JPH05208241A - チタンまたはチタン合金の精密鋳造用鋳型 - Google Patents
チタンまたはチタン合金の精密鋳造用鋳型Info
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- JPH05208241A JPH05208241A JP4015648A JP1564892A JPH05208241A JP H05208241 A JPH05208241 A JP H05208241A JP 4015648 A JP4015648 A JP 4015648A JP 1564892 A JP1564892 A JP 1564892A JP H05208241 A JPH05208241 A JP H05208241A
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- titanium
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 チタンまたはチタン合金の精密鋳造品の歩留
を向上させ、鋳造後表面にα-Case(アルファケース)と
いわれる変質層のない安価な製品を得る。 【構成】 チタンまたはチタン合金の精密鋳造用の鋳型
が実質的にイットリアからなる耐火材と、水性イットリ
アゾルおよび有機系エマルジョン樹脂からなるバインダ
の混合物で構成され、その内面がチタンまたはチタン合
金の溶湯と接する内層材と、シリカ系耐火物を主成分と
する外層材からなる。内層材の厚さは0.2mm以上とする
とよい。そして外層材が内層材の強度を補強する。
を向上させ、鋳造後表面にα-Case(アルファケース)と
いわれる変質層のない安価な製品を得る。 【構成】 チタンまたはチタン合金の精密鋳造用の鋳型
が実質的にイットリアからなる耐火材と、水性イットリ
アゾルおよび有機系エマルジョン樹脂からなるバインダ
の混合物で構成され、その内面がチタンまたはチタン合
金の溶湯と接する内層材と、シリカ系耐火物を主成分と
する外層材からなる。内層材の厚さは0.2mm以上とする
とよい。そして外層材が内層材の強度を補強する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はチタンまたはチタン合金
のロストワックス精密鋳造方法における鋳型に関するも
のである。
のロストワックス精密鋳造方法における鋳型に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来チタンまたはチタン合金のロストワ
ックス精密鋳造に用いられる鋳型は、(1)特開昭63-1
15644号に開示されている、イットリア粉およびエチル
シリケートのような非水系をベースとしたバインダから
なるスラリーで溶湯の接する鋳型の内面を被覆する方
法、(2)特開昭63-140740号に開示されている、W,
Mo,Nb,Taおよびこれらの酸化物ならびにイット
リアのうちから選ばれた一種の粉末を水、アルコール、
またはアセトン等の有機溶媒、シリカゾル、アルミナゾ
ルあるいはジルコニアゾルのうちの一種類を溶媒として
砂型の溶湯の接する内面に塗布する方法、
ックス精密鋳造に用いられる鋳型は、(1)特開昭63-1
15644号に開示されている、イットリア粉およびエチル
シリケートのような非水系をベースとしたバインダから
なるスラリーで溶湯の接する鋳型の内面を被覆する方
法、(2)特開昭63-140740号に開示されている、W,
Mo,Nb,Taおよびこれらの酸化物ならびにイット
リアのうちから選ばれた一種の粉末を水、アルコール、
またはアセトン等の有機溶媒、シリカゾル、アルミナゾ
ルあるいはジルコニアゾルのうちの一種類を溶媒として
砂型の溶湯の接する内面に塗布する方法、
【0003】(3)特開平2-247037号に開示されている
ような、イットリア、ジルコニア、マグネシアの少なく
とも一種の金属酸化物とイットリア、およびジルコニア
またはジルコニウムの不溶性塩からなる粉体成分と水性
媒体とを混合して模型表面に塗布するコーティング組成
物を用いる鋳型、(4)特開平3-155432号に開示されて
いる、水とシリコン酸化物と水酸基イオンとイットリア
からなるスラリーで溶湯の接する鋳型の内面を形成する
方法、(5)本願出願人が出願した特願平3-291270号に
開示されている、溶湯の接する鋳型の内層材の主成分が
イットリアから成り、そのバインダが塩基性水性ジルコ
ニアゾル、アクリル系エマルジョン樹脂から成り、その
外面をシリカ系耐火物の外層材で被覆する精密鋳造用鋳
型、等がある。
ような、イットリア、ジルコニア、マグネシアの少なく
とも一種の金属酸化物とイットリア、およびジルコニア
またはジルコニウムの不溶性塩からなる粉体成分と水性
媒体とを混合して模型表面に塗布するコーティング組成
物を用いる鋳型、(4)特開平3-155432号に開示されて
いる、水とシリコン酸化物と水酸基イオンとイットリア
からなるスラリーで溶湯の接する鋳型の内面を形成する
方法、(5)本願出願人が出願した特願平3-291270号に
開示されている、溶湯の接する鋳型の内層材の主成分が
イットリアから成り、そのバインダが塩基性水性ジルコ
ニアゾル、アクリル系エマルジョン樹脂から成り、その
外面をシリカ系耐火物の外層材で被覆する精密鋳造用鋳
型、等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の (1)の方法によればアルコール系のバインダであるエ
チルシリケートを使用するので火災、爆発等の危険性が
高く、工業的に生産を行う場合には非常に多くの投資を
必要とし、さらにチタンまたはチタン合金との反応性の
高いシリカ系のバインダを使用するために得られた鋳造
品の表層部に硬さの高いα-Case(アルファケース)と呼
ばれる変質層が発生するという問題点があった。 (2)の方法によれば比較的大型鋳物を製造するための
砂型鋳物には適用できるが、鋳型の内面に該酸化物を塗
布する方法であるために、複雑形状品、高寸法精度を要
求されるロストワックス精密鋳造鋳型には適用できない
という問題点があった。
チルシリケートを使用するので火災、爆発等の危険性が
高く、工業的に生産を行う場合には非常に多くの投資を
必要とし、さらにチタンまたはチタン合金との反応性の
高いシリカ系のバインダを使用するために得られた鋳造
品の表層部に硬さの高いα-Case(アルファケース)と呼
ばれる変質層が発生するという問題点があった。 (2)の方法によれば比較的大型鋳物を製造するための
砂型鋳物には適用できるが、鋳型の内面に該酸化物を塗
布する方法であるために、複雑形状品、高寸法精度を要
求されるロストワックス精密鋳造鋳型には適用できない
という問題点があった。
【0005】(3)の方法によれば複雑形状品、高寸法
精度を要求されるロストワックス精密鋳造鋳型にも適用
できるはずであるが、本方法はワックス模型表面に該コ
ーティング組成物を塗布し、早期にゲル化させるコーテ
ィング組成物であり、歯科用等の小物部品には適してい
るが、それらより大きくなると適用できないという問題
点があった。 (4)の方法によれば上記(1)の方法と同様、チタン
またはチタン合金との反応性の高いシリカ系のバインダ
を使用するために、得られた鋳造品の表層部に硬さの高
いα-Caseと呼ばれる変質層が発生するという問題点が
あった。 (5)の方法によれば使用するバインダがジルコニアゾ
ルであることから、チタンまたはチタン合金の溶湯と接
する鋳型内面を最も安定なイットリア単体にすることが
できず、鋳造時の鋳型温度等ある特定の条件下では得ら
れた鋳造品の表層部に硬さの高いα-Caseと呼ばれる変
質層が発生するという問題点があった。本発明の目的は
チタンまたはチタン合金のロストワックス精密鋳造品を
鋳造するために、工業的に安全な生産を行うことがで
き、また一般のロストワックス精密鋳造品の製造設備を
そのまま利用でき、またさらに高温鋳型等反応性の高い
条件下でチタンまたはチタン合金を鋳造しても、得られ
た鋳造品の表層部に硬さの高いα-Caseと呼ばれる変質
層が発生しない精密鋳造用鋳型を提供することである。
精度を要求されるロストワックス精密鋳造鋳型にも適用
できるはずであるが、本方法はワックス模型表面に該コ
ーティング組成物を塗布し、早期にゲル化させるコーテ
ィング組成物であり、歯科用等の小物部品には適してい
るが、それらより大きくなると適用できないという問題
点があった。 (4)の方法によれば上記(1)の方法と同様、チタン
またはチタン合金との反応性の高いシリカ系のバインダ
を使用するために、得られた鋳造品の表層部に硬さの高
いα-Caseと呼ばれる変質層が発生するという問題点が
あった。 (5)の方法によれば使用するバインダがジルコニアゾ
ルであることから、チタンまたはチタン合金の溶湯と接
する鋳型内面を最も安定なイットリア単体にすることが
できず、鋳造時の鋳型温度等ある特定の条件下では得ら
れた鋳造品の表層部に硬さの高いα-Caseと呼ばれる変
質層が発生するという問題点があった。本発明の目的は
チタンまたはチタン合金のロストワックス精密鋳造品を
鋳造するために、工業的に安全な生産を行うことがで
き、また一般のロストワックス精密鋳造品の製造設備を
そのまま利用でき、またさらに高温鋳型等反応性の高い
条件下でチタンまたはチタン合金を鋳造しても、得られ
た鋳造品の表層部に硬さの高いα-Caseと呼ばれる変質
層が発生しない精密鋳造用鋳型を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は実質的にイット
リアからなる耐火材と、水性イットリアゾルおよび有機
系エマルジョン樹脂からなるバインダの混合物で構成さ
れ、その内面がチタンまたはチタン合金の溶湯と接する
内層材と、該内層材の外面に被覆され、シリカ系耐火物
を主成分とする外層材からなり、該外層材が前記内層材
の強度を補強することを特徴とするチタンまたはチタン
合金の精密鋳造用鋳型である。本発明者は鋳型の内層材
に用いるイットリアは、図2に示す各種酸化物の生成自
由エネルギー温度線図によってチタンに対して安定であ
り、チタンまたはチタン合金を鋳造しても反応しないこ
とに着目し、また粘結材として用いるバインダによって
は、その安定性が損なわれることがあり、使用するゾル
を種々検討した結果イットリアゾルを用いてイットリア
単体とすることでα-Caseと呼ばれる変質層発生防止に
関して非常に有効であることを見いだし本願発明を完成
したものである。
リアからなる耐火材と、水性イットリアゾルおよび有機
系エマルジョン樹脂からなるバインダの混合物で構成さ
れ、その内面がチタンまたはチタン合金の溶湯と接する
内層材と、該内層材の外面に被覆され、シリカ系耐火物
を主成分とする外層材からなり、該外層材が前記内層材
の強度を補強することを特徴とするチタンまたはチタン
合金の精密鋳造用鋳型である。本発明者は鋳型の内層材
に用いるイットリアは、図2に示す各種酸化物の生成自
由エネルギー温度線図によってチタンに対して安定であ
り、チタンまたはチタン合金を鋳造しても反応しないこ
とに着目し、また粘結材として用いるバインダによって
は、その安定性が損なわれることがあり、使用するゾル
を種々検討した結果イットリアゾルを用いてイットリア
単体とすることでα-Caseと呼ばれる変質層発生防止に
関して非常に有効であることを見いだし本願発明を完成
したものである。
【0007】イットリア系耐火物の厚みは0.2mm以下で
はチタンまたはチタン合金溶湯がシリカ系耐火物の影響
を受け、鋳造品の表層部に硬さの高いα-Caseと呼ばれ
る変質層が発生するので0.2mm以上の厚さが良く、シリ
カ系耐火物の保持層の厚さは鋳型の大きさにより5〜7mm
程度が良い。また、使用しているバインダは水性であり
火気に対しても特別な注意をする必要もない。バインダ
はフィラーであるイットリアが塩基性である場合には酸
性のものを用いると、早期にゲル化が生じコーティング
に使用できないので塩基性叉は中性イットリアゾルを用
いることが望ましい。
はチタンまたはチタン合金溶湯がシリカ系耐火物の影響
を受け、鋳造品の表層部に硬さの高いα-Caseと呼ばれ
る変質層が発生するので0.2mm以上の厚さが良く、シリ
カ系耐火物の保持層の厚さは鋳型の大きさにより5〜7mm
程度が良い。また、使用しているバインダは水性であり
火気に対しても特別な注意をする必要もない。バインダ
はフィラーであるイットリアが塩基性である場合には酸
性のものを用いると、早期にゲル化が生じコーティング
に使用できないので塩基性叉は中性イットリアゾルを用
いることが望ましい。
【0008】
【作用】イットリアゾルは鋳型製作過程および鋳型焼結
温度である約1300℃までの間はバインダとしての強度が
ほとんどなく、それ単独で用いると製作途中に鋳型が崩
壊する等の問題が生じ、単独では使用できない。このた
めに鋳型製作過程のグリーン状態での強度を得るために
種々検討を重ねイットリア主成分のスラリー中に有機系
エマルジョン樹脂を配合することにより、その粘結力で
鋳型製作に必要な強度を得られるようにした。配合する
有機樹脂はアクリル系、ビニール系等が使用できるが特
に限定する必要はない。また、鋳型のグリーン状態から
鋳型焼結温度である約1300℃までの昇温過程、特に有機
系エマルジョン樹脂が熱分解でその効果を失う温度であ
る200℃以上についての鋳型強度は、乾燥状態の常温か
ら1300℃までの間その強度を充分に有するシリカ系バイ
ンダにジルコンフィラーを用いて、イットリア系耐火物
の内層材を保持してやることにより確保できることが判
明した。シリカ系バインダにジルコンフィラーを用いた
外層材は、焼結前のグリーン状態から1300℃までの間そ
の結合力が高いので、焼結過程の昇温状態で内層材に含
まれる有機系エマルジョン樹脂が熱分解によりバインダ
の作用をしなくなっても、内層材の外側からこの外層材
が密着保持することにより内層材を補強して、場合によ
っては崩壊するといったような内層材の弱点である低強
度を補償する。鋳型の焼結は1400℃で行うことにより充
分な強度が得られるが、その昇温スピードはイットリア
系耐火物とシリカ系耐火物の熱膨張の違いによるクラッ
クの発生や、鋳型の密度の違いによる熱膨張差によるク
ラックを防止するために20℃/Hr以下が良い。
温度である約1300℃までの間はバインダとしての強度が
ほとんどなく、それ単独で用いると製作途中に鋳型が崩
壊する等の問題が生じ、単独では使用できない。このた
めに鋳型製作過程のグリーン状態での強度を得るために
種々検討を重ねイットリア主成分のスラリー中に有機系
エマルジョン樹脂を配合することにより、その粘結力で
鋳型製作に必要な強度を得られるようにした。配合する
有機樹脂はアクリル系、ビニール系等が使用できるが特
に限定する必要はない。また、鋳型のグリーン状態から
鋳型焼結温度である約1300℃までの昇温過程、特に有機
系エマルジョン樹脂が熱分解でその効果を失う温度であ
る200℃以上についての鋳型強度は、乾燥状態の常温か
ら1300℃までの間その強度を充分に有するシリカ系バイ
ンダにジルコンフィラーを用いて、イットリア系耐火物
の内層材を保持してやることにより確保できることが判
明した。シリカ系バインダにジルコンフィラーを用いた
外層材は、焼結前のグリーン状態から1300℃までの間そ
の結合力が高いので、焼結過程の昇温状態で内層材に含
まれる有機系エマルジョン樹脂が熱分解によりバインダ
の作用をしなくなっても、内層材の外側からこの外層材
が密着保持することにより内層材を補強して、場合によ
っては崩壊するといったような内層材の弱点である低強
度を補償する。鋳型の焼結は1400℃で行うことにより充
分な強度が得られるが、その昇温スピードはイットリア
系耐火物とシリカ系耐火物の熱膨張の違いによるクラッ
クの発生や、鋳型の密度の違いによる熱膨張差によるク
ラックを防止するために20℃/Hr以下が良い。
【0009】
【実施例】以下に本発明を実施例によって説明する。 (実施例1)使用するワックス模型は100×50×15mmの
板状を用いて、図1に示す押し湯、注湯口を設けたワッ
クスクラスタを組み立てた。イットリアスラリーは、市
販の濃度25wt.%塩基性イットリアゾル(日本触媒化学
製)を18重量部、有機系エマルジョン樹脂(ヘキスト合
成製 モビニール DC002)を6.5重量部、325メッシュア
ンダーのイットリア粉末(日本研磨材工業製 PC-Y)を7
4.7重量部、分散剤(中京油脂製 セルナD-305)を0.5重
量部、界面活性剤(花王製 アンヒトール 24B)を0.3重
量部および消泡剤とを撹拌機で混合して製作した。この
スラリーに前記のワックスクラスターを浸した後、余分
なスラリーをたらし70〜100メッシュのジルコニア粒を
ふりかけ乾燥させた。さらにこの操作を繰り返し、約1.
0mmの厚さとした。ふりかけに使用するジルコニア粒の
粒度は順次その粒度を粗くすることもある。
板状を用いて、図1に示す押し湯、注湯口を設けたワッ
クスクラスタを組み立てた。イットリアスラリーは、市
販の濃度25wt.%塩基性イットリアゾル(日本触媒化学
製)を18重量部、有機系エマルジョン樹脂(ヘキスト合
成製 モビニール DC002)を6.5重量部、325メッシュア
ンダーのイットリア粉末(日本研磨材工業製 PC-Y)を7
4.7重量部、分散剤(中京油脂製 セルナD-305)を0.5重
量部、界面活性剤(花王製 アンヒトール 24B)を0.3重
量部および消泡剤とを撹拌機で混合して製作した。この
スラリーに前記のワックスクラスターを浸した後、余分
なスラリーをたらし70〜100メッシュのジルコニア粒を
ふりかけ乾燥させた。さらにこの操作を繰り返し、約1.
0mmの厚さとした。ふりかけに使用するジルコニア粒の
粒度は順次その粒度を粗くすることもある。
【0010】次いで市販のシリカゾル(日産化学製 ス
ノーテックス 30)を20重量部と、325メッシュアンダー
のジルコン粉末(大阪ジルコン製)80重量部を撹拌機で
混合してスラリーとした。このスラリーに前記の鋳型を
浸した後、粒径 2mmのシャモットサンドをふりかけ乾燥
させ、この操作を繰り返し全体の厚さが約 7.5mmとなる
ようにした。2日間乾燥した後 150℃、7Kg/cm2の水蒸
気オートクレーブ中で脱蝋し,その後電気加熱炉で 20
℃/Hrの昇温スピードで 1400℃まで昇温し、4時間保持
した。この鋳型は製作中のスラリーのゲル化による不具
合もなく、また鋳型の破損もなかった。また、鋳型焼成
過程においてもクラックの発生も認められず、鋳造に供
することができた。この鋳型を用いて鋳造テストを行っ
た。なお、鋳造時の鋳型余熱温度は850℃、鋳造した6Al
-4V-Ti合金の溶湯温度は1900℃である。チタンまたはチ
タン合金の溶湯が鋳型内面の耐火物と反応を生じると、
酸化物である耐火物を還元し、鋳造品の表層部に酸素濃
度が高く、硬さの高いα-Caseと呼ばれる変質層が発生
する。図3に鋳造品のα-Caseの発生状況を硬さで評価
した結果を示す。本実施例のイットリアゾルを使用した
ものは表層部の硬さの高いα-Caseと呼ばれる変質層も
なく、良好な鋳造品を得ることができた。
ノーテックス 30)を20重量部と、325メッシュアンダー
のジルコン粉末(大阪ジルコン製)80重量部を撹拌機で
混合してスラリーとした。このスラリーに前記の鋳型を
浸した後、粒径 2mmのシャモットサンドをふりかけ乾燥
させ、この操作を繰り返し全体の厚さが約 7.5mmとなる
ようにした。2日間乾燥した後 150℃、7Kg/cm2の水蒸
気オートクレーブ中で脱蝋し,その後電気加熱炉で 20
℃/Hrの昇温スピードで 1400℃まで昇温し、4時間保持
した。この鋳型は製作中のスラリーのゲル化による不具
合もなく、また鋳型の破損もなかった。また、鋳型焼成
過程においてもクラックの発生も認められず、鋳造に供
することができた。この鋳型を用いて鋳造テストを行っ
た。なお、鋳造時の鋳型余熱温度は850℃、鋳造した6Al
-4V-Ti合金の溶湯温度は1900℃である。チタンまたはチ
タン合金の溶湯が鋳型内面の耐火物と反応を生じると、
酸化物である耐火物を還元し、鋳造品の表層部に酸素濃
度が高く、硬さの高いα-Caseと呼ばれる変質層が発生
する。図3に鋳造品のα-Caseの発生状況を硬さで評価
した結果を示す。本実施例のイットリアゾルを使用した
ものは表層部の硬さの高いα-Caseと呼ばれる変質層も
なく、良好な鋳造品を得ることができた。
【0011】(実施例2)実施例1と同一ワックスクラ
スター、同一イットリアスラリーを使用してこのスラリ
ーに前記のワックスクラスターを浸した後、余分なスラ
リーをたらし 70〜100メッシュのジルコニア粒をふりか
け乾燥させた。一部は1回の操作、他方はさらにこの操
作を繰り返し,約 0.1,0.2,0.5,1.0,2.0,2.5mmの6種類
の厚さとなるようにした。その後は実施例1と同一条件
で鋳型を製作した。この鋳型を用いて実施例1と同様の
鋳造テストを行った。図4に鋳型の内層材(イットリア
層)の厚さと鋳造品のα-Caseの発生状況を鋳造品表面
下0.05mm位置の硬さで評価した結果を示す。図4からイ
ットリアからなる鋳型の内層材の厚さが0.2mm以下では
鋳造品表層部に硬さの高いα-Caseが発生してチタンま
たはチタン合金用の鋳型としては使用できなかった。内
層材の厚さが0.2mmを越えると表層部の硬さの高いα-Ca
seもなく、良好な鋳造品を得ることができた。
スター、同一イットリアスラリーを使用してこのスラリ
ーに前記のワックスクラスターを浸した後、余分なスラ
リーをたらし 70〜100メッシュのジルコニア粒をふりか
け乾燥させた。一部は1回の操作、他方はさらにこの操
作を繰り返し,約 0.1,0.2,0.5,1.0,2.0,2.5mmの6種類
の厚さとなるようにした。その後は実施例1と同一条件
で鋳型を製作した。この鋳型を用いて実施例1と同様の
鋳造テストを行った。図4に鋳型の内層材(イットリア
層)の厚さと鋳造品のα-Caseの発生状況を鋳造品表面
下0.05mm位置の硬さで評価した結果を示す。図4からイ
ットリアからなる鋳型の内層材の厚さが0.2mm以下では
鋳造品表層部に硬さの高いα-Caseが発生してチタンま
たはチタン合金用の鋳型としては使用できなかった。内
層材の厚さが0.2mmを越えると表層部の硬さの高いα-Ca
seもなく、良好な鋳造品を得ることができた。
【0012】(比較例1)実施例1のイットリアスラリ
ーに配合する濃度 25wt.%塩基性イットリアゾル(日本
触媒化学製)18重量部をシリカゾルに置き換えた以外は
すべて同一な条件で鋳型を製作した。この鋳型は製作中
のスラリーのゲル化による不具合もなく、また鋳型の破
損もなかった。また、鋳型焼成過程においてもクラック
の発生も認められず、鋳造に供することができた。この
鋳型を用いて実施例1と同様の鋳造テストを行った。図
3に実施例1と同様、鋳造品のα-Caseの発生状況を硬
さで評価した結果を示す。本比較例1の様にシリカゾル
を配合した鋳型は表層部に硬さの高いα-Caseが発生し
てチタンまたはチタン合金用の鋳型としては使用できな
かった。
ーに配合する濃度 25wt.%塩基性イットリアゾル(日本
触媒化学製)18重量部をシリカゾルに置き換えた以外は
すべて同一な条件で鋳型を製作した。この鋳型は製作中
のスラリーのゲル化による不具合もなく、また鋳型の破
損もなかった。また、鋳型焼成過程においてもクラック
の発生も認められず、鋳造に供することができた。この
鋳型を用いて実施例1と同様の鋳造テストを行った。図
3に実施例1と同様、鋳造品のα-Caseの発生状況を硬
さで評価した結果を示す。本比較例1の様にシリカゾル
を配合した鋳型は表層部に硬さの高いα-Caseが発生し
てチタンまたはチタン合金用の鋳型としては使用できな
かった。
【0013】(比較例2)実施例1のイットリアスラリ
ーに配合する濃度 25wt.%塩基性イットリアゾル(日本
触媒化学製)18重量部をジルコニアゾルに置き換えた以
外はすべて同一な条件で鋳型を製作した。この鋳型は製
作中のスラリーのゲル化による不具合もなく、また鋳型
の破損もなかった。また、鋳型焼成過程においてもクラ
ックの発生も認められず、鋳造に供することができた。
この鋳型を用いて実施例1と同様の鋳造テストを行っ
た。図3に実施例1と同様、鋳造品のα-Caseの発生状
況を硬さで評価した結果を示す。本比較例1の様にジル
コニアゾルを配合した鋳型は表層部に硬さの高いα-Cas
eが発生してチタンまたはチタン合金用の鋳型としては
使用できなかった。
ーに配合する濃度 25wt.%塩基性イットリアゾル(日本
触媒化学製)18重量部をジルコニアゾルに置き換えた以
外はすべて同一な条件で鋳型を製作した。この鋳型は製
作中のスラリーのゲル化による不具合もなく、また鋳型
の破損もなかった。また、鋳型焼成過程においてもクラ
ックの発生も認められず、鋳造に供することができた。
この鋳型を用いて実施例1と同様の鋳造テストを行っ
た。図3に実施例1と同様、鋳造品のα-Caseの発生状
況を硬さで評価した結果を示す。本比較例1の様にジル
コニアゾルを配合した鋳型は表層部に硬さの高いα-Cas
eが発生してチタンまたはチタン合金用の鋳型としては
使用できなかった。
【0014】(比較例3)実施例1のイットリアスラリ
ーに配合する濃度 25wt.%塩基性イットリアゾル(日本
触媒化学製)18重量部を濃度 25wt.%酸性イットリアゾ
ルに置き換えた以外はすべて同一な条件で鋳型を製作し
ようとしたが、配合、撹拌後短時間でゲル化を生じて作
業を中断した。
ーに配合する濃度 25wt.%塩基性イットリアゾル(日本
触媒化学製)18重量部を濃度 25wt.%酸性イットリアゾ
ルに置き換えた以外はすべて同一な条件で鋳型を製作し
ようとしたが、配合、撹拌後短時間でゲル化を生じて作
業を中断した。
【0015】
【発明の効果】本発明によれば従来不充分であったチタ
ンまたはチタン合金用鋳型が歩留まり良く、簡単に得ら
れ、しかも通常のロストワックス精密鋳造品の製造設備
を使用してチタンまたはチタン合金のロストワックス精
密鋳造品が得られる。さらに得られた精密鋳造品の鋳造
後の鋳物の表面変質層の発生がないので、この変質層を
除去する工程も不要であり大幅な工程短縮ができるう
え、火災や爆発等の心配がないので火気に対する特別の
配慮もする必要がなく、工業的効果は非常に大きい。
ンまたはチタン合金用鋳型が歩留まり良く、簡単に得ら
れ、しかも通常のロストワックス精密鋳造品の製造設備
を使用してチタンまたはチタン合金のロストワックス精
密鋳造品が得られる。さらに得られた精密鋳造品の鋳造
後の鋳物の表面変質層の発生がないので、この変質層を
除去する工程も不要であり大幅な工程短縮ができるう
え、火災や爆発等の心配がないので火気に対する特別の
配慮もする必要がなく、工業的効果は非常に大きい。
【図1】本発明の一実施例を示すチタンまたはチタン合
金の精密鋳造用鋳型の断面図である。
金の精密鋳造用鋳型の断面図である。
【図2】各種酸化物生成自由エネルギー温度線図であ
る。
る。
【図3】鋳型の内層材に用いた各種バインダ(主材はイ
ットリア紛)と鋳造品のα-Caseの発生状況を硬さで評
価した図である。
ットリア紛)と鋳造品のα-Caseの発生状況を硬さで評
価した図である。
【図4】鋳型の内層材(イットリア層)の厚さと鋳造品
のα-Caseの発生状況を鋳造品表面下0.05mm位置の硬さ
で評価した図である。
のα-Caseの発生状況を鋳造品表面下0.05mm位置の硬さ
で評価した図である。
1 内層材 2 外層材 30 ワックス模型 31 押し湯 32 注湯口
Claims (2)
- 【請求項1】 実質的にイットリアからなる耐火材と、
水性イットリアゾルおよび有機系エマルジョン樹脂から
なるバインダの混合物で構成され、その内面がチタンま
たはチタン合金の溶湯と接する内層材と、該内層材の外
面に被覆され、シリカ系耐火物を主成分とする外層材か
ら成り、該外層材が前記内層材の強度を補強することを
特徴とするチタンまたはチタン合金の精密鋳造用鋳型。 - 【請求項2】 鋳型の内層材の厚さが0.2mm以上である
ことを特徴とする請求項1に記載のチタンまたはチタン
合金の精密鋳造用鋳型。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4015648A JPH05208241A (ja) | 1992-01-31 | 1992-01-31 | チタンまたはチタン合金の精密鋳造用鋳型 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4015648A JPH05208241A (ja) | 1992-01-31 | 1992-01-31 | チタンまたはチタン合金の精密鋳造用鋳型 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05208241A true JPH05208241A (ja) | 1993-08-20 |
Family
ID=11894542
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4015648A Pending JPH05208241A (ja) | 1992-01-31 | 1992-01-31 | チタンまたはチタン合金の精密鋳造用鋳型 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05208241A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007069246A (ja) * | 2005-09-07 | 2007-03-22 | Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd | チタン合金用鋳型 |
JP2010158720A (ja) * | 2009-01-06 | 2010-07-22 | General Electric Co <Ge> | 方向性凝固プロセス用の鋳造用鋳型及び製造方法 |
JP2011255398A (ja) * | 2010-06-09 | 2011-12-22 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 鋳造用具、鋳造用具の生産方法及び精密鋳造方法 |
JP2016140876A (ja) * | 2015-01-30 | 2016-08-08 | 三菱重工航空エンジン株式会社 | 精密鋳造用鋳型の製造方法 |
CN107159869A (zh) * | 2017-04-19 | 2017-09-15 | 沈阳铸造研究所 | 一种用于易氧化金属的熔模精密铸造型壳的制备方法 |
-
1992
- 1992-01-31 JP JP4015648A patent/JPH05208241A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007069246A (ja) * | 2005-09-07 | 2007-03-22 | Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd | チタン合金用鋳型 |
JP2010158720A (ja) * | 2009-01-06 | 2010-07-22 | General Electric Co <Ge> | 方向性凝固プロセス用の鋳造用鋳型及び製造方法 |
JP2011255398A (ja) * | 2010-06-09 | 2011-12-22 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 鋳造用具、鋳造用具の生産方法及び精密鋳造方法 |
JP2016140876A (ja) * | 2015-01-30 | 2016-08-08 | 三菱重工航空エンジン株式会社 | 精密鋳造用鋳型の製造方法 |
CN107159869A (zh) * | 2017-04-19 | 2017-09-15 | 沈阳铸造研究所 | 一种用于易氧化金属的熔模精密铸造型壳的制备方法 |
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