JP3537364B2 - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents
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Description
弁をそれぞれ開閉する吸気カムおよび排気カムの少なく
とも一方の、クランクシャフトに対する位相であるカム
位相を変更することにより、吸気弁および/または排気
弁のバルブタイミングを制御する内燃機関のバルブタイ
ミング制御装置に関する。
ング制御装置として、特開平7−269380号公報に
記載されたものが知られている。このバルブタイミング
制御装置は、電磁制御弁と、この電磁制御弁から油圧が
供給されるカム位相可変機構とを備えている。このバル
ブタイミング制御装置では、電磁制御弁に対して操作量
を出力することにより、電磁制御弁を介してカム位相可
変機構に油圧を供給する。カム位相可変機構は、進角室
および遅角室からなる2つの油圧室を備えており、電磁
制御弁からの油圧が進角室および遅角室に選択的に供給
されることにより、クランクシャフトに対する吸気カム
の位相(以下「カム位相」という)を進角または遅角さ
せる。これにより、吸気弁のバルブタイミング(開閉タ
イミング)を変更する。
に応じて目標バルブタイミングが算出され、バルブタイ
ミングの検出値を目標バルブタイミングに一致させるよ
うに、電磁制御弁がフィードバック制御される。このフ
ィードバック制御の際に、その精度を向上させるために
学習値で操作量を補正する。この学習値は、バルブタイ
ミングの変化速度が所定値以下で、かつ操作量の変化量
が所定値以下であるときに、すなわちバルブタイミング
がほとんど変化しないときに、操作量にずれ量を加算す
ることによって算出される。このずれ量は、保持操作量
に対する操作量の今回値のずれ量であり、バルブタイミ
ングの変化速度に応じて予め設定されている。また、保
持操作量は、カム位相可変機構がカム位相を進角も遅角
もさせないような値に相当する。
バルブタイミング制御装置によれば、バルブタイミング
がほとんど変化しないという条件が成立すれば、カム位
相可変機構の作動の正否にかかわらず、または目標バル
ブタイミングが変化しているか否かにかかわらず、学習
値の算出が行われる。このため、学習値が適切に得られ
ないことがあり、その結果、フィードバック制御の精度
が低下することがある。さらに、バルブタイミングがほ
とんど変化しないときに学習値の算出が行われるが、そ
のような状態は、実際の内燃機関の運転中には短時間で
終了することが多い。このため、学習値の算出を適切に
行うのに十分なサンプリング数が得られないうちに学習
がすぐ終了することがあり、その結果、そのような学習
値を用いることによって、バルブタイミング制御の精度
が低下してしまう。
れたもので、バルブタイミング制御の精度を向上させる
ことができる内燃機関のバルブタイミング制御装置を提
供することを目的とする。
吸気弁4および排気弁5をそれぞれ開閉する吸気カム6
aおよび排気カム7aの少なくとも一方の、クランクシ
ャフト9に対する位相であるカム位相を変更することに
より、吸気弁4および排気弁5の少なくとも一方のバル
ブタイミングを制御する内燃機関3のバルブタイミング
制御装置1であって、カム位相を実カム位相CAINと
して検出する実カム位相検出手段(例えば実施形態にお
ける(以下、この項において同じ)ECU2、カム角セ
ンサ20、クランク角センサ23)と、カム位相を変更
するカム位相可変機構8と、運転状態(スロットル弁開
度θTH、吸気管内絶対圧PBA、エンジン回転数N
E)を検出する運転状態検出手段(ECU2、スロット
ル弁開度センサ21、吸気管内絶対圧センサ22、クラ
ンク角センサ23)と、検出された運転状態(スロット
ル弁開度θTH、エンジン回転数NE)に応じて、燃料
の供給を停止するフューエルカット運転中であるか否か
を判別するフューエルカット運転判別手段(ECU2、
ステップ3)と、検出された運転状態(吸気管内絶対圧
PBA、エンジン回転数NE)に応じて目標カム位相C
AINCMDを設定するとともに、フューエルカット運
転中に目標カム位相CAINCMDを一定値CAINC
MDFCに固定する目標カム位相設定手段(ECU2)
と、カム位相を目標カム位相CAINCMDに一致させ
るようにカム位相可変機構8を制御するとともに、フュ
ーエルカット運転中の所定タイミング(時刻t2)にお
いて、カム位相を保持するようにカム位相可変機構8を
制御するカム位相制御手段(ECU2、電磁制御弁1
0)と、フューエルカット運転中の所定タイミング(時
刻t2)以降に検出された複数の実カム位相CAIN
と、目標カム位相CAINCMDの一定値CAINCM
DFCとに基づいて、実カム位相CAINCMDのずれ
量(学習値DCALEARN)を算出する実カム位相ず
れ量算出手段(ECU2、ステップ5)と、を備えるこ
とを特徴とする。
によれば、検出された運転状態に応じて、フューエルカ
ット運転中であるか否かが判別され、フューエルカット
運転中には、目標カム位相が一定値に固定される。さら
に、カム位相可変機構は、カム位相を目標カム位相に一
致させるように制御されるとともに、フューエルカット
運転中の所定タイミングにおいて、カム位相を保持する
ように制御される。そして、フューエルカット運転中の
所定タイミング以降に検出された複数の実カム位相と、
目標カム位相の一定値とを比較することにより、実カム
位相のずれ量が算出される。フューエルカット運転中は
燃焼が行われないので、目標カム位相を変更することな
く、上記のように目標カム位相の一定値に固定できる。
また、フューエルカット運転は、すぐに終了することな
く、ある程度の時間、継続されることが多い。したがっ
て、上記のように目標カム位相を固定するとともに、カ
ム位相を所定タイミングで保持した状態で実カム位相の
ずれ量を算出することにより、従来のように目標カム位
相が変化しているか否かにかかわらず、バルブタイミン
グがほとんど変化していることを条件として学習を行う
場合と異なり、実カム位相のずれ量が、目標カム位相に
対して十分に収束している状態の実カム位相に基づい
て、かつその状態がある程度、継続しているときに算出
される。これによって、実カム位相の実際のずれ量をよ
りよく反映した値を算出できることにより、実カム位相
のずれ量を、より精度良く算出することができる。その
結果、バルブタイミング制御の際に、このように精度良
く学習された信頼性の高いずれ量を用いて実カム位相を
補正することにより、バルブタイミング制御の精度を向
上させることができる。
内燃機関3のバルブタイミング制御装置1において、フ
ューエルカット運転中以前の実カム位相CAINの変化
量を積算値CAINXとして積算する実カム位相積算手
段(ECU2)と、積算値が所定値以上のときに、実カ
ム位相ずれ量算出手段による実カム位相CAINのずれ
量(学習値DCALEARN)の算出を許可する算出許
可手段(ECU2、ステップ1)と、をさらに備えるこ
とを特徴とする。
によれば、フューエルカット運転中以前の実カム位相の
変化量の積算値が所定値以上のときに、ずれ量の算出が
許可される。一般に、カム位相可変機構が固着すること
なく、作動しているときには、実カム位相の変化量の積
算値は、作動時間の経過に伴って大きくなる。したがっ
て、上記のように積算値が所定値以上のときに実カム位
相のずれ量の算出が許可されることにより、カム位相可
変機構が固着しているときのデータを排除しながら、作
動しているときのみのデータをサンプリングできる。こ
れにより、学習されたずれ量の信頼性を十分に高めるこ
とができ、その結果、バルブタイミング制御の精度をさ
らに向上させることができる。
に記載の内燃機関3のバルブタイミング制御装置1にお
いて、目標カム位相CAINCMDと実カム位相CAI
Nとの偏差DCAINに基づき、目標カム位相CAIN
CMDに対する実カム位相CAINの追従遅れが生じて
いるか否かを判別する追従遅れ判別手段(ECU2)
と、この追従遅れ判別手段により追従遅れが生じていな
いと判別されたときに、実カム位相ずれ量算出手段によ
る実カム位相CAINのずれ量(学習値DCALEAR
N)の算出を許可する第2算出許可手段(ECU2、ス
テップ2)と、をさらに備えることを特徴とする。
によれば、目標カム位相と実カム位相との偏差に基づ
き、目標カム位相に対する実カム位相の追従遅れが生じ
ていないと判別されたときに、ずれ量の算出が許可され
る。一般に、カム位相可変機構が正常に作動していると
きには追従遅れなどを生じないので、目標カム位相と実
カム位相との偏差は小さく、例えばこれらの偏差が過大
になる状態が長時間、継続することはない。そのため、
これらの偏差に基づき、目標カム位相に対する実カム位
相の追従遅れが生じているか否かを判別することができ
る。したがって、上記のように追従遅れが生じていない
ときにずれ量の算出が許可されることにより、カム位相
可変機構が正常に作動しているときに、すなわち実カム
位相が目標カム位相に収束している状態のときのデータ
をサンプリングできる。これにより、学習されたずれ量
の信頼性をさらに十分に高めることができる。その結
果、バルブタイミング制御の精度をより一層、向上させ
ることができる。
明の一実施形態に係る内燃機関のバルブタイミング制御
装置について説明する。図1は、本実施形態のバルブタ
イミング制御装置1の概略構成を示している。同図に示
すように、このバルブタイミング制御装置1は、ECU
2を備えている。このECU2は、内燃機関3(以下
「エンジン3」という)の運転状態に応じて、カム位相
制御やフューエルカット運転制御などを実行する。
リンエンジンであり、吸気カムシャフト6および排気カ
ムシャフト7を備えている。吸気カムシャフト6は、運
転時に、吸気弁4を開閉駆動する吸気カム6aを有して
いる。また、排気カムシャフト7は、排気弁5を開閉駆
動する排気カム7aを有している。これらの吸気および
排気カムシャフト6,7は、図示しないタイミングベル
トを介してクランクシャフト9に連結されており、クラ
ンクシャフト9の回転に従ってこれが2回転するごとに
1回転する。吸気カムシャフト6の一端部には、カム位
相可変機構8(VTC)が設けられている。
進角室および遅角室からなる2つの油圧室を備えてお
り、これらの2つの油圧室に選択的に油圧が供給される
ことによって、クランクシャフト9に対する吸気カム6
aの位相(以下、単に「カム位相」という)を無段階に
進角または遅角させる。これにより、吸気弁4の開閉タ
イミングを早めまたは遅らせる。また、カム位相可変機
構8には、電磁制御弁10(カム位相制御手段)が接続
されている。この電磁制御弁10は、ECU2からの駆
動信号によって駆動されるとともに、その駆動信号のデ
ューティ比DOUT(%)に応じて、エンジン3の潤滑
系の油圧ポンプ(図示せず)からの油圧を、進角室およ
び遅角室に選択的に供給する。これにより、カム位相可
変機構8がカム位相を進角または遅角させる。カム位相
可変機構8の最遅角位置と最進角位置の間の角度は、所
定値(例えばカム角度30deg)に設定されている。
ューティ比(例えば50%)の駆動信号で駆動された際
に、進角室および遅角室を同時に閉鎖する。これによ
り、カム位相可変機構8は、カム位相を遅角も進角もさ
せることなく、その時点のカム位相を保持する(固定す
る)。
機構8と反対側の端部には、カム角センサ20(実カム
位相検出手段)が設けられている。このカム角センサ2
0は、例えばマグネットロータおよびMREピックアッ
プで構成されており、吸気カムシャフト6の回転に伴
い、パルス信号であるCAM信号を所定のカム角(例え
ば1deg)ごとにECU2に出力する。ECU2は、
このCAM信号と後述するCRK信号とにより、カム位
相の検出値である実カム位相CAINを求める。
は、スロットルバルブ12およびスロットル弁開度セン
サ21(運転状態検出手段)が取り付けられている。ス
ロットルバルブ12は、ECU2により図示しない電磁
アクチュエータを介して駆動されることによって、その
開度θTH(以下「スロットル弁開度θTH」という)
が全開状態と全閉状態の間で変化する。また、スロット
ル弁開度センサ21はスロットル弁開度θTH(運転状
態を表すパラメータ)を検出し、その検出信号をECU
2に送る。
には、インジェクタ13と、例えば半導体圧力センサな
どで構成された吸気管内絶対圧センサ22(運転状態検
出手段)とが取り付けられている。インジェクタ13
は、ECU2からの駆動信号によって駆動され、その駆
動信号の燃料噴射時間TOUTだけ、燃料を吸気管11
内に噴射する。吸気管内絶対圧センサ22は、吸気管1
1内の吸気管内絶対圧PBA(運転状態を表すパラメー
タ)を検出し、その検出信号をECU2に送る。
は、クランク角センサ23(カム位相検出手段、運転状
態検出手段)が取り付けられている。クランク角センサ
23は、例えば前記カム角センサ20と同様に構成され
ており、クランクシャフト9の回転に伴い、パルス信号
であるCRK信号を、所定のクランク角(例えば1de
g)ごとにECU2に出力する。ECU2は、このCR
K信号に基づき、エンジン3のエンジン回転数NE(運
転状態を表すパラメータ)を求める。さらに、ECU2
は、前述したように、このCRK信号とカム角センサ2
0のCAM信号に基づき、実カム位相CAINを求め
る。
検出手段、フューエルカット運転判別手段、目標カム位
相設定手段、カム位相制御手段、実カム位相ずれ量算出
手段、実カム位相積算手段、算出許可手段、追従遅れ判
別手段、第2算出許可手段)は、I/Oインターフェー
ス、CPU、RAMおよびROMなどからなるマイクロ
コンピュータで構成されている。前述したセンサ20〜
23の検出信号はそれぞれ、I/Oインターフェースで
A/D変換や整形がなされた後、CPUに入力される。
CPUは、これらの入力信号に応じて、エンジン3の運
転状態を判別するとともに、ROMに予め記憶された制
御プログラムやRAMに記憶されたデータなどに従っ
て、電磁制御弁10のデューティ比DOUTやインジェ
クタ13の燃料噴射時間TOUTなどを決定する。さら
に、これらのデューティ比DOUTや燃料噴射時間TO
UTなどに応じた駆動信号を出力することによって、カ
ム位相制御、フューエルカット運転(以下「F/C運
転」という)制御、およびF/C運転中の実カム位相C
AINのずれ量算出処理などを実行する。
(例えばエンジン回転数NEおよび吸気管内絶対圧PB
Aなど)に応じて目標カム位相CAINCMDを算出
し、この目標カム位相CAINCMDにカム位相を一致
させるように、カム位相可変機構8がフィードバック制
御またはフィードフォワード制御される。さらに、後述
するように、F/C運転時には、目標カム位相CAIN
CMDが、F/C運転に入った時点(図3の時刻t1)
の値CAINCMDFCに固定され、F/C運転に入っ
た時点から所定時間tsetだけ、カム位相のフィード
バック制御が実行される。さらに、所定時間tset経
過した時点(図3の時刻t2)で、電磁制御弁10のデ
ューティ比を保持デューティ比とすることにより、カム
位相を所定時間tset経過時点(図3の時刻t2)の
値に保持する。
実カム位相CAINのずれ量の学習算出処理について説
明する。図2は、実カム位相CAINのずれ量の学習算
出処理のフローチャートを示しており、この処理は、タ
イマ設定により所定時間(例えば10msec)ごとに
実行される。
テップ1(図では「S1」と略す。以下同様)におい
て、実カム位相CAINの変化量の積算値CAINX
が、所定値CAINREF以上か否かを判別する。この
積算値CAINXは、エンジン3の始動時から現時点ま
での間に、実カム位相CAINの遅角側または進角側の
変化量の絶対値を積算したものである。一般に、カム位
相可変機構8が固着することなく、作動しているときに
は、この積算値CAINXは、作動時間の経過に伴って
大きくなる。したがって、このステップ1の判別によ
り、カム位相可変機構8が固着しているときのデータを
排除しながら、作動しているときのみのデータをサンプ
リングすることができる。また、所定値CAINREF
は、エンジン3の始動時から現時点までの間に、カム位
相可変機構8が固着することなく、作動していると見な
してもよいほどの十分、大きな値(例えばカム角60d
eg)に設定されている。
CAINとそれに応じた積算値CAINXの推移を一例
を示している。同図では、時間の経過による実カム位相
CAINの変化に伴い、その積算値CAINXは、エン
ジン始動後の時刻t0以降において、所定値CAINR
EF以上になっている。
わちCAINX<CAINREFのときには、本処理を
終了する。一方、ステップ1の判別結果がYESのと
き、すなわちCAINX≧CAINREFのときには、
ステップ2に進み、カム位相可変機構8の追従遅れがな
いか否かを判別する。この追従遅れの判別は、以下のよ
うに行われる。すなわち、F/C運転を行う前の前記カ
ム位相制御で算出した目標カム位相CAINCMDと、
実カム位相CAINとの偏差DCAINが、所定値#D
CAIN以上になっていた期間の長さを積算するととも
に、その積算時間tintが所定値tref未満のとき
には追従遅れがないと判別し、所定値tref以上のと
きには追従遅れがあると判別する。この積算時間tin
tは、次に述べるF/Cフラグの値が「1」にセットさ
れる際にリセットされる。このステップ2の判別によ
り、カム位相可変機構8が正常に作動しているときに、
すなわち実カム位相CAINが目標カム位相CAINC
MDに収束している状態のときに、ずれ量を算出するこ
とができる。
わち追従遅れがあると判別されたときには、本処理を終
了する。一方、ステップ2の判別結果がYESのとき、
すなわち追従遅れがないと判別されたときには、ステッ
プ3に進み、F/C運転中か否かを判別する。この判別
は、F/Cフラグの値を参照することによって行われ
る。このF/Cフラグは、F/C運転制御において、ス
ロットル弁開度θTHが全閉状態で、かつエンジン回転
数NEが所定値#NE(例えば4000rpm)以下の
減速中であるときに、F/C運転をおこなうべきである
として「1」にセットされ、そうでないときに「0」に
セットされる。
わちF/C運転中でないときには、本処理を終了する。
一方、ステップ3の判別結果がYESのとき、すなわち
F/C運転中のときには、ステップ4に進み、F/Cタ
イマがタイムアップしているか否かを判別する。このF
/Cタイマは、F/C運転の開始時点からの経過時間を
計時するダウンカウント式のタイマであり、上記F/C
フラグが「1」にセットされるタイミングに同期して所
定時間tsetがセットされ、かつ計時を開始する。こ
の所定時間tsetは、F/C運転の開始時点からのカ
ム位相のフィードバック制御の実行時間を計時するため
のものであり、このフィードバック制御により、カム位
相がF/C運転に入った時点の目標カム位相CAINC
MDFCに収束するのに十分な値として設定される。
わちF/Cタイマがタイムアップしていないときには、
本処理を終了する。一方、ステップ4の判別結果がYE
Sのとき、すなわち上記所定時間tsetが経過してい
るときには、カム位相が十分、収束しているとして、ス
テップ5に進み、実カム位相CAINのずれ量の学習値
算出処理を実行して、本処理を終了する。
検出された実カム位相CAINを平均化演算することに
より平均値CAINAVEを求め、この平均値CAIN
AVEと目標カム位相CAINCMDとの偏差をずれ量
の学習値DCALEARNとして算出する。具体的に
は、実カム位相CAINの今回値CAIN(n)と、前
回の算出処理で求めた平均値CAINAVEの前回値C
AINAVE(n−1)とを用い、これらに所定の重み
係数をかけることにより、平均値の今回値CAINAV
E(n)が算出される。そして、この平均値の今回値C
AINAVE(n)と、F/C運転の開始時点で固定さ
れた目標カム位相CAINCMDの一定値CAINCM
DFCとの偏差をずれ量の学習値DCALEARNとし
てRAMに記憶させる。そして、F/C運転の終了時点
(図3の時刻t3)でRAMに記憶されている学習値D
CALEARNは、それ以降のカム位相制御における実
カム位相CAINの補正値として用いられる。
推移を示すタイミングチャートの一例を示している。同
図では、時刻t1において、F/Cフラグが「1」にセ
ットされると、これに同期して、所定値tsetをセッ
トしたF/Cタイマをスタートさせるとともに、目標カ
ム位相CAINCMDが時刻t1の値CAINCMDF
Cに固定される。これ以降、カム位相のフィードバック
制御が、F/Cタイマのタイムアップまで実行されるこ
とにより、カム位相が値CAINCMDFCに収束す
る。そして、時間の経過に伴い、F/Cタイマがタイム
アップした時点(時刻t2)で、フィードバック制御が
終了されるとともに、前述した保持デューティ比の駆動
信号が電磁制御弁10に供給されることにより、カム位
相可変機構8はカム位相をその時点の値に保持する(固
定する)。
相CAINのずれ量の学習値算出処理が、F/C運転の
終了時点(時刻t3)まで実行される。そして、F/C
フラグが「0」にセットされ、F/C運転が終了した時
点で、学習値算出処理が終了する。それ以降(時刻t3
以降)は、運転状態に応じて目標カム位相CAINCM
Dが算出され、実カム位相CAINをずれ量の学習値D
CALEARNで補正するとともに、このように補正し
た実カム位相CAINが目標カム位相CAINCMDに
なるように、カム位相のフィードバック制御またはフィ
ードフォワード制御が実行される。
タイミング制御装置によれば、F/C運転中には、目標
カム位相CAINCMDが一定値CAINCMDFCに
固定されるとともに、カム位相可変機構8により、F/
C運転中の所定タイミング(時刻t2)において、カム
位相がその時点の値に保持される。そして、このカム位
相の保持タイミング以降に検出された複数の実カム位相
CAINの平均値CAINAVEと、目標カム位相CA
INCMDの固定値CAINCMDFCとの偏差によ
り、実カム位相CAINのずれ量の学習値DCALEA
RNが算出される。フューエルカット運転は、すぐに終
了することなく、ある程度の時間、継続されることが多
い。
AINCMDが変化しているか否かにかかわらず、バル
ブタイミングがほとんど変化していないことを条件とし
て学習を行う場合と異なり、学習値DCALEARN
が、目標カム位相CAINCMDの固定値CAINCM
DFCに対して十分に収束している状態の実カム位相C
AINに基づいて算出されるとともに、その状態がある
程度、継続しているときに算出される。これによって、
実カム位相CAINの実際のずれ量をよりよく反映した
学習値DCALEARNを算出できることにより、経年
変化や個体差に基づく実カム位相CAINのずれ量を、
より精度良く算出することができる。その結果、バルブ
タイミング制御の際に、このように精度良く算出された
ずれ量の学習値DCALEARNを用いて実カム位相C
AINを補正することにより、バルブタイミング制御の
精度を向上させることができる。
INの変化量の積算値CAINXが所定値CAINRE
F以上のときで、かつ目標カム位相CAINCMDと、
実カム位相CAINとの偏差DCAINが所定値#DC
AIN以上になった期間の積算時間tintが所定値t
ref未満のときに、ずれ量の学習値DCALEARN
の算出が許可される。すなわち、カム位相可変機構8が
固着することなく、作動しているとともに、追従遅れが
なく正常に作動しているときにのみ、学習値DCALE
ARNが算出される。これにより、算出されたずれ量の
学習値DCALEARNの信頼性をさらに高めることが
でき、その結果、バルブタイミング制御の精度をさらに
向上させることができる。さらに、F/Cタイマがタイ
ムアップするまで、すなわちフィードバック制御によ
り、実カム位相CAINが一定値CAINCMDFCに
十分に収束していると想定できる時間が経過するまで、
実カム位相CAINのずれ量の学習を行わないので、算
出されたずれ量の学習値DCALEARNの信頼性をよ
り一層、高めることができる。
カム6aのカム位相を制御するバルブタイミング制御装
置に適用したが、排気カム7aのカム位相を制御するバ
ルブタイミング制御装置に適用してもよいとともに、双
方を制御するものに適用してもよい。その実カム位相の
ずれ量を算出するようにしてもよい。このようにすれ
ば、前述した吸気カム6aの実カム位相CAINのずれ
量を算出する場合と同様の効果を得ることができる。
ータは、エンジン回転数NE、スロットル弁開度θTH
および吸気管内絶対圧PBAに限らず、吸気温度TAな
ど、運転状態を表すパラメータであればよい。
ブタイミング制御装置によれば、バルブタイミング制御
の精度を向上させることができる。
イミング制御装置の概略構成を示す図である。
ずれ量の学習算出処理を示すフローチャートである。
イミングチャートである。
CAINXの推移の一例を示すタイミングチャートであ
る。
段、フューエルカット運転判別手段、目標カム位相設定
手段、カム位相制御手段、実カム位相ずれ量算出手段、
実カム位相積算手段、算出許可手段、追従遅れ判別手
段、第2算出許可手段) 3 内燃機関 4 吸気弁 5 排気弁 6a 吸気カム 7a 排気カム 8 カム位相可変機構 9 クランクシャフト 10 電磁制御弁(カム位相制御手段) 20 カム角センサ(カム位相検出手段) 21 スロットル弁開度センサ(運転状態検出手段) 22 吸気管内絶対圧センサ(運転状態検出手段) 23 クランク角センサ(運転状態検出手段、カム位
相検出手段) CAIN 実カム位相 CAINX 実カム位相の変化量の積算値 CAINCMD 目標カム位相 CAINCMDFC 目標カム位相がF/C運転中に固定され
る値(一定値) DCAIN 目標カム位相と実カム位相との偏差 DCALEARN 実カム位相のずれ量の学習値 NE エンジン回転数(運転状態を表すパラメータ) PBA 吸気管内絶対圧(運転状態を表すパラメー
タ) θTH スロットル弁開度(運転状態を表すパラメー
タ) t2 時刻(フューエルカット運転中の所定タイミン
グ)
Claims (3)
- 【請求項1】 吸気弁および排気弁をそれぞれ開閉する
吸気カムおよび排気カムの少なくとも一方の、クランク
シャフトに対する位相であるカム位相を変更することに
より、前記吸気弁および前記排気弁の少なくとも一方の
バルブタイミングを制御する内燃機関のバルブタイミン
グ制御装置であって、 前記カム位相を実カム位相として検出する実カム位相検
出手段と、 前記カム位相を変更するカム位相可変機構と、 運転状態を検出する運転状態検出手段と、 当該検出された運転状態に応じて、燃料の供給を停止す
るフューエルカット運転中であるか否かを判別するフュ
ーエルカット運転判別手段と、 前記検出された運転状態に応じて目標カム位相を設定す
るとともに、前記フューエルカット運転中に当該目標カ
ム位相を一定値に固定する目標カム位相設定手段と、 前記カム位相を前記目標カム位相に一致させるように前
記カム位相可変機構を制御するとともに、前記フューエ
ルカット運転中の所定タイミングにおいて、前記カム位
相を保持するように前記カム位相可変機構を制御するカ
ム位相制御手段と、 前記フューエルカット運転中の前記所定タイミング以降
に検出された複数の前記実カム位相と、前記目標カム位
相の前記一定値とに基づいて、前記実カム位相のずれ量
を算出する実カム位相ずれ量算出手段と、 を備えることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング
制御装置。 - 【請求項2】 前記フューエルカット運転中以前の前記
実カム位相の変化量を積算値として積算する実カム位相
積算手段と、 前記積算値が所定値以上のときに、前記実カム位相ずれ
量算出手段による前記前記実カム位相のずれ量の算出を
許可する算出許可手段と、 をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の内燃
機関のバルブタイミング制御装置。 - 【請求項3】 前記目標カム位相と前記実カム位相との
偏差に基づき、前記目標カム位相に対する前記実カム位
相の追従遅れが生じているか否かを判別する追従遅れ判
別手段と、 この追従遅れ判別手段により前記追従遅れが生じていな
いと判別されたときに、前記実カム位相ずれ量算出手段
による前記実カム位相のずれ量の算出を許可する第2算
出許可手段と、 をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記
載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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