JP3536230B2 - 超電導装置 - Google Patents

超電導装置

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JP3536230B2
JP3536230B2 JP12560995A JP12560995A JP3536230B2 JP 3536230 B2 JP3536230 B2 JP 3536230B2 JP 12560995 A JP12560995 A JP 12560995A JP 12560995 A JP12560995 A JP 12560995A JP 3536230 B2 JP3536230 B2 JP 3536230B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は超電導装置に関するもの
であり、特に、液体ヘリウム等の極低温冷媒によって冷
却された状態にある超電導コイルに外部電源から給電す
るための電流リードの一部、すなわち、冷却チャンバー
内で低温側に位置する低温側リードに酸化物超電導体を
用いた形式の超電導装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】大電流による強磁界を利用する超電導機
器においては、断熱容器内に設けられた冷却チャンバー
内で超電導コイルを液体ヘリウム等の極低温冷媒中に浸
漬することによって冷却し、それによって臨界状態にさ
れた超電導コイルに対し、冷却チャンバー内に配置され
た電流リードを介して外部から給電を行うことにより、
超電導コイルを励磁している。
【0003】一般に従来の超電導機器では、冷却チャン
バー内の電流リードを常電導の良導体で中空に形成し、
電流リードに定格電流を流したときの電流リードへの侵
入熱によって液体ヘリウムを気化させ、気化したヘリウ
ムガスを電流リードの中空通路内に導くことにより、侵
入熱と通過ガス流量で定まる平衡温度で安定運転を行う
自己冷却方式が採用されている。
【0004】一方、例えば特開平4−94105号公報
には、冷却チャンバー内の断熱容器貫通部に近い方に常
電導の良導体からなる高温側リードを配置し、それに縦
続接合して冷媒側の超電導コイルに近い方に酸化物超電
導体からなる低温側リードを配置した形式の電流リード
が開示されている。
【0005】この形式の電流リードを採用して自己冷却
方式で運転する場合、低温側リードに酸化物超電導体を
用いることにより低温側リードにおけるジュール発熱が
零となり、また酸化物の熱絶縁特性を利用して冷却チャ
ンバー内への侵入熱を低減することができるので、冷却
チャンバー内の液体ヘリウムの気化損失による無駄な消
費量を少なくすることができると期待されたが、反面、
このこと自体が液体ヘリウムの蒸発量を抑制して電流リ
ードの冷却用ガスの流量を減少せしめ、その結果、冷却
不足によって前述の自己冷却の条件が満たされなくなる
と、高温側リードの冷却不足により通電時に高温側リー
ドに生じる温度上昇がリード接合部を介して低温側リー
ドに伝わり、ついには低温側リードの酸化物超電導体を
クエンチさせる事態に至る恐れがある。
【0006】そこで、この方式の超電導装置において
は、電流リードに通電を開始するタイミングより少し前
に液体ヘリウム中に浸漬配置された通電発熱体に外部か
ら通電して液体ヘリウムに熱負荷を与え、液体ヘリウム
の強制的な気化によって自己冷却条件を満たす冷却ガス
流量を予め確保することが行われている。
【0007】しかしながら、チャンバー内の液体ヘリウ
ム中に浸漬配置した通電発熱体を外部から通電制御する
ことによって液体ヘリウムの蒸発量を制御し、それによ
り自己冷却条件を満たす冷却ガス流量を獲得しようとす
る場合、高温側リードに電流を流したときに生じるジュ
ール熱と常温部から伝導してくる侵入熱とを合わせた全
熱量を冷却して平衡状態とする自己冷却条件を満たすに
必要な冷却ガス流量を得るためには、液体ヘリウム中の
通電発熱体による熱負荷は、酸化物超電導体が用られて
いない電流リードの場合の侵入熱の6〜7割程度にも達
する。したがってこの方式では、無通電時における液体
ヘリウムの強制蒸発が不必要に過剰なものとなり、せっ
かく低温側リードを高価な酸化物超電導体で構成してい
ながら、冷却チャンバー内の液体ヘリウムの気化損失量
はたかだか3〜4割程度しか低減できない。
【0008】そこで、このような制限を回避する対策と
して、例えば特開平5−13826号公報には、電流リ
ードの通電時の電圧降下を検出してチャンバー内の液体
ヘリウム中に浸漬配置された通電発熱体を外部から通電
制御することにより液体ヘリウムに制御された熱負荷を
与え、それによる液体ヘリウムの蒸発量制御で通電時の
自己冷却条件を満たす冷却ガス流量を獲得することが開
示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電流リ
ードに通電するときだけ発熱体により冷却ガス流量を制
御して自己冷却条件を満たすようにする方法では、低温
のヘリウムガスと電流リードとの熱交換量が低いことも
あって、ヘリウムガスの通流が開始されてから電流リー
ドの温度が目標温度以下に低下するまでに長時間を要す
るという不都合が指摘された。
【0010】例えば、超電導エネルギー貯蔵装置(SMES)
では短時間間隔で電流のオン・オフが繰り返され、また
オン時には瞬時に大電流値まで立ち上げる必要がある
が、このように通電の繰り返し周期が短い超電導マグネ
ット装置の場合は、電流リードの熱応答性が低い条件下
では、発熱体を常時加熱状態に制御して液体ヘリウムの
蒸発を継続させ、電流リードを常に低温に維持しておく
必要があり、したがって電流リードに通電するときだけ
発熱体により冷却ガス流量を制御して自己冷却条件を満
たすようにする方法は適用できない。
【0011】本発明の目的は、電流リードの低温側リー
ドに酸化物超電導体を用いた超電導装置において、極低
温液体冷媒の気化損失量を低減可能とするだけでなく、
電流リードへ瞬時に立ち上がる大電流を流しても低温側
リードがクエンチしないようにして、装置の安定な動作
を維持できるようにすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明で
は、前述の課題を解決するために、断熱容器内で極低温
冷媒によって超電導状態に冷却される超電導コイルと、
該超電導コイルに対して外部から給電を行うために前記
断熱容器内の容器貫通部に近い方に配置された常電導の
良導体からなる高温側リード及び該高温側リードに接合
されて前記冷媒側の超電導コイルに近い方に配置された
酸化物超電導体からなる低温側リードを有する電流リー
ドとを備え、極低温冷媒の蒸発によって生じた低温ガス
を電流リードに沿って通流させることにより低温側リー
ドを超電導状態に冷却するようにした超電導装置におい
て、前記極低温冷媒内に設けられた通電発熱体と、熱的
及び電気的に低温側リードに並列に接続された、高温側
リードからの侵入熱を前記極低温冷媒に伝導によって伝
える熱伝導体とを備え、電流リードの無通電時における
高温側リードを通って伝わる低温側リードと熱伝導体と
の侵入熱によって蒸発した低温ガスの流量が、電流リー
ドの通電時の自己冷却条件を満たすに必要な流量より少
なく、且つ電流リードの無通電時に外部から電流リード
を介して侵入する熱量を冷却するに足りる流量よりも多
なるように前記熱伝導体の熱伝導率と寸法形状による
断面積の選定によって決定されているものである。
【0013】請求項2に記載の発明では、前記通電発熱
体が、低温側リードと超電導コイルとに直列に接続され
た通電発熱体であるものである。
【0014】請求項3に記載の発明では、前記低温ガス
の流量、電流リードの通電時には低温側リードの超電
導状態を保持するための第1の流量に、また電流リード
の無通電時には前記第1の流量の1/4〜1/2に相当
する第2の流量となるように前記熱伝導体の諸元が定め
られている
【0015】
【0016】ここで、低温ガスの流量とは、低温側リー
ドを超電導状態に保持するための低温ガスの流量であ
る。具体的には、電流リードが所望断面形状の中空のも
ので、この中空電流リードの内部に低温ガスを通して冷
却するタイプの場合は、電流リードの中空部を通過する
ガス流量である。また例えば所望断面形状の中実電流リ
ードの周囲を筒状体で囲み、この中実電流リードと筒状
体との間隙に低温ガスを通流させて電流リードを冷却す
るタイプの場合は、前記間隙を通過するガス流量であ
る。
【0017】
【作用】本発明による超電導装置では、電流リードに電
流が流れている時と流れていない時との両方において極
低温冷媒から蒸発した低温ガスで電流リードを冷却する
が、その場合の低温ガスの流量は、制御手段によって、
電流リードの通電時には前記低温側リードの超電導状態
を保持するための第1の流量以上に、また前記電流リー
ドの無通電時には第2の流量に制御される。この第2の
流量は、電流リードの通電時の自己冷却条件を満たすに
必要な流量より少なく、且つ電流リードの無通電時に外
部から電流リードを介して侵入する熱量を冷却するに足
りる流量よりも多い流量である。特に、この第2の流量
は、前記第1の流量の1/4〜1/2に相当する流量で
あることが望ましい。
【0018】常電導の良導体からなる高温側リードは、
通電中にはジュール熱と常温側からの侵入熱により極低
温冷媒に熱負荷を与える。通電中のジュール熱と侵入熱
との配分比は、3:1〜1:1程度が最も熱負荷の小さ
な電流リードとなることが確認されている。このような
配分比にすることにより、無通電時にはジュール熱が零
となるため、高温側リードによる熱負荷を通電時の1/
4〜1/2程度とすることができる。
【0019】本発明による超電導装置では、無通電時の
低温ガスの流量を通電時よりも抑制するので、通電開始
以前から自己冷却条件を満たす比較的大流量で低温ガス
を通流させる従来の方式に比べて、極低温冷媒の気化損
失量も大幅に低減することが可能である。
【0020】また、本発明による超電導装置では、無通
電時における電流リードの冷却のための低温ガスの流量
を、低温側リードの超電導状態を保持するため通電時に
要求される第1の流量の1/4〜1/2に相当する第2
の流量に制御することによって、無通電時においても電
流リードが冷却されるので、無通電時の低温側リードを
通電時よりも低温に維持することができる。
【0021】このため、通電の開始に当たって電流リー
ドに瞬時に立ち上がる大きな定格電流を流しても、それ
によるジュール発熱で電流リードが異常温度にまで昇温
することがなく、したがって低温側リードがクエンチ状
態に陥る恐れがない。
【0022】
【実施例】図1に、本発明の第1実施例に係る超電導装
置の構成を模式的に示す。この実施例に係る超電導装置
は、真空断熱容器10内で冷却チャンバーを形成する液
体ヘリウム容器11と、液体ヘリウム容器11内の液体
ヘリウム(極低温冷媒)HE中に浸漬されて超電導状態
に冷却されている超電導コイル12と、真空断熱容器1
0の外部に配置された励磁電源13から超電導コイル1
2に給電を行うために液体ヘリウム容器11内に配置さ
れた中空電流リード14とを備えている。
【0023】中空電流リード14は、断熱容器嵌通部A
を介して常温側に突き出た端部に常温側端子15Aを有
し、この常温側端子15Aには前記励磁電源13の出力
ケーブル16が接続されている。尚、図においては、説
明の便宜上、これらリード及び端子は一つずつしか示し
ていないが、実際には超電導コイル12の両端リードに
対する一対の給電路が構成されていることは述べるまで
もない。
【0024】また、この中空電流リード14は、断熱容
器貫通部Aに近い方に配置された常電導の良導体からな
る中空の高温側リード14Aと、この高温側リード14
Aに縦続接合されて液体ヘリウムHE中の超電導コイル
12に近い方に配置された酸化物超電導体からなる中空
の低温側リード14Bとからなり、更にはリードの常温
側の上端部に排気チューブ14Cが接続されている。
【0025】このような中空構造の電流リード14の内
部には、液体ヘリウムHEの蒸発によって冷却チャンバ
ー内に生じた低温ガスが下端から導入され、低温側リー
ド14A及び高温側リード14B内を冷却しながら通流
して、上端の排気管路14Cから排気される。この低温
ガスの通流による冷却によって、後述のように低温側リ
ード14Bが超電導状態にされる。低温側リード14B
の下端には中空の低温側端子15Bが設けられ、この低
温側端子15Bに超電導コイル12の巻線端リード17
が接続されている。
【0026】本実施例による超電導装置では、液体ヘリ
ウム容器11の液体ヘリウムHE中に通電発熱体18が
浸漬配置され、この発熱体18には、断熱容器10の外
部に設けられた加熱電源19から励磁電源13の動作に
関連したモードで給電できるようになっており、これに
より本発明で言う制御手段が構成されている。
【0027】即ち、この通電発熱体18と加熱電源19
は、中空電流リード14内を通過する低温ガスの流量
を、中空電流リードの通電時には低温側リード14Bの
超電導状態を保持するための第1の流量以上に、また中
空電流リードの無通電時には前記第1の流量の1/4〜
1/2に相当する第2の流量に制御するためのものであ
り、加熱電源19と励磁電源13は、互いの動作モード
を関連つけるために信号線Sによって接続されている。
【0028】電流リード14にコイル12の定格電流を
流しているときには加熱電源19により発熱体18に給
電が行われ、このときの電流リード14の強制冷却に必
要な低温ヘリウムガスの通過ガス流量Qは、定格電流が
流れている電流リード14から生じる侵入熱pと、液体
ヘリウムHE中の発熱体18により与えられる熱負荷P
とを受けて液体ヘリウムHEが気化することにより獲得
される。
【0029】これによって生じた低温ヘリウムガスは、
いずれも中空の低温側端子15Bから低温側リード14
B内のガス流路に流入して電流リード14内を通過しな
がら熱を奪い、上端の排気管路14Cから外部の図示し
ない回収設備に排出される。このときの電流リード14
の各部の温度分布の一例を図2に実線カーブTdで示
す。尚、図2において縦軸は温度[K]を示し、横軸は
電流リードの各部位置を図1と同一の符号で示してい
る。
【0030】本実施例の場合、加熱電源19は励磁電源
13のオン・オフに連動して発熱体18の通電電流を制
御するようにしてあり、電流リード14に電流が流れて
いる状態では、電流値に応じて電流リード14の自己冷
却条件を満たす通過ガス流量を維持するに必要な気化量
が得られるように、液体ヘリウムHEに熱負荷を与え
る。一方、電流リード14に電流を流さない状態では、
加熱電源19は励磁電源13の出力がオフであることを
信号線Sから受け取って発熱体19への通電電流を減少
させ、これによって液体ヘリウムHEの気化量が低下す
るように熱負荷を下げる。
【0031】この場合、電流リード14の通電状態下に
おける冷却条件は低温側リードが超電導状態に維持され
るような自己冷却条件を満足するものであり、また電流
リード14の無通電状態下における冷却条件は、電流リ
ードが無通電状態にあるときの高温側リード14Aと低
温側リード14Bの温度が、それらの通電時の温度より
も低い温度となるように決定される。
【0032】これらの冷却条件を満たすための電流リー
ド14の無通電状態下における前記通流ガス流量Qs
(第2の流量)は、通電状態下における通流ガス流量Q
d(第1の流量)よりも高温側リード14Aの通電によ
るジュール発熱量に応じた通流ガス流量だけ少ない流量
である。
【0033】高温側リード14Aは通電中にジュール熱
と常温側からの侵入熱により液体ヘリウムHEに熱負荷
を与えるが、本実施例に用いた電流リード14は、この
通電中のジュール熱と侵入熱との配分比が3:1〜1:
1程度となるように設計されており、これにより、通電
状態で液体ヘリウムHEに与える熱負荷が最小となるよ
うにしてある。
【0034】このような配分比に設計することにより、
無通電時にはジュール熱が零となるため、高温側リード
14Aによる熱負荷を通電時の1/4〜1/2程度とす
ることができる。これに応じて、本実施例では無通電時
の電流リード14内の通過ガス流量QsをQd/4<Q
s<Qd/2の範囲内で設定することにより前記各冷却
条件を満たすようにしている。先と同一条件下で計測し
た無通電時の電流リード14の各部の温度分布の一例を
図2に破線カーブTsで示す。
【0035】図1に示した実施例装置を超電導エネルギ
ー貯蔵装置(SMES)として運転する場合、励磁電源13か
ら超電導コイル12に供給される電流は短時間間隔でオ
ン・オフが繰り返され、またオン時には瞬時に大電流値
まで立ち上げられる。このように通電の繰り返し周期が
短い超電導マグネット装置の場合について、従来装置よ
りも本発明による装置のほうが液体ヘリウムの気化損失
量を低減できることを図3と共に以下に説明する。
【0036】図3のA図は本発明による場合、B図は従
来装置の場合の運転チャート図であり、それぞれ縦軸は
電流リードの冷却に必要な低温ヘリウムガスの通過ガス
流量Qを液量換算した値[L/hr]で示し、横軸はS
EMSシステム運転中のある一定期間の経過時間を示し
ている。尚、両者の場合で装置の物理的諸元は均等であ
り、図中に破線のステップ曲線で示したように、電流リ
ードへの通電タイミングも両者で等しくしてある。
【0037】図3のB図に示すように、従来装置では電
流リードが無通電状態にあるときには発熱体の電流を零
にして液体ヘリウムの気化損失量を減らしているが、無
通電状態の間に外部からの侵入熱によって電流リードの
温度が上昇するので、電流リードへの通電開始よりも前
に発熱体に電流を供給して液体ヘリウムを気化させ、電
流リード内の低温ヘリウムガスの通過ガス流量を増加さ
せて電流リードの強制冷却を先に開始している。また電
流リードへの通電中は、自己冷却条件が満たされるよう
に、同様に発熱体への電流供給により液体ヘリウムを気
化させて電流リード内の低温ヘリウムガスの通過ガス流
量を確保している。図3Bで明白なように、電流リード
への通電間隔が短くなるほど発熱体への給電を休止して
いる期間が短くなり、それに応じて液体ヘリウムの気化
損失量が多くなることが判る。
【0038】一方、図3Aに示すように、本発明による
装置では、電流リードの通電を行っている期間について
は自己冷却条件を満たす通過ガス流量が必要であるが、
無通電期間では、全無通電期間に亙って、発熱体の電流
値を下げて通過ガス流量を通電時の1/4〜1/2程度
に低減することができる。これを従来装置の場合と比較
すると、電流リードへの通電周期が短いほど本発明によ
る装置では液体ヘリウムの気化損失量が少なくなること
が判る。
【0039】図4は本発明の第2実施例に係る超電導装
置の構成を示す模式図である。この第2実施例に係る超
電導装置は、真空断熱容器20内で冷却チャンバーを形
成する液体ヘリウム容器21と、液体ヘリウム容器21
内の液体ヘリウム(極低温冷媒)HE中に浸漬されて超
電導状態に冷却されている超電導コイル22と、真空断
熱容器20の外部に配置された励磁電源23から超電導
コイル22に給電を行うために液体ヘリウム容器21内
に配置された中空電流リード24とを備えている。中空
電流リード24は、断熱容器嵌通部Aを介して常温側に
突き出た端部に常温側端子25Aを有し、この常温側端
子25Aには前記励磁電源23の出力ケーブル26が接
続されている。
【0040】中空電流リード24は、断熱容器貫通部A
に近い方に配置された常電導の良導体からなる中空の高
温側リード24Aと、この高温側リード24Aに縦続接
合されて液体ヘリウムHE中の超電導コイル22に近い
方に配置された酸化物超電導体からなる中空の低温側リ
ード24Bとを備え、更にはリードの常温側の上端部に
排気チューブ24Cが接続されている。
【0041】このような中空構造の電流リード24の内
部には、液体ヘリウムHEの蒸発によって冷却チャンバ
ー内に生じた低温ガスが下端から導入され、低温側リー
ド24A及び高温側リード24B内を冷却しながら通過
し、上端の排気管路24Cから図示しない回収設備に排
気される。この低温ガスの通流による冷却によって、後
述のように低温側リード24Bが超電導状態にされる。
【0042】低温側リード24Bの下端には中空の低温
側端子25Bが設けられ、この低温側端子25Bには液
体ヘリウムHE中に配置された通電発熱体(抵抗体リー
ド)28を直列に介して超電導コイル22の巻線端リー
ド27が接続されている。
【0043】電流リード24の高温側リード24Aの下
端と低温側端子25Bとの間には、低温側リード24B
と並列に熱伝導体29が熱的及び電気的に接続されてい
る。この熱伝導体29は、前記抵抗体リード28と共に
本発明で言う制御手段を構成するものであり、この熱伝
導体29の形状は中実バーまたは中空パイプのいずれで
もよく、材質は良好な熱伝導性と好ましくは良好な電気
伝導性をもつ金属から選ばれる。
【0044】本実施例の場合、励磁電源23のオン・オ
フに同期して抵抗体リード28に電流が流れるので、電
流リード24の通電状態では、抵抗体リード28は、電
流値に応じて電流リード24の自己冷却条件を満たす通
過ガス流量Qdを維持するに必要な気化量が得られるよ
うに、液体ヘリウムHEに熱負荷を与える。
【0045】一方、電流リード24に電流が流れていな
い状態では、常温側端子25Aから侵入した熱は、高温
側リード24Aを通ってから低温側リード24Bと熱伝
導体29とに伝わり、従って液体ヘリウム容器21内に
は、低温側リード24Bからの侵入熱paに加えて、熱
伝導体29からの侵入熱pbも侵入する。このようにし
て合計の侵入熱p=pa+pbは図1の実施例の場合に
比べてpbだけ増加されており、その増加割合は、熱伝
導体29の材質による熱伝導率と寸法形状による断面積
の選定によって予め決定されている。
【0046】即ち、電流リード24が無通電状態にある
ときには、前記合計の侵入熱pによる熱負荷で液体ヘリ
ウムから蒸発した低温ヘリウムガスが電流リード24内
を流量Qsで流れ、この通過ガス流量Qsが、通電状態
における通過ガス流量Qdの1/4〜1/2の範囲内と
なるように熱伝導体29の諸元が定められている。
【0047】この場合も、電流リード24の通電状態下
における冷却条件は低温側リード24Bが超電導状態に
維持されるような自己冷却条件を満足するものであり、
また電流リード24の無通電状態下における冷却条件
は、電流リードが無通電状態にあるときの低温側リード
24Bの温度が、その通電時の温度よりも低い温度とな
るように決定されることは第1実施例の場合と同様であ
る。
【0048】第2実施例においては、制御手段として熱
伝導体29と抵抗体リード28とを備えることにより、
第1実施例のような液体ヘリウム中に浸漬された通電発
熱体18やその加熱電源19などを持つ必要がなく、ま
た超電導コイルの励磁電源13の動作に関連した通電発
熱体18の通電制御のような難しい制御方式を用いる必
要もなく、更には通電発熱体18の場合と異なって抵抗
体リード28がコイル22に直列接続されていることか
ら、通電発熱体18の単独断線による低温側リードのク
エンチ発生も避けられるなど、酸化物超電導体を低温側
リードに用いた電流リードの信頼性も向上する利点があ
る。
【0049】また、第2実施例によれば、万一低温側リ
ード24Bの酸化物超電導体がクエンチしたときに、熱
伝導体29が電流バイパス路として機能する保護導体の
役目を兼ねるようにすることもできる。
【0050】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明による超電
導装置では、電流リードを冷却するための低温ガスの流
量を、電流リードの通電時には低温側リードの超電導状
態を保持するための第1の流量に、また電流リードの無
通電時には第1の流量より少ない第2の流量とする制御
手段を備えている。また、好ましくは制御手段は、第2
の流量を無通電時には第1の流量の1/4〜1/2に相
当する流量に制御する。従って、本発明によれば、無通
電状態における極低温液体冷媒の気化損失量を、常温良
導体のみで構成した電流リードを用いた装置に比べて例
えば約1/6に、また低温側リードが酸化物超電導体か
らなる電流リードを用いた装置に比べて例えば約1/2
〜1/4に低減可能であり、高価な液体ヘリウム等の極
低温液体冷媒の消費の少ない経済的に有利な超電導装置
を提供することができるという効果が得られる。
【0051】また、本発明による超電導装置では、電流
リードの無通電状態においても前記制御手段によって低
減された流量で低温ガスを電流リードに沿って通流させ
るので、電流リードへ瞬時に定格電流を流しても電流リ
ードが異常に温度上昇することがなく、低温側リードの
酸化物超電導体をクエンチさせるような事故の発生を防
止して、装置の安定な動作を維持することができるとい
う効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る超電導装置の構成を
示す模式図である。
【図2】第1実施例における通電状態および無通電状態
の電流リードの各部の温度分布の一例を示す線図であ
る。
【図3】A図は本発明による場合、B図は従来装置の場
合の運転チャート図である。
【図4】本発明の第2実施例に係る超電導装置の構成を
示す模式図である。
【符号の説明】
10,20:真空断熱容器 11,21:液体ヘリウム容器 12,22:超電導コイル 13,23:励磁電源 14,24:中空電流リード 14A,24A:高温側リード 14B,24B:低温側リード 14C,24C:排気管路 15A,25A:常温側端子 15B,25B:低温側端子 16,26:出力ケーブル 17,27:超電導コイルの巻線端リード 18:通電発熱体 19:加熱電源 28:抵抗体リード 29:熱伝導体 A:断熱容器貫通部 HE:液体ヘリウム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 向山 晋一 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古河電気工業株式会社内 (72)発明者 三浦 大介 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古河電気工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−13826(JP,A) 特開 昭55−16487(JP,A) 特開 平5−343753(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 39/04 ZAA H01F 6/00 ZAA

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断熱容器内で極低温冷媒によって超電導
    状態に冷却される超電導コイルと、 該超電導コイルに対して外部から給電を行うために前記
    断熱容器内の容器貫通部に近い方に配置された常電導の
    良導体からなる高温側リード及び該高温側リードに接合
    されて前記冷媒側の超電導コイルに近い方に配置された
    酸化物超電導体からなる低温側リードを有する電流リー
    ドとを備え、 極低温冷媒の蒸発によって生じた低温ガスを電流リード
    に沿って通流させることにより低温側リードを超電導状
    態に冷却するようにした超電導装置において、前記極低温冷媒内に設けられた通電発熱体と、熱的及び
    電気的に低温側リードに並列に接続された、高温側リー
    ドからの侵入熱を前記極低温冷媒に伝導によって伝える
    熱伝導体とを備え、 電流リードの無通電時における高温側リードを通って伝
    わる低温側リードと熱伝導体との侵入熱によって蒸発し
    低温ガスの流量が、電流リードの通電時の自己冷却条
    件を満たすに必要な流量より少なく、且つ電流リードの
    無通電時に外部から電流リードを介して侵入する熱量を
    冷却するに足りる流量よりも多くなるように前記熱伝導
    体の熱伝導率と寸法形状による断面積の選定によって決
    定されていることを特徴とする超電導装置。
  2. 【請求項2】 前記通電発熱体が、低温側リードと超電
    導コイルとに直列に接続された通電発熱体であることを
    特徴とする請求項1記載の超電導装置。
  3. 【請求項3】 前記低温ガスの流量、電流リードの通
    電時には低温側リードの超電導状態を保持するための第
    1の流量に、また電流リードの無通電時には前記第1の
    流量の1/4〜1/2に相当する第2の流量となるよう
    に前記熱伝導体の諸元が定められていることを特徴とす
    る請求項1又は2に記載の超電導装置。
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