JP3533226B6 - 車両用空調装置の制御方法及び車両用空調装置の制御装置 - Google Patents

車両用空調装置の制御方法及び車両用空調装置の制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、熱バランス式に基づいて空調エアを制御する車両用空調装置の制御方法及び車両用空調装置の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】
特公昭62−8327号公報に見られるように、車両用空調装置の制御として、空調装置が車室内に供給する熱量と、車両に加わる熱負荷とをバランスさせながら、空調エアの吹出風量と吹出温度とを制御するようにしたものが知られている。ここに、空調制御の基本式は、後に詳しく説明するように、非安定期では、
Cp・γ・Va (To −TSET )=K・S(TSET −Ta )−Ks ・Ts −C+Ki ・(TSET −Tr
で表現される。当該制御式において、左辺は空調装置が車室内に供給する熱量であり、右辺は車両熱負荷である。上記式に見られるTSET は設定温度であり、Taは外気温度、Trは車室内温度である。
【0003】
空調制御においては、吹出風量Va と吹出温度To とを上記熱バランス式に基づいて決定することになるが、一つの式から2つの未知数Va 、To を一義的に求めることはできないという問題がある。
【0004】
上記公報(特公昭62−8327号公報)に記載の技術では、外気温度等の環境条件と吹出風量Va との関係を予め定めておき、検出された環境条件に対応する吹出風量Va を先ず優先的に決定し、この吹出風量Va を上記熱バランス式に代入することによって吹出温度To を求めるようにされている。
【0005】
他方、特開平2−120117号公報には、吹出温度To を乗員に設定させ、この設定された吹出温度To を上記熱バランス式に代入して吹出風量Va を求めることが記載されている。
【0006】
また、空調制御は最終的には車室内温度Trが設定温度TSET となるように空調エアを制御するものであるが、一例として夏は設定温度TSET よりも低めに制御したほうが快適性を増すことが知られており、逆に冬は設定温度TSET よりも高めに制御したほうが快適性を増すことが知られている。かかる観点から、特開昭57−77216号公報には、上記熱バランス式に基づく空調制御を前提として、外気温度に応じて空調制御におけるタ−ゲット温度を変更することが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする技術的課題】
ところで、空調装置は、最終的に乗員の快適性を高めるものであり、この乗員が体感する快適性は様々な要因が複合したものといえる。従って、従来のように、環境条件に応じて優先的に吹出風量Va を決定し、その上で吹出温度To を決定するにしても、この吹出風量Va と吹出温度To との組み合わせが、当該状況において乗員に最高の快適性を与えることができるかどうかは不明である。
【0008】
同様に、吹出温度To を乗員に設定させるにしても、乗員が望ましいとして設定した吹出温度To が吹出風量Va との関係で最高の快適性を与えるものであるかとなると、必ずしも定かではない。勿論、設定した吹出温度To が吹出風量Va との関係で好ましくないときには吹出温度To の設定を変更すれば足りることになるが、このことは乗員に対して操作上の負担を強いることになる。
【0009】
更に、空調制御のタ−ゲット温度を外気温度に応じて変更するにしても、変更されたタ−ゲット温度が吹出風量Va との関係で乗員に対して最高の快適性を与えることができるか否かは不明である。
【0010】
そこで、本発明の技術的課題は、前記熱バランス式に基づく空調制御を前提として、乗員の快適性にとって好ましい吹出風量Vaと吹出温度Toとの組み合わせを得ると共に、安定期における快適な空調状態に早く移行するようにした車両用空調装置の制御方法及び車両用空調装置の制御装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を達成すべく本発明(請求項1に係る発明)にあっては、空調エアを調整する空調装置が車室内に供給する熱量と、車両に加わる熱負荷とをバランスさせながら、空調エアの吹出風量と吹出温度とを制御するようにした車両用空調装置の制御方法において、乗員が車室内で体感する快適性に関与する要因をパラメ−タとした快適度指数を基準とし、空調制御の制御状態が安定した安定期にあると仮定したときの快適度指数と熱バランス式に基づいて、最適なタ−ゲット温度を予測するタ−ゲット温度予測工程と、前記タ−ゲット温度予測工程において予測されたタ−ゲット温度に基づいて吹出風量と吹出温度との組合せを導き出して、該各組合せ毎の吹出風量と吹出温度とに基づき、実際に乗員が車室内で体感する快適性に関与する要因をパラメ−タとした快適度指数を算出し、その上で、その快適度指数と快適度指数の最も快適な状態を表す値との偏差の絶対値が最小となる吹出風量と吹出温度との組合せを選択する選択工程と、前記選択工程により選択された吹出風量と吹出温度とに基づいて空調制御を実行する実行工程と、前記実行工程前において、前記選択工程で選択された吹出風量と吹出温度とに基づいて算出された快適度指数と、快適度指数の最も快適な状態を表す値との偏差の絶対値が、所定値を越えているか否かを判別して、該絶対値が所定値を越えているときには、前記タ−ゲット温度予測工程に戻してターゲット温度を変更するターゲット温度変更工程と、を有している構成としてある。この請求項1の好ましい態様としては、請求項2の記載の通りとなる。上記技術的課題を達成すべく本発明(請求項3に係る発明)にあっては、空調エアを調整する空調装置が車室内に供給する熱量と、車両に加わる熱負荷とをバランスさせながら、空調エアの吹出風量と吹出温度とを制御するようにした車両用空調装置の制御装置において、乗員が車室内で体感する快適性に関与する要因をパラメ−タとした快適度指数を基準とし、空調制御の制御状態が安定した安定期にあると仮定したときの快適度指数と熱バランス式に基づいて、最適なタ−ゲット温度を予測するタ−ゲット温度予測手段と、前記タ−ゲット温度予測手段において予測されたタ−ゲット温度に基づいて吹出風量と吹出温度との組合せを導き出して、該各組合せ毎の吹出風量と吹出温度とに基づき、実際に乗員が車室内で体感する快適性に関与する要因をパラメ−タとした快適度指数を算出し、その上で、その快適度指数と快適度指数の最も快適な状態を表す値との偏差の絶対値が最小となる吹出風量と吹出温度との組合せを選択する選択手段と、前記選択手段により選択された吹出風量と吹出温度とに基づいて空調制御を実行する実行手段と、前記実行手段による実行前において、前記選択手段で選択された吹出風量と吹出温度とに基づいて算出された快適度指数と、快適度指数の最も快適な状態を表す値との偏差の絶対値が、所定値を越えているか否かを判別して、該絶対値が所定値を越えているときには、前記タ−ゲット温度予測手段に戻してターゲット温度を変更するターゲット温度変更手段と、を備えている構成としてある。この請求項3の好ましい態様としては、請求項4の記載の通りとなる。
【0012】
【作用】
すなわち、本発明にあっては、空調制御状態が安定した安定期あるとしたときの乗員の快適性に関与する要因をパラメ−タとする快適度指数と熱バランス式に基づいて最適なタ−ゲット温度を予測し、この予測したタ−ゲット温度に基づくと共に実際に乗員の快適性に関与する要因をパラメ−タとする快適度指数に基づいて選択した吹出風量と吹出温度との組合せによって空調制御を行なうようにしてある。
【0013】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を添附した図面に基づいて説明する。図1において、符号1は空調エアを車室に導く通風ダクトで、この通風ダクト1は、その上流端に、外気を導入する外気導入口2と、車室内の空気を導入する内気導入口3とが設けられて、これら外気導入口2と内気導入口3とは内外気切換ダンパ4により選択的に開閉される。
【0014】
他方、上記通風ダクト1の下流端には、乗員の上半身に向けて開口するベント吹出口5と、乗員の足元に向けて開口するフット吹出口(ヒ−ト吹出口)6と、フロントガラスあるいはドアガラスに向けて開口するデフロスタ吹出口7とが設けられ、これら吹出口5〜7は、対応して配置されたモ−ド切換ダンパ8〜10により開閉される。
【0015】
上記通風ダクト1には、その内部に上流側から下流側に向けて、順に、送風機11、冷却用熱交換器12、エアミックスダンパ13、加熱用熱交換器14が配設されている。上記エアミックスダンパ13の開度θを制御することにより、加熱用熱交換器14を通過する風量と、この加熱用熱交換器14をバイパスする風量との割合(エアミックスの調整)が調節されて、空調エアの温度(吹出温度To )の調整がなされる。
【0016】
すなわち、加熱用熱交換器14への風量割合が「100%のとき」のエアミックスダンパ13の開度θを「θ=1」で表し、「0%のとき」の開度θを「θ=0」で表したときに、吹出温度To は、「θ=1」で得られる最高温度と、「θ=0」で得られる最低温度との間で無段階に調整される。
【0017】
ここで、エアミックスダンパ13の開度θは下記の式に基づいて算出される。
θ=(To −Te )/(Kw ・TW −Te
【0018】
ここに、Te :冷却用熱交換器12の出口温度
W :エンジン冷却水温度
o :吹出温度
w :エンジン冷却水温度を加熱用熱交換器14の出口温度に換算するための係数
【0019】
前記冷却用熱交換器12は、コンプレッサ15、コンデンサ16、レシ−バ17を含む冷媒循環回路Xに介設されたエバポレ−タで構成され、上記コンプレッサ15とエンジン18との間に介装された電磁クラッチ31(図2参照)を『オン』あるいは『オフ』することによりエバポレ−タ12の作動が制御される。
【0020】
前記加熱用熱交換器14は、エンジン18の冷却水が通水されるヒ−タコアで構成され、このヒ−タコア14を通るエンジン冷却水の量は、前記エアミックスダンパ13に連動する開閉弁(図示省略)により調整される。
【0021】
図1において、符号19は、前記内外気切換ダンパ4のアクチュエ−タとしての電動モータである。符号20は、前記モ−ド切換ダンパ8〜10のアクチュエ−タとしての電動モ−タである。符号21は、前記エアミックスダンパ13のアクチュエ−タとしてのサ−ボモ−タである。これらモ−タ19〜21等は制御回路22から出力される信号に基づいて制御される。
【0022】
上記制御回路22は、例えばマイクロコンピュ−タで構成され、既知のように、CPU30(図2参照)、ROM、RAM等を具備している。上記制御回路22には、操作盤23に配置された各種マニュアルスイッチ23a〜23eあるいはセンサ24〜29からの信号が入力される。
【0023】
上記スイッチ23aはオ−トスイッチであり、空調自動制御をオン、オフするものである。上記スイッチ23bは車室内温度を設定するものである(設定温度TSET のセットスイッチ)。上記スイッチ23cは内気導入と外気導入とを切換えるものである。上記スイッチ23dは吹出口を切換える吹出モ−ド切換スイッチである。上記スイッチ23eは、デフロスタ吹出口7の開閉を選択するデフロスタスイッチである。上記センサ24は車室内温度Trを検出する室温センサであり、ここでは通風ダクト1の内部に配置されている。上記センサ25は外気温度Taを検出する外気温センサである。上記センサ26は日射量Tsを検出する日射センサである。上記センサ27は冷却用熱交換器12の出口温度Te を検出するダクトセンサである。上記センサ28はエンジン冷却水の温度TW を検出する水温センサである。上記センサ29は、ポテンショメ−タで構成され、エアミックスダンパ13の開度θを検出するものである。
【0024】
尚、前記送風機11の送風量(換言すれば、吹出風量)Va の制御は、その駆動源であるブロアモ−タ11aへの印加電圧を変更することにより行われる。一方エアミックスダンパ13の開度θは、ポテンショメ−タ29で検出される開度θに基づいてフィ−ドバック制御される。
【0025】
空調制御の制御系について詳しく説明すると、前記制御回路22には、図2に示すように、前述した各センサ24〜29からの信号および操作盤23からのスイッチ信号が入力される。他方、制御回路22が出力する出力信号に基づいて前記モ−タ19、20、21、送風機用ブロアモ−タ11a並びにコンプレッサ15とエンジン18との間に介設された電磁クラッチ31が制御される。ここに、図2に示す符号32は安定化電源、33はD/A変換器、34〜38はドライバ−である。
【0026】
以下に、制御回路22により行われる空調制御の概要を説明する。先ず、従来の熱バランス式に基づく空調制御について説明すると、車両に加わる熱負荷と、空調装置が車室内に供給する熱量とをバランスさせることによって行なわれる。この点について、以下に詳しく説明する。
【0027】
車両に加わる熱負荷を車両熱負荷と呼んで『QL 』で表わすと、車両熱負荷QL は以下の要素を含んでいる。
【0028】
▲1▼伝熱負荷Qu
車室と外界との間の温度差に基づく熱負荷であり、この伝熱負荷Quは次の式で表される。
u =K・S(Tr −Ta
ここに、Tr :車室内温度
a :外気温度
S:伝熱面積
K:係数
【0029】
▲2▼日射負荷Qs
車体全体で受ける日射に基づく熱負荷であり、この日射負荷Qs は次の式で表される。
s =Ks ・Ts
ここに、Ts :日射センサで検出された日射量(kcal/h・m2
s :換算係数(m2)
【0030】
▲3▼乗員からの熱負荷Qm
乗員の発生する熱量である。
▲4▼エンジンル−ムから車室内に伝わる熱負荷Qe
エンジン等の発生する熱が車室内に伝わる熱量である。
【0031】
▲5▼車体熱容量Qn
シ−ト、インストルメントパネル等の内装品が有する熱量であり、この車体熱容量Qn は次の式で表される。
n =(m・c/h)・(TSET −Tr
ここに、m:内装品の質量
c:内装品の比熱
h:内装品が設定温度TSET になるのに要する時間
【0032】
尚、この車体熱容量Qn は、車室内温度Tr が設定温度TSET と同一になったときに、『Qn =0』となるものである。すなわち、空調状態が安定した安定期には、車体熱容量Qn は零となる。
【0033】
以上の要素を考慮して、非安定期における前記車両熱負荷QL を式で表せば以下の式になる。
QL =Qu −Qs −Qm −Qe +Qn
=K・S(Tr −Ta )−Ks ・Ts −C+Ki ・(TSET −Tr
ここに、C:上記Qm とQe とを一定とみなして定数化したものである。
i :m・c/hを定数化したものである。
【0034】
一方、安定期における車両熱負荷QL を式で表せば以下の式になる。
QL =Qu −Qs −Qm −Qe
=K・S(Tr −Ta )−Ks ・Ts −C
【0035】
他方、空調装置が車室内に供給する熱量を熱交換能力と呼んで『Qa 』で表わすと、熱交換能力Qa は下記の式で表される。
a =Cp・γ・Va (To −Tr
ここに、Cp:空気の定圧比熱
γ:空気の比重
a :空調エアの吹出風量(送風機の送風量)
o :空調エアの吹出温度
r :車室内温度
尚、上記Qa 式は内気循環の場合の式を示すものであり、外気導入の場合には下記の式が採用される。
a =Cp・γ・Va (To −Ta
ここに、Ta は、前述したように、外気温度である。
【0036】
上記熱交換能力Qa と車両熱負荷QL とをバランス(Qa =QL )させることで、設定温度TSET となるように過不足なき空調制御を行なうことが可能となる。つまり、空調制御の基本式は、非安定期では、下記のバランス式で表される。
Cp・γ・Va (To −TSET )=K・S(TSET −Ta )−Ks ・Ts −C+Ki ・(TSET −Tr
【0037】
一方、安定期では、空調制御の基本式は下記のバランス式で表される。
Cp・γ・Va (To −TSET
=K・S(TSET −Ta )−Ks ・Ts −C
【0038】
次に、本発明にかかる空調制御について説明する。本発明にかかる実施例にあっては、非安定期においても、上述した安定期の制御式:Cp・γ・Va (To −TSET )=K・S(TSET −Ta )−Ks ・Ts−Cを用いて行なうようにしてある。そして、この制御式において、変数として存在する吹出風量Va と吹出温度To とは、下記の式で定義される快適度指数Fに基づいて、その最適な組合せが選択される。
【0039】
F=K1 ・Va +K2 ・To +K3 ・Ta +K4 ・Tr +K5 ・Ts
ここに、Va 等は前記(1)式と同一の意味であるが、再度、その意味を説明すれば以下のとおりである。
a :空調エアの吹出風量
o :空調エアの吹出温度
a :外気温度
r :車室内温度
s :日射量
また、上記F式おけるK1 〜K5 は重み付け係数であり、これら係数K1 〜K5 は実験により求められるものである。
【0040】
つまり、上記快適度指数Fは、乗員の快適度に影響を及ぼす各種パラメ−タに基づいて、乗員が体感する快適度を指数化したものである。ちなみに、ここでは最も快適な状態がF=5となるように上記係数K1 〜K5 を設定してある。したがって、F=5から遠のくに従って不快度が増加することを意味する。例えば快適度指数Fが「F=5」よりも大きい数値(例えばF=7)のときには、不快の一例として、乗員が暑いと体感する状態を意味し、「F=5」よりも小さい数値(例えばF=3)のときには、不快の一例として、乗員が寒いと体感する状態を意味する。
【0041】
このようにして上記バランス式によって得られる吹出温度To と吹出風量Vaとで求められる快適度指数Fが「F=略5」であれば、将来安定期になったときに、この安定期で最も快適な空調状態を形成し得る組合せであるとして、これら吹出温度To と吹出風量Va となるように制御される。
【0042】他方、選択された吹出温度To と吹出風量Va とで得られる快適度指数Fが「F=5」から離れた値であるときには、再度、より好ましい吹出温度To と吹出風量Va との組合せのサ−チが行われる。
【0043】
このサ−チは、空調制御におけるタ−ゲット温度TTRG を変更することにより行われる。すなわち、前述した第1段階でのサ−チは設定温度TSET をタ−ゲット温度TTRG として行われる(TTRG =TSET )。この第1段階でのサ−チの結果、吹出温度To と吹出風量Va との組合せが、快適度指数Fに基づいて判断したときに快適性に欠けるときには(F値がF=5から大きく離れた値しか得られないとき)、タ−ゲット温度TTRG を所定量(ΔTTRG )増加あるいは減少させて、再度、快適性を満足する吹出温度To と吹出風量Va との組合せのサ−チが上記F値を用いて行われる。このタ−ゲット温度TTRG の変更は、快適度指数Fの値として「F=略5」が得られるまで、反復して行われる。
【0044】
また、本実施例にあっては、併せて吹出口の選択、つまり吹出モ−ドの選択についても快適度指数Fに基づいて行われるようになっている。すなわち、前述した吹出温度To と吹出風量Va との最適な組合せは、吹出モ−ドとの関係で選択される。
【0045】
以上のことを前提として、図3〜図13に示すフロ−チャ−トに基づいて空調制御の内容を詳しく説明する。図3は空調制御の全体的な流れを概略的に示すものである。すなわち、先ずステップS1(以下、ステップ番号は符号『S』を付して表わす)において、初期設定を行なった後、S2で各種センサからのデ−タが入力される。次のS3ではタ−ゲット温度TTRG の算出が行なわれ、次のS4において、タ−ゲット温度TTRG に基づいて求められた吹出温度To 及び吹出風量Va によって快適度指数Fが算出され、次ぎのS5において、快適度指数Fの値(F値)によって快適であると判定された吹出温度To と吹出風量Va との設定が行なわれる(最もF=5に近いF値を示す吹出温度To と吹出風量Va と組合せ)。併せて上記快適度指数Fに基づいて吹出モ−ド(吹出口)の設定が行なわれ、その後S6でコンプレッサのON、OFFを設定した後にS7で実行される。
【0046】
実施例に係る制御の内容について図4以降の図に示すフロ−チャ−トに基づいて以下に詳しく説明する。
ベントモード
図4、図5はベント吹出口5(ベントモ−ド)を設定するル−チンである。図4に示すS11において、空調スイッチがONされたことを確認した後、S12に進んでターゲット温度TTRG の算出(後に詳しく説明する)を行ない、次のS13において、車両熱負荷QL の算出が行われる。この車両熱負荷QL は、非安定期の式を用いて、QL =K・S(Tr −Ta )−Ks ・Ts −C+Ki ・(TSET −Tr )によって求められる。
【0047】
次のS14からS24の処理は、吹出温度TO と吹出風量Va との組み合わせを求めるものである。以下にその概略を説明する。上記吹出温度と吹出風量との組み合わせは、車両熱負荷QL が一定であることを前提として、以下のようにして求められる。すなわち、車両熱負荷QL を一定としたときに、吹出温度と吹出風量との関係は、図14に示すように、TO =TSET と、Va =0とを漸近線とする反比例曲線で表すことができる。この関係に基づき本実施例にあっては、先ず吹出風量Va として低風量Val(Va1)を設定したと仮定したときに、これに対応する吹出温度To1を求め、また低風量Va1、吹出温度To1に基づく快適度指数Fを求める。
【0048】
ここに快適度指数Fとして、冷房運転用の快適度指数F2 が用いられる。この快適度指数F2 は、冷房運転(ベント吹出口5を選択:ベントモード設定)をしたときに、ベント吹出口5から吹き出される空調エアによって乗員が体感する快適度を指数化(前記重み付け係数K1 〜K5 の設定)したものである。従って快適度指数F2 は主に上半身の快適度を表したものと言える。
【0049】
続いて、上記低風量Va1に所定値ΔVを加算した風量Va2を設定したと仮定したときに、これに対応する吹出温度T02を求め、(図14参照)、またVa2、TO2に基づく快適度指数F2 並びにこのF2 値から5を引いた値の絶対値を求める。その後、順次、最大風量Vah(Va7)まで、風量Va(n-1)に所定値ΔVを加算した風量Va(n)に基づいて、吹出温度Ta(n)と、快適度指数F2 と、F2 値と5との偏差の絶対値とを求める。そして、これら風量Va(n)、To(n)、F2 値並びに偏差の絶対値はRAMに保存される。
【0050】
図4のフローチャートに戻って説明すると、S14で吹出風量Va を低風量Val(Va1)とした後、S16において上記低風量Va1に対応する吹出温度To1の算出が行なわれる。次のS17では、上記吹出温度T01に基づいてエアミックスダンパ13の開度θが算出される。そして、次のS18において、上記S17で得られた開度θが零以下であるか否かの判別が行われ、YESと判定されたときには、加熱用熱交換器14への通風量が0%になるとして、S20に進んで冷却用熱交換器12の出口温度Te が吹出温度To とされる。他方、上記S18において、NO(θ>0)と判定されたときには、エアミックスが行われるとしてS19において上記吹出温度TO1が吹出温度TO とされる。そして、次のS21において快適度指数F2 の算出が行われ、またS22においてF2 値と5との偏差(F2 −5)の演算が行われ、またS23において上記偏差の絶対値が算出される。そして、その後S24において上記吹出風量Va1に対してΔVが加算されて、上述したS15からS24の処理が最大風量Vah(Va7)となるまで反復される。この一連の処理により、(Va1、To1、偏差の絶対値)、(Va2、To2、偏差の絶対値)、・・・というように、各吹出風量に対応する吹出風量及びF値が求められることになる。
【0051】
上記組み合わせを求める処理が完了した後に、S15からS25へ移行して、F2 値と5との偏差の絶対値が最小である吹出風量Vo と吹出温度To との組み合わせが選択される。つまり、F2 =5(乗員が最も快適と体感する状態)に最も近いF値を示す吹出風量と吹出温度との組み合わせが選択される。この選択された吹出風量Va を『Vao』で表し、この吹出風量Vaoと対をなす吹出温度Toを『Too』で表す(Vao、Tooの選択)。
【0052】
次のS26では安定状態にあるか否かの判別が行われる。すなわち、ΔT(=Tr −TTRG )が所定の範囲にあるか否かの判別が行われ、NOと判定されたときには、車室内温度Tr がタ−ゲット温度TTRG から離れた状態(例えば、偏差が2℃以上)であり非安定期にあるとして、S27へ進んで、(F2 −5)の値が所定値(−α)(例えば、α=1)以上であるか否かの判別が行われる。このS27においてYES(Vao、Tooに基づくF2 が4以上)と判定されたときには、S28へ進んでF2 値が5以下であるか否かの判別が行われ、NO(F2 >5)と判定されたときには、上半身が暑いと感じる状態になるとして、S30へ進んで、ベント吹出口5の設定及び上記吹出風量と吹出温度との組み合わせ(Vao、Too)が設定される。これにより、ベント吹出口5から上半身に向けて空調エアの吹き出しが行なわれ(ベントモ−ド)、その空調制御状態は、風量がVaoとされ、温度がTooとされる。
【0053】
上記S28においてYESと判定されたときには、Vao、Tooに基づく快適度指数F2 が5以下であるとして、つまり乗員の上半身が快適あるいは寒い状態になるとしてS29へ進み、選択されている吹出温度To が所定値αo (例えば、30℃)よりも小さいか否かの判別が行なわれ、YESのときには前記S30へ進む。他方、前記S27でNOと判定されたとき、つまりF2 が4より小さいときには、上半身が寒いと感じる状態になるとして後述するB/L1モ−ドに移行する。また、前記S29でNOと判定されたとき、つまり、選択されている吹出温度To が30℃以上であるときには、暑い風が顔に当たるのは不快を伴うものであるとして後述するB/L1モ−ドに移行する。
【0054】
前記S26においてYESと判定されたとき、つまり車室内温度Tr とタ−ゲット温度TTRG との差が僅かであるときには、ほぼ安定期にあるとしてS31以降のステップに進む(図5参照)。
【0055】
S31以後の処理は安定期でのタ−ゲット温度TTRG を修正するためのものである。先ず、S31において、(F2 −5)の値が所定値α(例えば、α=1)以上であるか否かの判別が行なわれ、YES(F2 ≧6)のときには、乗員が暑いと感じる状態になるとして、S32に進んでタ−ゲット温度TTRG を所定値ΔTだけ下げるタ−ゲット温度TTRG の変更が行なわれ、次のS33でタ−ゲット温度TTRG が18℃であるか否かの判別をした後に、NOであるときには前記S13に戻って、変更後のタ−ゲット温度TTRG に基づいて再度最適吹出温度等の算出が行なわれる。
【0056】
変更後のタ−ゲット温度TTRG に基づいて算出した最適吹出温度Tooと最適吹出風量Vaoとで得られる快適度指数F2 の値が「F値=略5」となったときには、上述したタ−ゲット温度TTRG の変更によってより最適な空調制御状態が発見できたとして、前記ステップS30に進む。他方、変更後のタ−ゲット温度TTRG においても前記S31でYESと判定されたときには、再度、前記S32に進んでタ−ゲット温度TTRG の変更が行なわれる。このタ−ゲット温度の変更は、ベントモ−ドでの極小値である18℃まで行なわれる。
【0057】
前記S31でNOと判定されたときには、S34に進んで(F2 −5)の値が所定値(−α)以下であるか否かの判別が行なわれ、YES(例えばF2 ≦4)のときには、乗員が寒いと感じる状態になるとしてS35に進んで、F2 値が3以下であるか否かの判別が行なわれ、NOのときには、やや寒い状態であり、タ−ゲット温度TTRG の変更で調節可能な状態にあるとして、S36でタ−ゲット温度TTRG を所定値ΔTだけ上昇させるタ−ゲット温度TTRG の変更が行なわれる。そして、次のS37において、変更後のタ−ゲット温度TTRG がベントモ−ドでの極大値である27℃であるか否かの判別が行なわれ、NOのときには前記S13に戻って、変更後のタ−ゲット温度TTRG に基づいて再度最適吹出温度等の算出が行なわれる。
【0058】
前記S35あるいは前記S37でYESと判定されたときには、ベントモ−ドではほぼF2 =5の空調制御状態の形成が不可能であるとして、後述するB/L1モ−ドへ移行する。
【0059】
B/L1モ−ド
図6、図7はB/L1モ−ドを設定するル−チンである。ここに、B/L1モ−ドでは、ベント吹出口5から75%の空調エアが吐出され、フット吹出口6から25%の空調エアが吐出される。すなわち、吹出風量Va が設定されたときに、風量Vav=0.75×Va がベント吹出口から吹き出され、風量Vaf=0.25×Va がフット吹出口6から吹き出される。また、ベント吹出口5から吐出される空調エアの吹出温度を「Tov」で表わし、フット吹出口6から吐出される空調エアの吹出温度を「Tof」で表わすと、これらTovとTofとの関係は図17に示すようになっている。すなわち、吹出温度To を設定したときに、この吹出温度To に対応するエアミックスダンパ13の開度θ0 によって、ベント吹出口5から温度Tovの空調エアが吐出され、フット吹出口6から温度Tofの空調エアが吐出される。ここに、TovとTofとを比較したときに、図17から明らかなように、ベント吹出口5から吐出される空調エアの方がフット吹出口6から吐出される空調エアよりも低温となるように設定されており、これにより頭寒足熱の効果を実現するようになっている。
【0060】
以上のことを前提として、B/L1モ−ドについて詳しく説明する。先ず、S38において、設定温度TSET をタ−ゲット温度TTRG とした後に、次のS39で非安定期の式を用いて車両熱負荷QL の算出が行なわれる。
【0061】
次のS40乃至S50は、前述したS14からS24の処理(図4参照)と基本的に同一であり、吹出温度To と吹出風量Vo との組み合わせを求めるものである。
【0062】
すなわち、S38で吹出風量Va を低風量Va1とした後、S42において上記低風量Va1に対応する吹出温度To1の算出が行われる。次のS43では、上記To1に基づいてエアミックスダンパ13の開度θが算出される。そして、次のS44において、図17に示すマップから開度θに対応するベント吹出口5の吹出温度Tovとフット吹出口6の吹出温度Tofの読み込みが行なわれる。また、次のS45において、ベント吹出口5から吐出される空調エアの吹出風量Vavと、フット吹出口6から吐出される空調エアの吹出風量Vafとが算出される。
【0063】
次のS46では、後述する快適度指数Fの算出が行なわれる。ここに、快適度指数Fとして前述した指数F2 と、フット吹出口6用の快適度指数である第2の指数F4 とが用いられる。この第2の快適度指数F4 はフット吹出口6から空調エアを吐出させたときに、乗員が体感する快適度を指数化したものである。つまり快適度指数Fを表わす式:F=K1 ・Va +K2 ・To +K3 ・Ta +K4 ・Tr +K5 ・Ts において、各重み付け係数K1 〜K5 をフット吹出口6から吐出される空調エアに基づいて設定したものである。従って、このフット用の快適度指数F4 は主に下半身の快適度を表わしたものと言える。
【0064】
以上のことを前提として、S46におけるF値の算出は、ベント用の指数F2にあっては、ベント吹出口5の吹出風量Vavと吹出温度Tovとに基づいてその算出が行なわれ、フット用の指数F4 にあっては、フット吹出口6の吹出風量Vafと吹出温度Tofに基づいてその算出が行なわれる。
【0065】
次のS47においては、F2 値と5との偏差(F2 −5)、及びF4 値と5との偏差(F4 −5)の演算が行なわれ、またS48において上記各偏差の絶対値が算出される。ここで、2つの指数F2 とF4 とを用いて、乗員の体感する全体的な快適度を評価する関係上、F2 とF4 とが共に「5」を示すポイントを、図18に示すように、「O」で示し、他方(F2 −5)の値と(F4 −5)の値とで示されるポイントを「P」で表わすと、このポイント「P」と最快適ポイント「O」との間の距離Lによって、総合的な快適度を評価するようにしてある。
【0066】
このため、S49において、L2 =(F2 −5)2 +(F4 −5)2 の関係式に基づいて距離Lの算出が行なわれ、そして、その後S50において上記吹出風量Va1に対してΔVが加算されて、上述したS39からS50の処理が最大風量Vah(Va7)となるまで反復される。この一連の処理により、(Va1、To1、距離L)、(Va2、To2、距離L)、・・・というように、各吹出風量に対応する吹出風量及びL値が求められることになる。
【0067】
上記組み合わせを求める処理が完了した後に、S41からS51へ移行して、上記距離Lが最小であり、最適と考えられる吹出風量Vaoと吹出温度Tooとの組み合わせが選択される。
【0068】
次のS52では、前述したΔT(=Tr −TTRG )に基づいて安定期にあるか否かの判別が行われ、NOのときには、非安定期にあるとしてS53に進んで上記最適吹出風量Vaoと吹出温度Tooとに基づく(F2 −5)値及び(F4 −5)値が共に所定値α(例えば、α=1)以下であるか否かの判別が行われる。このS53においてYES(F2 、F4 が共に6以下)と判定されたときには、S54において上記最適吹出風量Vaoと吹出温度Tooとに基づく(F2 −5)値及び(F4 −5)が共に所定値(−α)以上であるか否かの判別が行われる。このS54でYES(F2 、F4 が共に4以上)と判定されたときには、ベント吹出口5から吐出される空調エアで得られる快適度指数F2 と、フット吹出口6から吐出される空調エアで得られる快適度指数F4 とが、共に『5』あるいは『5』に近い状態にあるとしてS55でベント吹出口5の吹出温度Tovが所定温度αo (例えばαo =30℃)より小さいか否かを確認し、また次のS56においてフット吹出口6の吹出温度Tofが所定温度β(例えばβ=20℃)よりも大きいか否かを確認して、これらS55、S56で共にYESと判定されたときには、S57において上記最適吹出風量Vaoと最適吹出温度Tooとの組み合わせの設定並びにB/L1モ−ドの設定が行われる。
【0069】
上記S53でNOと判定されたときには、上半身及び下半身が共に暑い状態になるとして、前述したベントモ−ド(図4、S12)へ戻る。また上記S56でNOと判定されたときには、フット吹出口6から冷たい空調エアが吐出されて下半身が寒い状態になるとして、やはりベントモ−ド(図4、S12)へ戻る。
【0070】
上記S54において、NOと判定されたときには、上半身及び下半身が共に寒い状態になるとして、後述するB/L2モ−ド(図8)に移行する。また上記S55でNOと判定されたときには、暑い空調エアが顔に当るのは不快を伴なうものであるとして、やはりB/L2モ−ドに移行する。
【0071】
前記S52においてYESと判定されたとき、つまり、車室内温度Tr とタ−ゲット温度TTRG との差が僅かであるときには、ほぼ安定期にあるとして、図7に示すS58以降のステップに進む。
【0072】
S58以降の処理はタ−ゲット温度TTRG を修正するためのものである。先ず、S58において、図20に示すマップに基づいて領域判定が行なわれ、前記ポイントPが図20に示す領域Iにある(YES)と判定されたときには、図6に示すS57に戻って、B/L1モ−ド、吹出温度Too等の設定が行なわれる。
【0073】
他方、上記S58においてNOと判定されたときには、S59に進み前記ポイントPが図20に示す領域IIにあるか否かの判別が行なわれ、YESのときには、下半身は快適であるものの上半身が暑い状態あるいは上半身は快適であるものの下半身が暑い状態になるとして、S60に進んでタ−ゲット温度TTRG を所定値ΔTだけ下げるタ−ゲット温度TTRG の変更が行なわれ、次のS61でタ−ゲット温度TTRG が20℃であるか否かを判別した後に、NOであるときには、変更後のタ−ゲット温度TTRG に基づいて、再度、最適吹出温度等の算出が行なわれる。
【0074】
変更後のタ−ゲット温度TTRG に基づいて算出した最適吹出温度Tooと最適吹出風量Vaoとで得られる指数F2 とF4 との値が共に「略5」(領域I)となったときには、上述したタ−ゲット温度TTRG の変更によってより最適な空調制御状態が発見できたとして、前述したS58からS57(図6)に進む。
【0075】
他方、変更後のタ−ゲット温度TTRG によったとしても前記S59でポイントPが領域IIにある(YES)と判定されたときには、前記S60において再度タ−ゲット温度TTRG の変更(TTRG −ΔT)が行なわれる。このタ−ゲット温度の変更は、B/L1モ−ドにおけるタ−ゲット温度の極小値である20℃まで行なわれる。
【0076】
前記S59においてNOと判別されたときには、S62に進んでポイントPが図20に示す領域III にあるか否かの判別が行なわれ、YES(領域III )のときには、下半身は快適であるものの上半身が寒い状態あるいは上半身は快適であるものの下半身が寒い状態になるとして、S63でタ−ゲット温度TTRG を所定値ΔTだけ上昇させるタ−ゲット温度TTRG の変更が行なわれる。そして、次のS64において、変更後のタ−ゲット温度TTRG がB/L1モ−ドでの極大値である30℃であるか否かの判別が行なわれ、NOのときには前記S39(図6)に戻って、この変更後のタ−ゲット温度TTRG に基づいて再度最適吹出温度等の算出が行なわれる。
【0077】
上記S62においてNOと判定されたときには、S65に進んで領域IVであるか否かの判別が行われ、YES(領域IV)のときには、上半身及び下半身が共に暑い状態になるとして前記ベントモ−ド(図4、S12)へ戻る。他方、上記S65でNOと判定されたときには、S66へ進んで領域Vであるか否かの判別が行われ、YES(領域V)のときには、上半身及び下半身が共に寒い状態になるとして後述するB/L2モ−ド(図8、S68)へ移行する。他方、このS66において、NOと判定されたときには、前述したS57へ進む。
【0078】
B/L2モ−ド
図8、図9はB/L2モ−ドを設定するル−チンである。ここに、B/L2モ−ドでは、ベント吹出口5から60%の空調エアが吐出され、フット吹出口6から40%の空調エアが吐出される。すなわち、吹出風量Va が設定されたときに、風量Vav=0.60×Va がベント吹出口5から吹き出され、風量Vaf=0.40×Va がフット吹出口6から吹き出される。また、ベント吹出口5から吐出される空調エアの吹出温度Tovと、フット吹出口6から吐出される空調エアの吹出温度Tofとの関係は図18に示すようになっている。
【0079】
以上のことを前提として、B/L2モ−ドについて詳しく説明する。図8に示すS68乃至S80は、前述したS38乃至S50(B/L1モ−ド:図6参照)に対応し、これら各ステップにおいて、ステップ番号第1位の数字が共通のものは同一の処理を行っているため、その説明を省略する。尚、S75での演算式は、上述したように、空調エアの吹出割合が、ベント吹出口5は60%、フット吹出口6が40%であることに対応するものである。
【0080】
また、図8に示すS81乃至S87は、B/L1モ−ドにおけるS51乃至S57に対応し、これら各ステップにおいて、ステップ番号第1位の数字が共通するものは同一の処理を行っているため、その説明を省略する。尚、S87では、勿論、B/L2モ−ドの設定が行われる。
【0081】
またS83において、NOと判定されたときには、上半身及び下半身が共に暑い状態になるとして、前述したB/L1モ−ド(図6、S38)へ戻る。また上記S86でNOと判定されたときには、フット吹出口6から冷たい空調エアが吐出されて下半身が寒い状態になるとして、やはりB/L1モ−ド(図6、S38)へ戻る。
【0082】
更に、S84において、NOと判定されたときには、上半身及び下半身が共に寒い状態になるとして、後述するB/L3モ−ド(図10)に移行する。またS85でNOと判定されたときには、暑い空調エアが顔に当るのは不快を伴なうものであるとして、やはりB/L3モ−ドに移行する。
【0083】
また、S82においてYESと判定されたとき、つまり、車室内温度Tr とタ−ゲット温度TTRG との差が僅かであるときには、ほぼ安定期にあるとして、図9に示すS88以降のステップに進む。
【0084】
S88以降の処理は、前記B/L1モ−ドと同様の手法によってタ−ゲット温度TTRG を修正するものである。ここに、S88乃至S96は、前述したS58乃至S66(B/L1モ−ド:図7参照)に対応し、これら各ステップにおいて、ステップ番号第1位の数字が共通のものは、基本的には同一の処理を行なっているため、その説明を省略する。
【0085】
先ず、S88において、図21に示すマップに基づいて領域判定が行なわれ、前記ポイントPが図21に示す領域Iにある(YES)と判定されたときには、図8に示すS87に戻って、B/L2モ−ド、吹出温度Too等の設定が行なわれる。
【0086】
他方、上記S88においてNOと判定されたときには、S89に進み前記ポイントPが図21に示す領域IIにあるか否かの判別が行なわれ、YESのときには、下半身は快適であるものの上半身が暑い状態あるいは上半身は快適であるものの下半身が暑い状態になるとして、S90に進んでタ−ゲット温度TTRG を所定値ΔTだけ下げるタ−ゲット温度TTRG の変更が行なわれ、次のS91でタ−ゲット温度TTRG が20℃であるか否かを判別した後に、NOであるときには、変更後のタ−ゲット温度TTRG に基づいて、再度、最適吹出温度等の算出が行なわれる。
【0087】
変更後のタ−ゲット温度TTRG に基づいて算出した最適吹出温度Tooと最適吹出風量Vaoとで得られる指数F2 とF4 との値が共に「略5」(領域I)となったときには、上述したタ−ゲット温度TTRG の変更によってより最適な空調制御状態が発見できたとして、前述したS88からS87(図8)に進む。
【0088】
他方、変更後のタ−ゲット温度TTRG によったとしても前記S89でポイントPが領域IIにある(YES)と判定されたときには、前記S90において再度タ−ゲット温度TTRG の変更(TTRG −ΔT)が行なわれる。このタ−ゲット温度の変更は、B/L2モ−ドにおけるタ−ゲット温度の極小値である20℃まで行なわれる。
【0089】
前記S89においてNOと判別されたときには、S92に進んでポイントPが図21に示す領域III にあるか否かの判別が行なわれ、YES(領域III )のときには、下半身は快適であるものの上半身が寒い状態あるいは上半身は快適であるものの下半身が寒い状態になるとして、S93でタ−ゲット温度TTRG を所定値ΔTだけ上昇させるタ−ゲット温度TTRG の変更が行なわれる。そして、次のS94において、変更後のタ−ゲット温度TTRG がB/L2モ−ドでの極大値である30℃であるか否かの判別が行なわれ、NOのときには前記S69(図8)に戻って、この変更後のタ−ゲット温度TTRG に基づいて再度最適吹出温度等の算出が行なわれる。
【0090】
上記S92においてNOと判定されたときには、S95に進んで領域IVであるか否かの判別が行われ、YES(領域IV)のときには、上半身が暑く下半身が寒い状態になるとして前記B/L1モ−ド(図6、S38)へ戻る。他方、上記S95でNOと判定されたときには、S96へ進んで領域Vであるか否かの判別が行われ、YES(領域V)のときには、上半身及び下半身が共に寒い状態になるとして後述するB/L3モ−ド(図10、S108)へ移行する。他方、このS96において、NOと判定されたときには、前述したS87へ進む。
【0091】
B/L3モ−ド
図8、図9はB/L3モ−ドを設定するル−チンである。ここに、B/L3モ−ドでは、ベント吹出口5から45%の空調エアが吐出され、フット吹出口6から55%の空調エアが吐出される。すなわち、吹出風量Va が設定されたときに、風量Vav=0.60×Va がベント吹出口5から吹き出され、風量Vaf=0.40×Va がフット吹出口6から吹き出される。また、ベント吹出口5から吐出される空調エアの吹出温度Tovと、フット吹出口6から吐出される空調エアの吹出温度Tofとの関係は図19に示すようになっている。
【0092】
以上のことを前提として、B/L3モ−ドについて詳しく説明する。図10に示すS108乃至S120は、前述したS38乃至S50(B/L1モ−ド:図6参照)に対応し、これら各ステップにおいて、ステップ番号第1位の数字が共通のものは同一の処理を行っているため、その説明を省略する。尚、S115での演算式は、上述したように、空調エアの吹出割合が、ベント吹出口5は45%、フット吹出口6が55%であることに対応するものである。
【0093】
また、図10に示すS121乃至S127は、B/L1モ−ドにおけるS51乃至S57に対応し、これら各ステップにおいて、ステップ番号第1位の数字が共通するものは同一の処理を行っているため、その説明を省略する。尚、S127では、勿論、B/L3モ−ドの設定が行われる。
【0094】
またS123において、NOと判定されたときには、上半身及び下半身が共に暑い状態になるとして、前述したB/L2モ−ド(図8、S68)へ戻る。また上記S86でNOと判定されたときには、フット吹出口6から冷たい空調エアが吐出されて下半身が寒い状態になるとして、やはりB/L2モ−ド(図8、S68)へ戻る。
【0095】
更に、S124において、NOと判定されたときには、上半身及び下半身が共に寒い状態になるとして、後述するヒ−トモ−ド(図12)に移行する。またS125でNOと判定されたときには、暑い空調エアが顔に当るのは不快を伴なうものであるとして、やはりヒ−トモ−ドに移行する。
【0096】
また、S122においてYESと判定されたとき、つまり、車室内温度Tr とタ−ゲット温度TTRG との差が僅かであるときには、ほぼ安定期にあるとして、図11に示すS128以降のステップに進む。
【0097】
S128以降の処理は、前記B/L1モ−ドと同様の手法によってタ−ゲット温度TTRG を修正するものである。ここに、S128乃至S136は、前述したS58乃至S66(B/L1モ−ド:図7参照)に対応し、これら各ステップにおいて、ステップ番号第1位の数字が共通のものは、基本的には同一の処理を行なっているため、その説明を省略する。
【0098】
先ず、S128において、図22に示すマップに基づいて領域判定が行なわれ、前記ポイントPが図22に示す領域Iにある(YES)と判定されたときには、図10に示すS127に戻って、B/L3モ−ド、吹出温度Too等の設定が行なわれる。
【0099】
他方、上記S128においてNOと判定されたときには、S129に進み前記ポイントPが図22に示す領域IIにあるか否かの判別が行なわれ、YESのときには、下半身は快適であるものの上半身が暑い状態あるいは上半身は快適であるものの下半身が暑い状態になるとして、S130に進んでタ−ゲット温度TTRGを所定値ΔTだけ下げるタ−ゲット温度TTRG の変更が行なわれ、次のS131でタ−ゲット温度TTRG が20℃であるか否かを判別した後に、NOであるときには、変更後のタ−ゲット温度TTRG に基づいて、再度、最適吹出温度等の算出が行なわれる。
【0100】
変更後のタ−ゲット温度TTRG に基づいて算出した最適吹出温度Tooと最適吹出風量Vaoとで得られる指数F2 とF4 との値が共に「略5」(領域I)となったときには、上述したタ−ゲット温度TTRG の変更によってより最適な空調制御状態が発見できたとして、前述したS128からS127(図10)に進む。
【0101】
他方、変更後のタ−ゲット温度TTRG によったとしても前記S129でポイントPが領域IIにある(YES)と判定されたときには、前記S130において再度タ−ゲット温度TTRG の変更(TTRG −ΔT)が行なわれる。このタ−ゲット温度の変更は、B/L3モ−ドにおけるタ−ゲット温度の極小値である20℃まで行なわれる。
【0102】
前記S129においてNOと判別されたときには、S132に進んでポイントPが図22に示す領域III にあるか否かの判別が行なわれ、YES(領域III )のときには、下半身は快適であるものの上半身が寒い状態あるいは上半身は快適であるものの下半身が寒い状態になるとして、S133でタ−ゲット温度TTRGを所定値ΔTだけ上昇させるタ−ゲット温度TTRG の変更が行なわれる。そして、次のS134において、変更後のタ−ゲット温度TTRG がB/L3モ−ドでの極大値である30℃であるか否かの判別が行なわれ、NOのときには前記S109(図10)に戻って、この変更後のタ−ゲット温度TTRG に基づいて再度最適吹出温度等の算出が行なわれる。
【0103】
上記S132においてNOと判定されたときには、S135に進んで領域IVであるか否かの判別が行われ、YES(領域IV)のときには、上半身が暑く下半身が寒い状態あるいは共に暑い状態になるとして前記B/L2モ−ド(図8、S68)へ戻る。他方、上記S135でNOと判定されたときには、S136へ進んで領域Vであるか否かの判別が行われ、YES(領域V)のときには、上半身及び下半身が共に寒い状態になるとして後述するヒ−トモ−ド(図12)へ移行する。他方、このS136において、NOと判定されたときには、前述したS127へ進む。
【0104】
ヒ−トモード
図12、図13はフット吹出口6(ヒ−トモ−ド)を設定するル−チンである。 先ず、S142において設定温度TSET をターゲット温度TTRG とした後、S143において、非安定期の式を用いて車両熱負荷QL の算出が行われる。そして、S144で吹出風量Va を低風量Val (Va1)とした後、S146において上記低風量Va1に対応する吹出温度To1の算出が行なわれる。次のS147では、上記Ta1に基づいてエアミックスダンパ13の開度θが算出される。そして、次のS148において、上記S147で得られた開度θが『1』以上であるか否かの判別が行われ、NO(θ<1)のときには、エアミックスが行なわれるとして、S149で上記吹出温度T01が吹出温度T0 とされる。他方、上記S148において、YES(θが『1』以上)のときには、加熱用熱交換器14への通風量が100%(フルホット)になるとして、S150においてエンジン冷却水温度TW が吹出温度T0 とされる。尚、このS150に示す式において、係数KW は前述したように、エンジン冷却水温度TW を加熱用熱交換器14の出口温度に換算するものである。
【0105】
次のS151において、フット吹出口6から吐出される吹出風量Vafの算出が行なわれる。すなわち、このヒ−トモ−ドが設定されたときには、フット吹出口6の他にデフロスタ吹出口7からも空調エアが吐出されるようになっており、その吹出量の割合は、フット吹出口6が75%とされ、デフロスタ吹出口7が25%とされている。つまり、吹出風量Va が設定されたときに、風量Vaf=0.75xVa がフット吹出口6から吹き出される。そして、次のS152では快適度指数F4 (前述したように、この快適度指数F4 はフット吹出口6から吐出される空調エアによる快適度を表わすものである)の算出が行われ、またS153においてF4 値と5との偏差(F4 −5)の演算が行われ、またS154において上記偏差の絶対値が算出される。そして、その後S155において上記吹出風量Va1に対してΔVが加算されて、上述したS146からS154の処理が最大風量Vah(Va7)となるまで反復される。この一連の処理により、(Va1、To1、偏差の絶対値)、(Va2、To2、偏差の絶対値)、・・・というように、各吹出風量に対応する吹出風量及びF値が求められることになる。
【0106】
上記組み合わせを求める処理が完了した後に、S145からS156へ移行して、F4 値と5との偏差の絶対値が最小である吹出風量Vo と吹出温度To との組み合わせが選択される。つまり、F4 =5(乗員が最も快適と体感する状態)に最も近いF値を示す吹出風量と吹出温度との組み合わせが選択される(Vao、Tooの選択)。
【0107】
次のS157では安定状態にあるか否かの判別が行われる。すなわち、ΔT(=Tr −TTRG )が所定の範囲にあるか否かの判別が行われ、NOと判定されたときには、車室内温度Tr がタ−ゲット温度TTRG から離れた状態(例えば、偏差が2℃以上)であり非安定期にあるとして、S158へ進んで、(F4 −5)の値が所定値α(例えば、α=1)以下であるか否かの判別が行われる。このS158においてYES(Vao、Tooに基づくF4 が6以下)と判定されたときには、S159へ進んで(F4 −5)が零以上(F4 ≧5)であるか否かの判別が行われ、NO(F2 <5)と判定されたときには、下半身が寒いと感じる状態にあるとして、S161へ進んで、フット吹出口6の設定及び上記吹出風量と吹出温度との組み合わせ(Vao、Too)が設定される。これにより、フット吹出口6から下半身に向けて空調風の吹き出しが行なわれ(ヒ−トモ−ド)、その空調制御状態は、風量がVaoとされ、温度がTooとされる。
【0108】
上記S159においてYESと判定されたときには、Vao、Tooに基づく快適度指数F4 が5以上であるとして、つまり乗員の下半身が快適あるいは暑い状態になるとしてS160に進み、選択されている吹出温度To が所定値β(例えば、20℃)よりも大きいか否かの判別が行なわれ、YESのときには前記S161へ進む。他方、前記S158でNOと判定されたとき、つまりF4 が6より大きいときには、下半身が暑いと感じる状態になるとして前記B/L3モ−ドに移行する。また、前記S160でNOと判定されたとき、つまり、選択されている吹出温度To が20℃以下であるときには、寒い風が足下に当たるのは好ましくないとして前記B/L3モ−ドに移行する。
【0109】
前記S157においてYESと判定されたとき、つまり車室内温度Tr とタ−ゲット温度TTRG との差が僅かであるときには、ほぼ安定期にあるとして、S162以降のステップに進む(図13参照)。
【0110】
S162以後の処理はタ−ゲット温度TTRG を修正するためのものである。先ず、S163において、(F4 −5)の値が所定値(−α)(例えば、α=1)以下であるか否かの判別が行なわれ、YES(F4 ≦4)のときには、乗員が寒いと感じる状態にあるとして、S163に進んでタ−ゲット温度TTRG を所定値ΔTだけ上昇させるタ−ゲット温度TTRG の変更が行なわれ、次のS164でタ−ゲット温度TTRG が32℃であるか否かの判別をした後に、NOであるときには前記S143に戻って、修正後のタ−ゲット温度TTRG に基づいて再度最適吹出温度等の算出が行なわれる。
【0111】
修正後のタ−ゲット温度TTRG に基づいて算出した最適吹出温度Tooと最適吹出風量Vaoとで得られる快適度指数F4 の値が「F値=略5」となったときには、上述したタ−ゲット温度TTRG の修正によってより最適な空調制御状態が発見できたとして、前記ステップS161に進む。他方、修正後のタ−ゲット温度TTRG においても前記S162でYESと判定されたときには、再度、前記S163に進んでタ−ゲット温度TTRG の変更が行なわれる。このタ−ゲット温度の変更は、ヒ−トモ−ドでの極大値である32℃まで行なわれる。
【0112】
前記S162でNO(F4 >4)と判定されたときには、S165に進んで(F4 −5)の値が所定値α以上であるか否かの判別が行なわれ、YES(例えばF4 ≧6)のときには、乗員が暑いと感じる状態にあるとしてS166に進んで、F4 値が7以上であるか否かの判別が行なわれ、NOのときには、やや暑い状態であり、タ−ゲット温度TTRG の変更で調節可能な状態にあるとして、S167でタ−ゲット温度TTRG を所定値ΔTだけ下げるタ−ゲット温度TTRG の変更が行なわれる。そして、次のS168において、変更後のタ−ゲット温度TTRGがヒ−トモ−ドでの極小値である23℃であるか否かの判別が行なわれ、NOのときには前記S143に戻って、変更後のタ−ゲット温度TTRG に基づいて再度最適吹出温度等の算出が行なわれる。
【0113】
前記S166でYESと判定されたときには、暑すぎる状態になるとして前記B/L3モ−ドに移行する。また、前記S168でYESと判定されたときには、このヒ−トモ−ドで、F4 =略5の空調制御状態の形成が不可能であるとして、前記B/L3モ−ドへ移行する。
【0114】
図15、図16は、前記S12(図4)でのタ−ゲット温度TTRG の演算の具体的内容を示すサブル−チンである。このサブル−チンでは、安定期となったときの最適なタ−ゲット温度TTRG を予測するものである。すなわち、先ずS200において、快適な設定温度TSET は25℃が基準であることから、設定温度TSET を『25』とおいた後、安定期になったときには車室内温度Tr が設定温度TSET と同一となることからS201において車室内温度Tr が上記設定温度TSET と同じ『25』とされる。次のS202乃至S208は、前述した快適度指数F値に基づく吹出風量Va と吹出温度TO との組合せをサ−チするものである(例えば前記図4のS14乃至S24に対応)。
【0115】
このサ−チの概要を説明すると、S203における車両熱負荷QL の算出は、安定期の式(QL =K・S(Tr −Ta )−KS ・TS −C)に基づく。ここで、車室内温度Tr は、実際の室内温度ではなく、上記S201等で設定された温度である。また、S206において快適度指数F2 の算出が行なわれるが、この快適度指数F2 の算出においても車室内温度Tr は、実際の室内温度ではなく、上記S201等で設定された温度である。したがって、このS202乃至S208で行なわれる快適度指数F2 値に基づく吹出風量Va と吹出温度TO との組合せのサ−チは、現在の空調状態とは関係なく、安定期(車室内温度Trが設定温度TSET (タ−ゲット温度TTRG )と同一)となったと仮定した上で行なわれるものである。
【0116】
上記F2 値に基づく吹出風量Va と吹出温度TO との組合せのサ−チが完了した後、S204からS209へ進んで快適度指数F2 が最も『5』に近い組合せが選択され、次のS210において、この選択された吹出風量Va と吹出温度TO との組合せで得られる快適度指数F2 と『5』との偏差(F2 −5)が所定値(−α)よりも小さいか否かの判別が行なわれる。このS210において、NOと判定されたときには、F2 値が、例えば『4』以上であるとして、S211へ進み上記指数F2 値と『5』との偏差(F2 −5)が所定値α以下であるか否かの判別が行なわれ、YESと判定されたときには、F2 値がほぼ『5』に近い値であるとして、S212において、上記設定温度TSET (25℃)がタ−ゲット温度TTRG とされる。
【0117】
上記S211においてNOと判定されたときには、例えばF2 値が『6』以上であり、乗員が暑いと体感する状態になるとしてS213へ進んで設定温度TSET を所定値だけ低下させ、また次のS214において車室内温度Tr を同様に所定値だけ低下させる。そして、次のS215で設定温度TSET が『18℃』以上であるか否かを判別し、YESと判定されたときには前記S202へ戻り、この変更後設定温度TSET 及び車室内温度Tr に基づいて、再度、最適な吹出風量Va と吹出温度TO との組合せのサ−チが行なわれる。これによりF2 値がほぼ『5』となる吹出風量Va と吹出温度TO との組合せが発見できたときには前記S212で、変更後の設定温度TSET がタ−ゲット温度TTRG とされる。
【0118】
前記S210でYESと判定されたときには、例えばF2 値が『4』以下であり、乗員が寒いと体感する状態になるとしてS217へ進んで設定温度TSET を所定値だけ上昇させ、また次のS218において車室内温度Tr を同様に所定値だけ上昇させる。次のS219で設定温度TSET が『27℃』以下であるか否かを判別して、YESと判定されたときには前記S202へ戻り、この変更後設定温度TSET 及び車室内温度Tr に基づいて、再度、最適な吹出風量Va と吹出温度TO との組合せのサ−チが行なわれる。これによりF2 値がほぼ『5』となる吹出風量Va と吹出温度TO との組合せが発見できたときには前記S212で、変更後の設定温度TSET がタ−ゲット温度TTRG とされる。
【0119】
前記S219においてNOと判定されたときには、ベントモ−ドでは最適な最適な吹出風量Va と吹出温度TO との組合せの発見ができないとして、S202へ進みB/L1モ−ドでのタ−ゲット温度TTRG の予測が行なわれる。このB/L1モ−ドでのタ−ゲット温度TTRG の予測は、フロ−チャ−トを省略したが、上記ベントモ−ドでの予測と基本的には同様の手法によって行なわれる。勿論、前述したように(図6、図7参照)、快適度指数Fとして、ベント用の快適度指数F2 とヒ−ト用の快適度指数F4 とが使用され、また図17、図20に示すマップが使用される。このB/L1モ−ドで最適な吹出風量Va と吹出温度TO との組合せの発見ができないときには、同様に、B/L2モ−ド、B/L3モ−ド、ヒ−トモ−ドの各モ−ドでタ−ゲット温度TTRG の予測が行なわれる。
【0120】
このようにして、図4に示すS12で、安定期にあると仮定したタ−ゲット温度TTRG の予測が行われることから、非安定期にあるときに例えばS30(図4)で設定される吹出風量Va 等は、上記予測されたタ−ゲット温度TTRG に基づくことになる。また、実際に安定期に入ったときには、上位予測されたタ−ゲット温度TTRG がそのまま用いられて、このタ−ゲット温度TTRG に基づく空調制御が実行されることになる。したがって、非安定期にあっては、最初から将来安定期となったときにタ−ゲット温度TTRG に基づいて制御されるため、このような予測を行なわない場合に比べて早く安定期に移行させることが可能となる。
【0121】
尚、空調制御における熱バランス式に基づく吹出風量と吹出温度との設定に関し、快適度指数Fの値が『F値=5』に近い値を示す吹出風量と吹出温度との組み合わせが設定され、併せて吹出モ−ドについても快適度指数Fに基づいて設定されることになるが、快適度指数Fは、乗員の体感する快適度に影響のある要因をパラメ−タとしてあるため、この快適度指数Fによって、乗員の快適性にとって望ましい組み合わせが統合した形で設定されることになる。
【0122】
また、空調状態が実際に安定期になったときには、快適度指数FがF値=5により接近するようにタ−ゲット温度TTRG の調整が行われるため、より一層乗員の快適性を満足する吹出風量と吹出温度との組み合わせが設定されることになる。
【0123】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように請求項1、2の発明によれば、非安定期での空調制御が、将来安定期となったときの快適指数に基づいてターゲット温度を予測しつつこのターゲット温度に基づいて実行されるため、早く安定期の空調制御状態へ移行させることができる。請求項3、4の発明によれば、上記作用効果を奏する車両用空調装置の制御装置を得ることができることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】空調装置の全体構成図。
【図2】空調制御の全体系統図。
【図3】空調制御の全体的な制御内容を概略的に示すフローチャート。
【図4】ベントモ−ド制御の一例を示すフローチャート。
【図5】ベントモ−ド制御におけるタ−ゲット温度変更の具体的制御の一例を示すフローチャート。
【図6】B/L1モ−ド制御の一例を示すフローチャート。
【図7】B/L1モ−ド制御におけるタ−ゲット温度変更の具体的制御の一例を示すフローチャート。
【図8】B/L2モ−ド制御の一例を示すフローチャート。
【図9】B/L2モ−ド制御におけるタ−ゲット温度変更の具体的制御の一例を示すフローチャート。
【図10】B/L3モ−ド制御の一例を示すフローチャート。
【図11】B/L3モ−ド制御におけるタ−ゲット温度変更の具体的制御の一例を示すフローチャート。
【図12】ヒ−トモ−ド制御の一例を示すフローチャート。
【図13】ヒ−トモ−ド制御におけるタ−ゲット温度変更の具体的制御の一例を示すフローチャート。
【図14】熱バランス式に基づいて設定可能な吹出風量と吹出温度との関係を示すと共に快適度指数Fに基づいて選択可能な吹出風量と吹出温度との関係を示す図。
【図15】タ−ゲット温度を算出するサブル−チンであり、タ−ゲット温度を予測する制御内容の具体例を示すフロ−チャ−ト。
【図16】上記図15と共にタ−ゲット温度を算出するサブル−チンであり、タ−ゲット温度を予測する制御内容の具体例を示すフロ−チャ−ト。
【図17】B/L1モ−ドにおいて、フット吹出口から吐出される空調エアの吹出温度と、ベント吹出口から吐出される空調エアの吹出温度との関係を示す図。
【図18】B/L2モ−ドにおいて、フット吹出口から吐出される空調エアの吹出温度と、ベント吹出口から吐出される空調エアの吹出温度との関係を示す図。
【図19】B/L3モ−ドにおいて、フット吹出口から吐出される空調エアの吹出温度と、ベント吹出口から吐出される空調エアの吹出温度との関係を示す図。
【図20】B/L1モ−ドにおいて、領域判定に用いられる制御マップ。
【図21】B/L2モ−ドにおいて、領域判定に用いられる制御マップ。
【図22】B/L3モ−ドにおいて、領域判定に用いられる制御マップ。
【符号の説明】
5 ベント吹出口
6 フット吹出口
12 冷却用熱交換器(エバポレ−タ)
13 エアミックスダンパ
14 加熱用熱交換器(ヒ−タコア)
22 制御回路
23b セットスイッチ(設定温度TSET の設定)
24 車室内温度センサ
25 外気温センサ
26 日射センサ
QL 車両熱負荷
Qa 空調装置が車室内に供給する熱量(熱交換能力)
Va 吹出風量
To 吹出温度
Ta 外気温度
Tr 車室内温度
Ts 日射量
F 快適度指数
2 ベント吹出口用の快適度指数
4 フット吹出口用の快適度指数
TTRG タ−ゲット温度

Claims (4)

  1. 空調エアを調整する空調装置が車室内に供給する熱量と、車両に加わる熱負荷とをバランスさせながら、空調エアの吹出風量と吹出温度とを制御するようにした車両用空調装置の制御方法において、
    乗員が車室内で体感する快適性に関与する要因をパラメ−タとした快適度指数を基準とし、空調制御の制御状態が安定した安定期にあると仮定したときの快適度指数と熱バランス式に基づいて、最適なタ−ゲット温度を予測するタ−ゲット温度予測工程と、
    前記タ−ゲット温度予測工程において予測されたタ−ゲ ット温度に基づいて吹出風量と吹出温度との組合せを導 き出して、該各組合せ毎の吹出風量と吹出温度とに基づ き、実際に乗員が車室内で体感する快適性に関与する要 因をパラメ−タとした快適度指数を算出し、その上で、 その快適度指数と快適度指数の最も快適な状態を表す値 との偏差の絶対値が最小となる吹出風量と吹出温度との 組合せを選択する選択工程と、
    前記選択工程により選択された吹出風量と吹出温度とに基づいて空調制御を実行する実行工程と、
    前記実行工程前において、前記選択工程で選択された吹 出風量と吹出温度とに基づいて算出された快適度指数 と、快適度指数の最も快適な状態を表す値との偏差の絶 対値が、所定値を越えているか否かを判別して、該絶対 値が所定値を越えているときには、前記タ−ゲット温度 予測工程に戻してターゲット温度を変更するターゲット 温度変更工程と、
    を有している、
    ことを特徴とする車両用空調装置の制御方法。
  2. 請求項1において、
    更に、前記第1工程において、前記快適度指数を基準として最適な吹出モ−ドを予測し、前記第3工程では、前記吹出風量、前記吹出温度と共に前記第1工程で予測された吹出モ−ドによる空調制御の実行が行なわれる、
    ことを特徴とする車両用空調装置の制御方法。
  3. 空調エアを調整する空調装置が車室内に供給する熱量と、車両に加わる熱負荷とをバランスさせながら、空調エアの吹出風量と吹出温度とを制御するようにした車両用空調装置の制御装置において、
    乗員が車室内で体感する快適性に関与する要因をパラメ−タとした快適度指数を基準とし、空調制御の制御状態が安定した安定期にあると仮定したときの快適度指数と熱バランス式に基づいて、最適なタ−ゲット温度を予測するタ−ゲット温度予測手段と、
    前記タ−ゲット温度予測手段において予測されたタ−ゲット温度に基づいて吹出風量と吹出温度との組合せを導 き出して、該各組合せ毎の吹出風量と吹出温度とに基づ き、実際に乗員が車室内で体感する快適性に関与する要 因をパラメ−タとした快適度指数を算出し、その上で、 その快適度指数と快適度指数の最も快適な状態を表す値 との偏差の絶対値が最小となる吹出風量と吹出温度との 組合せを選択する選択手段と、
    前記選択手段により選択された吹出風量と吹出温度とに基づいて空調制御を実行する実行手段と、
    前記実行手段による実行前において、前記選択手段で選 択された吹出風量と吹出温度とに基づいて算出された快 適度指数と、快適度指数の最も快適な状態を表す値との 偏差の絶対値が、所定値を越えているか否かを判別し て、該絶対値が所定値を越えているときには、前記タ− ゲット温度予測手段に戻してターゲット温度を変更する ターゲット温度変更手段と、
    を備えていることを特徴とする車両用空調装置の制御装置。
  4. 請求項3において、
    前記ターゲット温度予測手段がターゲット温度を予測するに際して、前記快適度指数を基準として最適な吹出モードを予測する吹出モード予測手段が備えられ、
    前記実行手段が、前記選択手段が選択した吹出風量、吹出温度と共に前記吹出モード予測手段が予測した吹出モードによる空調制御の実行が行なわれるように設定されている、ことを特徴とする車両用空調装置の制御装置。
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