JP3532148B2 - 感光体および画像形成装置 - Google Patents

感光体および画像形成装置

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JP3532148B2 JP2000259793A JP2000259793A JP3532148B2 JP 3532148 B2 JP3532148 B2 JP 3532148B2 JP 2000259793 A JP2000259793 A JP 2000259793A JP 2000259793 A JP2000259793 A JP 2000259793A JP 3532148 B2 JP3532148 B2 JP 3532148B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有機感光層上に主と
してアモルファスカーボンの表面保護層を形成してなる
感光体およびこの感光体を搭載した画像形成装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】有機半導体材からなる感光層により構成
した、いわゆるOPC感光体(有機感光体)は高い帯電
性が得られ、暗減衰が小さく、さらに長波長に対し優れ
た光感度が得られるという点で幅広く使用されている。
しかも、OPC感光体を使用するに当って、それを加熱
するヒーターを使用しないという利点もある。
【0003】しかしながら、このOPC感光体において
は、その表面の硬度が小さく、耐久性に劣るという課題
がある。
【0004】この課題を解消するために、有機半導体材
からなる感光層(有機感光層)の上に炭素又は炭素を主
成分とする高い硬度の耐磨耗性の被膜を積層する技術が
提示されている(特公平7−27268号、特公平7−
122757号、特開平1−86158号、特開平1−
227161号、特許第2818881号、特許第28
18882号および特許第2979070号参照)。
【0005】このように有機感光層の上に無機材から表
面保護層を被覆するに当たっては、下記のような特性が
求められる。可視光透過率が高い(有機感光層への入
射光量が充分に確保できる)。 表面に傷を受けない
程度の高硬度を有する。 有機感光層との接着性に優
れ、複写機内での実使用において、機械的接触あるいは
温湿度の変化等により剥離しない。 無害である。
有機感光層との電気的整合性に優れ、残留電位、メモ
リー現象、さらには不整合界面での電荷の横流れ(画像
流れ)が発生しない。高温高湿の条件下において、画
像品位が劣化せず、所謂、画像流れが発生しない。
有機感光層は、耐熱性に乏しい化合物からなることで、
その上の被膜を常温及至100℃にておこない、有機感
光層を熱劣化させない。
【0006】最近のかかる特性の要求に対し、さまざま
な技術開発がおこなわれている。たとえば、酸素原子を
含有する炭化水素化合物を用いることで、そのプラズマ
有機重合膜が得られることから、それでもって有機感光
層上に表面保護層として積層し、これによって接着性、
電気的整合性ならびに耐環境性を高める技術が提案され
ている(特公平7−27268号参照)。
【0007】また、上記のように酸素原子を含有させる
代わりにハロゲン原子を含有させても同等の効果が得ら
れることが提案されている(特公平7−122757号
参照)。
【0008】さらに有機感光層上の表面保護層を、ハロ
ゲン原子と酸素原子とを含有してなる非晶質炭化水素膜
でもって構成し、これにより、耐湿性を改善した技術が
提示されている(特開平1−86158号参照)。同公
報によれば、非晶質炭化水素膜中に含有されるハロゲン
原子の量は、全構成原子に対して0.01原子%〜50原子
%、酸素原子の量は、0.01〜20原子%である。また、硬
度については有機感光層が5B〜B、非晶質炭化水素膜
が4H程度である。また、有機感光層上に、1原子%以
下の窒素と2原子%以上の弗素を含有するアモルファス
構造のダイヤモンド状炭素からなる表面保護層を積層
し、撥水性を高めたり(特許第2979070号参
照)、表面の酸素濃度が1原子%以下である有機感光層
の上に、水素を30原子%以下含有する炭素又は炭素を主
成分とする表面保護層を積層し、これら保護層と有機系
感光層との接着性を高める技術も提案されている(特許
第2818882号参照)。
【0009】硬度については、表面保護層のビッカ−ス
硬度が100〜2500kg/mm2の範囲にあり、かつ有機感光層
とのビッカース硬度の差が2500 kg/mm2以下である技術
が提案されている。(特許第3057165参照)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように有機感光層上にアモリファスカーボンからなる表
面保護層を積層した感光体を実際使用してみると、当初
予定していた耐久性は得られず、キズや剥離が発生し、
メモリーが悪化し、しかも、高温高湿下にて耐刷をおこ
なうと、画像流れと呼ばれる画像不良が発生していた。
【0011】このような耐久性および画像流れの発生を
防止するために、表面保護層にハロゲン原子や酸素原
子、窒素原子を含有させる技術が提案されているが、電
子写真特性を含め、各種の特性を十分に満足する感光体
は、いまだ得られていない。
【0012】具体的には、特公平7−27268号およ
び特公平7−122757号の各公報に記載された技術
によれば、画像流れが発生し、さらに耐久による削れ量
が大きくキズ等が発生していた。
【0013】特開平1−86158号では、画像流れは
改善されたが、その反面、感光体特性が低下したり(帯
電能の低下、残留電位の増大等)、表面硬度が低くな
り、耐久性に劣っていた。また、表面保護層にハロゲン
原子と酸素原子とを双方とも含有させ、これによって、
表面保護層の接着性を向上させ、さらに電子写真特性が
大きく向上(光メモリーの減少)させることができる
が、その反面、酸素原子の含有量が多くなることで、感
光体の特性が低下していた。
【0014】さらに特許第2979070号によれば、
表面保護層の接着性を向上させるために、有機感光層表
面の酸素濃度を規定する技術が提案されているが、その
有機感光層の表面側の酸素量の管理が非常に難しい上
に、成膜条件によっては、所要とおりの性能が得られな
かった。
【0015】また、特許第3057165号によれば、
感光体の耐久性を高めるために、表面保護層の硬度及び
有機感光体との硬度差を規定する技術が提案されている
が、有機感光層の硬度との関連が不明確であり、かつ、
硬度差の下限値がなく実際の硬度の設定が困難であっ
た。さらに、特に柔らかい有機感光層の上に硬度差が25
00kg/mm2もある表面保護層を設けると硬度差から密着性
が低減し、クラック及び剥離が発生し、所要とおりの性
能が得られなかった。
【0016】本発明者は上記事情に鑑みて鋭意研究に努
めたところ、有機感光層上の表面保護層に対し、酸素原
子を0.0001原子%〜1.0原子%の範囲で含有
し、弗素原子を0.1原子%〜25原子%の範囲で含有
するアモルファスカーボンから成り、弗素原子を有機感
光層と表面保護層との界面とは反対側の表面近傍にて高
濃度になるよう濃度勾配を設け、さらにその表面保護層
の硬度が、有機感光層の硬度に比べて6倍〜60倍にす
ることで画像流れおよび耐久による画像劣化が生じなく
なり、OPC感光体に比べて充分に耐久性の高い実用性
がある電子写真感光体が提供されることを見出した。
【0017】本発明は上記知見により完成されたもので
あり、その目的は優れた耐刷性が得られ、しかも、感光
体加熱用のヒーターを設けない程度にまで表面の疎水性
を高めて、画像流れが発生しなくなり、さらに電位特性
のバラツキがなくなり、その結果、高耐久性、高性能、
高信頼性の感光体を提供することにある。
【0018】本発明の他の目的は、弗素原子を有機感光
層と表面保護層との界面とは反対側の表面近傍にて高濃
度になるよう濃度勾配を設け、これにって、有機感光層
との界面での電気整合性を高め、これによってキャリア
の移動がしやすくなっており、また、表面保護層の最表
面の弗素含有量が多くなることで撥水性が高まり、その
結果、画像流れの点で優れた感光体を提供することにあ
る。
【0019】また、本発明の目的は、本発明の感光体を
装着することで、感光体用のヒーターを設けなくてもよ
く、これにより、構造上簡単となり、製造歩留まりが向
上し、さらに部品点数が少なくなることで優れた耐久性
が得られ、その結果、低コストかつ高信頼性の画像形成
装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の感光体は、導電
性支持体上に有機感光層と表面保護層とを順次積層し、
そして、上記表面保護層は酸素原子を0.0001原子
%〜1.0原子%の範囲で含有し、弗素原子を0.1原
子%〜25原子%の範囲で含有するアモルファスカーボ
ンから成るとともに、弗素原子を有機感光層と表面保護
層との界面とは反対側の表面近傍にて高濃度になるよう
濃度勾配を設けて、その硬度を前記有機感光層の硬度に
比べて6倍〜60倍にしたことを特徴とする。
【0021】本発明の画像形成装置は、本発明の感光体
と、この感光体の表面に電荷を付与する帯電手段と、感
光体の帯電領域に対して光照射する露光手段と、これら
帯電手段と露光手段とにより感光体表面に形成された静
電潜像に対してトナー像を感光体の表面に形成する現像
手段と、上記トナー像を被転写材に転写する転写手段
と、転写後に感光体表面の残留トナーを除去するクリー
ニング手段と、転写後に残余静電潜像を除去する除電手
段とを配設したことを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】図1は本発明の感光体1の積層構
造であり、導電性基板2の上に前記有機半導層である感
光層3を塗布形成し、この感光層3の上にグロー放電分
解法などにより表面保護層4を積層する。
【0023】この表面保護層4は酸素原子を0.000
1原子%〜1.0原子%の範囲で含有し、弗素原子を
0.1原子%〜25原子%の範囲で含有するアモルファ
スカーボンでもって構成する。
【0024】しかも、表面保護層4に弗素原子を含有さ
せるに当り、酸素原子を感光層3と表面保護層4との界
面とは反対側の表面近傍にて高濃度になるよう濃度勾配
を設けている。
【0025】以下、導電性基板2および各層を詳述す
る。導電性基板2について 導電性基板2は銅、黄銅、SUS、Al、Niなどの金
属導電体、あるいはガラス、セラミックなどの絶縁体の
表面に導電性薄膜を被覆したものなどがある。この導電
性基板2はシート状、ベルト状もしくはウェブ状可とう
性導電シートでもよく、このようなシートにはSUS、
Al、Niなどの金属シート、あるいはポリエステル、
ナイロン、ポリイミドなどの高分子樹脂フィルムの上に
Al、Niなどの金属もしくは酸化スズ、インジウム・
スズ・オキサイド(ITO)などの透明導電性材料や有
機導電性材料を蒸着などにより被覆して導電処理したも
のを用いる。
【0026】感光層3の具体的な構成例 感光層3には、電荷輸送剤を電荷発生剤とともに同一の
感光層中に分散させた単層型感光層と、電荷発生剤を含
有する電荷発生層と電荷輸送剤を含有する電荷輸送層と
を積層した積層型感光層とがあるが、本発明はこのいず
れにも適用できる。
【0027】単層型の感光層は、電荷発生剤、電荷輸送
剤および結着樹脂を適当な有機溶媒に溶解または分散し
た塗工液を、塗布などの手段によって導電性基体上に塗
布し、乾燥させることで形成される。かかる単層型の感
光層は、層構成が簡単で生産性に優れている。
【0028】電荷輸送剤としては、電子輸送剤および正
孔輸送剤のうちのいずれか一方または両方が使用でき、
とくに上記両輸送剤を併用した単層型の感光層は、単独
の構成で正負いずれの帯電にも対応できるという利点が
ある。
【0029】電子輸送剤および正孔輸送剤としては、そ
れぞれ電荷発生剤とのマッチングがよく、電荷発生剤で
発生した電子または正孔を引き抜いて、効率よく輸送で
きるものが望ましい。
【0030】また、電子輸送剤と正孔輸送剤とが共存す
る系では、両者が電荷移動錯体を形成して、感光層全体
での電荷輸送能の低下を引き起こし、感光体の感度が低
下するのを防止すべく、両輸送剤の組合せについても配
慮する必要がある。つまり、両輸送剤を、正孔輸送およ
び電子輸送が効率よく起こる高濃度で同一層中に含有さ
せても、層中で電荷移動錯体が形成されず、正孔輸送剤
は正孔を、電子輸送剤は電子を、それぞれ効率よく輸送
できる、電子輸送剤と正孔輸送剤との組合せを選択する
のが望ましい。
【0031】一方、積層型の感光層は、まず導電性基体
上に、蒸着または塗布などの手段によって、電荷発生剤
を含有する電荷発生層を形成し、ついでこの電荷発生層
上に、電荷輸送剤と結着樹脂とを含む塗工液を、塗布な
どの手段によって塗布し、乾燥させて電荷輸送層を形成
することで構成される。また、上記とは逆に、導電性基
体上に電荷発生層を形成し、その上に電荷発生層を形成
してもよい。
【0032】ただし、電荷発生層は、電荷輸送層に比べ
て膜厚がごく薄いため、その保護のためには、導電性基
体上に電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層を形成
するのが好ましい。
【0033】積層型感光層は、上記電荷発生層、電荷輸
送層の形成順序と、電荷輸送層に使用する電荷輸送剤の
種類によって、正負いずれかの帯電型となるかが選択さ
れる。
【0034】たとえば、上記の如く、帯電性基体上に電
荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層を形成した層構
成において、電荷輸送層の電荷輸送剤として正孔輸送剤
を使用した場合には、感光層は負帯電型となる。この場
合、電荷発生層には電子輸送剤を含有させてもよい。電
荷発生層に含有させる電子輸送剤としては、電荷発生剤
とのマッチングがよく、電荷発生剤で発生した電子を引
き抜いて、効率よく輸送できるものが望ましい。
【0035】一方、上記の層構成において、電荷発生層
の電荷輸送剤として電子輸送剤を使用した場合には、感
光層は正帯電型となる。この場合、電荷発生層には正孔
輸送剤を含有させてもよい。
【0036】[単層型の感光層3]電子輸送剤は正孔輸
送剤と電荷移動錯体を形成しないため、とくに電子輸送
剤と正孔輸送剤とを併用した単層型の感光層(感光層
3)において好適である。
【0037】単層型の感光層は、電子輸送剤と電荷発生
剤と結着樹脂とを含有する単一の層であり、正負いずれ
の帯電にも対応できるが、負極性コロナ放電を用いる必
要のない正帯電型で使用するのが好ましい。この単層型
は、層構成が簡単で生産性に優れていること、感光層の
被膜欠陥が発生するのを抑制できること、層間の界面が
少ないので光学的特性を向上できること等の利点を有す
る。
【0038】電子輸送剤を正孔輸送性に優れた正孔輸送
剤と併用した単層型は、電子輸送剤と正孔輸送剤との相
互作用が生じないため、両輸送剤を高濃度で同一の感光
層中に含有させても、電子輸送および正孔輸送がそれぞ
れ効率よく行うことができ、より高感度の感光体を得る
ことができる。
【0039】また、電子輸送剤とともに電子受容体を含
有させた単層型の感光層3においては、電子輸送性能を
より一層向上することができ、より高感度の感光体を得
ることができる。
【0040】単層型の感光層3において、電子輸送剤は
結着樹脂100重量部に対して、5〜100重量部の範
囲にて、好適には10〜80重量部にて含有するのがよ
い。電子輸送剤が10重量部未満の場合、残留電位が高
くなり、感度が不十分になる虞があり、500重量部を
越える場合は結晶化の可能性があり、感光体としての性
能が十分発揮されない。
【0041】[積層型の感光層3]一方、積層型は電荷
発生剤を含有する電荷発生層と、電荷輸送剤を含有する
電荷輸送層とをこの順で、あるいは逆の順で積層したも
のである。
【0042】電荷発生層は電荷輸送層に比べて膜厚がご
く薄いため、その保護のためには導電性基体上に電荷発
生層を形成し、その上に電荷輸送層を形成するのが好ま
しい。
【0043】積層型の感光層3は、電荷発生層と電荷輸
送層との形成順序と、電荷輸送層中で使用する電荷輸送
剤の種類とによって、正負いずれの帯電型となるかが選
択される。たとえば、導電性基板2の上に電荷発生層を
形成し、その上に電荷輸送層を形成した層構成におい
て、電荷輸送層中に電子輸送剤としてキノン誘導体のよ
うな電子輸送剤を使用したときは、正帯電型の感光体に
なる。この場合、電荷発生層には正孔輸送剤や電子輸送
剤を含有させてもよい。ここで、前記電荷輸送層に電子
受容体を含有させた場合は、電子輸送性が向上するた
め、より高感度の積層型の感光体が得られる。
【0044】なお、上記の層構成において、電荷輸送層
中の電荷輸送剤として正孔輸送剤を使用したときは負帯
電型の感光体になる。この場合、電荷発生層には電子輸
送剤や電子受容体を含有させてもよい。
【0045】積層型の感光層3においては、電荷発生剤
と結着樹脂を含む電荷発生層と、電子輸送剤を含む電荷
輸送層から構成される。積層型における電子輸送剤の配
合割合は、単層型の場合と同様の理由で、結着樹脂10
0重量部に対して10〜500重量部、好適には25〜
100重量部がよい。
【0046】前述のように、本発明の感光体は、単層型
および積層型のいずれにも適用できるが、とくに正負い
ずれの帯電型にも使用できること、構造が簡単で製造が
容易であること、層を形成する際の皮膜欠陥を抑制でき
ること、層間の界面が少なく、光学的特性を向上できる
こと等の観点から、単層型が好ましい。
【0047】つぎに感光層3に用いられる種々の材料に
ついて説明する。 《電荷発生剤》種々のフタロシアニン顔料、多環キノン
顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、キナク
リドン顔料、アズレニウム塩顔料、スクアリリウム顔
料、シアニン顔料、ピリリウム染料、チオピリリウム染
料、キサンテン染料、キノンイムン色素、トリフェニル
メタン色素、スチリル色素、アンサンスロン系顔料、ピ
リリウム塩、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔
料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料等の有機光導
電材料、セレン、テルル、アモルファスシリコン、硫化
カドミウム等の無機光導電材料があげられ、単独または
2種類以上を混合して使用できる。
【0048】《正孔輸送剤》高い正孔輸送能を有する主
々の化合物、たとえば、2,5−ジ(4−メチルアミノ
フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジ
アゾール系の化合物、9−(4−ジエチルアミノスチリ
ル)アントラセン等のスチリル系化合物、ポリビニルカ
ルバゾール等のカルバゾール系化合物、有機ポリシラン
化合物、1−フェニル−3(p−ジメチルアミノフェニ
ル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系
化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化
合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合
物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イ
ミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾー
ル系化合物、スチルベン系化合物等の含窒素環式化合
物、縮合多環式化合物等があげられる。
【0049】正孔輸送剤は1種のみを用いるほか、2種
以上を混合して用いてもよい。また、ポリビニルカルバ
ゾール等の成膜性を有する正孔輸送剤を用いる場合に
は、結着樹脂は必ずしも必要でない。
【0050】《電子輸送剤》電子輸送剤としては、高い
電子輸送能を有する種々の化合物、たとえば、ナフトキ
ノン系化合物、ベンゾキノン系化合物、ジフェノキノン
系化合物、マロノニトリル、チオピラン系化合物、テト
ラシアノエチレンシアノエチレン、2,4,8−トリニ
トロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアン
トラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノ
ン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレ
イン酸、ジブロモ無水マレイン酸等があげられる。
【0051】《結着樹脂》感光層に使用されている従来
周知の樹脂を使用することができる。たとえば、スチレ
ン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトニト
リル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリ
ル共重合体、スチレン−アクリル共重合体、ポリエチレ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アル
キド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネー
ト、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレー
ト、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエー
テル樹脂、ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂;シリ
コーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹
脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂;エポ
キシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化
型樹脂等の樹脂が使用可能である。
【0052】さらに感光層3には、前記各成分のほか
に、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、従来公知
の種々の添加剤、たとえば酸化防止剤、ラジカル捕捉
剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止
剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分
散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合す
ることができる。また、感光層の感度を向上させるため
に、たとえばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセ
ナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用しても
よい。
【0053】単層型の感光層3において、電荷発生剤
は、結着樹脂100重量部に対して0.1〜50重量
部、好ましくは0.5〜30重量部の割合で配合すれば
よい。電荷輸送剤として、電子輸送剤を含有させる場合
は、結着樹脂100重量部に対して5〜100重量部、
好ましくは10〜80重量部の割合で配合すればよい。
また、正孔輸送剤を含有させる場合、正孔輸送剤の割合
を結着樹脂の100重量部に対して5〜500重量部、
好ましくは25〜200重量部とすればよい。さらにま
た、単層型感光層3の厚さは5〜100μm、好ましく
は10〜50μmである。
【0054】一方、積層型の感光層3において、電荷発
生層を構成する電荷発生剤と結着樹脂とは、種々の割合
で使用することができるが、結着樹脂100重量部に対
して電荷発生剤を5〜1000重量部、好ましくは30
〜500重量部の割合で配合するとよい。電荷発生層に
正孔輸送剤あるいは電子輸送剤を含有させる場合は、そ
れらの割合を結着樹脂100重量部に対して0.1〜1
00重量部、好ましくは0.5〜80重量部とするとよ
い。
【0055】電荷輸送層を構成する電荷輸送剤と結着樹
脂とは、電荷の輸送を阻害しない範囲および結晶化しな
い範囲で種々の割合で使用することができるが、光照射
により電荷発生層で生じた電荷が容易に輸送できるよう
に、結着樹脂100重量部に対して、電荷輸送剤を10
〜500重量部、好ましくは25〜100重量部の割合
で配合するとよい。電荷輸送層に正孔輸送剤を含有させ
る場合は、正孔輸送剤の割合を結着樹脂100重量部に
対して5〜200重量部、好ましくは10〜80重量部
とすればよい。
【0056】単層型においては、導電性基板2と感光層
3との間に、また積層型においては、導電性基板2と電
荷発生層との間、導電性基板2と電荷輸送層との間また
は電荷発生層と電荷輸送層との間に、感光体の特性を阻
害しない範囲でバリア層を形成してもよい。
【0057】[感光層3の成膜方法]このような構成の
感光層3の形成方法を述べると、前記例示の電荷発生
剤、電荷輸送剤、結着樹脂を適当な溶剤とともに、公知
の方法、たとえばロールミル、ボールミル、アトライ
タ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散
混合して分散液を調整し、これを公知の手段により塗布
して乾燥させればよい。
【0058】分散液を作るための溶剤としては、種々の
有機溶剤が使用可能であり、たとえばメタノール、エタ
ノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール
類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪
族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香
族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロ
ロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化
炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テト
ラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテ
ル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノ
ン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル
類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド等があげられる。これらの溶
剤は単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0059】さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散
性、感光層表面の平滑性をよくするために界面活性剤、
レベリング剤等を使用してもよい。
【0060】表面保護層4の構成 表面保護層4については、酸素原子を0.0001原子
%〜1.0原子%の含有比率でもって含み、さらに弗素
原子を0.1原子%〜25原子%の含有比率でもって含
む炭素または炭素を主成分とするアモルファスカーボン
膜であり、そして、この膜の硬度は、有機感光層である
感光層3の硬度に比べて6倍以上60倍以下に設定して
いる。
【0061】この点を詳しく説明すると、弗素含有量は
表面保護層4を構成する各種原子の全量に対し0.1〜
25原子%、好適には2〜20原子%にするとよく、
0.1原子%未満の場合には画像流れが発生し、25原
子%を超えると結合状態において終端部が増え、原子間
のネットワークが少なくなり、C−Cというような原子
間結合が減少し、これによって膜強度が弱くなり、その
結果、膜削れおよびキズが発生する。
【0062】また、弗素含有量が25原子%を超える場
合には、構造およびグロー放電という製造面から必然的
にむずかしく、無理に含有量を増加させようとすると、
感光体特性および硬度という点にて劣る。
【0063】酸素含有量については、表面保護層4を構
成する各種原子の全量に対し0.0001〜1.0原子
%、好適には0.01〜0.5原子%にするとよく、
0.0001原子%未満では密着性および電気整合性が
悪く、界面から剥離したり、光メモリー特性が悪化す
る。
【0064】また、酸素含有量が1.0原子%を超える
と、保護層の膜質低下によるトラップ準位が増加した
り、残留電位が上昇したり、帯電能が低下するなどのさ
まざまな感光体特性が悪化し、さらに膜密度が低下する
ことにともなって表面硬度が低下する。
【0065】また、本発明においては、図3〜図6に示
すように弗素原子を感光層3と表面保護層4との界面と
は反対側の表面近傍にて高濃度になるよう濃度勾配を設
ける。
【0066】各図とも、横軸において、aは感光層3と
表面保護層4との界面であり、bは表面保護層4の最表
面(自由表面)である。縦軸は弗素含有量である。な
お、これらの濃度勾配は一例であって、それに限定され
るものではなく、その他にさまざまな濃度勾配をおこな
ってよい。
【0067】このように弗素原子を感光層3と表面保護
層4との界面とは反対側の表面近傍にて高濃度になるよ
う濃度勾配を設ける場合には、表面保護層4の全体にお
ける平均弗素含有比率を表面保護層4を構成する各種原
子の全量に対し0.1〜25原子%、好適には2〜20
原子%にすればよい。
【0068】また、表面保護層4の硬度は、有機感光層
(感光層3)の硬度に比べて6〜60倍、好適には15
〜50倍にするとよく、この比率が6倍未満の場合には
硬度が不充分となり、耐久性が満足できず、一方、60
倍を超えると硬度差が大きすぎて表面保護層4にクラッ
クが発生する。
【0069】本発明にて規定する硬度については、動的
押し込み硬さで評価をおこなう。この動的押し込み硬さ
は島津製作所製の超微小硬度計(DUH−201・20
2)を使用してダイナミック硬さでもって表す。
【0070】この測定方法によれば、電磁石により圧子
(三角すい圧子)を試料に押しつけ、この押圧力を0.
1gf〜2gfの荷重まで一定の割合で増加させ、圧子
が試料に浸入していく過程で、圧子の試料への浸入深さ
を自動計測するものであって、その際に生じるくぼみの
大きさを顕微鏡にて測定し、塑性変形分から硬さの値を
得る。
【0071】表面保護層4の膜厚は、0.1〜2.5μ
mが好適である。膜厚が0.1μmより薄いと、膜削れ
による耐久性が確保できなくなり、また、下地の影響を
受ける。一方、膜厚が2.5μmを超えると、光透過率
が悪化し、残留電位が発生する。
【0072】かくして上記構成のように表面保護層4は
酸素原子を0.0001原子%〜1.0原子%の含有比
率でもって含み、さらに弗素原子を0.1原子%〜25
原子%の含有比率でもって含む炭素または炭素を主成分
とするアモルファスカーボン膜でもって成膜し、弗素原
子を感光層3と表面保護層4との界面とは反対側の表面
近傍にて高濃度になるよう濃度勾配を設け、そして、こ
の膜の硬度は、有機感光層である感光層3の硬度に比べ
て6倍以上60倍以下に設定したことで、優れた耐刷性
が得られ、紙やトナーなどでもって削れる度合いが著し
く低減し、これによって優れた耐久性が得られ、画像流
れの発生しない高性能な感光体となった。
【0073】とくに、弗素原子を感光層3と表面保護層
4との界面とは反対側の表面近傍にて高濃度になるよう
濃度勾配を設けて、感光層3との界面での電気整合性を
良好にし、これによってキャリアの移動がしやすくなっ
ており、また、表面保護層内においても同様にキャリア
が移動しやすくなり、その結果、光感度および残留電位
の点で優れた結果が得られる。
【0074】また、本発明者は、このような作用効果を
奏するための好適な構成要件として、感光層3と表面保
護層4との界面近傍における弗素原子の濃度に対し、そ
の界面とは反対側の表面近傍における弗素原子の濃度を
1.5〜120倍、好適には3〜30倍の比率にすると
よいことを繰り返しおこなった実験により確認した。
【0075】表面保護層4の形成方法 グロー放電法により成膜形成するが、その成膜条件は、
たとえば真空度0.35torr(4.6×10-5Pa)、基
板温度50℃、高周波電力200Wという条件でもって
プラズマ化し、有機感光層上に積層を行う。
【0076】そのためのグロー放電用原料ガスとして
は、炭化水素ガスおよび酸素化合物ガス、弗素化合物ガ
スが用いられ、キャリアガスとしては一般に常用される
水素ガスあるいはアルゴンガス等が用いられる。
【0077】上記炭化水素ガスには飽和炭化水素とし
て、たとえばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペン
タン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソブタン、イ
ソペンタン、ネオペンタン、イソヘキサン、ネオヘキサ
ン、ジメチルブタン、メチルヘキサン、エチルペンタ
ン、ジメチルペンタン、トリプタン、メチルヘプタン、
ジメチルヘキサン、トリメチルペンタン、イソナノン等
がある。
【0078】表面保護層4を構成するアモルファスカー
ボン膜の硬度は、成膜装置の形態および成膜時の条件
(不純物ドープ量も含む)により変化し、たとえば、基
板温度を高くする、希釈率を高くする、印加電力を高く
する等で硬度が高くなる。
【0079】アモルファスカーボン膜に酸素原子を添加
するためには、酸素化合物ガスが使用される。酸素化合
物としては、たとえば、酸素、オゾン、水蒸気、一酸化
炭素、二酸化炭素、一酸化窒素、亜酸化炭素、等の無機
化合物、水酸基、酸素を含む複素環等の官能基あるいは
結合を有する有機化合物等がある。
【0080】アモルファスカーボン膜に弗素原子を添加
するためには、弗素化合物ガスが使用される。この弗素
化合物としては、弗素、弗化水素、弗化塩素、弗化沃素
等の無機化合物が用いられる。
【0081】そして、弗素原子を感光層3と表面保護層
4との界面とは反対側の表面近傍にて高濃度になるよう
濃度勾配を設けるには、表面保護層4を成膜形成するに
当り、かかる弗素化合物ガスの導入量を漸次大きくすれ
ばよい。
【0082】画像形成装置の構成 図2は本発明の感光体を搭載したプリンター構成の画像
形成装置7であり、8は感光体であり、この感光体8の
周面にコロナ帯電器9と、その帯電後に光照射する露光
器10(LEDヘッド)と、トナー像を感光体8の表面
に形成するためのトナー11を備えた現像機12と、そ
のトナー像を被転写材13に転写する転写器14と、そ
の転写後に感光体表面の残留トナーを除去するクリーニ
ング手段15と、その転写後に残余静電潜像を除去する
除電手段16とを配設した構成である。また、17は被
転写材13に転写されたトナー像を熱もしくは圧力によ
り固着するための定着器である。
【0083】このカールソン法はつぎの(1)〜(6)
の各プロセスを繰り返し経る。 (1)感光体8の周面をコロナ帯電器9により帯電す
る。 (2)露光器10により画像を露光することにより、感
光体8の表面上に電位コントラストとしての静電潜像を
形成する。 (3)この静電潜像を現像機12により現像する。この
現像により黒色のトナーが静電潜像との静電引力により
感光体表面に付着し、可視化する。 (4)感光体表面のトナー像を紙などの被転写材13の
裏面よりトナーと逆極性の電界を加えて、静電転写し、
これにより、画像を被転写材13の上に得る。 (5)感光体表面の残留トナーをクリーニング手段15
により機械的に除去する。 (6)感光体表面を強い光で全面露光し、除電手段16
により残余の静電潜像を除去する。
【0084】なお、画像形成装置7はプリンターの構成
であるが、露光器10に代えて原稿からの反射光を通す
レンズやミラーなどの光学系を用いれば、複写機の構成
の画像形成装置となる。
【0085】また、この画像形成装置7には通常の乾式
現像を用いているが、その他、湿式現像に使用される液
体現像剤にも適用される。
【0086】
【実施例】(例1)純度99.9%のAlからなる円筒
状の基板(外径30mm、長さ254mm)の上に感光
層3を塗布形成し、正帯電のレーザープリンタ用にす
る。この感光層3は下記のとおりにて成膜した。
【0087】電荷発生剤としてX型無金属フタロシアニ
ン5重量部および結着樹脂としてポリカーボネイト10
0重量部、溶媒としてテトラヒドロフラン800重量
部、正孔輸送剤として化1のジエチルアミノベンズアル
デヒドジフェニルヒドラゾン100重量部をボールミル
にて50時間混合、分散させて単層感光体用の塗布液を
作製した。
【0088】
【化1】
【0089】そして、この塗布液をアルミニウム素管上
にディップコート法にて塗布し、100℃で1時間乾燥
させて、膜厚25μmの感光層3を形成させ、単層型と
した。
【0090】この感光層3の動的押し込み硬さは20k
gf/mm2であった。ただし、保護層をつけないで測
定をおこなった。
【0091】次に表面保護層4を表1に示す成膜条件に
より0.5μmの厚みでカーボン(C)からなるアモル
ファス層を成膜形成する。CF4ガスは、最初に1.2
sccmにて導入し、漸次増大し、最後に125scc
mにまで多くしている。このようにCF4ガスを導入す
ることで、図5に示すように直線的な酸素濃度勾配を設
けた。
【0092】
【表1】
【0093】この表面保護層4は動的押し込み硬さが3
00kgf/mm2であり、弗素原子含有量が0.1〜
10.0原子%まで変化し、酸素原子含有量が0.1原
子%である。これらの含有量の測定については、2次イ
オン質量分析法(SecondaryIon Mass Spectrometry:
SIMS)にておこなった。
【0094】かくして得られた本発明の感光体を前記の
画像形成装置7(京セラ株式会社製エコシスLS−35
50、乾式現像:トナー平均粒径8μm)に搭載し、こ
の装置7に設けられた感光体加熱用ヒーターのスイッチ
ングを常時OFFにして、感光体加熱をおこなわなかっ
た。そして、カールソン法で画像形成して、30万枚の
ランニングテストをおこない、画像流れと画質を測定し
たところ、画像流れが発生せず、画質についても、かぶ
りやスジ等がなく、まったく問題のない結果が得られ
た。
【0095】(例2)次に(例1)に示す感光体を作製
するに当り、感光層3をまったく同一の構成にして、さ
らに表面保護層4については、CF4ガスの導入量を変
え、その他の成膜条件を(例1)の感光体と同じにて設
定し、各種感光体を作製した。
【0096】すなわち、表面保護層4を成膜形成するに
際し、CF4ガスの導入量を成膜とともに、漸次増大さ
せたが、具体的には、弗素原子含有量は有機感光層との
界面近傍の濃度を0.1原子%に設定し、そして、図5
に示すように直線的に弗素濃度を自由表面に向けて高く
している。いずれの感光体も硬度は250〜350kg
f/mm2の範囲内にある。
【0097】また、比較例として、表面保護層4の弗素
原子濃度を、層厚方向にわたって一定にして、層全体に
おける弗素濃度を0.1原子%にした場合、さらに表面
保護層4の弗素原子の初期濃度を0.1原子%にして成
膜とともに、漸次、直線的に減少させた場合を示す。こ
れら各感光体もCF4ガスの導入量を制御することで、
それぞれの特性の感光体が得られる。
【0098】これら各感光体において、表面保護層に酸
素原子を含有させない場合、さらにそれぞれに酸素原子
を0.00005〜10原子%の濃度でもって含有させ
ることで、これら各感光体の画質および画像流れを測定
したところ、表2に示すような結果が得られた。なお、
同表中、弗素原子含有量は、表面保護層全体の平均値で
ある。
【0099】その弗素原子の平均含有量が0.1原子%
の場合には、層厚方向にわたって一定の濃度であること
を示し、それ以下の平均含有量の場合には、漸次濃度を
減少させ、それ以上の平均値の場合には、漸次濃度を増
大させた場合を示す。
【0100】
【表2】
【0101】画像流れは33℃、85%湿度の環境下で
8時間放置し、その画質を4段階に評価し、◎印は画像
変化がまったくなく、きわめて良好な画像が得られた場
合であり、○印は画像変化が若干認められることもある
が、実用上支障がない場合であり、△印は一部画像が流
れた場合であり、×印は全面にわたって画像が流れた場
合である。
【0102】画質も4段階にて評価し、黒ベタ、白ベタ
およびハーフトーン画像にて評価し、◎印は黒ベタ濃度
低下・白ベタにおいて、かぶりがまったく確認されず、
またハーフトーン画像にスジがまったく発生せず、きわ
めて良好な画質が得られた場合であり、○印は黒ベタ濃
度低下・白ベタが若干現われたり、またはハーフトーン
画像にスジが若干認められることもあるが、実用上支障
がない場合であり、△印はハーフトーン画像の一部にス
ジが発生したり、または黒ベタ濃度の低下、もしくは白
ベタでのかぶりが少し発生し、実用上支障になる場合で
あり、×印はハーフトーン画像にスジが顕著に発生した
り、または黒ベタ濃度が低下したり、もしくは白ベタに
かぶりが発生し、実用にまったく適していない場合であ
る。
【0103】表2から明らかな通り、弗素原子の平均含
有量が0.1〜25原子%、かつ酸素原子含有量が0.
0001〜1.0原子%にすることで、とくに弗素原子
の平均含有量を1.0〜25原子%にすることで、画像
流れおよび画質の双方が優れていることがわかる。とく
に画像流れについては、画像変化がまったくなく、きわ
めて良好な画像が得られた。
【0104】しかし、弗素原子の平均含有量が0.1原
子%、すなわち表面保護層4の弗素原子濃度を、層厚方
向にわたって一定にして、層全体における弗素濃度を
1.0原子%にした場合には、本発明の感光体に比べて
画像流れが低下していた。
【0105】さらに弗素原子の平均含有量が0.1原子
%未満、すなわち表面保護層の弗素原子の初期濃度を
0.1原子%にして成膜とともに、漸次、直線的に減少
させた場合では弗素による撥水性の効果が不充分とな
り、画像流れを発生した。
【0106】また、弗素原子の平均含有量が25原子%
を超える含有量にするのは製造上難しく、無理に作製し
ようとするとクラックが発生したり(50原子%)、硬度
が極端に低くなり(30原子%)、キズが発生した。酸素
原子含有量が0.0001原子%未満では、密着性及び
電気整合性が悪く、界面からの剥離や光メモリ-特性の悪化
が見られる。又、1.0原子%を越えるとトラップ準位
の増加による残留電位の上昇より、黒ベタ濃度の低下が
見られ、さらに、表面硬度の低下よりキズの発生も見ら
れた。
【0107】(例3)(例1)に示す成膜条件に対し
て、CF4カ゛スの導入に当り、濃度勾配を設けるよう流量
比を変えて、本発明の感光体Cを作製した。その他の成
膜条件や層構成は、(例1)の感光体と同一にしてい
る。
【0108】CF4ガスは最初に1.2sccmにて導
入し、漸次増大し、最後に125sccmにまで多くし
ているが、本例においては、前述した図5に示すような
直線的な濃度勾配でもって作製した。
【0109】これに対し、比較例の感光体A、B、Dを
作製した。感光体Aについては、表面保護層を設けない
場合、感光体Bでは、CF4ガスの導入量を成膜中一定
にしている。また、感光体Dでは、CF4ガスは、最初
に125sccmにて導入し、漸次減少し、最後に1.
2sccmにまで下げている。
【0110】そして、各感光体について(例1)に示す
ように感光体特性の評価手段でもって評価したところ、
表3に示すような結果が得られた。ただし、いずれの感
光体A〜Dも酸素含有量が0.01〜0.1原子%、硬
度が250〜350kgf/mm2の範囲内にある。
【0111】
【表3】
【0112】表3に示す結果から明らかなとおり、表面
保護層の弗素原子の濃度勾配が感光体特性に大きな影響
を与えており、本発明の感光体Cにおいては、帯電能お
よび光感度特性に優れ、しかも、残留電位が小さくなっ
ていることがわかる。さらに、画像流れがきわめて良好
な結果となっている。これら帯電能、光感度特性および
残留電位について、3段階に評価し、○印は良好であ
り、△印はやや良好であり、×印は実用に適していない
ことを示す。画質及び画像流れについては、4段階に評
価している。
【0113】本発明者は、弗素原子の濃度がフラットに
なっている感光体Bに比べて、表面側に高濃度である感
光体Cの方が、光感度および残留電位の点で優れた結果
が得られているが、その理由について、感光層3との界
面での電気整合性がよく、これによってキャリアの移動
がしやすくなっており、また、表面保護層内においても
同様にキャリアが移動しやすくなったためであると考え
る。さらに、濃度勾配を逆にした感光体Dについては、
光感度および残留電位が極端に悪くなり、実用上支障が
あるが、その点については、キャリアの移動が極端に劣
化したためであると考える。また、感光体表面側の弗素
含有量を増加させていることで十分な撥水性の効果が得
られ、画像流れ発生を抑制することができたと考える。 (例4)(例3)においては、本発明の感光体Cを作製
するに当り、CF4ガスは最初に1.2sccmにて導
入し、漸次増大し、最後に125sccmにまで多くし
て、前述した図5に示すような直線的な濃度勾配でもっ
て作製したが、これに代えて、図3、図4及び図6に示
すような濃度勾配でもって弗素を含有してもほぼ同じ良
好な結果が得られたことを実験にて確かめた。
【0114】詳細には、CF4ガスは、最初に1.2s
ccmにて導入し、図3に示すように指数関数的に増加
させ、最後に125sccmにまで多くした感光体を作
製し、その感光体特性を測定したところ、表4に示すよ
うな結果が得られた。同図中、その感光体を図3でもっ
て表示している。
【0115】さらにCF4ガスは、最初に1.2scc
mにて導入し、1.2sccmで60分間成膜し、その
後、図4に示すように125sccmにまで多くした感
光体や、図6に示すように1.2sccmで180分間
成膜させた後、最後の20分間の成膜においては徐々に
125sccmまで増加させた感光体も作製し、その感
光体特性を測定した。
【0116】
【表4】
【0117】この表に示す結果から明らかなとおり、本
発明の各感光体(図3、図4、図6)においては、帯電
能および光感度特性に優れ、しかも、画像流れの発生が
全くなくなっていることがわかる。 (例5)(例1)の成膜条件に対して、H2ガスの導入
量を変えることで、表面保護層4の動的押し込み硬さを
変えた感光体を作製し、それぞれの感光体について(例
1)と同様に画像流れと画質を評価測定したところ、表
5〜表7に示すような結果が得られた。いずれの感光体
についても、(例1)の感光体と同じく図5に示す弗素
濃度勾配になっている。また、いずれの感光体も酸素含
有量が0.001〜0.003原子%、弗素含有量が3
〜6原子%の範囲内にある。
【0118】
【表5】
【0119】
【表6】
【0120】
【表7】
【0121】これらの各表に示す結果から明らかなとお
り、表面保護層の動的押し込み硬度が感光層に比べて6
倍〜60倍の範囲であれば、画質および画像流れの双方
が優れていることがわかる。
【0122】しかし、6倍未満になると耐刷による削れ
が大きくなり、ハーフトーン画像にキズが発生する。ま
た、60倍を超えると硬度差から密着性等が低減し、ク
ラックおよび剥離が発生した。
【0123】本発明者は表面保護層の硬度が同等でも削
れ方が違ってくるのは、下地の感光層の硬度が影響して
おり、下地の感光層の硬度が低いとクッションの役目を
果たし、表面保護層の硬度が低くても耐久性に問題がな
くなり、よって、有機感光層と表面保護層の硬度差が耐
久性向上にとって重要であると考える。
【0124】
【発明の効果】以上のとおり、本発明の感光体によれ
ば、導電性支持体上に有機感光層と表面保護層とを順次
積層し、この表面保護層は酸素原子を0.0001原子
%〜1.0原子%の範囲で含有し、弗素原子を0.1原
子%〜25原子%の範囲で含有するアモルファスカーボ
ンにて構成し、弗素原子を有機感光層と表面保護層との
界面とは反対側の表面近傍にて高濃度になるよう濃度勾
配を設けて、その硬度を前記有機感光層の硬度に比べて
6倍〜60倍にしたことで、優れた耐刷性が得られ、し
かも、感光体加熱用のヒーターを設けない程度にまで表
面の疎水性を高めて、画像流れが発生しなくなり、さら
に、電位特性のバラツキがなくなり、その結果、高耐久
性、高性能、高信頼性の感光体が提供できた。
【0125】また、本発明の画像形成装置については、
本発明の感光体を装着することで、感光体用のヒーター
を設けなくてもよく、これにより、構造上簡単となり、
製造歩留まりが向上し、さらに部品点数が少なくなるこ
とで優れた耐久性が得られ、その結果、低コストかつ高
信頼性の画像形成装置が提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感光体の層構成を示す断面図である。
【図2】本発明の画像形成装置の概略図である。
【図3】本発明の感光体に係る表面保護層における層厚
方向にわたる弗素の濃度勾配を示す線図である。
【図4】本発明の感光体に係る表面保護層における層厚
方向にわたる弗素の濃度勾配を示す線図である。
【図5】本発明の感光体に係る表面保護層における層厚
方向にわたる弗素の濃度勾配を示す線図である。
【図6】本発明の感光体に係る表面保護層における層厚
方向にわたる弗素の濃度勾配を示す線図である。
【符号の説明】
1,8 感光体 2 導電性基板 3 感光層 4 表面保護層 7 画像形成装置 9 コロナ帯電器 10 露光器 12 現像機 14 転写器 15 クリーニング手段 16 除電手段 17 定着器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−86158(JP,A) 特開 平6−332214(JP,A) 特開 平9−101625(JP,A) 特開 平7−168385(JP,A) 特許2818881(JP,B2) 特許2818882(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/00 - 5/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性支持体上に有機感光層と表面保護層
    とを順次積層した感光体であって、上記表面保護層は酸
    素原子を0.0001原子%〜1.0原子%の範囲で含
    有し、弗素原子を0.1原子%〜25原子%の範囲で含
    有するアモルファスカーボンから成るとともに、弗素原
    子を有機感光層と表面保護層との界面とは反対側の表面
    近傍にて高濃度になるよう濃度勾配を設けて、その硬度
    を前記有機感光層の硬度に比べて6倍〜60倍にしたこ
    とを特徴とする感光体。
  2. 【請求項2】請求項1の感光体と、この感光体の表面に
    電荷を付与する帯電手段と、感光体の帯電領域に対して
    光照射する露光手段と、これら帯電手段と露光手段とに
    より感光体表面に形成された静電潜像に対してトナー像
    を感光体の表面に形成する現像手段と、上記トナー像を
    被転写材に転写する転写手段と、転写後に感光体表面の
    残留トナーを除去するクリーニング手段と、転写後に残
    余静電潜像を除去する除電手段とを配設した画像形成装
    置。
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