡散しえないものであれば他の材料でもよい。例えば、チタンTi,ニッケルNi,モリブデンMo,タンタルTa,プラチナPt,パラジウムPd等が用いられる。なお、下部電極層20がモリブデンMoからなるときは、エッチング液として塩酸、硝酸および酢酸の混合液を用いる。上部電極層40としてITOの他、SnO2 ,ZnO2 あるいはこれらを積層した透明導電膜を用いてもよく、さらに一般的なダイオードの場合は不透明の金属膜を用いてもよい。
【0055】
なお、上記実施例では、本発明がフォトダイオードおよびブロッキングダイオードからなる半導体装置に適用される場合を説明したが、本発明は、フォトダイオードのみからなる半導体装置にも適用され、さらにフォトセンサーや太陽電池等の半導体装置にも適用される。また、本発明は、上部電極層および半導体層を同一のレジスト膜を用いてパターニングするものであれば、一般的なダイオード構造を含む半導体装置およびその他の素子構造を含む半導体装置にも適用される。その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様で実施しうるものである。
【0056】
【発明の効果】
第1および第2の発明によれば、上部電極のオーバーハングが存在しない半導装置が得られる。したがって、上部電極の縁部の崩れによる電流のリークが起こらず、半導体装置の歩留りが向上する。また、製造工程中にオーバーハング部分に可動イオンが混入しそれが残存することもなく、また、素子を覆う層間絶縁膜および絶縁保護膜のステップカバレージが良好となり、素子内への水分等の進入がなくなる。その結果、半導体装置の信頼性が大幅に向上する。
【0057】
特に、第2の発明によれば、下部電極や絶縁基板へダメージがほとんど与えられず、また、下部電極上にエッチングガス成分、レジスト成分等からなるポリマー残渣がほとんど残らないので、下部電極のエッチング性およびワイヤーボンディング性が良好である。
【0058】
第3ないし第6の発明によれば、上部電極のオーバーハングが生じない半導体装置の製造方法が得られる。したがって、上部電極の縁部の崩れによる電流のリークが生じず、半導体装置の歩留りが向上する。また、製造工程中にオーバーハング部分に可動イオンが混入してそれが残存することもなく、また、素子を覆う層間絶縁膜および絶縁保護膜のステップカバレージが良好となり、素子内への水分等の進入がなくなる。その結果、半導体装置の信頼性が大幅に向上する。
【0059】
特に、第4ないし第6の発明によれば、下部電極や絶縁基板へダメージがほとんど与えられず、また、下部電極上にエッチングガス成分、レジスト成分等からなるポリマー残渣がほとんど残らないので、下部電極のエッチング性およびワイヤーボンディング性が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される半導体装置の一例を示す図であり、(a)はその半導体装置の要部断面図、(b)はその半導体装置の要部平面図である。
【図2】本発明の一実施例による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図3】図2の製造方法により製造された半導体装置の断面図である。
【図4】従来の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図5】図4の製造方法により製造された半導体装置の断面図である。
【図6】従来技術の問題点を説明するための図であり、(a)は単純な平面形状を有するダイオードの平面図、(b)は比較的複雑な平面形状を有するダイオードの平面図である。
【符号の説明】
1 絶縁基板
2,2a,2b 下部電極
3,3a,3b 半導体部
4,4a,4b 上部電極
6 透明層間絶縁膜
7 透明絶縁保護膜
10a フォトダイオード
10b ブロッキングダイオード
20 下部電極層
30 半導体層
40 上部電極層
50 レジスト膜
60 オーバーハング
なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。
Claims (4)
- 絶縁基板上に、少なくとも下部電極、半導体部および上部電極を順に含む半導体素子を備えてなる半導体装置の製造方法において、
上部電極層および半導体層を同一のレジストパターンを用いて順にパターニングして前記上部電極および前記半導体部を形成する際に、前記上部電極の縁部が前記レジストパターンの縁部より内側へ3μm以上入り込むように前記上部電極層をエッチングした後、エッチングガスを用いて前記半導体層をエッチングすることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 絶縁基板上に、少なくとも下部電極、半導体部および上部電極を順に含む半導体素子を備えてなる半導体装置の製造方法において、
上部電極層および半導体層を同一のレジストパターンを用いて順にパターニングして前記上部電極および前記半導体部を形成する際に、前記上部電極の縁部が前記レジストパターンの縁部より内側へ3μm以上入り込むように前記上部電極層をエッチングした後、六フッ化イオウSF6 を主成分とするエッチングガスを用いて前記半導体層をエッチングすることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 絶縁基板上に、少なくとも下部電極、アモルファスシリコン系半導体部、およびITOからなる上部電極を含むダイオード構造を備えてなる半導体装置の製造方法において、
ITO層およびアモルファスシリコン系半導体層を同一のレジストパターンを用いて順にパターニングして前記上部電極および前記アモルファスシリコン系半導体部を形成する際に、前記上部電極の縁部が前記レジストパターンの縁部より内側へ3μm以上入り込むように前記ITO層をエッチングした後、六フッ化イオウSF6 を主成分とするエッチングガスを用いて反応性イオンエッチングにより前記アモルファスシリコン系半導体層をエッチングすることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 絶縁基板上に、少なくとも下部電極、アモルファスシリコン系半導体部および上部電極を含むダイオード構造を備えてなる半導体装置の製造方法において、
上部電極層およびアモルファスシリコン系半導体層を同一のレジストパターンを用いて順にパターニングして前記上部電極および前記アモルファスシリコン系半導体部を形成する際に、前記上部電極の縁部が前記レジストパターンの縁部より内側へ4μm以上入り込むように前記上部電極層をエッチングした後、六フッ化イオウSF6 を主成分とするエッチングガスを用いて反応性イオンエッチングにより前記アモルファスシリコン系半導体層をエッチングすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
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