JP3528952B2 - 液晶表示装置およびその製造方法 - Google Patents

液晶表示装置およびその製造方法

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JP3528952B2
JP3528952B2 JP18311298A JP18311298A JP3528952B2 JP 3528952 B2 JP3528952 B2 JP 3528952B2 JP 18311298 A JP18311298 A JP 18311298A JP 18311298 A JP18311298 A JP 18311298A JP 3528952 B2 JP3528952 B2 JP 3528952B2
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憲明 大西
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置及び
その製造方法に関する。特に、パーソナルコンピュー
タ、ワープロ、アミューズメント機器、テレビジョン装
置などの平面ディスプレイやシャッタ効果を利用した表
示板、窓、扉、壁などに好適に用いられる、広視野角特
性を有する液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】これまで、本発明者らにより、液晶ディ
スプレイの広視野角化を目指してASM(Axially Symme
tric Aligned Microcell)モードについての研究が行わ
れている。
【0003】ASMモードを作製する技術は、特開平6-
301015号、特開平7-120728号公報などに記載されるよう
に、対向する一対の基板の内側に凸状の構造体を設け、
次いで、この基板間に液晶材料として、少なくとも液晶
と高分子材料とからなる混合物を注入し、液晶と高分子
材料との相分離を利用して、高分子壁間で液晶分子を軸
対称状に配向させる技術である。この技術による液晶表
示装置60は、図8(a)に示すように、基板61,62の間に
液晶領域68と重合体(高分子)壁67とからなる表示媒体が
配設され、液晶領域68に含まれる液晶分子69が対称軸66
に対して軸対称となった構造を有する。そして、中間調
表示および黒表示の際は、図8(b)および(c)に各々示
すように液晶分子の傾きが変化し、2方向A,Bで同様
の表示が得られるようになる。これに対し、従来のTN
モードでは、図9(a)〜(c)に示すように、AとBとの
2方向で液晶分子の見え方に違いが生じ、このことは視
角特性が悪い原因となっている。
【0004】従来のASMモードでは、誘電率異方性△
εが正の液晶材料を使用している。この表示モードは液
晶分子が軸対称配向しているので、すべての方向におい
て優れた表示特性を有するが、液晶分子の軸対称配向を
得るために複雑な温度制御を要する相分離工程が必要と
なる。さらに、得られる軸対称配向は不安定であり、特
に高温において表示品質の信頼性に欠けるという問題が
ある。
【0005】これらの問題を解決するための手段とし
て、本発明者らは、特願平8-341590号において、凸状の
構造体壁を設けた一対の基板間に誘電率異方性△εが負
の液晶材料を配設し、両基板の液晶層に接する表面に垂
直配向性を有する配向膜を設ける方法を提案している。
この垂直配向ASMモードの液晶表示装置の製造におい
ては、相分離工程が不必要となり、安定で均一な軸対称
配向が得られる。さらに、この液晶表示装置はノーマリ
ーブラックであるため、高コントラストな表示が可能で
ある。
【0006】さらに、最近、大型液晶表示装置を実現す
る候補として、プラズマアドレス液晶表示装置が注目さ
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の液晶表示装置で
は、直流電圧が重畳された駆動電圧波形が液晶セルに印
加されると、その電圧印加を止めた後も、液晶層に内部
直流電圧が残留し(このような電圧を「残留DC電圧」、ま
たは単に「残留電圧」という)、その結果として表示の焼
き付き残像が発生する。この内部残留DC電圧の原因とし
ては、電圧が印加された時に液晶配向膜などに充電され
た直流電圧と、イオン性電荷の配向膜への吸着による液
晶セル内での電気二重層の形成とが挙げられる。薄膜ト
ランジスタ(TFT)駆動方式などの液晶表示方式では、ゲ
ート、ソース間の結合容量や、補助容量、および液晶層
の容量が、画素電極電位の低下に関係しており、原理的
には、ゲート、ソース間の結合容量を小さくし、補助容
量を大きくすることで残留DC電圧を下げることが可能と
なる。しかし実際のTFTパネルでは、これらの容量値の
制御だけでは、残像現象を十分に防止することはできな
い。プラズマアドレス液晶表示装置においても、焼き付
け残像の問題があり、有効な解決策は見出されていな
い。
【0008】配向膜材料それ自体についての物性評価に
ついては、第23回液晶討論会(東京)1997年9月24日発行
予稿集138〜139頁に記載されている。ここでは、配向膜
材料の特性を規定するために、液晶セルにおいて、図1
0で示すような等価回路による多層誘電体モデルを適用
して時定数τを説明している。しかしながら、上記文献
は配向膜の時定数とオフセット電圧の関係を言及したの
みであり、液晶パネルの焼き付け残像に対する複合的な
評価や、これらの材料物性値に求められる条件等につい
ては開示も示唆もしていない。
【0009】また、△εが負である液晶材料と垂直配向
膜とを用いたホメオトロピック配向液晶デバイスにおい
ては、ホモジニアス配向液晶デバイスに比べて、より大
きな残留DC電圧が観測され、よって残像現象の問題が増
大する。実際、ホメオトロピック配向液晶モードを用い
た液晶デバイスにおいては、格子縞等のパターンを室温
で数分〜数十分間表示し続けた後、パターンを消した後
も数分間以上そのパターンが目立つ状態で存在する場合
も有り、改善が求められている。
【0010】さらに、完全な電気絶縁性材料からなる液
晶配向膜などが設けられた基板界面に滞留する残像電荷
に起因する焼き付け残像の影響を低減する方法として、
半導電層を設けることを特徴とする技術が特開平6-2586
63号公報または特開平5-232459号公報等に開示されてい
る。しかし、これらの文献は、液晶表示装置では不可欠
な構成材料である液晶配向膜の物性値の具体的な数値制
限については開示も示唆もしていない。このような技術
では、多層誘電体から構成される液晶表示装置の残像電
荷を効果的に改善することはできない。さらに、これら
の文献は、プラズマアドレス液晶表示装置の焼き付け残
像に関しては開示も示唆もしていない。
【0011】従って、本発明の目的は、内部残留電圧に
起因する表示画像の焼き付け残像が発生しにくい液晶表
示装置およびその製造方法を提供することである。より
詳細には、例えば、ASMモード、△εが負である液晶
材料と垂直配向膜とを用いた垂直配向型ASMモード、
およびプラズマアドレス液晶表示装置において、内部残
留電圧に起因する表示画像の焼き付け残像を効果的に低
減することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するためになされたものであり、その目的とすると
ころは、内部残留電圧に起因する表示画像の焼き付け残
像が発生しにくい液晶表示装置を提供することにある。
本発明者らは、一対の基板間に形成する液晶配向膜と液
晶材料との物性定数の関係について注目し、鋭意研究し
た結果、液晶層を構成する液晶材料または配向膜材料な
どの特定の物理的パラメーターを規定することにより内
部残留電圧を減少させ、上記の課題を解決できることを
確認し、本発明を完成するに至った。
【0013】本発明の液晶表示装置は、それぞれに液晶
配向膜が設けられた、対向する一対の基板と、該一対の
基板の間に配設された、構造体および該構造体に接する
液晶領域からなる液晶層とを有する液晶パネルを含み、
該液晶配向膜のシート抵抗値RALと膜容量CALとの積の
値で定義される時定数τALが、4000秒以下である。
【0014】好適な実施態様においては、上記液晶配向
膜の上記膜容量CALは、5nF〜200nFである。
【0015】好適な実施態様においては、上記液晶層の
残留DC電圧値は、100mV以下である。
【0016】好適な実施態様においては、上記液晶パネ
ルのイオン密度測定値は、5μC以下である。
【0017】好適な実施態様においては、上記液晶層の
液晶組成物が負の誘電異方性を有し、上記液晶配向膜が
垂直配向性を有する。
【0018】好適な実施態様においては、上記一対の基
板の少なくとも1つの面に、位相差補償素子をさらに備
える。
【0019】好適な実施態様においては、この液晶表示
装置は、上記一対の基板の少なくとも1つの基板上に透
明電極が配設され、該透明電極と上記液晶配向膜との間
に透明電極保護膜をさらに備え、該透明電極保護膜の体
積抵抗値が107〜1014Ω・cmである。
【0020】好適な実施態様においては、上記透明電極
保護膜は、導電性微粒子を含む。
【0021】好適な実施態様においては、上記構造体が
軸対称状に配列され、かつ上記液晶領域の液晶分子が軸
対称状に配向している。
【0022】好適な実施態様においては、上記液晶層
が、液晶組成物と、該液晶組成物に対して0.1〜10重量
%の重合性材料と、重合開始剤との混合物の重合体であ
る。
【0023】好適な実施態様においては、上記液晶領域
が、表示を行う最小単位である画素領域に対応して、複
数の領域に構造体で規則的に区切られて配設されてい
る。
【0024】本発明のプラズマアドレス液晶表示装置
は、ほぼ平行に設けられた複数の隔壁と誘電体シートと
によって囲まれる空間に規定され、その内部に放電電極
を有し、そしてプラズマを発生する気体が充填された複
数の放電空間を有するプラズマ基板と、該放電空間と直
交する方向に設けられた複数のデータ電極を有する対向
基板と、該プラズマ基板と該対向基板との間に配設され
た、構造体および該構造体に接する液晶領域からなる液
晶層と、該プラズマ基板および該対向基板の該液晶層側
に設けられた液晶配向膜とを有し、該液晶配向膜のシー
ト抵抗値RALと膜容量CALとの積の値で定義される時定
数τALが、4000秒以下である。
【0025】好適な実施態様においては、上記液晶配向
膜の上記膜容量CALが、5nF〜200nFである。
【0026】好適な実施態様においては、上記液晶層の
残留DC電圧値が、100mV以下である。
【0027】好適な実施態様においては、上記誘電体シ
ートの体積抵抗値は107〜1014Ω・cmである。
【0028】好適な実施態様においては、このプラズマ
アドレス液晶表示装置は、上記液晶層と接する上記誘電
体シート上に誘電体シート保護膜をさらに備え、該誘電
体シート保護膜の体積抵抗値が107〜1014Ω・cmである。
【0029】好適な実施態様においては、上記誘電体シ
ート保護膜の膜厚は30〜300nmの範囲である。
【0030】好適な実施態様においては、上記誘電体シ
ート保護膜は波長320nm以下の紫外光の透過を抑制する
機能を有する。
【0031】好適な実施態様においては、上記液晶層の
液晶組成物が負の誘電異方性を有し、上記液晶配向膜が
垂直配向性を有する。
【0032】好適な実施態様においては、上記構造体が
軸対称状に配列され、かつ上記液晶領域の液晶分子が軸
対称状に配向している。
【0033】好適な実施態様においては、上記液晶領域
が、表示を行う最小単位である画素領域に対応して、複
数の領域に構造体で規則的に区切られて配設されてい
る。
【0034】本発明の液晶表示装置の製造方法は、一方
の基板に構造体を形成する工程と;該構造体が形成され
た基板および他方の基板に、シート抵抗値RALと膜容量
ALの積の値で定義される時定数τALが、4000秒以下で
ある材料を用いて、該液晶配向膜をそれぞれ所定の厚み
で形成する工程と;貼り合わせた該基板間に液晶材料を
注入して、該構造体および該構造体に接する液晶領域か
らなる液晶を形成する工程とを包含する。
【0035】好適な実施態様においては、上記液晶材料
が、液晶組成物と、重合性樹脂材料と、該重合性樹脂材
料に対して0.5〜10重量%の重合開始剤との混合物であ
り、該重合性樹脂材料を重合させて、上記液晶領域の液
晶分子を軸対称状に配向させる工程をさらに包含する。
【0036】本発明のプラズマアドレス液晶表示装置の
製造方法は、基板上に複数の隔壁と複数の放電電極とを
互いにほぼ平行に設け、該隔壁と誘電体シートとにより
内部に該放電電極を有する放電空間を規定する工程と;
該放電空間にプラズマを発生する気体を充填して、プラ
ズマ基板を形成する工程と;対向基板に構造体を形成す
る工程と;該プラズマ基板および該対向基板に、シート
抵抗値RALと膜容量C ALの積の値で定義される時定数τ
ALが、4000秒以下である材料を用いて、該液晶配向膜を
それぞれ所定の厚みで形成する工程と;該プラズマ基板
と該対向基板との間に液晶材料を注入して、該構造体お
よび該構造体に接する液晶領域からなる液晶層を形成す
る工程とを包含する。
【0037】好適な実施態様においては、この方法は、
上記誘電体シート上に、体積抵抗値が107〜1014Ω・cmで
ある誘電体シート保護膜を塗布形成する工程をさらに包
含する。
【0038】好適な実施態様においては、上記液晶材料
が、液晶組成物と、重合性樹脂材料と、該重合性樹脂材
料に対して0.5〜10重量%の重合開始剤との混合物であ
り、該重合性樹脂材料を重合させて、上記液晶領域の液
晶分子を軸対称状に配向させる工程をさらに包含する。
【0039】好適な実施態様においては、上記重合性樹
脂材料を重合させる工程が、紫外線を上記プラズマ基板
の基板面に対して直交する方向および/または斜め方向
から上記液晶層に照射する工程をさらに包含する。
【0040】好適な実施態様においては、上記重合性樹
脂材料を重合させる工程が、拡散紫外線を上記液晶層に
照射する工程をさらに包含する。
【0041】以下、本発明の作用について説明する。
【0042】液晶セルにおける、表示画像の焼き付け残
像現象は、残留電荷の影響により次の表示信号選択時に
も前の表示が薄く残る現象である。これらの残像発生の
メカニズムは、電圧印加を解除した後も配向膜界面に吸
着電荷が残留し、この電荷が形成する疑似電界に応じて
内部直流残留電圧が発生することによると考えられる。
このような焼き付け残像の発生を抑制するために、液晶
層を構成する液晶材料や配向膜材料などに、内部残留電
圧が発生しにくい材料を用いることが極めて重要であ
る。通常、配向膜材料の方が液晶材料に比べて材料の比
抵抗値が大きいので、充放電時の時定数τが大きくな
り、内部残留電圧が発生しやすい。従って、液晶材料お
よび配向膜材料のそれぞれの時定数τLCとτALとの関係
を最適化することが必要であり、具体的には、τLCとτ
ALとを近づけるために、配向膜材料の時定数τALを小さ
く設定することが有効である。本発明の液晶表示装置
は、該液晶配向膜のシート抵抗値RALと膜容量CALとの
積の値で定義される時定数τALが、4000秒以下である。
このように、液晶配向膜の時定数を特定の範囲に最適化
することにより、内部残留電圧の発生しにくい液晶配向
膜を提供し、その結果、焼き付け残像の発生が低減され
た良好な表示品質を得ることができる。
【0043】加えて、膜容量、残留DC電圧値、液晶パネ
ルのイオン密度などの物性値を規定し、これらの物性値
を最適化することにより、内部残留電圧に起因する表示
画像の焼き付け残像をさらに防止することができる。本
発明の好適な実施態様においては、液晶配向膜の膜容量
ALが、5nF〜200nFであるので、液晶層と配向膜層との
誘電率を整合させることが可能となり、これにより膜界
面で発生する電荷の影響を低下させることができる。本
発明の好適な実施態様においては、液晶パネルの残留電
圧値が100mV以下であるので、実用レベルで液晶パネル
の表示残像への影響が無視できる。本発明の好適な実施
態様においては、イオン密度測定値が、5μC以下であ
るので、液晶パネル内への不純物の取り込みや電荷の分
極が減少し、これにより残像の発生がさらに防止でき
る。これらの好ましい実施態様を組み合わせることによ
り、残像の発生をさらに顕著に防止することができる。
【0044】本発明の好適な実施態様においては、一対
の基板の少なくとも1つの基板上に透明電極が配設さ
れ、該透明電極と上記液晶配向膜との間に透明電極保護
膜をさらに備え、該透明電極保護膜の体積抵抗値が107
〜1014Ω・cmである。このような特定の透明電極保護膜
を設けることにより、液晶パネルが、液晶層中に混入し
た微細な異物などにより液晶配向膜に傷がついても上下
の電極間で導通しない程度の絶縁性を有し、かつ製造時
や駆動時に層間などに発生および蓄積した電荷を滞留す
ることなく効果的に除去することが可能である。さらに
好適な実施態様においては、透明電極保護膜が、導電性
微粒子を含む。導電性微粒子等を含む透明電極保護膜
は、表面比抵抗値が液晶配向膜に比べて小さくなるため
に配向膜上に滞留および蓄積した電荷を効果的に低減で
きる。
【0045】本発明は、プラズマアドレス液晶表示装置
にも同様に適用される。すなわち、液晶配向膜のシート
抵抗値RALと膜容量CALとの積の値で定義される時定数
τALを4000秒以下に最適化することにより、内部残留電
圧の発生しにくい液晶配向膜を提供し、その結果、プラ
ズマアドレス液晶表示装置においても焼き付け残像の発
生が低減された良好な表示品質を得ることができる。
【0046】さらに、プラズマアドレス液晶表示装置に
関しても、膜容量、残留DC電圧値、液晶パネルのイオン
密度などの物性値を規定し、これらの物性値を最適化す
ることにより、および/または、パネルを構成する液晶
材料および配向膜材料の物性値ならびに誘電体シート層
および保護膜の物性値などを最適化することにより、多
層誘電体界面に残留する電荷が主原因となる焼き付け残
像現象を効果的に低減することが可能である。本発明の
好適な実施態様においては、該誘電体シートの体積抵抗
値が107〜1014Ω・cmである。このように最適化された体
積抵抗値を有する誘電体シートを用いることにより、上
記透明電極保護膜の場合と同様に、液晶パネルが、液晶
層中に混入した微細な異物などにより液晶配向膜に傷が
ついても上下の電極間で導通しない程度の絶縁性を有
し、かつ製造時や駆動時に層間などに発生および蓄積し
た電荷を滞留することなく効果的に除去することが可能
である。本発明の好適な別の実施態様においては、該液
晶層と接する誘電体シート上に誘電体シート保護膜をさ
らに備え、該誘電体シート保護膜の体積抵抗値が107〜1
014Ω・cmであるので、上記誘電体シートの場合と同様の
作用が得られる。本発明のさらに好適な実施態様におい
ては、上記誘電体シート保護膜の膜厚を30〜300nmの範
囲で最適化することにより、表示不良の原因である電極
間の導電を防止でき、かつ、上記のような電荷を十分に
除去することができる。本発明の好適な実施態様におい
ては、上記誘電体シート保護膜が波長320nm以下の紫外
光の透過を抑制するので、プラズマ発生時に放電部から
輻射する微量の紫外線を遮光する効果も十分に得られ得
る。さらに、上記誘電体シート保護膜を用いることによ
り、液晶パネル内の微細なダストなどが原因となるパネ
ルの破損などを防ぐことにおいても著しい効果を得るこ
とができる。
【0047】本発明の別の局面においては液晶表示装置
の製造方法が提供される。この方法は、シート抵抗値R
ALと膜容量CALの積の値で定義される時定数τALが、40
00秒以下である材料を用いて、液晶配向膜を形成するの
で、内部残留電圧の発生しにくい液晶配向膜が提供され
る。しかも、この方法は複雑な操作も特別な装置も要し
ない。従って、焼き付け残像の発生が低減された良好な
表示品質を有する液晶表示装置を、簡便かつ低コストで
提供することができる。本発明の製造方法は、プラズマ
アドレス液晶表示装置にも同様に適用され、焼き付け残
像の発生が低減された良好な表示品質を有するプラズマ
アドレス液晶表示装置を、簡便かつ低コストで提供する
ことができる。さらに、本発明のプラズマアドレス液晶
表示装置の製造方法は、その好適な実施態様において
は、液晶層と接する上記誘電体シート上に、体積抵抗値
が107〜1014Ω・cmである誘電体シート保護膜を塗布形成
する工程をさらに包含するので、得られる液晶パネル
が、液晶層中に混入した微細な異物などにより液晶配向
膜に傷がついても上下の電極間で導通しない程度の絶縁
性を有し、かつ製造時や駆動時に層間などに発生および
蓄積した電荷を滞留することなく効果的に除去すること
が可能である。
【0048】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されな
い。
【0049】(実施形態1)本発明の一実施形態における
液晶表示装置を、図1に模式的に示す。この液晶表示装
置100は、液晶パネル10と、液晶パネル10の外側に必要
に応じて位相差板11、12と偏光板13、14とをそれぞれ備
える。この液晶パネル10は、それぞれに液晶配向膜4、
5が設けられた、対向する一対の基板1、2と、この一
対の基板の間に配設された、構造体3およびこの構造体
3に接する複数の液晶領域8からなる液晶層とを有して
いる。また、基板1、2の液晶層側の表面には、所望の
パターンの透明電極(図示せず)がそれぞれ形成されてい
る。本実施形態では、透過型の液晶表示装置100を示し
たが、反射型液晶表示装置を構成する場合には、一方の
基板に半導体基板等の不透明な基板を用いることができ
る。このような液晶表示装置は、画素領域毎に1つの液
晶領域を有しても良く、画素の縦横ピッチが異なる場合
には、1つの画素領域に対して、複数の液晶領域を有し
ても良い。
【0050】ある実施形態では、液晶領域の液晶分子は
ツイスト配向している。
【0051】別の実施形態においては、液晶領域が負の
誘電異方性を有する液晶組成物からなり、そして垂直配
向性を有する液晶配向膜を備えていても良い。従来、こ
のような液晶層の液晶組成物が負の誘電異方性を有し、
かつ液晶配向膜が垂直配向性を有する液晶表示装置は、
通常の水平残像モードに比べて焼き付け残像の影響が大
きいという問題がある。しかし、本発明の液晶表示装置
に適用した場合、焼き付け残像の問題を著しく改善する
ことが可能である。
【0052】別の実施形態においては、構造体3の近傍
に重合体壁(高分子壁)を有し、液晶領域8が重合体壁に
よって実質的に包囲されても良い。あるいは、重合体壁
は、構造体3(実質的には、配向膜4)と基板1(実質的
には、配向膜5)との間を埋めるように形成されても良
い。さらに、液晶領域の液晶分子は、軸対称に配向して
も良い。軸対称配向の詳細については、本明細書中D項
で後述する。
【0053】A.液晶材料および配向膜材料の物性値の
最適化 時定数τは、以下の式により導出される。ここで、用語
「材料」は、液晶材料および配向膜材料を含む。
【0054】
【数1】
【0055】時定数τは、内部残留電圧の大小を考察す
る際の指標となる物性値である。上記材料の時定数τ
は、液晶材料および液晶配向膜材料についてそれぞれ見
積もることが可能であり、各々、CLC,RLCの積で定義
される液晶材料(すなわち液晶層)の時定数τLCと、
AL,RALの積で定義される液晶配向膜材料(すなわち
液晶配向膜)の時定数τALとを算出することで材料選択
上の指標とすることができる。τLCとτALとを近づける
につれて、内部残留電圧を小さくすることができる。具
体的には、τALを小さく規定し、さらに時定数を決定す
る2つの要素のうちの1つであるCALを規定することが
有効である。液晶配向膜材料の時定数τALは、例えば、
配向膜材料の比誘電率εr=4, 配向膜材料の比抵抗値
(体積抵抗値)ρ=1×1016(Ω・cm)の場合、上式3から3
542秒と算出される。
【0056】B.配向膜材料 本発明の液晶表示装置の配向膜に用いられる配向膜材料
としては、任意の適切な有機物材料が挙げられ、例え
ば、ポリイミド、ポリアミック酸誘導体などである。こ
れらの配向膜材料は単独で用いても良いが、これらを適
切に組み合わせることにより、時定数τALを調節するこ
とが可能である。式3を適用して求められる時定数τAL
として、4000秒以下であることが好ましく、より好まし
くは、500秒以下である。時定数τALをこのように規定
することにより、内部残留電圧が発生しにくい材料構成
を提供し、残像の発生が低減される。また、式1を適用
して求められる膜容量CALとして、25℃、0.01Hzの測定
条件で、5nF〜200nFであることが好ましく、さらに好ま
しくは、10nF〜120nFである。このような膜容量は、原
理的に小さい値の方が上記の式で求められる時定数の設
計上は有利であるが、液晶材料の平均誘電率は一般に配
向膜材料の誘電率の値に比べて大きい傾向に有り、液晶
層と配向膜層との誘電率の整合を取ることが膜界面で発
生する電荷の影響を低下させるために必要である。これ
らの理由により、上記の膜容量の最適範囲が規定でき
る。
【0057】C.液晶パネル 液晶パネルの残留DC電圧値の範囲に関しては、上述した
ように残留電圧値が小さいほうが好ましい。すなわち、
25℃でDC10V,30分の電圧ストレスを印加した後、25℃
で評価した残留DC電圧値として、100mV以下であること
が好ましく、より好ましくは、80mV以下である。残留DC
電圧値がこの値よりも大きい場合、実用上で液晶パネル
の表示残像に及ぼす影響が無視できなくなる。
【0058】また、液晶パネルのイオン密度測定値に関
しては、25℃、0.01Hzの測定で、5μC以下であること
が好ましく、より好ましくは、0.01μC以下である。イ
オン密度が大きくなると液晶パネル内への不純物の取り
込みや電荷の分極が進行することに起因した焼き付け残
像発生の要因となる為に上記設定値の範囲が望ましい。
【0059】これらの液晶セルにおいて1フレーム(30H
z;16.67ミリ秒)を表示する間に電荷を99%保持すると
仮定した際の時定数τは1.658秒であり、電荷を99.9%
保持すると仮定した際の時定数τは16.58秒となる。焼
き付けで生じる電荷による影響を低減させるべく構成材
料の物性値を最適化することが重要となる。一方、液晶
セルの電圧保持率は信頼性等の影響も考慮すると室温測
定で95%以上に設定することが望ましい。上記の仮定を
もとに算出した液晶セルの電圧保持率と液晶セルの時定
数の逆数との関係を図2に示す。図2より、高い電圧保
持率を得るためには、時定数は小さい方が良い。さら
に、残留DC電圧(測定温度70℃)と液晶セルの時定数の逆
数との関係を図3に示す。図3より、残留DC電圧を減少
させるためには、材料の時定数を小さく設定することが
必要である。液晶セルにおいて、焼き付け残像の発生を
低減して改善し、パネルの表示特性を向上させるために
は上記の物性値を総合的に最適化することが必要とな
る。
【0060】D.液晶材料および液晶配向状態 本発明の液晶表示装置の液晶層に用いられる液晶材料と
しては、常温付近で液晶状態を示す任意の適切な有機物
混合体材料が挙げられ、好ましくは、ネマティック液晶
である。表示特性のコントラスト比を向上できるという
観点から、負の誘電異方性△εを有するNn液晶材料が好
ましい。液晶材料の△εの絶対値の大きさは、用途によ
り適宜設定できる。一般的には駆動電圧を低下させると
いう観点から、大きな絶対値の材料設計をすることが望
ましく、好ましくは△εの絶対値としては、約1〜約7
である。
【0061】電圧印加時の液晶層のd・△n(リタデーショ
ン)は、液晶パネルの透過率、視角特性などの表示特性
に影響を及ぼす因子である。本発明においては、リタデ
ーション設計値の範囲は、液晶セルでの液晶分子の屈折
率異方性△n(最大駆動電圧での値)と液晶層の平均セル
厚dとの積d・△nが約300〜530nmが好ましい。視角特性と
液晶パネルの明るさのバランスを保ってパネル設計をす
る目的からは、ファーストミニマム条件(d・△nが約500n
m)に合わせることが効果的である。さらに、液晶層の液
晶分子のツイスト角度もパネルの透過率特性を左右する
要素となる。本発明においては、最大駆動電圧印加時の
ツイスト角は45〜120°が好ましく、より好ましくは90
〜110°である。ツイスト角がこの範囲からずれた場合
には明るさ(透過率)や視角特性が不十分である場合が多
い。
【0062】本発明の液晶表示装置の液晶パネルにおい
ては、画素に対応して液晶領域内の液晶分子の配向状態
を軸対称状(放射状配向、同心円状配向、複数分割配向
を含む)にして、液晶セル内での内部補償効果による全
方位にわたる視角特性の拡大および改善を目指してい
る。
【0063】このような、液晶パネル内での特異な配向
状態の安定化を図るべく、液晶材料に重合性樹脂材料を
用いることも極めて効果が高い。具体的には、アクリレ
ート系材料、メタクリレート系材料、スチレン系材料、
α−メチルスチレン系材料、およびそれらの誘導体など
の光重合性樹脂材料に光重合開始剤を添加した材料を重
合させて得た重合体を用いた配向規制により、軸対称状
配向した液晶分子にプレチルトを与えて電圧印加時に液
晶分子が倒れる方向を規定するという方法に基づいてい
る。重合性材料としては、熱重合型材料を適用すること
も可能である。重合性樹脂材料を用いる場合、液晶材料
に含有される重合性樹脂材料の含有量が、焼き付け残像
の程度に影響する。表示残像を低減し、かつ表示性能を
向上させるためには、重合性樹脂材料が、液晶材料中の
液晶組成物に対して約0.1〜約10重量%の割合で液晶材
料に含有されることが好ましく、より好ましくは、約2
〜約5重量%である。重合性樹脂材料の含有量が、約0.
1重量%未満である場合には、重合が十分に進行しない
だけでなく、電圧の大きさに依存して液晶分子の応答す
る方向を規制する能力が十分に得られない。従って、電
圧の印加と無印加とを繰り返した時、および/または中
間調応答時に、応答速度が極端に遅くなると共に、表示
残像の問題が生じる。一方、重合性樹脂材料の含有量
が、約10重量%より大きい場合には、重合体の架橋密度
が大きくなって、液晶分子と重合帯との相互作用が非常
に強くなる。よって、液晶分子の配向状態が相互作用に
より束縛されて、液晶分子の電圧応答特性が低下して、
焼き付け残像の問題が生じる。
【0064】これらの重合性樹脂材料が焼き付け残像な
どに及ぼす影響としては、液晶層中に重合体が分散して
いるため、液晶分子と重合体との相互作用の程度の差に
より焼き付け残像現象に違いが認められることになる。
このような樹脂材料を用いて液晶領域の配向状態を固定
化するデバイスにおいては、材料に含まれる重合開始剤
濃度が低いほど焼き付き残像の程度が低くなる。ここ
で、重合開始剤濃度が低いと、重合反応の進行は緩やか
であり、重合体の分岐の程度が少なく、網目構造の大き
さも大きくなる。一方、反応速度が速い(重合開始剤濃
度が高い)場合には、重合体の分岐度が大きくなり、か
つ網目の大きさが小さくなる。液晶分子を取り巻く重合
体の網目の大きさが小さいほど液晶分子と重合体との相
互作用が強くなり、この相互作用の強さが残像の程度に
関係すると考えられる。すなわち、液晶分子と重合体と
の相互作用が強いほど残像の程度も強くなるため、重合
開始剤濃度が高いほど残像が強くなる。重合開始剤濃度
が極端に低い場合には重合反応は十分に進まないため、
ある程度以上の濃度が必要である。この重合開始剤の濃
度としては、液晶材料と混合する重合性樹脂材料のに対
して、1〜5重量%の添加量で混合することが好まし
い。
【0065】E.液晶領域の配置 本発明の好ましい実施態様においては、液晶層中に、複
数の液晶領域が配設されている。表示面内で均一な画像
表示品質を得るために、液晶領域が規則的に(例えば、
画素に対応したマトリクス状に)配設されていることが
好ましい。また、表示を行う最小単位である画素領域に
対して、複数の領域に構造体で規則的に区切られて配設
されていることが好ましい。この場合、例えば、液晶パ
ネルの残留DC電圧値が100mV以下で、かつイオン密度測
定値が5μC以下であることがより好ましい。
【0066】F.位相差板 2枚の直交した偏光板に、液晶層を形成して、印加電圧
および視角を変化させて観察した場合に以下のようなコ
ントラスト低下が確認される。 (i)偏光板に起因した視角特性 (ii)液晶層のリタデーション(d・△n)の視角依存性に起
因した光漏れ これらの現象は偏光板の偏光軸から45°方向(方位角;
基板面内方向)で顕著に表れる。
【0067】誘電異方性が負(△ε<0)のNn液晶材料を
用いてノーマリーブラック表示モードを適用した場合に
は、正面方向で良好な黒表示による高コントラストが実
現できるという特徴を有しているが上記の課題は残され
たままである。この現象を抑制するためには垂直に配向
した液晶材料のリタデーションを小さく設計することが
効果的となる。さらに、液晶セルと偏光板との間に、表
示面内方向の屈折率nx>ny>nz(表示面に垂直方向の屈
折率)の屈折率楕円体で構成される位相差板(位相差補償
素子)を設置することが好ましい。より好ましくは、nx
方向と隣接する偏光板の吸収軸とは互いに直交するよう
に配設することである。この位相差板の位相差は、液晶
材料固有の△nと液晶層厚dとの積で求まる液晶セル固有
のリタデーション値よりも小さいほうがよい。好適な範
囲としては、液晶セル固有のリタデーション値のおよそ
30〜80%の値であり、より好ましくは、30〜60%であ
る。この値が30%よりも小さい場合には、位相差板によ
る補償効果が小さく、80%よりも大きい場合には、広視
角方向で色付きが大きくなり表示上好ましくない。ま
た、位相差板の面内位相差〔(nx-ny)・df df;位相差板
の厚み〕の値は、3.5〜15%程度に設計することが好ま
しく、より好ましくは、5〜15%である。
【0068】G.半導電体保護膜材料 必要に応じて、半導電体保護膜(透明電極保護膜)が基板
と液晶配向膜との間(より詳細には、基板に設けられた
透明電極と液晶配向膜との間)に設けられる。半導電体
保護膜の体積抵抗値は、好ましくは、107〜1014Ω・cm、
より好ましくは、108〜1013Ω・cmである。保護膜の
体積抵抗値が1014Ω・cmを越えると、各種の多層誘電体
層で構成される液晶表示装置において液晶配向膜に発生
および蓄積した電荷を除去することが困難になる。一
方、保護膜の体積抵抗値が107Ω・cmよりも小さくなる
と、電気絶縁性が不十分になり、例えば、隣接する電極
間での導通および、液晶配向膜に傷がついた場合などに
は上下の電間でのショートなどにより、表示欠陥が生じ
やすくなる。本発明によれば、保護膜の体積抵抗値を10
7〜1014Ω・cmの範囲に規定することにより、液晶パネル
が、液晶層中に混入した微細な異物などにより液晶配向
膜に傷がついても上下の電極間で導通しない程度の絶縁
性を有し、かつ製造時や駆動時に層間などに発生および
蓄積した電荷を滞留することなく効果的に除去すること
が可能である。その結果、半導電体保護膜層は、液晶表
示装置の表示残像を改善する。このような半導電体保護
膜層は、後述のプラズマアドレス液晶表示装置において
は、誘電体シート保護膜として好適に用いられる。
【0069】上記保護膜は、保護膜形成用塗布液から形
成される。この保護膜形成用塗布液は、マトリックス、
導電性微粒子および添加物微粒子などを含む。マトリッ
クスとしては、任意の適切なマトリックス(例えば、シ
リカオリゴマーなどを主成分とするマトリックスなど)
が用いられる。導電性微粒子としては、導電性を示す微
粒子であれば限定されないが、具体的には、酸化亜鉛、
酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、ならびにS
b、F、Pなどがドープされた酸化錫、およびSn、Fなどが
ドープされた酸化インジウムが挙げられる。これらは、
単独で、あるいは複数を組み合わせて使用され得る。さ
らに導電性微粒子は、TiO2-SnO2などのような複合酸化
物微粒子であってもよい。導電性微粒子の粒径は、好ま
しくは、20nm以下である。添加物微粒子としては、表面
抵抗値を整合させるため、および液晶配向膜などの有機
膜と保護膜との密着性を向上させるために、TiO2、Si
O2、Al2O3、およびZrO2などの無機化合物微粒子を単独
であるいは複数を組み合わせて混合することができる。
水および/または有機溶剤を溶媒とするマトリックス溶
液中にこれらの微粒子を分散した塗布液が好ましい。例
えば、半導電体保護膜層は、この被膜形成用塗布液を、
ディッピング法、スピンコート法、フレキソ印刷法など
の手法で基板の表面に塗布形成し、常温から90℃前後で
乾燥後、紫外光照射によりバインダーマトリックスの硬
化を進めた後、200〜350℃で焼成することで形成でき
る。
【0070】H.駆動方法 本発明の液晶表示装置は、種々の駆動方法で駆動でき
る。すなわち、単純マトリックス駆動、プラズマアドレ
ス駆動、a-Si(アモルファスシリコン)TFT(薄膜トランジ
スタ)、p-Si(ポリシリコン)TFT、およびMIM(Metal-Insu
lator-Metal)素子などのアクティブマトリックス駆動な
どの駆動方法を適用することが可能である。
【0071】I.製造方法 以下、上記のような液晶表示装置の製造方法の一例につ
いて説明する。
【0072】最初に、透明電極などを有する一対のガラ
ス基板のうちの一方の基板上に構造体を形成する。この
構造体形成工程は、好ましくは、液晶領域を画素領域に
対応して規則的に配置し得るように、例えば、スペーサ
を含むフォトレジスト材料によりパターン形成を行って
パターニング壁を形成することにより実施される。次い
で、配向膜のシート抵抗値RALと膜容量CALの積の値で
定義される時定数τALが、4000秒以下である材料を用い
て、液晶配向膜を所定の厚み(例えば、50〜130nm)で両
基板に形成する。この液晶配向膜は、任意の適切な技術
により配向膜材料を塗布し、焼成処理し、ラビングなど
により配向処理して形成され得る。この液晶配向膜は、
液晶分子を垂直配向させ得る材料で形成されても良い。
次いで、両基板を適切なシール剤で貼り合わせて液晶セ
ルを構成し、液晶材料を真空注入法などにより液晶セル
内に注入して液晶層を形成する。先の液晶配向膜が液晶
分子を垂直配向させ得る配向膜である場合、負の誘電異
方性を有する液晶材料が好ましい。液晶材料は、液晶組
成物と重合性樹脂材料と重合開始剤との混合物であって
も良く、この場合、液晶材料を注入した後、重合性樹脂
材料を重合させて、液晶組成物と重合体とを相分離させ
ることにより、液晶領域を軸対称状に配向させて液晶層
を形成する。
【0073】本発明はプラズマアドレス液晶表示装置に
も適用され得る。以下、本発明のプラズマアドレス液晶
表示装置について説明する。
【0074】(実施形態2)本実施形態のプラズマアドレ
ス液晶表示装置を、図4の模式図を参照しながら説明す
る。
【0075】プラズマアドレス液晶表示装置200は、プ
ラズマ基板32と対向基板38と、これらの間に配設された
液晶層39とを有している。プラズマ基板32は、ほぼ平行
に設けられた複数の隔壁37と誘電体シート33とによって
囲まれる空間に規定された複数の放電空間35を有する。
この放電空間35の内部には、プラズマを発生する気体が
充填され、放電電極として、アノードAおよびカソード
Kが配設されている。これらの放電電極AおよびKに電
圧を印加することにより、放電空間に封入されているガ
スがイオン化されプラズマ放電が起こる。対向基板38
は、複数のデータ電極40を有し、このデータ電極40は、
放電空間35と直交するように延在している。これらが直
交する領域が画素領域を規定する。液晶層39は、構造体
43およびこの構造体43に接する液晶領域36からなる。プ
ラズマ基板32および対向基板38には、それぞれ液晶層39
に接するように液晶配向膜41が配設されている。
【0076】(実施形態3)本発明の別の実施形態におけ
る、液晶表示領域が軸対象状に配向したプラズマアドレ
ス液晶表示装置について、図4を参照して説明する。実
施形態2と同様にして作製したプラズマアドレス液晶パ
ネルに、液晶材料として、液晶組成物と、重合性樹脂材
料と、重合開始剤とを所定の割合で調合した材料を注入
する。次いで、例えば、ブラズマ放電した後に、液晶デ
ータ電極40に所定の電圧を印加して、液晶分子を軸対象
状に配向させる。その後、プラズマ基板32側から所定の
紫外線を照射する。このようにして、上記のプラズマア
ドレス液晶表示装置を製造することができる。
【0077】ここで、紫外線露光する工程においては、
特に、正面方向からの紫外線露光だけでなく、斜め方向
からの紫外線露光、およびこれらを組み合わせた多方向
からの均一な紫外線露光、ならびに拡散型の紫外線光源
を用いた露光などが極めて効果が高い。紫外線の遮光領
域となるプラズマ隔壁37部分の近傍にある液晶領域で
は、重合性樹脂の重合による配向規制が十分でないため
に、例えばパネルの斜め方向から見た焼き付け残像現象
が問題となる場合がある。そのため、上記のように紫外
線露光により液晶領域の配向状態を規制する際に、斜め
方向(液晶パネル面の法線方向からの角度で約0から±7
5゜)を含む多方向から紫外線露光をすることが効果的で
ある。本発明に記載した液晶配向膜および電極保護膜な
どをこれに組み合わせて用いることにより、広視野角で
かつ焼き付け残像のない高品位の表示デバイスを構成で
きる。
【0078】特に、この斜方紫外線露光について、図5
を参照して詳細に説明する。ここで、図4と図5とは天
地が逆になっている。プラズマ基板32に形成したカソー
ド電極K、アノード電極A、およびプラズマリブ隔壁37
などの紫外線の遮光部となる領域の形成ピッチや高さ等
と、密接に関連するがおおよそ以下のように説明でき
る。例えば、プラズマ基板32側から基板の法線方向に対
して角度θの方向から紫外線を入射した場合には、領域
aの部分には紫外線が到達することになり、この領域の
下層にある液晶層39の領域a’部分にも紫外線が屈折し
て到達して、紫外線重合による配向制御をすることがで
きる。このような斜方紫外線露光をプラズマ基板すなわ
ち液晶パネルの面の法線方向に対して角度±θ方向から
所定の強度で行うことにより、正面方向からだけでは十
分に紫外線露光による配向制御ができなかった領域、す
なわち遮光部の法線方向の基板の内部領域にも紫外線を
到達させることができる。よって、紫外線の露光されな
い領域(図5中、紫外線遮光領域b)を残すことを防止で
きる。液晶層中に紫外線の露光されない領域が存在する
と、反応性の重合性材料が液晶組成物に混在して残るだ
けでなく、液晶パネルの表示特性に及ぼす影響が大きく
なり、配向状態の制御が不十分なことによる表示焼き付
け残像の大きな原因となって、パネルの表示信頼性を劣
化させる。
【0079】本発明において、斜方露光方法としては、
液晶パネルおよび紫外線光源のいずれか、あるいは両方
を所定の角度に設定して紫外線露光しても良い。また、
拡散性のある紫外線光源装置を用いて紫外線重合を進め
ることも極めて効果が高い。図5では、概略的にガラス
媒体の屈折率を1.5、気体層(空気層、プラズマ層)の屈
折率を1として記載したが、これに限定されない。斜方
露光方法の入射角は、液晶パネル面の法線方向からの角
度で、0〜±75゜であることが好ましい。
【0080】本発明のプラズマアドレス液晶表示装置を
上記のように実施形態2および3で説明したが、これら
の実施形態に限定されない。
【0081】ある実施形態においては、カラーフィルタ
42を設けても良く、対向基板38、カラーフィルタ42、デ
ータ電極(液晶信号電極)40および液晶層39からなる部分
は表示セル31を構成する。液晶表示装置200の対向基板3
8の外側に偏光板(図示せず)を設け、プラズマ基板32の
外側に偏光板とバックライト(共に図示せず)を設けても
良い。
【0082】プラズマアドレス液晶表示装置において
も、表示を行う最小単位である画素領域に対して、複数
の領域に構造体で規則的に区切られて配設されているこ
とが好ましい。この場合、例えば、液晶パネルの残留DC
電圧値が100mV以下で、かつイオン密度測定値が5μC以
下であることがより好ましい。ある実施形態において
は、液晶層39の各画素毎における液晶領域36の角に構造
体(例えば、柱状スペーサ)43を配設しても良い。この場
合、柱状スペーサ43によって軸対称配向する画素領域36
を規定することができると共に、柱状スぺーサ43によっ
て液晶セルのセル厚を一定に保持させることができる。
さらに、柱状スぺーサ43が各画素毎における画素領域36
の角に配置されているので、液晶注入時にも障害となら
ずに、液晶材料などの注入速度を低下させることが無
い。
【0083】ある実施形態においては、対向基板38およ
び薄板ガラス(誘電体シート)33の少なくともどちらか一
方に、軸対称配向固定層(図示せず)を配設しても良い。
この場合には、その軸対称配向固定層にて軸対称配向と
なっている画素領域の軸位置を所定の位置に形成させる
ことが可能となり、軸位置のずれの無い安定した軸対称
配向が実現できる。
【0084】さらに、位相差フィルム付き偏光板を基板
の上下に配置しても良い。
【0085】本発明のプラズマアドレス液晶表示装置に
は、上記実施形態1のA〜I項に記載の物性値が同様に
適用され得るので、ここでは詳細な説明は省略する。プ
ラズマアドレス液晶装置に独特の特徴について以下に説
明する。
【0086】プラズマアドレス液晶装置においては、上
記のG項の半導電体保護膜(誘電体シート保護膜)44は誘
電体シート33と液晶配向膜41との間に設けられることが
好ましい。この場合、データ電極40とアノードAとの間
の駆動信号は、誘電体シート33および誘電体シート保護
膜44を通して液晶層に加えられる。このため、誘電体シ
ート33(誘電体シート保護膜44を含んでもよい)では、電
荷の2次元的な拡散を抑制して蓄積した電荷を効率よく
除去するために、その体積抵抗値が107〜101 4Ω・cmの範
囲であることが好ましい。誘電体シート保護膜44を用い
る場合には、誘電体シート33に比べて、より薄い膜で形
成するほうが特に効果的であり、この薄膜の厚さが30〜
300nmの範囲であることが好ましい。形成する膜厚が300
nmよりも大きい場合には電極間で導通するなど表示不良
の原因となり、一方、膜厚が30nmよりも小さい場合に
は、十分に電荷を除去することが困難となるだけでな
く、プラズマ放電部から輻射する微量の紫外線遮光効果
も十分に得られなくなる。さらに、プラズマアドレス液
晶表示装置にこれらの誘電体シート保護膜44を適用する
場合には、その材料にTiO2等の微粒子を含有させて、プ
ラズマ基板32から輻射される波長320nm以下の紫外光の
透過を抑制する機能を兼ね備えることも効果的である。
また、これらの無機微粒子等を含む誘電体シート保護膜
44を形成した誘電体シート33においては、見かけの強度
が増大する。よって、プラズマアドレス液晶セルの張り
合わせ時、材料の注入時、およびその他の製造工程にお
けるパネルの破壊に対しても大幅な改善効果が得られ
る。
【0087】本発明のプラズマアドレス液晶表示装置
は、上述したような配向膜材料を用いて、任意の適切な
方法により作製され得る。例えば、TFT基板などの駆
動側基板の代わりに、プラズマ基板32を用いること以外
は、上記実施形態1の液晶表示装置と同様にして作製さ
れる。プラズマ基板32もまた、任意の適切な方法を用い
て作製される。一例を以下に示す。基板34上にアノード
AとカソードKが対になった複数の電極群を形成し、各
電極を隔てるようにガラスペーストなどを用いて隔壁37
を形成する。次いで、隔壁37上にガラスなどからなる基
板33を任意の適切なシール剤で貼り合わせて、放電空間
35を規定する。その後、放電空間35に、任意の適切なプ
ラズマを発生する気体を充填して、プラズマ基板を形成
する。このようにして作製されたプラズマ基板32を用い
て、本発明のプラズマアドレス液晶表示装置を製造し得
る。
【0088】
【実施例】以下、本発明の実施について具体的な例を挙
げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0089】実施例および比較例で作製した液晶表示装
置の特性評価条件を以下に示す。
【0090】配向膜材料の膜容量CAL;LCRメーターを
用い、25℃、0.01Hzの条件で測定した。
【0091】時定数τAL;エレクトロメーターを用いた
測定(25℃)で求めた体積抵抗率ρをもとに式3から算出
した。
【0092】電気光学特性(透過率)の評価;液晶特性評
価システムLCD-5000(大塚電子社製)を用い、2枚のガラ
ス基板の両側に偏光板を平行ニコルに配置したセルをリ
ファレンスとして電圧−透過率特性を測定した。
【0093】残留DC電圧の評価;RDC-1(東陽テクニカ社
製)を用い、キャパシター誘電吸収法により、DC10Vを2
5℃で30分印加後に1秒間ショートさせ、10分経過後の
電圧値を測定した(測定温度;25℃)。
【0094】イオン密度の評価;MTR-1(東陽テクニカ社
製)を用い、25℃で印加電圧10V、三角波周波数0.01Hz
で測定し、イオンの電気量総和は、電流ピークを三角波
で近似し、その面積から求めた。
【0095】電圧保持率特性の評価;VHR-1(東陽テクニ
カ社製)を用い、±5Vの矩形波を選択パルス60μ秒の電
圧印加後、1フレーム(30Hz;16.67m秒)での電圧保持率
を25℃で測定した。
【0096】残像評価A;60℃で表示エリア上に固定パ
ターンを所定の時間について印加した後、パターン印加
を止めて、表示残像(焼き付け残像)を観察し評価した。
ただし、評価基準は以下の通りである。 残像レベル1;数分以内で焼き付け残像が消失する軽微
な残像レベル 残像レベル2;10分程度で焼き付け残像が消失するよう
な残像レベル 残像レベル3;30分以上でも焼き付け残像が消失しない
ような残像レベル。
【0097】残像評価B;プラズマアドレス液晶表示装
置を室温下で駆動し、固定パターン残像を評価した。た
だし、評価基準は以下の通りである。 残像レベルa;1時間を超えても焼き付け残像が消失し
ない残像レベル 残像レベルb;1時間以内で焼き付け残像が消失する残
像レベル 残像レベルc;30分以内で焼き付け残像が消失する残像
レベル。
【0098】(実施例1)ITO(酸化インジウムおよび酸化
スズの混合物;50nm)からなる透明電極を有する1.1mm厚
の2枚のガラス基板1,2を用い、一方のガラス基板に
図6に示すように5μmのスペーサ21を含んだパターニン
グ壁22(ネガ型フォトレジスト材料によりパターン形成)
を高さ2.7μmになるように形成した。次いで、下表1に
示したような物性値を有する液晶配向膜材料を両基板に
塗布した後、両基板をシール樹脂を介して貼り合わせる
ことにより液晶セルを構成した。
【0099】
【表1】
【0100】この様にして作製した液晶セルに、液晶材
料として、ZLI-4792(メルク社製;カイラル剤S-811でカ
イラルピッチをセル間で90°に調整)0.92g、イソボルニ
ルアクリレート0.02g,R-684(日本化薬社製)0.01g、お
よび光重合開始剤Irgacure651 0.001gを均一に混合し
て得られた前駆体混合物を真空注入法で液晶セルに注入
し、水平モードの液晶層を得た。
【0101】材料注入後、3Vrms、60Hzの矩形波を印加
しながら紫外線露光を行って液晶領域中の液晶分子の配
向状態を安定化させた。こうして得られた液晶パネルを
偏光顕微鏡下で観察したところ、図7に示すように重合
体壁7に囲まれた液晶領域8が認められ、この液晶領域
8に放射状の消光模様23が観察されたことから、液晶領
域8の中央付近の対称軸を中心に軸対称状の配向状態に
なっていることが確認された。軸対称状配向において
は、分子軸が偏光板の偏光軸に平行な液晶分子と分子軸
が偏光板に対して傾いている液晶分子とが連続的に存在
する。その結果、放射状の消光模様が観察された。
【0102】このようにして作製した液晶パネルの両側
に偏光板をその偏光軸が互いに直交するように配置して
貼り合わせ、得られた液晶表示装置の特性を評価した結
果を表2に示す。
【0103】
【表2】
【0104】(実施例2〜4および比較例1〜4)表1に
示した配向膜材料を用いたことと、水平モードまたは垂
直モードに対応させて液晶材料を変えたこと以外は実施
例1と同様にして液晶表示装置を得た。ここで、水平モ
ードの実施例2および比較例1,2には、実施例1と同
じく、液晶材料として、ZLI-4792(メルク社製;カイラ
ル剤S-811でカイラルピッチをセル間で90°に調整)0.92
g、イソボルニルアクリレート0.02g,R-684(日本化薬社
製)0.01g、および光重合開始剤Irgacure651 0.001gを
均一に混合して得られた前駆体混合物を真空注入法で液
晶セルに注入した。一方、垂直モードの実施例3,4お
よび比較例3,4には液晶材料として、Nn型液晶材料
(△ε=-3.2、△n=0.08、セル間で90°ツイストとなる
ように液晶材料固有のツイスト角を設定)、光重合性2
官能樹脂、および光重合開始剤から構成される前駆体混
合物を同様に液晶セル内に注入した。光重合性2官能樹
脂は、液晶材料全体に対して0.4重量%、光重合開始剤
は、光重合性樹脂に対して5重量%添加した。これらの
液晶パネルの特性評価結果を表2に付記した。
【0105】上記で示したように、本発明で規定した構
成材料の物性値の最適化は焼き付け残像を抑制するため
には重要であることが確かめられた。また、本発明にお
いて規定する構成材料の物性値は25℃の条件下で測定し
た時の値で示しているが、一般的には、イオン密度や残
留DC電圧などは高温ではより大きな値をとり、電圧保持
率などは高温ほど低下し、残像レベルが低下する傾向が
あると考えられる。
【0106】(実施例5)TFT基板のバスライン上に配線
段差を考慮して感光性材料のパターニング工程を経てセ
ルスペーサー(柱状パターン)を形成した後、下記表3で
示した物性値を有する配向膜材料を塗布し、カラーフィ
ルタ付き対向基板(TFT基板側と各々同一の配向膜材料を
塗布)と貼り合せて、TFT液晶パネルを得た。このパネル
の液晶セル厚は5.0μmで設計した。
【0107】
【表3】
【0108】こうして作製したTFT液晶パネルに実施例
5ではNn型液晶材料(△ε=-3.2、△n=0.08、セル間
で90°ツイストとなるように液晶材料固有のツイスト角
を設定)のみを真空注入法で注入し、実施例1と同様の
処理工程を経て液晶パネルを作製した。
【0109】次いで、TFT液晶パネルの両側にリタデー
ション値が(nx-ny)・df=40nm、(nx-nz)・df=200nm位相
差板の光学補償フィルムおよびその外側に偏光板を直交
ニコルに配置した。これらのフィルムは各偏光板の吸収
軸に対して、各々位相差補償フィルムの遅延軸方向が直
交するように配設した。
【0110】これらのTFT液晶パネルに絵出し用回路を
接続し、画像信号源としてパターン発生機を接続して、
TFTパターン残像(格子パターン(黒地に白の格子縞))の
表示をさせ、60℃で24時間後にパターンを除いた後、表
示を画面全体を白から黒へ、順次階調を落としながら残
像の様子を観察した。残像は認められなかった。なお、
このパネルでは位相差フィルムの補償効果により、全方
位にわたる広視野角な表示が得られた。
【0111】(実施例6および比較例5)実施例6および
比較例5では、表3に示した配向膜材料を用いたこと
と、上記実施例3と同一の材料を各々真空注入で注入し
たこと以外は実施例5と同様にして液晶表示装置を得
た。
【0112】実施例6では残像が認められなかった。一
方、比較例5では上記、残像レベル3の焼き付け残像が
観察された。
【0113】なお、これらのパネルでは位相差フィルム
の補償効果により、全方位にわたる広視野角な表示が得
られた。
【0114】(実施例7)図4に示すようなプラズマアド
レス液晶表示装置を実際に作製した。具体的手順は以下
の通りである。
【0115】最初に、プラズマ基板32を作製した。具体
的には、基板34上にアノードAとカソードKが対になっ
た複数の電極群を形成し、各電極を隔てるようにライン
状に隔壁37を形成した。次いで、隔壁37上に誘電体シー
トとして薄板ガラス基板33をシール剤で貼り合わせて、
放電空間としてライン状のチャンネル35を規定した。そ
の後、放電空間35に、プラズマを発生する気体を充填し
てプラズマ基板32を得た。さらに、薄板ガラス基板33の
チャンネル35と反対側に以下の表4に示す誘電体シート
保護膜44を形成し、その上に液晶配向膜として、以下の
表4に示す垂直配向膜41を形成した。
【0116】次に、対向基板として透明なガラス基板38
上にカラーフィルタ42を形成し、さらにストライプ状の
データ電極(液晶信号電極)40を形成し、その上に液晶配
向膜として、以下の表4に示す垂直配向膜41を形成し、
構造体として柱状スペーサー43を形成した。このように
して得られたプラズマ基板32と対向基板38とを、ストラ
イプ状の液晶信号電極40が、ライン状のチャンネル35に
対して交差して、垂直方向に配線されてるように貼り合
わせて液晶パネルを作製した。基板38と薄板ガラス基板
33との間のセル厚は、柱状スペーサ43にて一定に維持さ
れている。なお、柱状スペーサ43を形成し、次いで配向
膜41を形成しても良い。
【0117】作製したパネル中に実施例6と同一の液晶
材料を注入した後、液晶層に電圧を印加すると共に、紫
外線露光を行って軸対称配向を定着させた。
【0118】このように構成された液晶表示装置の対向
基板の外側に偏光板(不図示)を設け、プラズマ基板の外
側に偏光板とバックライト(共に不図示)とを設けた。
【0119】作製したパネルの残像評価結果も併せて表
4に記載する。
【0120】
【表4】
【0121】(実施例8および比較例6〜比較例8)表4
に示した配向膜材料および誘電体シート保護膜材料を用
いたこと以外は実施例7と同様にしてプラズマアドレス
液晶表示装置を得た。これらの作製したパネルの残像評
価結果も併せて表4に記載する。
【0122】表4に示すように、実施例7および8は長
時間にわたる固定パターンの表示後も残像の生じない良
好な表示特性を示し、比較例6〜8に比べて、残像現象
を効果的に低減することが可能であった。
【0123】位相差フィルム付き偏光板を基板の上下に
配置した本実施例のプラズマアドレス液晶表示装置で
は、従来の液晶パネルと比較して広視野角特性に優れる
ことが確認された。
【0124】さらに、実施例7などで用いた保護膜層を
施したプラズマアドレス液晶パネルでは誘電体シートを
通して輻射される波長320nmの紫外光強度を大幅に削減
できることが確認され、パネルの表示信頼性の観点でも
効果が有ることが確かめられた。
【0125】
【発明の効果】本発明によれば、液晶配向膜の時定数τ
AL、液晶パネルの残留電圧値、およびイオン密度などの
物性値の組み合わせを最適化して規定することにより、
電圧印加を解除した後でも、次の表示信号選択時にも、
前の表示が残らない(すなわち、表示画像の焼き付け残
像のない)液晶表示装置が提供される。さらに、プラズ
マアドレス液晶表示装置に関してもパネルを構成する液
晶材料や配向膜材料の物性値の最適化や誘電体シート層
の選定などの最適化で多層誘電体界面に残留する電荷が
主原因となる焼き付け残像現象を効果的に低減すること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における液晶表示装置の模
式図である。
【図2】液晶セルの電圧保持率と材料時定数の逆数との
関係を示す図である。
【図3】残留DC電圧と材料時定数の逆数との関係を示す
図である。
【図4】本発明の一実施形態におけるプラズマアドレス
液晶表示装置の模式図である。
【図5】本発明の一実施形態におけるプラズマアドレス
液晶表示装置の模式図である。
【図6】実施例1〜4および比較例1〜4において作製
したパターニング壁を有する基板の模式図である。
【図7】実施例1〜4および比較例1〜4の液晶表示装
置を偏光顕微鏡で観察した様子を示す模式図である。
【図8】視角によるコントラストの変化を説明するため
の模式図であり、ASMモードの液晶表示装置の断面図
である。(a)は白表示時、(b)は中間調表示時、(c)は
黒表示時を示す。
【図9】視角によるコントラストの変化を説明するため
の模式図であり、従来のTNモードの液晶表示装置の断
面図である。
【図10】液晶セルの等価回路の概略図である。
【符号の説明】
1、2 基板 3 構造体 4、5 配向膜 8 液晶領域 10 液晶パネル 21 スペーサ 22 パターニング壁 23 消光模様 32 プラズマ基板 33 誘電体シート(薄板ガラス) 34 基板 35 放電空間(チャンネル) 37 隔壁 38 基板 39 液晶層 41 液晶配向膜 43 構造体(柱状スペーサ) 44 誘電体シート保護膜 100 液晶表示装置 200 プラズマアドレス液晶表示装置 a、a’ 紫外線透過領域 b 紫外線遮光領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−11278(JP,A) 特開 平5−34666(JP,A) 特開 平5−196943(JP,A) 特開 平5−297357(JP,A) 特開 平6−148637(JP,A) 特開 平6−258663(JP,A) 特開 平6−317786(JP,A) 特開 平7−218916(JP,A) 特開 平7−294894(JP,A) 特開 平8−262447(JP,A) 特開 平10−7906(JP,A) 特開 平10−121049(JP,A) 特開 平10−133206(JP,A) 特開 平11−38418(JP,A) 特開 昭63−115133(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/13 - 1/141

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれが平行に設けられた複数の隔壁
    を有するプラズマ基板と、該プラズマ基板に対向して配
    置された対向基板と、該プラズマ基板と対向基板との間
    に設けられた液晶層と、該液晶層と接するように、該プ
    ラズマ基板および対向基板と該液晶層との間にそれぞれ
    設けられた液晶配向膜とを有し、 前記プラズマ基板は、隣接する隔壁と誘電体シートによ
    って囲まれた放電空間を有し、各放電空間の内部に、プ
    ラズマを発生する気体がそれぞれ充填されるとともに放
    電電極がそれぞれ設けられており、 前記対向基板は、前記各放電空間と直交する方向にそれ
    ぞれ設けられた複数のデータ電極を有し、 前記液晶層は、液晶組成物を有する液晶領域に接するよ
    うに設けられた構造体を有し、 前記各液晶配向膜のシート抵抗値RALと膜容量CALとの
    積の値で定義される時定数τALが、4000秒以下であ
    って、前記液晶配向膜の前記膜容量CALが、5nF〜2
    00nFであり、さらに、誘電体シートの体積抵抗値が
    107〜1014Ω・cmである、プラズマアドレス液晶
    表示装置。
  2. 【請求項2】 前記液晶層の残留DC電圧値が、100
    mV以下である、請求項1に記載のプラズマアドレス液
    晶表示装置。
  3. 【請求項3】 前記誘電体シート上に誘電体シート保護
    膜が設けられており、該誘電体シート保護膜の体積抵抗
    値が107〜1014Ω・cmである、請求項1または2
    に記載のプラズマアドレス液晶表示装置。
  4. 【請求項4】 前記誘電体シート保護膜の膜厚が30〜
    300nmの範囲である、請求項3に記載のプラズマア
    ドレス液晶表示装置。
  5. 【請求項5】 前記誘電体シート保護膜が波長320n
    m以下の紫外光の透過を抑制する機能を有する、請求項
    1に記載のプラズマアドレス液晶表示装置。
  6. 【請求項6】 前記液晶層の液晶組成物が負の誘電異方
    性を有し、前記液晶配向膜が垂直配向性を有する、請求
    項1から5のいずれかに記載のプラズマアドレス液晶表
    示装置。
  7. 【請求項7】 前記構造体が軸対称状に配列され、かつ
    前記液晶領域の液晶組成物における液晶分子が軸対称状
    に配向している、請求項1から6のいずれかに記載のプ
    ラズマアドレス液晶表示装置。
  8. 【請求項8】 前記液晶領域が、表示を行う最小単位で
    ある画素領域に対応して、複数の領域に構造体で規則的
    に区切られて配設されている、請求項7に記載のプラズ
    マアドレス液晶表示装置。
  9. 【請求項9】 前記誘電体シート保護膜がTiO2の微
    粒子を含有している、請求項1に記載のプラズマアドレ
    ス液晶表示装置。
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