JP3537039B2 - 熱延下地の溶融亜鉛メッキ鋼板及びその製造方法 - Google Patents
熱延下地の溶融亜鉛メッキ鋼板及びその製造方法Info
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Description
材、足回り部材や機械構造部品など、高強度で部材形状
にするため必要とされる過酷なプレス成形に耐え得る高
延性及び高伸びフランジ性、部材を組立てる際のスポッ
ト溶接性、さらに耐食性が要求される用途に適した、熱
延鋼板を下地とする加工性とスポット溶接性に優れた二
相組織型の溶融亜鉛メッキ高張力鋼板及びその製造方法
に関するものである。
的として、車体構造部材や足回り部材には高張力熱延鋼
板が要求されており、高強度化が以前より必要とされて
いる。加えて近年、車体構造部材や足回り部材等に使用
される熱延鋼板は張出し成形及び伸びフランジ成形を主
体とする過酷な成形を受けるため、優れたプレス成形
性、特に良好な延性及び伸びフランジ性を有することが
求められ、フェライト+マルテンサイトのミクロ組織を
基本とする二相組織型熱延鋼板が開発されてきた。
ッキした鋼板は良好な加工性と耐食性を兼ね備えた鋼板
として要望され、特開昭56−142821号公報に記
載されるようなものが開発されている。この公報に開示
された鋼板は、質量%でC:0.15%以下、Mn+Cr:1.0〜
2.5%を基本成分として含有し、残部Fe及び他の不可避
的不純物からなる組成の鋼板を、メッキ前加熱温度、メ
ッキ浴に至るまでの冷却速度、合金化温度、合金化後の
冷却速度を詳細に規定した連続式溶融亜鉛メッキライン
(以下、CGLと称する)により二相組織にすることを特
徴としている。すなわち、メッキ前加熱の工程でフェラ
イト相及びオーステナイト相の二相とした後、オーステ
ナイト相をCGLにおける焼入れによりマルテンサイト
相とし二相組織の鋼板としている。
板ではスポット溶接性については考慮されていない。発
明者らが知る限りにおいては、他の先行技術において
も、スポット溶接性を考慮したメッキ鋼板に関するもの
は見当たらない。
を向上させるためは、溶接継手の引張剪断試験や十字引
張試験での破断強度の確保や破断形態の制御が必要であ
り、このために鋼板成分の適正化や板厚の管理が必要な
ことが、自動車技術Vol.53,No.12(1999) p.77-82等に示
されているが、それを実現するための具体的方法は全く
示されていない。
もので、高価な合金元素を用いずにスポット溶接性(引
張剪断特性、又は引張剪断特性と十字引張特性)と加工
性に優れ、かつ高張力な溶融亜鉛メッキ鋼板であって、
スポット溶接性、耐食性、加工性が要求される用途に適
したもの、及びその製造方法を提供することを課題とす
る。
の第1の手段は、重量%でC:0.14〜0.3%、Si:0.7%
以下、Mn:1.0〜2.0%、P:0.1%以下、S:0.005%以
下(0を含む)、sol.Al:0.1%以下、N:0.01%以下
(0を含む)を含有し、さらにCr:0.05〜0.8%、V:
0.005〜0.15%の少なくとも一方を含有し、残部が Fe 及
び不可避不純物からなり、かつミクロ組織がフェライト
及びマルテンサイトからなることを特徴とする熱延下地
の溶融亜鉛メッキ鋼板(請求項1)である。
鋼板」という概念の中には、溶融亜鉛メッキ後に合金化
処理を行った、いわゆる「合金化溶融亜鉛メッキ鋼板」
が含まれる。
られるような鋼成分系について検討を行った。ここで、
良好なスポット溶接性とは、溶接継手の引張剪断試験に
おいて、十分な破断強度が得られ、破断形態が剥離破断
でなくプラグ破断となることを意味する。その結果、C
を通常より多く含有させることで引張剪断試験の破断形
態がプラグ破断となることがわかった。本発明はこの知
見に基づいてなされたものである。
による制約から、ライン速度によっては冷却速度が不十
分となり適正な二相組織とならないことがある。このた
め、十分な鋼の焼入れ性を確保する方法を鋭意検討した
結果、Cを多く含有する鋼に対してCrまたはVを含有さ
せることによりライン速度の制約が大幅に改善され容易
に二相組織となることを新たに見出した。
織の限定理由について説明する。 (1)成分組成
引張剪断試験における破断形態を決める重要な元素であ
り、プラグ破断とするために含有量は0.14 %以上必要で
ある。一方、含有量が0.3%を超えると加工性が悪化す
るのでこれを上限とする。
ッキではメッキが難しくなり、特に0.7%を超えるとメ
ッキ後の表面性状が悪化するので、この値を上限とす
る。なお、鋼板の伸びフランジ性が必要な場合には0.2
%以上含有させることが必要である。Siが伸びフランジ
性を改善する理由については、Siがフェライトの生成を
促進することにより、強度-延性バランスを改善すると
ともに、Mn含有鋼で低伸びフランジ性の原因となってい
るバンド状組織の形成を妨げるからである。
素であり固溶強化をもたらすので、強度及び組織に影響
する。必要強度を確保するためには1.0%以上含有させ
る必要があるため、これを下限とする。また、含有量が
2.0%を超えるとプレス成形等の加工性が悪化するので
これを上限とする。
ト溶接継手の十字引張試験における破断形態がナゲット
内破断となりやすくなり、かつ中央偏析がひどくなりプ
レス成形性を悪化させることが問題になるので、これを
上限とする。
形性を低下させる不純物元素であるので、含有量0.005
%以下(0を含む)とする。ただし、製鋼での経済性に
見合う範囲で極力低減することが望ましい。
あるが、含有量が0.1%を超える範囲では脱酸効果が飽
和し、かつAl系介在物の増加によりプレス成形性が悪化
するので、これを上限とする。
るため、含有量の上限を0.01%とする。
両方をC≧0.12%の鋼に対して含有させることにより焼
入れ性が改善されてCGLにおける鋼板の冷却速度の制
約を大幅に緩和するため、二相組織型の鋼板をメッキラ
インにて製造する上で有効な元素である。この効果のた
めには、少なくてもCr:0.05%以上またはV:0.005%
以上を含有させる必要があるため、これを下限とする。
また、Cr:0.8%以上またはV:0.15%以上を含有させ
ても、効果が飽和するとともに、製造コストが増加する
ため、これらを上限とする。
からなる場合は、延性や伸びフランジ性が良好である。
それに対しセメンタイトが含まれる場合は、延性や伸び
フランジ性が悪くなる。よって、本手段においては、ミ
クロ組織をフェライト及びマルテンサイトの二相組織に
限定する。
重量%でC:0.14〜0.3%、Si:0.2〜0.7%、Mn:1.0〜
2.0%、P:0.015〜0.1%、S:0.005%以下(0を含
む)、sol.Al:0.1%以下、N:0.01%以下(0を含
む)を含有し、さらにCr:0.05〜0.8%、V:0.005〜0.
15%の少なくとも一方を含有し、残部が Fe 及び不可避不
純物からなり、かつミクロ組織がフェライト及びマルテ
ンサイトからなることを特徴とするスポット溶接性、耐
食性、加工性に優れた熱延下地の溶融亜鉛メッキ鋼板
(請求項2)である。
にSiの下限を0.2%に限定し、かつ、Pの下限を0.015%
に限定したものである。
場合にはSiを0.2%以上含有させることが必要である。
しかし、Siを0.2%以上含有させると、メッキ後の表面
正常が悪くなる場合があり、これを防ぐために、本手段
においては、Pを0.015%以上含有させている。
前記第1の手段又は第2の手段と同じ成分組成を有し、
かつミクロ組織がフェライト及びマルテンサイト主体で
あり、残部がベイナイトからなることを特徴とするスポ
ット溶接性、耐食性、加工性に優れた熱延下地の溶融亜
鉛メッキ鋼板(請求項3)である。
性や伸びフランジ性を良好とするためには、ミクロ組織
がフェライト及びマルテンサイトからなることが望まし
いが、これに少量(約10%以下、好ましくは10%以
下)のベイナイト組織が含まれる場合でも、延性や伸び
フランジ性は実用上問題となるほど悪化しない。よっ
て、本手段においてはこの範囲のベイナイトの存在を許
すこととする。
前記第1の手段から第3の手段のうちいずれかの成分組
成とミクロ組織を有し、さらに成分のうちCとPとS
(いずれも重量%)の関係が、製品の板厚をt(mm)とし
て、 5(3C+2P+6S)≦(10t+37)/15 を満たすことを特徴とするスポット溶接性、耐食性、加
工性に優れた熱延下地の溶融亜鉛メッキ鋼板(請求項
4)である。
剪断に加えて十字引張の破断形態をプラグ破断とするた
めには、C、S、Pと製品厚さtの関係を上記関係式を
満たすようにすることが必要である。これによりスポッ
ト溶接性がさらに改善される。
前記第1の手段から第4の手段のうちいずれか1項に記
載の成分を有する鋼をスラブとし、Ar3点以上で最終仕
上げ圧延し、700℃以下で巻取って熱延鋼板とし、必要
に応じて酸洗し、溶融亜鉛メッキし、必要に応じてさら
に合金化処理することを特徴とするスポット溶接性、耐
食性、加工性に優れた熱延下地の溶融亜鉛メッキ鋼板の
製造方法(請求項5)である。
常の造塊法または連続鋳造により製造するか、または、
加熱炉に装入せずに直接熱間圧延してもよい。加熱温度
については、特に限定しないが、スケール生成による重
量ロスが大きくなり過ぎず、かつ、粗圧延及び仕上圧延
が可能であり仕上温度がAr3変態点以上を確保できる範
囲であればよい。また、粗圧延後の半製品を雰囲気炉や
高周波加熱等で仕上圧延前に加熱する方法をとってもよ
い。仕上温度については、Ar3変態点以上、巻取温度に
ついては700℃以下が必要である。仕上温度がAr3変態点
以下になるとα+γ二相域の圧延となるため混粒組織と
なり、CGL通板後もこれが解消されないために延性が
低下するので、仕上温度はAr3変態点以上とする。
程で析出する炭化物のサイズが大きくなり、メッキ前加
熱時の炭化物の溶け込みに時間を要するようになるた
め、ライン速度を小さくする必要が生じる。しかし、こ
れはマルテンサイトに焼入れするための条件とは相反す
るだけでなく生産効率が低下するため、好ましくない。
したがって、巻取温度を700℃以下とする。
前記第5の手段であって、熱間圧延の粗圧延及び仕上圧
延前に、100kgf/cm2以上の高圧でデスケーリングを施す
ことを特徴とするもの(請求項6)である。
ケーリングの水圧は、Siが0.2%未満の場合には特に限
定する必要はなく、スケールの除去が可能な範囲ででき
るだけ低圧の方が経済的に有利であるが、Siが0.2%以
上の場合には100kgf/cm2以上が必要である。これ以下だ
と、発生する溶融ファイアライト部分のデスケーリング
が不十分となり、メッキ後の表面性状が悪化するためで
ある。よって、本手段においては、粗圧延及び仕上圧延
前に行うデスケーリングの圧力を100kgf/cm2以上に限定
する。
において、必要に応じて熱延終了後のコイルを酸洗して
スケールを除去した後、さらに必要に応じて鋼板の表面
を研削する。Siが0.2%以上の鋼においてスラブ加熱時
の溶融ファイアライト部分に生成したスケールは、100k
gf/cm2以上の高圧水デスケーリングによって十分除去さ
れているものの、鋼板表面は非溶融ファイアライト部分
よりも粗度が大きく、これが酸洗後でも残るため、その
上にメッキを行うと、下地の粗さの影響がメッキ表面に
出る場合がある。少しでも製品外観を向上させるために
は、研削して表面粗度を均一化した方が好ましい。研削
の方法は、酸洗装置に付設されている研削用ブラシロー
ルやCGL入り側に付設されている洗浄用ブラシロール
等、いずれを用いてもよく、特に限定しない。
ルの厳密な制御が難しく、メッキした鋼板に必要な強度
と加工性を付与するためのミクロ組織制御が難しい。し
かし、本発明では、Cと共にCr又はVを含有させること
により、通常の製造条件でも必要なミクロ組織に作り込
むことを可能にしたため、CGLの製造条件を特に限定
する必要はなく、通常の条件範囲であれば問題ない。メ
ッキ前加熱温度はAc1点以上Ac3点以下であればよく、こ
の段階で二相分離させておけば、合金化(相当)温度以降
の冷却速度が3.5〜9.3℃/sと小さくても、CとCrまたは
Vの含有の効果により、フェライト及びマルテンサイト
主体の組織が得られる。
ラブとした。E〜Iが本発明、A〜C、J、KがCが本
発明外の鋼である。これらのスラブを、熱間圧延におい
て、Ar3点以上の860℃で板厚t=1.4〜3.2mmに仕上圧延
した後、500℃で巻き取った。この熱延鋼帯を酸洗ライ
ンにて酸洗し、CGLにてライン速度を80mpmとして、8
00℃で2min加熱保持後、両面に45g/m2の目付け量で溶
融亜鉛メッキし、次いで550℃×10secの合金化処理を行
った。
方向Middle部よりサンプル採取し、表2に示す溶接条件
にてスポット溶接継手を作製し、JIS Z3139に基づくナ
ゲット径の測定によりナゲット径が5.5・t1/2以上の継
手のみを評価対象として、JISZ3135及びZ3136の方法に
準じて継手の引張剪断試験を行った。破断荷重について
はいずれの場合も十分な大きさであった。また、試験後
サンプルの破断形態が図1の剥離破断またはプラグ破断
のいずれかを判定した結果を表3に示す。
〜Cでは剥離破断であり、鋼E〜Kではプラグ破断であ
ることから、引張剪断試験でプラグ破断とするためには
C≧0.14%が必要であることが分かる。
E、H、JのCGL通板後のコイルのうち、板厚2.3mm
のものについてさらにサンプルを採取し、JIS5号引張試
験片を用いた降伏強さ(YS)、引張強さ(TS)、降伏比(Y
R)、伸び(El)の測定、ミクロ組織の観察と、伸びフラ
ンジ性評価のための穴拡げ率(λ)の測定を行った。150
×150mmの試験片の中央部に10mmφ(d0)の穴を打ち抜
き、バリをポンチ側とし、これを頂角60°の円錐ポンチ
で押し広げ、穴縁に板厚を貫通して亀裂が入った時点で
の穴径(df)を測定し、穴拡げ率(λ)を次式により求め
た。 穴拡げ率:λ=(df−d0)/d0×100(%) 結果を表4に示す。
びマルテンサイトの二相組織になっており、延性や伸び
フランジ性が良好であるのに対して、比較例3はCが高
すぎるためにフェライト及びマルテンサイトの二相以外
にわずかながら微細な炭化物の析出が認められるのに加
えて、強度が高くなりすぎて延性や伸びフランジ性が非
常に低いレベルにある。したがって、Cが0.3%を超え
ると必要な延性と伸びフランジ性を確保するのが困難と
なる。
鋼を転炉にて溶製し、連続鋳造でスラブとした後、仕上
温度をAr3点以上の860℃、巻取温度(CT)を400〜750℃と
して熱間圧延を行い、板厚2.0mmの鋼帯とし、続いて酸
洗した。なお、酸洗ラインに付設されているブラシロー
ルは使用しなかった。その後、CGLにて、ライン速度
を80mpmとして800℃で2min加熱保持後、両面に45g/m2
の目付け量で亜鉛メッキし、続いて550℃×10secの合金
化処理を行った。CGL通板後のコイルからサンプル採
取し、JIS5号引張試験とミクロ組織の観察、及び穴拡げ
率の測定を行った。結果を表6に示す。
あるため、いずれもフェライト及びマルテンサイトの二
相組織が得られて適正な強度と良好な強度−延性バラン
ス及び強度−伸びフランジ性バランスを有する。しか
し、比較例4は、フェライト及びマルテンサイト以外
に、一部主としてセメンタイトからなる炭化物が含まれ
ているため、強度が適正でも強度−延性バランス及び強
度−伸びフランジ性バランスが不十分である。この炭化
物は、巻取温度が750℃と高いために熱間圧延巻取り以
降に晶出した炭化物のサイズが大き過ぎて、CGLのメ
ッキ前加熱において十分に溶解しなかったものである。
ラブとした。C〜Gが本発明内、A、HはCが本発明外
の鋼である。これらのスラブを熱間圧延において、粗圧
延前及び仕上げ圧延前のデスケーリング圧力を80kgf/cm
2とし、Ar3点以上の860℃で板厚t=1.4〜3.2mmに仕上
圧延した後、500℃で巻き取った。この熱延鋼帯を酸洗
ラインにて酸洗し、CGLにてライン速度を80mpmとし
て、800℃で2min加熱保持後、両面に45g/m2の目付け量
で溶融亜鉛メッキし、次いで550℃×10secの合金化処理
を行った。
方向Middle部よりサンプル採取し、表8に示す溶接条件
にてスポット溶接継手を作製し、JIS Z3139に基づくナ
ゲット径の測定によりナゲット径が5.5t1/2以上の継手
のみを評価対象として、JISZ3135及びZ3136の方法に準
じて継手の引張剪断試験及び十字引張試験を行った。破
断荷重についてはいずれの場合も十分な大きさであっ
た。また、試験後サンプルの破断形態が図1の剥離破断
またはプラグ破断のいずれかを判定した結果を表9に示
す。
て剥離破断であり鋼C〜Fで全てプラグ破断であること
から、引張剪断試験でプラグ破断とするためにはC≧0.
16%が必要であることが分かる。
のように破断形態に対して板厚も影響していることか
ら、5(3C+2P+6S)及び(10t+37)/15と破断形態の関係を調
べた結果を図2に示す。これより、5(3C+2P+6S)≦(10t+
37)/15であれば十字引張試験でプラグ破断となることが
分かる。また、C≧0.3%では板厚を3.2mmより大きくし
ないとプラグ破断とならないと考えられる。
スラブとした。b〜eはC:0.14〜0.3%に加えてCrま
たはVを含有している鋼である。特にd、eはSiとPも
含有している。f〜iは本発明外の鋼であり、f〜hは
Cr及びVが本発明下限以下、iはSiが本発明上限以上の
鋼である。
ケーリング圧力を105kgf/cm2とし、Ar3点以上の860℃で
板厚2.3mmに仕上圧延した後、500℃で巻き取り、酸洗し
た。なお、酸洗ラインに付設されているブラシロールは
dについてのみ使用した。次に、CGLにて、800℃で
2min加熱保持後、両面45g/m2の目付け量で溶融亜鉛メ
ッキし、次いで550℃×10secの合金化処理を行った。こ
の際、1コイル毎にコイルHeadからEndにかけてライン
速度を上げた。CGL通板後のコイルに対し、表11に
示すような不メッキの有無とファイアライト起因の凹凸
の有無の2点からの評点付けを行うことで、表面性状を
目視にて評価した結果を表12に示す。なお、製品とし
て許されるのは、評点1または2のみである。
とPを適正量含有するd、e、g、hで表面が清浄であ
るが、Siを過剰に含有するiで表面性状が劣っている。
通板後のコイルから、さらに、ライン速度30、80、160m
pmに相当する部分のサンプルを採取し、JIS5号引張試験
片を用いた降伏強さ(YS)、引張強さ(TS)、降伏比(Y
R)、伸び(El)の測定とミクロ組織の観察をおこなっ
た。また、一部のサンプルについては伸びフランジ性評
価のための穴拡げ率(λ)の測定を行った。150×150mmの
試験片の中央部に10mmφ(d0)の穴を打ち抜き、バリをポ
ンチ側とし、これを頂角60°の円錐ポンチで押し広げ、
穴縁に板厚を貫通して亀裂が入った時点での穴径(df)を
測定し、穴拡げ率(λ)を次式により求めた。 穴拡げ率:λ=(df−d0)/d0×100(%) 結果を表13に示す。なお、各部分の合金化温度(550
℃)からMs点までの冷却速度はライン速度に応じて決ま
り、表13に示す通りである。
いる鋼を用いているので、CGLのライン速度がいずれ
のときにもフェライト及びマルテンサイトの二相組織ま
たは二相組織に準ずる組織になっており、必要な強度が
確保された上で良好な強度-延性バランスを有してい
る。特に10〜15はSiがを適正量含有しているので、強度
−伸びフランジ性バランスも良好である。これに対し、
比較例16〜24は、CrとVを含有していない鋼を用いてい
るので、焼入れ性が不十分であり、二相組織に準ずる組
織が得られておらず、強度−延性バランスまたは強度−
伸びフランジ性バランスが不十分である。なお、ライン
速度160mpmは操業上の限界近くであり、合金化の不良等
による品質不良率が高くなるので通常の生産には好まし
くない。
+Cr+V量とマルテンサイト体積分率の関係を示した図で
ある。CrとVの少なくとも一方を含有していないとマル
テンサイト量が4%以下しか得られないが、CrまたはV
を含有することによりライン速度によらず安定して6%
以上が得られることが分かる。
を含有する成分組成の鋼を転炉にて溶製し、連続鋳造で
スラブとした後、粗圧延前及び仕上げ圧延前のデスケー
リング圧力を105kgf/cm2とし、仕上温度をAr3点以上の8
60℃、巻取温度(CT)を400〜750℃として熱間圧延を行
い、板厚2.0mmの鋼帯とし、続いて酸洗した。なお、酸
洗ラインに付設されているブラシロールは使用しなかっ
た。その後、CGLにて、800℃で2min加熱保持後、両
面45g/m2の目付け量で亜鉛メッキし、続いて550℃×10s
ecの合金化処理を行った。この際、1コイル毎にコイル
HeadからEndにかけてライン速度を上げた。CGL通板
後のコイルに対し、表面性状の評価を目視にて行った
が、いずれも表11の評点で1または2であり清浄であ
った。さらに、ライン速度30、80、160mpmのいずれかに
相当する部分からサンプル採取し、JIS5号引張試験とミ
クロ組織の観察、及び穴拡げ率の測定を行った。結果を
表9に示す。なお、各部分の合金化温度(550℃)からMs点
までの冷却速度はライン速度に応じて決まり、表に示す
通りである。
くとも一方を含有し、巻取温度が700℃以下であるた
め、いずれのライン速度でもフェライト及びマルテンサ
イトの二相組織が得られて適正な強度と良好な強度-延
性バランスを有する。しかし、比較例7、8は、フェラ
イト及びマルテンサイト以外に、一部主としてセメンタ
イトからなる炭化物が含まれているため、強度が適正で
も強度-延性バランス及び強度-伸びフランジ性バランス
が不十分である。この炭化物は、巻取温度が750℃と高
いために熱間圧延巻取り以降に晶出した炭化物のサイズ
が大き過ぎて、ライン速度80mpm以上ではCGLのメッ
キ前加熱において十分に溶解しなかったものである。一
方、比較例6は、ライン速度が30mpmと小さいので、炭
化物の溶け込みは十分であり良好な組織となっている
が、生産効率が低いので好ましくない。
成分、熱延条件で製造することにより、良好な加工性と
スポット溶接性(引張剪断特性、又は引張剪断特性と十
字引張特性)を有し、高強度の二相組織型の熱延下地溶
融亜鉛メッキ鋼板を提供できる。本発明に係る熱延下地
溶融亜鉛メッキ鋼板は、自動車の構造部材や足周り部材
に適用することにより自動車の軽量化を図ることがで
き、また、機械構造部材としても各種複雑な成形に耐え
得ることができるので広範な用途に適用できる。
試験後の破断形態を示す図である。
を示す図である。
を示す図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 重量%でC:0.14〜0.3%、Si:0.7%以
下、Mn:1.0〜2.0%、P:0.1%以下、S:0.005%以下
(0を含む)、sol.Al:0.1%以下、N:0.01%以下
(0を含む)を含有し、さらにCr:0.05〜0.8%、V:
0.005〜0.15%の少なくとも一方を含有し、残部が Fe 及
び不可避不純物からなり、かつミクロ組織がフェライト
及びマルテンサイトからなることを特徴とするスポット
溶接性、耐食性、加工性に優れた熱延下地の溶融亜鉛メ
ッキ鋼板。 - 【請求項2】 重量%でC:0.14〜0.3%、Si:0.2〜0.
7%、Mn:1.0〜2.0%、P:0.015〜0.1%、S:0.005%
以下(0を含む)、sol.Al:0.1%以下、N:0.01%以
下(0を含む)を含有し、さらにCr:0.05〜0.8%、
V:0.005〜0.15%の少なくとも一方を含有し、残部が F
e 及び不可避不純物からなり、かつミクロ組織がフェラ
イト及びマルテンサイトからなることを特徴とするスポ
ット溶接性、耐食性、加工性に優れた熱延下地の溶融亜
鉛メッキ鋼板。 - 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の成分組成
を有し、かつミクロ組織がフェライト及びマルテンサイ
ト主体であり、残部がベイナイトからなることを特徴と
するスポット溶接性、耐食性、加工性に優れた熱延下地
の溶融亜鉛メッキ鋼板。 - 【請求項4】 請求項1から請求項3のうちいずれか1
項に記載の成分組成とミクロ組織を有し、さらに成分の
うちCとPとS(いずれも重量%)の関係が、製品の板
厚をt(mm)として、 5(3C+2P+6S)≦(10t+37)/15 を満たすことを特徴とするスポット溶接性、耐食性、加
工性に優れた熱延下地の溶融亜鉛メッキ鋼板。 - 【請求項5】 請求項1から請求項4のうちいずれか1
項に記載の成分を有する鋼をスラブとし、Ar3点以上で
最終仕上げ圧延し、700℃以下で巻取って熱延鋼板と
し、必要に応じて酸洗し、溶融亜鉛メッキし、必要に応
じてさらに合金化処理することを特徴とするスポット溶
接性、耐食性、加工性に優れた熱延下地の溶融亜鉛メッ
キ鋼板の製造方法。 - 【請求項6】 請求項5に記載の熱延下地の溶融亜鉛メ
ッキ鋼板の製造方法であって、熱間圧延の粗圧延及び仕
上圧延前に、100kgf/cm2以上の高圧でデスケーリング
を施すことを特徴とするスポット溶接性、耐食性、加工
性に優れた熱延下地の溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法。
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