JP3539284B2 - 装飾光源装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、装飾光源装置、とりわけ、自然炎を模擬する装飾光源装置で、誘電体バリア放電を応用したものに関する。
【0002】
【従来の技術】
古来より人類は、光または熱を得るために炎を利用してきたが、今日では、これらのうちの多くの分野、特に光を利用するための分野において、電気を使った技術によって、その代替が進められてきた。
このことにより、以前よりも安全かつ安定、効率的に光を利用する事ができるようになったが、本来、自然炎が有する温かみや、その揺らぎがもたらしてくれる情緒には、捨て難いものがあり、実際、現在の先進国においても、蝋燭やガス灯などの自然の炎が、主たる照明に添えられた装飾として、重要な役割を演じている。
【0003】
光を利用する分野において、自然炎が、急速に電気的光源(以降、単にランプと称する)に取って代わられた理由の最大のものは、ランプが有する可制御性と安全性の点にある。少なくとも消灯に際しては、ランプは、給電装置との電気的接続を絶つという、全く簡単な行為により、確実にそれが遂行され、安全性の点において、理想的な条件を形成している。
【0004】
これに対し、蝋燭などの自然炎は、本質的に高熱の発生と不即不離であり、火災発生の危険を孕んでる。このような状況は、儀式、とりわけ宗教的儀式のための炎、具体的には、仏壇や祭壇に供えられる蝋燭などの自然炎光源を必要とする人々には、常に心労の種であった。
【0005】
ランプが有する可制御性と安全性の利点を享受しつつ、自然炎が有する温かみや、その揺らぎがもたらしてくれる情緒を現出するために、これまで炎を模擬する多くの装飾光源が開発され、何種類かのものが既に実用化されてきた。有名なものとして、たとえば、フリッカーネオンランプは、所謂ネオンランプで、放電用ガスを重点した放電空間内の電極が炎形状を有し、この形を基本に揺らぎを示す放電が生じ、炎のように見えるものである。
【0006】
また、米国特許3,237,053号、3,548,255号、3,549,946号、3,790,998号に記載の揺動フィラメントランプは、封体内に弾性を有するフィラメントをループ状に自立保持し、これに低周波交流電流を流すことによって、その電流と、磁石や地球の磁気との相互作用により生ずるローレンツ力により、フィラメントが揺れる白熱電球である。
【0007】
これらの、比較的古いものの他にも、これまで多くの装飾光源が提案されいる。比較的単純なものとして、ランプを収納する発光容器に工夫する炎模擬装飾光源が提案されている。例えば、特開平9−156299号に記載の発明においては、多数の三角すい形素子配列からなる再帰反射素子を配置した透明な再帰反射板の上にフリッカーネオンランプの発光した電極像を形成させ、点滅する赤色ランプで再帰反射板を照明し、再帰反射板の上の映像を格子で反射させ、暖炉の燃焼を模擬するものが開示されている。特開平10−49077号に記載の発明においては、表面に特別な加工を施された中空の透明な球に、複数個のLED発光球を収納する装飾電球が開示されている。米国特許4,550,363号に記載の発明においては、蝋燭の炎形状の光透過性で光散乱性の発光容器にランプを収納するものが開示されている。
【0008】
また、炎の揺らぎを模擬するために、ランプが機械的に揺れ動くようにする炎模擬装飾光源が提案されている。例えば、実開平6−79017に記載の考案においては、筒状の本体に、巻ばねを介して蝋燭の炎形状の豆球を装着して、豆球が振動によって揺れ動き、蝋燭のように見せるものが開示されている。特開平6−52709号に記載の発明においては、長尺筒状の中空体に、電磁石とこれを断続励磁する発振回路を設け、ランプを取着した鉄錘を電磁石の磁界内遊動支持し、ランプを不規則方向に揺動作動させて蝋燭の炎が持つ揺らぎ照明効果を模擬するものが開示されている。米国特許4,328,534号に記載の発明においては、弱いバネで固定された磁石片にランプを設置し、電気回路により電磁石を間欠的に駆動することにより、ランプを動かし、揺れる炎を表現するものが開示されている。
【0009】
炎の揺らぎを模擬するために、ランプの明るさの変化や点滅を与える炎模擬装飾光源が提案されている。例えば、実用新案登録第3013668号に記載の考案においては、発振回路を介して発光容器中のランプを点滅させ、その点滅光がカバーを透過して外部に放射するようにした蝋燭形電灯が開示されている。実用新案登録第3034744号に記載の考案においては、電子回路に通電したとき、発光容器中にLED発光部が、蝋燭の光に似た揺らぎのある光の状況を呈するものが開示されている。米国特許4,253,045号に記載の発明においては、高速でランプの電源を入り切りして、揺らぎを有する炎を模擬する明るさの変化を与える光源制御器が開示されている。米国特許4,593,232号に記載の発明においては、ランプの明るさと明滅の大きさを、それぞれ設定可能な制御回路によってランプを点灯することにより、炎が発する光を模擬するものが開示されている。米国特許4,839,780号に記載の発明においては、電池によって発振器を駆動して、半波整流によって不安定な直流高電圧を発生し、ネオンランプを点灯することにより、蝋燭の炎を模擬するものが開示されている。米国特許5,097,180号に記載の発明においては、わずかに異なる周波数で発振する、独立な発振器の信号を加算することにより、平均電圧が変調された擬似ランダムな駆動電圧を発生し、これでランプを点灯することにより、明滅する蝋燭を模擬するものが開示されている。
【0010】
発光容器に複数のランプを収納してそれら明るさの変化や点滅を工夫する炎模擬装飾光源が提案されている。例えば、実開平6−13009に記載の考案においては、複数のランプを用いた電子蝋燭の発光部の明るさを複数電子回路を用いた信号電流により、ランプを順次に点灯させ、光点の位置を変えて光を変化させて、火炎のように風に揺らいでいるように変化させるものが開示されている。特開平9−7411号に記載の発明においては、電池を蝋燭の形状を成した発光容器に収納し、複数のLED等のランプを内蔵した炎形状の透光性カバーを上部に設け、ランプを不規則に発光させるものが開示されている。特開平10−40722号に記載の発明においては、複数のランプが装着される器具本体を拡散性を有する発光容器に収納し、ランプの明るさをそれぞれ変化させることにより、炎のような揺らぎがある照明器具が開示されている。
【0011】
ランプの明るさの変化や点滅が単調になる点を改良するために、ディジタル処理によりランプ駆動を制御する炎模擬装飾光源が提案されている。例えば、特開平8−180979号に記載の発明においては、演算部に設けた複数個の関数演算部が、記憶部から揺らぎデータを読み出し、それぞれ異なる関数を適用することにより、同一の揺らぎデータを用いて、時間経過に伴う変化の異なる出力を得て、調光部は、複数のランプの光量を個別に変化させる照明装置が開示されている。特開平9−106890号に記載の発明においては、記憶装置から揺らぎ変化する複数種類のデータを読み出して、信号値が時間経過とともに揺らぎ変化する複数種類の調光信号を発生し、これにより複数のランプの光出力が各調光信号に応じて個別に制御され、ランプの発光位置および光出力が時間経過の伴って揺らぎ変化することにより、蝋燭の炎のゆらめきを現すものが開示されている。特開平10−106760号に記載の発明においては、発光容器に複数のランプを収納し、メモリに記憶された異なる発光パターンに基づいて各対応するランプが駆動され、それぞれ異なる光量の変化を生じさせることにより、蝋燭の炎の明暗の変化や揺らぎを表現する電飾器が開示されている。特開平10−125110号に記載の発明においては、発光容器に複数のランプを収納し、CPUが予め記憶しているパターンに従って複数のトライアックの導通角を制御し、各対応するランプを駆動し、それぞれ異なる光量の変化を生じさせることにより、蝋燭の炎の明暗の変化や揺らぎを表現する光源が開示されている。米国特許4,510,556号に記載の発明においては、3個のランプを垂直に間隔をおいて、半透明な球に配置し、自然な炎での光分布とガス乱流を模擬するように、信号発生回路により、3個のランプを独立に点滅させるものが開示されている。
【0012】
ランプの明るさの変化や点滅が単調になる点をさらに改良するために、自然の揺らぎ現象を測定してこれに基づきランプ駆動を制御する炎模擬装飾光源が提案されている。例えば、特開平7−37690号に記載の発明においては、蛍光灯及び白熱電球を囲むように発光容器を配設し、風速センサを発光容器の風入開口部に配設し、マイコンが風速センサにて風速を検知して互いに異なる複数の白熱電球の電力を制御し、その輝度を炎のゆらいだように点灯し、各蛍光灯はマイコンにて発光容器の下方から上方に火の粉のように点滅して照射されることにより、炎のような装飾効果を示すものが開示されている。特開平8−167481号に記載の発明においては、風速の変化を検出して、その強さを出力する風速センサにより入力された信号に基づき調光信号を生成し、その調光信号に応じてランプの光度を調光することにより、ランプに常に揺らぎ(1/f)特性を持つ変化を付与して単調な照明状態となることがない照明状態を得るものが開示されている。特開平9−326299号に記載の発明においては、外部からの風の影響を受け、温度変化に応じて発生する雑音を変化させるランダムな雑音発生源と、その出力に基づいてランプを駆動することにより、白熱電球で蝋燭の炎を模擬するものが開示されている。炎の揺らめきをより強調するために、ランプに併用してファンで布を揺らす炎模擬装飾光源が提案されている。例えば、実開平6−84610に記載の考案においては、発光容器内に黄色系や赤色系の細長い多数の布片を設け、その下部から、ファンの空気流で布片を上方へ揺れ動かし、ランプの照射により布片を赤い炎に見せ、炎を模擬するものが開示されている。特開平9−112922号に記載の発明においては、暖炉本体の炉空間の下側にランプを覆う透光性部分を有した擬木部、炉空間の後側に赤色光を反射させて擬木部の炎のように見せかける模擬炎生成部、下側から風を送るファンと風により揺れ動く帯状体、前側に帯状体が反射させる赤色光を透過させる半透明板とを設けて炎を模擬するものが開示されている。
【0013】
さらには、より現実的な炎を模擬するために、炎の像を投影する炎模擬装飾光源が提案されている。例えば、米国特許3,978,598号に記載の発明においては、光透過性で燃える薪を模擬する外囲器内にランプを設置し、背面のスクリーンに炎の像を投影し、炎を模擬するために発光パターンを変化させるものが開示されている。
【0014】
一方、炎を模擬することを目的としたものではないが、技術的に興味深い光源が提案されている。特許2870648号に記載の発明においては、箱状の放電容器内の一つの面上に両極の電極を設け、これに誘電体を被せて交流電圧を印加することにより、誘電体バリア放電によって面状の発光を得る、装飾等に使用できる光源が開示されている。特開平5−40050号に記載の発明においては、筒状の放電管の管端に内部電極、外面に帯状の外部電極を設けて、誘電体バリア放電によって紫外線を発生し、放電容器の内面に設けた蛍光体層を励起して可視光を発するものとし、放電容器自体を自動車のスピードメータの指針とするものが開示されている。米国特許2,004,577号に記載の発明においては、誘電体バリア放電のための一方の電極を、上から下へ流れる水などの液体とし、結果として、上から下へ流れるような視覚効果を与える放電を実現する、装飾的な光源が開示されている。
【0015】
しかし、これらの従来の炎模擬装飾光源には、どれも重大な欠陥があった。前記フリッカーネオンランプは、不透明な電極を放電が包むものであるため、現象として興味深いが、自然炎に見えるものではない。前記揺動フィラメントランプは、それ自体美しく、装飾効果も大きいが、自然炎に見えるものではない。前記ランプを収納する発光容器に工夫する炎模擬装飾光源は、当然ながら自然炎からは程遠い。前記ランプが機械的に揺れ動くようにする炎模擬装飾光源や、前記1個または複数個のランプの明るさの変化や点滅を与える炎模擬装飾光源は、遠目に見れば自然炎に見えるかも知れないが、それ自体は、単なる光の明滅であり詳細観察に耐えないものである。 前記ディジタル処理によりランプ駆動を制御する炎模擬装飾光源や、自然の揺らぎ現象を測定してこれに基づきランプ駆動を制御する炎模擬装飾光源においては、光の明滅の仕方が、より自然に見えるようになるかも知れないが、装置が大掛かりで高コストになり、しかも単なる光の明滅であり詳細観察に耐えない点は同じである。前記ランプに併用してファンで布を揺らす炎模擬装飾光源、および前記炎の像を投影する炎模擬装飾光源は、大掛かりで高コストなものになり、舞台道具や商業用で、生活のなかで使用できるものではない。
【0016】
すなわち、以上を総括すると、元来、炎は、支えるもののない空中に存在し、境界、特に上方の境界が不明瞭な気体の発光領域で、発光領域のなかにおいては、発光が強い部分から弱い部分まで変化して分布するもので、その領域が時間的に揺らぎ変動するものであるにもかからわず、従来の炎模擬装飾光源は、炎の元来の形態を有さず、うまく模擬できていないことや、自然炎模擬精度を上げる場合は、装置が大掛かり、複雑になったりして、高コストになる、などの欠点があった。
【0017】
また、誘電体バリア放電を利用する、前記した特許2870648号に記載の光源は、できるだけ発光が均一になるように電極構造が工夫されており、炎を模擬する目的の光源には応用可能なものではない。誘電体バリア放電を利用する、前記した特開平5−40050号に記載の光源は、自動車のスピードメータの指針であるため、視認性が最重要課題であり、揺らぎや発光の不均一が生じると安全上の問題が生じるため、炎を模擬する目的の光源には応用可能なものではない。さらに、同様に誘電体バリア放電を利用する、前記した米国特許2,004,577号に記載の光源は、発光の様子が水の流れを基本とするものであるため、揺らぎは生ずるかも知れないが、炎と流水には歴然とした相違があり、炎を模擬する目的の光源には応用可能なものではなく、また常に水を流す必要があるため、装置が大掛かりになる上に、そもそも、高電圧を要する誘電体バリア放電を発生させる装置において、ガラス封体に水を注ぎかけなければならない点は、感電の危険から免れ得ない、安全上の重大な問題を孕むものである。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、火災の危険を回避した上で、蝋燭などの自然炎を、これまで無かったような現実感をもって模擬することが可能な、長寿命な装飾光源装置を、低コストで提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明の請求項1の発明は、誘電体バリア放電によって発光する放電用ガスが充填された放電空間(3)があって、前記放電用ガスに放電現象を誘起せしめるための両極の電極(5,6)のうちの少なくとも一方と前記放電用ガスの間に誘電体(9,10)が介在する構造を有する誘電体バリア放電ランプ(1)と、前記誘電体バリア放電ランプ(1)の前記電極(5,6)に交流の高電圧を供給するための給電装置(12)とを有する装飾光源装置において、前記両極の電極(5,6)の有効部分の面積は相異し、大きい方の電極が小さい方の電極に対して対向しない部分を有し、大きい方の電極が線または面から構成されるパターンからなることにより、前記誘電体バリア放電ランプ(1)の放電空間(3)において、誘電体バリア放電の放電開始電圧を概略単調に変化して分布せしめ、放電による発光が強い部分から弱い部分まで変化して分布するようにしたことを特徴とするものである。
【0022】
本発明の請求項の発明は、請求項1の発明の装飾光源装置において、両極の電極(5,6)のうちの大きい方の電極が、透明電極で構成されることを特徴とする。
本発明の請求項3の発明は、請求項1の発明の装飾光源装置において、前記大きい方の電極(6)を、主電極(6)と補助電極(6a,6b)に分割し、給電装置(51)に加えて、前記補助電極(6a,6b)に対して、補助電圧源(52,53)を設けて、主電極(6)との電位差(V oa ,V ob )を与え、その電位差(V oa ,V ob )が時間的に変化するようにしたことを特徴とする。
本発明の請求項4の発明は、請求項1の発明の装飾光源装置において、給電装置(12)が、昇圧トランス(26)と電源(31)とスイッチ素子から構成されるインバータであって、前記スイッチ素子のゲートを駆動するスイッチ素子ゲート駆動信号が、幅、または周波数において揺らぎを含むことを特徴とする。
本発明の請求項5の発明は、請求項1の発明の装飾光源装置において、給電装置(12)が、昇圧トランス(26)と電源(31)とスイッチ素子から構成されるインバータであって、前記電源(31)の電圧が揺らぎを含むことを特徴とする。
本発明の請求項6の発明は、請求項4から5の発明の装飾光源装置において、前記揺らぎが、ランダムノイズ発生回路(44)からのランダム信号(45)に基づき生成されることを特徴とする。
本発明の請求項7の発明は、請求項4から5の発明の装飾光源装置において、前記揺らぎが、周囲環境に存在する放送電波を受信する電波受信回路(47)からの受信信号(49)に基づき生成されることを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の態様】
前記した炎の元来の形態、すなわち、支えるもののない空中に存在し、境界、特に上方の境界が不明瞭な気体の発光領域で、発光領域のなかにおいては、発光が強い部分から弱い部分まで変化して分布するもので、その領域が時間的に揺らぎ変動するを満足して見えるように、本発明においては、誘電体バリア放電を利用する。
【0024】
誘電体バリア放電(別名オゾナイザ放電あるいは無声放電。電気学会発行改定新版「放電ハンドブック」平成1年6月再販7刷発行第263ページ参照)は、オゾナイザや誘電体バリア放電ランプとしてのエキシマランプ(例えば、特開平2−7353号)あるいは、希ガス蛍光ランプ(例えば、特開平9−199285号)として、従来より利用されている。
【0025】
誘電体バリア放電においては、放電空間(3)を挟んで電極(5,6)の間に、1枚または2枚の誘電体が存在する。図1は、2枚の誘電体(9,10)が存在する誘電体バリア放電ランプ(1)を表している。因みに、図1の誘電体バリア放電ランプ(1)では、ランプ封体(2)が前記誘電体(9,10)を兼ねている。誘電体バリア放電においては、電極(5,6)の何れかもしくは両方を、放電空間(3)の外側に設けることができるため、電極の消耗が少なく、ランプが長寿命化できることが、誘電体バリア放電ランプの最も有利な特徴の一つである。
【0026】
放電空間(3)と電極(5,6)の間に介在する誘電体(9,10)のため、電極(5,6)から放電空間(3)に直接に電流が流れるのではなく、誘電体(9,10)と電極(5,6)がコンデンサの働きをすることによって電流が流れる。すなわち、各誘電体(9,10)の放電空間(3)側の面には、各電極(5,6)側の面と等量逆符号の電荷が誘電体の分極により誘起され、放電空間(3)を挟んで対向する誘電体(9,10)の面の間で放電する。
【0027】
誘電体バリア放電が生じるためには、誘電体(9,10)の対向する面(誘電体が1枚の場合は、誘電体と電極)よりなる放電ギャップの間のギャップ電界が、放電用ガスの種類と圧力により決まる放電破壊電界より強くなる必要がある。放電が生じると、電荷が移動して、誘電体(9,10)の表面に付着し、ギャップ電界を中和するため、放電は停止してしまうが、外部から印加される電圧がさらに増加するか、逆に反転すると、再放電が発生する。
【0028】
そのため、誘電体バリア放電ランプ(1)を点灯させる際は、その両極の電極(5,6)に、例えば、10kHz〜10MHz、100V〜10kVの交流の高電圧が印加される。印加すべき電圧や周波数、交流電圧の波形については、誘電体バリア放電ランプ(1)の構造、放電用ガスの成分や圧力などに従って、用途に応じた最適な条件が選定される。当然ながらこれには、所謂高周波放電や電界放電などと呼ばれる放電形態、或いはこれらと誘電体バリア放電の中間の放電形態が含まれる。
【0029】
ここで注意すべきは、高電圧印加によって放電発生後の再放電は、電圧の反転のみならず、外部から印加される電圧を強制的に絶対値の低い電圧、例えば零ボルトにすることによってすら発生せしめることが可能な点である。何となれば、放電によって移動することより、外部から印加される電圧とあいまってギャップ電界を中和していた電荷が、外部から印加される電圧を強制的に絶対値の低い電圧、例えば零ボルトにすることにより、今度は、ギャップ電界を生成する顕在的な電荷に変貌し、再放電に足るギャップ電界を発生し得るからである。
【0030】
したがって、誘電体バリア放電においては、周期的な外部から印加される電圧のもとでは、放電が一度生じた部分では、それ以後も放電が生じ、放電が生じなかった部分では、それ以後も放電が生じない、記憶効果が存在する。この記憶効果は、AC型プラズマディスプレイパネル装置において積極的に活用されている。
【0031】
このことは、AC型プラズマディスプレイパネル装置の場合の放電セルのような空間の分割がなされておらず、ギャップ電界強度が放電空間(3)内で一様でない構造を有する誘電体バリア放電器においては、放電ギャップの間のギャップ電界が放電破壊電界に近いような条件では、放電が極めて不安定であり、放電の発生の有無に揺らぎが非常に生じやすいことを意味する。このとき、放電空間(3)の放電用ガスの種類に応じて、ガス圧などの条件を適当に設定することにより、揺らぎを強調することができ、自然現象が本来的に内包する、カオス的で、自然に見えるものにすることができる。
【0032】
前記した、放電による電荷の移動と誘電体の表面への付着、ギャップ電界の中和の現象は、ランプ(1)全体で一斉に、一様に生じる訳ではなく、誘電体表面の部分毎に異なったタイミングで生じる。また、誘電体バリア放電ランプ(1)の構造を巧妙に設計することにより、放電を不均一に生じせしめることもできる。
【0033】
請求項1の発明について、その概念を示すための簡略化された図面である図2を用いて説明する。前記したように、誘電体バリア放電は、ギャップ電界が放電破壊電界より高い条件が満足される場合のみ生じるため、一つの誘電体バリア放電ランプ(1)のなかで、ギャップ電界が放電破壊電界より高い条件が確実に満足される部分と、確実に満足されない部分を設け、確実に満足される部分から確実に満足されない部分への遷移が、概略単調に変化するように形成することができれば、ギャップ電界が放電破壊電界より高い条件が確実に満足される部分と確実に満足されない部分の間には、前記した、放電ギャップの間のギャップ電界が放電破壊電界に近いような条件を満足する領域を形成することができ、炎の元来の形態の特徴のひとつ、境界が不明瞭な気体の発光領域で、発光領域のなかにおいては、発光が強い部分から弱い部分まで変化して分布するものが実現できる。
【0034】
両極の電極(5,6)の間に印加するランプ電圧が同じであっても、ギャップ電界は、ギャップ長の長い部分でも弱くなるし、誘電体(9,10)の厚さの厚い部分では弱くなるため、このような部分では、放電開始電圧が高くなる。逆に、ギャップ電界は、ギャップ長の短い部分でも強くなるし、誘電体(9,10)の厚さの薄い部分では強くなるため、このような部分では、放電開始電圧が低くなる。
【0035】
したがって、ギャップ長または誘電体(9,10)の厚さ、もしくはその両方が、概略単調に変化するように誘電体バリア放電ランプ(1)を構成すれば、前記した、境界が不明瞭な気体の発光領域で、発光領域のなかにおいては、発光が強い部分から弱い部分まで変化して分布するものが実現できることになる。
【0036】
図2(a)は、ギャップ長が概略単調に変化するように構成した本発明の装飾光源装置の概念図である。例えば、放電路(16a)、放電路(16b)、放電路(16c)の三者では、ギャップ長は放電路(16a)が最も長く、放電路(16c)が最も短いため、放電開始電圧は放電路(16a)が最も高く、放電路(16c)が最も低くなる。したがって、放電路(16a)においては最も放電し難く、放電路(16b)では中間で、放電路(16c)においては最も放電し易くなる。
【0037】
図2(a)の矢印Aの方向から見た発光領域(4)の様子を概念図として表したものが、図2(b)であり、上に向かうに従って放電し難くなり、したがって、上に向かうに従って放電からの発光が弱くなるため、前記した、境界、特に上方の境界が不明瞭な気体の発光領域で、発光領域のなかにおいては、発光が強い部分から弱い部分まで変化して分布するものが実現される。
【0038】
また、図3は、誘電体(9,10)の厚さが概略単調に変化するように構成した本発明の装飾光源装置の概念図である。例えば、放電路(17a)、放電路(17b)、放電路(17c)の三者では、放電開始電圧は放電路(17a)が最も高く、放電路(17c)が最も低くなる。したがって、放電路(17a)においては最も放電し難く、放電路(17b)では中間で、放電路(17c)においては最も放電し易くなる。 図3の構成においても、同様に、上に向かうに従って放電し難くなり、したがって、上に向かうに従って放電からの発光が弱くなるため、前記した、境界、特に上方の境界が不明瞭な気体の発光領域で、発光領域のなかにおいては、発光が強い部分から弱い部分まで変化して分布するものが実現される。
【0039】
当然ながら、本物の火を使わないため安全性が高く、さらに、基本的に誘電体バリア放電ランプであるから、前記したように、電極(5,6)の何れかもしくは両方を、放電空間(3)の外側に設けることができるため、電極の消耗が少なく、ランプが長寿命化できる。
【0040】
結果として、火災の危険を回避した上で、蝋燭などの自然炎を、これまで無かったような現実感をもって模擬することが可能な、長寿命な装飾光源装置を、低コストで提供することが実現できることが理解できる。
【0041】
さらに、ギャップ電界が放電破壊電界より高い条件が確実に満足される部分と確実に満足されない部分の間の、前記した、放電ギャップの間のギャップ電界が放電破壊電界に近いような条件を満足する領域における放電は不安定であるから、前記したように、放電空間(3)の放電用ガスの種類に応じて、ガス圧などの条件を適当に設定することにより、上部における揺らぎを強調することができ、自然現象が本来的に内包する、カオス的で、自然に見える炎を模擬することができる。
【0042】
ここで、ランプ(1)を構成する封体(2)または誘電体(9,10)としては、石英ガラス、鉛ガラス、硼珪酸ガラス、ソータガラスなどのガラス類や、サファイアなどの結晶、透明なセラミック、放電に耐力がある有機物などが使用できる。
【0043】
また、両極の電極(5,6)の何れか一方もしくは両方を、これらの材料からなる封体(2)の内面に形成し、内面に形成した電極の上に、誘電体(9,10)の薄い膜を形成することにより、誘電体バリア放電器を構成する構造も、電極(5,6)への印加電圧を低く抑える上で有効である。その際、誘電体(9,10)膜として、酸化マグネシウムなどの、放電を生じ易い材料を使用すればさらに有効である。
【0044】
なお、ギャップ長または誘電体(9,10)の厚さ、もしくはその両方が、概略単調に変化するように誘電体バリア放電ランプ(1)を構成する際の単調さの精度は、あまり高い必要はなく、放電開始電圧の極大や極小部分が多少生じてもよい。
【0045】
ただし、放電開始電圧の極大部分では発光が弱く、極小部分では発光が強くなり、これらの部分はランプ(1)の構造に固定されるため、単調さの精度があまりにも低い場合は、炎を模擬する光源として不適当になる。しかし、単調さの精度が放電の様子に与える影響の度合いは、ガス圧よって大きく変化するし、放電用ガスの種類や組成によっても変化するため、これらの条件に応じて、害の少ない単調さの精度に抑えればよい。
【0046】
請求項の発明について、その概念を示すための簡略化された図面である図4を用いて説明する。図4は、極めて単純な構造によって、ギャップ長が概略単調に変化するように構成した本発明の装飾光源装置の概念図で、これは、誘電体バリア放電の放電開始電圧を概略単調に変化して分布せしめることにより、放電による発光が強い部分から弱い部分まで変化して分布するようにしたことを実現するための手段として、極めて巧妙なものである。
【0047】
両極の電極(5,6)の有効部分の面積が相異するように構成し、大きい方の電極(6)が小さい方の電極(5)に対して対向しない部分ができるようにしたもので、このようにすることにより、誘電体(9,10)の厚さや間隔が概略均一な封体(2)を用いても、ギャップ長が概略単調に変化する状態を実現している。
【0048】
例えば、放電路(18a)、放電路(18b)、放電路(18c)の三者では、ギャップ長は放電路(18a)が最も長く、放電路(18c)が最も短いため、放電開始電圧は放電路(18a)が最も高く、放電路(18c)が最も低くなる。したがって、放電路(18a)においては最も放電し難く、放電路(18b)では中間で、放電路(18c)においては最も放電し易くなる。
【0049】
すなわち、本発明の請求項の発明は、電極(5,6)の構造を巧妙に工夫したことにより、誘電体(9,10)の厚さや間隔が概略均一な封体(2)を用いることができるようになるため、加工の手間を大幅に省略することができ、大変安価なコストで炎を模擬する装飾光源装置を実現することが可能となる、極めて有益なものである。
【0050】
さらに、請求項の発明について、その概念を示すための簡略化された図面である図5を用いて説明する。前記したように、炎の元来の形態は、支えるもののない空中に存在し、浮かんで見えるものであるため、炎を模擬する光源として優れたものであるためには、その電極は目立たないものとする方が効果的である。
【0051】
図5は、両極の電極(5,6)のうちの少なくとも一方を、線から構成されるパターンによって、目立たない電極を実現する場合の、パターンの若干例であり、またこの場合、これを細いものとすることにより、より効果的にすることができる。
【0052】
線から構成されるパターンの電極(以下において単に線電極と呼ぶ)は、例えば、プリント回路基板や液晶表示素子製造などの分野でよく知られているような光リソグラフィ技術により、アルミニウムやクロム、銅、銀、金などの金属薄膜により形成したり、あるいは、ニッケル、銀、金などの金属微粒子をガラス微粒子およびバインダー、有機溶剤等と混合して製造したペースト材料を用いて、スクリーン印刷技術により形成することができる。その際、電極パターンが如何に複雑なであっても、大量生産的に、安価に実現することができる点が、本発明の請求項の発明の優れた特長である。
【0053】
ここで注目すべきは、誘電体バリア放電においては、電極の形状の通りに放電するわけではない点である。図6に概念的に示すように、線電極(7)から発した電気力線(11)は、誘電体(9,10)を通過して放電空間(3)に入るに際し、誘電体(9,10)の誘電率が放電空間(3)の誘電率より高いことに起因して、誘電体(9,10)の断面内で大きく拡がって形成されるようになる。そのため、放電の様子は、線電極(7)の詳細の形状には強く影響されず、放電は、線電極(7)の存在する領域全体のなかで、前記したギャップ電界が放電破壊電界より高い条件が満足する部分に生じ、さらに、それより外にも、ぼんやりと拡がって生ずる。
【0054】
例えば図5(a)は、電極領域を櫛形の線電極(7)によって構成し、電極が全く目立たないにも関わらず、面状の放電発光領域(4)を実現するものである。
【0055】
また例えば図5(b)は、電極領域を枝を設けた線電極(7)によって構成し、電極が全く目立たないにも関わらず、面状の放電発光領域(4)を実現するものである。
【0056】
さらに例えば図5(c)は、電極領域を網形状の線電極(7)によって構成し、電極が全く目立たないにも関わらず、面状の放電発光領域(4)を実現するものである。
【0057】
さらに例えば図5(d)は、電極領域をS字状パターンが連続した形状の線電極(7)によって構成し、電極が全く目立たないにも関わらず、面状の放電発光領域(4)を実現するものである。この例の場合、線電極(7)はインダクタンスを多く有するため、電極の下部から給電することにより、電極領域の上ほど電圧が下がり、境界、特に上方の境界が不明瞭な気体の発光領域で、発光領域のなかにおいては、発光が強い部分から弱い部分まで変化して分布するものを実現する上で、さらに効果的である。
【0058】
電極領域を線電極(7)によって構成する際、放電の強さには、線電極(7)の分布の密度が強く影響を与える。すなわち、線電極(7)の分布の密度の高い部分では、電気力線(11)の密度が高く、よって電界が強くなって放電が強くなり、逆に線電極(7)の分布の密度の低い部分では、電気力線(11)の密度が低く、よって電界が弱くなって放電が弱くなる。
【0059】
この現象を応用すれば、本発明の請求項の発明に対して、更なる改良を加えることができる。すなわち、電極領域の上部および/または左右の外側ほど、線電極(7)の密度が低くなるように構成することにより、自然炎の特徴である、境界、特に上方の境界が不明瞭な気体の発光領域で、発光領域のなかにおいては、発光が強い部分から弱い部分まで変化して分布するものを実現する効果を、きめ細かに調整設計することができる。
【0060】
例えば図7(a)は、自然炎の特徴である、境界、特に上方の境界が不明瞭な気体の発光領域で、発光領域のなかにおいては、発光が強い部分から弱い部分まで変化して分布するものを実現するために、上部および左右の外側で線電極(7)の分布の密度が低くなるように、線電極(7)を櫛形とし、各線電極(7)の長さを調節して配置したものである。
【0061】
また例えば図7(b)は、上部および左右の外側で線電極(7)の分布の密度が低くなるように、線電極(7)に枝を設け、各線電極(7)の長さ、および枝の長さと数を調節して配置したものである。
【0062】
さらに例えば図7(c)は、上部および左右の外側で線電極(7)の分布の密度が低くなるように、線電極(7)を網形状とし、全体的な形、および網目の面積を調節して配置したものである。
【0063】
さらに例えば図7(d)は、上部で線電極(7)の分布の密度が低くなるように、線電極(7)をS字状パターンが連続した形状とし、全体的な形と、線間隔を調節して配置したものである。
【0064】
このように、本発明の請求項の発明を利用することにより、目立たない電極を実現した上で、前記したように、自然炎の特徴である、境界、特に上方の境界が不明瞭な気体の発光領域で、発光領域のなかにおいては、発光が強い部分から弱い部分まで変化して分布するものを実現するために有利な誘電体バリア放電の分布具合を、線電極(7)形状を調整設計することにより、線電極(7)の各部の影響の拡がり具合を調整設計し、結果として、放電の強さの分布具合として実現して、最適化された放電形態を経済的に実現することが可能となることがわかる。
【0065】
請求項の発明について、その概念を示すための簡略化された図面である図8を用いて説明する。両極の電極(5,6)のうちの少なくとも一方を、ネサ膜やITO膜などの透明導電性材料を用いた、透明電極によって構成することにより、電極を非常に目立たないものとすることができ、炎を模擬する光源として、より優れたものとすることができる。電極の形状としては、前記した図5や図7に記載のものを使うこともできるが、透明電極の場合は、さらに図8に例として記載した、面状の電極を採用することができる。
【0066】
例えば、図8(a)および(b)は、放電領域の概ねの形状を、透明電極(8)の形状に基づいて形成するものである。この例の場合は、放電は、透明電極(8)が形作る領域全体のなかで、前記したギャップ電界が放電破壊電界より高い条件が満足する部分に生じ、さらに、それより外にも、ぼんやりと拡がって生ずる。
【0067】
また、例えば、図8(c)は、透明電極(8)の上や左右の端に窓を設けることにより、さらに図8(d)は、透明電極(8)の上や左右の端に切れ込みを設けることにより、前記したように、電極領域の上部および/または左右の外側ほど、線電極(7)の密度が低くなるように構成することにより、自然炎の特徴である、境界、特に上方の境界が不明瞭な気体の発光領域で、発光領域のなかにおいては、発光が強い部分から弱い部分まで変化して分布するものを実現するものである。
【0068】
これらの透明電極(8)の形状は、本発明の請求項の発明の場合と同様に、プリント回路基板や液晶表示素子製造などの分野でよく知られているような光リソグラフィ技術により、極めて経済的に実現することができる。
【0069】
このように、本発明の請求項の発明を利用することにより、目立たない電極を実現した上で、前記したように、自然炎の特徴である、境界、特に上方の境界が不明瞭な気体の発光領域で、発光領域のなかにおいては、発光が強い部分から弱い部分まで変化して分布するものを実現するために有利な誘電体バリア放電の分布具合を、透明電極(8)形状を調整設計することにより、透明電極(8)の各部の影響の拡がり具合を調整設計し、結果として、放電の強さの分布具合として実現して、最適化された放電形態を経済的に実現することが可能となることがわかる。
【0070】
【実施例】
図9は、本発明の装飾光源装置の一実施例の簡略化された構成図であり、以下においてこれを説明する。図9(a)は、図9(b)の断面A-A'を表したものである。本図においては、両極の電極(5,6)のうち、大きい方の電極(6)の領域の上側と左右の大きな部分が、小さい方の電極(5)に対して対向しない部分になっており、これら電極(5,6)に対して、給電装置(12)から交流の高電圧が供給される。
【0071】
さらに、封体(2)の一部にくぼみ部(9)を設け、その外面に小さい方の電極(5)を設けることにより、ギャップ長の最も短い部分と長い部分の差が大きくなるようにして、全体として、必要な印加電圧を低くし、そして、ギャップ電界が放電破壊電界より高い条件が確実に満足される部分と確実に満足されない部分の間の、前記した、放電ギャップの間のギャップ電界が放電破壊電界に近いような条件を満足する領域、すなわち不安定な放電を示す領域が広くできるように工夫している。
【0072】
また、本図においては、大きい方の電極(6)は、線電極により構成されるように描いてあり、このとき、図5や図7に一例として示したパターンの何れでもよく、もしくは他のパターンも使用することができる。
【0073】
ここで、大きい方の電極(6)は、透明電極により構成してもよく、この場合は、線電極だけでななく、図8に一例として示したパターンの何れでもよく、もしくは他のパターンも使用することができる。
【0074】
小さい方の電極(5)についても、線電極や透明電極とすることにより、これを目立たないようにすることが理想的であるが、面積が小さく、元々目立たないものであるため、通常の金属等の電極であってもよい。
【0075】
このように構成された図9の実施例は、両極の電極(5,6)のうちの一方において、他方に対向しない部分を設けることにより、誘電体バリア放電の放電開始電圧を概略単調に変化して分布せしめることにより、放電による発光が強い部分から弱い部分まで変化して分布するようにしたものであるため、極めて簡単な構造によって、境界、特に上方の境界が不明瞭な気体の発光領域で、発光領域のなかにおいては、発光が強い部分から弱い部分まで変化して分布するものが実現される。
【0076】
また、不安定な放電を示す領域が広くできるように工夫したものであるため、放電空間(3)の放電用ガスの種類に応じて、ガス圧などの条件を適当に設定することにより、上部における揺らぎを強調することができ、自然現象が本来的に内包する、カオス的で、自然に見える炎を模擬することができる。
【0077】
さらに、少なくとも大きい方の電極(6)を、線電極または透明電極で構成することにより、電極が目立たないため、放電は、支えるもののない空中に存在し、浮かんで見え、炎の元来の形態を巧妙に模擬できるものである。
【0078】
なお、放電空間(3)の放電用ガスとしては、例えば、ネオンを主体としたガスを、10から200torrの圧力になるように封入することにより、淡いオレンジ色の発光を得ることができる。その際、ペニング効果のためのアルゴンを数パーセント程度混合することによって、放電が生じ易いように改良することもできる。また、窒素を封入すれば、緑色の発光を得ることができる。このように、発光色は封入する放電用ガスの種類や組成によって選択、調整することができる。
【0079】
また一般的にガス圧を低くすると、ランプ(1)への印加電圧を低くすることができ、発光の強い部分から弱い部分の遷移が滑らかになって、全体的に淡い発光となる。逆に、ガス圧を高くすると、ランプ(1)への印加電圧を高くする必要があるが、発光の強い部分と弱い部分との差が明瞭になり、また、揺らぎの生じ方が激しくなる。
【0080】
このように、放電の様子は、ガス圧よって大きく変化するし、放電用ガスの種類や組成によっても変化し、またギャップ長や印加電圧の高さ、周波数、波形によっても変化するため、ランプ(1)の大きさや形状に応じて、表現したい放電状態が実現できるように、適当な条件を選択して決めればよい。
また、ランプ(1)の全体形状を決める封体(2)は、この実施例で説明したように概略平板状であることが自然炎を模擬する点で望ましいが、必ずしも平板状である必要はないく、例えば、図9(c)で示すような曲面状の物でも可能である。図9(c)は図9(a)の断面B−B’を表したものである。つまり、封体(2)の一部に自然炎等の画像を模擬する窓部分のようなものが構成できればよい。
【0081】
図10(a)は、図9の装飾光源装置の改良の一例を示す簡略化された構成図であり、誘電体バリア放電器としての封体(2)を支持するための支持管(20)を設けるものである。このとき、支持管(20)は、その内側に小さい方の電極(5)およびこれへの給電線(13)を設けることにより、安全性を高めるための構造を兼ねることができる。すなわち、両極の電極(5,6)には高電圧が印加されるが、その一方の小さい方の電極(5)を支持管(20)内に設置することにより、人体などが両極の電極を同時に触れることができないようにするものである。このとき、他方の大きい方の電極(6)を接地しておくことにより、より安全性を高めることができる。
【0082】
なお、このように、支持管(20)の内側に小さい方の電極(5)を設ける場合は、小さい方の電極(5)が大きい方の電極(6)の一部に近づき、必然的に、ギャップ長の最も短い部分と長い部分の差が大きくなるため、図10(a)の装飾光源装置にあるようなくぼみ部(19)を設けない、図10(b)のような、構造でもよい。
【0083】
図11は、本発明の装飾光源装置の一実施例の簡略化された構成図であり、以下においてこれを説明する。図11(a)は、図11(b)の断面B-B'を表したものである。本図においては、両極の電極(5,6)のうち、大きい方の電極(6)の領域の上側と左右の大きな部分が、小さい方の電極(5)に対して対向しない部分になっており、これら電極(5,6)に対して、給電装置(12)から交流の高電圧が供給される。ただし、本図においては、ランプ(1)部分のみを描き、給電装置(12)の描画を省略してある。
【0084】
図9の実施例の装飾光源装置と同様に、本図においては、大きい方の電極(6)は、線電極により構成されるように描いてあり、このとき、図5や図7に一例として示したパターンの何れでもよく、もしくは他のパターンも使用することができる。また、大きい方の電極(6)は、透明電極により構成してもよく、この場合は、線電極だけでななく、図8に一例として示したパターンの何れでもよく、もしくは他のパターンも使用することができる。
【0085】
図11の装飾光源装置においては、小さい方の電極(5)は、一例として、電極が封体(2)の内部にあって、放電空間(3)の放電用ガスに接触している場合を描いてある。このように、放電用ガスに接触している電極がある場合は、両極の電極(5,6)の間に介在する誘電体の枚数が少ないため、ランプ(1)への印加電圧を低減することが容易である利点を有する。
【0086】
しかしその反面、放電用ガスに接触している電極において、放電用ガス中のイオン衝突によるスパッタリング現象を生じ易く、封体(2)の内部が汚れ、封体(2)の光透過率が徐々に低下する可能性がある。このような場合は、放電用ガスに接触している電極には、スパッタリングに強い材料を選択するか、あるいは、放電用ガスに接触している電極に、負の電圧が印加されている時間が短い、非対称の波形の交流の高電圧を発生する給電装置を用いることにより、この欠点を回避することができる。
【0087】
図11の装飾光源装置の特徴は、誘電体バリア放電器としての封体(2)を、外側管(21)で覆って、安全性を高め、誘電体バリア放電器の保護を行うことにある。すなわち、電極(5,6)が外側管(21)で覆われているため、不注意などにより、人体などが電極(5,6)に触れ、感電することを未然に防止することができる。また、両極の電極(5,6)が露出しないので、外部の物体との物理的な接触による両極の電極(5,6)の損耗が防止される。
【0088】
さらに図11の装飾光源装置のように、誘電体バリア放電器としての封体(2)を支持するための支持管(20)を設け、その内側に小さい方の電極(5)およびこれへの給電線(13)を設ける場合は、高電圧に対する人体への保護が2重に行われることになり、安全性をさらに高めることができる。
【0089】
図11の装飾光源装置には、さらなる安全対策のための仕組みとして、フィラメント(23)を描いてある。外側管と封体の間の空間(22)には、窒素やアルゴンなどの不活性ガスを充填しておき、図12に示すように、給電装置(12)用の電源(31)は、フィラメント端子(24,25)を介して供給するものとすればよい。もし外側管(21)が割れた場合には、外側管と封体の間の空間(22)に空気が流入して、電源(31)が供給する電源電流に伴うフィラメント(23)の発熱によって、フィラメント(23)自体が燃焼もしくは酸化し、両極の電極(5,6)への交流の高電圧の供給が、自動的に直ちに停止するため、理想的な安全性が確保される。この場合、フィラメント(23)は、外側管(21)が割れないうちは焼損せず、外側管(21)が割れたときはできるだけ速やかに焼損するように、その材質や線径を適当に選択する必要がある。外側管(21)が割れないうちのフィラメント(23)の発光が邪魔である場合は、その発光が、外部から見えないような位置にフィラメント(23)を設置するか、遮光手段を設ければよい。
【0090】
図11の装飾光源装置においては、外側管(21)が誘電体バリア放電器、支持管(20)と一体的に構成されているが、例えば外側管(21)を硬質プラスチックなどの割れにくい材料で作り、ガラスを材料とした誘電体バリア放電器としての封体(2)や支持管(20)を強力に保護するものとすることにより、安全性を高める方法も有効である。
【0091】
外側管(21)が、またはさらにその外側にカバーを設ける場合はそのカバーが、外れたり割れたりしたときに、給電装置(12)の動作が停止するように、インタロック機構を設け、安全性を高める方法も有効である。
【0092】
また、封体(2)の破損、給電線(13,14)の短絡や接続不良などの危険状態に対して、人体や給電装置(12)の保護のためには、特願平11−12401の発明を応用すれば、さらに安全性を高めることができる。
【0093】
図13は、本発明の装飾光源装置における給電装置(12)の一例の簡略化された構成図であり、フライバック方式インバータと呼ばれるもので、その構成、動作原理は一般的に知られているものである。さらに加えて、図14は、本発明の装飾光源装置における給電装置(12)の一例の簡略化された構成図であり、プッシュプル方式インバータと呼ばれるもので、同様に、その構成、動作原理は一般的に知られているものである。これらの他にも、図15のハーフブリッジ方式インバータや図16フルブリッジ方式インバータなどの、一般的によく知られたインバータ回路が、本発明の装飾光源装置における給電装置(12)として使用できる。
【0094】
前記したように、任意のインバータ回路が使用可能であるため、本明細書においては、それらの代表として、図13のインバータ回路につき、簡単に説明する。昇圧トランス(26)の1次側巻線(27)の一端には電源(31)が接続され、昇圧トランス(26)の1次側巻線(27)の他端にはFETなどを用いたスイッチ素子(32)が接続される。
【0095】
スイッチ素子(32)はインバータゲート駆動回路(33)よりのスイッチ素子ゲート駆動信号(34)のハイレベルとローレベルとの別に従ってオンオフ制御され、スイッチ素子(32)がオンの期間は、電源(31)から昇圧トランス(26)への電流が徐々に増加し、スイッチ素子(32)がオフになると、スイッチ素子(32)がオンの期間に昇圧トランス(26)に蓄えられた磁気的エネルギーが昇圧トランス(26)の2次側巻線(28)に開放される。
【0096】
このとき、昇圧トランス(26)の2次側巻線(28)に発生する電圧は、主として、昇圧トランス(26)の1次と2次巻線の巻線の巻比、およびランプ(1)が有する静電容量に依存するため、発生する電圧が、ランプ(1)の点灯に必要な所期の電圧になるように、前記昇圧トランス(26)の1次と2次巻線の巻線の巻比を設計する必要がある。
【0097】
ここで、ランプ(1)が有する静電容量とは、概ね、前記したように、誘電体バリア放電ランプが、放電空間(3)と電極(5,6)の間に介在する誘電体(9,10)のため、電極(5,6)から放電空間(3)に直接に電流が流れるのではなく、誘電体(9,10)と電極(5,6)がコンデンサの働きをすることによって電流が流れるときの、等価的な静電容量のことである。
【0098】
スイッチ素子ゲート駆動信号(34)が、概ね周期的なハイレベルとローレベルとを繰り返すことにより、ランプ(1)に交流の高電圧が印加される。この様子は、図17に概略的に示す通りで、図17(b)はスイッチ素子ゲート駆動信号(34)、図17(c)は1次側電流(29)、図17(d)は2次側電圧(30)をそれぞれ表す。
【0099】
前記したように、本発明の装飾光源装置は、誘電体バリア放電を応用したものであるから、放電空間(3)の放電用ガスの種類に応じて、ガス圧などの条件を適当に設定することにより、揺らぎを強調することができ、自然現象が本来的に内包する、カオス的で、自然に見える放電の揺らぎを生じるが、この揺らぎをさらに強調したい場合は、スイッチ素子ゲート駆動信号(34)の幅、または周波数に、所期の揺らぎを含むインバータゲート駆動回路(33)を構成すればよい。
【0100】
一例として図18に示すインバータゲート駆動回路(33)においては、鋸歯状波信号発生回路(36)よりの鋸歯状波信号(35)と、揺らぎ信号発生回路(38)よりの揺らぎ信号(37)とを、比較器(39)により比較し、揺らぎ信号(37)が鋸歯状波信号(35)より大きい期間においてスイッチ素子ゲート駆動信号(34)がハイレベルになるように構成している。
【0101】
このインバータゲート駆動回路(33)の動作の様子は、図17に付け加えた(a)に概略的に示す通りである。揺らぎ信号(37)の水準が高くなると、スイッチ素子ゲート駆動信号(34)がハイレベルである期間が長くなり、スイッチ素子(32)がオンの期間が長くなり、昇圧トランス(26)に蓄えられる磁気的エネルギーが大きくなり、昇圧トランス(26)の2次側巻線(28)に開放されるエネルギーが大きくなって、ランプ(1)の発光が強くなる。逆に、揺らぎ信号(37)の水準が低くなると、スイッチ素子ゲート駆動信号(34)がハイレベルである期間が短くなり、スイッチ素子(32)がオンの期間が短くなり、昇圧トランス(26)に蓄えられる磁気的エネルギーが小さくなり、昇圧トランス(26)の2次側巻線(28)に開放されるエネルギーが小さくなって、ランプ(1)の発光が弱くなる。すなわち、ランプ(1)の発光強度が、揺らぎ信号(37)により変調されることがわかる。
【0102】
ここで重要な点は、本発明の装飾光源装置は、誘電体バリア放電の放電開始電圧を概略単調に変化して分布せしめるものであるため、発光強度が強くなるときは、発光領域(4)の大きさも大きくなることである。つまり、単に発光の明るさの揺らぎを生ずるだけでなく、発光領域(4)の大きさの揺らぎをも生じ、炎を模擬する光源として、非常に巧妙に動作することが理解できる。
【0103】
なお、電源(31)は、図18においては、商用電源(40)を、必要に応じて電源トランス(41)によって変圧および/または絶縁し、ダイオードブリッジ(42)によって整流する回路によって構成している。このとき、平滑コンデンサ(43)を設置すれば、この電源は、通常のDC電源となる。
【0104】
しかし、平滑コンデンサ(43)を省略すれば、この電源は、脈流電源となる。この場合、インバータ回路自体の能力が、商用電源(40)の周波数の2倍の周波数で脈動するため、このインバータ回路の能力脈動と揺らぎ信号(37)の変化とのビート現象が生ずることにより、揺らぎ信号(37)が単調なものであっても、複雑な放電揺らぎを生ずる効果がある。
【0105】
揺らぎ信号発生回路(38)の構成については、簡単には、例えば、図19に示すように、ランダムノイズ発生回路(44)からのランダム信号(45)を、必要に応じてフィルタ回路(46)によって不要な周波数帯域の成分を除去して、揺らぎ信号(37)を生成するものが使用できる。
【0106】
あるいは、例えば、図20に示すように、ランダムノイズ発生回路(44)の代わりに、電波受信回路(47)を設け、アンテナ(48)によって周囲環境に存在するラジオ放送やテレビジョン放送を受信し、その音声信号などの受信信号(49)を、擬似ランダム信号として適用することもできる。
【0107】
この場合、電波受信回路(47)には、同調選択手段(50)を設け、受信電波を選択できるようにすることが有利である。複数の本発明の装飾光源装置を同時に使用したときに、もし受信電波の選択が不可能の場合は、全ての装飾光源装置の放電揺らぎが、同じような様子になってしまう可能性がある。このような場合、受信電波の選択を、各装飾光源装置毎に、適当に変えておけば、前記した、全ての装飾光源装置の放電揺らぎが、同じような様子になってしまう不都合を回避できる。
【0108】
当然ながら、ここで述べたような、揺らぎの強調は、インバータ回路がプッシュプル方式インバータ、ハーフブリッジ方式インバータ、フルブリッジ方式インバータまたはその他のものであっても、それぞれの回路方式に応じた適当な方法で、同様に実施することができる。方法は、それぞれの回路方式に応じた適当な方法で行う必要があるが、最も簡単には、例えば、それらインバータ回路への電源の電圧に揺らぎを含むように構成することにより実現可能である。
【0109】
本発明の装飾光源装置を、両極の電極(5,6)のうちの一方または両方を、複数の領域に分割し、電気的に独立に、または従属的ではあるが異なる条件で放電を制御できるようにすることにより、さらに自然炎に近いものに改良することができる。
【0110】
図21は、前記した図9の本発明の装飾光源装置を改良する場合の一例で、図9においては単一であった大きい方の電極(6)を、図21の装飾光源装置においては主電極(6)と補助電極(6a,6b)に分割し、主給電装置(51)に加えて、補助電極(6a,6b)のそれぞれに対して、補助電圧源(52,53)を設けて、主電極(6)との電位差(Voa,Vob)を与え、その電位差(Voa,Vob)が時間的に変化するようにしたものである。
【0111】
このように構成することにより、小さい方の電極(5)と主電極(6)との電圧、および小さい方の電極(5)と補助電極(6a,6b)それぞれとの電圧の印加状態に差異を生ずるため、ランプ(1)の放電の様子において、中央部と右と左とで差異を生じ、時間的、空間的に、より動的な発光の揺らぎの視覚効果を与えることができ、炎を模擬する光源として非常に優れたものとすることができる。
【0112】
なお、補助電圧源(52,53)それぞれの電圧は高電圧でなくてもよいため、主電極(6)と補助電極(6a,6b)との間、もしくは、補助電極(6a,6b)相互の間の絶縁耐力確保に特別の配慮を必要としない範囲の電圧であっても十分効果を発揮することができる。
【0113】
ここで、補助電圧源(52,53)の周波数に関して述べると、2個の補助電圧源(52,53)それそれの周波数は、互いに異なるようにする方が揺らぎの視覚効果の点で有利であり、また、補助電圧源(52,53)それそれの周波数は高周波でなくてもよく、むしろ、その変化が人間の視覚に認知できるような低周波が好都合である。
【0114】
加えて補助電圧源(52,53)の周波数に関して述べると、補助電圧源(52,53)を構成するに際して、トランスを使用する場合にはその飽和阻止への配慮の点で、または発振器構成のためのコンデンサなどの時定数決定素子の寸法的大きさの点で、補助電圧源(52,53)の周波数を低くすることが、かえって不利になる場合は、前記したような、インバータ回路の能力脈動が生ずる回路構成とし、補助電圧源(52,53)の周波数は、その脈動周波数に近いものとし、それらの間のビート現象により、変化が人間の視覚に認知できるような低周波を間接的に実現すればよい。
【0115】
また、図21の装飾光源装置においては、補助電圧源(52,53)を設けることによって、ランプ(1)の放電の様子において、中央部と右と左とで差異を生じせしめたが、補助電圧源(52,53)の代わりに、FET等を用いたスイッチ素子に置換えても、同様に、ランプ(1)の放電の様子において、中央部と右と左とで差異を生じせしめ、時間的、空間的に、より動的な発光の揺らぎの視覚効果を与えることができる。
【0116】
スイッチ素子を駆動する際には、その駆動周波数について、先に補助電圧源(52,53)の周波数に関して述べたように構成すればよい。
【0117】
図21の装飾光源装置においては、電極を3分割したが、他の分割数でもよい。また、図21の装飾光源装置においては、左右方向に電極を分割したが、上下方向に分割、上下左右方向に分割することも可能である。
【0118】
当然ながら、図21の装飾光源装置においても、主給電装置(51)、補助電圧源(52,53)の電圧に揺らぎを含むものとすることにより、炎を模擬する光源として、さらに優れたものとすることができる。
【0119】
言うまでも無いが、実施例で説明した回路動作の詳細事項、例えば、信号の極性であるとか、具体的な回路素子の選択や追加、省略、或いは素子の入手の便や経済的理由に基づく変更などの創意工夫は、実際の装置の設計業務において、精力的に遂行されることを前提としている。例えば、図18に現れた回路構成要素、例えば鋸歯状波信号発生回路(36)や比較器(39)などの一部や全部が集積された市販の集積回路(例えばテキサスインスツルメンツ社製TL494や日本電気(株)製μPC494など)を調査して採用するなどの事項は、前記した創意工夫の範疇である。
【0120】
当然ながら、本発明は、放電用ガスとして如何なるものを使用するかに無関係である。例えば、水銀などの金属蒸気、または、メタルハライドと呼ばれるような、これらとハロゲンの混合物や化合物であってもよい。また、放電用ガスとして、ネオンやアルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等の希ガス、またはこれらと弗素や塩素、臭素等のハロゲンの混合物や化合物を用い、エキシマ発光によって、可視光や紫外光等を生成する放電用ガスも使用可能である。
【0121】
なお、封体(2)の内面の少なくとも一部に蛍光体層を形成し、放電用ガスから生じた放射光によって蛍光体を励起して、これの発光を利用するようにしてもよい。特に、封体(2)を石英ガラスなどの短波長透光過材料で作り、封体(2)の外面や外側管(21)の少なくとも一部に蛍光体層を形成し、放電用ガスから生じた放射光によって蛍光体を励起して、これの発光を利用するようにして視覚効果を高めることもできる。
【0122】
外側管(21)を用いる場合は、封体(2)または外側管(21)の何れか一方または両方を、外側管(21)を用いない場合は封体(2)を、紫外線などの短波長光を透過しにくい材料で作るなど、いずれにしても、最終的に外界までの少なくとも1層は、紫外線などの短波長光を透過しにくい層を設け、人体への短波長光の被ばくや、オゾン発生を防止する構造にすべきである。
【0123】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、誘電体バリア放電によって発光する放電用ガスが充填された放電空間(3)があって、前記放電用ガスに放電現象を誘起せしめるための両極の電極(5,6)のうちの少なくとも一方と前記放電用ガスの間に誘電体(9,10)が介在する構造を有する誘電体バリア放電ランプ(1)と、前記誘電体バリア放電ランプ(1)の前記電極(5,6)に交流の高電圧を供給するための給電装置(12)とを有する装飾光源装置において、前記両極の電極(5,6)の有効部分の面積は相異し、大きい方の電極が小さい方の電極に対して対向しない部分を有し、大きい方の電極が線または面から構成されるパターンからなることにより、前記誘電体バリア放電ランプ(1)の放電空間(3)において、誘電体バリア放電の放電開始電圧を概略単調に変化して分布せしめ、放電による発光が強い部分から弱い部分まで変化して分布するようにしたことを特徴とすることにより、火災の危険を回避した上で、自然炎を模擬することが可能な、長寿命な装飾光源装置を、低コストで提供できる。
【0126】
またさらに、両極の電極(5,6)のうちの少なくとも一方が、透明電極で構成されるとしたことにより、電極が不可視状態で、火災の危険を回避した上で、自然炎を模擬することが可能な、長寿命な装飾光源装置を、低コストで提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】誘電体バリア放電ランプの概念図である。
【図2】請求項1の発明の構成を説明するための簡略化された概念図である。
【図3】請求項1の発明の構成を説明するための他の簡略化された概念図である。
【図4】請求項2の発明の構成を説明するための簡略化された概念図である。
【図5】請求項3の発明の構成を説明するための簡略化された概念図である。
【図6】誘電体バリア放電における電極付近の電気力線の様子を説明するための簡略化された概念図である。
【図7】請求項3の発明の構成を説明するための他の簡略化された概念図である。
【図8】請求項4の発明の構成を説明するための簡略化された概念図である。
【図9】本発明の装飾光源装置の簡略化された一実施例である。
【図10】本発明の装飾光源装置の他の簡略化された一実施例である。
【図11】本発明の装飾光源装置のさらに他の簡略化された一実施例である。
【図12】図11の装飾光源装置用の、本発明の装飾光源装置の給電装置の一部分の簡略化された一実施例である。
【図13】本発明の装飾光源装置の給電装置の簡略化された一実施例である。
【図14】本発明の装飾光源装置の給電装置の他の簡略化された一実施例である。
【図15】本発明の装飾光源装置の給電装置のさらに他の簡略化された一実施例である。
【図16】本発明の装飾光源装置の給電装置のさらに他の簡略化された一実施例である。
【図17】図13、図18の給電装置の動作を説明するための簡略化された概念図である。
【図18】本発明の装飾光源装置の給電装置の改良に関する簡略化された一実施例である。
【図19】本発明の装飾光源装置の給電装置の改良に関する一部の簡略化されたブロック図である。
【図20】本発明の装飾光源装置の給電装置の改良に関する一部の他の簡略化されたブロック図である。
【図21】本発明の装飾光源装置の改良に関する簡略化された一実施例である。
【符号の説明】
1 誘電体バリア放電ランプ
2 封体
3 放電空間
4 発光領域
5,6 電極
6a,6b 補助電極
7 線電極
8 透明電極
9、10 誘電体
11 電気力線
12 給電装置
13、14 給電線
15 放電路
16a、16b、16c 放電路
17a、17b、17c 放電路
18a、18b、18c 放電路
19 くぼみ部
20 支持管
21 外側管
22 外側管と封体の間の空間
23 フィラメント
24、25 フィラメント端子
26 昇圧トランス
27 1次側巻線
28 2次側巻線
29 1次側電流
30 2次側電圧
31 電源
32 スイッチ素子
33 インバータゲート駆動回路
34 スイッチ素子ゲート駆動信号
35 鋸歯状波信号
36 鋸歯状波信号発生回路
37 揺らぎ信号
38 揺らぎ信号発生回路
39 比較器
40 商用電源
41 電源トランス
42 ダイオードブリッジ
43 平滑コンデンサ
44 ランダムノイズ発生回路
45 ランダム信号
46 フィルタ回路
47 電波受信回路
48 アンテナ
49 受信信号
50 同調選択手段
51 主給電装置
52、53 補助電圧源
54、55 スイッチ素子
56、57 抵抗
58 コンデンサ
59 チョークコイル
60,61 スイッチ素子
62,63 コンデンサ
64,65 インバータゲート駆動回路
66 スイッチ素子ゲート駆動信号生成回路
67,68,69,70 スイッチ素子
71、72、73、74 インバータゲート駆動回路
75 スイッチ素子ゲート駆動信号生成回路
Vo ランプ電圧
Voa,Vob 電位差

Claims (7)

  1. 誘電体バリア放電によって発光する放電用ガスが充填された放電空間(3)があって、前記放電用ガスに放電現象を誘起せしめるための両極の電極(5,6)のうちの少なくとも一方と前記放電用ガスの間に誘電体(9,10)が介在する構造を有する誘電体バリア放電ランプ(1)と、前記誘電体バリア放電ランプ(1)の前記電極(5,6)に交流の高電圧を供給するための給電装置(12)とを有する装飾光源装置において、
    前記両極の電極(5,6)の有効部分の面積は相異し、大きい方の電極が小さい方の電極に対して対向しない部分を有し、大きい方の電極が線または面から構成されるパターンからなることにより、前記誘電体バリア放電ランプ(1)の放電空間(3)において、誘電体バリア放電の放電開始電圧を概略単調に変化して分布せしめ、放電による発光が強い部分から弱い部分まで変化して分布するようにしたことを特徴とする装飾光源装置。
  2. 両極の電極(5,6)のうちの大きい方の電極が、透明電極で構成されることを特徴とする請求項1に記載の装飾光源装置。
  3. 前記大きい方の電極(6)を、主電極(6)と補助電極(6a,6b)に分割し、給電装置(51)に加えて、前記補助電極(6a,6b)に対して、補助電圧源(52,53)を設けて、主電極(6)との電位差(V oa ,V ob )を与え、その電位差(V oa ,V ob )が時間的に変化するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の装飾光源装置。
  4. 給電装置(12)が、昇圧トランス(26)と電源(31)とスイッチ素子から構成されるインバータであって、前記スイッチ素子のゲートを駆動するスイッチ素子ゲート駆動信号が、幅、または周波数において揺らぎを含むことを特徴とする請求項1に記載の装飾光源装置。
  5. 給電装置(12)が、昇圧トランス(26)と電源(31)とスイッチ素子から構成されるインバータであって、前記電源(31)の電圧が揺らぎを含むことを特徴とする請求項1に記載の装飾光源装置。
  6. 前記揺らぎが、ランダムノイズ発生回路(44)からのランダム信号(45)に基づき生成されることを特徴とする請求項4から5に記載の装飾光源装置。
  7. 前記揺らぎが、周囲環境に存在する放送電波を受信する電波受信回路(47)からの受信信号(49)に基づき生成されることを特徴とする請求項4から5に記載の装飾光源装置。
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