JP3535891B2 - 育苗用容器及びその製造法 - Google Patents

育苗用容器及びその製造法

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範子 神橋
喜博 冠
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Research Institute of Innovative Technology for Earth
Unitika Ltd
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Research Institute of Innovative Technology for Earth
Unitika Ltd
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  • Cultivation Receptacles Or Flower-Pots, Or Pots For Seedlings (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、緑化樹木・観葉植物等
の植物の育苗に使用される生分解性育苗容器の製造法
関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、育苗用容器としては、主として安
価なポリ塩化ビニル製のものが使用されている。しか
し、ポリ塩化ビニル製容器は、自然分解しないため、植
物を植えつける際に除去する必要があった。そして、除
去した容器は、焼却等により処理する必要があり、環境
汚染の原因になるという問題があった。 【0003】近年、「地球にやさしい素材」として生分
解性ポリマーが注目されており、これを育苗用容器とし
て使用することも提案されている。例えば、特開平5−
199818号公報には、生分解性の脂肪族ポリエステルから
なるフイルムを成形した育苗用容器が提案されている。
しかし、このような生分解性ポリマーは高価であり、こ
れだけで育苗用容器として使用することは経済的に困難
である。 【0004】また、特開平2−286013号公報には、植物
性繊維を主体とする織布、紙等の苗木ポット本体の内
面、外面の少なくとも一方の面に、特定の脂肪族共重合
ポリエステルを主成分とする樹脂層を形成した生分解性
移植用ポットが提案されている。しかし、この発明にお
いては、樹脂層の形成は、樹脂の水系エマルジョンをコ
ーティングしたり、ラミネートコーティングしたりして
行われるもので、工程的に製造コストが高くなるという
問題があった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、生分解性を
有し、これを用いて育苗した植物苗を移植する際に除去
する必要がなく、作業性が向上するとともに、移植時に
根の周囲の土が脱落して植物を傷めることがなく、か
つ、安価に製造することのできる育苗用容器の製造法を
提供しようとするものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するもので、その要旨は、次のとおりである。1. 融点200℃以下の熱可塑性生分解性繊維90〜2
0重量%と非溶融性生分解性繊維10〜80重量%とか
ら両者が均一に混合したシートを製造し、得られたシー
トを金型に入れて、熱可塑性生分解性繊維の融点プラス
30℃以上で、250℃以下の温度で加熱圧縮成形する
ことを特徴とする育苗用容器の製造法。 【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おける熱可塑性生分解性繊維の代表的なものとしては、
脂肪族ポリエステル又は脂肪族ポリエステルアミドから
なる繊維が挙げられる。脂肪族ポリエステルの具体例と
しては、ポリグリコリドやポリラクチドのようなポリ
(α−ヒドロキシカルボン酸)、ポリ−ε−カプロラク
トン、ポリ−β−プロピオラクトン、ポリ−3−ヒドロ
キシプロピオネート、ポリ−3−ヒドロキシブチレー
ト、ポリ−3−ヒドロキシカプロレート、ポリ−3−ヒ
ドロキシヘプタノエート、ポリ−3−ヒドロキシオクタ
ノエート及びこれらとポリ−3−ヒドロキシバリレート
やポリ−4−ヒドロキシブチレートとの共重合体のよう
なポリヒドロキシアルカノエート、ポリエチレンオキサ
レート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサク
シネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンセバ
ケート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリネオペン
チルオキサレート及びこれらの共重合体のようなグリコ
ールとジカルボン酸との縮合体(ジイソシアネート化合
物で鎖延長したウレタン結合を有するものを含む)等が
挙げられる。また、脂肪族ポリエステルアミドの具体例
としては、ポリ−ε−カプロラクトンとナイロン6のよ
うな脂肪族ポリアミドとの共縮重合体が挙げられる。 【0008】熱可塑性生分解性繊維は、融点が 200℃以
下のものであることが必要である。この繊維の融点があ
まり高いと、熱圧縮成形して容器を製造する際に、高温
にすることが必要となり、併存する非溶融性生分解性繊
維が変色したり、劣化したりして好ましくない。 【0009】また、本発明における非溶融性生分解性繊
維としては、パルプ、木綿、羊毛、再生セルロース繊
維、溶剤紡糸セルロース繊維等が挙げられるが、最も安
価であるという点でパルプが好ましく用いられる。パル
プは、木材からのバージンパルプの他、古紙から回収し
たパルプでもよい。 【0010】本発明で繊維とは、アスペクト比が5〜30
00のものをいう。パルプや木綿は、通常、そのままでこ
の範囲のアスペクト比を有しているが、必要に応じて切
断することによりアスペクト比を調整することができ
る。人造繊維は、製造工程において、所定のアスペクト
比となるように切断すればよい。繊維の長さは、1〜30
mm程度とするのが適当である。 【0011】本発明の容器製造法では、まず、熱可塑
性生分解性繊維90〜20重量%と非溶融性生分解性繊
維10〜80重量%とから両者が均一に混合したシート
を製造する。この際、熱可塑性生分解性繊維の量をあま
り多くするとコスト高になるとともに、物性が劣るよう
になり、あまり少ないと熱圧縮成形が不可能になるとと
もに、土壌中での分解が速くなりすぎる。両繊維の種類
や混合比を変えることにより、容器の土壌中での分解速
度を調整することが可能である。 【0012】シートの製造は、通常、湿式抄造法により
行われるが、原料繊維の形態によっては乾式法を採用す
ることもできる。得られたシートを金型に入れて、熱可
塑性生分解性繊維の融点プラス30℃以上で、 250℃以下
の温度で加熱圧縮成形することにより本発明の容器が得
られる。加熱圧縮成形の際の温度が低すぎると熱可塑性
生分解性繊維が十分溶融せず、流動性が不十分で、本発
明で目的とする容器が得られない。一方、この温度が高
すぎると非溶融性生分解性繊維が着色したり、劣化した
りする。加熱圧縮成形の際の圧力は、50〜150kgf/cm2
とするのが適当である。 【0013】本発明に係る容器には、必要に応じて、着
色剤、肥料、殺菌剤、殺虫剤等の添加剤を含有させるこ
とができる。特に、肥料を含有させておくと、容器の分
解とともに徐放されて好ましい。肥料を含有させる場
合、肥料としては、粒子径が20μm以下の微粒子状のも
のが好ましく用いられ、肥料は、容器全体の30重量%程
度まで配合することができる。これらの添加剤は、シー
トを製造する際に添加してもよいし、原料繊維に含有さ
せておいてもよい。 【0014】 【作用】本発明において、熱可塑性生分解性繊維と非溶
融性生分解性繊維とからなるシートを加熱圧縮成形する
と、熱可塑性生分解性繊維が溶融して流動し、熱可塑性
生分解性重合体中に非溶融性生分解性繊維が均一に分散
した構造体で形成された容器が得られる。すなわち、得
られる育苗用容器1は、図1に示すように、熱可塑性生
分解性繊維が溶融して形成された熱可塑性生分解性重合
体2の中に非溶融性生分解性繊維3が均一に分散したも
のとなる。 【0015】 【実施例】次に、実施例によって本発明を具体的に説明
する。 実施例1 叩解したパルプ(北越製紙社製LBKP)4.69gと繊度
3デニール、長さ5mm(アスペクト比約 250)のポリカ
プロラクトン(PCL)繊維(融点60℃)3.58gとをパ
ルプ離解機(熊谷理機工業社製)に投入し、3000rpm の
速度で1分間攪拌した。その後、得られた紙料を抄紙機
(熊谷理機工業社製角型シートマシン)に移し、界面活
性剤を 0.1g/l、平均粒子径15μm の肥料 1.0gを加
え、パルプ、PCL繊維及び肥料を含む水分散液を形成
させ、JIS-P-8209法に準じて抄造した。湿潤したウエブ
をプレス機(熊谷理機工業社製)に通して脱水後、風乾
し、25cm×25cmのシートを作製した。得られたシート
を、凹凸金型を用いて、80℃で予熱後、金型温度 130℃
で成形機(北川精機社製コールド&ホットプレス)で、
100kgf/cm2 の圧力で熱成形して育苗用容器を得た。得
られた育苗用容器1は、図1に示すように、PCL繊維
が溶融して形成されたPCL2の中にパルプからの繊維
3及び肥料4が均一に分散したものとなっていた。(容
器の大きさは4号で、高さ 100mm、開口部外径 120mm、
底部外径86mm、肉厚0.1mm、重量 6.5gとした。) この育苗用容器1に栽培土を入れて育苗した緑化樹木
(ゴールドクレスト)の苗木5を、図2に示すように、
容器1を付けたままで土壌6中に移植して栽培した。約
2カ月でパルプは完全に分解し、PCLは約5%が分解
するため、容器には50μm 〜3mm大の空隙が均一に形成
され、1年後にはPCLはまだ20%程度しか分解してお
らず、その空隙から根が伸長して孔を広げていた。 【0016】 【発明の効果】本発明に係る育苗用容器は、生分解性を
有し、これを用いて育苗した植物苗を移植する際に除去
する必要がなく、作業性が向上するとともに、移植時に
根の周囲の土が脱落して植物を傷めることがない。ま
た、本発明に係る育苗用容器は、熱可塑性生分解性繊維
を原料の一部として製造されるので、シートにして熱圧
縮成形することにより製造することが可能であるととも
に、パルプのような安価な素材を併用するので、安価で
ある。さらに、本発明に係る育苗用容器は、熱可塑性生
分解性重合体中に非溶融性生分解性繊維が均一に分散し
た構造体で形成されているので、容器が完全に分解する
までに時間がかかっても、両成分の分解速度の差によっ
て除々に空隙が形成され、植物の成育を妨げることがな
い。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施例を示す育苗用容器の一部破断
正面図である。 【図2】本発明の育苗用容器で育苗した植物を移植した
状態を示す模式図である。 【符号の説明】 1 育苗用容器 2 熱可塑性生分解性重合体(PCL繊維が溶融して形
成されたPCL) 3 非溶融性生分解性繊維(パルプからの繊維) 4 肥料 5 緑化樹木 6 土壌
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01G 9/10 A01G 9/02

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】融点200℃以下の熱可塑性生分解性繊維
    90〜20重量%と非溶融性生分解性繊維10〜80重
    量%とから両者が均一に混合したシートを製造し、得ら
    れたシートを金型に入れて、熱可塑性生分解性繊維の融
    点プラス30℃以上で、250℃以下の温度で加熱圧縮
    成形することを特徴とする育苗用容器の製造法。
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