JP3533013B2 - 血液透析膜中間体及び血液透析器 - Google Patents
血液透析膜中間体及び血液透析器Info
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Description
工透析器に関する。
り、人工透析器の主要構成物として用いられている。こ
の人工透析器は長期間にわたって多くの人に利用され、
多数の慢性腎不全患者の延命に寄与している。従来、微
細多孔構造体から成るこのような血液透析膜は、通常湿
式紡糸法によって製造されるが、その製造工程において
は形成過程にある空孔構造を望ましい状態に保持するた
めあるいは乾燥収縮防止のためなどにいわゆる膜孔径保
持剤が使用されている。
は、セルロースを素材とする血液透析膜の孔径保持剤と
してグリセリンを使用することが記載されており、また
特開平3−8422号公報では、同様にセルロース素材
の血液透析膜の孔径保持剤として、ポリエチレングリコ
ールを開示している。さらに、例えば特開平1−791
4号公報においては、膜素材が酢酸セルロースである血
液透析膜の孔径保持剤として、上記ポリエチレングリコ
ールの使用が開示されている。
フォン、ポリメチルメタクリレート、エチレンビニルア
ルコールを主素材とする血液透析膜の孔径保持剤として
も、グリセリンまたはポリエチレングリコールが広く採
用されている。上記グリセリン及びポリエチレングリコ
ールは、共に毒性が低くかつ有用な孔径保持剤として長
期間にわたり、血液透析膜の製造に使用されてきたが、
最近、透析合併症の観点等からより透過性の高い血液透
析膜が要求されるに至り、前記孔径保持剤は次のような
問題を有することが明らかとなってきた。
モジュールに接着剤を用いて成型するときに発生する問
題である。この成型に際しては、該透析膜が中空糸であ
るときには中空糸膜の束の両端を、あるいはシート、平
シートの場合には、四方の面を接着する必要があり、こ
の接着剤としては、毒性の低さ、工程適合性、あるいは
長期にわたる使用実績からポリウレタン系の接着剤を用
いることが通常行われている。しかし、前記高透過性の
血液透析膜を製造する場合には孔径保持剤としてグリセ
リンあるいはポリエチレングリコールを、たとえば、膜
素材の重量に対して10〜300重量%用いることが必
要であり、このように大量のグリセリンあるいはポリエ
チレングリコールを用いると、ポリウレタン系接着剤の
硬化反応、すなわち、ポリイソシアネートとポリオール
との接着反応以外に水溶性のオリゴマーや水溶性の副生
成物等を生ずる副反応が起り易くなるのである。このよ
うな溶出性副生成物は、その量が少ないほど望ましいの
であるが、血液透析膜に高透過性が要求される程それに
応じて使用する孔径保持剤量が増大し、その孔径保持剤
の使用量にほぼ比例してこの副生成物量は増加するので
ある。
より少ないことが生物学的な観点からも望まれる。しか
しながら既知孔径保持剤である前記グリセリンまたはポ
リエチレングリコールでは必ずしもこのような要求を満
足する孔径保持剤ではないのである。さらに、透析器に
は、ドライ(Dry)タイプとウエット(Wet)タイ
プの2種類があり、前者は膜素材が水によって濡れてい
ないものであり、透析器が実際に透析患者に使用される
前にのみ洗浄する必要があるため、ウレタン接着部から
の前記副生成物の溶出を厳しく抑制する必要がある。こ
のような観点から前記溶出性副生成物量を低減すること
は、これが生体に対して好ましくない影響を与える恐れ
があり、この恐れを少なくできるが故に極めて重要なこ
となのである。他方、後者であるWetタイプの血液透
析器においては、モジュール成型後の製造工程において
モジュールを水で洗浄できる工程を設け得るため、ウレ
タン接着部からの溶出物量を低減することは前記Dry
タイプよりは容易である。しかしながら、グリセリンや
ポリエチレングリコールを大量に付着した血液透析膜で
は、その製造工程において水洗浄回数や水洗浄量を増や
すなどの措置が必要となり、生産性の低下、コストアッ
プなどの問題が生ずることを避け得ない。
着剤としては一般的に芳香族系のイソシアネートである
MDI(メチレンビスフェニルジイソシアネート)系ウ
レタン接着剤、または脂肪族系のイソシアネートである
HMDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系ウレタ
ン接着剤が使用されるのであるが、MDI系ウレタン接
着剤はHMDI系ウレタン接着剤に比較して疎水性が高
いため、水洗浄効果が低く、たとえ、成型条件を最適化
してもウレタン接着部からの溶出物量を低減することは
難しい。そのほかに、HMDI系ウレタン接着剤の硬化
時間はMDI系ウレタン接着剤の硬化時間に比較して約
二倍の時間を必要とするうえに、HMDI系ウレタン接
着剤の値段はMDI系ウレタン接着剤の約1.5倍と高
価であり、従って透析器の生産性及び安全性の両者を同
時に満足させることは困難な状況にあるのである。
保持剤の使用に起因して発生する血液透析膜及び血液透
析器の諸問題は、十分に満足し得る程に解決されるに至
っていないのである。
題は、血液透析膜を人工透析用モジュールに接着剤を用
いて成型したときに接着部から溶出する溶出性副生成物
量を大巾に低減し得る血液透析膜中間体を提供するこ
と、及びこれによる安全性、生産性さらには経済性に優
れる血液透析器を提供することである。
明課題を達成するために鋭意検討を行った結果、本発明
の目的を達成できる膜孔径保持剤の存在を見い出し、本
発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、分子内に
少なくとも一個の低級アルコキシ基を有するアルコキシ
化ポリエチレングリコール及び分子内に少なくとも一個
の低級アルコキシ基を有するアルコキシ化グリセリンの
群から選ばれる一種以上の膜孔径保持剤が付与されて成
ることを特徴とする血液透析膜中間体、である。
ウレタン系接着剤で成型されて成ることを特徴とする血
液透析器である。以下に本発明をさらに詳細に説明す
る。本発明における孔径保持剤は、透析膜の製造工程に
おいてさらには透析膜を用いる透析用モジュールの組立
工程において、形成過程にある膜の空孔構造あるいは形
成された膜の空孔構造を望ましい状態に保持するために
用いるいわゆる孔径保持剤である。
くとも一個の低級アルコキシ基を有するポリエチレング
リコール及び分子内に少なくとも一個の低級アルコキシ
基を有するグリセリンの群から選ばれる一種以上を使用
できる。本発明におけるより好ましい前記孔径保持剤は
下式で表わし得るアルコキシ化ポリエチレングリコール
である、 〔化1〕 R1 O(CH2 CH2 O)S R2 ここにおいて、R1 、R2 はCn H2n+1で示されるアル
キル基であり、R1 、R2 の大きさを示すnが大きくな
れば、得られるアルコキシ化ポリエチレングリコールの
水溶性が低下し、その水洗除去が困難となり、このよう
な孔径保持剤を用いた血液透析膜から成る人工透析器を
使用するときに該孔径保持剤が血液透析膜中に残留する
可能性があるため本発明においては好ましくない。この
ため、アルキル基の大きさを示すnは、0〜3であるこ
とが好ましく、より好ましくはn=1である。また、R
1 またはR2 の内いずれかがn=0であってもよく、本
発明の目的に適合する孔径保持剤として使用できる。
れ、親水性の高いポリエチレングリコール鎖が長くなる
ので、水溶性が高くなり、血液透析膜へ使用する孔径保
持剤としてより適するようになる。しかし、Sが大きく
なりすぎるとこの化学物質自身が固体化してしまうの
で、望ましくない。本発明においては、Sは1〜60で
あることが好ましく、より好ましくは3〜30である。
径保持剤は、下式で表わし得るアルコキシ化グリセリン
である。 〔化2〕 R1 OCH2 CH(OR2 )CH2 OR3 ここにおいてR1 、R2 及びR3 は、Cn H2n+1で示さ
れるアルキル基であり、nが大きいほど親油性が高くな
り水への溶解性が低下するので本発明における望ましい
孔径保持剤ではなくなる。n=0〜1が好ましい。ま
た、R1 、R2 、R3 の内、いずれか一つがn=0ある
いは二つがn=0であってもよく、本発明の目的に適合
する。
径保持剤量が多いほど孔径保持能力という面で有利であ
るが、孔径保持剤の量が多すぎると、モジュールを組み
立てるまでの工程において、例えば、孔径保持剤が付与
された透析膜を人手あるいは機械で取り扱うことが困難
となり、実質的に透析器を製造できないという問題が起
こり易く、またモジュールを組み立てる上で、工程適合
性が悪く生産性に劣るようになる。また、孔径保持剤の
量が少ないと得られる透析膜に所望する物質透過性を確
保できなくなる恐れがあり好ましくない。本発明におい
て血液透析膜に付与される孔径保持剤の量は、膜素材に
対して、300重量%以下であることが好ましく、より
好ましくは5〜250重量%である。
用いられるのは、セルロース、酢酸セルロース、ポリア
クリロニトリル、ポリスルフォンを主成分とする高分子
から成る素材であり、他にポリメチルメタクリレート、
ポリエチレンビニルアルコールを主成分とする高分子化
合物から成る素材を用いてもよい。本発明においては、
前記孔径保持剤を血液透析膜製造時のどの工程で付与し
てもよく、例えば、再生セルロース中空糸膜の製造工程
においては、二重環状紡口から中空剤とともに吐出され
た線状の銅アンモニアセルロース原液は、苛性ソーダに
よる凝固工程、希薄硫酸による製錬工程、水洗工程、乾
燥工程を経て再生セルロース中空糸となるが、この工程
の乾燥工程に入る直前において、本発明の孔径保持剤を
そのまま、または水で希釈して、中空糸膜に付与しても
よい。
解するものであるときには、これを紡糸原液に溶解させ
た後に紡糸し、孔径保持剤を含んだ血液透析膜中間体を
製造しても差支えない。本発明における血液透析膜中間
体は、上述のように透析膜製造過程にあり多孔構造が組
織された状態の膜状構造体をいう。
付与された複数の前記透析膜中間体を束ねて透析器用容
器に挿入し、該容器と透析膜束の両端及び透析膜同士を
ウレタン系接着剤で固定し、すなわち成型し、次いで孔
径保持剤を除去した後の透析器の接着部である。本発明
における透析器は上記のようにして透析膜が成型され、
組み立てられ、孔径保持剤が除去されて得られる。
溶出性副生成物量は、本発明による孔径保持剤が付与さ
れた透析膜中間体を用いて、上述のように接着部を構成
させた後にこの接着部に存在する溶出性副生成物の量を
いう。本発明においては前記溶出性副生成物量は、昭和
58年6月20日薬発第494号の「透析型人工腎臓装
置承認基準」に従って次のように測定する。
は、モジュールを成型組み立てた後、滅菌を行った透析
器を用いて次のようにしてUVスペクトル値を測定し、
得られる値の大小で溶出物量を評価する。まず、モジュ
ールに1000mlの注射用蒸留水を血液側と透析側を
直列にして200ml/分の速度で流し、洗浄した後、
透析器1本分の透析膜接着部分を切り取り、約1cm角
の大きさに細断する。これに水200mlを加え、40
℃で2時間緩やかに振とう、加温する。冷却後上澄液
1.0mlをとり、水を加えて正確に50mlとする。
この液を試験液とし、水を対象として、層長10mmで
波長280〜240nmにおける吸光度を日局の吸光度
測定法により測定する。この数値をUVスペクトル値と
定義し、UVスペクトル値の大小により、血液透析膜の
接着部から溶出する可能性がある溶出性副生成物量の大
小を比較する。
ュールを成型組み立てた後に、洗浄を行い、滅菌を行っ
たモジュールを用いて、次のようにしてUVスペクトル
値を測定し、得られるUVスペクトル値の大小で溶出物
量を評価する。まず、モジュールに1000mlの注射
用蒸留水を血液側と透析側を直列にして200ml/分
の速度で流し、洗浄した後、透析器1本分の透析膜接着
部分を切り取り、約1cm角の大きさに細断する。これ
に水200mlを加え、40℃で2時間緩やかに振と
う、加温する。冷却後上澄液1.0mlをとり、水を加
えて正確に50mlとする。この液を試験液とし、水を
対象として、層長10mmで波長280〜240nmに
おける吸光度を日局の吸光度測定法により測定する。
れる波長280〜240nmに吸収を有する成分が、前
記接着部を構成させるときの副反応による溶出性副生成
物によることを確認しており、従って、本発明において
は、前記UVスペクトル値が本発明における前記接着部
に存在する溶出性副生成物量に対応する値なのである。
本発明をさらに詳細に説明する。
れた血液透析膜中間体としてポリスルフォン系高分子か
ら成る中空糸膜を以下の方法で作成した。ポリスルフォ
ン樹脂(アモコ・パフォーマンス・プロダクツ社製、P
−1700)18部、ポリビニルピロリドン(アイ・エ
ス・ピー社製、K−90)5部、及びN,N−ジメチル
アセトアミド77部からなる均一な紡糸原液を作製し
た。40重量%のN,N−ジメチルアセトアミド水溶液
を中空内液とし、前記紡糸原液を45℃の状態(3,8
00センチポイズ)として同時に二重紡糸口金より押し
出し、30cm下方に設けた50℃の水中に浸漬し、紡
糸速度50m/分で巻き取った。得られた中空糸膜を、
表1に示す20〜50重量%のアルコキシ化ポリエチレ
ングリコール、アルコキシ化グリセリン水溶液に浸漬し
た後、乾燥し、実施例1の10個の中空糸膜中間体を作
成した。比較例1としてグリセリン、ポリエチレングリ
コール(分子量400)で処理した中空糸膜中間体につ
いての結果を表2に示した。各々の膜孔径保持剤の付着
量は表1、2に示すとおりである。上記のようにして得
た中空糸膜中間体を用いて、膜面積1.6m2 のモジュ
ールをHMDI(三洋化成(株)製、SAM−1018
/SAM2018H)、MDI(日本ポリウレタン
(株)製、C−4412/N−4241)系ウレタン接
着剤を用いて成形した後、HMDI系ウレタン接着剤に
ついては39℃で48時間以上、MDI系ウレタン接着
剤については39℃で24時間以上の条件で養生を行っ
た。このようにして作成した透析器について、UVスペ
クトル値を測定した。また同時に測定したPH、泡立
ち、外観等においては問題はなかった。実施例1の結果
を表1に示した。表2には比較例1として行ったポリエ
チレングリコール、グリセリンを孔径保持剤として使用
した以外実施例1と同様にして得た透析器の測定結果を
示す。
は成型した透析器、血液透析膜の湿潤状態を示してお
り、Dryは透析器中の血液透析膜が乾燥した状態を示
す。Wetは透析器中の血液透析膜が湿潤している状態
を示している。表中の孔径保持剤付着量はポリマー重量
あたりの重量%表示である。DryまたはWetの区
別、孔径保持剤付着量については以下の実施例でも同様
である。
量%、アクリル酸メチル6重量%、アクリル酸1.5重
量%、メタリルスルホン酸ソーダ0.5重量%からなる
重合体を、水系懸濁重合で得た。該重合体を、70%硝
酸に溶解し、重合体濃度13%の紡糸原液を得た。該原
液を、鞘芯型中空糸用口金の鞘部より吐出し、芯部より
20重量%のポリビニルピロリドン(K−15)水溶液
を導入した。空中走行の後、50℃の水中へ導入し中空
糸条を形成し、紡糸速度45m/分で巻き取った。
た後、表3に示すアルコキシ化ポリエチレングリコー
ル、アルコキシ化グリセリンの20〜50重量%水溶液
中で、40℃、6時間浸漬処理を行った。しかるのち、
40℃の真空乾燥機内で乾燥して、内径230μm、膜
厚30μmの中空糸膜を得た。比較のためにグリセリ
ン、ポリエチレングリコール(分子量400)で処理し
た中空糸膜を得た。それらの孔径保持剤付着量を表4に
示す。
のモジュールをHMDI(三洋化成(株)製、SAM−
1018/SAM2018H)、MDI(日本ポリウレ
タン(株)製、C−4412/N−4241)系ウレタ
ン接着剤を用いて成形した後、HMDI系ウレタン接着
剤については39℃で48時間以上、MDI系ウレタン
接着剤については39℃で24時間以上の条件で養生を
行った。このようにして作成した実施例2及び比較例2
の透析器についてUVスペクトル値を測定した。実施例
2の結果を表3に、比較例2の結果を表4に示す。
再生セルロース膜を以下の方法で作成した。紡糸液とし
て公知の方法にて作成したセルロース濃度8%のキュプ
ラアンモニウムセルロース液、中空部形成剤としてテト
ラフルオロエタンガスを準備し、二重紡糸口金より各
々、12.9cc/分、3.34cc/分で空気中に吐
出させ、空気中を約55cm落下させた後11%NaO
H水溶液で凝固させる。その後約2%の硫酸水溶液で精
錬、水洗を行う。次いで表5に示す条件で膜孔径保持剤
付与装置によりアルコキシ化ポリエチレングリコール、
アルコキシ化グリセリン処理を行った後、乾燥する。得
られた中空糸膜は内径185μm、膜厚は11μmであ
った。同様にして比較例3としてグリセリン、ポリエチ
レングリコール(分子量400)を孔径保持剤とする中
空糸膜を得た。膜孔径保持剤の付着量は表5、6に示す
とおりである。上記方法により紡糸した中空糸膜を用い
て、膜面積1.5m2 のモジュールをMDI系ウレタン
接着剤を用いて成形した後、MDI(日本ポリウレタン
(株)製、C−4412/N−4241)系ウレタン接
着剤については39℃で24時間以上の条件で養生を行
った。このようにして作成した透析器についてUVスペ
クトル値を測定した。実施例3の結果を表5に比較例3
の結果を表6に示す。
%、重合度202の酢酸セルロース10グラム、酢酸セ
ルロースの溶媒としてアセトン120グラムとメタノー
ル30グラムの混合溶媒150グラム、非溶媒としてシ
クロヘキサノール105グラムを完全均一溶液になるよ
うに4時間攪拌し、1時間室温で放置し、脱泡を行って
調整した。該紡糸原液を環状紡糸口金(外孔径1.0m
mφ)から4.3ml/分で吐出させた。一方、環状紡
糸口金の中央部にある内部流出孔(内孔径0.3mm
φ)からメタノールと水を容積比で1:1に混合した内
部凝固液を2.0ml/分で吐出させた。該吐出紡糸原
液を垂直下方100mm自重落下させ、直ちにメタノー
ルと水の容積比1:1の凝固浴中に導いた。凝固浴中で
凝固した中空糸膜をメタノール100%浴に導いて処理
した。なお、100mm自重落下の空間は外気と遮断
し、溶媒蒸気を制御するため紡糸孔と凝固浴間を圧力抜
きが2ケ所(外形5mmφ)ついた直径100mmφの
透明な円筒でカバーした。また紡糸原液が室温であった
ため透明な円筒内の温度も加温の必要がなく室温のまま
であった。紡糸速度は15.4m/分であった。得られ
た中空糸膜は内径340μm、膜厚90μmであった。
た後、アルコキシ化ポリエチレングリコール、アルコキ
シ化グリセリンの40〜50重量%水溶液の孔径保持剤
で処理した。その後、常温で24時間凍結真空乾燥し
た。比較例4としてグリセリン、ポリエチレングリコー
ル(分子量400)を膜孔径保持剤として用いた中空糸
膜の結果を表8に示した。比較例4の孔径保持剤の付着
量は表8に示すとおりである。
面積1.5m2 のモジュールをHMDI(三洋化成
(株)製、SAM−1018/SAM2018H)、M
DI(日本ポリウレタン(株)製、C−4412/N−
4241)系ウレタン接着剤を用いて成形した後、HM
DI系ウレタン接着剤については39℃で48時間以
上、MDI系ウレタン接着剤については39℃で24時
間以上の条件で養生を行った。このようにして作成した
実施例4及び比較例4の透析器についてUVスペクトル
値を測定した。実施例4の結果を表7に、比較例4の結
果を表8に示す。
与された血液透析膜中間体を用いて得られる血液透析器
においては、そのウレタン系接着剤による接着部の溶出
性副生成物量を激減させ得ることが明らかである。例え
ば、ポリスルフォン系透析膜の場合には、本発明の膜孔
径保持剤を用いることにより、従来公知の孔径保持剤を
用いた透析器に比べて、この溶出性副生成物量を1/
2.5以下に低減し得ることが実施例1及び比較例1か
ら明らかである。また、同じくポリアクリロニトリル系
透析膜においては、1/9以下、セルロース系透析膜に
おいては、1/5.5以下、さらに、酢酸セルロース系
透析膜においては、1/6以下に激減させ得るのであ
る。
溶出性副生成物量が従来の孔径保持剤に比べて著しく少
ないために、透析器生産コストを著しく低減させること
ができかつ生体適合性に優れる血液透析器となせるので
ある。
された血液透析膜中間体は、ポリウレタン系接着剤で成
型され組み立てられ透析器となしたとき、その接着部に
おける溶出性副生成物量が従来の孔径保持剤を付与した
場合と比べて著しく少ない。そのため得られる血液透析
器は、安全性、生産性さらには経済性のすべての面で極
めて優れる。
Claims (2)
- 【請求項1】 分子内に少なくとも一個の低級アルコキ
シ基を有するアルコキシ化ポリエチレングリコール及び
分子内に少なくとも一個の低級アルコキシ基を有するア
ルコキシ化グリセリンの群から選ばれる一種以上の膜孔
径保持剤が付与されて成ることを特徴とする血液透析膜
中間体。 - 【請求項2】 請求項1記載の透析膜中間体がポリウレ
タン系接着剤で成型されて成ることを特徴とする血液透
析器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20342995A JP3533013B2 (ja) | 1995-08-09 | 1995-08-09 | 血液透析膜中間体及び血液透析器 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP20342995A JP3533013B2 (ja) | 1995-08-09 | 1995-08-09 | 血液透析膜中間体及び血液透析器 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0947646A JPH0947646A (ja) | 1997-02-18 |
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