JP3532467B2 - 塗型剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、窒素原子を含有す
る鋳型で鋳造する場合に用いる塗型剤に関する。

【０００２】

【従来の技術】鋳物の表面欠陥を防止し鋳肌を向上させ
る等種々の目的で、従来から塗型剤が用いられている。
窒素原子による欠陥防止に関しては、鉄酸化物、クロム
酸化物、マンガン酸化物を塗型することが提案されてい
る（特開昭54-147127〜9号）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術では窒素によるガス欠陥（吹かれ）防止が十分でな
く、満足できる鋳肌は得られない。また金属酸化物は塗
型剤中の黒鉛と反応して炭酸ガスを発生し、同ガスによ
るガス欠陥が生成する。本発明は、窒素原子を含有する
鋳型で鋳造する場合にガス欠陥を防止するために有用な
塗型剤の提供を課題とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、耐火性骨材を
含有する塗型剤組成物に、原子番号が13、14及び22から
30の金属原子の１種以上からなる金属粉末を耐火性骨材
100重量部に対し１〜50重量部添加してなる、窒素原子
を含有する鋳型に塗布する塗型剤組成物である。金属酸
化物を含有する従来の塗型剤と異なり、本発明によれば
窒素によるガス欠陥が有効に防止される。これは（１）
塗型剤中に添加した金属原子と窒素原子が反応して窒化
金属を塗型剤膜中で生成し、鋳物表面への窒素原子の浸
入を防止すること（２）金属酸化物の場合のように炭酸
ガスが発生しないことに起因すると推測されるが、本発
明はこうした理論により何ら制約されるものではない。

【０００５】

【発明の実施の形態】鋳型は、例えば窒素を含む有機粘
結剤を用いて造型されることにより、窒素原子を含有す
る。耐火性骨材100重量部に対し窒素原子含量が0.02〜
0.25重量部でガス欠陥が生じ、本発明の実施が有効であ
る。

【０００６】鋳型に用いる耐火性粒状材料としては石英
質を主成分とする珪砂の他、クロマイト砂、ジルコン
砂、オリビン砂、アルミナサンド、人工セラミックサン
ド等の新砂もしくは再生砂が使用できる。粘結剤として
は、フラン系、フェノール系、ウレタン系などの熱硬化
性、自硬性又はガス硬化性有機粘結剤や、水ガラスなど
の無機粘結剤などの何れを用いることもできるが、尿素
フラン樹脂を用いる粘結剤では鋳型が窒素原子を含有し
やすくなり、本発明の実施が有用である。

【０００７】本発明に用いられる塗型剤は、耐火性骨材
を含有する塗型剤であって、原子番号が13、14及び22か
ら30の金属原子の１種以上からなる金属粉末を耐火性骨
材100重量部に対し１〜50重量部添加してなる。これら
の金属原子のうち、鋳物欠陥の防止能の点からSi、Ti、
Cr、Fe、Niがより好ましい。これらの金属粉末は、１〜
100μmの粒径の微粉末として添加するのが好ましい。ま
た添加量は、やはり鋳物欠陥防止能の点から好ましくは
５〜30重量部、より好ましくは10〜30重量部である。塗
型剤の耐火性骨材としては黒鉛、マグネシア、ジルコ
ン、アルミナ、シリカ等が、鋳鉄、鋳鋼等の目的に応じ
て適宜選択される。溶剤は水又はアルコールの何れでも
よいが、添加金属類の安定性の面からアルコール系が好
ましく、また鋳型への浸透、増粘等のために公知の各種
添加剤を含むことができる。

【０００８】塗型剤は、刷毛塗り、ディッピング、ぶっ
かけ、スプレー等の公知の手法によって鋳型壁面に塗布
され、乾燥される。その後注湯が行われ、鋳造される。

【０００９】

【実施例】実施例１〜14及び比較例１〜３ 25℃、55％ＲＨの条件下で、フリーマントル珪砂（５
号）の新砂100重量部に対して硬化剤として有機スルホ
ン酸硬化剤（花王クエーカー（株）製カオーライトナー
TK-3）を0.6重量部添加混練した後に、窒素原子を15重
量％含有する尿素フラン樹脂を珪砂に対して1.5重量部
混合した。図１のテストピースを鋳造できる型枠に充填
し硬化させて鋳型を作成した。鋳型表面に塗型剤を刷毛
塗りによって塗布し、乾燥させた。この塗型剤はシリカ
60重量部、マグネシア25重量部、及び黒鉛15重量部から
なりアルコールで希釈される一般的な黒鉛系塗型剤をベ
ースとし、さらに金属粉末を表１に示す種類及び量で含
有するものである。

【００１０】塗型後、FC300を1380℃で注湯して図１に
示す形状のテストピースを鋳造した。テストピースを表
面から0.3mm切削し、切削粉を不活性ガス融解−熱伝導
度法（JIS G1228）で分析して窒素原子含有％を測定し
た。またテストピース表面を表面から３mm切削し、ガス
欠陥（ピンホール）の数を目視で確認した。これらの結
果を表１に併せて示す。

【００１１】

【表１】

【００１２】

【発明の効果】本発明によれば、窒素原子を含有する鋳
型で鋳造する場合にガス欠陥を防止するために有用な塗
型剤が提供される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例で用いたテストピース鋳物の概
略を示す立面図である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平７−68340（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−53843（ＪＰ，Ａ) 特開 昭51−105920（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−11243（ＪＰ，Ａ) 特開 昭64−15249（ＪＰ，Ａ) 特開 昭64−15248（ＪＰ，Ａ) 特公 昭49−39729（ＪＰ，Ｂ１) 特公 昭49−12817（ＪＰ，Ｂ１) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B22C 3/00

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 黒鉛、マグネシア、アルミナ及びシリカ
   から選ばれる耐火性骨材を含有する塗型剤に、Cr、Fe、
   Niから選ばれる金属原子の１種以上からなる金属粉末を
   耐火性骨材100重量部に対し１〜50重量部添加してな
   る、窒素原子を含有する有機粘結剤を用いて造型される
   鋳型に塗布する塗型剤。
2. 【請求項２】 前記鋳型が、該鋳型に用いられる耐火性
   骨材100重量部に対して窒素原子を0.02〜0.25重量部含
   有する請求項１の塗型剤。