JP3526491B2 - レーザー感熱記録用インキ組成物 - Google Patents

レーザー感熱記録用インキ組成物

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JP3526491B2
JP3526491B2 JP18095295A JP18095295A JP3526491B2 JP 3526491 B2 JP3526491 B2 JP 3526491B2 JP 18095295 A JP18095295 A JP 18095295A JP 18095295 A JP18095295 A JP 18095295A JP 3526491 B2 JP3526491 B2 JP 3526491B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザー光の加熱によ
り非接触状態で鮮明な印刷記録を行うことができるレー
ザー感熱記録体用インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、支持体上に電子供与性の無色染料
前駆体と電子受容性の顕色剤を主成分とする感熱発色層
を設けた感熱記録材料を、サーマルヘッドを備えたプリ
ンター上を密着走査させ、熱エネルギーを感熱発色層に
直接または保護層を介して引加することにより発色画像
を記録する感熱記録手段は広く普及しており、例えばフ
ァクシミリ、プリペイドカード、プリンター等に実用さ
れている。
【0003】上記の感熱記録方式は、装置構造が比較的
簡単で保守が容易であり、騒音の発生が少ないという利
点はあるが、記録体をサーマルヘッド上に直接接触させ
て走査させるため、サーマルヘッドが磨耗したり、サー
マルヘッド表面へ感熱記録材料のカスが付着する現象が
発生し易い。このため、記録画像が正しく得られないケ
ースばかりでなく、サーマルヘッドに高熱が発生して破
壊されるといった問題が起こる欠点がある。そのうえ、
サーマルヘッドの構造上から発熱素子の加熱冷却の高速
制御や発熱素子密度を大きくする上で制約があり、高速
記録や高密度、高画質記録には限界がある。
【0004】このような接触記録方式に対して、インク
粒子の飛行を圧力や電場により制御しながら非接触状態
で記録するインクジェット方式も開発され上市されてい
る。この方式は、高速記録には適した記録方式である
が、高速性を重視するためにインキ乾燥性を高めると、
微小径ノズル部にインキの乾燥物による目詰まり現象が
生じ易い。したがって、高密度、高画質記録に限度があ
り、ひいては作業時のメンテナンスに多大の労力を課さ
ねばならない構造的な欠点がある。
【0005】上記のサーマルヘッドを用いる接触型感熱
記録方式や、非接触ではあるがノズルの目詰まりを生じ
やすいインクジェット方式に代わる記録方式として、レ
ーザーヒートモードを利用して支持体に対し非接触でか
つ高速、高密度で熱記録を行うレーザー感熱記録手段が
開発され、これまで多くの提案がなされている(特開昭
50−23617 号公報、特開昭54−121140号公報、特開昭58
−56890 号公報、特開昭58−94494 号公報、特開昭58−
134791号公報、特開昭58−145493号公報、特開昭59−89
192 号公報、特開昭60−205182号公報、特開昭62−5619
5 号公報等)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】感熱記録用インキとし
ては、一種以上の塩基性染料前駆体および顕色剤を含有
したロイコ染料の発色系や、イミノ化合物とイソシアネ
ート化合物を含有する発色系(特開昭59−115887号公
報、特開昭59−115888号公報)などが従来から知られて
いる。また、従来技術の感熱記録用インキには、バイン
ダーとしてポリビニルアルコール等の水溶性樹脂あるい
はスチレンブタジエン共重合体エマルジョンなどを塗液
に分散して構成するのが一般的である(特開昭61−2051
83号公報、特開昭62−3984号公報、特開昭62−280072号
公報)。
【0007】ところが、上記の成分系においては赤外線
レーザーを照射した際に光線を吸収せずに透過してしま
って発色しないか、レーザーエネルギーが強過ぎる場合
にはインキおよび支持体が劣化する現象を招く。例え
ば、上述したイミノ化合物とイソシアネート化合物を発
色剤とし、ポリビニルアルコールやスチレンブタジエン
共重合体エマルジョンなどをバインダーとする組成系に
あっては、レーザー照射により発色させることは不可能
である。
【0008】とくに、印刷塗膜がレーザー加熱により容
易に軟化もしくは分解するような有機高分子化合物で構
成されている場合には、レーザーのエネルギーに対する
塗膜の耐熱性が低いため、印字部が溶融して文字の中央
部が欠落する中抜け現象が発生する。この中抜け現象を
防ぐ対策としては、耐熱性を高める成分として例えば無
定型微粉シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、クレ
ー、タルクなどの白色系無機化合物を併用することが行
われているが、中抜け現象を完全に防止するためには添
加する無機化合物の量を極限まで高くしない限り十分な
効果を期待することができない。しかし、無機化合物の
添加量を高めると相対的にバインダー量が減少して支持
体面への塗膜の結着性が低下する。このため、見かけの
耐熱性は向上するものの、充填する無機化合物の粒子間
には化学的結合が介在せず、また粒子間の凝集力も弱く
なって、レーザー印字段階における照射部の粒子剥落が
防止できなくなる。したがって、中抜け現象は改善され
ず、支持体への密着性も劣るようになる。
【0009】本発明者らは、レーザー光により鮮明に発
色し、かつ画像保存性に優れたレーザー感熱記録用イン
キを得るため鋭意研究を重ねた結果、特定のイミノ化合
物を感熱発色成分とし、これに顕色剤としての芳香族イ
ソシアネート化合物および赤外レーザー増感剤を併用す
ると、従来技術による発色剤組成系では得られない優れ
た発色性と高度の保存性を発現する事実を確認した。さ
らに、前記の成分系にバインダーとしてシリカ系または
アルミナ系の無機質結合剤を組み合わせると、耐熱性が
効果的に改善されて印刷面の中抜け現象が有効に防止し
得ることを認めた。
【0010】本発明は前記の知見に基づいて開発された
もので、その目的とするところは、レーザーヒートモー
ドにより高濃度の鮮明な印刷記録を現出し、印刷面の中
抜け現象がなく、かつ画像保存性をはじめ耐水性、洗瓶
性等に優れた印刷記録を得ることができるレーザー感熱
記録用インキ組成物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明によるレーザー感熱記録用インキ組成物は、
非吸収性の支持体にレーザーヒートモードを利用して高
速印刷する溶剤型グラビア印刷インキにおいて、バイン
ダーが無水珪酸ゾル又は擬ベーマイト構造を形成するア
ルミナゾルであり、感熱発色成分が下記の一般式(化
)で示されるイミノ化合物、共反応体である顕色剤成
分が芳香族性イソシアネート化合物であり、かつ赤外線
レーザーを吸収して発熱する酸化セリウムを含有するこ
とを構成上の特徴とする。
【0012】
【化3】
【0013】ただし、化においてΦは隣接C=Nと共
役系を形成し得る芳香族性化合物残基である。
【0014】本発明で感熱発色成分に用いる前記化
イミノ化合物は、具体的に下記の一般式(化4)で示さ
れるものである。化4において、Xはハロゲン原子、n
は0〜4の整数、AはC=OまたはC=NHを表す。
【0015】
【化4】
【0016】該イミノ化合物の例としては、3−イミノ
イソインドリン−1−オン、3−イミノ−4,5,6,
7−テトラクロロイソインドリン−1−オン、3−イミ
ノ−4,5,6,7−テトラブロモイソインドリン−1
−オン、3−イミノ−4,5,6,7−テトラフルオロ
イソインドリン−1−オン、3−イミノ−5,6−ジク
ロロイソインドリン−1−オン、1,3−ジイミノ−
4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン、1,3
−ジイミノ−4,5,6,7−テトラフルオロイソイン
ドリン、1,3−ジイミノ−5,6−ジクロロイソイン
ドリン等を挙げることができる。
【0017】本発明において、共反応体の顕色剤として
使用される芳香族イソシアネート化合物は、下記一般式
(化5)で示される2,5−ジメトキシ−4,4′,
4″−トリイソシアネートトリフェニルアミンである。
この芳香族イソシアネート化合物は、必要に応じてフェ
ノール類、ラクタム類、オキシム類等との付加化合物で
ある所謂、ブロックイソシアネートの形態であってもよ
い。
【0018】
【化5】
【0019】本発明においては、上記のイミノ化合物か
らなる感熱発色成分、芳香族イソシアネート化合物から
なる顕色剤成分と共に、赤外線レーザーを吸収して発熱
する増感剤を併用する。例えば、炭酸ガスレーザーを用
いる場合には、10μ付近の波長域で吸収を示すClO
4 - 、SO4 2 - 、PO4 3 - ,SO4 4 - ,BO4 5 - などの
イオンを含む結晶を増感剤として塗液中に含有させるこ
とが好ましい。これらアニオン種と、Li、Na、Kな
どのアルカリ金属イオン、Mg、Ca、Sr、Baなど
のアルカリ土類金属イオン、他のカチオン種としてH、
B、Al、Ga、Fe、Co、Ni、Zn、Cu、T
i、Zrなどのイオンの1種もしくは2種以上を含む塩
は、いづれも増感剤として有効に使用することができ
る。
【0020】このほか、Zn−ジメチルジチオカーバメ
ート、Cu−ジメチルジチオカーバメート、テトラメチ
ルチウラムジスルフィドなども増感効果があるが、中で
も酸化セリウムは優れた増感効果を発揮し、そのうえ紫
外線吸収性も高いため耐光性の向上にも有効であるた
め、本発明の目的には最も好適である。したがって、酸
化セリウムを増感剤として発色成分、顕色剤とともにイ
ンキ中に分散することにより、極めてレーザー感度の高
い感熱記録用インキを得ることができる。
【0021】本発明のレーザー感熱記録用インキ組成物
に用いられるバインダーとしては、シリカ系またはアル
ミナ系の無機質結合剤が好適である。このうち、シリカ
系のバインダーには、オルガノシリカゾル(粒径;10〜
100nm 、pH;2〜6、溶剤系;メタノール、IPA、
MEK、エチレングリコールモノプロピルエーテル、メ
チルイソブチルケトンのうち1種) またはコロイダルシ
リカ(粒径;7〜90nm、pH;9〜11) 等の無水珪酸ゾ
ルが、またアルミナ系のバインダーとしてはアルミナゾ
ル(粒径;5〜200nm 、pH;2〜6)が好ましく用い
られる。これらのバインダーは1種もしくは2種以上を
混合して使用することができ、組成成分に対し10〜8
0重量部、好ましくは20〜50重量部の範囲で配合さ
れる。
【0022】これら無水珪酸ゾル等のバインダーを用い
て、従来の発色剤であるフタリド系染料前駆体、フルオ
ラン系染料前駆体、スピロピラン系染料前駆体、ラクタ
ム系染料前駆体などを顕色剤とともに有機溶剤中に溶解
分散して感熱記録用インキを調製しようとすると、分散
時に瞬時に発色が生じ、印刷後に乾燥したものは全く記
録材として使用することができない。また、顕色剤がな
くても、酸性を呈しているシリカゾルはこれらの染料前
駆体と反応して発色してしまうため、従来の染料前駆体
は使用が不可能である。しかし、本発明で特定したイミ
ノ化合物からなる発色成分および芳香族イソシアネート
化合物からなる顕色剤と組み合わせた場合には、分散時
に上記のような発色が生じることはない。
【0023】無水珪酸ゾルやアルミナゾルのうち、水分
散系のゾルを使用する場合には、インキ調製時に水可溶
のアルコールやケトン系の溶剤を用いて組成中の水分含
有率を20%以下、好ましくは10%以下に調整するこ
とにより乾燥性の高い塗液を作製することが可能とな
る。また、有機溶剤中に分散したオルガノシリカゾルを
用いると水分を全く含まない、極めて乾燥性の高いグラ
ビアインキを調製することができる。このため、例えば
ポリ塩化ビニルシート、ポリエステルフィルム、ポリプ
ロピレンフィルムまた樹脂塗工紙や蒸着紙など非吸収性
の支持体に対し、低温乾燥でかつ高速で印刷することが
できる。
【0024】しかし、表面の濡れ張力が低い材質の支持
体にあっては密着性が悪い状態が発生することがある。
この場合には、塗膜中の5%以下、好ましくは2%以下
の有機系バインダーを併用することが好ましい。併用し
得る有機系バインダーは支持体の材質によって適宜に選
択でき、例えばポリビニルアルコール、変性澱粉、カゼ
イン、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、エ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロース、無水マ
レイン酸−スチレン共重合体、イソブチレン−無水マレ
イン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル
酸系共重合体などの水溶性樹脂類や、ポリウレタンエマ
ルジョン、スチレンアクリル系エマルジョン、アクリル
エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、スチレン−
酢酸ビニル系エマルジョン、スチレン−ブタジエン系ラ
テックス、ポリオレフィン系エマルジョン、ポリエステ
ル系エマルジョンなどの樹脂エマルジョンの1種もしく
は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】上記した各成分の配合比率は、発色剤10
0重量部に対し、顕色剤は50〜500重量部、好まし
くは100〜200重量部、増感剤は1〜200重量
部、好ましくは2〜50重量部、バインダーは100〜
700重量部、好ましくは200〜400重量部の範囲
に設定する。このほか、感熱インキの隠蔽性、発色文字
の視認性を向上させる目的で、酸化チタン、酸化亜鉛、
炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの白色無機顔料を3
00重量部以下、好ましくは50〜200重量部の範囲
で添加することができる。
【0026】また、必要に応じて常温で固体のパラフィ
ンワックス、カルナバワックス、マイクロクリスタリン
ワックス、アマイドワックス、フルオロシリコンなどの
ワックス類、シリコンオイル、フッ化オイルなどのオイ
ル類などを補助剤として添加してもよい。
【0027】溶剤型グラビア印刷インキの調製は、上記
の組成成分をボールミル、サンドミル、アトライター、
ダイノミル、パールミルなどのメディアを用いた分散機
により十分混合し、得られたミルベースを有機溶媒に分
散させる方法で行われる。
【0028】本発明に係る組成のレーザー感熱記録用イ
ンキは、プラスチックフィルム、繊維シート、紙、蒸着
紙など非吸収性の支持体面に、例えばグラビアコータ
ー、ロールコーター、ダイコーター、ナイフコーター等
の公知の方法により塗布して感熱層となる塗膜を形成す
る。レーザーマーキング用途に使用する場合は、パター
ン印刷できるグラビア印刷が最も適している。この際、
形成した感熱層を保護するため、感熱層の上面にトップ
コートニスで保護層を設けることが好ましい。この保護
層に使用する樹脂成分としては、ニトロセルロース系樹
脂、アクリル系樹脂、ビニルトルエン系樹脂、スチレン
樹脂、環状ゴム、エチルセルロースなどが挙げられる。
保護層に用いられるビヒクルの溶剤には、一般的なエス
テル系、ケトン系、アルコール系、芳香族系などが用い
られ、1種もしくは2種以上を組合せて使用に供する。
【0029】感熱記録用インキおよびトップコートニス
の粘度は、0.5〜10ポイズの範囲に調整することが
好ましい。また、感熱塗膜層は乾燥重量で通常0.5〜
10g/m2の皮膜として、またトップコートニスは通常
0.1〜5g/m2の皮膜として形成される。
【0030】このような方法で種々の支持体面にコーテ
ィングまたはパターン印刷された印刷物は多様の用途に
応用することができる。例えば、製造年月日等を記載し
なければならない食品容器に貼付するラベルにレーザー
マーキングを応用することがすでに知られている(特開
平5−58031 号公報)。このような製造年月日を記載す
る義務のある食品包装フィルムの場合、一般的なグラビ
アインキを印刷した部分にレーザーマーキングするとイ
ンキ部が劣化するのと同時にフィルムも破壊されるが、
バインダーに無水珪酸ゾルやアルミナゾルを用いた本発
明の感熱記録用インキは耐熱性が高いので、数十ミクロ
ンの透明フィルムに印刷を施したものはレーザー照射で
印字してもフィルムを破壊することなく、明瞭な印字を
発現することができる。接着性の低いフィルムに印刷す
る場合は、適宜に数%の接着用樹脂を併用することがで
き、表面のスクラッチ強度や耐磨耗性などを向上させる
ためには保護層を印刷したり、他のフィルムをラミネー
トすることができる。
【0031】また、ビール瓶用ラベル等に適用する場合
にはアルカリ洗瓶性が必要となるが、本発明の感熱記録
用インキで形成される印刷ラベルはアルカリ溶液中で容
易に溶解または膨潤劣化して剥離するため、洗瓶性が極
めて良好である。
【0032】本発明の感熱記録用インキ組成物の発色に
使用されるレーザー光源としては、可視から赤外線波長
に発光スペクトルを有するものの中から選択でき、炭酸
ガスレーザー、一酸化炭素レーザー、窒素レーザー、イ
オンレーザー、He−Neレーザー、He−Xeレーザ
ー、エキシマレーザー、放電励起分子レーザーなどのガ
スレーザー、YAGレーザー、ルビーレーザー、ガラス
レーザー等の固体レーザーのほか、半導体レーザー、化
学レーザー、色素レーザー等を使用することができる。
中でも、波長域が0.7〜30μm の範囲にある赤外線
を発振するレーザーが好ましい。
【0033】赤外線を発振するレーザーとしては、Al
GaAsレーザー(0.65 〜1.0 μm)、GaAsPレーザ
ー(0.7〜1.0 μm)、色素レーザー (〜1 μm)、CdSn
P2レーザー(1.01 μm)、GaSbレーザー(1.53 μ
m)、YAGレーザー(1.06 μm)、Ndガラスレーザー
(1.06 μm)、He−Neレーザー(1.15 μm 、3.39μ
m)、InGaAsレーザー(1.0〜3.5 μm)、InAsP
レーザー(1.0〜3.5 μm)、Cd3P2レーザー(2.12 μ
m)、水素−フッ素レーザー(2.6〜3.0 μm)、Teレーザ
ー(3.7μm)、(Hg,Cd) レーザー(3.9〜4.1 μm)、InA
sSbレーザー(3.1〜5.4 μm)、PbCdSレーザー
(2.5〜4.0 μm)、PbSレーザー(4.3μm)、PbSSe
レーザー(4.0〜8.5 μm)、一酸化炭素レーザー(5.0μ
m)、InSbレーザー(5.2μm)、PbSnTeレーザー
(6.3〜32μm)、PbTeレーザー(6.5μm)、PbSeレ
ーザー(8.5μm)、PbSnSeレーザー(8.5〜34μm)、
炭酸ガスレーザー(10.6 μm)などが挙げられる。
【0034】用いられるレーザーは、出力が0.1J/cm
2 パルス以上のエネルギーをもつパルス型レーザーや、
0.1J/cm2 以上のエネルギーを有する走査型レーザー
であればよい。
【0035】
【作用】本発明に係るレーザー感熱記録用インキ組成物
は、感熱発色成分として特定のイミノ化合物(一般式;
化1)を、共反応体である顕色剤成分として芳香族イソ
シアネート化合物を選択し、更に赤外線レーザーを吸収
して発熱する増感剤を含有する成分系に特徴づけられ
る。ロイコ染料を用いた公知の記録材料では、赤外線レ
ーザー光の照射では発色しないことがあったり、発色部
分の耐薬品性が不十分のために油脂成分の付着や消しゴ
ム等の可塑剤含有製品との接触により経時的に記録部分
が消失し、あるいは記録部分の耐光性が劣ることから発
色部の褪色、非発色部のカブリや変色が生じるといった
記録の保存性を損ねる問題があったが、本発明の組成に
よれば赤外線レーザーヒートにより高濃度で鮮明に発色
し、レーザー発色部が油脂や可塑剤で消失することにな
い優れた保存性が付与される。また、同時に耐水性や洗
瓶性なども向上する。
【0036】前記組成にバインダーとして無水珪酸ゾル
やアルミナゾル等の無機系ゾルを組み合わせた場合に
は、レーザー印字エネルギーに対する耐熱性を向上さ
せ、同時に塗膜の凝集力を高める作用によって印刷面の
中抜け現象を効果的に防止するために機能する。例え
ば、数10〜数100nmに微分散した無水珪酸ゾルをバ
インダーとして用いると、印刷後に100℃程度の乾燥
条件で塗膜がシリカゲル状となり、粒子間は水素結合ま
たは水分子を介在した共有結合を形成するので、加熱に
よる軟化が起こり難くなる。そのうえ、印字のためにレ
ーザー照射することにより、シリカゲルに含まれる水分
子が解離し、シリカゲル塗膜がより耐熱性の高い珪酸ポ
リマーを形成するため中抜け現象はより効果的に防止さ
れる。アルミナゾルを用いた場合は、乾燥後の塗膜は凝
集力の高い擬ベーマイト構造を形成し、熱による劣化が
生じないうえ、とくに炭酸ガスレーザーの波長域に極め
て強い吸収を有することから、発色増感度を著しく高め
る作用がもたらされる。
【0037】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して具
体的に説明する。
【0038】実施例1 3−イミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインド
リン−1−オン〔発色成分;大日精化工業(株)製〕1
0重量部、アルミナゾル〔バインダー;日産化学(株)
製“アルミナゾル 200”〕14重量部、p−ベンジルビ
フェニル10重量部,p−アミノ安息香酸ベンジル5重
量部、酸化チタン10重量部、酸化セリウム〔増感剤;
多木化学 (株)製“ニードラールW-15”〕10重量部、
および消泡剤1重量部を配合し、サンドミルで分散処理
してミルベースAを調製した。
【0039】一方、2,5−ジメトキシ−4,4′,
4″−トリイソシアネートトリフェニルアミン〔顕色
剤;旭化成(株)製〕10重量部、ポリビニルアルコー
ル1%水溶液19重量部、酸化チタン10重量部、およ
び消泡剤1重量部を配合し、サンドミルで分散処理して
ミルベースBを調製した。
【0040】上記のミルベースAおよびBをサンドミル
を用いて1時間分散したのち、硝化綿ワニス(20%) 4重
量部、イソプロピルアルコール10重量部および酢酸エ
チル10重量部を配合してレットダウンを行い、レーザ
ー感熱記録用インキを得た。得られたレーザー感熱記録
用インキを用い、ヘリオ版 (60線)にて蒸着紙にグラビ
ア印刷した。さらに硝化綿系OPニス(消化綿ワニス;
40重量部、ポリエチレンワックス;2重量部、イソプ
ロピルアルコール;20重量部、トルエン;18重量
部、酢酸エチル;20重量部)をヘリオ版(135線)によ
りグラビア印刷した。ついで、印刷面にTEA型炭酸ガ
スレーザーを照射してレーザーマーキングテストを行っ
た。照射エネルギー量は、0.1〜2.0J/cm2 に設定
した。このようにして形成した印刷物につき、次の試験
方法により発色の状態、耐水性、洗瓶性および保存性を
評価し、その結果を表1に示した。また、印刷インキの
発色特性を測定し、その結果を図1および図2に示し
た。
【0041】発色状態の測定;印刷物の発色の状態をド
ットアナライザーで測定し、発色濃度が1.0以上のも
のを合格(○)、0.5以下のものおよび文字の中央部
が溶融劣化して中抜け現象を起こしているものを不合格
(×)とした。 耐水性の測定;印刷物をガラス板に貼着し、その試験片
を水道水に7日間浸漬放置した。ついで、印刷面を水で
湿らせたガーゼで拭き、印刷面の状態に変化がないもの
を合格(○)、印刷面が剥落したものを不合格(×)と
した。 洗瓶性の測定;印刷物はビール瓶用ラベルに用いられる
こともあるため、瓶回収時のアルカリ洗瓶テストを行っ
た。試験条件は、印刷物を硝子板に貼着したものを70
℃に加温したカセイソーダ5%水溶液中に浸漬した。浸
漬した印刷部が剥離する時間を測定し、1分以内に剥離
したものを合格(○)、3分以上かかるものを不合格
(×)として判定評価した。 保存性の特定;レーザーマーキングにて発色させた発色
面に消ゴム〔トンボ鉛筆(株)製、モノ〕を圧着させ(2
00g/cm2)100時間経過した後の発色濃度を測定した。
発色濃度に変化がないものを合格(○)、発色濃度が褪
色したものを不合格(×)とした。
【0042】発色特性の評価;印刷物をヒートバーおよ
びレーザーエネルギーで加熱して感熱蒸着紙を黒色に発
色し、発色濃度をマクベス反射濃度計およびドットアナ
ライザーを用いて測定した。ヒートバーによる加熱温度
と発色との関係グラフを図1に、レーザーエネルギーと
発色との関係グラフを図2に示した。
【0043】実施例2 1,3−ジイミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソ
インドリン〔発色成分;旭化成(株)製〕10重量部、
p−2−メトキシ−5−N、N−ジエチルスルファモイ
ルアニリン10重量部、シリカゾル〔バインダー;日産
化学(株)製“スノーテックス20”〕19重量部、酸化
チタン10重量部、酸化セリウム〔増感剤;多木化学
(株)製“ニードラールW-15”〕10重量部、および消
泡剤1重量部を配合し、サンドミルで分散処理してミル
ベースAを調製した。
【0044】上記のミルベースAを実施例1と同一組成
のミルベースBと配合し、サンドミルを用いて1時間分
散したのち、実施例1と同様にレットダウンを行ってレ
ーザー感熱記録用インキを得た。得られたレーザー感熱
記録用インキを用い、実施例1と同様にして蒸着紙にグ
ラビア印刷し、同様に発色状態、耐水性、洗瓶性および
保存性を評価した結果を表1に併載した。また、印刷イ
ンキの発色特性を測定し、その結果を図1および図2に
併せて示した。
【0045】比較例1 3−イミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインド
リン−1−オン〔発色成分;大日精化工業(株)製〕1
0重量部、ポリビニルアルコール1%水溶液19重量
部、p−ベンジルビフェニル10重量部、p−アミノ安
息香酸ベンジル5重量部、炭酸カルシウム15重量部、
および消泡剤1重量部を配合し、サンドミルで分散処理
してミルベースAを調製した。
【0046】一方、2,5−ジメトキシ−4,4′,
4″−トリイソシアネートトリフェニルアミン〔顕色
剤;旭化成(株)製〕10重量部、ポリビニルアルコー
ル1%水溶液19重量部、炭酸カルシウム10重量部、
および消泡剤1重量部を配合し、サンドミルで分散処理
してミルベースBを調製した。
【0047】上記のミルベースAおよびBをサンドミル
を用いて1時間分散したのち、硝化綿ワニス(20%) 4重
量部、イソプロピルアルコール10重量部および酢酸エ
チル10重量部を配合してレットダウンを行い、レーザ
ー感熱記録用インキを得た。
【0048】上記のミルベースAおよびBを配合し、サ
ンドミルを用いて1時間分散したのち、実施例1と同様
にレットダウンを行ってレーザー感熱記録用インキを得
た。得られたレーザー感熱記録用インキを用い、実施例
1と同様にして蒸着紙にグラビア印刷し、同様に発色状
態、耐水性、洗瓶性および保存性を評価した結果を表1
に併載した。また、印刷インキの発色特性を測定し、そ
の結果を図1および図2に併せて示した。
【0049】比較例2 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオ
ラン〔発色成分;山本化成(株)製ODB〕10重量
部、p−ハイドロオキシ安息香酸イソプロピルエステル
(顕色剤)20重量部、炭酸カルシウム10重量部、ア
クリル樹脂〔バインダー;三菱レーヨン(株)製“ダイ
ヤナールBR102 ”〕5重量部、トルエン15重量部、お
よびメチルシクロヘキサン10重量部を配合し、サンド
ミルを用いて1時間分散してミルベースを調製した。こ
のミルベースを、アクリル樹脂〔三菱レーヨン(株)製
“ダイヤナールBR118 ”〕10重量部およびトルエン2
0重量部と配合してレットダウンを行い、一液型の感熱
インキを調製した。
【0050】この一液型感熱インキを蒸着紙にグラビア
印刷方式にて乾燥状態で約3g/m2となるように塗布した
後、フィルムの感熱層面にトップコートニスを塗布し
た。なお、本例の組成は溶剤発色を生じるので、トップ
コートニスにはアクリル樹脂〔三菱レーヨン (株)製
“ダイヤナールBR118 ”〕10重量部、ポリエチレンワ
ックス2重量部、トルエン68重量部およびシクロヘキ
サン20重量部からなるトOPニスを用い、乾燥状態で
約2g/m2になるように印刷した。この印刷物につき、実
施例1と同様にして発色状態、耐水性、洗瓶性および保
存性を評価した結果を表1に併載した。また、印刷イン
キの発色特性を測定し、その結果を図1および図2に併
せて示した。
【0051】
【表1】
【0052】表1および図1〜2の結果から、実施例お
よび比較例のインキはいずれもヒートバーによる加熱に
際しては優れた発色を示すが、赤外線レーザー光のエネ
ルギーによっては実施例品は高濃度で鮮明な発色を呈す
るのに対し、本発明の成分組成を満たさない比較例品は
殆ど発色しないことが認められる。そのうえ、実施例品
は耐水性、洗瓶性および保存性の全て特性付与に優れた
効果を示している。
【0053】
【発明の効果】以上のとおり、本発明の組成を有するレ
ーザー感熱記録用インキを用いてパターン印刷された印
刷物は、赤外線レーザー光の照射により印刷面の中抜け
現象がなく、常に高度の発色濃度で鮮明な印刷精度の記
録を得ることができる。そのうえ、耐水性、洗瓶性、保
存性等に優れた性能を発揮するから、種々の食品包装材
料に対するレーザー感熱記録用として極めて有用性が期
待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例および比較例のレーザー感熱記録用イン
キ組成物を用いた際のヒートバーの加熱温度と発色の関
係を示したグラフである。
【図2】実施例および比較例のレーザー感熱記録用イン
キ組成物を用いた際のレーザーエネルギーと発色の関係
を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/28 - 5/34

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非吸収性の支持体にレーザーヒートモー
    ドを利用して高速印刷する溶剤型グラビア印刷インキに
    おいて、バインダーが無水珪酸ゾル又は擬ベーマイト構
    造を形成するアルミナゾルであり、感熱発色成分が下記
    の一般式(化1)で示されるイミノ化合物、共反応体で
    ある顕色剤成分が芳香族性イソシアネート化合物であ
    り、かつ赤外線レーザーを吸収して発熱する酸化セリウ
    を含有することを特徴とするレーザー感熱記録用イン
    キ組成物。 【化1】 ただし、式中のΦは隣接C=Nと共役系を形成し得る芳
    香族性化合物残基である。
  2. 【請求項2】 芳香族イソシアネート化合物が、下記の
    一般式(化2)で示される2,5−ジメトキシ−4,
    4′,4″−トリイソシアネートトリフェニルアミンで
    ある請求項1記載の感熱記録用インキ組成物。 【化2】
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