JP3526218B2 - 液晶素子 - Google Patents

液晶素子

Info

Publication number
JP3526218B2
JP3526218B2 JP21742198A JP21742198A JP3526218B2 JP 3526218 B2 JP3526218 B2 JP 3526218B2 JP 21742198 A JP21742198 A JP 21742198A JP 21742198 A JP21742198 A JP 21742198A JP 3526218 B2 JP3526218 B2 JP 3526218B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
region
substrate
layer
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP21742198A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11101993A (ja
Inventor
恭史 浅尾
匡宏 寺田
孝志 森山
省誠 森
聖志 三浦
泰之 渡部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP21742198A priority Critical patent/JP3526218B2/ja
Publication of JPH11101993A publication Critical patent/JPH11101993A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3526218B2 publication Critical patent/JP3526218B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフラットパネルディ
スプレイ、プロジェクションディスプレイ、プリンター
等に用いられるライトバルブに使用される液晶素子に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ネマティック液晶表示素子に
おいて、一つ一つの画素にトランジスタのような能動素
子を配置した、アクティブマトリクス(たとえばTF
T)といわれる液晶素子の開発が行われている。現在こ
のTFTを用いた液晶表示素子に用いられるネマチック
液晶のモードとして、たとえばエム・シャット(M.S
chadt)とダブリュー・ヘルフリッヒ(W.Hel
frich)著Applied Physics Le
tters第18巻、第4号(1971年2月15日発
行)第127頁から128頁において示されたツイステ
ッドネマチック(Twisted Nematic)モ
ードが広く用いられている。また、最近では横方向電界
を利用したインプレインスイッチング(In−Plai
n Switching)モードが発表されており、ツ
イステッドネマチッモード液晶ディスプレイの欠点であ
った視野角特性の改善がなされている。その他、上述し
たTFT等の能動素子を用いない、ネマティック液晶表
示素子の代表例として、スーパーツイステッドネマティ
ック(Super Twisted Nematic)
モードがある。このように、こうしたネマティック液晶
を用いた液晶表示素子は様々なモードが存在するのであ
るが、そのいずれのモードの場合にも液晶の応答速度が
数十ミリ秒以上かかってしまうという問題点が存在し
た。
【0003】このような従来型のネマティック液晶素子
の欠点を改善するものとして、双安定性を示す液晶を用
いた素子がクラーク(Clark)およびラガウェル
(Lagerwall)により提案されている(特開昭
56−107216号公報、米国特許第4367924
号明細書)。この双安定性を示す液晶としては、一般に
カイラルスメクチックC相を示す強誘電性液晶が用いら
れている。この強誘電性液晶は、自発分極により反転ス
イッチングを行うため、非常に速い応答速度が得られる
上にメモリー性のある双安定状態を発現させることがで
きる。さらに視野角特性も優れていることから、高速、
高精細、大面積の表示素子あるいはライトバルブとして
適していると考えられる。
【0004】一方、最近では3安定性を示す反強誘電性
液晶が注目されている。この反強誘電性液晶も強誘電性
液晶同様に、自発分極により反転スイッチングを行うた
め、非常に速い応答速度が得られる。この液晶材料は、
電界無印加時には液晶分子は互いの自発分極を打ち消し
合うような分子配列構造をとるため、電界を印加しない
状態では自発分極は存在しないことが特徴となってい
る。更に最近では、この反強誘電性液晶をアクティブマ
トリクス素子にて駆動するために開発された無閾反強誘
電性液晶も報告されている。
【0005】こうした自発分極による反転スイッチング
を行う強誘電性液晶や反強誘電性液晶は、いずれもスメ
クチック液晶相を示す液晶である。すなわち、従来ネマ
ティック液晶が抱えていた応答速度に関する問題点を解
決できるという意味において、スメクチック液晶を用い
た液晶表示素子の実現が期待されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】こうした優れた特長を
有するスメクチック液晶表示素子においては、特に自発
分極による反転スイッチングを行う強誘電性液晶を用い
た素子の場合、素子内で液晶の配向制御を司る、特に一
軸配向規制を行う通常絶縁性材料からなる配向制御層の
厚みを薄くして配向制御層の電気容量を大きくすること
によって、反電場、即ち素子内で液晶の自発分極により
誘起されて生じる逆方向の電場を小さくし、スイッチン
グ特性が向上させ、駆動マージンが拡大させるようにす
る。反電場の発生は自発分極の大きさを大きくするほど
顕著に現れるため、応答速度向上のため自発分極の大き
な液晶材料を用いようとする場合には特に絶縁性の配向
制御膜の薄膜化は必須となる。
【0007】一方、強誘電性液晶又は反強誘電性液晶と
いったカイラルスメクチック液晶を用いた液晶素子は、
両者とも、パルス電界の印加による液晶の応答によって
スイッチングさせる原理を用いているため、実効的に液
晶層に加えられる電圧の大きさは、液晶素子を構成する
層(液晶層、配向制御層等)の容量の比(逆比)によっ
て決定される。従って、実効的に液晶層に加えられる電
圧を大きくし、より高速なスイッチング特性を得るため
には、配向制御層の容量を液晶層の容量に対して十分大
きくなるよう設計する、即ち配向制御層の厚みを液晶層
の厚みに比較して十分小さくするよう設計すればよいこ
とになる。
【0008】しかしながら、配向制御層の厚みを小さく
すればするほど、配向制御層が液晶分子に対して所望の
配向制御を行うように機能することが困難になってく
る。その結果、カイラルスメクチック液晶素子の上記の
設計思想によれば、スイッチング特性の向上(反電場の
抑制、駆動マージンの拡大)応答速度の改善と均一配向
との両立は非常に難しくなってしまう。更に、配向膜を
均一に成膜する製造プロセスに関しても、膜厚が薄くな
ればなるほど厳密に制御することが困難になってしま
う。
【0009】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
で、その課題とするところは、均一な液晶分子配向を実
現しつつ、広い駆動マージンを実現し、より高速なスイ
ッチング特性を有する液晶素子、特にカイラルスメクチ
ック液晶、例えば強誘電性あるいは反強誘電性を示す液
晶を用いた液晶素子を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶素子は、一
対の基板間に液晶を有し、少なくとも一方の基板側に液
晶と接し、ストライプパターンの段差体として選択的に
設けられ、液晶に対して一軸配向規制力を有する第一の
領域と、該第一の領域外の該第一の領域に比較して液晶
に対する一軸配向規制力が弱い又は実質的に一軸配向規
制力を持たない第二の領域とを有し、該液晶は、基板間
において降温時に液体相−液晶相の相転移過程で該第一
の領域に接する部分から液晶相への転移が生じて、該第
一の領域における一軸配向軸に沿って液晶相転移領域が
成長し、該第二の領域に連続的に液晶相転移領域が拡大
して配向状態が形成されたものであることを特徴とす
る。
【0011】更に本発明によれば、一対の基板間に液晶
を有し、少なくとも一方の基板側に液晶と接するが、少
なくとも選択的に設けられた液晶に対して一軸配向規制
力を有する第一の領域と、該第一の領域外の該第一の領
域に比較して一軸配向規制力の弱い又は実質的に一軸配
向規制力を持たない第二の領域とを有する液晶素子にお
いて、該基板間の液晶を液体相から徐冷することで、基
板間において降温時に液体相−液晶相の相転移過程で該
第一の領域に接する部分から液晶相への転移を生じせし
め、該第一の領域における一軸配向軸に沿って液晶相転
移領域を成長させ該第二の領域に連続的に液晶相転移領
域を拡大させ配向状態を形成する工程を具備することを
特徴とする液晶の配向制御方法、並びに一対の基板間に
液晶を有する液晶素子の製造方法であって、少なくとも
一方に、少なくとも選択的に設けられた液晶に対して一
軸配向規制力を有する第一の領域と、該第一の領域外の
該第一の領域に比較して一軸配向規制力の弱い又は実質
的に一軸配向規制力を持たない第二の領域を有する一対
の基板を対向せしめてセルを形成する工程と、該セル内
に液晶を注入する工程と、該セル内に注入された基板間
の液晶を液体相から徐冷することで、基板間において降
温時に液体相−液晶相の相転移過程で該第一の領域に接
する部分から液晶相への転移を生じせしめ、該第一の領
域における一軸配向軸に沿って液晶相転移領域を成長さ
せ該第二の領域に連続的に液晶相転移領域を拡大させ配
向状態を形成する工程を具備することを特徴とする液晶
の配向制御方法、並びに液晶素子の製造方法が、提供さ
れる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下本発明の液晶素子の実施態様
について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】図1及び図2により本発明の液晶素子の第
一の実施態様を説明する。図1は、本発明の液晶素子を
構成する一基板12a(一軸配向規制力を有する配向制
御膜が選択的に設けられた基板)の一態様の上面側から
見た平面図であり、図2は、図1に示す基板12aを一
方の基板として用いた素子1の構造を示す断面図(図1
に示す基板のa−a′線に沿った断面を示す)。
【0014】図2に示すように、素子1の基本構造は、
液晶組成物からなる液晶11が一対の基板12a、12
b間に挟持された構造となっている。
【0015】基板12aでは、液晶11に対して電界を
印加する電極13aが設けられ、更に電極13a上に
は、下地となる層14aを介して配向制御層15aが、
図1に示す例えばストライプパターン形状のような平面
形状で選択的に設けられ液晶11に接している。該配向
制御層15aは、絶縁性材料等からなり適切な処理を施
すことで液晶に対する一軸配向規制力を呈する材料によ
り形成され、ここでは少なくともその上面、即ち基板1
2aと実質的に平行な液晶と接する面(R1)におい
て、一軸配向処理が施されており、液晶に対して一軸配
向規制力を有する。
【0016】即ち基板12aでは、選択に設けられた少
なくとも配向制御層15aに対応して液晶に対して一軸
配向規制力を有する第一の領域(面R1を構成する領
域)と、下地となる層14aに対応してそれ以外の部分
で液晶11と接する第二の領域(面R2を構成する領
域)が形成されている。ここで、面R1での一軸配向規
制力は第二の領域の一軸配向規制力より大きく、あるい
は、第二の領域R2の配向規制力は実質的に0である。
【0017】一方、対向する基板12bでは、液晶11
に対して電界を印加する電極13bが設けられ、更に該
電極13b上には、液晶11に接し、該液晶の配向制御
に寄与し得る配向制御層15bが形成されている。
【0018】このような電極は配向制御層を備えた基板
11a及び11bはスペーサー16を介して一定距離を
隔てて対向している。
【0019】基板11a及び11bの外面には、必要に
応じて偏光板が設けられている。また、観察者側から見
て素子1の背後には必要に応じて光源が設けられている
(夫々図示せず)。
【0020】上記構造素子1では、信号電源(図示せ
ず)からのスイッチング信号に応じて電極12a及び1
2bにより液晶層11に電界が印加されてスイッチング
が行われ、外部からの光の液晶11で変調される。
【0021】上記構造の液晶素子1では、液晶11に接
する。パターン形状の配向制御層15a、層14a、配
向制御層15bや、更に液晶11の材料、処理方法、条
件等を適宜設定することにより、液晶11において、降
温時に液晶の液体相−液晶相の相転移過程で、選択的に
設けられた配向制御層15aの基板と平行方向の面R1
に接する領域から液晶相への転移が生じて、配向制御層
15aの一軸配向規制力の軸方向(一軸配向処理の軸方
向)に沿って連続的に液晶相転移領域が成長し、更に面
R2に当該液晶相転移領域が拡大し配向状態が形成され
たものである点で特徴的である。
【0022】以下、この配向状態の形成に関して図3及
び図4を参照して説明する。
【0023】図3(A)〜(C)は、図1に示す基板1
2aにおける選択的に形成された配向制御層15aに接
する液晶領域から配向状態の形成について、一軸配向規
制の方向(配向制御層15aに施される一軸配向処理の
方向)Uを該配向制御層15aの長手方向と略垂直に設
定し、また液晶としてスメクチック液晶を用い、降温時
におけるスメクチック液晶相への相転移過程の状態の変
化((A)、(B)、(C)の順で降温が進行する)を
偏光顕微鏡観測したものを模式的に示した説明図であ
る。
【0024】まず図3(A)に示すように、液晶スメク
チック液晶相より高秩序の相から降温(冷却)した際
に、基板12a上において一軸配向規制力の強い配向制
御膜15aの面R1上の液晶から、スメクチック液晶相
転移において発現するスメクチックの核であるバトネと
呼ばれる領域Nが発生する。
【0025】続いて、更に液晶を降温させることによ
り、図3(B)に示すようにバトネNは一軸配向制御層
15aの長手方向と垂直な方向である一軸配向処理方向
U、即ちスメクチック層の法線方向へと成長する。通
常、スメクチック液晶相のバトネはスメクチック層の法
線方向に成長し易いという成長の異方性を有しており、
この特性に従って、(A)に示すように発生したバトネ
Nの核によって決定されたスメクチック層の法線方向
(一軸配向処理方向Uに相当)に沿って、配向制御層1
5aのライン間の部分に対応する液晶領域(図2の断面
図で隣接する配向制御層15aのライン間で層14aの
液晶と接するR2に対応する液晶領域)に向って、ほぼ
直線的に成長拡大する。ここで、上述した液晶自身の有
するスメクチック液晶のバトネ成長の異方性により、R
1に比較して配向規制力が小さいないしは実質的に存在
しない部分(R2)において形成された液晶の配向状態
においてもスメクチック層方向は均一に配列する。
【0026】更に降温を進めると、図3(B)〜(C)
に示すように、バトネNは一軸配向規制された方向Uだ
けでなく、その方向と垂直方向(配向制御層15aの長
手方向に)に太るように成長を開始する。その際、徐々
にバトネNが全体的に太って成長するだけでなく、バト
ネの脇からブランチが現われる様に成長する。このブラ
ンチはスメクチック層の方向(配向制御層15aの長手
方向)へ徐々に成長していくのであるが、同図(C)に
示すようにブランチはまず配向制御層15a上で該層の
長手方向に成長が進行する。
【0027】このように素子内の基板間の全域がスメク
チック相となるまで冷却し、最終的には、配向制御層1
5aが存在する部分及びこれが存在しない部分の全てに
対応する液晶領域において、当該配向制御層15aの長
手方向に均一にスメクチック層が配列したような配向状
態が形成される。
【0028】一方、図4(A)〜(C)は、図1、図2
に示す基板12aにおける選択的に形成された配向制御
層15aのからの配向状態の形成について、一軸配向規
制の方向(配向制御層15aに施される一軸配向処理の
方向)Uを該配向制御層15aの長手方向と実質的に同
様に(平行に)設定し、また液晶としてスメクチック液
晶を用い、降温時におけるスメクチック液晶層への相転
移過程の状態の変化((A)、(B)、(C)の順で降
温が進行する)を偏光顕微鏡観測したものを模式的に示
した説明図である。
【0029】まず図4(A)に示すように、上記図3
(A)の場合と同様に液晶をスメクチック液晶相より高
秩序の相から降温した際に、基板12a上において一軸
配向規制力の強い配向制御膜15aの面R1上の液晶か
ら、スメクチック液晶相転移において発現するスメクチ
ックの核であるバトネと呼ばれる領域Nが発生する。
【0030】続いて、更に液晶を降温させることによ
り、図4(B)に示すようにバトネNは上述したスメク
チック液晶相のバトネ成長の異方性の特性に基づいて、
(A)に示すように発生したバトネNの核によって決定
されたスメクチック層の法線方向である一軸配向処理方
向U、即ち一軸配向制御層15aの長手方向と同様の方
向へと成長する。ここでは、上述のバトネ成長の異方性
によるバトネの成長方向と、一軸配向規制力を有する配
向制御層15aのパターンの長手方向が一致することに
より、図4(B)に示すようにバトネNは配向制御層1
5aの面R1上でより素早く成長する。
【0031】更に降温を進めると、図4(B)〜(C)
に示すように、バトネNは配向制御層15aの長手方向
だけでなく、その方向と垂直方向に太るように成長を開
始する。その際、徐々にバトネNが全体的に太って成長
するだけでなく、バトネの脇からブランチが現われるよ
うに当該ライン間の一軸配向規制力が小さいないしは実
質的に存在しない部分に対応する液晶領域(図2の断面
図で隣接する配向制御層15aのライン間で層14aが
液晶に接する部分R2に対応する液晶領域)に成長拡大
する。そして隣り合った配向制御層15aの島ライン部
から成長したバトネN同志が最終的に接合することによ
り、スメクチック層がほぼ均一であるような配向状態が
形成される。
【0032】このように素子内の基板間の全域がスメク
チック相となるまで冷却し、最終的には、配向制御層1
5aが存在する部分及びこれが存在しない部分の全てに
対応する液晶領域において、当該配向制御層15aの長
手方向と垂直に均一にスメクチック層が配列したような
配向状態が形成される。
【0033】かかる液晶素子では、素子内において通常
絶縁性を有する一軸配向規制力を有する配向制御層(1
5a)が、配向状態形成の開始部分となる核(バトネ)
を供給するために必要なパターン形状で設けられ、上述
のように配向状態の形成過程により素子全面に均一な配
向状態の形成が確実になされる。加えて、液晶の駆動に
対して電気的に障害となる絶縁性材料からなる一軸配向
規制力を有する配向制御層(15a)の存在量が極力少
なくなり、これを介せずに電圧が印加される液晶領域が
大きくなり、パルス電圧による駆動の際に液晶に印加さ
れる実効電圧を大きくすることができる。こうして、配
向状態の均一化と、液晶駆動(スイッチング)の高速化
の両立がなされる。
【0034】上記液晶素子1を構成する部材について、
更に詳細に説明する。
【0035】基板12a、12bには、好ましくはガラ
ス、プラスチック等透明性の高い材料が用いられる。ま
た電極13a、13bにはITO等の透明電極が用いら
れ、更に必要に応じて電極全体としての抵抗を低下すべ
く透明電極に接して金属電極を設けることもできる(図
示せず)。
【0036】液晶11を構成する液晶材料としては、好
ましくは強誘電性或いは反強誘電性を示すカイラルスメ
クチック液晶が用いられる。この場合前述したクラーク
及びラガウェルのモデルによる双安定性を実現させるた
め、セルギャップ(基板間距離)としては0.5〜5μ
m程度が好ましい。また液晶材料としてネマチック液晶
を用いることもできる。
【0037】特に本発明では、液晶材料として、上述の
カイラルスメクチック液晶であって、降温下でコレステ
リック相を持たない材料が好適に用いられる。例えば反
強誘電性を示す液晶の場合、合成されている液晶材料の
ほとんどにはコレステリック相が存在しない。あるい
は、強誘電性を示す液晶の場合、シェブロン構造を解消
しブックシェルフといわれる層状構造即ちスメクチック
層が基板に対し実質的に垂直であるような、あるいはそ
れに近い構造を現出させ、高コントラストな良好な液晶
素子を実現するべく、一例として、パーフルオロエーテ
ル側鎖を持つ液晶性化合物(1993年第4回強誘電液
晶国際会議P−46、Marc D.Radcliff
eら)を用いることが好ましいが、かかる液晶材料は、
材料自体の特性によりブックシェルフに近い層傾き角の
小さなスメクチック層の構造を現出することができる材
料であって、コレステリック相を持たない、等方相−ス
メクチック液晶相転移を示す液晶材料である。
【0038】上記ブックシェルフ層構造を呈する液晶材
料として、具体的に、フルオロカーボン末端部分及び炭
化水素部分が中心核によって結合された構造であって、
スメクチック中間相又は潜在的スメクチック中間相を有
するフッ素含有液晶化合物を少なくとも1種を含有する
カイラルスメクチック液晶組成物を用いることができ
る。ここで言う潜在的スメクチック中間相を持つ化合物
とはそれ自身でスメクチック中間相を示していなくと
も、スメクチック中間相を持つ化合物または他の潜在的
スメクチック中間相を持つ化合物との混合物において、
適当な条件下でスメクチック中間相を発現する化合物を
言う。また、当該フッ素含有液晶化合物の構造におい
て、中心核とは、少なくとも2つの芳香環、脂肪族環、
又は置換芳香族環、置換複素芳香族から選ばれ、これら
環は、互いに、−COO−、−COS−、−HC=N
−、−COSe−からなる群より選ばれる基によって結
合されていてもよい。これらの環は、縮合していても、
いなくてもよい。複素芳香族環中のヘテロ原子は、N,
O,Sから選ばれる少なくとも1つの原子を含む。脂肪
族環中の隣接してないメチレン基はOによって置換され
ていてもよい。
【0039】上記フッ素含有液晶化合物、あるいはこれ
を含有するカイラルスメクチック液晶組成物の処方の具
体例としては、特開昭63−27451、特開平2−1
42753、米国特許5,262,082号、国際公開
93/22396、米国特許5,417,813号等に
記載されたものが挙げられる。
【0040】尚、上述したコレステリック相を示さず、
等方相−スメクチック液晶相転移を示す液晶材料は、配
向形成に関して、前述のバトネ成長の異方性が顕著であ
り、スメクチック液晶相の微少な核が生成された後、ス
メクチック層の法線方向に急激にバトネが成長し、更に
スメクチック層へとバトネの領域の拡大が急速に進行す
るという過程を経る。従って、当該液晶材料を用いる素
子では、液晶と接する基板の界面において一軸配向規制
力あるいは液晶との濡れ性等に分布を設け、スメクチッ
ク液晶相の微少な核発生位置に選択性を持たせ、バトネ
の核生成後の成長領域においては、特に基板と液晶の界
面に配向規制力が存在しなくても上記のバトネ成長方向
の異方性により配向形成がなされる。よって、かかる液
晶材料は、図1、図2に示すような一軸配向規制力を有
する配向制御層15aのように、基板上においてパター
ニング等によって選択的に配置し、液晶の駆動領域内に
おいて配向制御層の占める割合を減少させた構造には特
に好適である。
【0041】液晶に対し一軸配向規制力を有する配向制
御層15aは、所定のパターン形状で設けられたもので
あるが、前述したように、該ライン部分間で液晶に接す
る層14aの材料や表面特性との組合わせにより、該ラ
イン部の表面R1に接する液晶領域が、図3及び図4で
説明したような液晶配向状態の形成過程で液晶相への転
移の際における核発生(バトネ発生)部分となるように
機能する。即ち、配向制御層15aのライン部の表面R
1に対応する液晶領域の液体相−液晶相転移温度が、該
ライン部の表面R1に対応しない部分(ライン部間の表
面R2に対応する部分)での液晶領域の液体相−液体層
転移温度より高くなる。
【0042】配向制御層15aは、好ましくは基板に
(層14a上に)設けられた所定の材質の膜に一軸配向
処理を施すことによって形成され得る。具体的には、下
地層に溶液塗工、蒸着、スパッタリング等により、一酸
化珪素、二酸化珪素、酸化アルミニウム、ジルコニア、
フッ化マグネシウム、酸化セリウム、フッ化セリウム、
シリコン窒化物、シリコン炭化物、ホウ素窒化物などの
無機物やポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリイミ
ドアミド、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルイ
ミド、ポリパラキシレン、ポリカーボネート、ポリビニ
ルアセタール、ポリビニルクロライド、ポリスチレン、
ポリシロキサン、セルロース樹脂、メラミン樹脂、ウレ
ア樹脂、アクリル樹脂などの絶縁性の有機物を用いて被
膜形成したのち、表面をビロード、布あるいは紙等の繊
維状のもので摺擦(ラビング)することにより得られた
膜を用いる。また、Sio等の酸化物あるいは窒化物な
どを基板の斜方から蒸着した膜を用いることができる。
かかる配向制御層の材料は液晶材料の種類に応じて選択
する。
【0043】カイラルスメクチック液晶、特に上述した
フッ素含有液晶性化合物を少なくとも1種を含有するカ
イラルスメクチック液晶組成物を用いる場合では、好ま
しくは、以下の一般式Pで表される繰り返し単位からな
るポリイミドをラビング処理した膜を用いることができ
る。 〔一般式P〕 (−K−P11−L11−M11−(L12a −P12−)
【0044】
【外1】 を表し、L11,L12はそれぞれ独立に
【0045】
【外2】 または炭素数1から20のアルキレン基を表し、P11
12はイミド結合を表す。M11は単結合または−O−を
表紙、aは、0,1,2を表す。)
【0046】また、これらのポリイミドの具体的構造と
しては例えば以下の繰り返し単位構造が挙げられる。
【0047】
【外3】
【0048】
【外4】
【0049】
【外5】
【0050】配向制御層15aは、膜の形成時あるいは
形成後に所望の形状に、例えば図1に示す形状にパター
ニングして設けられる。膜の形成後にパターニングを行
う方法としては、例えばマスクエッチング、リフトオ
フ、UVアッシング等を採用することができる。また、
配向制御層の材料として、感光性を有する有機材料を用
い、パターニングを行う方法を採用することもできる。
膜の形成時に所望の形状にパターニングする方法として
は、オフセット印刷やインクジェット方式及びバブルジ
ェット方式等を用いることができる。
【0051】また、配向制御層15aは、基板11aに
一様に膜を形成した後、該膜に選択的にラビング処理等
の一軸配向処理を施すことによってパターン状の一軸配
向性を有する層として得ることもできる。
【0052】配向制御層15aのパターンは、図1に示
すストライプ形状が好ましいが、液晶材料の配向特性、
配向制御層の一軸配向規制力の程度に応じて、あるいは
液晶素子の光学変調の単位や画素のサイズ等に応じて、
格子状、アイランド状等種々の形状を選択することも可
能である。ただし、当該配向制御層15aのパターンの
寸法については、前述したような素子内での配向状態の
均一化と、液晶駆動(スイッチング)の高速化の両立を
考慮して、少なくとも一軸配向規制力を有する配向制御
層15aによる領域(面R1)の基板における全平面積
が、該基板における配向制御層が設けられない領域の全
平面積より小さくなるように設定することがより好まし
い。
【0053】また、一軸配向規制力を有する配向制御層
15aのパターン形状と一軸配向規制力の軸方向(一軸
配向処理の方向)の関係についても、上記の液晶材料の
配向特性、配向制御層の一軸配向規制力等に応じて決定
することができる。
【0054】液晶11として、スメクチック液晶相を示
す液晶を用いる場合、図4(A)〜(C)に示すよう
に、配向制御層15aとしてストライプ形状とし、更に
このストライプ方向に平行に一軸配向処理方向を設定し
て配向状態を形成する際には、特に配向制御層15aの
ライン距離が過度に大きいと、ライン間における広い液
晶領域に対して基板面に一軸配向規制力が存在しないた
め、同図(C)に示すようにスメクチック液晶相のバト
ネから生じるブランチが直線的ではなく、屈折して成長
しスメクチック層が屈曲して形成する可能性がある。そ
の結果、素子全面がスメクチック液晶相になるまで冷却
した後は、一軸配向規制力の存在する配向制御層15a
のライン間のほぼ中央付近における液晶領域では、スメ
クチック層方向が不均一となる恐れが生じる。一方、図
3(A)〜(C)に示すように、配向制御層15aとし
てストライプ形状とし、更にこのストライプ方向に垂直
に一軸配向処理方向を設定して配向状態を形成する際に
は、同図(C)に示すようにスメクチック液晶相のバト
ネから生じるブランチが、配向制御層15aのストライ
プのラインに沿ってほぼ直線的に成長し、スメクチック
層も当該ライン方向に均一に形成し易くなる。従って、
液晶11としてスメクチック液晶相を示す液晶を用いる
場合、配向形成の際にブランチの成長過程において層方
向の均一性を維持する意味において、より好ましくは形
成されるスメクチック層方向に連続または略連続するよ
うなストライプ形状、即ち一軸配向規制力の軸方向(例
えば上述のラビング処理におけるラビング軸)に垂直な
ストライプ状パターンとする。
【0055】配向制御層15aのパターンが、図1に示
すようなストライプパターンである場合、上述したスメ
クチック層の方向と同方向が長手方向となる(一軸配向
規制力の軸方向に沿った)複数のストライプからなるパ
ターンであって、該配向制御層の一ストライプ(ライ
ン)部分のスメクチック層の法線方向の長さが、該配向
制御層の隣接するストライプ(ライン)間の該配向制御
層が設けられていない部分のスメクチック層の法線方向
の長さより短いことが好ましい。
【0056】配向制御層15aのパターンが、図1に示
すようなストライプパターンである場合、そのライン間
の間隔の設定が、得られる配向状態に関連して重要であ
る。特に図4に示すような一軸配向規制力の軸方向に実
質的に同様(平行)なストライプ状パターンとした場
合、特にストライプのライン間の間隔をより小さくする
ことによって、図5に示すようにバトネの発生領域が増
加し、更にバトネからブランチが成長した際に、隣接す
るライン上のバトネから成長してきたブランチと接合す
るまでの成長距離がより短くなる。こうして、特にスメ
クチック液晶相を示す液晶を用いる場合では、スメクチ
ック層の層方向の均一性が向上する。但し、前述したよ
うに絶縁性材料からなる配向制御層15aが液晶に接す
る面積を極力低減し、これを介せずに液晶に対して電圧
が印加される液晶領域を大きくするため、配向制御層の
ライン間にはある程度の間隔を設けることが必要であ
る。
【0057】例えば、図3及び図4のような構造の場合
で、ラインの幅を約2〜20μmとして、ラインの間隔
を10μm〜50μmの範囲で設定することが好まし
い。
【0058】また、ストライプパターンの厚みを50〜
5000Å、200〜1000Åとすることが好まし
い。
【0059】一方、配向制御層15aのライン部間で液
晶11と接する面R2を構成する層14aについては、
図3〜図5に示すような配向形成過程を発現させるべ
く、配向制御層15aに使用される材料、その特性等と
の関係を考慮し、配向制御層15aの面R1に比べ一軸
配向規制力が弱いかないしは実質的に液晶に対して一軸
配向規制力を持たず、液晶駆動特性、特にカイラルスメ
クチック液晶の駆動特性を影響を与えないような絶縁性
が抑制され、液晶分子に対する影響が小さい材料及び処
理条件を選択して用いる。
【0060】かかる層14aとして、特に一軸配向規制
力を実質的に持たない層とするために、例えばラビング
処理等によっても一軸配向規制力が実質的に付与され得
ない金属酸化物等の無機膜等の硬度の高い材料を用いる
ことが好ましい。この点では、図2に示す構造では、層
14aを省略してITO等からなる透明電極13a上に
パターン形状の配向制御層15aを設けることもでき
る。
【0061】また、層14aは、図3〜図5に示すよう
な配向形成過程を良好に進行させるべく、その表面R2
において、一軸配向規制力を有する配向制御像15aの
表面R1に比較して液晶分子の相互作用を低下させてお
く。このため、層14aについては、その表面R2が、
液晶との濡れ性がよくない方向(液滴をはじく特性がよ
り強い)、接触角が大きくなる方向、表面エネルギー分
散項(γd)がより小さくなる方向、又は表面エネルギ
ー水素結合項をより大きくする方向で、材料、或いは必
要に応じてその形成方法や処理方法を選択して形成する
ことが好ましい。こうして、配向制御層15aのライン
部の表面R1に対応する液晶領域の液体相−液晶相転移
温度が、該ライン部間の表面R2に対応する部分)での
液晶領域の液体相−液晶層転移温度より高くし、前述の
良好な配向形成過程を実現することが可能となる。
【0062】具体的には、層14aとして、ゾルゲルタ
イプのシリカ膜や有機変成シリカ膜等の表面エネルギー
の分散項が配向制御層13aポリイミド等より相対的に
低い材料を用いることができる。
【0063】更に、層14aとしては、配向制御層15
aに使用される材料に比較して液晶分子に対する作用が
小さいことに加えて、液晶の駆動特性を向上させるべ
く、体積抵抗値を1×104 〜1×1010Ωcmの範囲
とすることが好ましい。かかる特性を得るために、例え
ば、必要に応じて多結晶又は非晶質金属酸化物からなる
膜、多結晶又は非晶質半導体からなる膜、及び微粒子
(導電性微粒子)を絶縁性の母材、バインダー中に分散
させた膜を用いることができる。上記多結晶又は非晶質
金属酸化物、多結晶又は非晶質半導体からなる膜、及び
微粒子には必要に応じて導電性制御不純物が添加されて
いてもよく導電性が調整される。
【0064】前記多結晶又は非晶質金属酸化物からなる
膜として、例えば、ZnO、CdO、ZnCdOx等の
12族元素の酸化物の膜、GeO2 、SnO2 、GeS
nOx,TiO2 、ZrO2 、TiZrOx等の4族元
素、14族元素の酸化物の膜が挙げられる。
【0065】前記多結晶又は非晶質半導体からなる膜と
しては、Si、SiC等の14族半導体の膜が挙げられ
る。
【0066】また、微粒子としては、例えば、上記12
族元素の酸化物、4族元素の酸化物、14族元素の酸化
物、14族の半導体の微粒子が挙げられる。
【0067】必要に応じて上記多結晶又は非晶質金属酸
化物、多結晶又は非晶質半導体や微粒子に添加される導
電性制御不純物としては、12族元素の酸化物に応じて
ドープする導電性制御不純物には、例えばn型不純物
(ドナー/電子伝導を高める不純物)として13族元素
であるB、Al、Ga、In等が、p型不純物(アクセ
プタ/ホール伝導度を高める不純物)として1族、11
族元素であるCu、Ag、Au、Li等に用いられる。
また14族元素の酸化物、半導体にドープする導電性制
御不純物には、例えば、n型不純物として15族元素で
あるP、As、Sb、Biが、p型不純物として13族
元素であるB、Al、Ga、In等が挙げられる。
【0068】このような導電性制御不純物については、
当該不純物が添加された材料を含む配向制御層を有する
基板側の表面電位が正の場合はドナーを、負の場合はア
クセプタを用いる、不純物の添加濃度については、材料
(微粒子、不純物の材料の組合せ)の種類、結晶状態
(結晶欠陥密度の多寡)に応じて設定されるが、不純物
が添加された状態での材料の自由電子あるいは自由正孔
の濃度が1.0×1011〜1.0×1014atm/
cm3 程度となるようにすることが好ましい。不純物を
添加する母体の材料として多結晶又は非晶質の材料を用
いる場合は、不純物の添加効率を考慮して、1.0×1
17〜1.0×1020atm/cm3 (母体材料に対し
て0.01〜1%程度)を実際の添加量とする。
【0069】前記微粒子を分散させるバインダーとなる
材料としては、例えば、SiOx、TiOx、ZrO
x、その他の酸化物溶融母材、シロキサンポリマー等が
挙げられる。
【0070】一方、対向する基板12bにおける配向制
御層15bについては、用いる液晶材料の特性に応じて
一軸配向規制力を付与する、或いは他の配向制御能を付
与する。
【0071】前述したコレステリック相をとらず等方相
−スメクチックといった相転移系列を示す液晶材料を用
いる場合では、一方の基板12aにおける一軸配向規制
力を持った配向制御層15aに対し、他方の基板12b
における配向制御層15bを一軸配向規制力を実質的に
持たない層とすることが好ましい。この場合配向制御層
15bには、対向する基板12a側で前述したように液
晶分子に対する相互作用が小さい層14aと同様の機能
を持たせることがより好ましく、当該層14aとして使
用可能な材料を用い、特に好ましくは層14aと同一材
料を用いる。こうして、液晶11に対して実質的に接す
る両基板の界面の大部分では絶縁性が抑制され、液晶、
特にカイラルスメクチック液晶の駆動特性の向上がなさ
れる。
【0072】その他、上記構造の液晶素子では、配向制
御層15aや15b、層14aとは別に、対向する基板
相互のショートを防止する層としての絶縁膜や、他の有
機材料からなる層、無機材料からなる層を設けてもよ
い。
【0073】スペーサー16は、基板間距離(セルギャ
ップ)を決定するものであり、例えばシリカビーズ等が
用いられる。かかるスペーサー15に加えて、基板11
a及び11b間の接着性を向上させるべく、エポキシ樹
脂等の樹脂材料からなる接着性粒子を基板間に分散配置
してもよい。
【0074】ところでスメクチック液晶表示素子では同
一画像を長時間表示し続けた場合の表示焼き付きに関す
る特性が、ネマティック液晶表示素子と比較すると相対
的に大きく現われるという問題が挙げられる。この問題
はスメクチック液晶共通の問題であるが、特に双安定性
を有する強誘電性液晶において表示焼き付き問題は顕著
に観測されている。このスメクチック液晶、特に強誘電
性液晶において問題となる表示焼き付き現象は電気的な
要因と配向的な要因によって生じるものと理解すること
ができる。
【0075】まず、強誘電性液晶では自発分極によりイ
オンの偏在が誘発される結果、電気的非対称性を生み出
し双安定性が崩れてしまうという、電気的要因による双
安定性の崩れが表示焼き付きとして観測される。これは
強誘電性液晶特有の問題といえる。
【0076】一方、焼き付き現象は配向制御膜表面と液
晶との界面分子配向の問題であるものと考えられる。こ
れは液晶素子全てに当てはまる現象であるが、液晶素子
において、基板間の中央付近におけるバルクの分子配向
方向が界面分子配向方向を変化させる結果、駆動特性を
変化させるため表示焼き付きとして観測されるものであ
る。即ち、少なくとも一方の基板に一軸配向処理が施さ
れた液晶素子では一軸配向規制力を有する基板界面近傍
における液晶分子は平均的にはその配向が容易である方
向に分子配列しているが、バルクの分子配列方向に関し
ては、液晶素子に対して印加される電界に方向に影響を
受けたものとなり、これらの分子の配列方向がずれるこ
とになってしまう。そのとき基板間の液晶の厚み方向に
おける連続体としての液晶分子は、基板界面とバルクと
の分子配向方向の歪みによって生じた弾性自由エネルギ
ーの増加分を減少させるために、界面分子そのものの配
向方向を変化させてしまう。このときの界面分子の配向
変化量は、例えばフランクの弾性定数が大きい等、連続
体としての特性が大きい液晶材料ほど顕著になると考え
られる。そのため、より高次の液晶相であるスメクチッ
ク液晶はネマティック液晶と比較すると相対的に表示焼
き付き特性が悪くなるものと考えられる。
【0077】そこで、本発明の液晶素子では、上述した
表示焼き付き特性を改善すべく一対の基板間において、
該液晶の部分が、基板界面付近の液晶分子と基板間のバ
ルク液晶分子が実質的に連続配列状態である第一の液晶
領域と、基板界面付近の液晶分子と基板間のバルク液晶
分子が不連続配列状態である第二の液晶領域から構成さ
れるようにすることが好ましい。
【0078】そして、このような第一及び第二の液晶領
域を有する素子を図1〜図5で説明したような、少なく
とも一方の基板に一軸配向規制力を有する配向制御層が
選択的に設けられた素子により実現することができる。
【0079】このような第一及び第二の液晶領域を有す
る液晶素子について、図16を参照して説明する。
【0080】同図において、液晶素子10は、液晶20
を夫々該液晶に電界を加える電極23a、23b及び液
晶の配向状態を制御する配向制御層25a,25bを備
えた基板22a及び22b間に挟持した構造を有してい
る。かかる素子は、液晶に接する配向制御層25a(及
び/又は25b)の材料を適宜選択し、液晶に接する界
面(R21、R22)の表面状態やその特性を制御する
ことにより、液晶26が、基板界面付近の領域L11の
液晶分子と基板間の領域L12のバルク液晶分子L12
が実質的に連続配列状態である第一の液晶領域L1と、
基板界面付近の領域L21の液晶分子と基板間の領域L
22のバルク液晶分子が不連続配列状態である第二の液
晶領域L2から構成されるようにしたものである。
【0081】かかる液晶素子における作用について説明
する。
【0082】前述のように、液晶素子における焼き付き
現象はバルクの配向歪みによって生じる弾性自由エネル
ギーの増加分を減少させるための界面分子配向方向を変
化させる結果生じる現象と考えられる。即ち、焼き付き
現象は素子の基板間でバルク部分と界面部分といった素
子の厚み方向の液晶部分の全てが弾性連続体として挙動
するときに生じる現象といえる。
【0083】そこで、図16に示す構造の液晶素子で
は、液晶領域L2においては、配向制御層25aの界面
近傍の領域L21における液晶分子と、基板間の領域L
22におけるバルク液晶分子が不連続配列状態を有する
ことにより、表示焼き付き現象の発生を抑制している。
具体的には領域L21での液晶配向状態と領域L22で
のバルクの液晶配向状態とが全く異なっており、分子集
団としての連続体が形成できないように分子配向制御し
ている。より具体的には領域L21では液晶分子の配向
方向が完全にランダムな方向を向いており、領域L22
では液晶分子の配向方向は整然と一軸方向(配向制御層
25aにおける一軸配向処理方向)へと配向するよう制
御している。液晶領域L2では、こうした配向状態とす
ることにより、界面とバルクとは不連続配向状態となり
配向状態が互いに影響しあわない、即ち経時的に配向状
態が変化することのない素子を実現できる。
【0084】尚、液晶領域L2を構成する基板界面付近
の領域であるL21及びバルク部分に対応する領域L2
2、液晶領域L1を構成する基板界面付近の領域である
L11及びバルク部分に対応する領域L12について
は、領域L21及びL11は、基板界面(配向制御層2
5a(又は25b)と液晶20との界面)から100Å
程度の部分であり、領域L22及びL12は、上記領域
L21及びL11を基板界面から除いた基板間の中央部
分であると想定することができる。これら領域におけ
る、液晶分子の挙動については、Appl.Phys.
Lett.Vol.53(24)P2397−2398
に記載のTIR(Total Internal Re
flection)法、SHG(Second Har
monicGeneration)法により観察するこ
とができる。
【0085】次に、上記の液晶素子を得るための手段、
特に配向制御層25a(25b)の調整について説明す
る。通常、液晶素子は一対の基板に施された配向制御方
向にしたがってセル全体の分子配向方向が決定される。
つまり、液体相から液晶相への相転移過程においては配
向制御膜近傍の分子から液晶相へと相転移する。そして
その際、配向制御膜上に施された配向処理方向にしたが
って分子配列し、更に冷却が進行すると、液晶相への相
転移がバルク部分にも及びセル全体が液晶相となる。つ
まり、通常の液晶素子は界面の規制を受けて分子配列が
形成されることから、上記の領域L1のような界面とバ
ルクは連続した分子配列状態が得られる。
【0086】一方、上記の領域L2のような基板界面と
バルク部分とで不連続な分子配列状態を得るためには、
同一基板面内に一軸配向規制力を有する部分(一軸配向
処理がなされている部分)と、一軸配向規制力を実質的
に持たないあるいは弱い部分(一軸配向処理が施されて
いない部分)の両方を設けることが好ましい。具体的
は、配向制御層5aにおける表面R21を一軸配向規制
力を有する部分とし、R22を一軸配向規制力を実質的
に持たない又はR21に比べて一軸配向規制力が相対的
に弱い部分とする。
【0087】このような配向制御能を有する層25aを
有する基板により構成された素子の場合、液体相−液晶
相相転移は、一軸配向規制力を持つ部分(R21)にお
ける液晶領域の界面近傍分子(L11)から生じ、配向
規制されていない部分に対応する液晶領域(L2)へと
拡大する。この相転移の順序については、液晶素子が一
般に一軸配向規制力が強いほど液晶相への相転移温度が
高くなることからも明らかである。このように、同一基
板面内に一軸配向規制力を有する部分(R21)と、一
軸配向規制力を実質的に持たない部分(R22)とが設
けられている場合、特に一軸配向規制力を実質的に持た
ない部分(R22)に対応する液晶領域のバルク配向
(L22)は、その液晶領域の界面(R22)の影響で
はなく、隣り合った一軸配向規制力を有する部分(R2
1)に対応する液晶領域のバルク部分(L12)の配向
にしたがって配向させることができる。中でも特にスメ
クチック液晶のように結晶性の高い液晶相では、一軸配
向規制力を有する部分(R21)に対応する液晶領域
(L1)において均一配向を形成させた後、一軸配向規
制されていない部分(R22)に対応する領域(L2)
へと結晶成長させることにより、基板界面における配向
規制の有無に関わらずセル全体を均一に配向させること
ができる。
【0088】スメクチック液晶は層法線方向に対する一
次元結晶であることから、このときの結晶成長方向は層
法線方向に向かって進行し易い。従って、一軸配向規制
力を有する部分(R21)はスメクチック層方向に関し
て連続、あるいは略連続させておくことが望ましい。一
方この時、一軸配向規制されていない部分(R22)に
対応する液晶領域(L2)では、界面近傍領域(L2
1)の分子の配向方向はランダムな方向を向いている。
これは界面近傍領域(L21)の分子から先に液晶相へ
と相転移する、即ち、バルク部分(L22)が液体相を
示す温度範囲においても界面近傍領域(L21)の分子
は界面(R22)の規制を受けてある程度分子配列して
いることから、必然的に一軸配向規制されていない界面
近傍領域(L21)の配向方向はランダムな方向を向か
ざるを得ないことによる。こうして、バルク部分(L2
2)が均一に配向し界面近傍領域(L21)がランダム
に配向するという、液晶10の厚み方向に不連続な配向
状態(液晶領域L2)を示す液晶素子が実現できる。
【0089】上記L2の液晶領域に対応する配向制御層
5aの界面R22については、その表面状態を算術平均
粗さRaが2nm以上の表面粗さ、自乗平均粗さRms
が2.5nm以上の表面粗さ、あるいは表面粗度5%以
上の表面粗さをすることが好ましい。
【0090】こうすることで、当該界面R22近傍及び
液晶領域(L21)における分子の起き上がり角度(プ
レチルト角)は表面凹凸にならった角度になるため、プ
レチルト角に関しても界面近傍層ではランダムな角度と
なる。つまり、基板面内方向(方位角方向)だけでなく
基板からの起き上がり方向(極角方向)に関しても基板
界面近傍の液晶領域(L21)とバルク領域(L22)
とで不連続な分子配列とすることができるため、表示焼
き付きの抑制効果がより大きくなる。
【0091】尚、ここでいう算術平均粗さRaとは、定
量面で中心面から表面までの偏差の絶対値の平均値を表
し、自乗平均粗さRmsとは、定量面で中心面から表面
までの偏差の自乗の平均値の平行根を表している。また
表面粗度とはある面積S上に凹凸形状を有する膜が存在
したとき表面の凹凸を含めた表面積S′との関係によっ
て次式のように表される。
【0092】表面粗度=(S′−S)/S
【0093】尚、図16に示すような構造の液晶素子で
は、例えば液晶10の部分が、互いに離間した複数の実
駆動領域の単位に分割され、これらを実駆動領域におけ
る液晶を全て或いは選択的に駆動させるような態様で使
用され得る。液晶表示素子では、かかる実駆動領域はい
わゆる画素に相当する。かかる液晶素子の態様では、少
なくとも実駆動領域は上記第二の液晶領域L2に相当
し、実駆動領域間を第一の液晶領域L1に相当するよう
にすることが好ましい。
【0094】上述したように、第一の液晶領域(L1)
及び第二の液晶領域(L2)は、好ましくは基板におけ
る液晶との界面領域に一軸配向規制力を有する部分(R
2)と、一軸配向規制力を実質的に持たないか相当的に
小さい部分(R22)を設けることにより、これらに対
応して形成することができる。従って、図1及び図2に
示すような構造で、前述した部材処理を適用した基板及
び素子の構成により、図3〜図5に示すような配向形成
過程を発現させることにより、図16に示すような第一
の液晶領域(L1)、第二の液晶領域(L2)を有する
素子を得ることができる。図16における第一の液晶領
域(L1)を付与する基板上の面領域R21が、図2に
おける一軸配向規制力を有する配向制御層15aの基板
と実質的に平行な面領域であるR1に、図16における
第二の液晶領域L2を付与する基板上の面領域R22が
図1での層15aのライン間の面領域R2に夫々相当す
る。
【0095】即ち、図2に示す構造の液晶素子では、素
子内において通常絶縁性を有する一軸配向規制力を有す
る配向制御層(15a)が、配向状態形成の開始部分と
なる核(バトネ)を供給するために必要なパターン形状
で設けられ、図3〜図5に示すように配向状態の形成過
程により素子全面に均一な配向状態の形成が確実になさ
れ、かかる配向状態の形成過程と、配向制御層15aの
表面R1と、その間隙の層14aの表面R2の特性の関
係により、R1に対応する液晶領域が前述した図16に
示す液晶領域L1のように領域L11とL12が連続配
列状態となり、R2に対応する液晶領域が前述した図1
6に示す液晶領域L2のように領域L21とL22が不
連続配列状態となる。
【0096】特に、図2に示す素子構造で、図16に示
す第一の液晶領域L1、第二の液晶領域L2を良好に形
成させるべく、特に領域L21とL22が不連続配列状
態となるように、面R2を形成する。
【0097】層14aとしては、その表面状態を前述し
た所定の粗さとする、例えば前述した液晶との濡れ性が
よくない方向(液滴をはじく特性がより強い)、接触角
が大きくなる方向、表面エネルギー分散項(γd)がよ
り小さくなる方向、又は表面エネルギー水素結合項をよ
り大きくする方向の材料を粗面化して用いることが好ま
しい。
【0098】液晶領域L2を得るために又電気特性や表
面特性を所望のものとすべく特に好ましくは、層14a
として、前述した微粒子(導電性微粒子)を絶縁性母
材、バインダー中に分散させた膜を用いる。かかる微粒
子には必要に応じて導電性制不純物を添加し導電性を調
整する。
【0099】上記構造の素子1では、好ましくは、液晶
11が基板間の液晶が互いに離間した複数の実駆動領域
から構成されるものであり、該実駆動領域において、信
号電源(図示せず)からのスイッチング信号に応じて電
極12a及び12bにより液晶11に電界が印加されて
スイッチングが行われ、液晶11中を通過する光が変調
され、少なくとも明状態及び暗状態が形成される。
【0100】更に、かかる配向制御層15aに対応する
液晶領域(領域R1に対応する素子の厚み方向の全液晶
領域)において、暗状態が示されるように、該領域での
液晶分子の位置を固定化させることもできる。
【0101】特に、配向制御層15aの領域R1とこの
領域に対向する配向制御層15bの表面電位の差を50
mVより大きく、好ましくは100mVより大きくし、
この対向面内の領域で常に暗状態が示されるように液晶
分子の位置を固定化させる。
【0102】強誘電性を示す液晶を用い、ストライプ状
の電極を有する一対の基板を対向せしめたマトリックス
タイプの液晶表示素子では、夫々の基板の電極が互いに
交差する部分以外に対応する領域、即ち画素間の領域で
は、液晶の分子配向状態を電界により制御することはで
きず、画素間で光漏れが生じ表示におけるコントラスト
が劣化する恐れがあるため、当該画素間領域に対応して
基板に金属材料等のブラックマトリックスといった部材
を設け遮光している。しかし、このブラックマトリック
スの形成は、上記の画素電極が互いに交差する部分に対
応するべく位置合わせ等が必要となり、コストの向上を
もたらし、またブラックマトリックスとして金属材料等
を用いる場合、素子表示面の反射率が高くなり、表示品
位が低下することがある。
【0103】更に、反強誘電性液晶を用いたマトリック
スタイプの液晶表示素子においては、画素間において液
晶の配向状態が他の領域に比較して若干乱れることがあ
る。この場合においても、画素間の光漏れ生じ表示にお
けるコントラストが劣化する恐れがあるため、上述のよ
うに当該画素間領域に対応して基板に金属材料等のブラ
ックマトリックスといった部材を設け遮光する必要が生
じ、同様に表示品位の低下の調整が生じる。従って、上
述のような配向状態が固定的に形成される領域を画素間
領域に対応して設けることで、均一な液晶分子配向を実
現しつつ、広い駆動マージンを実現し、より高速なスイ
ッチング特性を有し、且つ簡単な構造で実駆動領域間、
特に表示素子における画素間において確実に遮光を行な
い、コントラストが充分に確保することができる。
【0104】次に、図17を参照して本発明の液晶素子
の第二の実施態様を説明する。同図において図2と同一
の符号は同一の部材を示す。
【0105】図17に示す第二の実施態様にかかる液晶
素子101では、基本的な構造は図2に示す第一の実施
態様と同様であり、基板12a側において、液晶11に
対して電界を印加する電極13a上に、下地層14aを
介して配向制御層15aが、ストライプ形状や格子状と
いった所望の形状で設けられて液晶11に接し、その上
面、即ち基板12aと実質的に平行な面(領域R1を構
成)において、少なくとも液晶11に対し一軸配向規制
力を有する。更に、配向制御層15aに対応しない領域
では、下地層14a上に層17aが設けられていない面
(R2)で液晶11に接している。ここで、層17a
は、配向制御層15aと同様に絶縁性材料等からなり適
切な処理を施すことで液晶に対する一軸配向規制力を呈
する材料により形成されるが、例えば配向制御層15a
に比較して極めて薄い厚みとすることで、面(R1)に
比較して面(R2)での液晶に対する一軸配向規制力を
相対的に小さく液晶との相互作用が小さくなるようにす
る。尚、対向する基板12bでは、液晶11に対して電
界を印加する電極11b上に、液晶に接し該液晶の配向
制御に寄与し得る配向制御層15bが形成されている。
【0106】上記構造の液晶素子1においては、液晶1
1に接する、配向制御層15a、層17a、配向制御層
15bや、液晶11の材料、処理方法、条件等を適宜設
定することにより、第一の実施態様と同様に、図3〜図
5に示すように、液晶11において、降温時に液晶の液
体相−液晶相の相転移過程で、配向制御層15aの基板
と平行方向の面領域R1(第一の領域)に接する領域か
ら液晶相への相転移が生じて、配向制御層15aの一軸
配向規制力の軸方向(一軸配向処理の軸方向)に沿って
連続的に液晶相転移領域が成長し、更に面領域R2(第
二の領域)に当該相転移領域が拡大し、配向状態が形成
される。特に、配向制御層15aと、層17aの表面の
一軸配向規制力関係及び液晶に対する相互作用の関係に
より、即ち前者の表面の一軸配向規制力の強さを相対的
に強くし且つ液晶との相互作用を大きくすることで、上
述した配向状態の形成過程を効果的に得るようにする。
【0107】液晶の相転移が最初に生ずる第一の領域
(R1)に対応する配向制御層15aについては、第一
の実施態様の場合と同様の材料及び処理を採用して形成
することができる。一方、第一の領域(R1)以外の領
域(R2)に対応する層17については、例えば配向制
御層15aに用いることのできる材料として例示したも
のを同様に用いることができる。具体例としては、層1
4a上に配向制御層15aを形成するための材料層
(膜)を全面形成した後、前述したUVアッシング等の
方法によりパターニングする際の条件を調整して、配向
制御層15aを選択的に形成することと同時に、配向制
御層15aの各ライン間に、同一の材料で配向制御層1
5aに比較して小さい厚みの層17aを得ることでき
る。この場合、換言すれば層17aは、配向制御層15
aが突出したライン間で厚みを低減させて当該ラインと
連続的に形成されている。このようなパターニングの後
一軸配向処理を施すことで、配向制御層15aの厚みの
大きな部分の表面(第一の領域(R1)に対応)では強
い一軸配向規制力が付与され、層17aの部分の表面
(第二の領域R2に対応)では相対的に弱い一軸配向規
制力が付与され得る。
【0108】かかる第二の態様では、第一の実施態様と
同様に、図3〜図5に示すような過程により素子全面で
の均一な配向状態の形成が確実になされる。加えて、配
向制御層15aに絶縁性材料を用い、上述のUVアッシ
ング等のパターンニング方法で図17に示すような構造
を形成した場合、液晶の駆動に対して、電気的に障害と
なる絶縁性材料からなる一軸配向規制力を有する配向制
御層15aのライン間において、厚みが小さく絶縁性の
影響が抑制された層17aが存在するに過ぎず、電気的
には絶縁性層の影響が小さく電圧が印加される液晶領域
が素子全体で大きくなり、特にパルス電圧による駆動の
際に液晶に印加される実効電圧を大きくすることができ
る。
【0109】第二の領域(R2)を構成する層17aが
絶縁層である場合の厚みについては、特に液晶として自
発分極を有するスメクチック液晶を用い、領域(R2)
を液晶素子の実駆動領域とする場合においては、当該液
晶の自発分極が素子の基板間で生じせしめる逆電圧によ
り液晶分子のスイッチングが阻害されないように設定す
ることが重要である。具体的には、層17aを含む領域
(R2)に対応する両基板の絶縁層の総厚みが、下記式
A1のd1未満となるようにすることが好ましい。
【0110】(A1) d1=Vth1×ε/2Ps Vth1:パルス幅1msの片極性パルスで一部反転す
る閾値電圧 ε:面R2に対応する両基板の絶縁層のトータルでの誘
電率 Ps:用いる液晶の自発分極(単位面積あたり)
【0111】尚、式A1は、液晶のスイッチングが自発
分極により生じる逆電圧により阻害を受けはじめるとき
の逆電圧の値Vrev=2Ps*S/C、C=ε*S/
d1(Cは該当する領域2での液晶容量、Sは当該領域
の面積)としてその際の絶縁層の厚みを求めたものであ
る。
【0112】一方、第一の領域(面R1)での配向制御
層15aの厚みについては、少なくとも層15aを含む
面領域R1に対応する両基板の絶縁層の総厚みが、上記
式A1のd1以上となるようにすることが好ましく、下
記式A2のd2以上となるようにすることが特に好まし
い。
【0113】(A2) d2=Vth2×ε/2Ps Vth2:パルス幅1msの片極性パルスで全部反転す
る閾値電圧 ε:領域R1に対応する両基板の絶縁層のトータルでの
誘電率 Ps:用いる液晶の自発分極(単位面積あたり)
【0114】更に、層17aについては、下地となる層
14aの材質によっては、また電極14aから液晶にう
ける化学的な影響、特に下層からのイオンの移動による
影響を低減するために好ましい。
【0115】尚、本発明で言う配向規制力の強さを以下
に定義する。液晶材料を仮に配向規制力が存在しないセ
ル中に注入した場合、磁場等の特別な外場や温度勾配を
用いなければ、一般に分子張軸方向はランダムな方向に
向かって配向する。一方、十分強固に一軸配向規制され
たセル中に液晶材料を注入した場合、一般に分子長軸方
向は一軸配向規制された方向に向かって整然と配向す
る。後者の配向の様子はネマティック液晶もスメクチッ
ク液晶の場合もほぼ同様であるが、前者の配向の様子は
ネマティックとスメクチックにおいて若干テクスチャー
に違いがある。分子長軸方向がランダムな方向に配向す
る場合、層構造を有するスメクチックの場合はフォーカ
ルコニックテクスチャーと呼ばれる幾何学模様を呈しな
がらランダムな層構造を形成する。本発明においてスメ
クチック液晶における弱い配向規制力とは一軸配向規制
されたセル中にスメクチック液晶を注入した場合、セル
中の一部分にこうしたフォーカルコニックテクスチャー
が発現する場合、この液晶にとってこのセルの配向規制
力が弱いものと定義する。同様に、一軸配向規制された
セル中にスメクチック液晶を注入した場合、上述のフォ
ーカルコニックテクスチャーがまったく存在せず、整然
と一方向に層構造制御された場合、この液晶にとってこ
のセルの配向規制力が強いものと定義する。そして、フ
ォーカルコニックテクスチャーの存在比率により相対的
な強弱の程度を判断する。この強弱の定義は配向性によ
って決定されるものであるので、液晶の種類が変われば
強弱の程度も変化する。即ち本発明における配向規制力
の強さとは、セルによって一義的に決まるものではな
く、セルと液晶との組み合わせによって決まるものと定
義する。
【0116】上述の図17に示す第二の実施形態の液晶
素子の構造の更なる変形である第三の態様を図18に示
す。同図に示す構造は、まず図17の配向制御層15a
と同様の材料から形成された層18aを選択的に設けた
後、その上側から薄い厚みで配向制御層15aにも適用
可能な層19aを全面に形成し、一軸配向規制力を付与
したものである。この場合、選択的に設けた層18a上
(ライン上)での層19aの表面(領域R1)と層18
aのライン間での層19aの表面(領域R2)におい
て、領域R1は一軸配向規制力を付与し得る材料の総厚
みが大きな層の表面であり、これに比較して領域R2で
の液晶に対する一軸配向規制力を相対的に小さく液晶と
の相互作用が小さくなるようにすることができ、第二の
実施態様と同様の効果を得ることができる。
【0117】上述したような第二及び第三の態様におい
ても、R1,R2の表面状態を配向制御層15a、下地
層14a,層17a,18a,19aの材料、厚み、処
理条件を選択して調整することで、特に下地層14aを
粗面化することで、面R1を前述の図16で説明したよ
うな基板の面R21に、面R2を、図16の面R22と
なるようにし、同図に示す液晶領域L1及びL2を形成
することもできる。
【0118】図6を参照して、本発明の液晶素子の第四
の実施態様を示す。同図において、図1、図2と同一の
符号は同一の部材を表す。
【0119】同図に示す態様では、基板12aに液晶1
1に接する面領域R1で一軸配向規制力を有する配向制
御層15aが選択的にパターン形状で設けられているこ
とに加えて、対向する基板12bにおいても配向制御層
15bが同様にパターン形状で設けられている。かかる
配向制御層15bは、配向制御層15aと同様に液晶に
接する面(R3)で一軸配向規制力を有するものであ
り、特に前述した配向制御層15aとして使用可能な材
料及び一軸配向処理が選択され適用される。これら配向
制御層15a及び15bのパターンのライン部は互いに
位置合わせされて完全に対向しており、両配向制御層の
一軸配向規制力の軸ないし一軸配向処理方向は同一であ
る。
【0120】かかる素子では、基板12a側に加えて、
基板12b側においても、図3〜図5に示すような配向
状態の形成過程が進行して液晶配向が得られる。
【0121】従って、配向制御層15bのライン間で液
晶11に接する面R4は、実質的に液晶に対して領域R
3に比較して相対的に一軸配向規制力が強いかないしは
一軸配向規制力を持たず、液晶分子に対する作用が低減
されたものであり、これを構成する層14bは、配向制
御層15bに使用される材料、その特性等との関係を考
慮し、対向側の層14aに使用可能な材料、処理方法を
適用して形成される。
【0122】更に、上記素子では、配向制御層15a、
15bの材料や処理方法を選択し、好ましくは対向面
(R1,R3)の表面電位の差を前述のように50mV
より大きく、好ましくは100mVより大きくし、これ
らに挟まれた領域で常に暗状態が示されるように同領域
での液晶分子の位置を固定化させる。
【0123】又、上記素子では、前述の第二、第三の実
施態様のように領域R2、R4を下地層とは別の薄層に
より形成し、領域R1、R3に比較して一軸配向規制力
が弱く、液晶分子に対する作用が低減されたようにする
こともできる。
【0124】図7に、本発明の液晶素子の第五の実施態
様を示す。同図において、図21と同一の符号は同一の
部材を表す。
【0125】同図に示す構造の素子では、基板12a及
び12bの夫々に形成される電極13a及び13bがス
トライプ状に形成され、これらがマトリックス状に対向
させ、その交差部が実駆動領域ないし表示素子における
画素となっている。そして、基板12a側において、絶
縁性材料からなる一軸配向規制力を有する配向制御層1
5aがそのライン部が夫々同基板の電極13aの各スト
ライプ間に対応するようなパターン形状で設けられてい
る。図8に、基板12a側における電極13aと配向制
御層15aのパターン形状の上方から見た位置関係を示
す(同図では他の部材を省略している)。ここで、電極
13aが透明電極であり、前述したように金属電極が付
設される場合では、該金属電極の部分にも配向制御層1
5aのラインを対応させることが好ましい。
【0126】かかる構造の素子における配向状態は、基
本的に前述の第一の態様と同様に図3〜図5に示すよう
な過程により、一軸配向制御層15aに対応する液晶領
域を出発点として形成される。更にこの態様では、液晶
の駆動に対して電気的に障害となる絶縁性材料からなる
一軸配向規制力を有する配向制御層15aは、同一基板
における電極13aとの位置関係により、液晶の実駆動
領域ないしは画素部分に実質的に存在せず、当該領域に
おけるパルス電圧による駆動の際に液晶に印加される実
効電圧を大きくすることができる。こうして、配向状態
の均一化と、液晶駆動(スイッチング)の高速化の両立
が実現する。特に、後者の特性に関して顕著な効果がも
たらされる。更に、表示素子として適用する場合では、
有効に駆動する画素面積を大きくすることができ開口率
が向上する。
【0127】加えて、上記第五の態様の素子では、実駆
動領域間ないしは画素間に対応する、配向制御層15a
及び対向する配向制御層15bの材料や処理方法を選択
し、好ましくは対向面の表面電位の差を前述のように設
定することで、これら実駆動領域間ないしは画素間が暗
状態が示される様に同領域での液晶分子の位置を固定化
させる。こうして、基板12a及び12bのいずれにお
いても、実駆動領域間に対応して金属等からなる遮光部
材を設けることなくコントラストの向上がなされ、また
表示面での反射率が低減される。この効果をより顕著に
すべく、図8に示すような配向制御層15aを、そのラ
イン部が同図の電極ストライプ13aのラインと同方向
に加えて、これと垂直な方向であり、且つ対向する基板
(12b)側の電極ストライプ(13b)のライン間に
対応するように設けられた格子状パターンとすることが
特に好ましい。
【0128】尚、上記構造の素子においても、前述の第
二、第三の態様のように配向制御層15aのライン間の
層14aの表面を層14aと別の薄層により被覆して配
向制御層15aの表面と比較して一軸配向規制力が弱く
液晶分子に対する作用が低減されたようにすることもで
きる。
【0129】図9に、本発明の液晶素子の第六の実施態
様を示す。同図において、図1、図2、図6と同一の符
号は同一の部材を表す。
【0130】同図に示す構造の素子では、基板12a及
び12bの夫々に形成される電極13a及び13bがス
トライプ状に形成され、これらがマトリックス状に対向
させ、その交差部が実駆動領域ないし表示素子における
画素となっている。そして、基板12a側において、絶
縁性材料からなる一軸配向規制力を有する配向制御層1
5aがそのライン部が夫々同基板の電極13aの各スト
ライプ間に対応するようなパターン形状で設けられてい
る。図8に、基板12a側における電極13aと配向制
御層15aのパターン形状の上方から見た位置関係を示
す(同図では他の部材を省略している)。一方、基板1
2b側においては、基板12a側の配向制御層15aと
ライン部どうしが対向するようなパターン形状で絶縁性
材料からなる一軸配向規制力を有する配向制御層15b
が設けられている。図10に、基板12b側における電
極13bと配向制御層15bのパターン形状の上方から
見た位置関係を示す(同図では他の部材を省略してい
る)。ここで、電極13a,13bが透明電極であり、
前述したように金属電極が付設される場合では、該金属
電極の部分にも配向制御層15a、15bのラインを対
応させることが好ましい。配向制御層15aと配向制御
層15bには、特に前述の第一の実施態様で説明した配
向制御層15aとして使用可能な材料及び一軸配向処理
が選択され適用される。両配向制御層における一軸配向
処理方向は好ましくは同一である。
【0131】かかる構造の素子における配向状態は、基
本的に前述の第四の態様と同様に、両基板において、一
軸配向制御層15a、15bに対応する液晶領域を出発
点として図3〜図5に示すような過程により形成され
る。更にこの態様では、液晶の駆動に対して電気的に障
害となる絶縁性材料からなる一軸配向規制力を有する配
向制御層15a、15bは、同一基板における電極13
a、13bとの位置関係により、液晶の実駆動領域ない
しは画素部分に実質的に存在せず、当該領域におけるパ
ルス電圧による駆動の際に液晶に印加される実効電圧を
大きくすることができる。こうして、配向状態の均一化
と、液晶駆動(スイッチング)の高速化の両立が実現さ
れる。特に、後者の特性に関して顕著な効果がもたらさ
れる。更に、表示素子として適用する場合では、有効に
駆動する画素面積が大きくすることができ開口率が向上
する。
【0132】そして、液晶の実駆動領域において、14
a及び14bの材料、表面状態等を調整することにより
図16で説明したような液晶領域L2の領域L21とL
22のように、基板界面付近の液晶領域における分子と
バルク領域の液晶分子が不連続配列状態を形成すること
もできる。
【0133】こうして、配向状態と均一化と、液晶駆動
(スイッチング)の高速化の両立が実現される上に、駆
動中の焼き付きの抑制がなされる。更に、表示素子とし
て適用する場合では、有効に駆動する画素面積を大きく
することができ、開口率が向上する。
【0134】加えて、上記第八の態様の素子では、実駆
動領域間ないしは画素間に対応する、配向制御層15a
及び対向する配向制御層15bの材料や処理方法を選択
し、好ましくは対向面の表面電位の差を前述のように設
定することで、これら実駆動領域間ないしは画素間が暗
状態が示される様に同領域での液晶分子の位置を固定化
させる。こうして、基板12a及び12bのいずれにお
いても、実駆動領域間に対応して金属等からなる遮光部
材を設けることなく、表示面での反射率が抑制され、コ
ントラストの向上がなされる。この効果をより顕著にす
べく、図8に示すような配向制御層15aを、そのライ
ン部が同図の電極ストライプ13aのラインと同方向に
加えてこれと垂直な方向で、対向する基板(12b)側
の電極ストライプ(13b)のライン間に対応するよう
な格子状パターンとし、また図10に示すような配向制
御層15bを、そのライン部が同図の電極ストライプ1
3bのライン方向と垂直方向に加えて、電極ストライプ
13bのライン方向と同方向であり、電極ストライプ1
3bのライン間に対応するような格子状パターンとする
ことが特に好ましい。
【0135】上記構造の素子においても、前述の第二、
第三の態様のように配向制御層15a、15bの夫々の
ライン間の層14a、14bの表面を層14a、14b
と別の薄層により被覆して、配向制御層15a、15b
の表面と比較して一軸配向規制力が弱く、液晶分子に対
する作用が低減されたようにすることもできる。
【0136】このような第五及び第六の実施態様による
素子は、両基板の電極12a及び12bがマトリックス
電極構造を形成し、パターン表示、パターン露光が可能
となり、例えば、パーソナルコンピューター、ワークス
テーション等のディスプレイ、プリンター用等のライト
バルブとして好適に用いられる。
【0137】尚、第五及び第六の実施態様では、より良
好な配向状態を得るために、配向制御層15a,及び1
5bを電極13a,13bの交差する上述した実駆動領
域ないしは画素内にも設けることもできる。このような
実駆動領域ないしは画素内に設ける配向制御層は、その
厚みを好ましくは上記範囲(50〜5000Å)内でよ
り大きくし、より好ましくは500Å以上とし、当該配
向制御層に対応する液晶領域に加わる電圧を抑制し当該
液晶領域を完全に駆動しないようにして、電極13a,
13bの交差する部分全体での液晶の駆動特性を良好に
する。
【0138】本発明の液晶素子の駆動法としては、特に
第五、第六の態様のような単純マトリクス電極配置につ
いて例えば、特開昭59−193426号公報、特開昭
59−193427号公報、特開昭60−156046
号公報、特開昭60−156047号公報に記載の駆動
法を用いることができる。
【0139】以下、図面を参照して、本発明の液晶素子
における単純マトリックス駆動とその際に重要となる駆
動特性について詳述する。
【0140】図11は、液晶素子におけるマトリクス電
極の配置の一例を示す平面図である。液晶素子(パネ
ル)51には、走査電極群52の走査線(S1〜Sm)
と情報電極群53のデータ線(I1〜In)とが互いに
交差して配線され、走査線とデータ線との間には液晶が
配置されている。そして、走査線とデータ線の各交差部
が一表示単位である画素となり、走査線とデータ線から
電圧が印加され液晶の駆動がなされる。尚、特に前述の
第三及び第四の実施態様では、基板12a、12bの夫
々に設けられた電極13a、13bが、同図に示す電極
52、53のいずれかに相当することになる。
【0141】図12、図13は、図11に示すマトリッ
クス電極構造において採用する駆動法(マルチプレック
ス駆動)の波形の一例である。
【0142】図12に示す駆動波形は、走査ライン側を
基準にして、+側の極性で黒表示させるような設定と
し、黒表示側をリセット方向とした、リセット書き込み
型の波形である。S0は走査線に印加する走査信号波形
を、I1はデータ線に印加する情報信号波形(白表示波
形)、I2はデータ線に印加する情報信号波形(黒表示
波形)を表している。また、図中(S0−I1)と(S
0−I2)は選択された画素に印加される電圧波形で、
電圧(S0−I1)が印加された画素は白表示状態とな
り、電圧(S0−I2)が印加された画素は黒表示状態
となる(前述用のようにリセットを黒表示側とする)。
【0143】図13における(S2−I0)と(S3−
I0)は、図12に示す駆動波形で、例えば同一データ
線上で連続する4画素に「白、白、黒、黒」表示を行っ
た時の第2番目の画素と第3番目の画素に印加される時
経列波形である。
【0144】図12、図13に示す駆動波形では、選択
された走査線上の画素に印加される書き込みパルス幅Δ
tに対し、1ラインクリアのリセットパルスが5/2Δ
tに設定され、また書き込みパルスの後にリセットパル
ス側を補助するパルスが1/2Δt存在している。この
ため、図12、図13で示される駆動波形では1ライン
走査時間(1H)は4Δt分となる。但し、図13の様
に走査波形を1ラインごとに重なり合う時間を設けずに
走査する他に、2以上の走査線(例えば隣接する走査
線)の走査波形の出力に重なり合う時間を設け(例え
ば、2Δt分)実用上の1ライン走査時間(1H)を短
く(例えば、2Δtに)することも可能である。
【0145】図12、図13に示した駆動波形の各パラ
メータ走査信号電圧VS、情報信号VI、駆動電圧Vo
p(VS+VI)、(バイアス比:VI/(VS+V
I)、Δtの値は使用する液晶材料のスイッチング特性
によって決定される。
【0146】図14は、図12で示した駆動波形を用い
て、上述のバイアス比を1/3.4に固定し、また駆動
電圧Vop(VS+VI)を20Vで一定にし、パルス
幅Δtを変化させた際の、該当画素における駆動波形印
加後(選択印加後)の最終的な透過率Tの変化を示した
ものである。
【0147】同図において、実線は、白波形(S0−I
1)(黒消去(リセット)白書き込み)、破線は、黒波
形(S0−I2)(黒消去(リセット)保持)が印加さ
れた場合のものである。実線の白波形(S0−I1)を
印加する場合では、該当画素の波形が印加される前状態
が黒状態になっており、Δt1以上のパルス幅で完全に
白状態への書き込みが出来るようになり、Δt2より大
きなΔtでは、再び白状態への書き込みが出来なくなっ
ている(例えば図12に示した白表示波形(S0−I
1)のWのパルスに後続する逆極性の補助のパルスの印
加により再度黒状態となる)。また、破線の黒波形(S
0−I2)では、該当画素の波形が印加される前状態が
反対の白状態になっており、Δt3以上のパルス幅で完
全に黒状態への書込み及び保持が実現されており、Δt
4より大きなΔtでは、黒状態の保持が出来なくなって
いる(図12に示した黒表示波形(S0−I2)のBの
パルスに後続する逆極性の保持パルスの印加自体で白状
態となる)。
【0148】通常、Δt3<Δt1なので、Δt1を閾
値パルス幅と呼び、Δt2かΔt4の小さい方(この図
14の場合Δt4)をクロストークパルス幅と呼ぶ(Δ
t2を白クロストークパルス幅、Δt4を黒クロストー
クパルス幅とも呼ぶ)。
【0149】閾値パルス幅とクロストークパルス幅の間
のパルス幅を持った駆動波形によりマトリックス駆動が
なされる、白表示波形(図12に示した白表示波形(S
0−I1))による確実な白表示、及び黒波形(図12
に示した黒表示波形(S0−I2))による確実な黒表
示が可能となり、情報信号側の極性の差だけで白及び黒
の良好な画像表示が出来る。
【0150】上述のバイアス比を大きくすることによ
り、Δt2やΔt4のクロストークパルス幅の値を大き
くすることは可能であるが、バイアス比を増すことは情
報信号の振幅を大きくすることを意味し、画質的にはち
らつきの増大、コントラストの低下を招き好ましくな
い。我々の検討ではバイアス比1/3〜1/5程度が適
当であった。
【0151】このような駆動特性に関して、駆動条件の
設定にどの程度の余裕があるかについての特性を駆動マ
ージンと呼ぶが、これを定量的に評価するための指標と
して、上述の閾値パルス幅Δt1とクロストークパルス
幅Δt4(場合によってはΔt2)の値の中心値からの
幅を比率で表すパラメータ「M2」を用いる事ができ
る。 M2=1/2(Δt4−Δt1)/1/2(Δt4+Δ
t1)
【0152】ある一定温度において、上述のように情報
信号の2通りの向きによって選択画素に黒及び白の2状
態を書き込むことが可能であり、また非選択画素はその
黒または白の状態を保持することが可能である駆動マー
ジンは、液晶材料及び素子構成によって差があり、特有
なものである。また、環境温度の変化によってもそれら
駆動マージンは異なるため、実際の液晶表示装置では、
液晶材料、素子構成や環境温度にたいして最適な駆動条
件を設定しておく必要がある。上記の駆動マージンパラ
メータM2が大きいほど表示素子として当然有利であ
る。
【0153】尚、図14に示す駆動特性(駆動マージ
ン)の評価については、駆動電圧Vopを固定し、パル
ス幅Δtを変化させたが、反対にパルス幅Δtを固定
し、駆動電圧Vopを変化させても良いし、両方のパラ
メータを変化させても良い。
【0154】本発明では、上述の例えば、一方の基板と
してTFT等を備えたアクティブマトリクス基板を用
い、駆動回路によるアクティブマトリクス駆動を行うこ
とで高速駆動による表示が可能となる。
【0155】図19〜図21を参照して、本発明の液晶
素子の他の実施態様として、このようなアクティブマト
リクス基板を用いた例について説明する。
【0156】図19は、当該素子を、駆動手段を備えた
形で、一方の基板(アクティブマトリクス基板)の構成
を中心に模式的に示したものである。
【0157】図19に示す構成では、液晶素子に相当す
るパネル部90において、駆動手段である走査信号ドラ
イバ91に連結した走査線に相当する図面上水平方向の
ゲート線G1、G2…と、駆動手段である情報信号ドラ
イバ92に連結した情報信号線に相当する図面上縦方向
のソース線S1、S2…が互いに絶縁された状態で直交
するように設けられており、その各交点の画素に対応し
てスイッチング素子に相当する薄膜トランジスタ(TF
T)94及び画素電極95が設けられている(同図では
簡略化のため5×5画素の領域のみを示す)。尚、スイ
ッチング素子として、TFTの他、MIM素子を用いる
こともできる。ゲート線G1、G2…はTFT94のゲ
ート電極(図示せず)に接続され、ソース線S1、S2
…はTFT94のソース電極(図示せず)に接続され、
画素電極95はTFT94のドレイン電極(図示せず)
に接続されている。かかる構成において、走査信号ドラ
イバ91によりゲート線G1、G2…が例えば線順次に
走査選択されてゲート電圧が供給され、このゲート線の
走査選択に同期して情報信号ドライバ92から、各画素
に書き込む情報に応じた情報信号電圧がソース線S1、
S2…に供給され、TFTを介して各画素電極に印加さ
れる。
【0158】そして、実駆動領域となる画素電極以外の
部分、例えばソース線S1、S2…に沿うような破線で
囲まれる領域に少なくとも液晶に対する一軸配向規制力
を有する配向制御層96が設けられる。尚、図19での
配向制御層96の配置は、アクティブマトリクス基板に
おける各部材に対する位置関係を示すもので、実際には
当該アクティブマトリクス基板又は対向基板のいずれか
一方、或いは両方に設けることができる。また、配向制
御層96は、ソース線S1、S2…に沿って配置される
ものに限定されず、ゲート線G1、G2…に沿って、あ
るいはソース線及びゲート線の両方に沿って格子状に設
けることもできる。
【0159】図20は、図19に示すようなパネル構成
における各画素部分(1ビット分)の断面構造の一例を
示す。同図に示す構造では、TFT94及び画素電極9
5を備えるアクティブマトリクス基板30と共通電極3
2を備えた対向基板70間に、自発分極を有する液晶層
61が挟持され、液晶容量(Clc)60が構成されて
いる。
【0160】アクティブマトリクス基板30について
は、TFT94としてアモルファスSiTFTを用いた
例が示されている。TFT94はガラス等からなる基板
31上に形成され、図19に示すゲート線G1、G2…
に接続したゲート電極32上に窒化シリコン(SiN
x)等の材料からなる絶縁膜(ゲート絶縁膜)33を介
してa−Si層34が設けられており、該a−Si層3
4上に、夫々n+ a−Si層35、36を介してソース
電極37、ドレイン電極38が互いに離間して設けられ
ている。ソース電極37は図19に示すソース線S1、
S2…に接続し、ドレイン電極38はITO膜等の透明
導電膜からなる画素電極95に接続している。また、T
FT94におけるa−Si層34上をチャネル保護膜3
9が被覆している。このTFT94は、当該するゲート
線が走査選択された期間においてゲート電極32にゲー
トパルスが印加されオン状態となる。
【0161】更に、アクティブマトリクス基板30にお
いては、画素電極95と、該電極のガラス基板側に設け
られた保持容量電極41により絶縁膜33(ゲート電極
32上の絶縁膜と連続的に設けられた膜)を挟持した構
造により保持容量(CS)40が液晶層60と並列の形
で設けられている。保持容量電極はその面積が大きい場
合、開口率の低下するため、ITO膜等の透明導電膜に
より形成される。
【0162】アクティブマトリクス基板30のTFT9
4及び画素電極95上には液晶の配向状態を制御する為
層43が設けられている。
【0163】そして層43上のうち、TFT94に対応
する領域には一軸配向規制力を有する配向制御層96a
を選択的に設ける。
【0164】一方、対向基板70には、ガラス等の透明
基板71上に全面同様の厚みで共通電極72及び液晶の
配向状態を制御するための層73が積層されており、更
に層73上の、対向するアクティブマトリクス基板のT
FT94の配置される位置に対応する領域に一軸配向規
制力を有する配向制御層96bを選択的に設ける。
【0165】以上のような構成で、配向制御層96a及
び96bについては、例えば前述の図9に示す構造の配
向制御層15aと同様に絶縁性を有する膜に一軸配向処
理を施したものを用い、一方その下地となる層43及び
73について図9に示す構造の層14aや14bと同様
の材料や処理条件を適用して形成することで、少なくと
も一軸配向規制力を有する層に対応する領域R1及びR
3を得て、更に実駆動領域を液晶分子に対する配向規制
作用の小さい表面領域R2及びR4となるようにして、
特にスメクチック液晶を用いた場合に図3〜図5に示す
ような過程で配向状態を形成することができる。
【0166】尚、上記パネル構造は、互いに偏光軸が直
交した関係にある一対の偏光板間に挟持されている(図
示せず)。
【0167】尚、図19及び図20に示すようなパネル
構成において、アクティブマトリクス基板として、多結
晶Si(p−Si)TFTを備えた基板を用いることが
できる。図20に示すパネルの画素部分の等価回路を図
21に示す。
【0168】図21及び図22を参照して上記構造の液
晶素子において双安定性を有するカイラルスメクチック
液晶を利用したアクティブマトリクス駆動について述べ
る。
【0169】図22(a)は、一画素を着目した際に、
当該画素に接続する走査線となる一ゲート線に印加され
る電圧を示す。上記構造の液晶素子では、ゲート線G
1、G2…が例えば線順次で選択され、一ゲート線には
選択期間Tonにおいて所定のゲート電圧Vgが印加さ
れ、ゲート電極32に電圧Vgが加わりTFT94がオ
ン状態となる。他のゲート線が選択されている期間に相
当する非選択期間Toffにはゲート電極32に電圧が
加わらずTFT94は高抵抗状態(オフ状態)となり、
Toff毎に所定の同一のゲート線が選択されてゲート
電極32にゲート電圧Vgが印加される。
【0170】図22(b)は、当該画素の情報信号線
(ソース線)に印加される電圧Vsを示す。図14
(a)で示すように各選択期間Tonでゲート電極32
にゲート電圧が印加された際、これに同期して当該画素
に接続する情報線となるソース線S1、S2…からソー
ス電極37に、所定のソース電圧(情報信号電圧)Vs
(基準電位を共通電極72の電位Vcとする)が印加さ
れる。
【0171】ここで、TFT95がオン状態であるた
め、上記ソース電極37に印加される電圧Vsがドレイ
ン電極38を介して画素電極(95)に印加され、液晶
容量(Clc)31及び保持容量32(Cs)に充電が
なされ、画素電極の電位が情報信号電圧Vsになる。続
いて、当該画素に属するゲート線の非選択期間Toff
においてTFT94は高抵抗(オフ状態)となるため、
この非選択期間には、液晶セル(液晶容量Clc)60
及び保持容量(Cs)40では選択期間Tonで充電さ
れた電荷が蓄積された状態を維持し、電圧が保持され
る。そして、当該画素における液晶層61にフレームの
期間を通して電圧が印加され、当該画素の液晶部分では
この電圧よりスイッチングが生じて所望の光学状態(白
状態)が得られる。
【0172】続くフレームの選択期間Tonでは、前フ
レームとは極性が逆で実質的に同様の電圧値Vsを有す
るソース電圧(−Vs)がソース電極37に印加され
る。この時、TFT94がオン状態であり、画素電極9
5に電圧−Vsが印加されて、液晶容量(Clc)60
及び保持容量40(Cs)に充電がなされ、画素電極の
電位が情報信号電圧−Vsになる。続いて、非選択期間
ToffにおいてTFT94は高抵抗(オフ状態)とな
るため、この非選択期間には、液晶セル(液晶容量Cl
c)60及び保持容量(Cs)40では選択期間Ton
で充電された電荷が蓄積された状態を維持し、電圧が保
持される。そして、当該画素における液晶層61にフレ
ーム期間を通して中抵抗の電圧が印加され、当該画素で
はこの電圧よりスイッチングがなされ所望の光学状態
(黒状態)が得られる。
【0173】図22(c)は、上述したような当該画素
の液晶容量及び保持容量に実際に保持され液晶層61に
印加される電圧値Vpixを、図14(d)は当該画素
での液晶の実際の光学応答(透過型液晶素子した場合で
の光学応答)を模式的に示す。(c)に示すように、2
フレームを通じて印加電圧は互いに極性が反転しただけ
の同一レベル(絶対値)である。一方、(d)に示すよ
うに、第一フレームでは、Vsに応じた光学状態が得ら
れ、第二のフレームでは、−Vsに応じた光学表示状態
が得られる。
【0174】
【実施例】以下、具体的な実施例(実験例)において本
発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に
限定されるものではない。
【0175】(実施例1) ・液晶組成物の調製 下記液晶性化合物(A)〜(E)を使用し液晶組成物L
C−1を調製した。(使用した化合物)
【0176】
【外6】
【0177】・セルの作製 実施例で使用するマトリクスセル(単純マトリックタイ
プのセル)を以下の如く作製した。
【0178】セル1−A 透明電極としてストライプパターンのITO膜(膜厚約
70nm、1ラインの幅16μm、隣接ライン間の間隔
4μm)が形成された形成した1.1mm厚の一対のガ
ラス基板を用意した。
【0179】このガラス基板の一方に、ゾルゲルタイプ
のシリカのエタノール溶液をスピンコート法により塗布
し、その後、80℃5分間の前乾燥を行った後、200
℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚は3nmのシリカ層を得
た。該シリカ層上に、下記繰り返し単位を有するポリイ
ミド(前駆体)をスピンコート法により塗布し、その
後、80℃、5分間の前乾燥を行った後、200℃で1
時間加熱焼成を施し膜厚5nmのポリイミド被膜を得
た。
【0180】
【外7】
【0181】続いて、当該基板上のポリイミドに対して
一軸配向処理としてナイロン布によるラビング処理を施
した。ラビング処理の条件は、径10cmのロールにナ
イロン(NF−77/帝人製)を貼り付けたラビングロ
ールを用い、押し込み量0.3mm、送り速度10cm
/sec、回転数1000rpm、送り回数4回とし
た。
【0182】他方のガラス基板に、ゾルゲルタイプのシ
リカのエタノール溶液をスピンコート法により塗布し
た。その後、80℃5分間の前乾燥を行った後、200
℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚3nmのシリカ層を得
た。
【0183】続いて、一方の基板(ポリイミドを塗布し
た側の基板)上にスペーサーとして、平均粒径2.0μ
mのシリカビーズを散布し、他方の基板を、各基板の電
極が直交しマトリックス電極配置(図11に示すような
配置)となるように重ね合わせ、セル(空セル)を作製
した。
【0184】このように作製されたセルの実駆動領域
(両基板の電極が交差する部分)における絶縁膜(シリ
カ層とポリイミド膜)の合計膜厚は11nmであった。
【0185】セル1−B ポリイミド膜の膜厚を2nmと設定することを除いて、
セル1−Aと同様の方法及び条件でセル(空セル)を作
製した。作製されたセルの実駆動領域(両基板の電極が
交差する部分)における絶縁膜(シリカ層とポリイミド
膜)の合計膜厚は8nmであった。
【0186】セル1−C ここでは、図7に示す断面構造のセル(空セル)を作製
した。
【0187】透明電極としてストライプパターンのIT
O膜(膜厚約70nm、1ラインの幅16μm、隣接ラ
イン間の間隔4μm)が形成された形成した1.1mm
厚の一対のガラス基板を用意した。
【0188】このガラス基板の一方に、ゾルゲルタイプ
のシリカのエタノール溶液をスピンコート法により塗布
し、その後、80℃5分間の前乾燥を行った後、200
℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚は3nmのシリカ層を得
た。該シリカ層上に、セル1−Aで用いたものと同様の
ポリイミド(前駆体)をスピンコート法により塗布し、
その後、80℃、5分間の前乾燥を行った後、200℃
で1時間加熱焼成を施し膜厚50nmのポリイミド被膜
を得た。
【0189】次いで、上記ポリイミド膜上に、ポジレジ
スト(東京応化OFPR−800)を約2μm厚となる
ようスピンコートした。その後、80℃、30分間の前
乾燥を行った後、マスク幅4μm、間隔16μmのスト
ライプ状のマスクパターンを用いて、UV(λ=365
nm)にて16秒間露光した。この時マスクパターン
を、マスク部分が当該基板のITO膜パターンのライン
間に対応するように配置した。その後、有機系現像液
(ジプレー社製MFCD−26)を用いて現像し、流水
洗浄を3分間行った後、100℃、10分間の乾燥を行
い、ITO膜パターンのライン間に対応したレジスト膜
パターンを得た。続いて、低圧水銀ランプを用い、基板
温度を60℃に保ち、波長254nmにおける光エネル
ギー量が10J/cm2 となるUV強度にてUVアッシ
ング処理を行って、レジスト膜のない部分のポリイミド
を除去した。次いで、剥離液(ナガセ産業社製 レジス
トストリップN−320)を用いレジスト膜パターンを
剥離した後、流水洗浄し基板を乾燥させた。こうして、
基板上に、ITO膜のライン間に対応してストライプ状
のポリイミド膜が50nm存在する部分(幅4μm)
と、ITO膜のラインに対応してまったく存在しない部
分(幅16μm)からなるポリイミド膜パターンを得
た。
【0190】続いて、当該基板上のポリイミド膜パター
ンに対して、セル1−Aの場合と同様の方法及び条件に
より一軸配向処理としてラビング処理を施した。ラビン
グ処理の方向は、ポリイミド膜のストライプ方向と垂直
な方向に設定した。
【0191】他方のガラス基板に、ゾルゲルタイプのシ
リカのエタノール溶液をスピンコート法により塗布し
た。その後、80℃5分間の前乾燥を行った後、200
℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚3nmのシリカ層を得
た。
【0192】続いて一方の基板(ポリイミドを塗布した
側の基板)上にスペーサーとして、平均粒径2.0μm
のシリカビーズを散布し、他方の基板を、各基板の電極
が直交しマトリックス電極配置(図11に示すような配
置)となるように重ね合わせ、図7に示すような断面構
造のセル(空セル)を作製した。
【0193】このように作製されたセルの実駆動領域
(両基板の電極が交差する部分)における絶縁膜(シリ
カ層)の合計膜厚は6nmであった。
【0194】セル1−D ポリイミド膜(ポリイミド膜パターン)の厚みを30n
mとすることを除いて、セル1−Cの場合と同様に、図
7に示すような断面構造のセル(空セル)を作製した。
【0195】このように作製されたセルの実駆動領域
(両基板の電極が交差する部分)における絶縁膜(シリ
カ層)の合計膜厚は6nmであった。
【0196】セル1−E ここでは、図9に示す断面構造のセル(空セル)を作製
した。
【0197】透明電極としてストライプパターンのIT
O膜(膜厚約70nm、1ラインの幅16μm、隣接ラ
イン間の間隔4μm)が形成された形成した1.1mm
厚の一対のガラス基板を用意した。
【0198】これらガラス基板の夫々に、ゾルゲルタイ
プのシリカのエタノール溶液をスピンコート法により塗
布し、その後、80℃5分間の前乾燥を行った後、20
0℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚は3nmのシリカ層を
得た。該シリカ層上に、セルAで用いたものと同様のポ
リイミド(前駆体)をスピンコート法により塗布し、そ
の後、80℃、5分間の前乾燥を行った後、200℃で
1時間加熱焼成を施し膜厚50nmのポリイミド被膜を
得た。
【0199】次いで、一方のガラス基板における上記ポ
リイミド膜上に、ポジレジスト(東京応化OFPR−8
00)を約2μm厚となるようスピンコートした。その
後、80℃、30分間の前乾燥を行った後、マスク幅4
μm、間隔16μmのストライプ状のマスクパターンを
用いて、UV(λ=365nm)にて16秒間露光し
た。この時マスクパターンを、マスク部分が当該基板の
ITO膜パターンのライン間に対応するように配置し
た。その後、有機系現像液(ジプレー社製MFCD−2
6)を用いて現像し、流水洗浄を3分間行った後、10
0℃、10分間の乾燥を行い、ITO膜パターンのライ
ン間に対応したレジスト膜パターンを得た。続いて、低
圧水銀ランプを用い、基板温度を60℃に保ち、波長2
54nmにおける光エネルギー量が10J/cm2 とな
るUV強度にてUVアッシング処理を行って、レジスト
膜のない部分のポリイミドを除去した。次いで、剥離液
(ナガセ産業社製 レジストストリップN−320)を
用いレジスト膜パターンを剥離した後、流水洗浄し基板
を乾燥させた。こうして、基板上に、ITO膜のライン
間に対応してストライプ状のポリイミド膜が50nm存
在する部分(幅4μm)と、ITO膜のラインに対応し
てまったく存在しない部分(幅16μm)からなるポリ
イミド膜パターンを得た。
【0200】続いて、当該基板上のポリイミド膜パター
ンに対して、セル1−Aの場合と同様の方法及び条件に
より一軸配向処理としてラビング処理を施した。ラビン
グ処理の方向は、ポリイミド膜のストライプ方向と垂直
な方向に設定した。
【0201】他方のガラス基板における上記ポリイミド
膜上に、ポジレジスト(東京応化OFPR−800)を
約2μm厚となるようスピンコートした。その後、80
℃、30分間の前乾燥を行った後、図9に示すようにマ
スク幅4μm、間隔16μmのストライプ状のマスクパ
ターンを用いて、UV(λ=365nm)にて16秒間
露光した。この時マスクパターンを、マスク部分が当該
基板のITO膜パターンのラインと直交するように配置
した。その後、有機系現像液(ジプレー社製MFCD−
26)を用いて現像し、流水洗浄を3分間行った後、1
00℃、10分間の乾燥を行い、ライン幅4μm、ライ
ン間隔16μmのレジスト膜パターンを得た。続いて、
上記同様の方法及び条件でUVアッシング処理を行っ
て、レジスト膜のない部分のポリイミドを除去した。次
いで、剥離液(ナガセ産業社製 レジストストリップN
−320)を用いレジスト膜パターンを剥離した後、流
水洗浄し基板を乾燥させた。こうして、基板上に、IT
O膜のラインに直交したストライプ状のポリイミド膜が
50nm存在する部分(幅4μm)と、まったく存在し
ない部分(幅16μm)からなるポリイミド膜パターン
を得た。
【0202】続いて、当該基板上のポリイミド膜パター
ンに対して、セル1−Aの場合と同様の方法及び条件に
より一軸配向処理としてラビング処理を施した。ラビン
グ処理の方向は、ポリイミド膜のストライプ方向と垂直
な方向に設定した。
【0203】一方の基板上(最初の基板)にスペーサー
として、平均粒径2.0μmのシリカビーズを散布し、
他方の基板を、各基板の電極が直交しマトリックス電極
配置(図11に示すような配置)となり、且つ両基板上
のポリイミド膜パターンのライン部分が完全に対向し、
ポリイミド膜におけるラビング方向が同一になるよう
に、位置合わせを行い貼り合わせ、図9に示すような断
面構造のセル(空セル)を作製した。
【0204】このように作製されたセルの実駆動領域
(両基板の電極が交差する部分)における絶縁膜(シリ
カ層)の合計膜厚は6nmであった。
【0205】セル1−F透明電極としてストライプパタ
ーンのITO膜(膜厚約70nm、1ラインの幅16μ
m、隣接ライン間の間隔4μm)が形成された形成した
1.1mm厚の一対のガラス基板を用意した。
【0206】これらガラス基板に、ゾルゲルタイプのシ
リカのエタノール溶液をスピンコート法により塗布し、
その後、80℃5分間の前乾燥を行った後、200℃1
時間加熱乾燥を施し、膜厚は3nmのシリカ層を得た。
【0207】続いて、これら基板のシリカ層に、セル1
−Aと同様の方法及び条件により一軸配向処理としてラ
ビング処理を施した。
【0208】次いで、一方の基板上にスペーサーとし
て、平均粒径2.0μmのシリカビーズを散布し、他方
の基板を、各基板の電極が直交しマトリックス電極配置
(図11に示すような配置)となるように重ね合わせ、
セル(空セル)を作製した。尚、両基板のラビング処理
の方向が同方向、平行となるように設定した。
【0209】このように作製されたセルの実駆動領域
(両基板の電極が交差する部分)における絶縁膜(シリ
カ層)の合計膜厚は6nmであった。
【0210】尚、セル1−A〜1−Fのサイズは2.5
cm×3.5cmとした(セル1−C〜1−Eでは、ポ
リイミド膜のラインと一致するITO膜のストライプ方
向での辺を2.5cmとする)。
【0211】上記に示したプロセスで作製した各セル1
−A〜1−Fに液晶組成物LC−1を等方相の温度にて
注入し、液晶をカイラルスメクチック液晶相を示す温度
まで冷却し、双安定性をを示すカイラルスメクチック液
晶素子サンプル1−A〜1−Eを作製した。この冷却の
過程を偏光顕微鏡内で観察したところ(100倍)、セ
ル1−C〜1−Eでは、スメクチックA相への転移温度
付近から図3に示すようなバトネの発生、成長による配
向状態の形成過程が観察された。
【0212】これらサンプルに対して、1)配向均一性
の評価、及び2)M2マージン(M2)の評価を行っ
た。
【0213】1)配向均一性の評価 液晶素子にカイラルスメクチック液晶相の状態で電圧を
印加してカイラルスメクチック液晶を一方の状態にスイ
ッチングさせ、偏光顕微鏡により目視観測によって(1
00倍)、配向均一性の評価を行った。結果を表1に示
す。
【0214】
【表1】
【0215】2)M2マージン(M2)の測定 M2マージンの測定方法を説明する。まず、クロスニコ
ルに配置された偏光板間にセルを設置し、図13に示す
駆動波形(Vop=20V、1/3.3バイアス、1/
1000デューティ相当)を用いて、M2マージンの測
定を行った。印加パルス波形の長さΔtを変化させなが
ら暗状態(黒表示)と明状態(白表示)をそれぞれ書込
み、明、暗それぞれの状態を書き込める印加パルス波形
の長さΔtの範囲が図15の様になった場合において、
駆動マージンパラメータをM2=(Δt4−Δt1)/
(Δt4+Δt1)とし、上記サンプルA〜Eについて
温度を数点振ってM2マージンを評価した。
【0216】結果を下記表2に示す。
【0217】尚、素子Bについては正常にスイッチング
する領域のみ(良好な配向状態の領域のみ)のM2マー
ジン、素子1−C〜1−Eについてはストライプ状のポ
リイミドが配置されていない領域のM2マージンとし
た。また素子1−Fは全面ランダム配向であったため駆
動マージンは測定不能であった。
【0218】
【表2】
【0219】この結果から、素子サンプル1−Aについ
ては、室温以上におけるM2マージンは大きいものの低
温側での駆動マージンが著しく悪くなっていることがわ
かる。これは低温側での反電場の影響によるものと予測
される。一方、配向性の悪い素子Bに関しては、全体と
してM2マージンの値は小さいものの、素子1−Bは素
子1−Aと比較して配向膜厚(ポリイミド膜の厚み)が
薄く配向制御層の電気容量が大きいため、低温側でのマ
ージンの減少量が小さくなっている。一方、素子1−
C、1−D、1−Eは、両基板の電極が対向する実駆動
領域、即ち有効スイッチング領域にはポリイミドが存在
しないため配向制御層の電気容量が大きく、低温側での
マージンの減少量が小さくなっている。
【0220】このように、基板に一軸配向規制力を有す
る配向制御層が存在する部分及び該配向層が存在しない
部分とを混在させ、該配向制御層の部分に接する液晶領
域から配向状態を形成して均一な配向性を得て、更に液
晶の実駆動領域においてかかる一軸配向規制力を有する
配向制御層を存在させないことにより、良好な駆動マー
ジン特性を実現することができることが証明された。
【0221】(実施例2)本例では、液晶組成物として
市販の反強誘電性液晶材料CS−4000(チッソ社
製)を用いた。
【0222】また実施例2に使用する3種類の空セルを
以下の如く作製した。
【0223】セル2−G 透明電極としてストライプパターンのITO膜(膜厚約
70nm、1ラインの幅16μm、隣接ライン間の間隔
4μm)が形成された形成した1.1mm厚の一対のガ
ラス基板を用意した。
【0224】これらガラス基板の両方に、ゾルゲルタイ
プのシリカのエタノール溶液をスピンコート法により塗
布し、その後、80℃5分間の前乾燥を行った後、20
0℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚は3nmのシリカ層を
得た。該シリカ層上に、市販のポリイミド材料(SP−
710DMAC(ジメチルアセトアミド)/IRA(イ
ソプロピルアルコール)=1/1/東レ製)をスピンコ
ート法により塗布し、その後、80℃、5分間の前乾燥
を行った後、200℃で1時間加熱焼成を施し膜厚50
nmのポリイミド被膜を得た。
【0225】続いて、両基板のポリイミド膜に対して、
セル1−Aの場合と同様の方法及び条件で一軸配向処理
としてナイロン布によるラビング処理を施した。ラビン
グ方向は両基板の夫々で、基板を対向せしめた際にラビ
ング方向が後述の関係となるように設定した。
【0226】続いて、一方の基板上にスペーサーとし
て、平均粒径1.4μmのシリカビーズを散布し、両基
板を、夫々電極が直交しマトリックス電極配置(図11
に示すような配置)となり、上方の基板のラビング方向
が下方の基板のラビング方向から反時計回りに16°を
なすように対向させてるように重ね合わせ、セル(空セ
ル)を作製した。
【0227】セル2−H ポリイミド膜の膜厚を5nmとすることを除いて、セル
2−Gと同様の方法及び条件でセル(空セル)を作製し
た。
【0228】セル2−I ポリイミドとして、市販のポリイミド材料(SP−71
0/東レ製)を用い、またスペーサーとして平均粒径
1.4μmのシリカビーズを用い、UVアッシングの条
件を60℃、波長254nm,エネルギー量13J/c
2とすることを除いて、実施例1のセル1−Eの場合
と同様の方法及び条件により、セル(空セル)を作製し
た。
【0229】上記に示したプロセスで作製した各セル2
−G〜2−Iに反強誘電性液晶材料CS−4000を等
方相の温度にて注入し、液晶をカイラルスメクチック液
晶相を示す温度まで冷却し、双安定性をを示すカイラル
スメクチック液晶素子サンプル2−G〜2−Iを作製し
た。この冷却の過程を偏光顕微鏡内で観察したところ、
セル2−Iでは、スメクチックA相への転移温度付近か
ら図3に示すようなバトネの発生、成長による配向状態
の形成過程が観察された。
【0230】これらサンプルに対して、実施例1の場合
と同様に1)配向均一性の評価、更に2)応答速度の評
価を行った。
【0231】1)配向均一性の評価 結果を表3に示す。
【0232】
【表3】
【0233】2)応答速度の測定 応答速度の測定方法を説明する。まず、クロスニコルに
配置された偏光板間にセルを設置し、30℃において、
反強誘電状態を示す状態のセルに対し、DCオフセット
電圧として18Vの直流を印加する。次いで、パルス幅
100μsの単発パルスを徐々に電圧を大きくしながら
印加して、反強誘電状態から強誘電状態へとスイッチン
グするのに必要な電圧値を求めた。結果を下記表4に示
す。尚、素子2−Hについては正常にスイッチングする
領域のみの応答電圧とした。
【0234】
【表4】
【0235】この結果から、反強誘電性を示す液晶を用
いた素子では、配向制御層の厚さを薄くするほど実効的
に液晶層に印加される電圧値が大きくなるため、外部か
ら印加する電圧値が低くてよいことがわかる。
【0236】そして、実施例2では、反強誘電性を示す
液晶を用いた素子において、基板に一軸配向規制力を有
する配向制御層が存在する部分及び該配向層が存在しな
い部分とを混在させ、該配向制御層の部分に対応する液
晶領域から配向状態を形成して均一な配向性を得て、更
に液晶の実駆動領域においてかかる一軸配向規制力を有
する配向制御層を存在させないことにより、駆動電圧の
低減、即ち同一電圧で駆動特性を比較した際での応答の
高速化が実現することができることが証明された。
【0237】(実施例3)本実施例で使用するセル(単
純マトリクスタイプのセル)を以下の如く作製した。
【0238】セル3−B 透明電極としてストライプパターンのITO膜(膜厚約
70nm、1ラインの幅16μm、隣接ライン間の間隔
4μm)が形成された形成した1.1mm厚の一対のガ
ラス基板を用意した。
【0239】このガラス基板の一方に、ゾルゲルタイプ
のシリカの母材中にアンチモンドープのSnOxの超微
粒子(粒径100Å)を重量比で50%添加し分散した
固形分濃度10重量%のエタノール溶液をスピンコート
法により塗布し、その後、80℃5分間の前乾燥を行っ
た後、200℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚は200n
mの微粒子分散層を得た。該微粒子分散層上に、セル1
−Aで用いたものと同様のポリイミド(前駆体)をスピ
ンコート法により塗布し、その後、80℃、5分間の前
乾燥を行った後、200℃で1時間加熱焼成を施し膜厚
5nmのポリイミド被膜を得た。
【0240】次いで、当該基板上のポリイミド膜パター
ンに対して、実施例1のセル1−Aの場合と同様の方法
及び条件により一軸配向処理としてラビング処理を施し
た。
【0241】他方のガラス基板に、ゾルゲルタイプのシ
リカの母材中にアンチモンドープのSnOxの超微粒子
(粒径100Å)を重量比で50%で添加し分散した固
形分濃度10重量%のエタノール溶液を塗布した。その
後、80℃5分間の前乾燥を行った後、200℃1時間
加熱乾燥を施し、膜厚200nmの微粒子分散層を得
た。
【0242】続いて、一方の基板(ポリイミドを塗布し
た側の基板)上にスペーサーとして、平均粒径2.0μ
mのシリカビーズを散布し、他方の基板を、各基板の電
極が直交しマトリックス電極配置(図11に示すような
配置)となるように重ね合わせ、セル(空セル)を作製
した。
【0243】セル3−C ここでは、図7に示す断面構造のセル(空セル)を作製
した。
【0244】透明電極としてストライプパターンのIT
O膜(膜厚約70nm、1ラインの幅16μm、隣接ラ
イン間の間隔4μm)が形成された形成した1.1mm
厚の一対のガラス基板を用意した。
【0245】このガラス基板の一方に、ゾルゲルタイプ
のシリカの母材中にアンチモンドープのSnOx超微粒
子(粒径100Å)を重量比30%添加し分散させた固
形分濃度10重量%のエタノール溶液をスピンコート法
により塗布し、その後、80℃5分間の前乾燥を行った
後、200℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚は200nm
の超微粒子分散層を得た。該層上に、実施例1のセル1
−Aで用いたものと同様のポリイミド(前駆体)をスピ
ンコート法により塗布し、その後、80℃、5分間の前
乾燥を行った後、200℃で1時間加熱焼成を施し膜厚
50nmのポリイミド被膜を得た。
【0246】次いで、上記ポリイミド膜上に、ポジレジ
スト(東京応化OFPR−800)を約2μm厚となる
ようスピンコートした。その後、80℃、30分間の前
乾燥を行った後、マスク幅4μm、間隔16μmのスト
ライプ状のマスクパターンを用いて、UV(λ=365
nm)にて16秒間露光した。この時マスクパターン
を、マスク部分が当該基板のITO膜パターンのライン
間に対応するように配置した。その後、有機系現像液
(ジプレー社製MFCD−26)を用いて現像し、流水
洗浄を3分間行った後、100℃、10分間の乾燥を行
い、ITO膜パターンのライン間に対応したレジスト膜
パターンを得た。続いて、低圧水銀ランプを用い、基板
温度を60℃に保ち、波長254nmにおける光エネル
ギー量が10J/cm2 となるUV強度にてUVアッシ
ング処理を行って、レジスト膜のない部分のポリイミド
を除去した。次いで、剥離液(ナガセ産業社製 レジス
トストリップN−320)を用いレジスト膜パターンを
剥離した後、流水洗浄し基板を乾燥させた。こうして、
基板上に、ITO膜のライン間に対応してストライプ状
のポリイミド膜が50nm存在する部分(幅4μm)
と、ITO膜のラインに対応してまったく存在しない部
分(幅16μm)からなるポリイミド膜パターンを得
た。
【0247】続いて、当該基板上のポリイミド膜パター
ンに対して、実施例1のセル1−Aの場合と同様の方法
及び条件により一軸配向処理としてラビング処理を施し
た。ラビング処理の方向は、ポリイミド膜のストライプ
方向と垂直な方向に設定した。
【0248】他方のガラス基板に、ゾルゲルタイプのシ
リカの母材中にアンチモンドープのSnOx超微粒子
(粒径100Å)を重量比30%で添加し分散させた固
形分濃度10重量%のエタノール溶液をスピンコート法
により塗布した。その後、80℃5分間の前乾燥を行っ
た後、200℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚200nm
の微粒子分散層を得た。
【0249】続いて一方の基板(ポリイミドを塗布した
側の基板)上にスペーサーとして、平均粒径2.0μm
のシリカビーズを散布し、他方の基板を、各基板の電極
が直交しマトリックス電極配置(図11に示すような配
置)となるように重ね合わせ、図7に示すような断面構
造のセル(空セル)を作製した。
【0250】セル3−D ここでは、図7に示す断面構造のセル(空セル)を作製
した。
【0251】透明電極としてストライプパターンのIT
O膜(膜厚約70nm、1ラインの幅16μm、隣接ラ
イン間の間隔4μm)が形成された形成した1.1mm
厚の一対のガラス基板を用意した。
【0252】このガラス基板の一方に、ゾルゲルタイプ
のシリカの母材中にアンチモンドープのSnOxの超微
粒子(粒径100Å)を重量比50%で添加して分散し
た固形分濃度10重量%のエタノール溶液をスピンコー
ト法により塗布し、膜厚は200nmの微粒子分散層を
得た。該微粒子分散層上に、実施例1のセル1−Aで用
いたものと同様のポリイミド(前駆体)をスピンコート
法により塗布し、その後、80℃、5分間の前乾燥を行
った後、200℃で1時間加熱焼成を施し膜厚50nm
のポリイミド被膜を得た。
【0253】次いで、上記ポリイミド膜上に、ポジレジ
スト(東京応化OFPR−800)を約2μm厚となる
ようスピンコートした。その後、80℃、30分間の前
乾燥を行った後、マスク幅4μm、間隔16μmのスト
ライプ状のマスクパターンを用いて、UV(λ=365
nm)にて16秒間露光した。この時マスクパターン
を、マスク部分が当該基板のITO膜パターンのライン
間に対応するように配置した。その後、有機系現像液
(ジプレー社製MFCD−26)を用いて現像し、流水
洗浄を3分間行った後、100℃、10分間の乾燥を行
い、ITO膜パターンのライン間に対応したレジスト膜
パターンを得た。続いて、低圧水銀ランプを用い、基板
温度を60℃に保ち、波長254nmにおける光エネル
ギー量が10J/cm2 となるUV強度にてUVアッシ
ング処理を行って、レジスト膜のない部分のポリイミド
を除去した。次いで、剥離液(ナガセ産業社製 レジス
トストリップN−320)を用いレジスト膜パターンを
剥離した後、流水洗浄し基板を乾燥させた。こうして、
基板上に、ITO膜のライン間に対応してストライプ状
のポリイミド膜が50nm存在する部分(幅4μm)
と、ITO膜のライン間に対応してまったく存在しない
部分(幅16μm)からなるポリイミド膜パターンを得
た。
【0254】続いて、当該基板上のポリイミド膜パター
ンに対して、セル1−Aの場合と同様の方法及び条件に
より一軸配向処理としてラビング処理を施した。ラビン
グ処理の方向は、ポリイミド膜のストライプ方向と垂直
な方向に設定した。
【0255】他方のガラス基板に、ゾルゲルタイプのシ
リカの母材中にアンチモンドープのSnOxの超微粒子
(粒径100Å)を重量比50%で添加し分散した固形
分濃度10重量%のエタノール溶液を塗布し、膜厚20
0nmの微粒子分散層を得た。
【0256】続いて一方の基板(ポリイミドを塗布した
側の基板)上にスペーサーとして、平均粒径2.0μm
のシリカビーズを散布し、他方の基板を、各基板の電極
が直交しマトリックス電極配置(図11に示すような配
置)となるように重ね合わせ、図7に示すような断面構
造のセル(空セル)を作製した。
【0257】セル3−E 透明電極としてストライプパターンのITO膜(膜厚約
70nm、1ラインの幅16μm、隣接ライン間の間隔
4μm)が形成された形成した1.1mm厚の一対のガ
ラス基板を用意した。
【0258】これらガラス基板に、ゾルゲルタイプのシ
リカの母材中にアンチモンドープのSnOx超微粒子
(粒径100Å)を重量比30%添加して分散させた固
形分濃度10重量%のエタノール溶液をスピンコート法
により塗布し、その後、80℃5分間の前乾燥を行った
後、200℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚は200nm
の微粒子分散層を得た。
【0259】続いて、両方の基板の微粒子分散層に、セ
ル1−Aと同様の方法及び条件により一軸配向処理とし
てラビング処理を施した。
【0260】次いで、一方の基板(ラビング処理を施し
た側の基板)上にスペーサーとして、平均粒径2.0μ
mのシリカビーズを散布し、他方の基板を、各基板の電
極が直交しマトリックス電極配置(図11に示すような
配置)となるように重ね合わせ、セル(空セル)を作製
した。尚、各基板のラビング方向が平行であり且つ同方
向となるように貼り合せを行った。
【0261】セル3−F 透明電極としてストライプパターンのITO膜(膜厚約
70nm、1ラインの幅16μm、隣接ライン間の間隔
4μm)が形成された形成した1.1mm厚の一対のガ
ラス基板を用意した。
【0262】これらガラス基板に、ゾルゲルタイプのシ
リカの母材中にアンチモンドープのSnOxの超微粒子
(粒径100Å)を重量比で50%添加し分散した固形
分濃度10重量%のエタノール溶液を塗布し、膜厚20
0nmの微粒子分散層を得た。
【0263】続いて、両方の基板の微粒子分散層に、実
施例1のセル1−Aと同様の方法及び条件により一軸配
向処理としてラビング処理を施した。
【0264】次いで、一方の基板(ラビング処理を施し
た側の基板)上にスペーサーとして、平均粒径2.0μ
mのシリカビーズを散布し、他方の基板を、各基板の電
極が直交しマトリックス電極配置(図11に示すような
配置)となるように重ね合わせ、セル(空セル)を作製
した。尚、各基板のラビング方向が平行であり且つ同方
向となるように貼り合せを行った。
【0265】セル3−G ここでは、図9に示す断面構造のセル(空セル)を作製
した。
【0266】透明電極としてストライプパターンのIT
O膜(膜厚約70nm、1ラインの幅16μm、隣接ラ
イン間の間隔4μm)が形成された形成した1.1mm
厚の一対のガラス基板を用意した。
【0267】これらガラス基板の夫々に、ゾルゲルタイ
プのシリカの母材中にアンチモンドープのSnOx超微
粒子(粒径100Å)を重量比30%添加し分散させた
固形分濃度10重量%のエタノール溶液をスピンコート
法により塗布し、その後、80℃5分間の前乾燥を行っ
た後、200℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚は200n
mの微粒子分散層を得た。該微粒子分散層上に、実施例
1のセル1−Aで用いたものと同様のポリイミド(前駆
体)をスピンコート法により塗布し、その後、80℃、
5分間の前乾燥を行った後、200℃で1時間加熱焼成
を施し膜厚50nmのポリイミド被膜を得た。
【0268】次いで、一方のガラス基板における上記ポ
リイミド膜上に、ポジレジスト(東京応化OFPR−8
00)を約2μm厚となるようスピンコートした。その
後、80℃、30分間の前乾燥を行った後、マスク幅4
μm、間隔16μmのストライプ状のマスクパターンを
用いて、UV(λ=365nm)にて16秒間露光し
た。この時マスクパターンを、マスク部分が当該基板の
ITO膜パターンのライン間に対応するように配置し
た。その後、有機系現像液(ジプレー社製MFCD−2
6)を用いて現像し、流水洗浄を3分間行った後、10
0℃、10分間の乾燥を行い、ITO膜パターンのライ
ン間に対応したレジスト膜パターンを得た。続いて、低
圧水銀ランプを用い、基板温度を60℃に保ち、波長2
54nmにおける光エネルギー量が10J/cm2 とな
るUV強度にてUVアッシング処理を行って、レジスト
膜のない部分のポリイミドを除去した。次いで、剥離液
(ナガセ産業社製 レジストストリップN−320)を
用いレジスト膜パターンを剥離した後、流水洗浄し基板
を乾燥させた。こうして、基板上に、ITO膜のライン
間に対応してストライプ状のポリイミド膜が50nm存
在する部分(幅4μm)と、ITO膜のラインに対応し
てまったく存在しない部分(幅16μm)からなるポリ
イミド膜パターンを得た。
【0269】続いて、当該基板上のポリイミド膜パター
ンに対して、実施例1のセル1−Aの場合と同様の方法
及び条件により一軸配向処理としてラビング処理を施し
た。ラビング処理の方向は、ポリイミド膜のストライプ
方向と垂直な方向に設定した。
【0270】他方のガラス基板における上記ポリイミド
膜上に、ポジレジスト(東京応化OFPR−800)を
約2μm厚となるようスピンコートした。その後、80
℃、30分間の前乾燥を行った後、マスク幅4μm、間
隔16μmのストライプ状のマスクパターンを用いて、
UV(λ=365nm)にて16秒間露光した。この時
マスクパターンを、マスク部分が当該基板のITO膜パ
ターンのラインと直交するように配置した。その後、有
機系現像液(ジプレー社製MFCD−26)を用いて現
像し、流水洗浄を3分間行った後、100℃、10分間
の乾燥を行い、ライン幅4μm、ライン間隔16μmの
レジスト膜パターンを得た。続いて、低圧水銀ランプを
用い、基板温度を60℃に保ち、波長254nmにおけ
る光エネルギー量が10J/cm2 となるUV強度にて
UVアッシング処理を行って、レジスト膜のない部分の
ポリイミドを除去した。次いで、剥離液(ナガセ産業社
製レジストストリップN−320)を用いレジスト膜パ
ターンを剥離した後、流水洗浄し基板を乾燥させた。こ
うして、基板上に、ITO膜のラインに直交したストラ
イプ状のポリイミド膜が50nm存在する部分(幅4μ
m)と、まったく存在しない部分(幅16μm)からな
るポリイミド膜パターンを得た。
【0271】続いて、当該基板上のポリイミド膜パター
ンに対して、セル1−Aの場合と同様の方法及び条件に
より一軸配向処理としてラビング処理を施した。ラビン
グ処理の方向は、ポリイミド膜のストライプ方向と垂直
な方向に設定した。
【0272】一方の基板上(最初の基板)スペーサーと
して、平均粒径2.0μmのシリカビーズを散布し、他
方の基板を、各基板の電極が直交しマトリックス電極配
置(図11に示すような配置)となり、且つ両基板上の
ポリイミド膜パターンのライン部が完全に対向し、ポリ
イミド膜におけるラビング方向が同一になるように、位
置合わせを行い貼り合せ、図9に示すような断面構造の
セル(空セル)を作製した。
【0273】セル3−H ここでは、図9に示す断面構造のセル(空セル)を作製
した。
【0274】透明電極としてストライプパターンのIT
O膜(膜厚約70nm、1ラインの幅16μm、隣接ラ
イン間の間隔4μm)が形成された形成した1.1mm
厚の一対のガラス基板を用意した。
【0275】これらガラス基板の夫々に、ゾルゲルタイ
プのシリカの母材中にアンチモンドープのSnOxの超
微粒子(粒径100Å)を重量比50%添加し分散させ
た固形分濃度10重量%のエタノール溶液をスピンコー
ト法により塗布し、膜厚200nmの微粒子分散層を得
た。該微粒子分散層上に、実施例1のセル1−Aで用い
たものと同様のポリイミド(前駆体)をスピンコート法
により塗布し、その後、80℃、5分間の前乾燥を行っ
た後、200℃で1時間加熱焼成を施し膜厚50nmの
ポリイミド被膜を得た。
【0276】次いで、一方のガラス基板における上記ポ
リイミド膜上に、ポジレジスト(東京応化OFPR−8
00)を約2μm厚となるようスピンコートした。その
後、80℃、30分間の前乾燥を行った後、マスク幅4
μm、間隔16μmのストライプ状のマスクパターンを
用いて、UV(λ=365nm)にて16秒間露光し
た。この時マスクパターンを、マスク部分が当該基板の
ITO膜パターンのライン間に対応するように配置し
た。その後、有機系現像液(ジプレー社製MFCD−2
6)を用いて現像し、流水洗浄を3分間行った後、10
0℃、10分間の乾燥を行い、ITO膜パターンのライ
ン間に対応したレジスト膜パターンを得た。続いて、低
圧水銀ランプを用い、基板温度を60℃に保ち、波長2
54nmにおける光エネルギー量が10J/cm2 とな
るUV強度にてUVアッシング処理を行って、レジスト
膜のない部分のポリイミドを除去した。次いで、剥離液
(ナガセ産業社製 レジストストリップN−320)を
用いレジスト膜パターンを剥離した後、流水洗浄し基板
を乾燥させた。こうして、基板上に、ITO膜のライン
間に対応してストライプ状のポリイミド膜が50nm存
在する部分(幅4μm)と、ITO膜のラインに対応し
てまったく存在しない部分(幅16μm)からなるポリ
イミド膜パターンを得た。
【0277】続いて、当該基板上のポリイミド膜パター
ンに対して、実施例1のセル1−Aの場合と同様の方法
及び条件により一軸配向処理としてラビング処理を施し
た。ラビング処理の方向は、ポリイミド膜のストライプ
方向と垂直な方向に設定した。
【0278】他方のガラス基板における上記ポリイミド
膜上に、ポジレジスト(東京応化OFPR−800)を
約2μm厚となるようスピンコートした。その後、80
℃、30分間の前乾燥を行った後、マスク幅4μm、間
隔16μmのストライプ状のマスクパターンを用いて、
UV(λ=365nm)にて16秒間露光した。この時
マスクパターンを、マスク部分が当該基板のITO膜パ
ターンのライン間と直交するように配置した。その後、
有機系現像液(ジプレー社製MFCD−26)を用いて
現像し、流水洗浄を3分間行った後、100℃、10分
間の乾燥を行い、ライン幅4μm、ライン間隔16μm
のレジスト膜パターンを得た。続いて、低圧水銀ランプ
を用い、基板温度を60℃に保ち、波長254nmにお
ける光エネルギー量が10J/cm2 となるUV強度に
てUVアッシング処理を行って、レジスト膜のない部分
のポリイミドを除去した。次いで、剥離液(ナガセ産業
社製 レジストストリップN−320)を用いレジスト
膜パターンを剥離した後、流水洗浄し基板を乾燥させ
た。こうして、基板上に、ITO膜のラインに直交した
ストライプ状のポリイミド膜が50nm存在する部分
(幅4μm)と、まったく存在しない部分(幅16μ
m)からなるポリイミド膜パターンを得た。
【0279】続いて、当該基板上のポリイミド膜パター
ンに対して、実施例1のセル1−Aの場合と同様の方法
及び条件により一軸配向処理としてラビング処理を施し
た。ラビング処理の方向は、ポリイミド膜のストライプ
方向と垂直な方向に設定した。
【0280】一方の基板上(最初の基板)にスペーサー
として、平均粒径2.0μmのシリカビーズを散布し、
他方の基板を、各基板の電極が直交しマトリックス電極
配置(図11に示すような配置)となり、且つ両基板上
のポリイミド膜パターンのライン部が完全に対向し、ポ
リイミド膜におけるラビング方向が同一になるように、
位置合わせを行い貼り合せ、図9に示すような断面構造
のセル(空セル)を作製した。
【0281】このように作製されたセルの実駆動領域
(両基板の電極が交差する部分)における微粒子分散膜
の合計膜厚は400nmであった。
【0282】尚、セル3−B〜3−Hのサイズは2.5
cm×3.5cmとした(セル3−C,3−D,3−G
では、ポリイミド膜のラインと一致するITO膜のスト
ライプ方向での辺を2.5cmとする)。
【0283】また、実施例1で作製したセル1−Aと本
実施例3で作製したセル3−B〜3−Hの実駆動領域
(両基板の電極の交差部)において、液晶に接する基板
面となる、各層の表面粗さについて測定を行った。測定
は、ガラス基板又はITO膜上にセルA〜Iにおける上
記層と同様の条件で1800Åの膜を形成し、原子間力
顕微鏡(NanoScopeIIIa AFM Dim
ension 3000ユニット/Digital I
nstrument社製、探針としてオリンパス光学社
製のSiカンチレバーを使用)により、走査範囲3.0
μm×3.0μmについて行った。走査速度は0.8H
z、測定環境は室温、大気中とした。
【0284】結果を下記表5に示す。
【0285】
【表5】
【0286】また、ゾルゲルタイプのシリカ層上に形成
したポリイミド膜(5nm)の表面においてはRa=
0.39(nm)、Rms=0.49(nm)、表面粗
度:0.165%であり、微粒子分散層(50%添加)
上に形成したポリイミド膜(5nm)の表面においては
Ra=1.61(nm)、Rms=2.22(nm)、
表面粗度3.53%であり3−C、3−E、3−Gにお
ける微粒子分散層の露出した表面においてはRa=2.
57(nm)、Rms=3.30(nm)、表面粗度
5.514%であった。
【0287】上記に示したプロセスで作製した各セル3
−B〜3−Hと実施例1のセル1−Aに液晶組成物LC
−1を等方相の温度にて注入し、液晶をカイラルスメク
チック液晶相を示す温度まで冷却し、双安定性を示すカ
イラルスメクチック液晶素子サンプル1−A、3−B〜
3−Hを作製した。この冷却の過程を偏光顕微鏡内で観
察したところ、セル3−C,3−D,3−G,3−Hで
は、スメクチックA相への転移温度付近から図3を示す
ようなバトネの発生、成長による配向状態の形成過程が
観察された。
【0288】これらサンプルに対して、1)配向均一性
の評価、2)M2マージン(M2)、3)表示焼き付き
の評価を行った。
【0289】1)配向均一性の評価 液晶素子にカイラルスメクチック相の状態で電圧を印加
して、カイラルスメクチック液晶を一方の状態にスイッ
チングさせ、偏光顕微鏡により目視観測によって、配向
均一性の評価を行った。結果を表6に示す。
【0290】
【表6】
【0291】2)M2マージン(M2)の測定 M2マージンの測定方法を説明する。まず、クロスニコ
ルに配置された偏光板間にセルを設置し、図12に示す
駆動波形(Vop=20V、1/3.3バイアス、1/
1000デューティー)を用いて、M2マージンの測定
を行った、印加パルス波形の長さΔtを変化させながら
暗状態(黒表示)と明状態(白表示)をそれぞれ書込
み、明、暗それぞれの状態を書き込める印加パルスの波
形の長さΔtの範囲が図15の様になった場合におい
て、駆動マージンパラメータをM2=(Δt4−Δt
1)/(Δt4+Δt1)とし、上記サンプル1−A、
2−B〜2−Hについて温度を数点振ってM2マージン
を評価した。
【0292】結果を下記表7に示す。
【0293】また素子サンプル3−E、3−Fは全面ラ
ンダム配向であったため駆動マージンは測定不能であっ
た。
【0294】
【表7】
【0295】この結果から、素子サンプル1−A、3−
Bについては、室温以上におけるM2マージンは大きい
ものの、低温側での駆動マージンが著しく悪くなってい
ることがわかる。これは低温側での反電場の影響による
ものと予測される。
【0296】一方、素子サンプル3−C、3−D、3−
G、3−Hは実駆動領域にはポリイミド膜が存在しない
ため反電場の影響が少なく、低温側でのM2マージンは
室温とほぼ同等の値を示している。
【0297】このように、基板に一軸配向規制力を有す
る配向制御層(ポリイミド膜)が存在する部分及び該配
向層が存在しない部分とを混在させ、該配向制御層の部
分に接する液晶領域から配向状態を形成して均一な配向
性を得て、更に液晶の実駆動領域においてかかる一軸配
向規制力を有する配向制御層を存在させないことによ
り、良好な駆動マージン特性を実現することができるこ
とが証明された。
【0298】3)表示焼き付きの評価 素子サンプル1−A、3−B〜3D、3−G〜3−Hに
ついて、図13に示す駆動波形を用いて、黒表示、白表
示のストライプパターンを表示させ、30℃にて100
0時間連続して同一パターンを表示させた後に、上記
2)と同様の方法及び条件によりセル全体が白黒書き分
けられる駆動条件(M2マージン)の測定を行った。こ
の1000時間後のM2マージンの値と焼き付き実験前
(同一パターン表示前)のM2マージンの値との比をと
って、1000時間後のマージン保存率とした。なお、
この保存率の測定温度は30℃とした。結果を下記表8
に示す。
【0299】
【表8】
【0300】この結果から、マージン保存率はポリイミ
ドの膜厚に反比例した関係となっており、実駆動領域に
おいてポリイミドの存在しない素子サンプル3−C、3
−D、3−G、3−Hについては、非常に高いマージン
保存率、即ち焼き付き減少が抑制され駆動特性の劣化が
ない性能を示す。特に、実駆動領域において液晶に接す
る層が導電性の酸化物超微粒子からなる素子サンプル
は、微小な表面凹凸の効果ににより非常に高いマージン
保存率を示すことがわかる。また、素子サンプル1−A
及び3−Bは、同じポリイミド膜厚でも微小な表面凹凸
の存在する層を有する素子サンプル3−Bの方が高いマ
ージン保存率を示している。
【0301】(実施例4)本実施例で使用するセル(単
純マトリクスタイプのセル)を以下の如く作製した。
【0302】セル4−B 透明電極としてストライプパターンのITO膜(膜厚約
70nm、1ラインの幅16μm、隣接ライン間の間隔
4μm)が形成された形成した1.1mm厚の一対のガ
ラス基板を用意した。
【0303】このガラス基板の一方に、ゾルゲルタイプ
のシリカのエタノール溶液をスピードコート法により塗
布し、その後、80℃5分間の前乾燥を行った後、20
0℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚は3nmのシリカ層を
得た。該シリカ層上に、ポリイミド前駆体(LP64、
東レ社製)のNMP/nBC=1/2溶液をスピンコー
ト法により塗布し、その後、80℃、5分間の前乾燥を
行った後、300℃で1時間加熱焼成を施し膜厚5nm
のポリイミド被膜を得た。
【0304】続いて、当該基板上のポリイミドに対し
て、実施例1のセル1−Aにおけるポリイミド膜に対す
る場合と同様の方法及び条件で一軸配向処理としてラビ
ング処理を施した。
【0305】他方のガラス基板に、ゾルゲルタイプのシ
リカのエタノール溶液をスピンコート法により塗布し
た。その後、80℃5分間の前乾燥を行った後、200
℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚3nmのシリカ層を得
た。
【0306】続いて、一方の基板(ポリイミドを塗布し
た側の基板)上にスペーサーとして、平均粒径2.0μ
mのシリカビーズを散布し、他方の基板を、各基板の電
極が直交しマトリックス電極配置(図11に示すような
配置)となるように重ね合わせ、セル(空セル)を作製
した。
【0307】このように作製されたセルの実駆動領域
(両基板の電極が交差する部分)における絶縁膜(シリ
カ層とポリイミド膜)の合計膜厚は11nmであった。
【0308】セル4−C ここでは、図7に示す断面構造のセル(空セル)を作製
した。
【0309】透明電極としてストライプパターンのIT
O膜(膜厚約70nm、1ラインの幅16μm、隣接ラ
イン間の間隔4μm)が形成された形成した1.1mm
厚の一対のガラス基板を用意した。
【0310】このガラス基板の一方に、ゾルゲルタイプ
のシリカのエタノール溶液をスピンコート法により塗布
し、その後、80℃5分間の前乾燥を行った後、200
℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚は3nmのシリカ層を得
た。該シリカ層上に、セル1−Aで用いたものと同様の
ポリイミド(前駆体)をスピンコート法により塗布し、
その後、80℃、5分間の前乾燥を行った後、200℃
で1時間加熱焼成を施し膜厚50nmのポリイミド被膜
を得た。
【0311】次いで、上記ポリイミド膜上に、ポジレジ
スト(東京応化OFPR−800)を約2μm厚となる
ようスピンコートした。その後、80℃、30分間の前
乾燥を行った後、マスク幅4μm、開口部16μm×1
6μmの格子状のマスクパターンを用いて、UV(λ=
365nm)にて16秒間露光した。この時マスクパタ
ーンを、マスク部分が当該基板のITO膜パターンのラ
イン間に対応するように配置した。その後、有機系現像
液(ジプレー社製MFCD−26)を用いて現像し、流
水洗浄を3分間行った後、100℃、10分間の乾燥を
行ない、格子状であり一方の辺がITO膜パターンのラ
イン間に対応したレジスト膜パターンを得た。続いて、
低圧水銀ランプを用い、基板温度を60℃に保ち、波長
254nmにおけるエネルギー光量が10J/cm2
なるUV強度にてUVアッシング処理を行って、レジス
ト膜のない部分のポリイミドを除去した。次いで、剥離
液(ナガセ産業社製 レジストスリップN−320)を
用いレジスト膜パターンを剥離した後、流水洗浄し基板
を乾燥させた。こうして、基板上に、少なくとも一辺が
ITO膜のライン間に対応した格子状のポリイミド膜が
50nm存在する部分(幅4μm)と、ITO膜のライ
ンに対応してまったく存在しない部分(幅16μm)か
らなるポリイミド膜パターンを得た。
【0312】続いて、当該基板上のポリイミド膜パター
ンに対して、実施例1のセル1−Aの場合と同様の方法
及び条件で一軸配向処理としてラビング処理を施した。
ラビング処理の方向は、同基板の電極のストライプ方向
と垂直な方向設定した。
【0313】他方のガラス基板に、ゾルゲルタイプのシ
リカのエタノール溶液をスピンコート法により塗布し
た。その後、80℃5分間の前乾燥を行った。200℃
1時間加熱乾燥を施し、膜厚3nmのシリカ層を得た。
【0314】続いて一方の基板(ポリイミドを塗布した
側の基板)上にスペーサーとして、平均粒径2.0μm
のシリカビーズを散布した。このポリイミド膜パターン
を有する基板と他方の基板を、互いの電極が直交しマト
リックス電極配置(図11に示すような配置)となり、
他方の基板の電極間が、対向側の格子状のポリイミド膜
パターンにおける一方の辺(ポリイミド膜パターンを有
する基板の電極と垂直な方向)に対応するように対向さ
せ、図7に示すような断面構造のセル(空セル)を作製
した。
【0315】このように作製されたセルの実駆動領域
(両基板の電極が交差する部分)における絶縁膜(シリ
カ層)の合計膜厚は6nmであった。
【0316】セル4−D ここでは、図7に示す断面構造のセル(空セル)を作製
した。
【0317】透明電極としてストライプパターンのIT
O膜(膜厚約70nm、1ラインの幅16μm、隣接ラ
イン間の間隔4μm)が形成された形成した1.1mm
厚の一対のガラス基板を用意した。
【0318】このガラス基板の一方に、ゾルゲルタイプ
のシリカのエタノール溶液をスピンコート法により塗布
し、その後、80℃5分間の前乾燥を行った後、200
℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚は3nmのシリカ層を得
た。該シリカ層上に、セル4−Bで用いたものと同様の
ポリイミド(前駆体)をスピンコート法により塗布し、
その後、80℃、5分間の前乾燥を行った後、300℃
で1時間加熱焼成を施し膜厚50nmのポリイミド被膜
を得た。
【0319】次いで、上記ポリイミド膜上に、ポジレジ
スト(東京応化OFPR−800)を約2μm厚となる
ようにスピンコートした。その後、80℃、30分間の
前乾燥を行った後、マスク幅4μm、開口部16μm×
16μmの格子状のマスクパターンを用いて、UV(λ
=365nm)にて16秒間露光した。この時マスクパ
ターンを、一方向のマスク部分が当該基板のITO膜パ
ターンのライン間に対応するように配置した。その後、
有機系現像液(ジプレー社製MFCD−26)を用いて
現像し、流水洗浄を3分間行った後、100℃、10分
間の乾燥を行い、格子状であり一方の辺がITO膜パタ
ーンのライン間に対応したレジスト膜パターンを得た。
続いて、低圧水銀ランプを用い、基板温度を60℃に保
ち、波長254nmにおけるエネルギー光量が12J/
cm2 となるUV強度にてUVアッシング処理を行っ
て、レジスト膜のない部分のポリイミドを除去した。次
いで、剥離液(ナガセ産業社製 レジストストリップN
−320)を用いレジスト膜パターンを剥離した後、流
水洗浄し基板を乾燥させた。こうして、基板上に、少な
くともITO膜のライン間に対応した格子状のストライ
プ状のポリイミド膜が50nm存在する部分(幅4μ
m)と、ITO膜のラインに対応してまったく存在しな
い部分(幅16μm)からなるポリイミド膜パターンを
得た。
【0320】続いて、当該基板上のポリイミド膜パター
ンに対して、実施例1のセル1−Aの場合と同様の方法
及び条件で一軸配向処理としてラビング処理を施した。
ラビング処理の方向は、同基板の電極のストライプ方向
に垂直な方向に設定した。
【0321】他方のガラス基板に、ゾルゲルタイプのシ
リカのエタノール溶液をスピンコート法により塗布し
た。その後、80℃5分間の前乾燥を行った後、200
℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚3nmのシリカ層を得
た。
【0322】続いて一方の基板(ポリイミドを塗布した
側の基板)上にスペーサーとして、平均粒径2.0μm
のシリカビーズを散布した。このポリイミド膜パターン
を有する基板と他方の基板を、互いの電極が直交しマト
リックス電極配置(図11に示すような配置)となり、
他方の基板の電極間が、対向側の格子状のポリイミド膜
パターンにおける一方の辺(ポリイミド膜パターンを有
する基板の電極と垂直な方向)に対応するように対向さ
せ、図7に示すような断面構造のセル(空セル)を作製
した。
【0323】このように作製されたセルの実駆動領域
(両基板の電極が交差する部分)における絶縁膜(シリ
カ層)の合計膜厚は6nmであった。
【0324】セル4−F ここでは、図9に示す断面構造のセル(空セル)を作製
した。
【0325】透明電極としてストライプパターンのIT
O膜(膜厚約70nm、1ラインの幅16μm、隣接ラ
イン間の間隔4μm)が形成された形成した1.1mm
厚の一対のガラス基板を用意した。
【0326】これらガラス基板の両方に、ゾルゲルタイ
プのシリカのエタノール溶液をスピンコート法により塗
布し、その後、80℃5分間の前乾燥を行った後、20
0℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚は3nmのシリカ層を
得た。該シリカ層上に、セル4−Bで用いたものと同様
のポリイミド(前駆体)をスピンコート法により塗布
し、その後、80℃、5分間の前乾燥を行った後、30
0℃で1時間加熱焼成を施し膜厚50nmのポリイミド
被膜を得た。
【0327】次いで、上記ポリイミド膜上に、ポジレジ
スト(東京応化OFPR−800)を約2μm厚となる
ようにスピンコートした。その後、80℃、30分間の
前乾燥を行った後、マスク幅4μm、開口部16μm×
16μmの格子状のマスクパターンを用いて、UV(λ
=365nm)にて16秒間露光した。この時マスクパ
ターンを、マスク部分が当該基板のITO膜パターンの
ライン間に対応するように配置した。その後、有機系現
像液(ジプレー社製MFCD−26)を用いて現像し、
流水洗浄を3分間行った後、100℃、10分間の乾燥
を行い、格子状であり一方の辺がITO膜パターンのラ
イン間に対応したレジスト膜パターンを得た。続いて、
低圧水銀ランプを用い、基板温度を60℃に保ち、波長
254nmにおけるエネルギー光量が12J/cm2
なるUV強度にてUVアッシング処理を行なって、レジ
スト膜のない部分のポリイミドを除去した。次いで、剥
離液(ナガセ産業社製 レジストストリップN−32
0)を用いレジスト膜パターンを剥離した後、流水洗浄
し基板を乾燥させた。こうして、基板上に、一辺がIT
O膜のライン間に対応した格子状のポリイミド膜が50
nm存在する部分(幅4μm)と、ITO膜のラインに
対応してまったく存在しない部分(幅16μm)からな
るポリイミド膜パターンを得た。
【0328】続いて、一対の基板の夫々のポリイミド膜
パターンに対して、実施例1のセル1−Aの場合と同様
の方法及び条件により一軸配向処理としてラビング処理
を施した。ラビング処理の方向は、一方の基板ではIT
O膜パターンのストライプ方向、他方の基板ではITO
膜のストライプに対し垂直方向に設定した。
【0329】一方の基板上にスペーサーとして、平均粒
径2.0μmのシリカビーズを散布し、他方の基板を、
格子状のポリイミド膜パターンのライン部が完全に対向
し、ポリイミド膜におけるラビング方向が同一になるよ
うに、位置合わせを行い貼り合わせ、図9に示すような
断面構造のセル(空セル)を作製した。
【0330】このように作製されたセルの実駆動領域
(両基板の電極が交差する部分)における絶縁膜(シリ
カ層)の合計膜厚は6nmであった。
【0331】セル4−G ここでは、図9に示す断面構造のセル(空セル)を作製
した。
【0332】透明電極としてストライプパターンのIT
O膜(膜厚約70nm、1ラインの幅16μm、隣接ラ
イン間の間隔4μm)が形成された形成した1.1mm
厚の一対のガラス基板を用意した。
【0333】これらガラス基板の両方に、ゾルゲルタイ
プのシリカのエタノール溶液をスピンコート法により塗
布し、その後、80℃5分間の前乾燥を行った後、20
0℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚は3nmのシリカ層を
得た。
【0334】続いて、一方の基板では、該シリカ層上
に、セル4−Bで用いたものと同様のポリイミド(前駆
体)をスピンコート法により塗布し、その後、80℃、
5分間の前乾燥を行った後、300℃で1時間加熱焼成
を施し膜厚50nmのポリイミド被膜を得た。また、他
方の基板では、該シリカ層上に、実施例1のセル1−A
で用いたものと同様のポリイミド(前駆体)をスピンコ
ート法により塗布し、その後、80℃、5分間の前乾燥
を行った後、200℃で1時間加熱焼成を施し膜厚50
nmのポリイミド被膜を得た。
【0335】次いで、両基板のポリイミド膜上に、ポジ
レジスト(東京応化OFPR−800)を約2μm厚と
なるようにスピンコートした。その後、80℃、30分
間の前乾燥を行った後、マスク幅4μm、開口部16μ
m×16μmの格子状のマスクパターンを用いて、UV
(λ=365nm)にて16秒間露光した。この時マス
クパターンを、マスク部分が当該基板のITO膜パター
ンのライン間に対応するように配置した。その後、有機
系現像液(ジプレー社製MFCD−26)を用いて現像
し、流水洗浄を3分間行った後、100℃、10分間の
乾燥を行い、格子状であり一方の辺がITO膜パターン
のライン間に対応したレジスト膜パターンを得た。続い
て、低圧水銀ランプを用い、基板温度を60℃に保ち、
波長254nmにおけるエネルギー光量がセル4−Bで
用いたポリイミドについては12J/cm2 、セル1−
Aで用いたポリイミドについては10J/cm2 となる
UV強度にてUVアッシング処理を行って、レジスト膜
のない部分のポリイミドを除去した。次いで、剥離液
(ナガセ産業社製 レジストストリップN−320)を
用いレジスト膜パターンを剥離した後、流水洗浄し基板
を乾燥させた。こうして、基板上に、一辺がITO膜の
ライン間に対応した格子状のポリイミド膜が50nm存
在する部分(幅4μm)と、ITO膜のラインに対応し
てまったく存在しない部分(幅16μm)からなるポリ
イミド膜パターンを得た。
【0336】続いて、一対の基板の夫々のポリイミド膜
パターンに対して、実施例1のセル1−Aの場合と同様
の方法及び条件により一軸配向処理としてラビング処理
を施した。ラビング処理の方向は、一方の基板ではIT
O膜パターンのストライプ方向、他方の基板ではITO
膜のストライプに対し垂直方向に設定した。
【0337】一方の基板上にスペーサーとして、平均粒
径2.0μmのシリカビーズを散布し、他方の基板を、
格子状のポリイミド膜パターンのライン部が完全に対向
し、ポリイミド膜におけるラビング方向が同一になるよ
うに、位置合わせを行ない貼り合わせ、図9に示すよう
な断面構造のセル(空セル)を作製した。
【0338】このように作製されたセルの実駆動領域
(両基板の電極が交差する部分)における絶縁膜(シリ
カ層)の合計膜厚は6nmであった。
【0339】尚、セル4−B〜4−D、4−F〜4−G
のサイズは2.5cm×3.5cmとした。
【0340】上述したプロセスで作製した4−B、4−
D、4−F、4−G、更に実施例1のセル1−A、1−
Fに液晶組成物LC−1を等方相の温度にて注入し、液
晶をカイラルスメクチック液晶相を示す温度まで冷却
し、双安定性を示すカイラルスメクチック液晶素子サン
プル4−B〜4−D、4−F、4−G、1−A、1−F
を作製した。この冷却の過程を偏光顕微鏡内で観察した
ところ、セル4−C、4−D、4−F、4−Gでは、ス
メクチックA相への転移温度付近から図3に示すような
バトネの発生、成長による配向状態の形成過程が観察さ
れた。
【0341】尚、各セルの液晶と接する面を構成するシ
リカ、ポリイミドの表面の表面電位について、特開平8
−262447に記載の方法により測定した。具体的に
は、表面電位計(振動容量型表面電位型320B型・ト
レック社製)を用い、上記セルと同様の条件で形成及び
ラビング処理がされた膜試料について、1.0×10−
1〜1.0×10−3torrの減圧下、温度80〜1
00℃、15分〜2時間の条件で処理したものについて
測定した。
【0342】夫々の膜の表面電位の測定結果は以下の通
りである。
【0343】・ポリシロキサン膜…−80mV(ラビン
グ処理の有無に拘らず同様の値) ・セル1−Aで用いたポリイミド膜…−100mV ・セル4−Bで用いたポリイミド膜…−210mV
【0344】これらサンプルに対して、下記項目に関し
て評価を行った。
【0345】1)配向均一性の評価 液晶素子に電圧を印加して、カイラルスメクチック液晶
を一方の状態にスイッチングさせ、クロスニコル下で偏
光顕微鏡による目視観察によって、配向均一性の評価を
行った。サンプル1−Fを除いて全面均一な配向状態が
得られた。
【0346】2)徐冷後の分子位置の評価 偏向顕微鏡による目視観察によって、SmA相からSm
* 相へと徐冷した直後の分子位置の評価を行った。こ
のときクロスニコル下での偏光顕微鏡観測時に層法線方
向(ラビング処理)から反時計周りに傾いた分子位置を
第一の安定状態(S1)、時計周りに傾いた分子位置を
第二の安定状態(S2)と定義した。尚、セルC及びD
では、ポリイミド膜パターンが設けられた基板を上側
(観察者側)に配置した。結果を下記表9に示す。
【0347】
【表9】
【0348】3)M2マージン(M2)の測定 M2マージンの測定方法を説明する。まず、クロスニコ
ルに配置された偏光板間セルを設置し、図13に示す駆
動波形(Vop=20V、1/3.3バイアス、1/1
000デューティー)を用いて、M2マージンの測定を
行った。印加パルス波形の長さΔtを変化させながら暗
状態(黒表示)と明状態(白表示)をそれぞれ書込み、
明、暗それぞれの状態を書込める印加パルス波形の長さ
Δtの範囲が図15の様になった場合において、駆動マ
ージンパラメータをM2=(Δt4−Δt1)/(Δt
4+Δt1)とし、上記サンプル1−A、4−B〜4−
D、4−F、4−Gについて温度を数点振ってM2マー
ジンを評価した。
【0349】結果を下記表10に示す。
【0350】素子4−C、4−Dについては格子状のポ
リイミド膜が配置されていない領域のM2マージンとし
た。また素子1−Fは全面ランダム配向であったため駆
動マージンは測定不能であった。
【0351】
【表10】
【0352】この結果から、素子サンプル4−Bについ
ては全面が双安定性が崩れており、一方の状態(クロス
ニコル下において遮光される側の状態)のみが安定化さ
れた単安定状態となっていたため駆動マージンを測定す
ることができなかった。素子サンプル1−Aについて
は、室温以上におけるM2マージンは大きいものの、低
温側での駆動マージンが著しく悪くなっていることがわ
かる。これは低温側での反電場の影響によるものと予測
される。一方、サンプル4−C、4−D、4−F、4−
Gは有効スイッチング領域(電極が互いに交差する実駆
動領域)にはポリイミド膜が存在しないため配向制御層
の電気容量が大きく、低温側でのマージンの減少量が小
さくなっている。
【0353】4)コントラスト(C/R)の測定 コントラストの測定方法を説明する。まず、クロスニコ
ルに配置された偏光板間に液晶が注入されたセルを配置
し、図14に示す駆動波形(Vop=20V、1/3.
3バイアス、1/1000デューティー)を用いて、3
0℃におけるコントラストの測定を行った。このとき印
加パルス波形の長さΔtを変化させながら暗状態と明状
態をそれぞれ書込み、明、暗それぞれの状態を書込める
印加パルス波形の長さΔtの範囲が図15の様になった
場合、その書込み可能最小のパルス幅(Δt1)におい
て明暗それぞれについてフォトマルによる透過光量の測
定を行い、それらの比をとってコントラストとした。な
お、偏光板に対するセルの設置角度は電界無印加時に実
駆動領域において暗状態が最暗となる位置にあわせた。
また、透過光量の測定範囲は約100μm×約100μ
mとし、画素間部分(電極が互いに交差する実駆動領域
間の部分)の透過光量も含むようにした。
【0354】結果を下記表11に示す。
【0355】
【表11】
【0356】素子サンプル1−A、4−C、4−Fにつ
いては実駆動領域間(画素間)部分がほぼ双安定性であ
ることから白ドメイン及び黒ドメインが目視上ほぼ同じ
面積比で振り分けられており、白ドメイン部分は実駆動
領域間に存在しているため外部からの電界にも応答せず
光漏れが生じている。その結果コントラストが非常に小
さくなってしまっている。
【0357】一方、素子サンプル4−D、4−Gは実駆
動領域間(画素間)部分の上下基板の表面電位の差が大
きく釣り合っていない。そのため画素間の分子位置は一
方向に揃っており、この分子位置がクロスニコル下にお
いて遮光状態となるようセルを設置することにより、画
素間部分からの光漏れのない、コントラストが十分取れ
た素子サンプルを得ることができた。
【0358】このように、基板に一軸配向規制力を有す
る配向制御層が存在する部分及び該配向層が存在しない
部分とを混在させ、該配向制御層の部分に接する液晶領
域から配向状態を形成して均一な配向性を得て、更に液
晶の実駆動領域においてかかる一軸配向規制力を有する
配向制御層を存在させないことにより、良好な駆動マー
ジン特性を実現することができることが証明された。更
に、実駆動領域間(画素間)部分を常時暗状態に安定化
させることにより、素自然体での表示におけるコントラ
ストが向上する。
【0359】(実施例5)実施例5に使用する4種類の
空セルを以下の如く作製した。
【0360】セル5−H 透明電極としてストライプパターンのITO膜(膜厚約
70nm、1ラインの幅45μm、間隔5μm)が形成
された形成した1.1mm厚の一対のガラス基板を用意
し、ポリイミド膜を、1ラインの幅5μm、開口部の大
きさが45μm×45μmであり、一方向のラインを上
記ITO膜のライン間に対応させた格子状パターンで形
成することを除いて、セル4−Cの場合と同様の方法及
び条件で、両基板の電極がマトリックス構造を形成する
図7に示す断面構造の空セルを作製した(ポリイミド膜
の材料、厚みはセル4−Cと同様)。
【0361】セル5−I 透明電極としてストライプパターンのITO膜(膜厚約
70nm、1ラインの幅45μm、間隔5μm)が形成
された形成した1.1mm厚の一対のガラス基板を用意
し、ポリイミド膜を1ラインの幅5μm、開口部の大き
さが45μm×45μmであり、一方向のラインを上記
ITO膜のライン間に対応させた格子状パターンで形成
することを除いて、セル4−Dの場合と同様の方法及び
条件で、両基板の電極がマトリックス構造を形成する図
7に示す断面構造の空セルを作製した(ポリイミド膜の
材料、厚みはセル4−Dと同様)。
【0362】セル5−J ポリイミド膜を、1ラインの幅5μm、開口部の大きさ
が20μm×20μmであり、一方向のラインのうち1
本おきに上記ITO膜のライン間に対応させた格子状パ
ターンで形成することを除いて、セル5−Hの場合と同
様の方法及び条件で、両基板の電極がマトリックス構造
を形成する図7に示す断面構造の空セルを作製した(ポ
リイミド膜の材料、厚みはセル5−Hと同様)。当該セ
ルでは、一対の電極が互いに交差した領域内において
も、ポリイミド膜のストライプのラインが設けられてい
ることになる。
【0363】セル5−K ポリイミド膜を、1ラインの幅5μm、開口部の大きさ
が20μm×20μmであり、一方向のラインのうち1
本おきに上記ITO膜のライン間に対応させた格子状パ
ターンで形成することを除いて、セル5−Iの場合と同
様の方法及び条件で、両基板の電極がマトリックス構造
を形成する図7に示す断面構造の空セルを作製した(ポ
リイミド膜の材料、厚みはセルIと同様)。当該セルで
は、一対の電極が互いに交差した領域内においても、ポ
リイミド膜のストライプのラインが設けられていること
になる。
【0364】上述したプロセスで作製した各セル5−H
〜5−Kに液晶組成物LC−1を等方相の温度にて注入
し、液晶をカイラルスメクチック液晶相を示す温度まで
冷却し、双安定性を示すカイラルスメクチック液晶素子
サンプル5−H〜5−Kを作製した。この冷却の過程を
偏光顕微鏡内で観察したところ、セル5−H〜5−Kで
は、スメクチックA相への転移温度付近から図3に示す
ようなバトネの発生、成長による配向状態の形成過程が
観察された。
【0365】これらサンプルに対して、下記項目に関し
て評価を行った。
【0366】1)配向均一性の評価 実施例4の場合と同様に素子内の液晶の配向均一性を観
察した。結果を下記表12に示す。
【0367】
【表12】
【0368】素子サンプル5−H及び5−Iについては
ポリイミド膜のライン間の距離が相対的に大きく、一軸
配向規制力を実質的に持たない領域が大きすぎるため、
ポリイミド膜からの距離が離れた画素の中央部分に配向
の乱れた部分が発生してしまっている。
【0369】2)コントラスト(C/R)の測定 素子サンプル5−J及び5−Kについて実施例1と同様
の方法にてコントラストの測定を行った。
【0370】以上の結果を下記表13に示す。
【0371】
【表13】
【0372】素子サンプル5−Kは5−Jに比較して実
駆動領域間(画素間)部分の上下基板の表面電位の差が
大きく釣り合っていない。そのため画素間の分子位置は
一方向に揃っており、この分子位置がクロスニコル下に
おいて遮光状態となるようセルを設置することにより、
画素間部分からの光漏れのない、コントラストが十分取
れた素子サンプルを得ることができた。
【0373】(実施例6)本実施例で使用するセル(単
純マトリクスタイプのセル)を以下の如く作製した。
【0374】セル6−C ここでは、概略図17に示す断面構造のセル(空セル)
を作製した。
【0375】透明電極としてストライプパターンのIT
O膜(膜厚約70nm、1ラインの幅16μm、隣接ラ
イン間の間隔4μm)が形成された形成した1.1mm
厚の一対のガラス基板を用意した。
【0376】このガラス基板の一方に、ゾルゲルタイプ
のシリカのエタノール溶液をスピンコート法により塗布
し、その後、80℃5分間の前乾燥を行った後、200
℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚は3nmのシリカ層を得
た。該シリカ層上に、実施例1のセル1−Aで用いたも
のと同様のポリイミド(前駆体)をスピンコート法によ
り塗布し、その後、80℃、5分間の前乾燥を行った
後、200℃で1時間加熱焼成を施し膜厚50nmのポ
リイミド被膜を得た。
【0377】次いで、上記ポリイミド膜上に、ポジレジ
スト(東京応化OFPR−800)を約2μm厚となる
ようスピンコートした。その後、80℃、30分間の前
乾燥を行った後、マスク幅4μm、間隔16μmのスト
ライプ状のマスクパターンを用いて、UV(λ=365
nm)にて16秒間露光した。この時マスクパターン
を、マスク部分が当該基板のITO膜パターンのライン
間に対応するように配置した。その後、有機系現像液
(ジプレー社製MFCD−26)を用いて現像し、流水
洗浄を3分間行った後、100℃、10分間の乾燥を行
い、ITO膜パターンのライン間に対応したレジスト膜
パターンを得た。続いて、低温水銀ランプを用い、基板
温度を60℃に保ち、波長254nmにおける光エネル
ギー量が6J/cm2 となるUV強度にてUVアッシン
グ処理を行なって、レジスト膜のない部分のポリイミド
を除去した。次いで、剥離液(ナガセ産業社製 レジス
トストリップN−320)を用いレジスト膜パターンを
剥離した後、流水洗浄し基板を乾燥させた。こうして、
基板上に、ITO膜のライン間に対応してストライプ状
のポリイミド膜が50nm存在する部分(幅4μm図1
7の層15aに対応する部分)と、ITO膜のラインに
対応して膜厚約2nmで存在する部分(幅16μm図1
7の層17aに対応する部分)からなるポリイミド膜パ
ターンを得た。
【0378】続いて、当該基板上のポリイミド膜パター
ンに対して、実施例1のセル1−Aの場合と同様の方法
及び条件により一軸配向処理としてラビング処理を施し
た。ラビング処理の方向は、ポリイミド膜のストライプ
方向と垂直な方向に設定した。
【0379】他方のガラス基板に、ゾルゲルタイプのシ
リカのエタノール溶液をスピンコート法により塗布し
た。その後、80℃5分間の前乾燥を行った後、200
℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚3nmのシリカ層を得
た。
【0380】続いて一方の基板(ポリイミドを塗布した
側の基板)上にスペーサーとして、平均粒径2.0μm
のシリカビーズを散布し、他方の基板を、各基板の電極
が直交しマトリックス電極配置(図11に示すような配
置)となるように重ね合わせ、概略図17に示すような
断面構造のセル(空セル)を作製した。
【0381】このように作製されたセルの実駆動領域
(両基板の電極が交差する部分)における絶縁膜(ポリ
イミド層及びシリカ層)の合計膜厚は8nmであった。
【0382】セル6−D ここでは、概略図18に示す断面構造のセル(空セル)
を作製した。
【0383】透明電極としてストライプパターンのIT
O膜(膜厚約70nm、1ラインの幅16μm、隣接ラ
イン間の間隔4μm)が形成された形成した1.1mm
厚の一対のガラス基板を用意した。
【0384】このガラス基板の一方に、ゾルゲルタイプ
のシリカのエタノール溶液をスピンコート法により塗布
し、その後、80℃5分間の前乾燥を行った後、200
℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚は3nmのシリカ層を得
た。該シリカ層上に、実施例1のセル1−Aで用いたも
のと同様のポリイミド(前駆体)をスピンコート法によ
り塗布し、その後、80℃、5分間の前乾燥を行った
後、200℃で1時間加熱焼成を施し膜厚50nmのポ
リイミド被膜を得た。
【0385】次いで、上記ポリイミド膜上に、ポジレジ
スト(東京応化OFPR−800)を約2μm厚となる
ようスピンコートした。その後、80℃、30分間の前
乾燥を行った後、マスク幅4μm、間隔16μmのスト
ライプ状のマスクパターンを用いて、UV(λ=365
nm)にて16秒間露光した。この時マスクパターン
を、マスク部分が当該基板のITO膜パターンのライン
間に対応するように配置した。その後、有機系現像液
(ジプレー社製MFCD−26)を用いて現像し、流水
洗浄を3分間行った後、100℃、10分間の乾燥を行
い、ITO膜パターンのライン間に対応したレジスト膜
パターンを得た。続いて、低温水銀ランプを用い、基板
温度を60℃に保ち、波長254nmにおける光エネル
ギー量が10J/cm2 となるUV強度にてUVアッシ
ング処理を行って、レジスト膜のない部分のポリイミド
を除去した。次いで、剥離液(ナガセ産業社製 レジス
トストリップN−320)を用いレジスト膜パターンを
剥離した後、流水洗浄し基板を乾燥させた。この時点
で、基板上に、ITO膜のライン間に対応してストライ
プ状のポリイミド膜が50nm存在する部分(幅4μ
m)と、ITO膜のラインに対応してポリイミド膜が全
く存在しない部分(幅16μm)からなるポリイミド膜
パターンを得た。
【0386】続いて、このポリイミド膜パターン上に更
に同様のポリイミド(前駆体)をスピンコート法により
塗布し、80℃、5分間の前乾燥を行った後、200℃
で1時間加熱焼成を施し膜厚2nmのポリイミド被膜を
得た。即ち、基板上に、おいてITO膜のライン間に対
応してストライプ状のポリイミド膜が52nm存在する
部分(幅4μm、図18の層18a、19aの積層部に
対応)と、ITO膜のラインに対応してポリイミド膜が
薄い厚み約2nmで存在する部分(幅16μm、図18
の層18a間の層19aに対応する部分)からなるポリ
イミド膜パターンを得た。
【0387】次に、当該基板上のポリイミド膜パターン
に対して、実施例1のセル1−Aの場合と同様の方法及
び条件により一軸配向処理としてラビング処理を施し
た。ラビング処理の方向は、ポリイミド膜のストライプ
方向と垂直な方向に設定した。
【0388】他方のガラス基板に、ゾルゲルタイプのシ
リカのエタノール溶液をスピンコート法により塗布し
た。その後、80℃5分間の前乾燥を行った後、200
℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚3nmのシリカ層を得
た。
【0389】続いて一方の基板(ポリイミドを塗布した
側の基板)上にスペーサーとして、平均粒径2.0μm
のシリカビーズを散布し、他方の基板を、各基板の電極
が直交しマトリックス電極配置(図11に示すような配
置)となるように重ね合わせ、概略図18に示すような
断面構造のセル(空セル)を作製した。
【0390】このように作製されたセルの実駆動領域
(両基板の電極が交差する部分)における絶縁膜(ポリ
イミド層及びシリカ層)の合計膜厚は8nmであった。
【0391】尚、セル6−C、6−Dのサイズは2.5
cm×3.5cmとした(ポリイミド膜のラインと一致
するITO膜のストライプ方向での辺を2.5cmとす
る)。
【0392】上記に示したプロセスで作製した各セル6
−C、6−D、更に実施例1のセル1−A及び1−Bに
液晶組成物LC−1を等方相の温度にて注入し、液晶を
カイラルスメクチック液晶相を示す温度まで冷却し、双
安定性を示すカイラルスメクチック液晶素子サンプル6
−C、6−D、1−A、1−Bを作った。この冷却の過
程を偏光顕微鏡内で観察したところ、サンプル6−C、
6−Dでは、スメクチックA相への転移温度付近から図
3に示すようなバトネの発生、成長による配向状態の形
成過程が観察された。
【0393】本実施例で用いた、液晶組成物LC−1の
温度特性を下記表14に示す。
【0394】
【表14】
【0395】Vth1 及びVth2 は温度勾配法にて配向さ
せたセル厚2μmの一対のITO基板を対向したセルに
おいて測定した値を用い、d1 、d2 は下式により求め
た。 (A1式)d1 =Vth1 ×ε/2Ps (A2式)d2 =Vth2 ×ε/2Ps なお比誘電率を3.3とし真空の誘電率ε0=8.85
×10-12としてεを計算した。なお、d1 、d2 はセ
ルにおける上下両基板の絶縁膜の合計膜厚に対応する。
【0396】なお、本測定に用いたパルス幅は以下のよ
うに決定した。実施例中のM2マージン測定時において
選択時における駆動電圧が20Vであることから、20
Vにおける閾値パルス幅の温度特性を測定したところ、
1.6μsec(40℃)、27μsec(25℃)、
100μsec(10℃) したがって、実施例中のM2マージン測定時において1
/1000デューティーの単純マトリクス波形を用いる
ことから、上表の1000倍のパルス幅の矩形波を用い
てVth1 及びVth2 を測定した。すなわち、1フレーム
中に一部反転するような電圧値としてVth1 、1フレー
ム中に全部反転するような電圧値としてVth2 を測定し
た。
【0397】同表から明らかなように、本実施例6−
C、6−Dで用いた液晶組成物を用いるセルについて
は、実駆動領域での両基板絶縁膜の厚み合計が常温で8
nmを下回れば、自発分極を有する液晶をスイッチング
させる場合の逆電圧によるスイッチングの阻害が防止さ
れるが、本実施例では少なくとも実駆動領域での絶縁膜
の厚みが8nmであり、好適な条件をみたしている。
【0398】また、実施例6−C、6−Dにおいて強い
一軸配向規制力を有するストライプ状のポリイミドの厚
みは25nmをこえるレベルにあり(表14のd2の最
大値)好ましい。
【0399】これらサンプルに対して、1)配向均一性
の評価、2)セル内でのイオン量の径時変化の評価、
3)M2マージン(M2)の測定を行った。
【0400】1)配向均一性の評価 液晶素子にカイラルスメクチック液晶相の状態で電圧を
印加してカイラルスメクチック液晶を一方の状態にスイ
ッチングさせ、偏光顕微鏡により目視観測によって、配
向均一性の評価を行った。結果を表15に示す。
【0401】
【表15】
【0402】2)イオン量の経時変化 セル内に存在するイオン量の測定を行った。測定はイオ
ン密度測定システムMTR−1(東陽テクニカ社製)を
用い、室温下でのイオン量の測定を、(1)初期…液晶
注入直後、(2)経時後…液晶注入後から室温にて30
日間放置後、において測定しセル中のイオン量の経時変
化を測定した。結果は全ての素子サンプルで初期、径時
後共に2.0〔nC/cm2 〕となり、いずれも初期の
イオン量と経時後のイオン量と変化することはなかっ
た。
【0403】次いで、比較例として、上下基板ともIT
O(及びガラス基板)がむき出しになった基板を用いて
セルを作製し、同様の液晶材料の注入を行ったサンプル
について同様の評価を行ったところ、初期のイオン量は
2.0〔nC/cm2 〕であり、径時後のイオン量は1
0.0〔nC/cm2 〕となった。当該サンプルでは、
放置することによってイオン量が大きく増加しているこ
とがわかる。これはITOまたはガラス基板からの不純
物のしみ出しが原因しているものと考えられる。
【0404】これらの結果から、サンプル1−A、1−
B、6−C、6−Dのように実駆動領域を含む基板上
が、少なくとも絶縁性の層により被覆されていることに
よって基板からのイオンのしみ出しに起因するセル中イ
オン量の経時的な増加を抑えることができることがわか
る。
【0405】3)M2マージン(M2)の測定 M2マージンの測定方法を説明する。まず、クロスニコ
ルに配置された偏光板間にセルを設置し、図14に示す
駆動波形(Vop=20V、1/3.3バイアス、1/
1000デューティー)を用いて、M2マージンの測定
を行った。印加パルス波形の長さΔtを変化させながら
暗状態と明状態をそれぞれ書込み、明、暗それぞれの状
態を書込める印加パルス波形の長さΔtの範囲が図15
の様になった場合、M2=(Δt2−Δt1)/(Δt
2+Δt1)である。
【0406】上記素子1−A,1−B,6−C,6−D
について温度を数点振ってM2マージンの測定を行っ
た。
【0407】以上の結果を下記表16に示す。
【0408】なお、素子1−B及び6−Cについては正
常にスイッチングする領域のみのM2マージンを評価し
た。
【0409】
【表16】
【0410】この結果から、サンプル1−Aについて
は、室温以上におけるM2マージンは大きいものの、低
温側での駆動マージンが著しく悪くなっていることがわ
かる。これは低温側での反電場の影響によるものと予測
される。一方、配向性の悪い素子サンプル1−Bに関し
ては、全体としてM2マージンの値は小さいものの、素
子サンプル1−Bは素子Aと比較して配向膜厚が薄く配
向制御層の電気容量が大きいため、低温側でのマージン
の減少量が小さくなっている。一方、素子サンプル6−
C、サンプル6−Dは有効スイッチング領域の配向膜厚
が薄いため配向制御層の電気容量が大きく、低温側での
マージンの減少量が小さくなっている。また配向膜厚が
薄いため反電場の影響が少なく、低温側でのM2マージ
ンの減少量が小さくなっている。
【0411】以上の結果より、配向規制力の非常に強い
領域及び配向規制力は弱いものの配向膜厚を非常に薄く
することによって反電場の影響を減少させた領域とを混
在させることによって、均一な配構成と良好な駆動マー
ジン特性を両立させることが出来ることがわかった。
【0412】(実施例7)本実施例で使用するセル(単
純マトリクスタイプのセル)を以下の如く作製した。
【0413】セル7−D ここでは、概略図17に示す断面構造のセル(空セル)
を作製した。
【0414】透明電極としてストライプパターンのIT
O膜(膜厚約70nm、1ラインの幅16μm、隣接ラ
イン間の間隔4μm)が形成された形成した1.1mm
厚の一対のガラス基板を用意した。
【0415】このガラス基板の一方に、ゾルゲルタイプ
のシリカの母材中にアンチモンドープのSnOxの超微
粒子(粒径100Å)を重量比で50%添加し分散した
固形分10重量%のエタノール溶液をスピンコート法に
より塗布し、その後、80℃5分間の前乾燥を行った
後、200℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚は200nm
の微粒子分散層を得た。該微粒子分散層上に、実施例1
のセル1−Aで用いたものと同様のポリイミド(前駆
体)をスピンコート法により塗布し、その後、80℃、
5分間の前乾燥を行った後、200℃で1時間加熱焼成
を施し膜厚50nmのポリイミド被膜を得た。
【0416】次いで、上記ポリイミド膜上に、ポジレジ
スト(東京応化 OFPR−800)を約2μm厚とな
るようスピンコートした。その後、80℃、30分間の
前乾燥を行った後、マスク幅4μm、間隔16μmのス
トライプ状のマスクパターンを用いて、UV(λ=36
5nm)にて16秒間露光した。この時マスクパターン
を、マスク部分が当該基板のITO膜パターンのライン
間に対応するように配置した。その後、有機系現像液
(ジプレー社製 MFCD−26)を用いて現像し、流
水洗浄を3分間行った後、100℃、10分間の乾燥を
行い、ITO膜パターンのライン間に対応したレジスト
膜パターンを得た。続いて、低温水銀ランプを用い、基
板温度を60℃に保ち、波長254nmにおける光エネ
ルギー量が6J/cm2 となるUV強度にてUVアッシ
ング処理を行って、レジスト膜のない部分のポリイミド
を除去した。次いで、剥離液(ナガセ産業社製 レジス
トストリップN−320)を用いレジスト膜パターンを
剥離した後、流水洗浄し基板を乾燥させた。こうして、
基板上に、ITO膜のライン間に対応してストライプ状
のポリイミド膜が50nm存在する部分(幅4μm、図
17の層15aに相当)と、ITO膜のラインに対応し
て膜厚約2nmで存在する部分(幅16μm、図17の
層17aに相当)からなるポリイミド膜パターンを得
た。
【0417】続いて、当該基板上のポリイミド膜パター
ンに対して、実施例1のセル1−Aの場合と同様の方法
及び条件により一軸配向処理としてラビング処理を施し
た。ラビング処理の方向は、ポリイミド膜のストライプ
方向と垂直な方向に設定した。
【0418】他方のガラス基板に、ゾルゲルタイプのシ
リカの母材中にアンチモンドープのSnOxの超微粒子
(粒径100Å)を重量比で50%添加して分散した固
形分濃度10重量%のエタノール溶液をスピンコート法
により塗布し、膜厚200nmの微粒子分散層を得た。
【0419】続いて一方の基板(ポリイミドを塗布した
側の基板)上にスペーサーとして、平均粒径2.0μm
のシリカビーズを散布し、他方の基板を、各基板の電極
が直交しマトリックス電極配置(図11に示すような配
置)となるように重ね合わせ、概略図17に示すような
断面構造のセル(空セル)を作製した。
【0420】尚、セル7−Dのサイズは2.5cm×
3.5cmとした(ポリイミド膜のラインと一致するI
TO膜のストライプ方向での辺を2.5cmとする)。
【0421】本実施例で作製したセル7−Dの実駆動領
域(両基板の電極の交差部)において、液晶に接する基
板面となる各層の表面粗さについて、前述の実施例3と
同様の方法、条件で測定を行った。一方の基板側の微粒
子分散層上が薄い(厚み2nm)のポリイミド層で被覆
された表面については、算術平均粗さRa=3.53、
自乗平均粗さRms=4.21、表面粗度5.32であ
り、他方の基板の微粒子分散層の露出する表面の算術平
均粗さRa4.28(nm)、自乗平均粗さRms=
5.38、表面粗度=6.911であった。
【0422】上記に示したプロセスで作製したセル7−
D、更に実施例1のセル1−A及び1−B、実施例6の
セル6−Cに液晶組成物LC−1を等方相の温度にて注
入し、液晶をカイラルスメクチック液晶相を示す温度ま
で冷却し、双安定性を示すカイラルスメクチック液晶素
子サンプル7−D、1−A、1−B、6−Cを作った。
この冷却の過程を偏光顕微鏡内で観察したところ、サン
プル7−ABでは、スメクチックA相への転移温度付近
から図3に示すようなバドネの発生、成長による配向状
態の形成過程が観察された。
【0423】これらサンプルに対して、1)配向均一性
の評価、2)M2マージン(M2)の測定、3)表示焼
き付きの評価を行った。
【0424】1)配向均一性の評価 液晶素子にカイラルスメクチック液晶相の状態で電圧を
印加してカイラルスメクチック液晶を一方の状態にスイ
ッチングさせ、偏光顕微鏡により目視観測によって、配
向均一性の評価を行った。結果を表17に示す(サンプ
ル1−A、1−B、6−Cについては、実施例6と同
様)。
【0425】
【表17】
【0426】2)M2マージン(M2)の測定 M2マージンの測定方法を説明する。まず、クロスニコ
ルに配置された偏光板間にセルを設置し、図14に示す
駆動波形(Vop=20V、1/3.3バイアス、1/
1000デューティー)を用いて、M2マージンの測定
を行った。印加パルス波形の長さΔtを変化させながら
暗状態と明状態をそれぞれ書き込み、明、暗それぞれの
状態を書き込める印加パルス波形の長さΔtの範囲が図
15の様になった場合、M2=(Δt2−Δt1)/
(Δt2+Δt1)である。
【0427】上記素子サンプル1−A、1−B、7−D
について温度を数点振ってM2マージンの測定を行った
(サンプル1−A、1−B、6−Cについては実施例6
等と同様)。
【0428】以上の結果を下記表18に示す。
【0429】なお、素子1−Bについては正常にスイッ
チングする領域のみのM2マージンを評価した。
【0430】
【表18】
【0431】この結果から、サンプル1−Aについて
は、室温以上におけるM2マージンは大きいものの、低
温側での駆動マージンが著しく悪くなっていることがわ
かる。これは低温側での反電場の影響によるものと予測
される。一方、配向性の悪い素子サンプル1−Bに関し
ては、全体としてM2マージンの値は小さいものの、素
子サンプル1−Bは素子Aと比較して配向膜厚が薄く配
向制御層の電気容量が大きいため、低温側でのマージン
の減少量が小さくなっている。一方、素子サンプル7−
Dは有効スイッチング領域の絶縁層厚が薄いため配向制
御層の電気容量が大きく、低温側でのマージンの減少量
が小さくなっている。
【0432】3)表示焼き付きの評価 素子サンプル1−A、7−Dについて、図13に示す駆
動波形を用いて、黒、白表示のストライプパターンを表
示させ、30℃にて1000時間連続して同一のパター
ンを表示させた後に、上記2)と同様の方法及び条件に
よりセル全体が白、黒書き分けられる駆動条件(M2マ
ージン)の測定を行った(サンプル1−A、6−Cつい
ては、実施例3での評価と同様)。この1000時間後
のM2マージンの値と焼き付き実験前(同一パターン表
示前)のM2マージンの値との比をとって、1000時
間後のマージン保存率とした。尚、この保存率の測定温
度は30℃とした。結果を下記表19に示す。
【0433】
【表19】
【0434】以上の結果より、マージン保存率は、実駆
動領域でのポリイミドの膜厚が小さくなるに従って向上
する傾向にあり、また導電性の付与された酸化物微粒子
からなる層を含むサンプル7−Dについては、実駆動領
域で液晶に接する面の微少な表面凹凸の効果により非常
に高いマージン保持率を得ることができることが明らか
である。
【0435】以上の結果より、配向規制力の非常に強い
領域及び配向規制力は弱いものの配向膜厚を非常に薄く
することによって反電場の影響を減少させた領域とを混
在させることによって、均一な配構成と良好な駆動マー
ジン特性を両立させることが出来ることがわかった。
【0436】(実施例8)本実施例で使用するセル(単
純マトリクスタイプのセル)を以下の如く作製した。
【0437】セル8−D 実施例4におけるセル4−Bの作製において、一方の基
板のポリイミド膜の厚みを2nmとすることを除いて他
の条件は同様にして、マトリクス電極構造を有するセル
(空セル)を作製した。当該セルにおける実駆動領域
(両基板の電極の交差する部分)における絶縁膜(シリ
カ層とポリイミド膜)の合計膜厚は8nmであった。
【0438】8−F ここでは、概略図17に示す断面構造のセル(空セル)
を作製した。
【0439】透明電極としてストライプパターンのIT
O膜(膜厚約70nm、1ラインの幅16μm、隣接ラ
イン間の間隔4μm)が形成された形成した1.1mm
厚の一対のガラス基板を用意した。
【0440】このガラス基板の一方に、ゾルゲルタイプ
のシリカのエタノール溶液をスピンコート法により塗布
し、その後、80℃5分間の前乾燥を行った後、200
℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚は3nmのシリカ層を得
た。該シリカ層上に、実施例4のセル4−Bで用いたも
のと同様のポリイミド(前駆体)をスピンコート法によ
り塗布し、その後、80℃、5分間の前乾燥を行った
後、200℃で1時間加熱焼成を施し膜厚50nmのポ
リイミド被膜を得た。
【0441】次いで、上記ポリイミド膜上に、ポジレジ
スト(東京応化 OFPR−800)を約2μm厚とな
るようスピンコートした。その後、80℃、30分間の
前乾燥を行った後、マスク幅4μm、間隔16μmのス
トライプ状のマスクパターンを用いて、UV(λ=36
5nm)にて16秒間露光した。この時マスクパターン
を、マスク部分が当該基板のITO膜パターンのライン
間に対応するように配置した。その後、有機系現像液
(ジプレー社製 MFCD−26)を用いて現像し、流
水洗浄を3分間行った後、100℃、10分間の乾燥を
行い、ITO膜パターンのライン間に対応したレジスト
膜パターンを得た。続いて、低温水銀ランプを用い、基
板温度を60℃に保ち、波長254nmにおける光エネ
ルギー量が8J/cm2 となるUV強度にてUVアッシ
ング処理を行って、レジスト膜のない部分のポリイミド
を除去した。次いで、剥離液(ナガセ産業社製 レジス
トストリップN−320)を用いレジスト膜パターンを
剥離した後、流水洗浄し基板を乾燥させた。こうして、
基板上に、ITO膜のライン間に対応してストライプ状
のポリイミド膜が50nm存在する部分(幅4μm、図
17の層15aに相当)と、ITO膜のラインに対応し
て膜厚約2nmで存在する部分(幅16μm、図17の
層17aに相当)からなるポリイミド膜パターンを得
た。
【0442】続いて、当該基板上のポリイミド膜パター
ンに対して、実施例1のセル1−Aの場合と同様の方法
及び条件により一軸配向処理としてラビング処理を施し
た。ラビング処理の方向は、ポリイミド膜のストライプ
方向と垂直な方向に設定した。
【0443】他方のガラス基板に、ゾルゲルタイプのシ
リカのエタノール溶液をスピンコート法により塗布し、
膜厚3nmのシリカ層を得た。
【0444】このように作製されたセルにおける実駆動
領域(両基板の電極の交差する部分)における絶縁膜
(シリカ層とポリイミド膜)の合計膜厚は8nmであっ
た。
【0445】続いて一方の基板(ポリイミドを塗布した
側の基板)上にスペーサーとして、平均粒径2.0μm
のシリカビーズを散布し、他方の基板を、各基板の電極
が直交しマトリックス電極配置(図11に示すような配
置)となるように重ね合わせ、概略図17に示すような
断面構造のセル(空セル)を作製した。
【0446】尚、セル8−Fのサイズは2.5cm×
3.5cmとした(ポリイミド膜のラインと一致するI
TO膜のストライプ方向での辺を2.5cmとする)。
【0447】セル8−G 透明電極としてストライプパターンのITO膜(膜厚約
70nm、1ラインの幅16μm、隣接ライン間の間隔
4μm)が形成された形成した1.1mm厚の一対のガ
ラス基板を用意した。
【0448】このガラス基板の一方に、ゾルゲルタイプ
のシリカのエタノール溶液をスピンコート法により塗布
し、その後、80℃5分間の前乾燥を行った後、200
℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚は3nmのシリカ層を得
た。該シリカ層上に、実施例4のセル4−Bで用いたも
のと同様のポリイミド(前駆体)をスピンコート法によ
り塗布し、その後、80℃、5分間の前乾燥を行った
後、300℃で1時間加熱焼成を施し膜厚50nmのポ
リイミド被膜を得た。
【0449】次いで、上記ポリイミド膜上に、ポジレジ
スト(東京応化 OFPR−800)を約2μm厚とな
るようスピンコートした。その後、80℃、30分間の
前乾燥を行った後、マスク幅4μm、間隔16のマスク
パターンを用いて、UV(λ=365nm)にて16秒
間露光した。その後、有機系現像液(ジプレー社製MF
CD−26)を用いて現像し、流水洗浄を3分間行った
後、100℃、10分間の乾燥を行い、ITO膜パター
ンのライン間に対応したストライプ状レジスト膜パター
ンを得た。続いて、低温水銀ランプを用い、基板温度を
60℃に保ち、波長254nmにおける光エネルギー量
が12J/cm2 となるUV強度にてUVアッシング処
理を行って、レジスト膜のない部分のポリイミドを除去
した。次いで、剥離液(ナガセ産業社製 レジストスト
リップN−320)を用いレジスト膜パターンを剥離し
た後、流水洗浄し基板を乾燥させた。こうして、基板上
に、ITO膜のライン間に対応してストライプ状のポリ
イミド膜が50nm存在する部分と(幅4μm)、IT
O膜のラインに対応した部分ではポリイミド膜が存在し
ない部分(幅16μm)からなるポリイミド膜パターン
を得た。
【0450】続いて、当該基板上のポリイミド膜パター
ンに対して、実施例1のセル1−Aの場合と同様の方法
及び条件により一軸配向処理としてラビング処理を施し
た。ラビング処理の方向は、ポリイミド膜のストライプ
方向と垂直な方向に設定した。
【0451】他方のガラス基板には、ゾルゲルタイプの
シリカのエタノール溶液をスピンコート法により塗布
し、その後、80℃5分間の前乾燥を行った後、200
℃1時間加熱乾燥を施し、膜厚は3nmのシリカ層を得
た。該シリカ層上に、実施例1のセル1−Aで用いたも
のと同様のポリイミド(前駆体)をスピンコート法によ
り塗布し、その後、80℃、5分間の前乾燥を行った
後、300℃で1時間加熱焼成を施し膜厚50nmのポ
リイミド被膜を得た。
【0452】次いで、上記ポリイミド膜上に、ポジレジ
スト(東京応化 OFPR−800)を約2μm厚とな
るようスピンコートした。その後、80℃、30分間の
前乾燥を行った後、マスク幅4μm、間隔16μmのマ
スクパターンを用いて、UV(λ=365nm)にて1
6秒間露光した。その後、有機系現像液(ジプレー社製
MFCD−26)を用いて現像し、流水洗浄を3分間
行った後、100℃、10分間の乾燥を行い、ITO膜
パターンのライン間に対応したストライプ状のレジスト
膜パターンを得た。続いて、低温水銀ランプを用い、基
板温度を60℃に保ち、波長254nmにおける光エネ
ルギー量が6J/cm2 となるUV強度にてUVアッシ
ング処理を行って、レジスト膜のない部分のポリイミド
を除去した。次いで、剥離液(ナガセ産業社製 レジス
トストリップN−320)を用いレジスト膜パターンを
剥離した後、流水洗浄し基板を乾燥させた。こうして、
基板上に、ITO膜のライン間に対応してストライプ状
のポリイミド膜が50nm存在する部分(幅4μm)
と、ITO膜のラインに対応して膜厚約2nmで存在す
る部分(幅16μm)からなるポリイミド膜パターンを
得た。
【0453】続いて、当該基板上のポリイミド膜パター
ンに対して、実施例1のセル1−Aの場合と同様の方法
及び条件により一軸配向処理としてラビング処理を施し
た。ラビング処理の方向は、ポリイミド膜のストライプ
方向と平行な方向に設定した。
【0454】続いて一方の基板上にスペーサーとして、
平均粒径2.0μmのシリカビーズを散布し、他方の基
板を、各基板の電極が直交しマトリックス電極配置(図
11に示すような配置)となるように重ね合わせ、実駆
動領域でのポリイミド膜の存在を除いて概略図9に示す
ような断面構造のセル(空セル)を作製した。
【0455】尚、セル8−Gのサイズは2.5cm×
3.5cmとした。
【0456】上述したプロセスで作製した各セル8−
D、8−F、8−G及び前述の実施例で作製した1−
A、1−B、4−B、6−Cに液晶組成物LC−1を等
方相の温度にて注入し、液晶をカイラルスメクチック液
晶相を示す温度まで冷却し、双安定性を示すカイラルス
メクチック液晶素子サンプルを作製した。この冷却の過
程を偏光顕微鏡内で観察したところ、セル6−C、8−
F、8−Gでは、スメクチックA相への転移温度付近か
ら図3に示すようなバトネの発生、成長による配向状態
の形成過程が観察された。
【0457】尚、各セルの液晶と接する面を構成するポ
リシロキサン、ポリイミドの表面の表面電位について
は、実施例4で測定した結果を参照する方法により測定
した。
【0458】1)配向均一性の評価 液晶素子に電圧を印加して、カイラルスメクチック液晶
を一方の状態にスイッチングさせ、クロスニコル下で偏
光顕微鏡による目視観測によって、配向均一性の評価を
行った。サンプル1−B、8−Dでは視野内の約半分が
フォーカルコニック状態であったが、他のサンプルでは
全面均一であった全面均一な配向状態が得られた。
【0459】2)徐冷後の分子位置の評価 偏光顕微鏡による目視観測によって、SmA相からSm
* 相へと徐冷した直後の分子位置の評価を行った(セ
ル1−A,4−B,6−C,8−F,8−Gについ
て)。このときクロスニコル下での偏光顕微鏡観測時に
層法線方向(ラビング処理)から反時計周りに傾いた分
子位置を第一の安定状態(S1)、時計周りに傾いた分
子位置を第二の安定状態(S2)と定義した。尚、セル
6−C及び8−Fでは、ポリイミド膜パターンが設けら
れた基板を上側(観察者側)に配置した。結果を下記表
20に示す。
【0460】
【表20】
【0461】3)M2マージン(M2)の測定 M2マージンの測定方法を説明する。まず、クロスニコ
ルに配置された偏光板間にセルを設置し、図13に示す
駆動波形(Vop=20V、1/3.3バイアス、1/
1000デューティー)を用いて、M2マージンの測定
を行った。印加パルス波形の長さΔtを変化させながら
暗状態(黒表示)と明状態(白表示)をそれぞれ書き込
み、明、暗それぞれの状態を書き込める印加パルス波形
の長さΔtの範囲が図15の様になった場合において駆
動マージンパラメータをM2=(Δt4−Δt1)/
(Δt4+Δt1)として上記サンプルについて温度を
数点振ってM2マージンを評価した。
【0462】結果を下記表21に示す。
【0463】
【表21】
【0464】この結果から、素子1−Aについては、室
温以上におけるM2マージンは大きいものの、低温側で
の駆動マージンが著しく悪くなっていることがわかる。
これは低温側での反電場の影響によるものと予測され
る。一方、配向性の悪い素子1−Bに関しては、全体と
してM2マージンの値は小さいものの、素子1−Bは素
子1−Aと比較して配向膜厚が薄く配向制御層の電気容
量が大きいため、低温側でのマージンの減少量が小さく
なっている。一方、素子6−C、8−Gは有効スイッチ
ング領域の配向制御層の電気容量が大きく、低温側での
マージンの減少量が小さくなっている。また配向膜厚が
薄いため反電場の影響が少なく、低温側でのM2マージ
ンの減少量が小さくなっている。また、実駆動領域中に
配向膜LP64が存在している素子4−B、8−D、8
−Fについては双安定性が崩れており(一方にのみ安定
な単安定状態となっており)、十分スイッチングさせる
ことが出来なかった。
【0465】4)コントラスト(C/R)の測定 コントラストの測定方法を説明する。まず、クロスニコ
ルに配置された偏光板間に液晶が注入されたセルを設置
し、図14に示す駆動波形(Vop=20V、1/3.
3バイアス、1/1000デューティー)を用いて、3
0℃におけるコントラストの測定を行った。このとき印
加パルス波形の長さΔtを変化させながら暗状態と明状
態をそれぞれ書き込み、明、暗それぞれの状態を書き込
める印加パルス波形の長さΔtの範囲が図15の様にな
った場合、その書き込み可能最小パルス幅(Δt1)に
おいて明暗それぞれについてフォトマルによる透過光量
の測定を行い、それらの比をとってコントラストとし
た。尚、偏光板に対するセルの設置角度は電界無印加時
に実駆動領域において暗状態が最暗となる位置にあわせ
た。また、透過光量の測定範囲は約100μm×約10
0μmとし、画素間部分(電極が互いに交差する実駆動
領域間の部分)の透過光量も含むようにした。
【0466】配向性の関係でサンプル1−A、6−C、
8−Gについてコントラストの測定が可能であった。結
果を下記表21に示す。
【0467】
【表22】
【0468】素子1−A、6−Cについては画素間部分
がほぼ双安定性であることから白ドメイン及び黒ドメイ
ンがほぼ同じ面積比で振り分けられており、白ドメイン
部分は画素間に存在しているため外部からの電界にも応
答せず光漏れが生じている。その結果コントラストが非
常に小さくなってしまっている。一方、素子8−Gは画
素間部分の上下基板の表面電位が釣り合っていないため
画素間部分のみが非対称となっている。そのため画素間
の分子位置は一方向に揃っており、この分子位置がクロ
スニコル下において遮光状態となるようセルを設置した
ため、画素間部分からの光漏れのない、コントラストが
十分取れた素子を得ることができる。
【0469】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によれば
配向均一性及び駆動特性が共に向上した液晶素子、特に
カイラルスメクチック液晶を用いた液晶素子であって、
スメチック液晶相の配向性が均一であり、駆動マージン
の温度依存性が低減されあるいは高速応答性が実現され
た液晶素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様にかかる液晶素子に用いる
基板の構造を示す平面図。
【図2】本発明の第一の実施態様にかかる液晶素子の構
造を示す断面図。
【図3】(A)〜(C):本発明の液晶素子における液
晶の配向状態の形成過程の一例を模式的に示す図。
【図4】(A)〜(C):本発明の液晶素子における液
晶の配向状態の形成過程の他の例を模式的に示す図。
【図5】(A)〜(C):本発明の液晶素子における液
晶の配向状態の形成過程の更に他の例を模式的に示す
図。
【図6】本発明の第四の実施態様にかかる液晶素子の構
造を示す断面図。
【図7】本発明の第五の実施態様にかかる液晶素子の構
造を示す断面図。
【図8】図7に示す基板(12a)側での配向制御層と
電極の位置関係を示す図。
【図9】本発明の第六の実施態様にかかる液晶素子の構
造を示す断面図。
【図10】図9に示す基板(12a)側での配向制御層
と電極の位置関係を示す図。
【図11】本発明の液晶素子の実施態様における電極構
造の一例を示す図。
【図12】本発明の液晶素子に適用される単純マトリッ
クス駆動法の一例を示す図。
【図13】本発明の液晶素子に適用される単純マトリッ
クス駆動法の一例を示す図。
【図14】図12、13に示す駆動法を用いた際におけ
る、パルス幅と液晶の透過率の関係を示す図。
【図15】カイラルスメクチック液晶を用いた、図14
に示す特性を持つ素子における。駆動マージンを説明す
るための図。
【図16】本発明の液晶素子の配向状態の一例を模式的
に示す図。
【図17】本発明の第二の実施形態にかかる液晶素子の
構造を示す断面図。
【図18】本発明の第三の実施形態にかかる液晶素子の
構造を示す断面図。
【図19】本発明の液晶素子に用いるアクティブマトリ
クス基板の平面構造の一例を模式的に示す図。
【図20】本発明の液晶素子のアクティブマトリクスタ
イプの構造例を示す断面図。
【図21】図20に示す構造の等価回路を示す回路図。
【図22】本発明の液晶素子のアクティブマトリクスタ
イプの場合における駆動波形並びにこれに対応する透過
率変化を示す図。
【符号の説明】
1 液晶素子 11 液晶 12a,12b 基板 13a,13b 電極 14a,14b 層 15a,15b 配向制御層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 省誠 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 三浦 聖志 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 渡部 泰之 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−148237(JP,A) 特開 昭62−275224(JP,A) 特開 昭62−215237(JP,A) 特開 昭61−241728(JP,A) 特開 昭61−196230(JP,A) 特開 昭60−115915(JP,A) 特開 昭60−114824(JP,A) 特開 平8−240806(JP,A) 特開 平5−296722(JP,A) 特開 平3−280013(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/13 - 1/141

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の基板間に液晶を有し、少なくとも
    一方の基板側に液晶と接し、複数のストライプパターン
    の段差体として選択的に設けられ、該段差体の上面にお
    いて、液晶に対して一軸配向規制力を有する第一の領域
    と、該第一の領域外の該第一の領域に比較して液晶に対
    する一軸配向規制力が弱い又は実質的に一軸配向規制力
    を持たない第二の領域とを有し、該液晶は、基板間にお
    いて降温時に液体相−液晶相の相転移過程で該第一の領
    域に接する部分から液晶相への転移が生じて、該第一の
    領域における一軸配向軸に沿って液晶相転移領域が成長
    し、該第二の領域に連続的に液晶相転移領域が拡大して
    配向状態が形成されたものであることを特徴とする液晶
    素子。
  2. 【請求項2】 前記液晶は液体相−スメクチック液晶相
    の相転移をとるカイラルスメクチック液晶であり、降温
    時に、液晶の相転移過程で前記選択的に設けられた第一
    の領域の基板と実質的に平行面に接する液晶領域から
    スメクチック液晶相への転移が生じて該第一の領域の一
    軸配向軸方向に沿って連続的にスメクチック液晶相転移
    領域が拡大し配向状態が形成されたものであることを特
    徴とする請求項1記載の液晶素子。
  3. 【請求項3】 前記ストライプパターンの長手方向が、
    液晶を構成するスメクチック層の方向である請求項1
    記載の液晶素子。
  4. 【請求項4】 前記ストライプパターンの幅はストライ
    プ間の長さより短い請求項記載の液晶素子。
  5. 【請求項5】 前記ストライプパターンの幅は2〜20
    μmであり、前記ストライプ間の長さは10〜50μm
    であり、前記ストライプパターンの厚さは50〜500
    0Åである請求項4記載の液晶素子。
  6. 【請求項6】 前記第二の領域で液晶と接する層が一軸
    配向規制力を実質的に持たず、該第二の領域の液晶と接
    する部分が、垂直配向材からなる請求項1記載の液晶素
    子。
  7. 【請求項7】 片方の基板には一軸配向規制力を実質的
    に持たない配向制御層が設けられており、該配向制御層
    が全面で液晶に接する請求項1記載の液晶素子。
  8. 【請求項8】 前記選択的に形成された一軸配向規制力
    を有する第一の領域を有する基板において、該第二の領
    域を構成する層が基板全面に設けられ、該第二の領域を
    構成する層上に一軸配向規制力を有する第一の領域を構
    成する配向制御層が選択的に設けられている請求項1記
    載の液晶素子。
  9. 【請求項9】 前記液晶が、フルオロカーボン末端部分
    及び炭化水素部分が中心核によって結合された構造であ
    って、スメクチック中間相又は潜在的スメクチック中間
    相を有するフッ素含有液晶化合物を少なくとも1種を含
    有するカイラルスメクチック液晶組成物である請求項
    記載の液晶素子。
  10. 【請求項10】 前記液晶を有する一対の基板が一対の
    偏光板間に挟持され、液晶素子中を通過する光を変調し
    少なくとも明状態及び暗状態を示し、前記少なくとも一
    方の基板の選択的に設けられた一軸配向規制力を有する
    第一の領域に対応する液晶部分では、暗状態が示される
    ような位置に液晶分子が固定化されていることを特徴と
    する請求項1記載の液晶素子。
  11. 【請求項11】 前記一対の基板の少なくとも一方が複
    数の画素電極及び各画素電極に対応したスイッチング素
    子を備えたアクティブマトリクス基板であり、前記少な
    くとも一方の基板の第一の領域は、少なくとも該スイッ
    チング素子の配列に沿って設けられる請求項1記載の液
    晶素子。
JP21742198A 1997-08-01 1998-07-31 液晶素子 Expired - Fee Related JP3526218B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21742198A JP3526218B2 (ja) 1997-08-01 1998-07-31 液晶素子

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9-207925 1997-08-01
JP9-207924 1997-08-01
JP20792697 1997-08-01
JP20792497 1997-08-01
JP9-207926 1997-08-01
JP20792597 1997-08-01
JP21742198A JP3526218B2 (ja) 1997-08-01 1998-07-31 液晶素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11101993A JPH11101993A (ja) 1999-04-13
JP3526218B2 true JP3526218B2 (ja) 2004-05-10

Family

ID=27476383

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21742198A Expired - Fee Related JP3526218B2 (ja) 1997-08-01 1998-07-31 液晶素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3526218B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000081625A (ja) * 1998-07-01 2000-03-21 Toppan Printing Co Ltd 液晶パネル体用基板及びそれを用いた液晶パネル体
JP3667215B2 (ja) 1999-08-31 2005-07-06 キヤノン株式会社 単結晶性薄膜およびその製造方法
US6407797B1 (en) * 1999-09-16 2002-06-18 Council Of Scientific & Industrial Research Polymer coated long duration optical memory device and a method for the development thereof
JP4606540B2 (ja) * 2000-02-23 2011-01-05 シャープ株式会社 マルチドメイン型液晶表示装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11101993A (ja) 1999-04-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6195147B1 (en) Liquid crystal substrate with optical modulation region having different alignment control forces
US5495352A (en) Liquid crystal display device with stripe-shaped unevennesses on the electrodes
JP3596897B2 (ja) 双安定ネマティック液晶デバイス
JPS60156043A (ja) カイラルスメクティック液晶素子
JPS60220316A (ja) 液晶光学素子
JPH0217007B2 (ja)
US5541747A (en) Electro-optical device utilizing a liquid crystal having a spontaneous polarization
KR100260465B1 (ko) 액정표시장치
JPH11100577A (ja) 液晶の配向方法、液晶素子の製造方法、該製造方法により得られる液晶素子、液晶装置
KR100473874B1 (ko) 액정소자
KR100251216B1 (ko) 강유전성 액정 표시 장치
JP3526218B2 (ja) 液晶素子
US5999157A (en) Suppressing liquid crystal movement based on the relationship between a display pattern and a driving waveform
JPH079508B2 (ja) 液晶表示素子及びその駆動方法
JPH11305234A (ja) 液晶表示素子およびその製造方法
JPH0412458B2 (ja)
JP3180171B2 (ja) 強誘電性液晶素子
JPS6031118A (ja) 光学変調素子およびその製法
JPH0414767B2 (ja)
JPS6345571B2 (ja)
JP2505744B2 (ja) 電極基板及び光学変調素子の製造法
JPH09311315A (ja) 強誘電性液晶素子および強誘電性液晶材料
JP3219709B2 (ja) 液晶素子、液晶装置、及び液晶素子の駆動方法
Campoli et al. Passive matrix SSFLC display with analogue grey levels using PTFE alignment films
JP2000111922A (ja) 液晶素子

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040210

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040212

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080227

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090227

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees