JP3527396B2 - 波形記録装置および波形再生装置 - Google Patents

波形記録装置および波形再生装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は波形記録装置および
波形再生装置に関し、特に、データの圧縮記録のために
所定周期毎にサンプリングした波形データを波形メモリ
に記録し、再生時には当該記録された波形データを読み
出すとともにサンプルポイント間の波形データ値を補間
により得て出力するようになされた電子楽器の波形記録
および再生方式に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子ピアノ、電子キーボード、シンセサ
イザ等の電子楽器では、鍵盤部の鍵操作により演奏を行
うことができるようになされている。そして、この演奏
の際に発音されるアナログの楽音信号は、電子楽器の内
部にある波形メモリにあらかじめ記憶されている複数種
類のデジタル楽音波形データを用いて生成するようにな
されている。
【0003】すなわち、まず、鍵盤部の鍵を演奏者が操
作すると、その操作状態を表す鍵情報や、操作パネル部
の各操作子により設定されている音色などの楽音パラメ
ータ情報に基づいて、上記波形メモリの中から対応する
楽音波形データが読み出される。そして、この読み出さ
れた楽音波形データが加工されて所望とする楽音が生成
されるようになっている。
【0004】この種の電子楽器では一般に、アナログの
楽音信号を所定周期毎にサンプリングして得た波形デー
タ(各サンプルポイントにおける波形ポイントデータ値
の集合)が波形メモリに記録される。このとき、サンプ
リング周期を短くしてサンプルポイントの数を多くすれ
ばする程、得られる楽音波形データはより元の波形に近
くなる。しかし、それでは波形メモリの記憶量が大きく
なってしまう。
【0005】そこで、波形メモリのサイズを小さく抑え
つつより元波形に近い波形を得ることができるようにす
るために、サンプルポイントの数を増やさずに波形デー
タを記録し、再生時に読み出した波形ポイントデータか
ら各サンプルポイント間の波形データ値を補間すること
が考えられた。
【0006】従来、この補間の手法は、比例演算により
2つの波形ポイントデータを直線補間するものであっ
た。しかし、これでは再生波形を元の波形に近づけるこ
とに関しては不十分であることから、例えば特開平3−
204696号公報に記載されるような手法が更に提案
された。
【0007】この公報に記載の手法は、図11に示すよ
うに、2つの波形ポイントデータs(n),s(n+1)を直線補
間することによって得られる中間演算ポイントデータsm
(n)と、当該中間ポイントにおける真の波形データ値m
(n)との差分データa(n)を、上記波形ポイントデータs
(n)と共に波形メモリに記録する。そして、押鍵に応じ
て波形メモリから楽音波形データを読み出すときに、直
線補間によって得た中間演算ポイントデータsm(n) に対
して差分データa(n)を加算することにより、より本来の
波形に近い波形を発生できるようにしたものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、補間に
用いる2つの波形ポイントデータの差が大きくなる程、
中間ポイントにおける補間データと真の波形データ値と
の差も大きくなる可能性が出てくる。特に、元の波形が
高調波を多く含む波形である場合には、補間データとの
差が大きくなる可能性が増大する。このように差が大き
くなる場合は、差分データa(n)の値も大きなものとな
る。そのため、上記従来の手法では、差分データa(n)を
記憶するための記憶領域をある程度大きく確保する必要
があった。
【0009】一方、元の波形のカーブによっては、2つ
の波形ポイントデータの差が大きくなっても、上記中間
ポイントにおける補間データと真の中間波形データ値と
の差が大きくならないこともある。この場合は、差分デ
ータa(n)の値は小さくなり、割り当てられた記憶領域に
無駄が生じてしまうという問題があった。このことは、
楽音波形データを圧縮記録して波形メモリのサイズを小
さくするという趣旨に反するものである。
【0010】また、汎用的なメモリは、1つの番地が1
または複数バイト単位で構成されるため、上記公報に記
載の従来例では、波形ポイントデータs(n)と中間導出デ
ータとしての差分データa(n)とを合わせて16ビットデ
ータとしていた。そのため、差分データa(n)の記憶領域
を大きくすることによって、その分波形ポイントデータ
s(n)の記憶領域が小さくなってしまい、波形ポイントデ
ータs(n)自体の精度が落ちてしまうという問題もあっ
た。
【0011】なお、上記公報に記載の従来例では、別の
手法として、補間データと真の中間波形データ値との差
が大きい場合にも対応するために、中間導出データのた
めに割り当てられた記憶領域のビットを、波形ポイント
データs(n)に実際に加算する値のマンティッサ部と、こ
のマンティッサ部を波形ポイントデータs(n)のどのビッ
ト部分に加算するかを示す値のパワー部とに分ける手法
が示されている。しかしながらこの手法では、パワー部
があるために加算データ値の精度が粗くなり、得られる
中間波形ポイントデータの精度が落ちてしまうという問
題があった。
【0012】本発明は、このような問題を解決するため
に成されたものであり、汎用メモリを用いて楽音波形デ
ータを効率よく圧縮して記録できるようにするととも
に、その楽音波形データを読み出して発生する楽音の波
形をより本来の波形に近づけることができるようにする
ことを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の波形記録装置
は、連続する波形サンプル値間の中間波形値を上記波形
サンプル値間の差分を基準とした比率情報で表現し、上
記波形サンプル値と共に波形メモリに記録するようにし
たことを特徴とする。
【0014】本発明の他の特徴とするところは、上記波
形メモリは1つのアドレスが16ビットで成る汎用メモ
リであり、各アドレスに上記波形サンプル値と上記比率
情報とを合わせて16ビットとなるように順次記憶する
ことを特徴とする。
【0015】本発明のその他の特徴とするところは、上
記連続する波形サンプル値が互いに同一値となる場合
に、上記連続する波形サンプル値の中間波形値が上記波
形サンプル値よりも大きいか小さいかに応じて、一方の
波形サンプル値を僅かに大きくまたは小さくずらして記
憶することを特徴とする。
【0016】また、本発明の波形再生装置は、連続して
読み出される波形サンプル値間の中間波形値が上記波形
サンプル値間の差分を基準とした比率情報で表現されて
上記波形サンプル値と共に記録された波形メモリ手段
と、発音すべき音高に応じて変化する波形読出アドレス
の整数部に基づき、上記波形メモリ手段から、連続する
波形サンプル値と、上記中間波形値に対応する比率情報
とを読み出す読み出し手段と、上記読み出した連続する
2つの波形サンプル値と上記比率情報とから上記中間波
形値を算出する算出手段と、上記波形サンプル値と、上
記算出された中間波形値と、波形読出アドレスの小数部
とに基づき補間波形値を求める補間手段とを備えたこと
を特徴とする。
【0017】本発明の他の特徴とするところは、上記補
間手段は、上記波形読出アドレスの小数部が0.5より
小さいときは、上記連続する2つの波形サンプル値のう
ち時間的に前の波形サンプル値と、上記算出された中間
波形値とから上記アドレス小数部に対応した補間波形値
を算出し、上記波形読出アドレスの小数部が0.5以上
のときは、上記連続する2つの波形サンプル値のうち時
間的に後の波形サンプル値と、上記算出された中間波形
値とから上記アドレス小数部に対応した補間波形値を算
出することを特徴とする。
【0018】本発明のその他の特徴とするところは、上
記読み出し手段により読み出された連続する波形サンプ
ル値間の差分が所定値よりも小さいときに、その差分値
をより大きな値に置換する置換手段を更に備え、上記置
換した値と上記比率情報とから上記中間波形値を算出す
ることを特徴とする。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。まず、図1および図2を用いて本
発明の特徴を説明する。ここで、図1は、2つの連続す
る波形ポイントデータ値(波形サンプル値)からそれら
の間にある中間波形データ値を求める処理を説明するた
めの図であり、図2は、波形メモリに記録される楽音波
形データのフォーマットの例を示す図である。
【0031】図1に示すように、本実施形態では、2つ
の連続するサンプルポイントN,N+1における各波形
サンプル値から、それらの中間ポイントN+0.5 におけ
る中間波形データ値を求める。その際、図2に示すよう
に、波形メモリにサンプルポイントNの波形サンプル値
と共に記録しておいた差分率の情報、すなわち、各波形
サンプル値の差分を基準(例えば1)として、中間ポイ
ントN+0.5 における真の波形データ値(サンプリング
する前の本来の波形のレベル値)が当該基準に対してど
の割合のところに位置するかを表す情報を用いて、中間
波形データ値を求める。
【0032】すなわち、まず2つのサンプルポイント
N,N+1における各波形サンプル値の差分を求め、求
めた差分に対して上述の差分率を乗算する。そして、こ
の乗算によって得られた値をサンプルポイントNにおけ
る波形サンプル値に加算することにより、中間ポイント
N+0.5 における中間波形データ値を求める。図1の例
では、差分率は0/8〜7/8の8種類あり、このうち
差分率4/8の場合が通常に直線補間を行った場合に得
られる波形データ値に相当する。
【0033】このようにして、8種類の差分率のうちの
何れかによって求められる中間波形データ値(図1中に
黒丸●で示した8個の中間ポイントデータ値のうちの何
れか1つ)は、中間ポイントN+0.5 における真の波形
データ値とほぼ同じ値をとる。これにより、単純に直線
補間を行う場合に比べてより本来の波形に近い波形を発
生することができる。しかも、そのための演算を極めて
簡単に行うことができる。このように、本発明の特徴
は、波形サンプル値間の補間にあるのではなく、波形サ
ンプル値間の中間真値を効率よく導出することにある。
【0034】さらに、中間ポイントN+0.5 における真
値との差分の大きさ自体を情報として持つのではなく、
各波形サンプル値の差分に対してどの比率のところに真
値が存在するのかを差分率によって表しており、その差
分率は0/8〜7/8の8種類であるから、補間に用い
る2つの波形サンプル値の差が大きい場合にも小さい場
合にも僅か3ビットで対応できる。したがって、従来例
として挙げた特開平3−204696号公報のように、
波形メモリ内における中間導出データの記憶領域を大き
くとる必要がなく、かつ、当該記憶領域を有効に使うこ
とができる。
【0035】図2に示したように、本実施形態では、波
形メモリとして16ビットパラレルの汎用メモリを用
い、その下位12ビットに波形サンプル値を記録し、上
位4ビットに差分率の情報を記録するようにしている。
一般に、波形データは12ビットあれば元波形とほぼ同
一の精度の良い値が得られることが知られている。そこ
で、16ビットのうち12ビットを波形サンプル値のた
めに使い、残りの4ビットを差分率として有効に使うこ
とにより、波形データを効率的に圧縮して記録できるよ
うにするとともに、再生時にはより本来の波形に近い波
形が得られるようにしているものである。
【0036】このように、差分率の記憶領域には4ビッ
トが割り当てられるので、この4ビットをすべて使って
0/16〜15/16の16種類の差分率の情報を記録
するようにすることも可能である。この場合には、求め
られる中間ポイントデータ値は、中間ポイントN+0.5
における真の波形データ値に一層近いものとなり、波形
発生の精度を更に上げることができる。
【0037】なお、サンプルポイントNと中間ポイント
N+0.5 との間における波形データ値、および中間ポイ
ントN+0.5 と次のサンプルポイントN+1との間にお
ける波形データ値は、例えば図1に直線で示したよう
に、各ポイント間の直線補間によって求められる。
【0038】次に、上述のような本発明の特徴を実施し
た第1の実施形態を説明する。図3は、上述のような本
実施形態による波形記録再生方式を適用した電子楽器シ
ステムの全体構成を示す図である。
【0039】図3において、1は自然楽器であり、ピア
ノやオルガン、ギター、バイオリン等、異なる波形を有
する楽音を発生する楽器が必要に応じて用いられる。2
は自然楽器1から発せられる演奏音を検出するマイクで
ある。3はサンプラーであり、マイク2で検出したアナ
ログの演奏音を所定周期毎にサンプリングすることによ
り、デジタルの楽音波形データを生成して記憶する。4
は生成された楽音波形データを編集するコンピュータ、
5は電子ピアノ、電子キーボード、シンセサイザ等の電
子楽器である。
【0040】このように構成された電子楽器システムに
おいて、波形データの記録時には、まず、自然楽器1か
ら発せられる演奏音をマイク2で検出し、それをサンプ
ラー3に収音する。このサンプラー3としては、50K
Hz以上の高サンプリング周波数で動作し、波形データ
を16ビット以上の精度で記憶する高性能なものを使用
する。したがって、このサンプラー3に記憶されるデジ
タルの楽音波形データは、実際の演奏音とほぼ等しい波
形を有しているものである。
【0041】そして、このサンプラー3に記憶された楽
音波形データをコンピュータ4に供給し、このコンピュ
ータ4上で以下の述べるような編集を行う。すなわち、
第1に、波形データを利用する電子楽器5の再生周波数
(例えば44.1KHz)を考慮し、サンプリング定理
を十分に満足できる波形が得られる程度にローパスフィ
ルタをかける。
【0042】第2に、各サンプルポイントにおける波形
サンプル値間の比較や演算、または図1に示したような
差分率表(差分率が16種類ある場合は、それに対応す
るような図示しない差分率表)の参照により、電子楽器
5内の波形メモリ11に記憶すべき複数の波形サンプル
値と差分率とを算出する。これを図4を参照して説明す
る。
【0043】図4において、横軸は時間を示し、縦軸は
波形データ値(12ビットで表現可能な−2048〜2
047の値)を示している。また、実線で示した波形
は、サンプラー3に記憶された元波形の例を示してい
る。この元波形上に「●」と「+」とで表した複数の点
は、少なくともコンピュータ4上に記憶されている元波
形の真のデータ値(真値)を示している(ただし、この
真値はローパスフィルタにより多少は元波形と異なって
いる)。
【0044】コンピュータ4上では、サンプラー3にお
けるサンプリング周期よりも長い周期毎にサンプリング
したN+0,N+1,N+2,……の各サンプルポイン
ト上にある「●」で示す真値を、電子楽器5の波形メモ
リ11に書き込む12ビットの波形サンプル値として採
用する。また、これらの各サンプルポイントの中間位置
にある「+」で示す真値が波形サンプル値間の差分に対
してどの程度の比率のところにあるかを算出することに
よって、8種類あるいは16種類の中から何れか1つの
差分率を特定する。
【0045】このようにしてコンピュータ4上での編集
によって得られた複数の波形サンプル値と差分率との組
は、電子楽器5内の波形メモリ11に記録される。この
とき、16ビットで成る1つのアドレス空間に、12ビ
ットの波形サンプル値と4ビットの差分率とが1つの組
として記録される。また、この波形メモリ11には、自
然楽器1の音色、音域および各鍵の操作スピードに関す
るタッチ情報などに応じた種々の波形データが記録され
る。
【0046】このような波形データの記録処理は、例え
ばコンピュータ4内の図示しない記憶手段に格納された
プログラムに従って図示しないCPUにより実行され
る。この記憶手段は、本発明のコンピュータ読み取り可
能な記録媒体を構成する。記録媒体の例としては、RO
M、フロッピーディスク、ハードディスク、光ディス
ク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮
発性のメモリカードなどがある。
【0047】次に、電子楽器5における演奏時(波形メ
モリ11に記録された楽音波形データの再生時)の動作
を説明する。キーボード部12上で押鍵された鍵の鍵番
号は、アドレス発生部13に供給される。アドレス発生
部13は、その内部に図示しない周波数ナンバメモリを
有しており、上述の鍵番号はこの周波数ナンバメモリに
供給される。
【0048】この周波数ナンバメモリには、各鍵の鍵番
号ごとに、所望とする楽音周波数に対応する数値(整数
あるいは非整数の周波数ナンバ)があらかじめ記憶され
ている。そして、上記鍵番号に対応する周波数ナンバが
この周波数ナンバメモリから読み出され、これがアドレ
ス発生部13内の図示しない周波数ナンバ演算器に時分
割で供給される。
【0049】そして、この周波数ナンバ演算器により、
周波数ナンバメモリから時分割で送られてくる周波数ナ
ンバが累算される。このようにして生成された周波数ナ
ンバの累算値の整数部a8〜a32は、サンプルポイン
トN+0,N+1,N+2,……における波形サンプル
値の読み出し位置を指定するためのアドレス情報として
波形メモリ11に時分割で供給される。
【0050】これにより、波形メモリ11からは、上記
累算値の整数部a8〜a32に応じたアドレス情報に従
って、対応する12ビットの波形サンプル値が、同じア
ドレスに記録されている4ビットの差分率の情報と共に
読み出される。そして、こうして読み出された波形サン
プル値および差分率は、サンプルポイント補間部14に
供給される。
【0051】サンプルポイント補間部14では、図1を
用いて説明したような処理により、各サンプルポイント
間にある中間ポイントの中間波形データ値を算出する。
この中間波形データ値は、中間ポイントにおける真の波
形データ値とほぼ等しいものである。さらに、サンプル
ポイント補間部14では、上記周波数ナンバの累算値の
少数部a4〜a7を補間係数として、波形メモリ11か
ら読み出された波形サンプル値と、上述のようにして求
めた中間波形データ値との間をサンプル補間する。この
ようにして得られた補間データは乗算器15に供給され
る。
【0052】また、上記キーボード部12から時分割で
出力される鍵オン/オフ情報および鍵番号は、エンベロ
ープ発生部16にも供給される。そして、このエンベロ
ープ演算部16により所定の演算が行われ、例えばアタ
ック、ディケイ、サスティーン、リリースを有するエン
ベロープの演算値が生成される。こうして生成されたエ
ンベロープの演算値は、乗算器15に供給される。
【0053】乗算器15では、サンプルポイント補間部
14から供給される補間処理の施された波形データと、
エンベロープ発生部16から供給されるエンベロープ値
とが乗算されることにより、波形データの振幅が制御さ
れる。このようにして振幅制御が施された波形データ
は、デジタル形式の楽音信号として、次段に設けられて
いるD/Aコンバータ17に出力される。ここで波形デ
ータはアナログ信号に変換され、アンプ18を介してス
ピーカ19に与えられることにより、演奏音が発生され
る。
【0054】上述した波形メモリ11、アドレス発生部
13およびサンプルポイント補間部14などは、実際に
はCPU、ROMおよびRAMなどからなるマイクロコ
ンピュータシステムにより構成されており、一連の再生
処理は、上記ROMに格納されたプログラムに従ってC
PUにより行われる。この場合、ROMは本発明のコン
ピュータ読み取り可能な記録媒体を構成する。なお、記
録媒体の例としては、ROMの他に、フロッピーディス
ク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、C
D−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカードなど
がある。
【0055】ここで、図3の電子楽器5内に点線で示し
た部分のより詳しい構成例を、図5に示す。図5におい
て、図3に示したブロックと同じブロックには同一の符
号を付しており、波形メモリ11およびアドレス発生部
13以外の構成要素によりサンプルポイント補間部14
が構成される。
【0056】アドレス発生部13より発生された整数ア
ドレスa8〜a32は、各サンプルポイントにおける波
形サンプル値の読み出し位置を指定するためのアドレス
情報として波形メモリ11に時分割で供給される。これ
により、波形メモリ11からは、この整数アドレスa8
〜a32に従って、対応する波形サンプル値と差分率の
情報とが時分割で読み出される。そして、こうして読み
出された連続する2つのサンプルポイントn,n+1に
おける波形サンプル値および差分率の組は、第1、第2
のラッチ21,22にそれぞれラッチされる。
【0057】第1、第2のラッチ21,22に保持され
た各16ビットデータのうち、下位12ビットb0〜b
11で成る波形サンプル値f(n),f(n+1) は、それぞれ第
1の差分器23に供給される。第1の差分器23では、
第2のラッチ22の出力信号であるサンプルポイントn
+1における波形データ値f(n+1)から、第1のラッチ2
1の出力信号であるサンプルポイントnにおける波形デ
ータ値f(n)を減算することにより、連続するサンプルポ
イント間の波形データ値の差分d(n)を算出する。この差
分d(n)は、第1の乗算器24の一方の入力端子に供給さ
れる。
【0058】一方、上記第1のラッチ21に保持された
16ビットデータのうち、上位4ビットb12〜b15
で成る差分率情報rateは、上記第1の乗算器24の他方
の入力端子に供給される。第1の乗算器24では、第1
のラッチ21より入力される差分率情報rateと第1の差
分器23より入力される差分d(n)とを乗算する。なお、
差分率情報rateとしては、実際には0〜15の値が書き
込まれており、第1の乗算器24ではこれを16の値で
除算したものを差分率として計算する。
【0059】この第1の乗算器24より出力される乗算
結果g(n)は、サンプルポイントn,n+1の間の中間ポ
イントn+0.5 における波形データ値が、サンプルポイ
ントnにおける波形データ値f(n)に対してどれだけ差が
あるかを表すものである。第1の加算器25は、この第
1の乗算器24での乗算結果g(n)と、第1のラッチ21
より出力される波形サンプル値f(n)とを加算することに
より、上記中間ポイントn+0.5 における中間波形デー
タ値f(n+0.5)を求める。
【0060】こうして求められた中間波形データ値f(n+
0.5)は、セレクタ26の2つの端子A1,B0に供給さ
れる。また、このセレクタ26の端子A0には、第1の
ラッチ21より出力されるサンプルポイントnの波形サ
ンプル値f(n)が供給され、端子B1には、第2のラッチ
22より出力されるサンプルポイントn+1の波形サン
プル値f(n+1)が供給される。
【0061】このセレクタ26は、アドレス発生部13
より出力される4ビットの小数アドレスa4〜a7のう
ち、最上位ビットa7をコントロール信号として動作す
る。最上位ビットa7の値が“0”のときは入力端子A
0,A1に入力されるデータを出力端子C0,C1から
選択的に出力し、最上位ビットa7の値が“1”のとき
は入力端子B0,B1に入力されるデータを出力端子C
0,C1から選択的に出力する。
【0062】このセレクタ26は、サンプルポイントn
と中間ポイントn+0.5 との間(サンプルポイント間の
前半部)における波形データ値を直線補間によって求め
るか、中間ポイントn+0.5 と次のサンプルポイントn
+1との間(サンプルポイント間の後半部)における波
形データ値を直線補間によって求めるかを選択するもの
として機能する。すなわち、前半部の補間データを求め
るときは端子A0,A1のデータが選択され、後半部の
補間データを求めるときは端子B0,B1のデータが選
択される。
【0063】セレクタ26の出力端子C0,C1から出
力された各データは、それぞれ第2の差分器27に供給
される。第2の差分器27では、端子C1の出力データ
値から端子C0の出力データ値を減算することにより、
サンプルポイントnと中間ポイントn+0.5 との間、あ
るいは中間ポイントn+0.5 と次のサンプルポイントn
+1との間における波形データ値の差分d(n)′を算出す
る。この差分d(n)′は、第2の乗算器28の一方の入力
端子に供給される。
【0064】上記第2の乗算器28の他方の入力端子に
は、アドレス発生部13より出力された小数アドレスa
4〜a7のうち、下位3ビットa4〜a6が供給され
る。そして、この第2の乗算器28で、第2の差分器2
7より入力される差分d(n)′と、アドレス発生部13よ
り入力される小数アドレスa4〜a6で示される値とを
乗算し、更にその乗算結果g(n)′と、セレクタ26の端
子C0からの出力データとを第2の加算器29で加算す
ることにより、最終的に出力する補間波形データf(n+p)
を得る。
【0065】なお、図5の例では、差分器、乗算器およ
び加算器をそれぞれ2つずつ設けているが(第1の差分
器23、第1の乗算器24および第1の加算器25と、
第2の差分器27、第2の乗算器28および第2の加算
器29との2組)、第1、第2のどちらか一方のみを設
けてそれを時分割で用いるようにしても良い。
【0066】以上のように、本実施形態によれば、所定
周期毎にサンプリングして得た各波形サンプル値間の真
の中間ポイント波形データ値を、各波形サンプル値間の
差分を基準とした比率で、本来の波形サンプル値の量子
化ビットに比べて少ないビット数にて表現し、これを上
記波形サンプル値と共に記録するようにしたことによ
り、16ビットの汎用メモリで成る波形メモリ11に楽
音波形データを効率よく圧縮して記録することができ
る。
【0067】しかも、この楽音波形データを再生して演
奏音を発生する際には、上述の各波形サンプル値と対応
する差分率とから真の中間波形データ値を再現すること
ができる。さらに、この真の中間波形データ値を用いて
補間を行うことにより、真値を持つ2つの波形ポイント
間の距離を短くして補間を行うことができるようにな
り、単純に波形サンプル値間で直線補間を行う場合に比
べて、より本来の波形に近い波形を発生することができ
る。
【0068】なお、本実施形態では、サンプルポイント
NとN+0.5 との間、サンプルポイントN+0.5 とN+
1との間で直線補間を行っているが、2次曲線や3次曲
線などの様々な関数を用いた補間を行うようにしても良
い。このようにすれば、補間データ自体も本来の波形デ
ータ値に一層近づけることができる。
【0069】図6は、上述した本実施形態の補間処理に
より発生した波形データを示すものである。図6におい
て、実線で示す波形は、自然楽器1で発生された演奏音
の本来の波形(図3のサンプラー3に記憶された元波
形)を示している。また、「○」で表す複数の点は、波
形メモリ11に記録される各サンプルポイントの波形サ
ンプル値(真値)を示し、「●」で表す複数の点は、算
出される中間ポイントデータ値を示している。さらに、
「×」で表す複数の点は、最終的に小数アドレスa4〜
a7を補間係数として算出された補間波形データ値を示
している。
【0070】この図6から明らかなように、本実施形態
の波形記録再生方式によれば、汎用メモリを使って楽音
波形データを圧縮記録したにもかかわらず、再生時には
本来の波形に極めて近い波形を発生することができてい
る。しかも、以上のような補間処理は、単純な乗加算処
理によって極めて簡単に行うことができる。また、この
補間処理に使用する差分率情報のための4ビットの記憶
領域も有効に使うことができ、無駄がない。
【0071】なお、特許第2608938号公報には、
整数アドレスで読み出される波形サンプル値間の波形デ
ータ値を補間生成する際に、図12に示すように、当該
波形サンプル値間の各データ値がほぼ網羅されるように
16種類の折れ線関数M0 〜M15をあらかじめテーブル
として用意しておき、何れかの折れ線関数を選択して補
間を行う方法が開示されている。
【0072】しかしながら、この方法は、本実施形態の
ように中間ポイントn+0.5 における真値を算出して補
間を行うものでなく、様々な位置に折れ点が存在する様
々な関数をあらかじめテーブルとして用意しておくもの
である。このような関数は折れ点の前後で少なくとも2
つのファンクションを必要とするため、テーブルの作成
および管理が困難である。これに対して本実施形態の方
法によれば、簡単な演算だけで補間を行うことができ、
複雑なテーブルは用いる必要がないというメリットがあ
る。
【0073】次に、本発明の第2の実施形態について説
明する。連続するサンプルポイントN,N+1における
2つの波形サンプル値を結ぶ真の波形カーブは、当該各
波形サンプル値を2頂点とする長方形の範囲外に出る場
合がある。すなわち、図7に示すように、連続する波形
サンプル値の差分外に中間ポイントN+0.5 における真
の波形データ値が存在する場合もある。
【0074】そこで、第2の実施形態では、このような
波形にも対応できるようにするために、2つの波形サン
プル値の差分に対して乗算する差分率の値を、第1の実
施形態では0〜1の範囲内であったのを第2の実施形態
では0〜2の範囲内へと2倍まで拡大する。具体的に
は、差分率の情報記憶のために割り当てられるビット数
は4ビットであるので、ここには第1の実施形態と同様
に0〜15の何れかの値を記憶しておき、図5の第1の
乗算器24における計算を、 g(n)= d(n)×rate/8 とすれば良い。
【0075】なお、この第2の実施形態において、電子
楽器システムの全体構成およびサンプルポイント補間部
14の具体的構成は、上述した第1の乗算器24の構成
を除いて図3および図5に示す第1の実施形態と同様で
ある。また、波形メモリ11に記録される波形データの
フォーマットも、図2に示す第1の実施形態と同様であ
る。
【0076】このようにすることにより、2つの波形サ
ンプル値を結ぶ真の波形カーブが当該各波形サンプル値
の差分外に出るような場合でも、再生時においてその差
分外に存在する真の中間ポインデータ値を算出すること
ができ、真の波形に近い波形を再現することができるよ
うになる。このことは、上述した特許第2608938
号公報に記載の技術では達成することのできない優れた
メリットである。
【0077】次に、第3の実施形態について説明する。
上述した第2の実施形態によれば、真の中間ポイントデ
ータ値を算出し得る範囲として、2つの波形サンプル値
の差分の2倍の範囲までカバーすることができるが、差
分の値自体が小さい場合には、カバー範囲を2倍にとっ
ても不足であることがある。
【0078】ところが、このような場合を考慮して差分
率のカバー範囲を始めから2倍以上に増やしておくと、
各波形サンプル値の差分の値が小さい場合には概ね良好
の結果が得られるが、差分率情報が4ビットに制限され
ていることから、差分の値が小さくない場合(真の中間
波形データ値が差分内に存在する場合)には、差分率に
よって近似される中間ポイントデータ値の精度が粗くな
ってしまう。
【0079】そこで、第3の実施形態では、連続する波
形サンプル値の差分が所定値(例えば8または16)よ
りも小さいかどうかをまず判断し、そうであるときは、
差分値を強制的に最低限の分解能をカバーするビットま
で大きくするようにする。例えば、差分率情報が3ビッ
トならば差分値=8、4ビットならば差分値=16とす
る。そのために本実施形態では、図5の第1の差分器2
3と第1の乗算器24との間に、差分d(n)が所定値より
も小さいときに差分d(n)を強制的に最低限の分解能をカ
バーするビットまで大きくするプリセット部(図示せ
ず)を設ける。
【0080】なお、この第3の実施形態において、電子
楽器システムの全体構成およびサンプルポイント補間部
14の具体的構成は、上述のプリセット部を設けること
を除いて図3および図5に示す第1の実施形態あるいは
第2の実施形態と同様である。また、波形メモリ11に
記録される波形データのフォーマットも、図2に示す第
1、第2の実施形態と同様である。
【0081】このようなプリセット部を設けることによ
り、2つの波形サンプル値の差分が所定値よりも小さ
く、かつ、真の波形カーブが当該差分の範囲よりも遙か
外に出る場合(真の中間ポイントデータ値が波形サンプ
ル値の差分の遙か外に存在する場合)でも、その差分外
にある真の中間ポイントデータ値を容易に算出すること
ができ、真の波形に近い波形を発生することができる。
また、2つの波形サンプル値の差分が小さくない場合に
も、算出される中間ポイントデータ値の精度は粗くなら
ず、真の波形に近い波形を発生することができる。
【0082】次に、本発明の第4の実施形態について説
明する。以上に述べた第1〜第3の実施形態では、連続
するサンプルポイントN,N+1における波形サンプル
値の差分が0でないことを前提として説明してきたが、
図8に示すように、差分が0になる場合も存在する。こ
の場合、上述した第1〜第3の実施形態で説明した方法
では、算出される中間ポイントデータ値は各波形サンプ
ル値と同じ値になってしまう。しかし、中間ポイントN
+0.5 における真の波形データ値は、図8に示すように
各波形サンプル値と異なることが多い。
【0083】そこで、第4の実施形態では、波形メモリ
11に各サンプルポイントにおける波形サンプル値を記
録する際に、連続する波形サンプル値が同じ値にならな
いように記録する。すなわち、図3のコンピュータ4上
で波形データの編集を行って波形メモリ11に記録する
ときに、サンプラー3に記憶された波形データを参照
し、中間ポイントN+0.5 における真の中間波形データ
値がその両側にある同じ値の波形サンプル値に対して上
方あるいは下方のどちらに存在するかによって、一方の
波形サンプル値をわずかにずらして記録するようにす
る。
【0084】例えば、図4の例の場合、Aで示すサンプ
ルポイント区間では、連続するサンプルポイントN+
3,N+4における波形サンプル値は共に930であ
り、その差分が0となる。そして、これらの間にある真
の中間ポイントデータ値は950であり、両側の波形サ
ンプル値よりも上方にある。この場合、本実施形態で
は、サンプルポイントN+4における波形サンプル値を
わずかに上方にずらして(例えば値を931にして)記
録する。なお、真の中間ポイントデータ値が両側の波形
サンプル値よりも下方にあるときは、サンプルポイント
N+4における波形サンプル値をわずかに下方にずらし
て記録する。
【0085】このようにすることにより、連続する波形
サンプル値間で必ず差分が生じるようにすることがで
き、再生時にその差分をもとにしてより本来の波形に近
い波形を発生することができる。この場合、差分の値は
小さくなるので、上述した第3の実施形態を組み合わせ
て適用するのが好ましい。なお、波形サンプル値をずら
して記録することにより、本来の波形と多少の誤差が生
じるが、12ビット精度で記録される波形サンプル値の
僅か最下位1ビットをずらして記録しても、聴感上ほと
んど問題ない。
【0086】次に、本発明の第5の実施形態について説
明する。第5の実施形態では、図1に示したような差分
率表の代わりに図9に示すような差分率表を用いる。図
1の差分率表は、差分率として正の値のみを採用したも
のであるが、これに対して図9の差分率表は、差分率と
して正の値および負の値の両方を採用したものである。
【0087】このような差分率表を用いることにより、
第2の実施形態で述べたように真の中間ポイントデータ
値がその前後の波形サンプル値の差分域を正の側(差分
率が1以上の側)にはみ出している場合だけでなく、負
の側(差分率が負の値の側)にはみ出している場合にも
正確な中間ポイントデータを求めることができ、本来の
波形に近い波形を再現することができる。
【0088】この図9のような差分率表を用いるために
は、図10のように、第1のラッチ21の後段に差分率
変換テーブル31が必要になる。差分率変換テーブル3
1は、第1のラッチ21から出力される0,1,2,…
…,15の値をそれぞれ−3/8,−2/8,−1/
8,……,12/8のrate値に変換するためのテーブル
である。このテーブルは、記憶波形に応じて切り替える
ようにしても良い。
【0089】この場合、図2の上位4ビット b12〜b15
に記録される0〜15のデータは、差分率変換値として
機能するものである。また、第1の乗算器24は、差分
率変換テーブル31から与えられるrate値そのものを差
分d(n)に乗算する。なお、上述した第1〜第4の実施形
態でも、このように差分率変換テーブルを用いて構成し
ても良い。
【0090】また、この第5の実施形態では、第3の実
施形態で述べたプリセット機能を実現するための構成と
して、第1の差分器23と第1の乗算器24との間にプ
リセット部32を設けている。
【0091】本実施形態では以上のように構成すること
により、例えば図4のB,Cで示すサンプルポイント区
間のように、連続する波形サンプル値の差が8以上で、
真の中間ポイントデータ値が前後の波形サンプル値の差
分域に存在しない場合でも、図9の差分率表を利用して
差分率変換値を波形メモリ11に記録することにより、
再生時に正確な中間ポイントデータ値を算出することが
できる。
【0092】また、例えば図4のA,Dで示すサンプル
ポイント区間のように、連続する波形サンプル値の差が
8未満であるときは、波形サンプル値の差分が8である
と考えて中間ポイントデータ値のための差分率変換値を
設定し、再生時にプリセット部32で差分d(n)を強制的
に8にセットすることにより、正確な中間ポイントデー
タ値を算出することができる。
【0093】以上に述べた第3〜第5の実施形態におけ
るメリットも、上述した特許第2608938号公報に
記載された従来の技術では達成することのできない優れ
たメリットである。
【0094】なお、以上に説明した図1、図7および図
9に示す差分率表は、本発明の単なる例示に過ぎず、こ
れに限定されるものではない。差分率表を様々な形態と
することによって、様々な波形に対応することが可能で
ある。この場合において、記憶波形に応じて差分率表を
切り替えて利用できるように構成しても良い。このこと
は、差分率を用いて真の中間ポイントデータ値を算出す
るようにした本発明に特有のメリットであり、上述した
特許第2608938号公報に記載の技術では達成する
ことはできない。
【0095】また、波形メモリ11は1つのアドレスが
16ビットで、波形サンプル値を12ビット、差分率情
報を4ビットとして合わせて16ビットとしたが、本発
明はこれに限定されるものではなく、例えば波形サンプ
ル値が11ビットで差分率情報が5ビット、または波形
サンプル値が13ビットで差分率情報が3ビットとして
も良い。このようにしても同様の効果が得られる。
【0096】また、以上の各実施形態では、整数アドレ
スに対して12ビットの波形サンプル値、小数の0.5 ア
ドレスに対して4ビットの差分率を記録する方式として
説明したが、偶数アドレスに12ビットの波形サンプル
値の一部を、奇数アドレスに波形サンプル値の残りと4
ビットの差分率とを記録する方式であって、それら偶数
アドレスと奇数アドレスの情報を混在して16ビット
(1ワード)データとして波形データを記録していると
して処理することも可能である。すなわち、この場合は
1アドレス当たり8ビット(1バイト)の情報量である
が、連続する2アドレスを12ビット+4ビットのデー
タで表現したと考えることができる。
【0097】また、中間ポイントデータ値を導出するた
めの差分率の求め方は、図1などに示したように、連続
する2つの波形サンプル値間を直線補間した値を中心と
して8等分(または16等分)しているが、本発明はこ
れに限らず、3ポイント以上の波形サンプル値間を曲線
補間(2次関数や3次関数等による補間)した値、また
は適当な係数による畳み込み演算(平滑化関数等)によ
り求めた値を中心として、等分でない任意の8分割(ま
たは16分割)とすることも可能である。この方法を用
いた方が、波形再生時のS/N比が良くなる(折り返し
ノイズが小さくなるため)。
【0098】
【発明の効果】本発明は上述したように、連続する波形
サンプル値間の中間波形値を波形サンプル値間の差分を
基準とした比率情報で表現し、波形サンプル値と共に波
形メモリに記録するようにしたので、汎用メモリで成る
波形メモリに波形データを効率よく圧縮して記録するこ
とができる。
【0099】また、発音すべき音高に応じて変化する波
形読出アドレスの整数部に基づき、波形メモリから連続
する2つの波形サンプル値と、その中間アドレスの中間
波形値に対応する比率情報とを読み出し、読み出した連
続する2つの波形サンプル値と比率情報とから中間アド
レスの中間波形値を算出するようにしたので、波形メモ
リに波形データを圧縮して記録したにもかかわらず、波
形再生時には本来の波形上の中間波形値を正確に算出し
て本来の波形に極めて近い波形を発生することができ
る。しかも、そのような処理は、単純な演算処理によっ
て極めて簡単に行うことができるとともに、この再生処
理に使用する比率情報の記憶領域を有効に使うことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2つの連続する波形サンプル値からそれらの間
にある中間波形データ値を求める処理を説明するための
図である。
【図2】波形メモリに記録されるデータのフォーマット
の例を示す図である。
【図3】本実施形態による波形記録再生方式を適用した
電子楽器システムの全体構成を示す図である。
【図4】波形メモリに記録すべき波形サンプル値および
差分率の導出手順を説明するための図である。
【図5】電子楽器内の波形メモリ、アドレス発生部、サ
ンプルポイント補間部の一構成例を詳しく示す図であ
る。
【図6】本実施形態による波形再生結果を示す図であ
る。
【図7】本発明の第2の実施形態を説明するための図で
ある。
【図8】本発明の第4の実施形態を説明するための図で
ある。
【図9】本発明の第5の実施形態を説明するための図で
ある。
【図10】本発明の第5の実施形態を示すものであり、
電子楽器内の波形メモリ、アドレス発生部、サンプルポ
イント補間部の一構成例を詳しく示す図である。
【図11】従来の波形データ補間手法を説明するための
図である。
【図12】従来の他の波形データ補間手法を説明するた
めの図である。
【符号の説明】
3 サンプラー 4 コンピュータ 11 波形メモリ 13 アドレス発生部 14 サンプルポイント補間部 21,22 ラッチ 23,27 差分器 24,28 乗算器 25,29 加算器 26 セレクタ 31 差分率変換テーブル 32 プリセット部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10H 7/02 G10L 19/00 H03M 3/00 - 3/04

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続する波形サンプル値間の中間波形値
    を上記波形サンプル値間の差分を基準とした比率情報で
    表現し、上記波形サンプル値と共に波形メモリに記録す
    るようにしたことを特徴とする波形記録装置。
  2. 【請求項2】 上記波形メモリは1つのアドレスが16
    ビットで成る汎用メモリであり、各アドレスに上記波形
    サンプル値と上記比率情報とを合わせて16ビットとな
    るように順次記憶することを特徴とする請求項1記載の
    波形記録装置。
  3. 【請求項3】 上記連続する波形サンプル値が互いに同
    一値となる場合に、上記連続する波形サンプル値の中間
    波形値が上記波形サンプル値よりも大きいか小さいかに
    応じて、一方の波形サンプル値を僅かに大きくまたは小
    さくずらして記憶することを特徴とする請求項1または
    2記載の波形記録装置。
  4. 【請求項4】 連続して読み出される波形サンプル値間
    の中間波形値が上記波形サンプル値間の差分を基準とし
    た比率情報で表現されて上記波形サンプル値と共に記録
    された波形メモリ手段と、 発音すべき音高に応じて変化する波形読出アドレスの整
    数部に基づき、上記波形メモリ手段から、連続する波形
    サンプル値と、上記中間波形値に対応する比率情報とを
    読み出す読み出し手段と、 上記読み出した連続する2つの波形サンプル値と上記比
    率情報とから上記中間波形値を算出する算出手段と、 上記波形サンプル値と、上記算出された中間波形値と、
    波形読出アドレスの小数部とに基づき補間波形値を求め
    る補間手段とを備えたことを特徴とする波形再生装置。
  5. 【請求項5】 上記補間手段は、上記波形読出アドレス
    の小数部が0.5より小さいときは、上記連続する2つ
    の波形サンプル値のうち時間的に前の波形サンプル値
    と、上記算出された中間波形値とから上記アドレス小数
    部に対応した補間波形値を算出し、 上記波形読出アドレスの小数部が0.5以上のときは、
    上記連続する2つの波形サンプル値のうち時間的に後の
    波形サンプル値と、上記算出された中間波形値とから上
    記アドレス小数部に対応した補間波形値を算出すること
    を特徴とする請求項4記載の波形再生装置。
  6. 【請求項6】 上記読み出し手段により読み出された連
    続する波形サンプル値間の差分が所定値よりも小さいと
    きに、その差分値をより大きな値に置換する置換手段を
    更に備え、 上記置換した値と上記比率情報とから上記中間波形値を
    算出することを特徴とする請求項4または5記載の波形
    再生装置。
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