JP2004358433A - 乾燥中空糸膜およびモジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】特に透過性能が高い、すなわち多孔質化され、より空隙率の高い中空糸膜において、モジュール作製時の端部接着の際に溶出性副生成物の生成が少ない、より安全な中空糸膜およびモジュールを生産性高く、安価に提供する。
【解決手段】内径50〜500μm、膜厚10〜100μm、透水量が100ml/(m2・hr・mmHg)以上の中空糸膜をハウジングケースに挿入し、端部をウレタン系樹脂にて接着する際、細孔保持剤として多価アルコール縮合物、特に分子量100〜800のポリグリセリンを50wt%以上80wt%未満で付着させ、かつ水分率が15重量%以下の中空糸膜を用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】内径50〜500μm、膜厚10〜100μm、透水量が100ml/(m2・hr・mmHg)以上の中空糸膜をハウジングケースに挿入し、端部をウレタン系樹脂にて接着する際、細孔保持剤として多価アルコール縮合物、特に分子量100〜800のポリグリセリンを50wt%以上80wt%未満で付着させ、かつ水分率が15重量%以下の中空糸膜を用いる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば人工臓器として血液浄化等に用いられる中空糸膜の安全性に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
大きな膜面積を小型のモジュールに納めることのできる中空糸膜は、容積効率に優れ、液体処理関係の様々な分野で活用されており、特に血液浄化処理分野においてはその主流を占めている。
【0003】
近年、この血液浄化処理に用いられる中空糸膜の性能に対する要求はますます高まり多様化している。かつては血液中の尿素、クレアチニンなどの低分子量物質を除去することを主眼に開発、臨床供与されてきたが、長期透析患者の増加に伴い長期透析合併症が注目されるようになり、低分子量物質だけでなく、低分子タンパク質までの中・高分子量物質まで除去可能な中空糸膜性能が要求されるようになってきた。このため、従来の中空糸膜よりも膜孔径を拡大することにより、高い透過性能を持つ中空糸膜の開発が進められている。
【0004】
一方、中空糸膜の持つ細孔は、乾燥等の熱処理による収縮などにより孔径が小さくなる傾向があり、性能や品質の低下を引き起こす可能性がある。そこでこの問題を防ぐために、従来グリセリンを中空糸膜の細孔内に付着させ、細孔保持剤として作用させる方法が広く用いられている。したがって、高い透過性能を発現させるために膜孔径を拡大した中空糸膜は、空隙率がより大きいので、前述の問題に対応するために、より多くのグリセリンを付着させる必要がある。
【0005】
しかしながら、中空糸膜はモジュールに納められた後、ウレタン樹脂による端部の接着が行われるが、この際に中空糸膜に過剰のグリセリンおよび/または水が付着していると、イソシアネートとポリオールとの反応以外にグリセリンおよび/または水に含まれる水酸基と樹脂の硬化剤であるイソシアネートとの反応により、水溶出性の副生成物であるウレタンオリゴマー(U.O.)が生成し、そのまま血液浄化処理に使用してしまうと、人体に強い悪影響を及ぼす可能性がある。
【0006】
そこで、このような問題を回避するために、これまでにもいくつかの提案がなされてきた。従来、細孔保持剤としてアルコキシ化ポリエチレングリコール類またはアルコキシ化グリセリン類の一種以上を使用することで、U.O.の抑制が図られてきた。(例えば、特許文献1、2参照)。しかしながらこれらの方法では、アルコキシ化されていることにより、水溶性が低下し、十分な細孔保持効果が得られず、中空糸膜性能が低下する可能性があるだけでなく、モジュール使用前の洗浄における細孔保持剤の水洗除去が困難となることや、細孔保持剤自体が硬化してしまう恐れもあり、実際には未だ技術面およびコスト面でも問題が多く、実用性が低いのが現状である。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−325828号公報(2頁〜3頁)
【特許文献2】
特開平9−47646号公報(2頁〜5頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術に鑑み、特に透過性能が高い、すなわち多孔質化され、より空隙率の高い中空糸膜において、モジュール作製時の端部接着の際に、溶出性副生成物の生成が少ない、より安全な中空糸膜を簡便に提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の構成を含む。
(1)内径50〜500μm、膜厚10〜100μmの中空糸膜において、細孔保持剤として多価アルコール縮合物が付着率50wt%以上80wt%未満で含浸されたことを特徴とする乾燥中空糸膜。
(2)該多価アルコール縮合物がポリグリセリンである(1)記載の乾燥中空糸膜。
(3)該多価アルコール縮合物の平均分子量が100〜800である(1)または(2)記載の乾燥中空糸膜。
(4)37℃純水の透水性(UFR)が100ml/(m2・hr・mmHg)以上である(1)〜(3)いずれか記載の乾燥中空糸膜。
(5)該乾燥中空糸膜の水分率が15wt%以下である(1)〜(4)いずれか記載の乾燥中空糸膜。
(6)(1)〜(5)いずれか記載の乾燥中空糸膜を束ね、ハウジングケースに挿入し樹脂にて端部を接着する際、ポリウレタン系樹脂にて接着されたことを特徴とするモジュール。
【0010】
この発明によれば、中空糸膜が、多孔質化され(空隙率が高く)多量の細孔保持剤を含んでいる場合でも、溶出性副生成物の生成を低減することができ、より安全な中空糸膜を提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明において、中空糸膜の細孔保持剤として多価アルコール縮合物を使用する。多価アルコール縮合物を使用することによって、前記課題を解決できることが検討の結果より見出された。これは、従来使用されていたグリセリンと比較して、同等重量における多価アルコール縮合物には水酸基が少なく、ウレタン樹脂の硬化剤であるイソシアネートとの反応部位を減じることができるため、モジュール端部接着時の溶出性副生成物であるウレタンオリゴマーを抑制することができるものと考えられる。
【0012】
本発明において使用される多価アルコール縮合物は特に限定されるものではないが、取り扱い性の面より常温で液体のものが好ましく用いられる。また入手がしやすく、安全性の面より下記化2で示されるようなポリグリセリンがより好ましく用いられる。化1および化2は、それぞれグリセリンおよび直鎖状ポリグリセリンの化学構造式である。なお、ポリグリセリンに関しては、化2で示されるような直鎖状構造とは限らず、分岐鎖状構造をとっていることも多い。本発明においては、直鎖状、分岐鎖状いずれの構造のポリグリセリンも使用することができる。
【化1】
【化2】
【0013】
本発明における中空糸膜の細孔保持剤は多価アルコール縮合物であるが、その付着率は50wt%以上80wt%未満である。付着率が50wt%未満であると、細孔保持効果が十分とは言えず、熱処理による中空糸膜の収縮などにより孔径が小さくなるために性能や品質保持能の低下が懸念される。一方、80wt%以上となると、多価アルコール縮合物の使用による溶出性副生成物の低減効果は見られるものの、モジュールの端部接着時に接着不良を起こす可能性があるなど取り扱い性が低下する可能性がある。
【0014】
本発明に使用する多価アルコール縮合物の平均分子量としては、100以上800以下であり、好ましくは150以上600以下である。平均分子量が100未満であると、グリセリンに対して有意な溶出性副生成物の低減効果が見られず、また800を超えると、モジュール使用前の洗浄性が低下する可能性がある。具体的には、ジグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、ペンタグリセリン、デカグリセリンなどのポリグリセリンが好ましく用いられる。また、ポリグリセリンの水酸基が脂肪酸でエステル化されたものであっても良い。
【0015】
ポリグリセリンの製造方法には、(1)グリセリンの脱水縮合反応による方法(2)グリセリンの蒸留残分からの回収による方法(3)グリセリン類似化合物からの合成による方法などが挙げられるが、いずれの製造方法においてもグリセリンを製造の出発原料としている。このため、製品のポリグリセリンにはグリセリンが少量混入しているが、混入量は15wt%以下が好ましい。より好ましくは10wt%以下、さらに好ましくは5wt%以下である。
【0016】
また、本発明の中空糸膜の水分率は15wt%以下であることが好ましい。水分率が15wt%を超えるとモジュール作製時、中空糸膜中の水とイソシアネートが反応し水溶出性のオリゴマーや溶出物が生成する可能性が高まる。中空糸膜の水分率はより好ましくは、10wt%以下、さらに好ましくは7wt%以下である。
【0017】
中空糸膜の素材は特に限定されず、セルロース、セルロースアセテート、ポリメチルメタクリレート、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドなどが挙げられるが、市場における普及率や高い透過性能が発現できる点などからセルロースアセテート系素材、ポリスルホン系素材の中空糸膜に対して用いるのが本発明の効果が高く、好適に使用できる。
【0018】
本発明を用いた中空糸膜は、溶出物規格のある医療用途において好適に使用でき、血液透析膜や血液濾過膜、血液透析濾過膜、血漿分離膜に対して特に好適に使用できるが、その他、逆浸透、限外ろ過(UF)、精密ろ過などの各種用途で利用でき、それぞれの目的に応じたものを得ることが可能である。
【0019】
中空糸膜への細孔保持剤の付着方法は特に限定されるものではない。例えば、中空糸膜の製造工程において水洗工程を経て溶媒等を除去した後、中空糸膜を細孔保持剤の槽に浸漬通過させ細孔保持剤を含浸させた後、乾燥工程を経て巻き取る方法、湿潤状態の中空糸膜を綛に巻き取ったのち、別途細孔保持剤を含浸させる工程を経て乾燥する方法などを取ることが出来る。
【0020】
上記得られた中空糸膜を所定本数束ね、ハウジングケースに挿入し、端部を樹脂にて接着する際、ウレタン系接着剤を使用する点に特徴を有する。該ウレタン系接着剤に関しては主剤としてポリオール、硬化剤としてポリイソシアネートを使用しウレタン結合により硬化反応が進行するものであれば特に限定はなく、またポリイソシアネート成分として芳香族系のもの、脂肪族系のものがあるが、いずれも使用することができる。樹脂の取り扱い性や用途に応じて求められる特性等を考慮して、ポリオール成分とポリイソシアネート成分を適宜選択するのが好ましい。
【0021】
【実施例】
以下、実施例にて本発明の好ましい実施態様を説明する。ただし、本発明はこれに何ら限定されるものではない。
【0022】
(中空糸膜の透水性の測定)
透水性の測定に関しては、以下の手順で実施する。
中空糸膜を3000〜20000本充填した中空糸膜モジュールを作製する。計算に用いる中空糸膜面積は、中空糸内径(ID)基準とし、接着部分を除いた有効長(L)から有効膜面積を計算する。予め純水を中空糸膜内部(中空部)、中空糸膜外部(モジュール内)の順に通水し、空気を除去する。モジュールを37℃に恒温した後、中空糸膜内部(中空部)に通じるモジュール入口から37℃の純水によって圧力をかけて、膜の内側と外側の圧力差、すなわち膜間圧力差(P)を生じせしめ、1分間に膜を通して膜外側に出てくる純水の量(W)を測定した。4点の異なったPにおける1分間のWを測定し、PとWを2次元座標にプロットして、それらの近似直線の傾きを数値として求めた。次に下記式により中空糸膜の透水性(UFR、ml/(m2・hr・mmHg))を計算した。
UFR=W(ml/min)×60(min/hr)÷A(m2)÷P(mmHg)
ここで、有効膜面積A(m2)=ID(μm)×10−6×π×L(m)×中空糸本数
【0023】
(溶出性副生成物量の測定)
溶出性副生成物量は、以下のようにして測定した。
モジュールに注射用蒸留水を流し洗浄した後、モジュール端部の接着部分を切り取り、1cm角に切断する。これを200mlの水に浸漬させ、40℃で2時間振とうする。冷却後、上澄み液1.0mgを採取し、水を加えて50mgとして、243nmにおける紫外吸光度(以下、UVと表記)を測定する。このUV値が小さいほど溶出物量が少なく、望ましいものである。
【0024】
(細孔保持剤の付着率の測定)
中空糸膜に対する細孔保持剤の付着率は、以下のようにして測定した。
得られた中空糸膜を約10000本の束とし、長さ20cm程度に切り揃え、遠心脱液により中空糸内部の芯液を除去した後、完全に乾燥させ、重量Wを測定する。その後、中空糸膜束を40℃に加温した相当量の水に浸漬させ、十分に洗浄した後、120℃の乾熱オーブンで2時間乾燥させ、重量Pを測定する。次に下記式により中空糸膜に対する細孔保持剤の付着率G(wt%)を計算した。
G(wt%)=(W−P)÷W×100
【0025】
(水分率の測定法)
本発明における中空糸膜の水分率は、以下の式により計算する。
水分率(wt%)=100×(Ww−Wd)/Ww
ここで、Wwは中空糸膜重量(g)、Wdは、120℃の乾熱オーブンで2時間乾燥後(絶乾後)の中空糸膜重量(g)である。ここで、Wwは1〜2gの範囲内とすることで、2時間後に絶乾状態(これ以上重量変化がない)にすることができる。
【0026】
(実施例1)
紡糸原液として、セルローストリアセテート(ダイセル化学工業社製)18.0wt%、N‐メチル‐2‐ピロリドン(三菱化学社製)57.4wt%、トリエチレングリコール(三井化学社製)24.6wt%を180℃にて混合溶解させたものを用いた。これを焼結フィルターに通した後、2重管構造の紡糸用口金から垂直下方に向け吐出した。同時に内側の管には流動パラフィンを芯液として供給し、中空糸膜を形成した。
この中空糸膜は60mmの蒸気雰囲気中を通過後、凝固浴、水洗浴、ポリグリセリン浴を経て、オンライン乾燥された後、ワインダーによって75m/分の巻上げ速度でボビンに巻き取られた。ポリグリセリン浴は中空糸膜の細孔保持のために設けられており、浴中のポリグリセリン濃度は65.0wt%とし、浴温度は85℃に設定した。
得られた中空糸膜を10,200本集束し、切断してハウジングケースに挿入した。端部をウレタン接着剤(日本ポリウレタン社製コロネート4403/ニッポラン4221)を用いて接着し、作製した中空糸膜モジュールを用いて、透過性能、UV値を測定した。また、中空糸膜に付着したポリグリセンの付着率を測定した。
中空糸膜モジュールのUFRは278.3ml/(m2・hr・mmHg)であった。また、UV値は0.032であり、ポリグリセリンの付着率は72.7wt%、中空糸水分率は5.5wt%であった。
【0027】
(実施例2)
紡糸原液として、ポリスルホン(アモコ社製P1700)18.0wt%、ポリビニルピロリドン(BASF社製コリドンK90)5.0wt%、ジメチルアセトアミド72.0wt%、RO水5.0wt%を40℃にて混合溶解させたものを用いた。これを焼結フィルターに通した後、2重管構造の紡糸用口金から垂直下方に向け吐出した。同時に内側の管には40wt%ジメチルアセトアミド水溶液を芯液として供給し、中空糸膜を形成した。
この中空糸膜は40mmの蒸気雰囲気中を通過後、凝固浴、水洗浴を経て、綛に約10,000本の束に巻き取られた。得られた中空糸膜束を60.0wt%、温度85℃のポリグリセリン浴に浸漬した。ついで、乾燥処理を行い、ハウジングケースに挿入し端部をウレタン系接着剤(日本ポリウレタン社製コロネート4403/ニッポラン4221)を用いて接着し、モジュールを作成した。
この中空糸膜モジュールを用いて、性能評価およびUV値を測定した。また、中空糸膜に付着したポリグリセンの付着率を測定した。
中空糸膜モジュールのUFRは280.6ml/(m2・hr・mmHg)であった。また、UV値は0.028であり、ポリグリセリンの付着率は71.4wt%、中空糸水分率は5.0wt%であった。
【0028】
(比較例1)
上記実施例1で示した製膜方法により得られた中空糸膜を同様にワインダーにてボビンに巻き取った。このとき、細孔保持のためのポリグリセリン浴のかわりに、濃度70wt%、温度65℃のグリセリン浴を設けた。
上記実施例1と同様に中空糸膜モジュールを作製し、透過性能およびUV値を測定した。
中空糸膜モジュールのUFRは269.8ml/(m2・hr・mmHg)であった。また、UV値は0.117であり、グリセリンの付着率は73.9wt%、中空糸水分率は6.6wt%であった。
【0029】
(比較例2)
75wt%のポリグリセリン水溶液、乾燥温度を20℃下げた以外は、上記実施例1で示した製膜方法により得られた中空糸膜を同様にワインダーにてボビンに巻き取った。
上記実施例1と同様に中空糸膜モジュールを作製したところ、接着樹脂であるウレタンが発泡したため、性能測定用のモジュールを作成することができなかった。ポリグリセリン付着率、含水率、UV値のみ測定した。
UV値は0.296であり、ポリグリセリンの付着率は82.8wt%、中空糸水分率は16.7wt%であった。
【0030】
(実施例3)
紡糸原液として、ポリエーテルスルホン(住友化学工業社製5200P)32.0wt%、ポリビニルピロリドン(BASF社製コリドンK90)5.0wt%、Nメチル2ピロリドン44.1wt%、トリエチレングリコール18.9wt%を180℃にて混合溶解させたものを用いた。これを焼結フィルターに通した後、2重管構造の紡糸用口金から垂直下方に向け吐出した。同時に内側の管には流動パラフィンを芯液として供給し、中空糸膜を形成した。
この中空糸膜は40mmの蒸気雰囲気中を通過後、凝固浴、水洗浴、ポリグリセリン浴を経て、オンライン乾燥された後、ワインダーによって75m/分の巻上げ速度でボビンに巻き取られた。ポリグリセリン浴は中空糸膜の細孔保持のために設けられており、浴中のポリグリセリン濃度は65.0wt%とし、浴温度は85℃に設定した。
得られた中空糸膜10,100本を集束し、切断してハウジングケースに挿入した。端部をウレタン接着剤(日本ポリウレタン社製コロネート4403/ニッポラン4221)を用いて接着し、作製した中空糸膜モジュールを用いて、透過性能、UV値を測定した。また、中空糸膜に付着したポリグリセンの付着率を測定した。
中空糸膜モジュールのUFRは12.4ml/(m2・hr・mmHg)であった。また、UV値は0.009であり、ポリグリセリンの付着率は65.3wt%、中空糸水分率は4.9wt%であった。
【0031】
実施例と比較例の結果をあわせて表1に示す。
【表1】
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、多価アルコール縮合物を細孔保持剤に用いることにより、従来のグリセリン使用時と比べて溶出性副生成物量を低減させることができ、より安全性の高い中空糸膜およびモジュールを得ることができる。
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば人工臓器として血液浄化等に用いられる中空糸膜の安全性に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
大きな膜面積を小型のモジュールに納めることのできる中空糸膜は、容積効率に優れ、液体処理関係の様々な分野で活用されており、特に血液浄化処理分野においてはその主流を占めている。
【0003】
近年、この血液浄化処理に用いられる中空糸膜の性能に対する要求はますます高まり多様化している。かつては血液中の尿素、クレアチニンなどの低分子量物質を除去することを主眼に開発、臨床供与されてきたが、長期透析患者の増加に伴い長期透析合併症が注目されるようになり、低分子量物質だけでなく、低分子タンパク質までの中・高分子量物質まで除去可能な中空糸膜性能が要求されるようになってきた。このため、従来の中空糸膜よりも膜孔径を拡大することにより、高い透過性能を持つ中空糸膜の開発が進められている。
【0004】
一方、中空糸膜の持つ細孔は、乾燥等の熱処理による収縮などにより孔径が小さくなる傾向があり、性能や品質の低下を引き起こす可能性がある。そこでこの問題を防ぐために、従来グリセリンを中空糸膜の細孔内に付着させ、細孔保持剤として作用させる方法が広く用いられている。したがって、高い透過性能を発現させるために膜孔径を拡大した中空糸膜は、空隙率がより大きいので、前述の問題に対応するために、より多くのグリセリンを付着させる必要がある。
【0005】
しかしながら、中空糸膜はモジュールに納められた後、ウレタン樹脂による端部の接着が行われるが、この際に中空糸膜に過剰のグリセリンおよび/または水が付着していると、イソシアネートとポリオールとの反応以外にグリセリンおよび/または水に含まれる水酸基と樹脂の硬化剤であるイソシアネートとの反応により、水溶出性の副生成物であるウレタンオリゴマー(U.O.)が生成し、そのまま血液浄化処理に使用してしまうと、人体に強い悪影響を及ぼす可能性がある。
【0006】
そこで、このような問題を回避するために、これまでにもいくつかの提案がなされてきた。従来、細孔保持剤としてアルコキシ化ポリエチレングリコール類またはアルコキシ化グリセリン類の一種以上を使用することで、U.O.の抑制が図られてきた。(例えば、特許文献1、2参照)。しかしながらこれらの方法では、アルコキシ化されていることにより、水溶性が低下し、十分な細孔保持効果が得られず、中空糸膜性能が低下する可能性があるだけでなく、モジュール使用前の洗浄における細孔保持剤の水洗除去が困難となることや、細孔保持剤自体が硬化してしまう恐れもあり、実際には未だ技術面およびコスト面でも問題が多く、実用性が低いのが現状である。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−325828号公報(2頁〜3頁)
【特許文献2】
特開平9−47646号公報(2頁〜5頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術に鑑み、特に透過性能が高い、すなわち多孔質化され、より空隙率の高い中空糸膜において、モジュール作製時の端部接着の際に、溶出性副生成物の生成が少ない、より安全な中空糸膜を簡便に提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の構成を含む。
(1)内径50〜500μm、膜厚10〜100μmの中空糸膜において、細孔保持剤として多価アルコール縮合物が付着率50wt%以上80wt%未満で含浸されたことを特徴とする乾燥中空糸膜。
(2)該多価アルコール縮合物がポリグリセリンである(1)記載の乾燥中空糸膜。
(3)該多価アルコール縮合物の平均分子量が100〜800である(1)または(2)記載の乾燥中空糸膜。
(4)37℃純水の透水性(UFR)が100ml/(m2・hr・mmHg)以上である(1)〜(3)いずれか記載の乾燥中空糸膜。
(5)該乾燥中空糸膜の水分率が15wt%以下である(1)〜(4)いずれか記載の乾燥中空糸膜。
(6)(1)〜(5)いずれか記載の乾燥中空糸膜を束ね、ハウジングケースに挿入し樹脂にて端部を接着する際、ポリウレタン系樹脂にて接着されたことを特徴とするモジュール。
【0010】
この発明によれば、中空糸膜が、多孔質化され(空隙率が高く)多量の細孔保持剤を含んでいる場合でも、溶出性副生成物の生成を低減することができ、より安全な中空糸膜を提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明において、中空糸膜の細孔保持剤として多価アルコール縮合物を使用する。多価アルコール縮合物を使用することによって、前記課題を解決できることが検討の結果より見出された。これは、従来使用されていたグリセリンと比較して、同等重量における多価アルコール縮合物には水酸基が少なく、ウレタン樹脂の硬化剤であるイソシアネートとの反応部位を減じることができるため、モジュール端部接着時の溶出性副生成物であるウレタンオリゴマーを抑制することができるものと考えられる。
【0012】
本発明において使用される多価アルコール縮合物は特に限定されるものではないが、取り扱い性の面より常温で液体のものが好ましく用いられる。また入手がしやすく、安全性の面より下記化2で示されるようなポリグリセリンがより好ましく用いられる。化1および化2は、それぞれグリセリンおよび直鎖状ポリグリセリンの化学構造式である。なお、ポリグリセリンに関しては、化2で示されるような直鎖状構造とは限らず、分岐鎖状構造をとっていることも多い。本発明においては、直鎖状、分岐鎖状いずれの構造のポリグリセリンも使用することができる。
【化1】
【化2】
【0013】
本発明における中空糸膜の細孔保持剤は多価アルコール縮合物であるが、その付着率は50wt%以上80wt%未満である。付着率が50wt%未満であると、細孔保持効果が十分とは言えず、熱処理による中空糸膜の収縮などにより孔径が小さくなるために性能や品質保持能の低下が懸念される。一方、80wt%以上となると、多価アルコール縮合物の使用による溶出性副生成物の低減効果は見られるものの、モジュールの端部接着時に接着不良を起こす可能性があるなど取り扱い性が低下する可能性がある。
【0014】
本発明に使用する多価アルコール縮合物の平均分子量としては、100以上800以下であり、好ましくは150以上600以下である。平均分子量が100未満であると、グリセリンに対して有意な溶出性副生成物の低減効果が見られず、また800を超えると、モジュール使用前の洗浄性が低下する可能性がある。具体的には、ジグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、ペンタグリセリン、デカグリセリンなどのポリグリセリンが好ましく用いられる。また、ポリグリセリンの水酸基が脂肪酸でエステル化されたものであっても良い。
【0015】
ポリグリセリンの製造方法には、(1)グリセリンの脱水縮合反応による方法(2)グリセリンの蒸留残分からの回収による方法(3)グリセリン類似化合物からの合成による方法などが挙げられるが、いずれの製造方法においてもグリセリンを製造の出発原料としている。このため、製品のポリグリセリンにはグリセリンが少量混入しているが、混入量は15wt%以下が好ましい。より好ましくは10wt%以下、さらに好ましくは5wt%以下である。
【0016】
また、本発明の中空糸膜の水分率は15wt%以下であることが好ましい。水分率が15wt%を超えるとモジュール作製時、中空糸膜中の水とイソシアネートが反応し水溶出性のオリゴマーや溶出物が生成する可能性が高まる。中空糸膜の水分率はより好ましくは、10wt%以下、さらに好ましくは7wt%以下である。
【0017】
中空糸膜の素材は特に限定されず、セルロース、セルロースアセテート、ポリメチルメタクリレート、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドなどが挙げられるが、市場における普及率や高い透過性能が発現できる点などからセルロースアセテート系素材、ポリスルホン系素材の中空糸膜に対して用いるのが本発明の効果が高く、好適に使用できる。
【0018】
本発明を用いた中空糸膜は、溶出物規格のある医療用途において好適に使用でき、血液透析膜や血液濾過膜、血液透析濾過膜、血漿分離膜に対して特に好適に使用できるが、その他、逆浸透、限外ろ過(UF)、精密ろ過などの各種用途で利用でき、それぞれの目的に応じたものを得ることが可能である。
【0019】
中空糸膜への細孔保持剤の付着方法は特に限定されるものではない。例えば、中空糸膜の製造工程において水洗工程を経て溶媒等を除去した後、中空糸膜を細孔保持剤の槽に浸漬通過させ細孔保持剤を含浸させた後、乾燥工程を経て巻き取る方法、湿潤状態の中空糸膜を綛に巻き取ったのち、別途細孔保持剤を含浸させる工程を経て乾燥する方法などを取ることが出来る。
【0020】
上記得られた中空糸膜を所定本数束ね、ハウジングケースに挿入し、端部を樹脂にて接着する際、ウレタン系接着剤を使用する点に特徴を有する。該ウレタン系接着剤に関しては主剤としてポリオール、硬化剤としてポリイソシアネートを使用しウレタン結合により硬化反応が進行するものであれば特に限定はなく、またポリイソシアネート成分として芳香族系のもの、脂肪族系のものがあるが、いずれも使用することができる。樹脂の取り扱い性や用途に応じて求められる特性等を考慮して、ポリオール成分とポリイソシアネート成分を適宜選択するのが好ましい。
【0021】
【実施例】
以下、実施例にて本発明の好ましい実施態様を説明する。ただし、本発明はこれに何ら限定されるものではない。
【0022】
(中空糸膜の透水性の測定)
透水性の測定に関しては、以下の手順で実施する。
中空糸膜を3000〜20000本充填した中空糸膜モジュールを作製する。計算に用いる中空糸膜面積は、中空糸内径(ID)基準とし、接着部分を除いた有効長(L)から有効膜面積を計算する。予め純水を中空糸膜内部(中空部)、中空糸膜外部(モジュール内)の順に通水し、空気を除去する。モジュールを37℃に恒温した後、中空糸膜内部(中空部)に通じるモジュール入口から37℃の純水によって圧力をかけて、膜の内側と外側の圧力差、すなわち膜間圧力差(P)を生じせしめ、1分間に膜を通して膜外側に出てくる純水の量(W)を測定した。4点の異なったPにおける1分間のWを測定し、PとWを2次元座標にプロットして、それらの近似直線の傾きを数値として求めた。次に下記式により中空糸膜の透水性(UFR、ml/(m2・hr・mmHg))を計算した。
UFR=W(ml/min)×60(min/hr)÷A(m2)÷P(mmHg)
ここで、有効膜面積A(m2)=ID(μm)×10−6×π×L(m)×中空糸本数
【0023】
(溶出性副生成物量の測定)
溶出性副生成物量は、以下のようにして測定した。
モジュールに注射用蒸留水を流し洗浄した後、モジュール端部の接着部分を切り取り、1cm角に切断する。これを200mlの水に浸漬させ、40℃で2時間振とうする。冷却後、上澄み液1.0mgを採取し、水を加えて50mgとして、243nmにおける紫外吸光度(以下、UVと表記)を測定する。このUV値が小さいほど溶出物量が少なく、望ましいものである。
【0024】
(細孔保持剤の付着率の測定)
中空糸膜に対する細孔保持剤の付着率は、以下のようにして測定した。
得られた中空糸膜を約10000本の束とし、長さ20cm程度に切り揃え、遠心脱液により中空糸内部の芯液を除去した後、完全に乾燥させ、重量Wを測定する。その後、中空糸膜束を40℃に加温した相当量の水に浸漬させ、十分に洗浄した後、120℃の乾熱オーブンで2時間乾燥させ、重量Pを測定する。次に下記式により中空糸膜に対する細孔保持剤の付着率G(wt%)を計算した。
G(wt%)=(W−P)÷W×100
【0025】
(水分率の測定法)
本発明における中空糸膜の水分率は、以下の式により計算する。
水分率(wt%)=100×(Ww−Wd)/Ww
ここで、Wwは中空糸膜重量(g)、Wdは、120℃の乾熱オーブンで2時間乾燥後(絶乾後)の中空糸膜重量(g)である。ここで、Wwは1〜2gの範囲内とすることで、2時間後に絶乾状態(これ以上重量変化がない)にすることができる。
【0026】
(実施例1)
紡糸原液として、セルローストリアセテート(ダイセル化学工業社製)18.0wt%、N‐メチル‐2‐ピロリドン(三菱化学社製)57.4wt%、トリエチレングリコール(三井化学社製)24.6wt%を180℃にて混合溶解させたものを用いた。これを焼結フィルターに通した後、2重管構造の紡糸用口金から垂直下方に向け吐出した。同時に内側の管には流動パラフィンを芯液として供給し、中空糸膜を形成した。
この中空糸膜は60mmの蒸気雰囲気中を通過後、凝固浴、水洗浴、ポリグリセリン浴を経て、オンライン乾燥された後、ワインダーによって75m/分の巻上げ速度でボビンに巻き取られた。ポリグリセリン浴は中空糸膜の細孔保持のために設けられており、浴中のポリグリセリン濃度は65.0wt%とし、浴温度は85℃に設定した。
得られた中空糸膜を10,200本集束し、切断してハウジングケースに挿入した。端部をウレタン接着剤(日本ポリウレタン社製コロネート4403/ニッポラン4221)を用いて接着し、作製した中空糸膜モジュールを用いて、透過性能、UV値を測定した。また、中空糸膜に付着したポリグリセンの付着率を測定した。
中空糸膜モジュールのUFRは278.3ml/(m2・hr・mmHg)であった。また、UV値は0.032であり、ポリグリセリンの付着率は72.7wt%、中空糸水分率は5.5wt%であった。
【0027】
(実施例2)
紡糸原液として、ポリスルホン(アモコ社製P1700)18.0wt%、ポリビニルピロリドン(BASF社製コリドンK90)5.0wt%、ジメチルアセトアミド72.0wt%、RO水5.0wt%を40℃にて混合溶解させたものを用いた。これを焼結フィルターに通した後、2重管構造の紡糸用口金から垂直下方に向け吐出した。同時に内側の管には40wt%ジメチルアセトアミド水溶液を芯液として供給し、中空糸膜を形成した。
この中空糸膜は40mmの蒸気雰囲気中を通過後、凝固浴、水洗浴を経て、綛に約10,000本の束に巻き取られた。得られた中空糸膜束を60.0wt%、温度85℃のポリグリセリン浴に浸漬した。ついで、乾燥処理を行い、ハウジングケースに挿入し端部をウレタン系接着剤(日本ポリウレタン社製コロネート4403/ニッポラン4221)を用いて接着し、モジュールを作成した。
この中空糸膜モジュールを用いて、性能評価およびUV値を測定した。また、中空糸膜に付着したポリグリセンの付着率を測定した。
中空糸膜モジュールのUFRは280.6ml/(m2・hr・mmHg)であった。また、UV値は0.028であり、ポリグリセリンの付着率は71.4wt%、中空糸水分率は5.0wt%であった。
【0028】
(比較例1)
上記実施例1で示した製膜方法により得られた中空糸膜を同様にワインダーにてボビンに巻き取った。このとき、細孔保持のためのポリグリセリン浴のかわりに、濃度70wt%、温度65℃のグリセリン浴を設けた。
上記実施例1と同様に中空糸膜モジュールを作製し、透過性能およびUV値を測定した。
中空糸膜モジュールのUFRは269.8ml/(m2・hr・mmHg)であった。また、UV値は0.117であり、グリセリンの付着率は73.9wt%、中空糸水分率は6.6wt%であった。
【0029】
(比較例2)
75wt%のポリグリセリン水溶液、乾燥温度を20℃下げた以外は、上記実施例1で示した製膜方法により得られた中空糸膜を同様にワインダーにてボビンに巻き取った。
上記実施例1と同様に中空糸膜モジュールを作製したところ、接着樹脂であるウレタンが発泡したため、性能測定用のモジュールを作成することができなかった。ポリグリセリン付着率、含水率、UV値のみ測定した。
UV値は0.296であり、ポリグリセリンの付着率は82.8wt%、中空糸水分率は16.7wt%であった。
【0030】
(実施例3)
紡糸原液として、ポリエーテルスルホン(住友化学工業社製5200P)32.0wt%、ポリビニルピロリドン(BASF社製コリドンK90)5.0wt%、Nメチル2ピロリドン44.1wt%、トリエチレングリコール18.9wt%を180℃にて混合溶解させたものを用いた。これを焼結フィルターに通した後、2重管構造の紡糸用口金から垂直下方に向け吐出した。同時に内側の管には流動パラフィンを芯液として供給し、中空糸膜を形成した。
この中空糸膜は40mmの蒸気雰囲気中を通過後、凝固浴、水洗浴、ポリグリセリン浴を経て、オンライン乾燥された後、ワインダーによって75m/分の巻上げ速度でボビンに巻き取られた。ポリグリセリン浴は中空糸膜の細孔保持のために設けられており、浴中のポリグリセリン濃度は65.0wt%とし、浴温度は85℃に設定した。
得られた中空糸膜10,100本を集束し、切断してハウジングケースに挿入した。端部をウレタン接着剤(日本ポリウレタン社製コロネート4403/ニッポラン4221)を用いて接着し、作製した中空糸膜モジュールを用いて、透過性能、UV値を測定した。また、中空糸膜に付着したポリグリセンの付着率を測定した。
中空糸膜モジュールのUFRは12.4ml/(m2・hr・mmHg)であった。また、UV値は0.009であり、ポリグリセリンの付着率は65.3wt%、中空糸水分率は4.9wt%であった。
【0031】
実施例と比較例の結果をあわせて表1に示す。
【表1】
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、多価アルコール縮合物を細孔保持剤に用いることにより、従来のグリセリン使用時と比べて溶出性副生成物量を低減させることができ、より安全性の高い中空糸膜およびモジュールを得ることができる。
Claims (6)
- 内径50〜500μm、膜厚10〜100μmの中空糸膜において、細孔保持剤として多価アルコール縮合物が付着率50wt%以上80wt%未満で含浸されたことを特徴とする乾燥中空糸膜。
- 該多価アルコール縮合物がポリグリセリンである請求項1記載の乾燥中空糸膜。
- 該多価アルコール縮合物の平均分子量が100〜800である請求項1または2記載の乾燥中空糸膜。
- 37℃純水の透水性(UFR)が100ml/(m2・hr・mmHg)以上である請求項1〜3いずれか記載の乾燥中空糸膜。
- 該乾燥中空糸膜の水分率が15wt%以下である請求項1〜4いずれか記載の乾燥中空糸膜。
- 請求項1〜5いずれか記載の乾燥中空糸膜を束ね、ハウジングケースに挿入し樹脂にて端部を接着する際、ポリウレタン系樹脂にて接着されたことを特徴とするモジュール。
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---|---|---|---|---|
JP2008295868A (ja) * | 2007-06-01 | 2008-12-11 | Toyobo Co Ltd | 血液浄化器の製造方法および血液浄化器 |
JP2012005845A (ja) * | 2011-07-27 | 2012-01-12 | Toyobo Co Ltd | 血液浄化用中空糸膜の製造方法 |
JP2012135757A (ja) * | 2010-12-09 | 2012-07-19 | Toray Ind Inc | 複合半透膜、複合半透膜エレメントおよび複合半透膜の製造方法 |
CN114259878A (zh) * | 2021-12-14 | 2022-04-01 | 恩泰环保科技(常州)有限公司 | 一种孔径可调高通量纳滤膜及其制备方法 |
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2003
- 2003-06-09 JP JP2003163085A patent/JP2004358433A/ja active Pending
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