JP3525907B2 - 液晶表示パネルおよびそれを用いたビューファインダおよび投写型表示装置 - Google Patents

液晶表示パネルおよびそれを用いたビューファインダおよび投写型表示装置

Info

Publication number
JP3525907B2
JP3525907B2 JP2001099131A JP2001099131A JP3525907B2 JP 3525907 B2 JP3525907 B2 JP 3525907B2 JP 2001099131 A JP2001099131 A JP 2001099131A JP 2001099131 A JP2001099131 A JP 2001099131A JP 3525907 B2 JP3525907 B2 JP 3525907B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
liquid crystal
display panel
crystal layer
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001099131A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001330823A (ja
Inventor
博司 高原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP2001099131A priority Critical patent/JP3525907B2/ja
Publication of JP2001330823A publication Critical patent/JP2001330823A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3525907B2 publication Critical patent/JP3525907B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として小型の液
晶表示パネルに表示された画像をスクリーン上に拡大投
写する表示装置(以後、投写型表示装置と呼ぶ)、ビデ
オカメラの撮影モニターとして用いる表示装置(以後、
ビューファインダと呼ぶ)と、前記投写型表示装置およ
びビューファインダのライトバルブなどに用いる液晶表
示パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示パネルは軽量、薄型など数多く
の特徴を有するため、研究開発が盛んである。しかし、
大画面化が困難であるなどの問題点も多い。そこで近
年、小型の液晶パネルの表示画像を投写レンズなどによ
り拡大投映し、大画面の表示画像を得る投写型表示装置
がにわかに注目をあつめてきている。現在、商品化され
ている投写型表示装置は液晶の旋光特性を利用したツイ
ストネマティック(以後、TNと呼ぶ)液晶表示パネル
が用いられている。
【0003】以下、従来の液晶表示パネルについて説明
する。ただし、説明に不要な箇所は省略しており、ま
た、図面は理解を容易にするためにモデル的に描いてい
る。以上のことは以後の図面に対しても同様である。
【0004】(図39)は従来の液晶表示パネルの断面
図である。液晶層272にはTN液晶を用いている。T
FT12等が形成されたアレイ基板22と対向電極23
が形成された対向基板21は4〜6μmの間隔で保持さ
れ、両基板間にTN液晶272が注入されている。表示
領域の周辺部は封止樹脂(図示せず)で封止されてい
る。271はクロムなどの金属薄膜で形成されたブラッ
クマトリックス(以降、BMと呼ぶ)であり、遮光機能
を有する。対向電極23および画素電極11はITOな
どの透明物質で形成されており、前記電極上に配向膜2
73が形成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述の説明でも明らか
なように、TN液晶を用いた液晶表示パネルは、偏光板
を用いて入射光を直線偏光にする必要がある。また、液
晶表示パネルの出射側にも液晶表示パネルで変調された
光を検出するため、偏光板を配置する必要がある。つま
り、TN液晶表示パネルの前後には光を直線偏光にする
ための偏光板(以後、偏光子と呼ぶ)と変調された光を
検出するための偏光板(以後、検光子と呼ぶ)の2枚の
偏光板を配置する必要がある。液晶表示パネルの画素開
口率を100%とし、偏光子に入射する光量を1とする
と偏光子より出射する光量は40%、液晶表示パネルの
透過率を100%、検光子の透過率を80%とすれば、
全体としての透過率は0.4×0.8=32%となり、
約30%の光しか有効に利用できない。したがってTN
液晶表示パネルでは低輝度画像表示しか実現できない。
【0006】偏光板等で損失した光はほとんどが偏光板
に吸収されて熱に変換される。熱は偏光板自身および輻
射熱等により液晶表示パネルを加熱する。投写型表示装
置の場合、偏光板に入射する光量は数万ルクス以上とな
る。したがって、投写型表示装置にTN液晶表示パネル
を用いた場合、偏光板およびパネル等は高温状態とな
り、短期間で著しい性能劣化をひきおこす。劣化は特に
表示パネルの偏光子で著しい。
【0007】また、TN液晶表示パネルは配向膜を塗布
し、ラビング処理が必要である。ラビング処理等は工程
数を増加させ、製造コストの増大をひきおこす。また、
近年、投写型表示装置に用いる液晶表示パネルの画素数
は30万画素以上と大容量となり、それにつれ画素サイ
ズは微細化の傾向にある。画素の微細化は信号線、TF
Tの凹凸を多数形成することになり、前記凹凸により良
好にラビング処理を行なえなくなったことは当然であ
る。また、画素サイズの微細化は1つの画素に占めるT
FTおよび信号線の形成面積が大きくなり画素開口率を
低減させる。一例として対角3インチの液晶表示パネル
で35万画素形成した場合、画素開口率は約30%であ
る。アモルファスシリコンでTFTを形成した場合で、
かつ、150万画素形成した場合は20%弱という予測
値もある。これらの画素開口率の低減は表示画像の低輝
度化にとどまらず、入射光開口部以外に照射された光に
より、さらに液晶表示パネルは加熱されることになり前
述の性能劣化を加速する。
【0008】TN液晶は、画素電極に印加した電圧によ
り液晶の配向状態を変化させ光変調を行なう。TN液晶
表示パネルの入射側と出射側にはそれぞれ偏光板が配置
され、前記偏光板の偏光軸は直交させている。入射側の
偏光板(以後、偏光子と呼ぶ)の偏光軸と液晶表示パネ
ルの光入射面の基板の配向軸とは一致もしくは直交させ
ている。一般的にTN液晶表示パネルは電圧印加状態で
黒表示を行えるモード(以後、NWモードと呼ぶ)で使
用する。
【0009】NWモードの液晶表示パネルの表示画像は
色再現性はよいが、課題として、(図41)に示すよう
に画素開口部411の画素周辺部からの光もれ(逆ドメ
イン領域412)がある。これは液晶分子が正規の配向
方向と逆方向に配向することからおきる。この配向状態
を逆チルド・ドメインと呼ぶ。これは画素電極と信号線
間に発生する電界により液晶分子の立ち上がり方向が部
分的に逆になることより生じる。液晶分子の立ち上がり
方向が逆になった部分は電圧が印加されているにもかか
わらず光は出射面の検光子を通過する。つまり光もれが
生じる。正常な液晶の立ち上がり方向であれば光もれは
生じない。
【0010】光もれを防止する方法として対向電極上に
形成するBMの幅を太くする方法がある。つまり、逆ド
メイン領域412をかくすようにBM271を形成す
る。これも、画素閉口面積を低下させることとなり、表
示輝度を低下させることが、有効な方法とは言えない。
【0011】以下のようにTN液晶を用いる液晶表示パ
ネルは、また、画素周辺部に光抜けが発生しやすいた
め、ブラックマトリックスを太くしなければならない。
したがって、光利用率が悪く、表示輝度は低い。ブラッ
クマトリックスに照射された光は液晶パネルを加熱する
ことになり、パネル温度を上昇させ、パネルの寿命を短
くする。
【0012】さらにTN液晶表示パネルの課題として、
光の入射角と表示コントラストが依存するということが
あげられる。これは液晶層272の中の液晶分子が画素
電極11の法線に対し、一定角度で傾いていることから
生じる。液晶分子の傾きと、光の入射角度が一致してお
れば表示コントラストは良好である。しかし、不一致で
あれば表示コントラストは著しく劣化する。この課題
は、TN液晶表示パネルをライトバルブとして用い投写
型表示装置に対して重大である。投写型表示装置では光
学設計の都合上ライトバルブに入射する光の主光線をラ
イトバルブの全領域で一定方向にすることが困難だから
である。たとえば、(図40)に示すようにライトバル
ブ401(TN液晶表示パネル)に入射する光の主光線
はパネル上部と下部で異なる。
【0013】今、液晶層272中の液晶分子の傾きが主
光線cと一致しておれば、ライトバルブの表示領域の下
部の表示コントラストは良好となる。しかし、上部の主
光線aに対しては不一致であり、上部の表示コントラス
トは著しく悪くなる。したがって画面下部から上部に表
示コントラストの劣化が生じる。つまり、画面下部の画
像表示は良好であるが、画面上部は悪い低品位の画像表
示状態となる。この現象は著しく画像表示を低下させ
る。
【0014】また、TN液晶表示パネルに赤・青・緑の
モザイク状のカラーフィルタを配置する場合に課題が生
じる。それはカラーフィルタは樹脂で形成されているた
め、位相差が生じ、偏光状態をくずすためである。つま
り、偏光子を通過した直線偏光はカラーフィルタで一部
がだ円偏光となってしまう。これは、表示コントラスト
を低下させる原因となる。直視型パネルの場合はこの影
響は小さいが、投写型表示装置のライトバルブとして用
いる場合は表示コントラストへの影響が大きい。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の表示パネルは上
記課題を解決するため、光変調層としては主として高分
子分散液晶を用いる。ここで、まず、高分子分散液晶に
ついて簡単に説明をしておく。
【0016】高分子分散液晶は、液晶と高分子(ポリマ
ー)の分散状態によって大きく2つのタイプに分けられ
る。1つは、水滴状の液晶が高分子中に分散しているタ
イプである。液晶は、高分子中に不連続な状態で存在す
る。以後、このような液晶をPDLCと呼び、また、前
記液晶を用いた液晶表示パネルをPD液晶表示パネルと
呼ぶ。もう1つは、液晶層に高分子のネットワークを張
り巡らせたような構造を採るタイプである。ちょうどス
ポンジに液晶を含ませたような格好になる。液晶は、水
滴状とならず連続に存在する。以後、このような液晶を
PNLCと呼び、また、前記液晶を用いた液晶表示パネ
ルをPN液晶表示パネルと呼ぶ。前記2種類の液晶表示
パネルで画像を表示するためには光の散乱・透過を制御
することにより行なう。
【0017】PDLCは、液晶が配向している方向で屈
折率が異なる性質を利用する。電圧を印加していない状
態では、それぞれの水滴状液晶は不規則な方向に配向し
ている。この状態では、高分子と液晶に屈折率の差が生
じ、入射光は散乱する。ここで電圧を印加すると液晶の
配向方向がそろう。液晶が一定方向に配向したときの屈
折率をあらかじめ高分子の屈折率と合わせておくと、入
射光は散乱せずに透過する。
【0018】これに対して、PNLCは液晶分子の配向
の不規則さそのものを使う。不規則な配向状態、つまり
電圧を印加していない状態では入射した光は散乱する。
一方、電圧を印加し配列状態を規則的にすると光は透過
する。
【0019】なお、前述のPDLCおよびPNLCの液
晶の動きの説明はあくまでもモデル的な考え方である。
本発明においてはPD液晶表示パネルとPN液晶表示パ
ネルのうち一方に限定するものではないが、説明を容易
にするためPD液晶表示パネルを例にあげて説明する。
また、PDLCおよびPNLCを総称してPD液晶と呼
ぶ。以下の説明では光変調層としてPD液晶を例にあげ
て説明していく。
【0020】(図37(a)(b))はPD液晶の動作
の説明図である。画素電極11には薄膜トランジスタ
(図示せず)等が接続され、TFTのオン、オフにより
画素電極11に電圧が印加されて、画素電極11上の液
晶配向方向を可変させて光を変調する。(図39
(a))に示すように電圧を印加していない状態では、
それぞれの水滴状液晶31中の液晶分子は不規則な方向
に配向している。この状態ではポリマー32と水滴状液
晶31との間に屈折率差が生じ、入射光は散乱する。こ
こで(図37(b))に示すように画素電極14に電圧
を印加すると液晶分子の方向がそろう。液晶分子が一定
方向に配向したときの屈折率をあらかじめポリマー32
の屈折率npと合わせておくと、入射光は散乱せずにア
レイ基板22より出射する。
【0021】PD液晶はTN液晶のように配向膜273
が不要であるため、当然のことながら配向不良が生じな
い。また、基本的には、偏光板等を用いずとも光変調を
行なえるため、光利用率が高く、表示輝度を高くでき
る。なお、説明を容易にするため、光変調層はPD液晶
として説明をするが、これに限定するものではない。
【0022】本発明の表示パネルは、主として(図1)
(図2)に示すようにマトリックス状に配置された画素
電極11と、前記画素電極11に信号を印加するスイッ
チング素子としてのTFT12と、前記TFT12を動
作状態にする信号(以後、オン信号と呼ぶ)および非動
作状態にする信号(以後、オフ信号と呼ぶ)を伝達する
ゲート信号線13と、前記画素電極11に印加する映像
信号を伝達するソース信号線14とが形成されたアレイ
基板22と、対向電極23が形成された対向基板21
と、前記アレイ基板22と対向基板21間に持された
光散乱状態の変化として光学像を形成するPD液晶層2
4と、前記ソース信号線14に隣接し、かつ、前記画素
電極11の周辺部に形成された遮光膜15とを具備し、
前記画素電極11と前記ゲート信号線13とが絶縁膜2
5を介して積層されているものである。
【0023】画素電極11とソース信号線14等間に電
位差があると電気力線(横電界)が発生し、前記電気力
線に沿って液晶分子が配向する。そのため、信号線と隣
接した画素電極11の周辺部で光抜けが生じる。本発明
では画素電極11周辺部に遮光膜15を形成しているた
め、液晶の配向による光抜けが発生しにくく、したがっ
て、表示コントラストを良好にできる。
【0024】本発明の表示パネルは、主として(図1
0)(図11)に示すようにアレイ基板22と対向基板
21との間にPD液晶層24を持させたものであり、
ゲート信号線13の一部が、前記ソース信号線14と隣
接するよう延長されている。また、前記画素電極11と
前記第ゲート信号線13および前記ゲート信号線13の
一部とが絶縁膜25を介して積層されている。
【0025】上記の表示パネルは、画素電極11周辺部
に遮光膜15を形成し、光抜けを防止するものであっ
た。本発明の表示パネルでは、ゲート信号線13の一部
をソース信号線14に近接して形成し、前記ゲート信号
線の一部を遮光膜としている。また、画素電極11とゲ
ート信号線13(先のゲート信号線の一部を含む)とを
絶縁膜25を介して積層(前段ゲート方式と呼ぶ。(図
4)参照)することにより、画素電極11とゲート信号
線13間に付加コンデンサ44を形成している。
【0026】本発明の表示パネルは、(図7)等に示す
ようにアレイ基板22と対向基板21との間にPD液晶
層24を持させたものであり、前記画素電極11の周
辺部には遮光膜15を形成している。また、アレイ基板
22側と対向基板21側のうち少なくとも一方に偏光板
71もしくは偏光ビームスプリッタを配置している。ま
た、好ましくは、ソース信号線14上には、PD液晶2
4の比誘電率よりも低い比誘電率材料からなる膜185
を形成し、前記膜185により、ソース信号線14から
放射される電界(横電界)をシールドする。さらに、前
段ゲート方式をとることが好ましい。
【0027】透過型PD液晶表示パネルでは、画素電極
11とソース信号線14間に発生する横電界による光抜
けの影響が大きい。前記横電界は一定方向の電気力線で
構成されるため、偏光依存性が生じる。したがって、偏
光依存の発生する方向に偏光板71の偏光軸73を適正
に配置することにより光抜けを防止でき、表示コントラ
ストを向上できる。
【0028】本発明の表示パネルは、アレイ基板22と
対向基板21との間にPD液晶層24を持させたもの
であり、また、対向電極23の電位に対して正極性また
は逆極性の信号を画素電極11に順次印加する駆動手段
(図14参照)と、アレイ基板22側と対向基板21側
のうち少なくとも一方に配置された偏光手段71とを具
備する。前記駆動手段は、マトリックス状に配置された
画素電極11に、一行ごとに極性が異なる第1の状態ま
たは一列ごとに極性が異なる第2の状態となるように、
画素電極11に信号を印加する。また、第1の状態の
は、前記偏光手段71の偏光軸73が第1の信号線の
形成方向と略一致させ、前記第2の状態のときは、前記
偏光手段71の偏光軸73が第2の信号線の形成方向と
略一致させる。
【0029】本発明の表示パネルは、駆動手段により一
行ごと、あるいは一列ごとに極性の異なる信号を画素電
極11に印加する。したがって、液晶表示パネルにおい
て偏光依存が生じる方向は一方向になるもしくは一方で
大きくなる。そこで、偏光依存性が発生する方向に対
し、偏光板71の偏光軸73を適正に配置すれば光抜け
を大幅に減少させることができる。
【0030】本発明の表示パネルは、マトリックス状に
配置された反射電極182および前記反射電極182に
信号を印加するTFT12が形成されたアレイ基板22
と、対向基板21との間にPD液晶層24を持させた
ものである。また、対向電極181の電位に対して正極
性または逆極性の信号を反射電極182に順次印加する
駆動手段および対向基板21側に偏光手段71を配置し
ている。前記反射電極182はTFT12上に形成され
ている。
【0031】前記駆動手段は、マトリックス状に配置さ
れた反射電極182に、一行ごとに極性が異なる第1の
状態または一列ごとに極性が異なる第2の状態となるよ
うに、画素電極に信号を印加する。また、第1の状態の
時は、偏光手段71の偏光軸73がソース信号線13の
形成方向と略一致させ、第2の状態の時は、偏光手段7
1の偏光軸73がゲート信号線14の形成方向と略一致
させる。
【0032】好ましくは、対向基板21には対向電極と
なるITO薄膜181bと誘電体薄膜181a、181
cとが積層されており、前記誘電体薄膜の屈折率は、前
記ITO薄膜181bの屈折率よりも小さく、かつ、前
記PD液晶層24の屈折率よりも大きく、かつ、屈折率
は1.5以上1.8以下とする。さらに、前記誘電体薄
膜181bの光学的膜厚は、λを光の設計主波長とした
とき、略λ/4であり、前記ITO薄膜の光学的膜厚1
81bは、略λ/2とする。
【0033】好ましくは、誘電体薄膜は三酸化二アルミ
ニウム(Al23)、三酸化二イットリウム(Y
23)、一酸化シリコン(SiO)、三酸化タングステ
ン(WO3)、三弗化セリウム(CeF3)、三弗化ラン
タン(LaF3)、三弗化ネオジウム(NdF3)のいず
れかとする。
【0034】本発明の反射型のPD液晶表示パネルで
は、ソース信号線14等の信号線は反射電極182の下
層に形成している。したがって、液晶層24内で発生す
る横電界は主として反射電極182間で生じる。そこ
で、駆動手段を用いて、一行もしくは一列ごとに逆極性
の信号を反射電極182に印加し、偏光依存性の発生す
る方向を一方向にし、かつ、前記偏光依存性の発生方向
と偏光板71等の偏光軸73を適正にすれば、反射電極
181周辺部に発生する正規の表示以外の表示(表示ノ
イズ)を大幅に低減できる。
【0035】本発明の表示パネルは、主として(図1
3)に示すようにアレイ基板22と対向基板21との間
にPD液晶層24を持させたものであり、ソース信号
線14と画素電極11間および画素電極11の周辺部に
遮光膜が形成している。好ましくは、遮光膜131はP
D液晶層24で変調する光を吸収する色素を含有させ
る。遮光膜131は画素電極11の周辺部の光抜けを防
止するとともに、液晶層24内で乱反射する光を吸収し
て、ハレーションを防止し、表示コントラストを向上さ
せる。
【0036】また、本発明の表示パネルでは、主として
(図12)に示すように光抜けが発生する箇所に遮光膜
121を形成している。具体的にはTN液晶表示パネル
で対向電極23上に形成していたBMをアレイ基板22
上に形成した構成である。この構成により、光抜けはな
くなる。また、対向電極23上にBMを形成しないの
で、アレイ基板22と対向基板21間に液晶と未硬化の
樹脂を混合させた液(以後、混合液と呼ぶ)を注入し、
その後紫外線を照射して、樹脂を硬化させ、液晶と樹脂
とを相分離させる際、紫外線は遮光されない。したがっ
て、液晶層24内に未重合の樹脂成分が発生せず、経時
変化に安定な液晶表示パネルを作製できる。
【0037】本発明の表示パネルは、主として(図3
3)に示すようにアレイ基板22と対向基板21との間
にPD液晶層24を持させたものであり、画素電極1
1の周辺部に第1の遮光膜15が形成され、また、画素
電極11とソース信号線14間位置と対面する対向基板
23上に第2の遮光膜121(BM)が形成されてい
る。好ましくは、遮光膜15および121はPD液晶層
24で変調する光を吸収する色素を含有させる。
【0038】ソース信号線14は金属薄膜で形成されて
いるため、紫外線を透過しない。液晶と樹脂とを重合さ
せるとき、紫外線が照射されない箇所は未重合で残り安
定性が悪くなる。画素電極11とソース信号線14間は
横電界による光抜けが発生する。そこで、ソース信号線
14に対向する対向電極23上にはBMを形成しない。
しかし、画素電極11と信号線間に対向する対向電極上
にはBM121を形成する。また、対向基板21とアレ
イ基板22との貼りあわせずれによる影響を防止するた
め、画素電極11の周辺部には遮光膜15を形成して貼
りあわせずれが多少生じても光もれが発生しないように
する。
【0039】以上のように構成すれば、液晶層24内で
未重合で残る樹脂成分がなくなり、パネルの安定性(経
時変化)が良好になる。また、画素電極11周辺部の光
抜けはなくなり表示コントラストも良好となる。その
上、対向基板21とアレイ基板22との貼り合わせがラ
フでもよいという製造上の利点もある。
【0040】本発明の表示パネルは、主として(図5
6)に示すようにマトリックス状に配置された画素電極
11が形成されたアレイ基板22と、対向基板21との
間にPD液晶層24を持させたものであり、かつ、ゲ
ート信号線13とソース信号線14上のうち少なくとも
一方に、前記PD液晶層24の比誘電率よりも低い誘電
率材料で形成された誘電体柱562と、前記誘電体柱5
62上もしくは前記誘電体柱562と相対面する対向電
極23上に形成されたBM561とを具備するものであ
る。
【0041】誘電体柱562はソース信号線14等から
発生する電気力線を防止し、また、隣接した画素電極1
1間で電磁的結合を生じるのを防止するため、横電界が
なくなり、画素電極11の周辺部からの光抜けがなくな
る。また、誘電体柱は液晶層24の膜厚を一定に保つス
ペーサとして機能する。さらにBM561は遮光効果を
示す。
【0042】本発明の表示パネルは、主として(図5
7)に示すようにマトリックス状に配置された画素電極
11が形成されたアレイ基板22と、対向基板21との
間にPD液晶層24を持させたものであり、かつ、ゲ
ート信号線13とソース信号線14上のうち少なくとも
一方に、絶縁材料で形成された絶縁柱571とを具備
し、前記絶縁柱571は、PD液晶層24で変調する光
を吸収する色素を含有しているものである。
【0043】絶縁柱571は液晶層24を一定の膜厚と
して保つスペーサとして機能する。また、液晶層24内
で発生するハレーションを防止することから表示コント
ラストを良好に保つ。
【0044】本発明の表示パネルは、主として(図6
1)に示すようにマトリックス状に配置された反射電極
182が形成されたアレイ基板22と、対向基板21と
の間にPD液晶層24を持させたものであり、前記反
射電極182上に形成されたカラーフィルタ612と、
前記対向基板21上に形成された誘電体薄膜611とを
具備し、前記誘電体薄膜611は反射電極182に対応
してパターニングされているものである。
【0045】誘電体薄膜611はTiO2またはSiO
からなり、紫外線を吸収する。そのため液晶表示パネル
の製造時、紫外線を照射して液晶層24のポリマー成分
を重合させる際、各画素ごとに紫外線の照射量を異なら
せることができる。紫外線の照射量(強度)が異なれば
水滴状液晶31の平均粒子径が異なって形成される。強
度が弱いと大きく、強いと小さくなる。平均粒子径と入
射光の波長に対する散乱特性とは相関がある。短波長ほ
ど平均粒子径が小さい方が散乱特性が良好となり、長波
長ほど平均粒子径が大きいほど良好となる。本発明の表
示パネルではカラーフィルタの色にあわせて平均粒子径
を最適に形成しているため表示コントラストはすこぶる
良好である。
【0046】本発明の表示パネルは、主として(図5
7)に示すようにマトリックス状に配置された透過型の
画素電極11が形成されたアレイ基板22と、対向基板
21との間にPD液晶層24を持させたものであり、
前記画素電極11または対向電極23に形成されたカラ
ーフィルタ612と、カラーフィルタ612が形成され
ていない方の電極に形成された誘電体薄膜611とを具
備し、前記誘電体薄膜611は画素電極に対応してパタ
ーニングされているものである。
【0047】誘電体薄膜611はTiO2またはSiO
からなり、紫外線を吸収する。そのため液晶表示パネル
の製造時、紫外線を照射して液晶層24のポリマー成分
を重合させる際、各画素ごとに紫外線の照射量を異なら
せることができる。紫外線の照射量(強度)が異なれば
水滴状液晶31の平均粒子径が異なって形成される。強
度が弱いと大きく、強いと小さくなる。平均粒子径と入
射光の波長に対する散乱特性とは相関がある。短波長ほ
ど平均粒子径が小さい方が散乱特性が良好となり、長波
長ほど平均粒子径が大きいほど良好となる。本発明の表
示パネルではカラーフィルタの色にあわせて平均粒子径
を最適に形成しているため表示コントラストはすこぶる
良好である。
【0048】なお、誘電体薄膜611は、可視光よりも
紫外線を吸収し、前記誘電体薄膜611は、カラーフィ
ルタ612の色に対応して膜厚が規定されている。ま
た、PD液晶の液晶の平均粒子径またはポリマーネット
ワークの平均孔径が、カラーフィルタ612の色に対応
して所定の径に形成されている。
【0049】なお、本発明の表示パネルにおいて、TF
T12上には液晶層内で散乱した光がTFT12に入射
し、前記TFT12にホトコンダクタ現象が発生するの
を防止するために、好ましくは遮光膜を形成する。ま
た、PD液晶層の膜厚は5μm以上25μm以下であ
り、かつ、PD液晶層の水滴状液晶31の平均粒子径も
しくはポリマーネットワークの平均孔径が0.5μm以
上3μm以下にする。
【0050】以上のように本発明の表示パネルは画素電
極の周辺部の光抜けを防止し、また、最適な散乱特性を
確保し、表示コントラストを良好にするものである。
【0051】本発明の表示装置は、(図32)に示すよ
うに主としてビデオカメラ等のビューファインダとして
用いるものである。光発生手段としての豆球状の発光ラ
ンプ251と、前記ランプ251から放射される光を略
平行光に変換する集光手段としての平凸レンズ253
と、前記平凸レンズ253からの出射光を変調する本発
明の表示パネル254と、前記表示パネル254の光学
像を拡大し、かつ拡大した光学像を観察者に見えるよう
にする拡大レンズ256とを具備するものである。ま
た、ランプ251から放射された前記平凸レンズ253
の有効領域に入射し、表示パネル254を直進する光が
観察者の瞳に到達するようしている。
【0052】好ましくは、平凸レンズ253の平面部を
ランプ側に向けて配置する。
【0053】本発明のビューファインダでは光源の大き
さが小さくてすむため、光源の消費電力が従来の蛍光管
などを用いた面発光方式に比較して小さくなる。また、
ビューファインダ全体を小型化することが可能である。
また、偏光板71を用いずに構成すれば、これにより光
利用率は高くなるので消費電力はさらに低減させること
ができる。
【0054】本発明の表示装置はプロジェクションテレ
ビ等の投写型表示装置であり、光発生手段としてのメタ
ルハライドランプ等の放電ランプと、本発明の表示パネ
ルと、前記表示パネルで変調された光を投写する投写手
段としての投写レンズ等を具備するものである。
【0055】本発明の投写型表示装置は、本発明の表示
パネルをライトバルブとして用いて構成したものであ
る。メタルハライドランプなどの光発生源と前記光発生
源が放射する光を表示パネルに導くレンズ等の光学系お
よび表示パネルで変調された光を投映する投写レンズ系
を具備している。
【0056】本発明の表示装置は先の光発生手段として
のメタルハライドランプ等の放電ランプと、本発明の表
示パネルと、前記表示パネルで変調された光を投写する
投写手段としての投写レンズ等を具備する表示装置に、
さらに加えて、前記光発生源が発生する白色光をダイク
ロイックミラーあるいはダイクロイックプリズムを用い
て、B光、R光およびG光の3原色の光路に分離する色
分離光学系を具備し、それぞれの光路に本発明の表示パ
ネルがライトバルブとして配置されている。3つの表示
パネルで変調された光学像は投写レンズを用いてスクリ
ーン上で重ね合わされカラー画像が表示される。
【0057】上記本発明の表示装置において光学像を拡
大投影する投写レンズのF値は5以上であり、前記投写
レンズの光集光角と、表示パネルに入射する光の広がり
角は略一致させることが好ましい。
【0058】本発明の表示装置は、(図22)に示すよ
うに本発明の反射型の表示パネルを用いて構成すること
もできる。その場合は光発生手段としてのメタルハライ
ドランプ等の放電ランプ201aと、放電ランプ201
aから放射される光を反射して、赤色、緑色、青色の光
路に分離する誘電体多層膜からなる光反射面を有する光
反射素子223と、前記光反射素子223で反射した光
を変調する本発明の反射型の表示パネルと、前記表示パ
ネルで変調された光を拡大投映する投写レンズ221と
で構成する。
【0059】PD液晶表示パネルが反射型であるので、
2枚あるいは3枚の光反射素子(具体的にはダイクロイ
ックミラー)で色合成分離系を構成できる。したがっ
て、光学系を大幅に小型化でき、また、コストも安くす
ることができる。また、反射型のPD液晶表示パネル
は、画素開口率も高いので高輝度表示を行うことができ
る。その上、PD液晶表示パネルの裏面には障害物がな
いのでパネル冷却が容易である。たとえば、裏面からの
強制空冷、液冷を容易に行え、また、裏面にヒートシン
ク等も取り付けることができる。
【0060】本発明の表示装置は、放電ランプを有する
光発生手段と、前記光発生手段から放射される光を複数
の波長の光路に分離する第1のダイクイックミラーまた
はダイクロイックプリズムと、前記分離された複数の光
路に配置された本発明の表示パネルと、前記複数の表示
パネルで変調された光を一つの光路に合成する第2のダ
イクロイックミラーまたはダイクロイックプリズムと、
前記合成された光路の光を拡大投映する投写レンズとを
具備するものである。また、表示パネルの偏光軸は、P
偏光軸と略一致させている。
【0061】このダイクロイックミラーまたはダイクロ
イックプリズムの光分離面には、屈折率の異なる透明誘
電体膜が光の波長程度の膜厚で透明板またはプリズム面
に積層されている。前記積層された透明誘電体薄膜によ
り、ほとんど光吸収損失を受けることなく、光の多重干
渉現象により任意の波長で透過波長域と反射波長域とに
分光する機能を有する。このような光学多層膜は、光分
離面に入射する入射光の入射角αがゼロから増加するに
従い、P偏光とS偏光に対応した分光特性の相違が顕著
となることが知られている。そこで、本発明の表示装置
では偏光板の偏光軸と帯域の狭い偏光に一致させること
により、先鋭な色分離特性が得られるように構成してい
る。そのため、投写画像の色相はよいものが得られる。
【0062】本発明の表示装置は、(図23)で示すよ
うに赤色光、緑色光、青色光の3原色含む光を放射す
る光発生手段201と、前記光発生手段201から放射
される光を複数の波長帯域の光路に分離するダイクロイ
ックプリズム234と、前記ダイクロイックプリズムに
接着された本発明の表示パネル226と、前記表示パネ
ル226で変調された光を投映する投写レンズ221と
を具備するものである。
【0063】また、光路ごとに前記表示パネル226が
配置され、表示パネル226は前記光路の光を変調し、
前記ダイクロイックプリズム234の無効面に光吸収膜
241を形成している。
【0064】上記発明の表示装置では、色分離色合成
を行なうダイクロイックプリズム234とPD液晶パネ
ル226を接着し、かつ、前記ダイクロイックプリズム
234の無効面(入射光および出射光の経路とならない
面および領域)に光吸収膜241を形成している。した
がって、PD液晶パネル226で散乱した光が再び液晶
層にもどり2次散乱が発生することがないため、表示コ
ントラストを向上でき、かつ、システムサイズの超小型
化を実現できる。
【0065】本発明の表示装置は、主として(図25)
に示すように発光体を有する光発生手段206と、本発
明の表示パネル204と、前記表示パネル204で変調
された光を拡大投映する投写レンズ251と、前記表示
パネル204の光入射側に配置される第1の絞り手段2
56と、前記表示パネル204の光出射側に配置される
第2の絞り手段258と、複数の入力部収束レンズ25
9を二次元状に配列してなる入力部収束レンズアレイ2
54と、前記複数の入力部収束レンズ259と同数で対
を成す複数の中央部収束レンズ260を二次元状に配列
してなる中央部収束レンズアレイ255と、出力部収束
レンズ257とを具備する。
【0066】前記光発生手段206から出射する光は、
前記入力部収束レンズアレイ254、中央部収束レンズ
アレイ255、出力部収束レンズ257を介して前記表
示パネル204に入射し、前記第1の絞り手段256は
主として前記二次発光体の有効領域を通過する光を選択
的に通過せしめる開口形状を有する。
【0067】また、前記入力部収束レンズ254の各々
は対応する前記中央部収束レンズ255の各々の主平面
近傍に複数の二次発光体を形成し、前記中央部収束レン
ズ255の各々は前記出力部収束レンズ257と相まっ
て対応する前記入力部収束レンズ254の各々の主平面
近傍の物体の像の各々を重畳形態として前記表示パネル
204の有効表示領域近傍に形成し、前記出力部収束レ
ンズ257は前記複数の二次発光体から出射する光を前
記投写手段251に有効に到達せしめる。
【0068】また、前記第1の絞り手段256は前記複
数の二次発光体の近傍に配置し、前記第1の絞り手段2
56と前記第2の絞り手段258とは略共役の関係であ
り、前記第1の絞り手段256は前記二次発光体の略有
効領域を通過する光を選択的に通過せしめる開口形状を
有し、前記第2の絞り手段258は前記表示パネルの光
変調層が光透過状態において、前記第1の絞り256を
通過した光を選択的に通過せしめる開口形状を有してい
る。
【0069】好ましくは、第1の絞り手段256と第2
の絞り手段258の各々は、互いの共役比を倍率とする
略相似形状の開口を有するようにする。
【0070】また、本発明の表示装置は、離散的に複数
の二次発光体を形成してPD液晶表示パネル204を照
明する。したがって、最大集光角の大きな投写レンズ2
51を用いたとしても、離散的に複数の開口を有する絞
りを備えることで、PD液晶表示パネル204から出射
する光に対して必要最小限の開口を提供できる。その結
果、明るくコントラストの高い投写画像を得ることがで
きる。
【0071】また、好ましくは、入力部収束レンズ25
4および中央部収束レンズ255の外形は、表示パネル
204の有効表示領域の形状と、略相似形状にする。
【0072】なお、本発明の表示装置において、赤色光
を変調する表示パネルの表示パネルの光変調層の膜厚
が、他の表示パネルの光変調層の膜厚よりも厚くするこ
とが好ましい。
【0073】まず、本発明の表示パネルおよび表示装置
の作用を説明する前に(図36)を用いてP偏光とS偏
光等を定義しておく。P偏光とは、ダイクロイックミラ
ー264等の光源素子の平面の法線262(ダイクロイ
ックプリズムの場合は光分離面266(干渉膜が形成さ
れた面)の法線)と入射光線261の進行方向を含む面
上で振動する光267を言う。なお、前記「光線の進行
方向を含む面」をP偏光面268と呼び、前記面上かつ
前記光線進行方向に垂直な軸をP偏光軸265とよぶ。
また、S偏光とは前記P偏光の振動方向263と垂直な
方向に振動する光を言い、前記S偏光が振動する面をS
偏光面と呼び、前記面上かつ前記光線の進行方向に垂直
な軸をS偏光軸とよぶ。したがって、P偏光軸とS偏光
軸とは直交する。
【0074】色分離手段と色合成手段として、主にダイ
クロイックプリズムもしくはダイクロイックミラーが用
いられる。本発明の投写型表示装置では前記どちらの素
子を用いてもよいが、説明を容易にするため、主として
ダイクロイックミラーを例にあげて説明をする。
【0075】ダイクロイックミラーで反射した光はS偏
光の方がP偏光より帯域が広くなることが知られてい
る。逆にダイクロイックミラーを透過する光はP偏光の
方がS偏光の帯域より広くなる。
【0076】PD液晶表示パネルで画像を表示した際、
表示コントラストが悪くなる原因に、画素周辺部からの
光もれがある。これは信号線と画素電極間に発生する電
気力線に液晶分子が配向するために生じる。特に、(図
42(a))に示すように白ウィンドウを表示した際に
顕著になる。白表示部の上部および下部の黒表示領域が
灰色表示となるからである(以後、この現象を黒浮きと
呼ぶ)。輝度分布は(図42(b))に示すようにな
る。b−b’線の部分は黒浮きは生じず、原理的には画
面上部から画面下部まで輝度B1で一定である。しか
し、a−a’線の部分は、輝度B1の部分がB2となる。
PD液晶表示パネルで自然画を表示すると白表示部の上
下に白線が表示される(以後、この現象を尾ひきと呼
ぶ)。この現象は画像表示品位を大幅に低下させる。
【0077】前述黒浮きを防止するためにはBM271
を形成すればよい。しかし(図39)に示すTN液晶表
示パネルの如く、対向電極23上にBM271を形成す
ることは好ましくない。PD液晶表示パネルの製造する
際、未硬化の紫外線硬化樹脂と液晶とを混合させたもの
(混合溶液)を対向電極23と画素電極11間に注入
し、紫外線を照射して樹脂を硬化させ、樹脂成分と液晶
成分とを相分離させるためである。紫外線は対向基板側
より照射する。BM271が形成されていると、BM2
71下の樹脂成分は硬化せず、液晶と樹脂成分とが相分
離しない。したがって、表示パネルは安定性が悪く、経
時変化の大きくなり、実質上ライトバルブとして用いる
ことが困難である。
【0078】また、BM271が対向電極23上に形成
されている場合、対向基板21とアレイ基板22との貼
り合わせ精度も重要になる。貼り合わせの際ずれるとB
M271の端から光もれが生じる。通常BM271幅は
貼り合わせ精度を考慮して、BM271の幅を太く形成
している。一般的には貼り合わせ精度は5μm〜10μ
mである。BM271を太くすれば、それだけ、画素開
口率が低下する。したがって、表示輝度は低くなる。
【0079】本発明の表示パネルは主として画素電極1
1側にBMとして機能する遮光膜15もしくはそれに類
似する構成物を形成する。対向電極23側には通常、B
Mは形成しない。したがって、製造時、対向電極21側
から紫外線を照射すれば、未硬化の樹脂成分が生じず、
経時変化が生じない。BMを画素電極11側に形成すれ
ば、対向基板21とアレイ基板22の貼り合わせ精度を
考慮することが必要なくなる。
【0080】主として光もれが生じるのは電気力線が対
向電極に対し垂直となる箇所である。前記箇所は、信号
線上と、前記信号線と近接する画素電極11周辺部であ
る。信号線は金属薄膜で形成されているから、入射光は
透過しない。したがって、画素電極11周辺部等を遮光
すればよい。以上のように画素電極11周辺部等に遮光
膜15等を形成することにより光もれを防止できるの
は、PD液晶特有の性質を用いた作用である。
【0081】画素電極11周辺部等に形成する遮光膜1
1等を光吸収膜にすれば、表示コントラストを向上でき
る。PD液晶表示パネルは散乱状態のときの出射光を極
力少なくすればコントラストは向上する。散乱状態の
時、液晶層内で光はランダムに反射している。前記光を
光吸収膜で吸収すれば、出射光を少なくできるし、又、
ハレーションにより隣接画素に光もれが生じるのも防止
できる。
【0082】遮光膜15等を形成すれば、遮光膜15に
より画素開口率は低下する。しかし、アレイ基板の構成
を前段ゲート方式で形成すれば、低下する割合は小さく
なる。前段ゲート方式はゲート信号線と画素電極間に付
加容量を形成し電荷を蓄積する。そのため、一定のゲー
ト信号線幅が必要である。本発明では画素周辺部の光も
れが生じる箇所にも付加容量を形成する。付加容量の電
極の一方はゲート信号線であり、前記信号線は金属薄膜
で形成されているから遮光膜となる。光もれが生じる箇
所は付加容量44を形成すれば、前記箇所に形成された
付加容量分だけ、ゲート信号線13幅は細くすることが
できる。前段ゲート方式を採用することによりゲート信
号線13から発生する電気力線をシールドする効果もあ
る。
【0083】ソース信号線14から発生する電気力線を
シールドすれば、画素電極11周辺部の光抜けを低減で
きる。ソース信号線14と画素電極11間の電磁結合を
防止できるからである。シールドするにはソース信号線
14上に低誘電体膜を形成すればよい。低誘電体膜18
5とは液晶層24の比誘電率よりも低い誘電体材料から
なる膜である。
【0084】誘電率が低い材料中は、電気力線が通過し
にくい。つまり、電圧降下が大きい。したがって、液晶
中におよび電気力線数は減少し、光抜けは発生しない。
低誘電体膜185の膜厚は厚いほど光抜けを防止する効
果が大きい。なお、低誘電体膜185は、対向電極23
とソース信号線14間を完全に充填する構造(低誘電体
柱562あるいは遮光柱571)であってもよい。ま
た、画素電極11の外周部を大きく被覆する方が光抜け
を防止できる。
【0085】(図5)に示すように画素電極11には画
素電極11上の液晶分子51を配向させる電圧が印加さ
れ、ソース信号線14等にはTFT12への信号電圧が
印加されている。したがって、画素電極11とソース信
号線14等間に電位差が生じる。つまり、電気力線52
が発生する。このような液晶層24内を基板22と平行
に発生する電界を横電界と呼ぶ。
【0086】液晶分子51は電気力線52の強度が所定
値以上の時、電気力線52に沿って配向する。したがっ
て(図8(b))に示すように液晶分子52はaa’方
向に配向をする。なお、aa’方向とは液晶表示パネル
において行方向(水平走査線方向=ゲート信号線の形成
方向)であり、bb’方向とは列方向(ソース信号線の
形成方向=垂直方向)とする。
【0087】また、(図6(a))に示すように、正の
誘電率をもつ液晶分子は分子の長軸方向の屈折率はne
であり、短軸方向の屈折率はnoである。また、ne>n
oなる関係がある。ポリマー32の屈折率npとnoとは
略一致させている。今、(図6(b))に示すように液
晶分子51の長軸がaa’方向に配向しているとする。
すると、光の成分のうちbb’方向はno≒npとなるか
ら、入射光はほぼそのまま透過する。aa’方向は液晶
分子の屈折率はneでポリマーの屈折率はnpであるか
ら、np≠neである。したがって、入射光は散乱する。
【0088】以上のことから、bb’方向の光は透過
し、aa’方向の光は散乱する。つまり、横電解が発生
し、液晶分子が配向すれば理論上は50%の光が透過す
る。実際は、液晶分子51は横電界52に完全に配向す
るものではないから、それよりはかなり小さくなる。い
ずれにせよ、横電界が発生した箇所に入射した光は偏光
依存性をもって出射される。
【0089】以上のことより、横電界が発生している箇
所において、bb’方向の偏光は透過しやすく、aa’
方向の偏光は散乱されやすい。つまり、(図6(b))
の状態において、PD液晶表示パネルの入射側と出射側
のうち少なくとも一方に偏光軸73がaa’方向の偏光
板を配置すれば、横電界による画素周辺部の光抜けを防
止することができる。したがって、表示コントラストを
向上できる。以上のように横電界の発生方向と一致させ
て、偏光を入射させるのが、本発明の表示パネルの一技
術的思想である。
【0090】PD液晶表示パネルに偏光板71等を配置
すれば、表示輝度は低くなる。しかし、TN液晶表示パ
ネルにおいて、逆チルトドメインによる光抜けを防止す
るためBM271幅を太くし、画素開口率を低下させた
場合よりも、PD液晶表示パネルの方が画素開口率を高
くできる。これは、PD液晶表示パネルの光抜けは横電
界が発生した箇所のみに生じるのに対し、TN液晶表示
パネルでは横電界が発生した箇所およびさらに画素中心
側に逆チルトドメインが発生し、光抜けが生じるからで
ある。
【0091】また、PD液晶表示パネルは、TN液晶表
示パネルのようにラビングという処理が必要でないから
パネル製造が容易というメリットもある。TN液晶表示
パネルのような非配向による不良が発生しない。本発明
ではソース信号線上に低誘電体膜185等を形成し、ソ
ース信号線14から発生する電界をシールドする表示パ
ネルの発明を開示している。この技術的思想はTN液晶
表示パネルでは実現不可能であろう。その理由は低誘電
体膜185等の段差により配向処理が良好に行なうこと
ができないからである。
【0092】また、(解決しようとする課題)でも説明
したが、カラーフィルタが形成されているとき、カラー
フィルタにより偏光状態がくずれるという現象がTN液
晶表示パネルではある。PD液晶表示パネルは元来、偏
光により光変調を行うものではないからカラーフィルタ
による偏光状態の変化は問題とならない。
【0093】P偏光およびS偏光の取扱いも重要であ
る。ダイクロイックミラー等で反射する光はP偏光の方
がS偏光より狭い(狭帯域)。赤(R)、緑(G)およ
び青(B)光を変調する3枚の液晶表示パネルを用いて
カラー表示を行なう場合、各液晶表示パネルに入射する
光の帯域が重ならないようにする必要がある。そのため
P偏光とS偏光のうち狭い帯域を利用する必要がある。
本発明の表示パネルにおいて偏光板を用いる場合、前記
偏光板の偏光軸を狭帯域の偏光(P偏光またはS偏光)
に一致させている。
【0094】入射光の波長と水滴状液晶の平均粒子径ま
たはポリマーネットワークの平均孔径との関係は相関が
ある。入射光が長波長になるにしたがい、前記平均粒子
径は大きくする必要がある。このことは、液晶表示パネ
ルにカラーフィルタが形成されている時に特に重要であ
る。つまり、画素ごとに前記平均粒子径を最適な径にす
る必要があるからである。
【0095】誘電体薄膜611を構成するTiO2また
はSiOはUV光を吸収する。一方、混合溶液にUV光
を照射したとき、単位時間あたりのエネルギーが大きい
と水滴状液晶の平均粒子径は小さくなり、エネルギーが
小さいと平均粒子径は大きくなる。また、平均粒子径が
小さいと透過状態にするために要する駆動電圧は高くな
る。逆に平均粒子径が大きいと駆動電圧は低くなる。こ
のことは、水滴状液晶の平均粒子径をポリマーネットワ
ークの平均孔径におきかえても同様である。作製時、照
射するUV光の強度により、液晶層が透過状態となる電
圧を変化できる。
【0096】液晶表示パネルが変調する光が長波長(た
とえば赤色光)の場合、良好なコントラストを得るため
には水滴状液晶の平均粒子径は大きい方がよい。光が短
波長(たとえば、青色光)の場合、良好なコントラスト
を得るためには、平均粒子径は小さい方がよい。誘電体
薄膜611はUV光を吸収し、その膜厚により吸収割合
を可変できる。したがって、(図57)等に示すように
液晶表示パネルが画素ごとに変調する光の波長に応じ
て、異なる膜厚の誘電体薄膜611を形成した対向基板
21を用い、UV光は一定強度で照射すれば、画素ごと
に所望の特性のPD液晶表示パネルを得ることができ
る。
【0097】本発明の投写型表示装置では本発明の表示
パネルをライトバルブとして用いるため、高輝度、高コ
ントラスト表示を実現している。また、色分離合成とし
てX字のダイクロイックプリズム234を用いる場合、
(図24)に示すように無効領域に光吸収膜241を形
成すればPD液晶表示パネルで散乱した光を前記光吸収
膜241で吸収するため表示コントラストを向上でき
る。
【0098】好ましくは、(図25)に示すように本発
明の投写型表示装置において照明光側206および投写
レンズ251側に絞りを配置し、前記2つの絞りを共役
の関係とする。加えて2つの絞りの開口を共役比に応じ
た相似形状とする。これにより、表示パネル204の表
示領域上の全領域について、絞りは照明光の照射角と投
写レンズ251の集光角を一致させるように機能する。
すなわち、照明光の有効Fナンバーと投写レンズ251
の有効Fナンバーを整合できる。
【0099】投写レンズ251側の絞り258は、表示
パネル204から出射する有効な光について、必要最小
限の開口を提供できる。従って、ライトバルブとしてP
D液晶表示パネルを用いた場合に、光損失を抑制してよ
り高いコントラストを得る。同時に、投写レンズ258
内の不要反射により生じる迷光をできるだけ多く遮るこ
とができ、コントラストの高い表示画像を得る。
【0100】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の液晶表
示パネルは、マトリックス状に配置された第1の画素電
極及び第2の画素電極が形成された第1の基板と、対向
電極が形成された第2の基板と、前記第1の基板と第2
の基板との間に挟持された液晶層と、前記第1の画素電
極と積層状態で形成された第1のカラーフィルタと、前
記第1の画素電極に隣接して配置された前記第2の画素
電極と積層状態で形成された第2のカラーフィルタとを
具備し、前記隣接した第1の画素電極と第2の画素電極
との間で、前記第1のカラーフィルタと第2のカラーフ
ィルタとが重ねられ、前記カラーフィルタの比誘電率
は、前記液晶層の比誘電率よりも低いことを特徴とす
る。 また、本発明の請求項2に記載の液晶表示パネル
は、マトリックス状に配置された画素電極が形成された
第1の基板と、対向電極が形成された第2の基板と、前
記第1の基板と第2の基板との間に挟持された液晶層
と、前記液晶層の膜厚と略一致し、前記液晶層の膜厚を
規定する誘電体柱とを具備し、前記誘電体柱の比誘電率
は、前記液晶層の比誘電率よりも低く、前記誘電体柱
は、前記液晶層で変調する光を吸収する色素または染料
を含有することを特徴とする。 また、本発明の請求項3
に記載の液晶表示パネルは、マトリックス状に配置され
た第1の画素電極及び第2の画素電極が形成された第1
の基板と、対向電極が形成された第2の基板と、前記第
1の基板と第2の基板との間に挟持された液晶層と、前
記第1の画素電極と積層状態で形成された第1のカラー
フィルタと、前記第1の画素電極に隣接して配置された
前記第2の画素電極と積層状態で形成された第2のカラ
ーフィルタと、ソース信号線に映像信号を印加するソー
スドライバ回路とを具備し、前記ソースドライバ回路は
隣接した前記ソース信号線に逆極性の映像信号を印加
し、前記隣接した第1の画素電極と第2の画素電極との
間で、前記第1のカラーフィルタと第2のカラーフィル
タとが重ねられ、前記カラーフィルタの比誘電率は、前
記液晶層の比誘電率よりも低いことを特徴とする。
た、本発明の請求項4に記載の液晶表示パネルは、マト
リックス状に配置された画素電極が形成された第1の基
板と、対向電極が形成された第2の基板と、 前記第1の
基板と第2の基板との間に挟持された液晶層と、前記液
晶層の膜厚と略一致し、前記液晶層の膜厚を規定する誘
電体柱と、ソース信号線に映像信号を印加するソースド
ライバ回路とを具備し、前記ソースドライバ回路は隣接
した前記ソース信号線に逆極性の映像信号を印加し、前
記誘電体柱の比誘電率は、前記液晶層の比誘電率よりも
低く、前記誘電体柱は、液晶層で変調する光を吸収する
色素または染料を含有することを特徴とする。 また、本
発明の請求項5に記載の投写型表示装置は、光発生手段
と、請求項1から請求項4のいずれかに記載の液晶表示
パネルと、前記液晶表示パネルで変調された光を投写す
る投写手段とを具備することを特徴とする。 また、本発
明の請求項6に記載のビューファインダは、光発生手段
と、前記光発生手段からの出射光を変調する請求項1か
ら請求項4のいずれかに記載の液晶表示パネルと、前記
液晶表示パネルの光学像を拡大し、かつ拡大した光学像
を観察者に見えるようにする拡大表示手段とを具備する
ことを特徴とする。 (実施例) 以下、(図1)を参照しながら、本発明の表示パネルに
ついて説明をする。なお、(図1)に示す平面図は、表
示パネルの対向基板21を取り除いた時のアレイ基板2
2の平面図を示している。また、以下に示す各図面は理
解を容易にするために、モデル図的に描き、説明に不要
な箇所は省略している。また、(図2(a))は(図
1)のA−A’線での断面図、(図2(b))は(図
1)のB−B’線での断面図である。
【0101】本発明の表示パネルの等価回路図を(図
4)に示す。S1〜Snはソース信号線14であり、ま
た、G1〜Gmはゲート信号線13である。ソース信号線
14とゲート信号線13との交点にはスイッチング素子
としてのTFT12が形成されており、前記TFT12
の一端子はゲート信号線13に、また、他の一端子はソ
ース信号線14に、残る一端子は表示画素である画素電
極11に接続されている。また、前記端子には液晶層2
4の電荷だけでは1フィールド間に必要な電荷を蓄積す
ることができないため画素電極11とゲート信号線13
間に付加容量44を形成している。なお、図4の点線で
囲った領域が一画素43である。
【0102】ゲートドライブ回路41は、ゲート信号線
13にTFT12をオン電圧あるいはオフ電圧を出力
し、TFT12のオンオフ状態を制御する。一方、ソー
スドライブ回路42はソース信号線14にサンプリング
した映像信号を出力する。
【0103】(図1)に示すようにガラス基板22上に
はソース信号線14、ゲート信号線13が形成されてい
る。ソース信号線14とゲート信号線13との交点には
TFT12が形成されている。
【0104】また、対向基板21上にはITOからなる
対向電極23が形成されている。前記対向電極23上に
はBM等、遮光機能を有する構成物は形成していない。
これは、PD液晶表示パネルを製造する際、樹脂成分の
未重合領域が発生することを防止するためである。ま
た、対向基板21とアレイ基板22とを貼り合わせる
際、位置合わせが必要でなくなるという効果もでる。も
ちろん、対向基板21に形成するのがITO膜23だけ
であれば製造コストも低減できる。
【0105】対向電極23側にBMを形成すれば、未硬
化の紫外線硬化樹脂と液晶の混合物を注入し、紫外線照
射により相分離させる際、BM下の樹脂が未硬化となっ
てしまう。したがって、経時変化に対する安定性がわる
い。
【0106】本発明の表示パネルの構成ではBMとして
の遮光膜15を画素電極11上に形成しているから、経
時変化に対する安定性および貼り合わせ装置の省設備化
により低コスト化が望める。なお、遮光膜15は画素電
極11上に形成しても、画素電極11の下に形成しても
良い。さらには、画素電極11と絶縁膜を介して接して
形成しても良い。また、画素電極11とオーバーラップ
して形成しても良い。以上のことは、本発明の表示パネ
ルに関して共通事項である。
【0107】本発明のPD液晶層24に用いる液晶材料
としては、ネマティック液晶、スメクティック液晶、コ
レステリック液晶が好ましく、単一もしくは2種類以上
の液晶性化合物や液晶性化合物以外の物質も含んだ混合
物であってもよい。なお、先に述べた液晶材料のうち異
常光屈折率neと常光屈折率noの差の比較的大きいシア
ノビフェニル系もしくはクロル系のネマティック液晶が
好ましい。中でも、クロル系の液晶は耐光性等が良好で
最も好ましい。
【0108】高分子マトリックス材料としては透明なポ
リマーが好ましく、ポリマーとしては、熱可塑性樹脂、
熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂のいずれであっても良い
が、製造工程の容易さ、液晶相との分離等の点より紫外
線硬化タイプの樹脂を用いるのが好ましい。具体的な例
として紫外線硬化性アクリル系樹脂が例示され、特に紫
外線照射によって重合硬化するアクリルモノマー、アク
リルオリゴマーを含有するものが好ましい。中でも、フ
ッ素系の樹脂が好ましい。
【0109】このような高分子形成モノマーとしては、
2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチ
ルアクリレート、ネオペンチルグリコールドアクリレー
ト、ヘキサンジオールジアクリート、ジエチレングリコ
ールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアク
リレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ト
リメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリス
リトールアクリレート等々である。
【0110】オリゴマーもしくはプレポリマーとして
は、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレー
ト、ポリウレタンアクリレート等が挙げられる。
【0111】また重合を速やかに行なう為に重合開始剤
を用いても良く、この例として、2−ヒドロキシ−2−
メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製
「ダロキュア1173」)、1−(4−イソプロピルフ
ェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−
オン(メルク社製「ダロキュア1116」)、1−ビド
ロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイキー社
製「イルガキュア184」)、ベンジルメチルケタール
(チバガイギー社製「イルガキュア651」)等が掲げ
られる。その他に任意成分として連鎖移動剤、光増感
剤、染料、架橋剤等を適宜併用することができる。
【0112】この紫外線硬化性化合物中に液晶材料を均
一に溶解させた液状ないしは粘稠物を2枚の基板間に注
入させた後に、紫外線照射を行って紫外線硬化性化合物
のみを硬化させ、その際に液晶材料のみ相分離してPD
液晶層24が形成される。
【0113】PD液晶層24中の液晶材料の割合はここ
で規定してないが、一般には20重量%〜90重量%程
度が良く、好ましくは50重量%〜80重量%程度が良
い。20重量%以下であると液晶滴の量が少なく、屈折
率変化の効果が乏しい。また90重量%以上となるとポ
リマー32と液晶31が上下2層に相分離する傾向が強
まり、界面の割合は小さくなり液晶層の散乱性能が低下
する。PD液晶層24の構造は液晶比率によって変わ
り、略50重量%以下では液晶滴は独立したドロップレ
ット状つまり水滴状液晶31として存在し、50重量%
以上となるとポリマー32と液晶31が互いに入り組ん
だ連続相となる。
【0114】一例として(表1)に示す材料および重量
比からなる混合溶液を用いる。前記混合溶液は対向基板
21とアレイ基板22間に加圧注入により注入される。
その後、50℃の温度にパネルを加熱し、その状態で、
光源に超高圧水銀灯を用いて対向基板21側から混合溶
液に紫外線(基板面での照射強度:30mW/cm2
を150秒照射し、PD液晶表示パネルを完成する。
【0115】
【表1】
【0116】遮光膜15の形成材料としてはクロム(C
r)が例示され、その膜厚は遮光効果を考慮して500
オングストーム以上にする必要がある。遮光膜15の幅
は、信号線14に印加される電圧、液晶層24の膜厚を
考慮して定めなければならない。対向電極23と信号線
間距離が近いと、信号線14等と画素電極11間に発生
する電気力線数は相対的に少なくなる。また、画素電極
11と信号線14との間隔が広くても前記電気力線数は
相対的に少なくなる。ソース信号線14に印加される信
号振幅が小さければ遮光膜15の幅は狭くすることがで
きる。
【0117】遮光膜15は金属薄膜に限定されない。遮
光膜15を光吸収膜におきかえてもよい。光吸収膜を形
成する光吸収材料としては電気絶縁性が高く、液晶層2
4に悪影響を与えない材料であればよい。例えば、黒色
の色素あるいは顔料を樹脂中に分散したものを用いても
良いし、カラーフィルターの様にゼラチンやカゼインを
黒色の酸性染料で染色してもよい。黒色色素の例として
は、単一で黒色となるフルオラン系色素を発色させて用
いることもし、緑色系色素と赤色系色素とを混合した配
色ブラックを用いることもできる。
【0118】以上の材料はすべて黒色の材料であるが、
本発明の表示パネルを投写型表示装置のライトバルブと
して用いる場合はこれに限定されるものではない。投写
型表示装置は3枚の表示パネルを用いる。それぞれの表
示パネルはR,G,Bの3色の光のうち1色を受け持ち
変調するものである。R光を変調する表示パネルの光吸
収膜としてはR光を吸収させれば良い。つまり特定波長
を吸収できるように、例えばカラーフィルタ用の光吸収
材料を望ましい光吸収特性が得られるように改良して用
いれば良い。基本的には前記した黒色吸収材料と同様
に、色素を用いて天然樹脂を染色したり、色素を合成樹
脂中に分散した材料を用いることができる。色素の選択
の範囲は黒色色素よりもむしろ幅広く、アゾ染料、アン
トラキノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメ
タン染料などから適切な1種、もしくはそれらのうち2
種類以上の組み合わせでも良い。
【0119】黒色色素は液晶層24に悪影響を与える材
料が多い。そのため、使用は好ましくない。そこで前述
のように特定波長を吸収できる色素を光吸収薄膜の含有
色素として採用することか好ましい。
【0120】R光用、B光用およびG光用の3枚表示パ
ネルをライトバルブとして用いる投写型表示装置では採
用が容易である。つまり、変調する光の色に対して、補
色の関係にある色素を光吸収膜中に含有させればよい。
補色の関係とは、たとえば、B光に対しては黄色であ
る。黄色に着色された光吸収膜はB光を吸収する。した
がって、B光を変調する表示パネルは黄色の光吸収膜を
形成すればよい。
【0121】光吸収膜を形成した効果として大きく2つ
あげられる。前記効果を(図3)を用いて説明をする。
【0122】第一の効果として表示コントラストの向上
がある。入射光Aは水滴状液晶31で散乱し、画素電極
11に入射する。光吸収膜15が形成されておれば、前
記光は吸収される。光吸収膜15がなければ点線で示す
ようにアレイ基板22に入射し、出射されるから、黒浮
きが生じ、表示コントラストは低下する。
【0123】第2の効果として、隣接画素への光のまわ
りこみの防止がある。入射光Bは水滴状液晶31で反射
し、対向電極23と画素電極11間反射をくりかし、隣
接画素に入射する(点線で示す)。光吸収膜15が形成
されておれば、光吸収膜で吸収され隣接画素へ光が入射
することがなくなる。したがって、画素のにじみが少な
くなる。なお、このように光吸収膜を形成した構造を光
吸収膜構造と呼ぶ。
【0124】アレイ基板22と対向基板21は所定間隔
あけて保持され、両基板の周辺部は封止樹脂(図示せ
ず)により封止される。所定間隔の保持は微小なビーズ
を用いて行なう。ビーズは液晶層24の膜厚にあわせて
所定の直径のものを用いる。
【0125】好ましくは、ビーズは黒色のものを用い
る。透明ビーズは光を透過する。したがって、液晶層2
4に透明ビーズを用いた場合、液晶層24が白濁状態で
あっても、透明ビーズの箇所には光抜けが生じる。光抜
けは表示コントラストを低下させる。黒色ビーズは液晶
層24で変調する光(入射光)を吸収する。したがって
光抜けは発生せず、表示コントラストは良好に維持され
る。
【0126】なお、ビーズは黒色に限定されるものでは
ない。たとえば着色したものであってもよい。着色は液
晶層24に入射する光の色と補色の関係があればよい。
たとえば入射光が青色の場合は黄色である。なお、この
ように黒色あるいは補色のビーズを用いる構成を補色ビ
ーズ構造と呼ぶ。
【0127】これらの事項は表示パネルをライトバルブ
として用いる投写型表示装置等に好ましく、適応される
べきである。前記投写型表示装置は青色、緑色および赤
色を変調する3つの表示パネルを具備する。それぞれの
表示パネルは青色、緑色または赤色のうち一色を変調す
る。したがって、それぞれの表示パネルに用いるビーズ
が入射光に対して補色の関係にあればビーズを透過する
光は発生しない。
【0128】以上のビーズの着色の事項は本発明の他の
実施例における表示パネルにも適用される。また、後に
説明する投写型表示装置にも適用される。技術的思想は
共通事項だからである。
【0129】液晶層24の膜厚は5〜25μmの範囲が
好ましく、さらには8〜20μmの範囲が好ましい。膜
厚が薄いと散乱特性が悪くコントラストがとれない。逆
に厚いと高電圧駆動を行わなければならなくなり、ドラ
イブ回路41、42の設計などが困難となる。
【0130】なお、TFT12上には遮光膜を形成する
ことが好ましい。前記遮光膜はTFT12上にSi2
ix等で絶縁膜を形成し、その上にクロム(Cr)な
どの金属薄膜を形成する構成、あるいはアクリル樹脂中
にカーボンなどを分散された有機薄膜を形成する構成等
が例示される。本発明の表示パネルでは後者の有機薄膜
を形成する構成を採用している。その他、先に説明をし
た光吸収膜15と同一材料等を用いてもよい。なお、こ
のようにTFTに遮光膜を形成する構成をTFT遮光構
造と呼ぶ。
【0131】以下、本発明の表示パネルの遮光膜15の
効果について(図5)および(図9)を用いて説明をす
る。(図5)に示すように画素電極11とソース信号線
14等間に電位差があると電気力線52(横電界)が発
生し、前記電界に沿って液晶分子51が配向する。液晶
分子51が一方向に配向するため画素電極11周辺部で
光抜けが生じ、また、画素電極11と信号線14間は偏
光依存性が生じる。
【0132】なお、(図9)では説明を容易にするた
め、(図5)におけるaa’方向の偏光を入射させたと
して説明をする。また、説明を容易にするために、対向
電極の電位を0(V)(図面ではGとあらわす)とし、
前記対向電極の電位に対して正極性の電位を+電圧(図
面では+とあらわす)、前記対向電極の電位に対して負
極性の電位を−電圧(図面では−とあらわす)ものとす
る。
【0133】(図9)において、(a)(b)(c)は
液晶層24内の電気力線発生状態を示し、(d)(e)
(f)は横軸をアレイ基板22の位置xとし、縦軸に透
過率Tとしている。つまり、透過光の分布を概念的に示
している。
【0134】(図9)の(a)(b)(c)は画素電極
11に+電圧が印加され、ソース信号線に−電圧が印加
された状態を示している。電気力線は、対向電極23と
画素電極11間(電気力線52a)および画素電極11
とソース信号線14間(電気力線52b)が発生する。
このように、画素電極11と信号線間に発生する電界を
横電界と呼んでいる。液晶分子51は電気力線の強度
(電界強度)が所定値(液晶の立ち上がり電圧)以上の
とき前記電気力線52に沿って配向する。電気力線52
の方向が対向電極23に垂直の時、前記電気力線に沿っ
て液晶分子が配向すれば、液晶層の見かけ上の屈折率は
常光屈折率noとなる。noとポリマー32の屈折率np
がno≒npなる関係があるから、液晶層24は透明状態
となる。一方、電気力線52の方向が対向電極23と平
行の時、前記電気力線52に沿って液晶分子が配向すれ
ば、液晶層の見かけ上の屈折率nxは(no+ne)/2
となり、nx≠npであるから、液晶層24は散乱状態と
なる。
【0135】画素電極11と信号線14間の液晶層は横
電界52により散乱状態となる。画素電極11の周辺部
の電気力線52の方向は対向電極23に対して斜めとな
っているから、半透過状態となる。このことから透過光
Tの分布は(図9(d))で示される。
【0136】(図9(b))は画素電極11の電位がG
電位の場合である。この場合、電気力線は信号線14と
画素電極11間の52bのみが発生する。このような電
位状態が生じるのは、(図42(a))の白表示部の上
下の表示領域の画素である。前記上下の表示領域画素は
黒表示であるから、対向電極23と画素電極11間に電
位差がない。しかし、ソース信号線14には白表示部の
画素に印加する信号が加わるので、横電界により電気力
線52bが発生する。したがって画素周辺部の液晶層2
4は半透過状態となり、光抜けが発生する。本発明の表
示パネルでは(図9(c))に示すように、遮光膜15
を画素電極周辺部に形成しているので、光抜けは発生せ
ず良好な黒表示を実現できる。
【0137】実験によれば画素電極周辺部の光抜けは大
きいが、画素電極11と信号線14間光抜けは比較的小
さい。したがって、PD液晶表示パネルに偏光板を配置
せずとも遮光膜15の形式のみで実用上十分な場合が多
い。それよりは高輝度表示が要望されることが多い。
【0138】偏光板を用いる場合は、偏光板の偏光軸は
横電界の発生方向と一致させる。たとえば、ソース信号
線14と画素電極11間に横電界が発生している場合は
(図7)のように偏光板71と表示パネル72とを配置
する。(図7)および(図8)において実線矢印は表示
パネルの横電界発生方向、点線矢印は偏光板の偏光軸
(偏光方向)である。偏光板は(図7(a))のように
PD液晶表示パネルの光の入射側と出射側の両方に配置
してもよく、また(図7(b)(c))のように一方の
みでもよい。なお、コントラスト表示が良好なのは(図
7(a))であることは説明するまでもないが、偏光板
の透過率分だけ表示輝度が低下する。(図7)のいずれ
の方式を採用するかは、光利用率、コスト、表示コント
ラストを考慮してきめればよい。なお、このような偏光
板71を用いる構成を偏光板構造と呼ぶ。
【0139】(図1)の本発明表示パネルでは前段ゲー
ト方式のため、ゲート信号線13が画素電極11により
シールドされて画素電極11とゲート信号線13間で横
電界の発生はほとんどない。しかし、隣接した画素電極
11aと画素電極11c間で電磁的結合が生じる場合が
ある。これを防止するため、(図1)の表示パネルでは
画素電極11に印加する電圧を(図17)で示すように
各画素列に同極性の信号を印加している。
【0140】(図17)では画素電極11に書き込み電
圧の大きさを考慮せずに対向電圧に対して正極性を+、
負極性を−と表現している。現実にはラスター表示でも
ないかぎり、各画素に印加される電圧が同一ということ
はありえない。しかし、隣接した画素間ではほぼ同じレ
ベルの信号が印加されているため、ある任意の画素を中
心とし、その近傍の画素には同一のレベルの信号(電
圧)が書き込まれているとみなしてもさしつかえないこ
とが多い。つまり、隣接画素間で各画素に印加された電
圧の極性が一致しているならば、前記画素電極間では横
電界は発生しない。逆に各画素電極間で電圧の絶対値が
等しくともその極性が異なるならば横電界が発生する。
【0141】(図17(a))はあるフィールドでの画
素電極に印加された信号の極性を示しており、(図17
(b))は次のフィールドでの画素電極に印加された信
号の極性を示す。つまり1つの画素に着目すれば、画素
電極にはフィールドごとに極性の異なる信号が印加され
ていることになる。以上のような1列ごとに極性が異な
るように液晶表示パネルを駆動する方式を1V反転駆動
と呼ぶ。逆に(図16)のように一行ごとに極性が異な
るように液晶表示パネルを駆動する方式を1H反転駆動
と呼ぶ。
【0142】以上のように駆動を行えば、横電界の発生
方向はaa’方向が主となる。したがって、偏光板71
の偏光軸73をaa’方向にすれば光もれを良好に防止
でき、高コントラスト表示が行なえる。
【0143】ここで、本発明の表示パネルの駆動回路に
ついて簡単に説明しておこう。(図14)は駆動回路の
説明図である。(図14)において、141は入力され
たビデオ信号を表示パネルの電気光学的特性に適合する
ように信号の利得を調整するアンプである。アンプ14
1は映像信号のペデスタルレベルおよび信号振幅が所定
値となるように増幅する。次に、利得調整されたビデオ
信号は位相分割回路142に入力される。位相分割回路
142は入力されたビデオ信号の正極性と負極性の2つ
のビデオ信号を出力する。
【0144】位相分割回路142から出力される2つの
正負のビデオ信号は、出力切り換え回路143に入力さ
れる。出力切り換え回路143は、1水平走査期間(1
H)または1垂直走査期間(1V)ごとに画素に印加す
る信号の極性を変化させるようにビデオ信号を出力し、
このビデオ信号をソースドライブ回路42に出力する。
ソースドライブ回路42はドライブ制御回路144から
の制御信号により、ビデオ信号のレベルシフトなどを行
い、ゲートドライブ回路41と同期をとって表示パネル
72に印加する。
【0145】出力切りかえ回路143が1Hごとに出力
信号の極性を切りかえれば(図16)に示すように1H
反転駆動を実現できる。また、1Vごとに出力信号の極
性を切りかえ、かつ、隣接したソース信号線には互いに
極性の異なる信号を印加すれば(図17)に示す1V反
転駆動を実現できる。
【0146】1H反転駆動では(図16)のように画素
電極に電圧が印加される。この場合はbb’方向に横電
界が発生しやすい。この横電界による光抜けを防止する
ためには(図8)のように偏光板71を配置すればよい
ことは説明を要さないであろう。以上のように、横電界
の発生方向を考慮して、偏光板71の偏光軸73を配置
する技術的思想は、偏光板構造において重要な点であ
る。
【0147】なお、遮光膜15(光吸収膜としてもよ
い)は画素電極11に形成するとしたが、(図12)に
示すように対向電極23上に形成してもよい(遮光膜1
21)。製造上、液晶と樹脂成分を相分離するときに、
遮光膜121は未重合の樹脂成分を生じさせることにな
るが、以下の方法で解決することができる。まず、未重
合の樹脂と液晶を画素電極11と対向電極23間に注入
した後、A方向から紫外線を照射する。遮光膜121の
下層の樹脂は未重合で残るので、次にB方向から紫外線
を照射して残りの未重合の樹脂を硬化させる。遮光膜1
21上の樹脂はB方向から、ソース信号線14上の樹脂
はA方向から硬化させることになる。したがって、液晶
層24は完全に液晶と樹脂成分と相分離できる。
【0148】対向基板21とアレイ基板22との貼り合
わせ精度を十分に確保するためには(図33)に示すよ
うに(図12)に加えて、画素電極11上に遮光膜15
を形成する構成がある。この構成であれば、多少、貼り
合わせがずれても画素周辺部から光抜けが生じることは
ない。つまり、遮光膜15とBM121をA方向からみ
て貼り合わせずれ分だけオーバーラップさせておけばよ
い。
【0149】(図39)に示すようにTN液晶パネルの
BM271の構成をPD液晶パネルに適用したならば、
ソース信号線14上の樹脂は未硬化のまま残る。本発明
では(図12)あるいは(図33)に示すように、ソー
ス信号線14上に遮光膜を除去しているから、未硬化の
樹脂は生じない。なお、遮光膜15、121は先に説明
したように光吸収膜構造におきかえてもよい。
【0150】さらに、(図13)に示すように、遮光膜
は画素電極11と信号線14間、さらには信号線14上
に形成(遮光膜131)してもよい。この場合は、遮光
膜131は絶縁材料で形成しなければならない。絶縁材
料としては先に光吸収膜構造で例示した配色ブラック、
あるいはアクリル樹脂にカーボンなどを含有させたもの
等を用いることができることは、説明は要さないであろ
う。
【0151】横電界による光抜けを防止する構成とし
て、信号線14等を低誘電率材料で取り囲む構成があ
る。この構成を(図34)に示す。
【0152】信号線14を低誘電体膜185で囲ってい
る。低誘電体とは、液晶層24の比誘電率よりも低い比
誘電率の材料という意味である。液晶層24を構成する
ポリマー32の比誘電率は5前後、液晶の比誘電率は1
5〜30である。液晶層24はポリマー32と液晶の混
合物であるからその比誘電率は5以上30以下の比誘電
率となる。
【0153】低誘電体膜185の材料として、ポリマー
32の同じ材料、SiO2、SiNxなどの無機材料、
あるいは半導体プロセスに用いるレジスト材料が例示さ
れる。比較的低誘電体膜185は厚く形成する必要があ
るため、ポリマー32あるいはレジストなどの有機材料
を用いることが好ましい。このような構成を低誘電体膜
構造と呼ぶ。
【0154】低誘電体膜は横電界が発生する箇所に形成
する。膜厚は厚い方がよい。PD液晶表示パネルはラビ
ング等の配向処理が必要でないため、低誘電体膜185
によりアレイ基板22等に凹凸が生じても問題はない。
これはTN液晶表示パネルと異なる、PD液晶表示パネ
ルの大いなる利点である。本発明はこの構成の差異を利
用している。
【0155】なお、(図1)における本発明の表示パネ
ルは前段ゲート構成であるから、ゲート信号線13と画
素電極11間には横電界が発生しにくい。したがって、
低誘電体膜185はソース信号線14およびその近傍に
形成することにより、液晶層24内に発生する横電界を
ほぼ防止できる。したがって、前段ゲート構成以外の場
合は、ゲート信号線13上およびその近傍にも低誘電体
膜185を形成すべきである。
【0156】誘電率が低い材料中は、電気力線が通過し
にくい。つまり、電圧降下が大きい。低誘電体膜185
中は電気力線は発生しにくく、電気力線は液晶24中を
通過する。横電界は弱まり、光抜けは発生しない。
【0157】低誘電体膜185の膜厚は厚いほど横電界
を防止し、光抜けを防止する効果が大きい。したがっ
て、低誘電体膜185は、対向電極23と信号線14間
を完全に充填する構造(図56参照)であってもよい。
また、画素電極11の外周部を大きく被覆する方が光抜
けを防止できる。
【0158】(図56)に示すように電気力線563は
低誘電体柱により遮へいされるため、全く発生しない。
したがって横電界による光抜けはなくなる。電気力線は
画素電極11と対向電極23に真すぐに発生する(電気
力線564)。また、低誘電体柱562は液晶層24の
膜厚を規定する機能をも有する。つまり、液晶膜厚を規
定するビーズとしての役割をはたす。そのため、ビーズ
の散布は必要がない。したがって、ビーズ周辺部の光抜
けがなく表示コントラストも良好である。
【0159】低誘電体膜185は(図57)に示すよう
に着色して遮光柱571としてもよい。遮光柱はソース
信号線14およびその近傍に沿って形成される。また、
遮光柱571は先の低誘電体柱と同様に液晶層24を所
定膜厚に保つビーズ(図示せず)の役割をはたしてい
る。つまり、遮光柱571の高さが液晶膜厚24を規定
している。ソース信号線14のみに沿って形成している
ため、PD液晶表示パネルの製造時において混合溶液の
注入には障害となることはない。なお、このような構成
を遮光柱構造と呼ぶ。当然のことながら(図57)の構
成では画素電極11上にビーズを散布する必要がないた
め、前記ビーズによる光抜けがないという効果を有す
る。また、対向基板21とアレイ基板22とを貼りあわ
す際、位置あわせが必要でないという利点をも有する。
【0160】(図56)のように低誘電体柱562上に
BMを形成する構成も考えられる。この場合、低誘電体
柱562上にBMを形成する。このように構成すること
により、先の(図57)の効果に加えて対向基板21に
は対向電極23としてのITOのみを形成すればよいよ
うになる。したがって、低コスト化が望める。また、B
Mにより、信号線14と画素電極11間の光もれを防止
できる。BMは低誘電体柱をパターニングする際に形成
するマスクをそのまま流用してもよい。
【0161】低誘電体膜185あるいは遮光柱571に
着色し、液晶層24内で乱反射する光を吸収すれば画像
品位は向上する。光吸収膜構造でも説明したように、例
えば、黒色の色素あるいは顔料を樹脂中に分散したもの
を用いても良いし、カラーフィルターの様に、ゼラチン
やカゼインを黒色の酸性染料で染色してもよい。黒色色
素の例としては、単一で黒色となるフルオラン系色素を
発色させて用いることもし、緑色系色素と赤色系色素と
を混合した配色ブラックを用いることもできる。
【0162】以上の材料はすべて黒色の材料であるが、
本発明の表示パネルを投写型表示装置のライトバルブと
して用いる場合はこれに限定されるものではなく、R光
を変調する表示パネルの低誘電体膜185あるいは遮光
柱571としてはR光を吸収させれば良い。したがっ
て、色素を用いて天然樹脂を染色したり、色素を合成樹
脂中に分散した材料を用いることができる。たとえば、
アゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、
トリフェニルメタン染料などから適切な1種、もしくは
それらのうち2種類以上を組み合わせればよい。
【0163】本発明の表示パネルを投写型表示装置のラ
イトバルブとして用いる際に、以下の課題が発生するこ
とがある。それは、パネル裏面の金属薄膜での反射によ
るゴーストあるいは表示コントラスト低下である。
【0164】(図54)に示すように入射光551は液
晶層24の水滴状液晶31により散乱される。散乱した
光552は透過光554aとなるがその一部は反射光5
53aとなる。前記反射光553aはソース信号線14
等の金属薄膜で反射され、反射光553bとなり、さら
に透過光554bとなる。透過光554bはスクリーン
に投映されるとゴーストとなる。また、投写レンズ等で
乱反射し、表示コントラストを低下させる。
【0165】PD液晶表示パネルでは入射光は液晶層2
4で散乱光となる。そのため、界面555に臨界角以上
で入射する光が多い。前記臨界角以上の光は全反射され
る。そのため、界面で反射しソース信号線14あるいは
ゲート信号線13に入射する光の割合がTN液晶表示パ
ネル等と比較して大きい。したがって、前記ゴーストの
発生原因を除去することが重要となる。
【0166】前記ゴーストに対する第1の対策として本
発明の液晶表示パネルでは、パネルと空気との界面55
5に反射防止膜を形成している。反射防止膜は3層ある
いは2層の薄膜の積層で形成する。なお、3層の場合は
広い可視光の波長帯域での反射を防止するために用いら
れ、これをマルチコートと呼ぶものとする。2層の場合
は特定の可視光の波長帯域での反射を防止するために用
いられ、これをVコートと呼ぶものとする。
【0167】マルチコートの場合は酸化アルミニウム
(Al23)を光学的膜厚がnd=λ/4、ジルコニウ
ム(ZrO2)をnd=λ/2、フッ化マグネシウム
(MgF2)をnd=λ/4積層して形成する。通常、
G光の場合、λとして520nmもしくはその近傍の値
として薄膜は形成される。Vコートの場合は一酸化シリ
コン(SiO)を光学的膜厚nd=λ/4とフッ化マグ
ネシウム(MgF2)をnd=λ/4、もしくは酸化イ
ットリウム(Y23)とフッ化マグネシウム(Mg
2)をnd=λ/4積層して形成する。SiOは青色
側に吸収帯域があるため青色光を変調する場合はY23
を用いた方がよい。物質の安定性からもY23の方が安
定しているため好ましい。なお、ここで言うλとは変調
する光のピーク波長つまり中心波長である。nは薄膜の
屈折率、dは物理的膜厚である。
【0168】しかし、マルチコートあるいはVコートの
反射防止膜では十分とは言えない。なぜならば界面55
5に臨界角以上で入射する光が、界面555で反射する
のを防止できないからである。そのため、第2の対策と
して(図47)あるいは(図49)の構成を採用するこ
とが好ましい。
【0169】(図47)の構成は金属薄膜(ソース信号
線14等)に凹凸を形成した構成である。このような構
成を凸構造と呼ぶ。また、(図47)は(図48)のE
E’線での断面図である。アレイ基板22に金属薄膜が
形成される位置にはまず、凸部471が形成される。凸
部471の形成材料としてはSiO2、SiNxなどの
無機材料等が例示される。前記凸部471上に位置あわ
せしてソース信号線14等の金属薄膜が形成される。な
お、凸部471は周期的に形成し、回析効果をもたせて
もよい。
【0170】界面555で反射し、ソース信号線14も
もどった光553aは凸部471により進行方向が変化
する。したがって透過光554bが発生せずゴースト等
が生じない。
【0171】また、(図49)に示すようにアレイ基板
22上に遮光膜492を形成し、前記遮光膜492上に
ソース信号線14等を形成する構成も考えられる。な
お、このような構成を下層遮光膜構造と呼ぶ。また、遮
光膜492は光吸収膜構造とすることが好ましいことは
言うまでもない。
【0172】遮光膜492の構成材料としては六化クロ
ムなどの金属材料の他、(図1)の遮光膜15あるいは
(図57)の遮光柱571の形成材料等が例示される。
遮光膜492上に絶縁膜491が形成され、前記絶縁膜
491上にソース信号線14および画素電極11の周辺
部が重ねられている。画素電極11の下層部の遮光膜4
92は(図1)の遮光膜15に対応する。
【0173】(図49)の構成では、画素電極11と信
号線14間の下層にも遮光膜492が形成されているか
ら、画素電極11と信号線14間から光もれが生じるこ
とがない。また、遮光膜492で反射光553aを吸収
できるため、ゴースト等が発生しない。
【0174】ある特定の波長の光に対して、PD液晶の
散乱特性が最適となる水滴状液晶の平均粒子径、ポリマ
ーネットワークの平均孔径がある。一般的に光の波長が
長い(赤色光)ほど、水滴状液晶の平均粒子径等は大き
くする。逆に光の波長が短い(青色光)ほど、水滴状液
晶の平均粒子径等は小さくする方が散乱特性は向上す
る。したがって、赤色光を変調する表示パネルの平均粒
子径等は青色光を変調する表示パネルの平均粒子径等よ
りも大きくする方が好ましい。平均粒子径を変化させる
には、混合溶液を注入後、紫外線を照射する際に、前記
紫外線の強度を可変することにより行なえる。短時間に
強い紫外線を照射すると水滴状液晶の平均粒子径等は小
さくなる。逆に長時間に弱い紫外線を照射すると水滴状
液晶の平均粒子径は大きくなる。
【0175】本発明の投写型表示装置では主として赤
色、青色および緑色の変調用の3枚の本発明の表示パネ
ルをライトバルブとして用いる。前記表示パネルは先に
説明したように混合溶液の樹脂成分を重合させる際、紫
外線の照射強度を変化させて、各変調する光の波長に対
して最適な平均粒子径もしくは平均孔径としている。
【0176】問題となるのは一つの表示パネルで赤色、
青色、および緑色の3色を変調する場合である。具体的
には画素に対応したモザイク状のカラーフィルタを具備
する場合である。画素電極ごとに最適な平均粒子径等に
しないと良好な表示コントラストは望めない。したがっ
て、一律に紫外線を照射して混合溶液の樹脂成分を重合
させることは困難である。
【0177】前記課題に解決する構成が(図58)に示
す本発明の表示パネルの構成である。画素電極11上に
はカラーフィルタ612が配置されている。なお、説明
を容易にするため、透過型表示パネルではカラーフィル
タ612aは赤色、612bは緑色、612cは青色と
して説明をする。
【0178】対向基板23上には誘電体薄膜611がパ
ターニングされて形成されている。前記薄膜611の形
成は画素電極11の形状と略一致させる。
【0179】誘電体薄膜611の形状材料としてTiO
2あるいはSiOが例示される。TiO2の屈折率nは
2.3、SiOの屈折率nは1.7である。両材料は紫
外線領域の波長の光を吸収し、可視光を透過する。ただ
し、吸収する波長帯域および吸収率は蒸着条件により変
化するので、実験をくりかえして設定をする必要があ
る。一例として実験によれば、TiO2の場合、前記膜
の物理的膜厚が0.075μmの時、光吸収率は350
nmの波長の光に対して40%、360nmでは37
%、370nmでは30%、380nmでは16%であ
り、可視光ではほとんど吸収がなかった。SiOは多少
可視光を吸収するので、この意味からTiO 2の方が好
ましい。
【0180】赤色のフィルタ612a上の誘電体薄膜6
11aは最も厚く、緑色のフィルタ612b上の誘電体
薄膜611bはそれよりも薄く、青色のフィルタ612
c上には誘電体薄膜を形成しない。したがって、混合溶
液を重合させる際、A方向から紫外線を照射すれば、液
晶層24cに入射する紫外線強度が最も強く、次に液晶
層24bとなり、液晶層24aは最も弱くなる。紫外線
が弱いほど水滴情液晶31は平均粒子径は大きくなる。
これはポリマーネットワークの平均孔径が大きくなるの
と同じである。
【0181】以上の誘電体薄膜611の紫外線の吸収率
の差異により、液晶層24の水滴状液晶31の平均粒子
径は 液晶層24a>液晶層24b>液晶層24c となる。液晶層の平均粒子径に対する最適に散乱する変
調する光の波長とはほぼ比例の関係にある。(図58)
のようにカラーフィルタの光に対して、最適な平均粒子
径にすることにより良好な表示コントラストが得られ
る。
【0182】なお、ポリマーネットワークの平均孔径ま
たは水滴状液晶の平均粒子径は、変調する光が赤色光の
場合は1.5〜2.0μm、緑色光の場合は1.3〜
1.7μm、青色光の場合は1.0〜1.5μmにする
と表示コントラストは良好である。これらの平均粒子径
に制御するのは誘電体薄膜611の膜厚により行ない、
また、十分な実験を行ったのちに膜厚を決定する。な
お、以上のように誘電体薄膜611等で画素ごとに水滴
状液晶の平均粒子径等を変化させた構成を粒子径変化構
造と呼ぶ。
【0183】(図58)ではソース信号線14等上には
低誘電体膜185を形成したが、その他(図61)に示
すように低誘電体柱562としてもよい。また、遮光柱
571としてもよいことは言うまでもない。その他、光
吸収膜構造、補助ビーズ構造、TFT遮光構造、(図
7)等に示すように偏光板71を用いる偏光板構造、凸
構造、下層遮光膜構造を随時採用すれば、各構造に伴う
効果を享有できることは言うまでもない。
【0184】なお、(図58)では低誘電体膜185を
形成することにより横電界を防止する構成であるが、
(図59)のように、カラーフィルタ612でソース信
号線14等を被覆し、電磁シールドを行なってもよい。
カラーフィルタ612を形成する際にソース信号線14
等を同時に被覆するだけであるから製造上も容易であ
る。カラーフィルタは樹脂材料であり比較的比誘電率が
低く、低誘電体膜185と同様の効果をもたせることが
できる。
【0185】紫外線を混合溶液に照射する際、極端に強
い光を照射すると、水滴状液晶の平均粒子径は非常に小
さくなる。極端に小さくなると、電圧を印加しても透過
状態とならなくなる。たとえば平均粒子径は0.8μm
以下となると透過状態となる電圧は10(V)に近くな
る。
【0186】画素電極11上の液晶層は通常6(V)以
下の電圧で透明状態となるようにしている。10(V)
で透過状態となる仕様であれば6(V)では散乱状態で
ある。散乱状態では黒表示である。したがって、擬似的
にBMがあるのと同様の作用が得られる。
【0187】以上のようにソース信号線14等の液晶層
24を常時散乱状態にし、前記擬似的にBMとする構成
を採用したのが(図60)の構造である。ソース信号線
14と相対する対向電極23上には誘電体薄膜611は
形成せず、画素電極612に相対する対向電極23上に
誘電体薄膜611を形成している。赤色のカラーフィル
タ612aに相対する誘電体薄膜611aが最も厚く、
緑色のカラーフィルタ612bに相対する誘電体薄膜6
11bが次に薄く、青色のカラーフィルタ612cに相
対する誘電体薄膜611cが最も薄い。したがって、紫
外線を照射する際、液晶層24に入射する紫外線のエネ
ルギーは 液晶層24a<液晶層24b<液晶層24c<液晶層2
4d にする。この紫外線のエネルギーの差異により、液晶層
の水滴状液晶等の平均粒子径等の大きさは 液晶層24a>液晶層24b>液晶層24c>液晶層2
4d となる。この際、液晶層24a、24b、24cは電圧
6(V)で透明状態となるようにし、液晶層24dは1
0(V)近くでないと透明状態とならないようにする。
このように、画素電極以外の箇所の液晶層24dを、電
圧に対し応答しないようにした構成を擬似BM構造と呼
ぶ。
【0188】以上のように(図60)の如くソース信号
線上等の水滴液晶の平均粒子径等を非常に小さくすれば
電圧印加に対して応答しなくなくなる。ソース信号線上
等に低誘電体柱562を形成したのと同様の効果が得ら
れる。つまり、平均粒子径が非常に小さければ、横電界
に対しても応答しない。したがって、画素周辺部等から
の光抜けがなくなる。また、常時散乱状態であるから、
BMを形成したのと同様の効果が得られる。
【0189】なお、(図58)から(図61)の構成に
おいて、画素電極11上にカラーフィルタ612を形成
し、対向電極23上に誘電体薄膜611を形成するとし
たが、逆に、画素電極11上もしくは画素電極11の下
層に誘電体薄膜611を形成し、対向電極23上もしく
はその下層にカラーフィルタ612を形成する構成でも
よいことは言うまでもない。その場合は、混合溶液の樹
脂成分を重合させる際に、紫外線は(図58)のB方向
より照射すればよい。
【0190】TN液晶表示パネルに赤・青・緑のモザイ
ク状のカラーフィルタを配置する場合に課題が生じた。
それはカラーフィルタは樹脂で形成されているため、位
相差が生じ、偏光状態をくずすためである。つまり、偏
光子を通過した直線偏光はカラーフィルタで一部がだ円
偏光となってしまう。これは、表示コントラストを低下
させる原因となる。直視型パネルの場合はこの影響は小
さいが、投写型表示装置のライトバルブとして用いる場
合は表示コントラストへの影響が大きい。
【0191】(図58)から(図61)に示す本発明の
表示パネルでは光変調層としてPD液晶を用いている。
前記PD液晶は直線偏光を変調するものでないため、カ
ラーフィルタでだ円偏光となることは影響を受けない。
したがって、ライトバルブとして用いても良好な画像表
示を実現できる。
【0192】以下、本発明の表示パネルの第2の実施例
について説明する。なお、説明は第1の実施例と異なる
事項を中心として説明をする。したがって、第1の実施
例で説明した補助ビーズ構造、TFT遮光、低誘電体膜
構造、凸構造、遮光膜構造、下層遮光膜構造、(図
5)、(図7)および(図8)に示す偏光板71を用い
た構成、粒子径変化構造、擬似BM構造、(図56)の
低誘電体柱構造、(図57)の遮光柱構造等は第2の実
施においても採用できる。
【0193】(図10)は本発明の表示パネルの平面で
あり、また、(図11(a))は(図10)のC−C’
線での断面図、(図11(b))は(図10)のD−
D’線での断面図である。
【0194】本発明の第2の実施例では画素電極11と
ゲート信号線13間に付加容量(コンデンサ)44を形
成している。付加コンデンサ44はゲート信号線13上
に絶縁膜25を形成し、前記絶縁膜25上に画素電極1
1を重ねることにより作製する。ゲート信号線13はソ
ース信号線14に沿って分枝している。画素電極11は
ゲート信号線13上を可能なかぎりシールドするように
形成することが好ましい。
【0195】付加コンデンサ44の形成位置はゲート信
号線および画素電極11周辺部であり、(図1)の遮光
膜15と同一位置を中心として形成する。ゲート信号線
13は通常金属薄膜で形成されるから、分枝したゲート
信号線は遮光膜15としての機能を有するようになる。
【0196】第2の実施例の表示パネルは前段ゲート方
式である。前段ゲート方式はゲート信号線13幅を太く
形成し、前記ゲート信号線13と画素電極11とを重ね
て所定のコンデンサ容量を得る。しかし、ゲート信号線
13幅を太くすれば、画素開口率は低下する。本発明で
は分枝させたゲート信号線13と画素電極11間に電荷
を蓄積できるようにしているから、前記電荷分だけ分枝
がない場合に比較して、ゲート信号線幅を細くできる。
また、分枝したゲート信号線部で遮光膜15の機能をも
たせている。したがって、本発明の表示パネルの開口率
は、従来の前段ゲート方式の表示パネルの開口率と同等
にできる。
【0197】ソース信号線14と画素電極11間の横電
界による画素周辺部からの光抜けは分枝したゲート信号
線13で防止できる。つまり、(図1)において、遮光
膜15をゲート信号線におきかえて考えればよい。
【0198】第2の実施例において偏光板を用いる際は
(図7)のように偏光板71を配置する際は1H反転駆
動を行なう。また、1V反転駆動を行なう際は(図8)
のように偏光板71を配置するのは先に説明したのと同
様であるので説明を省略する。
【0199】以上の構成は透過型液晶表示パネルに関す
るものである。しかし、透過型液晶表示パネルで説明し
た本発明の技術的思想は反射型のPD液晶表示パネルに
も適用できる。なお、反射型の表示パネルにおいても、
透過型の第1の実施例と同様に、補助ビーズ構造、TF
T遮光構造、低誘電体膜構造、粒子径変化構造、擬似B
M構造、低誘電体柱構造、遮光柱構造を採用すれば、そ
れぞれの構造に対する効果を享有できることは言うまで
もない。
【0200】(図18)は本発明の反射型のPD液晶表
示パネルの構成図である。対向基板としてのガラス基板
22の厚みは0.6〜1.1mmのものを用いている。
アレイ基板22上にはTFT12等が形成されている。
TFT12上には絶縁膜184を介して反射電極182
が形成されている。反射電極182とTFT12とは接
続端子183で電気的に接続されている。絶縁膜184
の材料としてはポリイミド等を代表とする有機材料、あ
るいはSiO2,SiNxなどの無機材料が用いられ
る。反射電極182は表面をAlの薄膜で形成される。
Cr等を用いて形成してもよいが、反射率がAlより低
く、また硬質のため反射電極182周辺部の破れなどが
生じやすい。
【0201】接続端子部183は0.5〜1μmの落ち
くぼみができるが、PD液晶24は配向などの処理が不
要なため問題とはならない。開口率は画素サイズが10
0μm角の場合80%以上、50μm角の場合でも70
%以上の開口率が得られる。ただし、TFT12上等は
凹凸が生じ、多少反射効率は低下する。前記凹凸をなく
するためには反射電極182の表面を研摩すればよい。
研摩により反射率は90%以上を達成できる。
【0202】ソース信号線14およびゲート信号線13
も図示していないがアレイ基板22に上に形成されてい
る。前記信号線およびTFT12上は反射電極182が
被覆する構造となるため、信号線およびTFT12から
発生する電界により液晶24が配向動作し、画像ノイズ
が発生するということがない。
【0203】透過型表示パネルでは、横電界の発生は信
号線と画素電極間での発生を主としていた。反射型の表
示パネルでは信号線14等は反射電極182の下層に形
成されるため、信号線14と画素電極182間での横電
界の発生はほとんどない。しかし、隣接画素間で横電界
が発生する。すなわち、(図19)に示すように、反射
電極182aが正極性、反射電極182bに負極性の電
圧が印加されていると、両反射電極間に電気力線(横電
界)52が発生する。液晶分子51は前記横電界52に
沿って配向をする。
【0204】(図19)に示すように液晶分子51の長
軸が横電界52の方向に並べば、bb’方向の偏光は透
過し、aa’方向の偏光に対しては散乱するようにな
る。偏光板を用いて横電界による光もれを防止するには
偏光板71の偏光軸をaa’方向にすればよい。
【0205】ただし、反射型の液晶表示パネルでは透過
型の液晶表示パネルのような光が画素電極の周辺部を透
過する現象は生じない。反射型では反射電極の周辺部の
液晶が映像表示では関係のない表示(以後、画像ノイズ
と呼ぶ)する現象としてあらわれる。つまり、横電界5
1により液晶層が透過状態となり、前記透過部に入射し
た光が反射電極で反射されスクリーンに投映されてしま
う。
【0206】画素電極間に発生する横電界をさらに防止
するためには低誘電体膜185を反射電極182間に形
成すればよい。低誘電体膜185は反射電極と反射電極
間および反射電極周辺部に形成する。低誘電体膜185
の形成材料および効果等は(図34)等で説明をしたの
で省略をする。また、低誘電体膜185を着色すれば、
液晶層24間のハレーションを防止できることはすでに
説明をした。さらに、低誘電体膜185は(図57)に
示すように遮光柱571としてもよいし、また(図5
6)のように低誘電体柱561としてもよいことは明ら
かである。
【0207】反射型のPD液晶表示パネルで粒子径変化
構造をとるには(図62)のように構成を採用すればよ
い。(図61)等に示す透過型表示パネルの構造を反射
型に採用した構造であるから特に説明を要しないであろ
う。紫外線の照射はA方向から行えばよい。
【0208】また、(図19)は(図17)に示す1V
反転駆動の場合である。反射電極182aに正極性
(+)、182dに負極性(−)の電位を印加する。1
H反転駆動(図16参照)の場合は偏光板71の偏光軸
73はbb’方向に配置すればよい。 液晶層24の膜
厚は5〜20μmの範囲が好ましく、さらには8〜15
μmの範囲が好ましい。膜厚が薄いと散乱特性が悪くコ
ントラストがとれず、逆に厚いと高電圧駆動を行わなけ
ればならなくなり、ドライブIC設計などが困難とな
る。
【0209】反射防止膜181は、対向基板172側か
ら順に第1の誘電体薄膜181a、ITO薄膜181
b、第2の誘電体薄膜181cで構成される3層構成で
ある。対向電極181bとなるITO薄膜の前後に透明
誘電体薄膜181a、181cを形成して3層構成をと
り、反射防止機能をもたせている。ITO薄膜181b
の光学的膜厚(nd)はλ/2、第1の薄膜181aお
よび第2の薄膜181cの光学的膜厚はそれぞれλ/4
である。ただし、nは屈折率、dは物理的膜厚、λは光
の波長である。
【0210】具体的な構成の一実施例を(表2)に、ま
た、その分光反射率を(図43)に示す。(図43)か
らわかるように、(表2)の構成によると波長帯域幅2
00nm以上にわたり反射率0.1%以下の特性を実現
でき、極めて高い反射防止効果を得ることができる。な
お、本発明の(表)において、散乱状態での液晶層24
の屈折率は1.6としているが、液晶材料およびポリマ
ー材料が変化すればこの値は変化する。散乱状態の液晶
の屈折率をnx、第1および第2の誘電体薄膜の屈折率
をn1、ITO薄膜の屈折率をn2としたとき、nx<n1
<n2の条件を満足するようにすればよい。
【0211】
【表2】
【0212】第1の薄膜181aおよび第2の薄膜18
1cの屈折率は1.60以上1.80以下が望ましい。
(表2)の実施例ではいずれもSiOを用いたが、どち
らか一方、または両方の薄膜を、他にAl23、Y
23、MgO、CeF3、WO3、PbF2のいずれかを
用いても良い。
【0213】(表3)に第1の薄膜181a、第2の薄
膜181cをY23にした場合を示す。また、その分光
反射率を(図44)に示す。
【0214】
【表3】
【0215】(図44)の分光反射率は(図43)の場
合に比較してB光およびR光で反射率が多少高くなる傾
向がある。
【0216】同様に(表4)に第1の薄膜181aをS
iOに、第2の薄膜181cをY23にした場合を示
す。また、その分光反射率を(図45)に示す。可視光
領域全般にわたり0.1%以下の極めてすぐれた反射防
止効果を実現している。
【0217】
【表4】
【0218】(表5)に第1の薄膜181aをAl23
に、第2の薄膜181cをSiOにした場合を示す。ま
た、その分光反射率を(図46)に示す。R光およびB
光の領域では反射率が0.5%を越え、適当とは言えな
い。
【0219】
【表5】
【0220】以上のようにITO薄膜181bの両面に
誘電体薄膜181aおよび181cを3層に形成するこ
とにより反射光防止効果をもたせることができる。な
お、(図43)から(図46)に示す分光反射率はPD
液晶24の屈折率が変化するとかわる。つまりPD液晶
材料等に左右されるので最適化設計が重要である。
【0221】PD液晶24とITO薄膜181bが直接
接しているとPD液晶24の劣化が進みやすい。これは
ITO薄膜181b中の不純物等が液晶層24に溶出す
るためと考えられる。前述の3層構成のように、ITO
薄膜181bと液晶層24との間に誘電体薄膜181c
を形成すると液晶層24の劣化することがなくなる。特
に誘電体薄膜181cがAl23あるいはY23の時に
良好である。
【0222】誘電体薄膜181cがSiOの時はSiO
の屈折率が低下する傾向がみられる。これは液晶24中
に微量に含まれたH2O、O2等の酸素原子とSiOが結
びつき、SiOがSiO2に変化していくためと考えら
れる。その意味では(表1)および(表5)の構成はふ
さわしくない。しかし、SiOは短期間でSiO2に変
化することはなく、実用上は採用できることが多い。
【0223】(図18)は反射防止膜181は3層の構
成であるが、2層でも実用上十分な反射防止性能は得ら
れる。2層とは、(図18)において誘電体薄膜181
aを除去した構成である。つまり、対向電極基板21の
屈折率より高く、対向電極となるITO薄膜181bの
屈折率より低い屈折率を有する誘電体薄膜181cと、
対向電極となるITO薄膜181bとの2層構成であ
り、ITO薄膜181bの光学的膜厚がλ/2、誘電体
薄膜181cの光学的膜厚がλ/4である。また、前記
誘電体薄膜の屈折率は、電圧無印加状態の液晶層24の
屈折率よりも高くする。
【0224】具体的な構成の一実施例を(表6)に示
す。
【0225】
【表6】
【0226】薄膜181cの屈折率は1.50以上1.
70以下が望ましく、さらに好ましくは1.6以上1.
7以下が望ましい。(表6)の実施例ではAl23を用
いたが、他にCeF3、SiO、WO3、LaF3、Nd
3のいずれかを用いても良い。
【0227】また、(表7)にAl23をSiOに変化
させた例を示す。
【0228】
【表7】
【0229】SiOを用いれば400nmから700n
mの波長帯域にわたり分光反射率1%以下を実現でき
る。
【0230】反射防止膜181の形成により液晶層24
に入射せずに反射する光を防止できるから、表示コント
ラストを大幅に向上できる。他の構成等については透過
型の本発明の表示パネルと同様もしくは類似であるので
説明を省略する。
【0231】反射型の表示パネルは、透過型のそれに比
較して、薄い液晶24膜厚でコントラストも良好であ
り、画素開口率も高いので高輝度表示を行うことができ
る。その上、表示パネルの裏面には障害物がないのでパ
ネル冷却が容易である。たとえば、裏面からの強制空
冷、液冷を容易に行え、また、裏面にヒートシンク等も
取り付けることができる。
【0232】本発明の表示パネルにおいて凸構造もしく
は下層遮光膜構造により界面555で反射した光を散乱
もしくは吸収し、ゴースト等を防止するとした。表示パ
ネルの光入出射面に凹レンズまたは透明基板(以後、総
称して透明部材と呼ぶ)を貼りつけた構成(以後、透明
部材構造と呼ぶ)をとることにより、前記ゴースト等を
防止でき、さらに表示コントラストを向上できる。な
お、透明部材構造は単独で用いることにより表示コント
ラスト等を向上できる特有の効果を発揮でき、また、下
層遮光膜構造、凸構造とくみあわせることによりさらに
効果は大きくなる。以下、透明部材構造について説明を
する。
【0233】(図50)は本発明の表示パネル72に透
明部材等を貼りつけた構成である。表示パネル72の表
面には透明基板501を貼りつけている。透明基板50
1は表示パネル72の表面に光結合剤502を介して貼
り付けている。透明基板の表面には空気との界面で反射
する光を防止するための反射防止膜(図示せず)が形成
されている。たとえば前述のVコートである。光結合剤
としては紫外線硬化型接着剤が例示される。前記接着剤
は表示パネルを構成するガラス基板の屈折率に近いもの
が多く、光結合剤の用途として適する。また紫外線硬化
型接着剤だけに限定されるものではなく、透明シリコー
ン樹脂なども用いることができる。他にエポキシ系透明
接着剤、エチレングリコール等の液体等も用いるとがで
きる。留意すべき点は表示パネルの対向基板21等との
間に空気が混入しないようにすることである。空気があ
ると屈折率差により画質異常が生じる。 透明基板50
1はガラスあるいはアクリル樹脂のような透明物質で形
成され、有効表示領域以外の部分である非表示領域(無
効面と呼ぶ)には、黒色塗料等により光吸収膜511が
形成されている。
【0234】透明基板179を表示パネル15に貼りつ
けることにより表示コントラスト等を向上できる理由に
ついては特開平4−145277号公報に詳しく記載し
ているのでここでは説明を省略する。
【0235】本発明の表示パネル72に透明部材を貼り
つけた構成は数々考えられる。たとえば、(図51
(a))に示すように表示パネル72に透明基板501
を貼りつけた構成、(図51(b))のように凹レンズ
512に貼りつけた構成、(図51(c))のように凹
レンズ512を貼りつけ、さらに凹レンズ512の凹部
に凸レンズ513をわずかな空気層を介して配置した構
成、(図51(d))のように表示パネル72の入射面
および出射面の両方の面に透明基板501もしくは凹レ
ンズ512を貼りつけた構成が例示される。
【0236】透明基板501もしくは凹レンズ512を
表示パネル72に貼りつけることにより液晶層24で散
乱した光が界面555で反射し、再び液晶層で散乱(2
示散乱もしくは2次光源)が生じることがないため、表
示コントラストを向上できる。界面555で反射した光
が再び液晶層24にもどってくることがなくなるという
ことは、ソース信号線14等で反射する光553bもな
くなることを意見する。つまり、(図55)に示すよう
に入射光551は液晶層24で散乱し、散乱光552と
なるが、前記光は界面555で反射し、すべて光吸収膜
511に入射して吸収されてしまうのである。
【0237】表示パネル72に偏光板71を貼りつける
場合は(図50)に示すように透明部材501と表示パ
ネル72間に狭持させるとよい。透明部材501と空気
と接する面に偏光板を貼りつけてもよいが、通常偏光板
71は樹脂フィルムであるため、反射防止膜を樹脂フィ
ルム面に形成することは難しい。反射防止膜がなけれ
ば、界面555で反射する光がふえ、光損失が生じる。
(図50)のように透明部材501と表示パネル間に狭
持させれば、偏光板71では光の反射は生じず、かつ透
明部材501の界面に反射防止膜を形成できて光利用率
の向上が望める。なお、偏光板71の偏光軸は(図5)
等で説明したように横電界の発生方向を考慮して設定を
する。
【0238】透明部材構造は、反射型の本発明の表示パ
ネルにも適用できる。(図52)はその構成図である。
透明部材501の表面にはマルチコートの反射防止膜5
21を形成している。もちろんVコートでもよい。
【0239】反射型の表示パネルの構成も(図51)と
同様に数々の変形が考えられる。たとえば(図53
(a))に示すように反射型の表示パネル72の対向基
板21に透明基板501を貼りつけた構成、(図53
(b))のように凹レンズ512を貼りつけた構成、あ
るいは(図53(c))に示すように対向基板511を
十分厚くした構成である。これらの効果も先の(図5
0)に示す透過型の表示パネルの効果と同様である。ま
た(図52)の偏光板71に関する事項も(図50)で
説明したことと同様である。
【0240】本発明の表示パネルには本明細書で示す数
々の技術的思想の組み合わせが考えられる。たとえば、
(図1)もしくは(図10)に示す遮光膜15等と、
(図47)との組み合わせ、(図47)の凸構造もしく
は(図47)の下層遮光膜と(図7)に示す偏光構成と
の組み合わせ、(図47)の凸構造と(図50)に示す
透明部材構造との組み合わせ、(図57)に示す遮光柱
構造と(図7)に示す偏光構成との組み合わせ等、これ
らをすべて本発明の表示パネルの技術的思想として包含
するものである。
【0241】なお、(図7)に示したように本発明の表
示パネル72に偏光板71を配置するとしたが、偏光板
71に限定するものではない。たとえば(図38)に示
すように偏光ビームスプリッタ381により入射光を光
分離面382でP偏光とS偏光に分離し、そのいずれか
一方を本発明の表示パネル204に入射させる構成であ
るときは偏光板は不要である。しかし、横電界52の発
生方向と偏光方向と一致させることにより光抜け等を防
止でき、表示コントラストを向上できるという効果を実
現できる。
【0242】以上のように本発明の技術的思想は主たる
横電界の発生方向により液晶層24が透過状態となる偏
光方向に、直交した偏光を入射もしくは直交した偏光を
検光するようにする構成である。したがって、偏光板に
は限定されない。この技術的思想は偏光を変調する本発
明の表示パネルをライトバルブとして用いる投写型表示
装置においても適用される。
【0243】以下、図面を参照しながら本発明の投写型
表示装置について説明する。本発明の投写型表示装置で
は、本発明の表示パネルをライトバルブとして用いる。
(図20)は本発明の投写型表示装置の構成図である。
ただし、説明に不要な構成要素は省略している。(図2
0)において、201は光源であり、内部に凹面鏡20
1bおよび光発生手段201aとしてのメタルハライド
ランプあるいはキセノンランプを配置している。
【0244】凹面鏡201bの前面にはUVIRカット
フィルタ201cが配置されている。前記ランプ201
aはアーク長が3(mm)以上6(mm)以下のものを
用いる。メタルハライドランプは250Wクラスのもの
でアーク長は略6.5(mm)、150Wクラスのもの
でアーク長は略5(mm)である。凹面鏡201bの曲
率等はランプのアーク長にあわせて適正値に設計する。
凹面鏡201bは楕円面鏡あるいは放物面鏡を用いる。
UVIRカットフィルタ201cは赤外線(IR)およ
び紫外線(UV)を反射させ可視光を透過させる。
【0245】また、203aはB光を反射させるBD
M、203bはG光を反射させるGDM、203cはR
光を反射させるRDMである。なお、BDM203aか
らRDM203cの配置は同図の順序に限定するもので
はない。また、最後のRDM203cは全反射ミラーに
おきかえてもよいことは言うまでもない。また、リレー
レンズ202は光源201からR光を変調する表示パネ
ル204cにいたる光路長とB光を変調する表示パネル
204aにいたる光路長の差異を補正するものである。
【0246】204は本発明の表示パネルである。前記
表示パネルをライトバルブとして用いる。なお、光変調
層にPD液晶を用いる場合は、R光を変調する光変調層
を他のGおよびB光を変調する光変調層に比較して水滴
状液晶粒子径を大きく、もしくは液晶膜厚を厚めにして
構成する。これは光が長波長になるほど散乱特性が低下
しコントラストが低くなってしまうためである。水滴状
液晶の粒子径は、重合させるときの紫外線光を制御する
こと、あるいは使用材料を変化させること、また、(図
57)等で説明をした粒子径変化構造を採用することで
実現できる。液晶膜厚は液晶層のビーズ径を変化するこ
とにより調整できる。205は投写レンズ、206、2
08はレンズであり、207はしぼりとしてのアパーチ
ャである。なお、アパーチャ207は、投写型表示装置
の動作の説明のために図示したものである。アパーチャ
207は投写レンズの集光角を規定するものであるか
ら、投写レンズの機能に含まれるものとして考えればよ
い。つまり投写レンズのF値が大きければアパーチャ2
07の穴径は小さいと考えることができる。高コントラ
スト表示を得るためには投写レンズのF値は大きいほど
よい。しかし、F値が大きくなると白表示の輝度、つま
りスクリーン輝度は低下する。逆にF値を小さくする
と、スクリーン輝度が高くなり、高輝度表示が可能であ
るが、表示コントラストは低下する。アーク長5mmの
メタルハライドランプを用いたとき、F値は5以上9以
下にする。好ましくはF値は7前後がよい。7前後であ
れば表示コントラストは良好となりかつ、十分な表示輝
度が得られる。
【0247】以下、本発明の投写型表示装置の動作につ
いて説明する。なお、R、G、B光のそれぞれの変調系
については、ほぼ同一動作であるのでB光の変調系につ
いて例にあげて説明する。
【0248】集光光学系201から白色光が照射され、
この白色光のB光成分はBDM203aにより反射され
る。このB光は表示パネル204aに入射する。表示パ
ネルaは、(図37(a)(b))に示すように画素電
極11に印加された信号により入射した光の散乱と透過
状態とを制御し光を変調する。
【0249】散乱した光はアパーチャ207aで遮光さ
れ、逆に平行光または所定角度内の光はアパーチャ20
7aを通過する。変調された光は投写レンズ205aに
よりスクリーン(図示せず)に拡大投映される。以上の
ようにして、スクリーンには画像のB光成分が表示され
る。同様に表示パネル204bはG光成分の光を変調
し、また、表示パネル204cはR光成分の光を変調し
て、スクリーン上にはカラー画像が表示される。
【0250】赤、緑および青光を変調する3枚のライト
バルブを用いる場合の投写型表示装置の駆動回路および
駆動方法について説明する。(図15)は本発明の投写
型表示装置の一実施例における駆動回路の説明図であ
る。(図15)において、72aはR光を変調する表示
パネル、72bはG光を変調する表示パネル、72cは
B光を変調する表示パネル、また、R1とR2およびトラ
ンジスタQは、ベースに入力させたビデオ信号の正極性
と負極性のビデオ信号を作る位相分割回路を構成してお
り、(図14)における142が該当する。143は一
水平走査期間(1H)もしくは一垂直走査期間(1V)
ごとに極性を反転させた交流ビデオ信号を表示パネルに
出力する出力切り換え回路である。
【0251】ビデオ信号は所定値に利得調整された後、
R・G・B光に対応する信号に分割される。この分割さ
れたビデオ信号をそれぞれビデオ信号(R)、ビデオ信
号(G)、ビデオ信号(B)とする。ビデオ信号(R)
(G)(B)はそれぞれ位相分割回路に入力され、この
回路により正極性と負極性の2つのビデオ信号が作られ
る。次に、この2つのビデオ信号はそれぞれの出力切り
換え回路143a,143b,143cに入力され、前
記出力切り換え回路は1Hまたは1Vごとに出力信号の
極性をきりかえる。次に、それぞれの出力切り換え回路
143からのビデオ信号は(図14)に示すソースドラ
イブ回路42に入力される。ドライブ制御回路144は
ソースドライブ回路42とゲートドライブ回路41との
同期をとり、表示パネル72に画像を表示させる。
【0252】次に人間の眼の視感度について説明する。
人間の眼は波長550nm付近が最高感度となってい
る。光の3原色では緑が一番高く、つぎが赤で、青が最
も鈍感である。この感度に比例した輝度信号を得るため
には、赤色を30%、緑色を60%、青色を10%加え
ればよい。したがって、テレビ映像で白色を得るために
はR:B:G=3:6:1の比率で加えればよい。ま
た、先にも述べたように液晶は交流駆動を行なう必要が
ある。この交流駆動は表示パネルの対向電極に印加する
電圧(以後、コモン電圧と呼ぶ)に対して、正極性と負
極性の信号が交互に印加されることにより行われる。本
実施例では表示パネルに正極性の信号が印加され視感度
nの強さの光を変調している状態を+n、負極性の信号
が印加され視感度nの強さの光を変調している状態を−
nとあらわす。
【0253】例えばR:G:B=3:6:1の光が表示
パネルに照射されており、RとB用の表示パネル(72
a、72c)に正極性の信号が印加され、G用の表示パ
ネル72bに負極性の信号が印加されておれば+3・−
6・+1とあらわすものとする。なお、R:G:B=
3:6:1はNTSCのテレビ映像の場合であって、投
写型表示装置では光源のランプ、ダイクロイックミラー
の分光特性などにより上記比率は異なってくる。(図1
5)では+3・−6・+1と示されている。これは、ス
クリーンの同一位置に重ねあわされた各表示パネルの任
意の一画像に注目したとき、前記各画素にR:G:B=
3:6:1の光が照射され、RとB用の表示パネルの画
素には正極の信号が、G用の表示パネルの画素には負極
性の信号が印加されているところを示している。前記各
画素は1フィールド後は−3・+6・−1と表現される
信号印加状態となる。
【0254】通常、液晶表示パネル72には同一信号が
印加されていても偶数フィールドと奇数フィールドでわ
ずかに画素に保持される電圧に差が生じる。これは、T
FT12のオン電流およびオフ電流が映像信号により異
なる、あるいは配向膜などの正電界と負電界での保持特
性の違いにより生じる。この違いによりフリッカという
現象があらわれる。
【0255】しかし、本発明の投写型表示装置では(図
15)に示すようにG光変調用の信号をR・B光変調用
の信号と逆極性にすることにより、フリッカが視覚的に
見えることを防止できる。なお、G光変調用の信号を他
と逆極性にしたのは、光の強度がR:G:B=3:6:
1であり、信号の極性および人間の視覚を考慮したとき
(R+B):G=(3+1):6=4:6となり、ほぼ
4:6(理想的には1:1がよい)でつりあうようにす
るためである。
【0256】以上の理由により、本発明の投写型表示装
置はフリッカが視覚的に認識されることなく、良好な画
像表示を実況している。
【0257】以下、他の本発明の投写型表示装置につい
て説明していくが、主として第一の実施例の差異につい
て説明をする。したがって(図20)において説明した
表示パネルに関する事項、駆動回路に関する事項、光学
系に関する事項は他の本発明の投写型表示装置にも場合
に応じて随時適用される。
【0258】(図20)は3つの投写レンズ205によ
りスクリーンに拡大投映する方式であるが、一つの投写
レンズで拡大投映する方式もある。その構成図を(図2
1)に示す。ここでは説明を容易にするため、217G
をG光の映像を表示する表示パネル、217RをR光の
映像を表示する表示パネル、217BをB光の映像を表
示する表示パネルとする。したがって、各ダイクロイッ
クミラーを透過および反射する波長は、ダイクロイック
ミラー215aはR光を反射し、G光とB光を透過す
る。ダイクロイックミラー215bはG光を反射し、R
光を透過させる。ダイクロイックミラー215cはB光
を透過し、G光を反射させる。また、ダイクロイックミ
ラー215dはB光を反射させ、G光およびR光を透過
する。
【0259】メタルハライドランプ(図示せず)から放
射された光は全反射ミラー213aにより反射され、光
の進行方向を変化させられる。前記光はダイクロイック
ミラー215a、215bによりR・G・B光の3原色
の光路に分離され、R光はフィールドレンズ216R
に、G光はフィールドレンズ216Gに、B光はフィー
ルドレンズ216Bにそれぞれ入射する。各フィールド
レンズ216は各光を集光する。表示パネル217はそ
れぞれ映像信号に対応して液晶の配向を変化させ、光を
変調する。このように変調されたR・G・B光はダイク
ロイックミラー215c、215dにより合成され、投
写レンズ218によりスクリーン(図示せず)に拡大投
映される。
【0260】以下、反射型の本発明の表示パネルをライ
トバルブとして用いた本発明の投写型表示装置の実施例
を(図22)を参照しながら説明する。
【0261】光源201は、赤色(R)、緑色(G)、
青色(B)の3原色の色成分を含む光を放射する。凹面
鏡201bは先にも説明したようにガラス製で、反射面
に可視光を反射し赤外光を透過させる多層膜を蒸着した
ものである。ランプ201aからの放射光に含まれる可
視光の一部は、凹面鏡201bの反射面により反射す
る。凹面鏡201bから出射する反射光は、フィルタ2
01cにより赤外線と紫外線とが除去されて出射する。
【0262】投写レンズ221は液晶表示パネル側の第
1レンズ群221bとスクリーン側の第2レンズ群22
1aとで構成され、第1レンズ群221bと第2レンズ
群221aとの間には平面ミラー222が配置されてい
る。表示パネル226の画面中心にある画素から出射す
る散乱光は、第1レンズ群221bを透過した後、約半
分が平面ミラー222に入射し、残りが平面ミラー22
2に入射せずに第2レンズ群221aに入射する。平面
ミラー222の反射面の法線は投写レンズ221の光軸
224に対して45°傾いている。光源201からの光
は平面ミラー222で反射されて第1レンズ群221b
を透過し、表示パネル227に入射する。なお、227
は(図18)等で示す本発明の表示パネルである。
【0263】表示パネル226からの反射光は、第1レ
ンズ群221b、第2レンズ群221aの順に透過して
スクリーン228に到達する。投写レンズ221の絞り
の中心から出て表示パネル226に向かう光線は、液晶
層24にほぼ垂直に入射するように、つまりテレセント
リックとしている。227aは偏光板でありP偏光を透
過するようにする。また、表示パネルの横電界の発生方
向はP偏光の方向となるように表示パネルの1H反転も
しくは1V反転たる駆動方法を選択している。
【0264】なお、ここでは説明を容易にするために、
226をR光を変調する表示パネル、226cをB光を
変調する表示パネル、226bをG光を変調する表示パ
ネルであるとして説明する。
【0265】(図22)でも示すように色分離手段と色
合成手段として、主にダイクロイックプリズムもしくは
ダイクロイックミラーが用いられる。本発明では前記ど
ちらの素子を用いてもよいが、説明を容易にするため、
主としてダイクロイックミラーを例にあげて説明をして
いる。
【0266】ダイクロイックミラーで反射した光はS偏
光の方がP偏光より帯域が広くなることが知られてい
る。逆にダイクロイックミラーを透過する光はP偏光の
方がS偏光の帯域より広くなる。
【0267】たとえば、前記ダイクロイックミラーがR
光を反射するダイクロイックミラーであれば、前記R光
のS偏光成分は広い帯域の波長の光が反射され、R光の
P偏光成分は広い帯域の波長の光が透過する。したがっ
て、S偏光のR光はG光の帯域に近い光も反射し、P偏
光のR光はG光の帯域に近い光も透過する。つまり、ダ
イクロイックミラーでR光の分離が良好に行なえないこ
とを意味する。これが色相を劣化させる要因である。色
相の劣化とは色再現性の低下とおきかえることができ
る。たとえば、本来R光のみを変調する表示パネルに、
そのパネルに入射する光にG光がまざっているためG光
もR光として変調してしまい、原画像の色を再現できな
くなることをいう。本発明では狭い帯域の偏光を表示パ
ネルで変調するようにしている。
【0268】したがって、(図22)の構成で色再現性
を良好とするためには、偏光板227aおよび227b
はP偏光を透過するように、偏光板227cはS偏光が
透過するようにすればよい。したがって、それぞれの液
晶パネル226は横電界の発生方向を考慮して、構造
(低誘電体柱構造、光吸収膜構造等)および駆動方式
(1H反転、1V反転駆動)を決定をする。
【0269】ダイクロイックミラー223は色合成系と
色分離系を兼用している。UVIRカットフィルタ20
1cの帯域は半値の値で430nm〜690nmであ
る。以後、光の帯域を記述する際は半値で表現する。ダ
イクロイックミラー223aはR光を反射し、G光およ
びB光を透過させる。G光はダイクロイックミラー22
3bで反射され表示パネル226bに入射する。R光の
帯域は600nm〜690nm、G光の帯域は510〜
570nmとする。また、ダイクロイックミラー223
bはB光を透過する。B光は表示パネル226cに入射
する。入射するB光の帯域は430nm〜490nmで
ある。各表示パネルはそれぞれの映像信号に応じて散乱
状態の変化として光学像を形成する。各表示パネルで形
成された光学系はダイクロイックミラー223で色合成
され、投写レンズ221に入射し、スクリーン228上
に拡大投写される。
【0270】(図18)に示すように表示パネル226
はマトリックス状に配置された反射電極182を有し、
反射電極182と対向電極181b間の電圧印加状態に
より、入射光を変調する。反射電極182に電圧が印加
されている画素上の液晶層24は透過状態となり、電圧
無印加の画素は散乱状態となる。液晶層24が透過状態
の時は、対向基板21から入射した光は反射電極182
で反射され、再び対向基板21より出射される。
【0271】(図22)はダイクロイックミラーを用い
て色分離色合成を行う装置であったが、ダイクロイック
プリズムを用いても色分離色合成を行なうことができ
る。その構成図を(図23)に示す。ダイクロイックプ
リズムには2つの光分離面232a、232bを有して
おり、前記光分離面232で白色光225aをR・G・
Bの3原色光に分離する。各表示パネル226は光結合
剤231を介してダイクロイックプリズム234に取り
つけられている。なお、233は補助レンズである。
【0272】ダイクロイックプリズム234の表面に
は、(図24)に示すように光吸収膜(黒色塗料)24
1が塗布されている。材料としては(図51)等に示す
光吸収膜511と同様のものが用いられる。前記光吸収
膜511は表示パネル226で散乱した光を吸収する機
能を有する。
【0273】表示パネル226はダイクロイックプリズ
ム234に貼りつけられ、前記ダイクロイックプリズム
231の無効領域(光が入出力しない面)に光吸収膜2
41が塗布されている。この構成は(図52)等に示し
たように、表示パネル72に透明基板501が光結合さ
れ、前記透明基板501の無効領域に光吸収膜511が
塗布されていることと機能的に類似する。つまり、透明
基板501をダイクロイックプリズム234とおきかえ
て考えればよい。
【0274】たとえば、表示パネル226aを中心に考
え、かつ、表示パネル226aはR光を変調すると考え
れば、入射光225aはダイクロイックプリズム234
の光入出射面242より入射し、光分離面232bでR
光が反射される。表示パネル226aは反射電極182
に印加された電圧の大きさに応じて光変調層24の散乱
度合を変化させる。そのうち透過光の成分は再び光分離
面232bで反射し、光入出射面242より出射され
る。散乱した光はそのほとんどが光吸収膜242に入射
して吸収され、光変調層24に再びもどり、2次散乱を
発生させることはない。
【0275】以上のことから(図23)においてダイク
ロイックプリズム234は色分離色合成の機能を有する
ほか、2次散乱光の発生を防止する機能を有することが
理解できるであろう。(図23)の本発明の構成は色分
離色合成系が非常に簡単で小型である。かつ、2次散乱
の防止機能をも有している。
【0276】以上の装置は、光散乱状態の変化として光
学像を形成する表示パネルをライトバルブ(光変調手
段)として用いて投写型表示装置である。しかし、本発
明の位相板でP偏光とS偏光とを変換し、色分離色合成
系での光の帯域幅を狭め、投写型表示装置の色相を改善
するという技術的思想は、他のランダム光を変調する表
示パネルを用いる投写型表示装置にも適用される。
【0277】1枚の液晶表示パネルでカラー画像を表示
するには(図63)に示すような構成をとればよい。
(図63)において、表示パネル401とは(図58)
から(図61)に例示されるカラーフィルタ612を有
するものである。偏光板71は付加してもしなくてもよ
い。付加した方が表示コントラストが良好となるのは言
うまでもない。また、偏光板71を付加する場合は(図
7)または(図8)に示すように横電界の発生方向を考
慮してその偏光軸73の方向を決定する。
【0278】(図62)の構成では一枚の液晶表示パネ
ル401で変調された光学像が投写レンズ218によっ
てスクリーンに投写されカラー画像が表示される。
【0279】次に、さらに投写光学系に改良を加え、良
好な色再現性を確保し、かつ、高輝度表示、高コントラ
スト表示と実現できる投写型表示装置について説明をす
る。
【0280】ライトバルブとしてPD液晶表示パネルを
用いる投写型表示装置は、明るい投写画像が得られる利
点がある反面、有効Fナンバーの小さい投写レンズを用
いると、黒表示状態で散乱する光の多くが投写レンズに
より集光されてしまい、黒浮きを生じる。その結果、投
写画像のコントラストが低下する。有効Fナンバーの大
きい投写レンズを用いれば高いコントラストを得るが、
白表示状態において集光できない光が発生するので光損
失を生じる。光損失を抑制するには、投写レンズの有効
Fナンバーに合わせて照明光の有効Fナンバーを大きく
する必要がある。
【0281】有効Fナンバーの大きい、すなわち平行度
の良好な照明光を形成する場合、点光源に近い発光体を
用いなければ光損失が増加して高い光利用効率を得るこ
とは難しい。これに対し、一般にショートアーク型とし
て知られるメタルハライドランプの発光体は5〜10mm
程度の長さであり、点光源に近いとして知られるキセノ
ンランプの発光体は、2〜4mm程度の長さである。これ
らの発光体から放射される光を効率良く集光してライト
バルブ上を照明する光を形成すると、いずれの場合も、
ある程度の照射角を有するので、投写レンズの有効Fナ
ンバーをこれに整合させる必要がある。
【0282】光損失を増加させることなく照明光の有効
Fナンバーを大きくするために、発光体の大きさを小さ
くしようとすると、一般的なランプは寿命特性などの発
光特性が極端に劣化するので問題がある。また、発光体
に対して相対的に大きい表示領域のライトバルブを用い
ることは有効であるが、コンパクトな投写型表示装置を
構成することが困難となり、コストが高くなるので問題
がある。
【0283】従って、PD液晶表示パネルを用い、光損
失の少ない投写型表示装置を構成し、明るくコントラス
トの高い投写画像を得るには、照明光の有効Fナンバー
と投写レンズの有効Fナンバーを整合させる必要があ
る。ライトバルブから出射する光に対し、投写レンズが
必要最小限の開口を提供するので、投写レンズ内の迷光
を低減でき、コントラストの高い投写画像を得る。
【0284】また、照明光の有効Fナンバーと投写レン
ズの有効Fナンバーは、ライトバルブの表示領域上のあ
らゆる点において、良好に整合させることが好ましい。
特に、ライトバルブとしてPD液晶表示パネルを用いる
場合、投写画像の全領域におけるコントラストを均一に
するために重要である。そのためには、ライトバルブ上
の軸上点だけではなく、あらゆる軸外点について、照明
光の照射角と投写レンズの集光角を良好に制約できる必
要がある。従来、このように照明光の有効Fナンバーと
投写レンズの有効Fナンバーを制御することは難しく、
その結果、投写画像の画質が低下するので問題があっ
た。
【0285】上記問題点を解決した本発明の投写型表示
装置の構成図を(図25)に示す。本発明の投写型表示
装置は、光発生手段としての発光体252と、発光体の
放射する光を集光する集光手段と、集光手段から出射す
る光が入射する光伝達手段と、光伝達手段から出射する
光により照明される光変調手段としての本発明の表示パ
ネル(ライトバルブ204)と、ライトバルブ204上
の光学像をスクリーン上に投影する投写手段としての投
写レンズ251と、ライトバルブ204の入射側に配置
される第1開口絞り256と、ライトバルブの出射側に
配置される第2開口絞り258とを備えている。
【0286】光伝達手段は入力部収束レンズアレイ25
4と中央部収束レンズアレイ255と出力部収束レンズ
257からなり、入力部収束レンズアレイ254は複数
の入力部収束レンズ259を二次元状に配列してなり、
中央部収束レンズアレイ255は複数の入力部収束レン
ズ259と同数で対を成す複数の中央部収束レンズ26
0を二次元状に配列してなる。
【0287】入力部収束レンズ259の各々は対応する
中央部収束レンズ260の各々の主平面近傍に複数の二
次発光体を形成し、中央部収束レンズ260の各々は出
力部収束レンズ257と相まって対応する入力部収束レ
ンズ259の各々の主平面近傍の物体の像の各々を重畳
形態としてライトバルブ204の有効表示領域近傍に形
成し、出力部収束レンズ257は複数の二次発光体から
出射する光を投写レンズ251に有効に到達せしめる。
【0288】第1開口絞り256は複数の二次発光体の
近傍に配置し、第1開口絞り256から第2開口絞り2
58に至る光路に介在する光学素子は第1開口絞り25
6と第2開口絞り258を略共役の関係とならしめ、第
1開口絞り256は主として二次発光体の有効領域を通
過する光を選択的に通過せしめる開口形状を有し、第2
開口絞り258は前記ライトバルブの最白表示状態にお
いて第1開口絞り256を通過した光を選択的に通過せ
しめる開口形状を有するようにしたものである。
【0289】以下、まず(図25)を用いて本発明の投
写型表示装置の光学系の基本構成について説明をする。
投写型表示装置は、主として、光発生手段としてのメタ
ルハライドランプ256a、放物面鏡206b、UV−
IRカットフィルタ201cからなる光源206、入力
部収束レンズアレイ254、中央部収束レンズアレイ2
54、絞り256、出力部収束レンズ、本発明の表示パ
ネルであるPD液晶表示パネル204、投写手段として
の投写レンズ251、絞り258から構成される。投写
レンズ251は、前レンズ群251aと後レンズ群25
1bから構成される。出力部収束レンズ257と後群レ
ンズ251bは、絞り256と絞り258を互いに共役
の関係とする。
【0290】入力部収束レンズアレイ254は、複数の
入力部収束レンズ259を二次元状に配列して構成す
る。その構成の一例を(図27)に示す。矩形の開口を
有する10個の入力部収束レンズ259を正円の領域に
内接するように配列している。10個の入力部収束レン
ズ259は、同一開口形状の平凸レンズであり、矩形開
口の長辺と短辺の比を4:3としている。つまり、PD
液晶表示パネル204の有効表示領域の画面形状にして
いる。もし、画面形状が16:9であれば入力部収束レ
ンズ259も16:9にする。
【0291】中央部収束レンズアレイは、複数の中央部
収束レンズ260を二次元状に配列して構成する。入力
部収束レンズ259と同数で同一開口を有する中央部収
束レンズ260を、入力部収束レンズアレイ254と同
様に配列している。
【0292】投写型表示装置における照明の手順を説明
する。メタルハライドランプ206aの発光体252か
ら放射される光は、放物面鏡206bにより反射されて
光軸264とおよそ平行に進行し、入力部収束レンズア
レイ254に入射する。放物面鏡206bから出射する
光の断面形状は一般に正円となるので、入力部収束レン
ズ259の開口の総和がこれに内接するように入力部収
束レンズアレイ254を構成する。入力部収束レンズア
レイ254を通過した光は、入力部収束レンズ259と
同数の部分光束に分割され、各部分光束は、PD液晶表
示パネル204の有効表示領域を照明する。
【0293】入力部収束レンズ259を通過した光は、
各々、対応する中央部収束レンズ260の開口に導かれ
て収斂される。中央部収束レンズ260の各々の開口上
には、二次発光体、例えば261A、261Bが形成さ
れる。中央部収束レンズアレイ255上に形成される複
数の二次発光体261の一例を、(図28)に模式的に
示す。中央部収束レンズ260は、各々、対応する光を
PD液晶表示パネル204の表示領域上に有効に伝達す
る。具体的に、対応する入力部収束レンズ259の主平
面上の物体、例えば、262A、262B、の実像26
3をPD液晶表示パネル204の表示領域近傍に形成す
る。ただし、各々の中央部収束レンズ260は適当に偏
心させており、複数の像を重畳させて1つの実像263
を形成する。
【0294】以上の構成によれば、PD液晶表示パネル
204の表示領域と入力部収束レンズ259の各々の開
口とは、互いにおよそ共役の関係となる。従って、入力
部収束レンズ259の開口をPD液晶表示パネル204
の表示領域と相似形状とすれば、照明光の断面と表示領
域の形状を整合させて、光損失を抑制できる。従って、
(図27)に示した入力部収束レンズアレイ254は、
NTSCに対応したアスペクト比が4:3の映像を表示
するPD液晶表示パネル204と組み合わせて用いると
よい。
【0295】一般に、放物面鏡などの凹面鏡から出射す
る光には、比較的大きな明るさむらがある。明るさむら
の大きい光をそのまま伝達してPD表示液晶パネル20
4を照明すると、投写画像の明るさの均一性が低下す
る。明るさが比較的均一な領域のみを利用して照明する
と、利用できない光が増加するので光利用効率が低下す
る。これに対し、本発明の投写型表示装置は、高い光利
用効率を得ると共に、明るさの均一性の優れた投写画像
を得ることができる利点がある。その理由を以下に述べ
る。
【0296】入力部収束レンズアレイ254は、明るさ
むらの大きな光を複数の部分光束に分割する。各部分光
束の入力部収束レンズ259の開口上における明るさむ
らは、分割前の光束断面の明るさむらと比較して小さ
い。中央部収束レンズ260の各々は、明るさむらの少
ない部分光束を適当な大きさに拡大し、PD液晶表示パ
ネル204の表示領域上に重畳させる。従って、明るさ
の均一性の良好な照明を実現できる。
【0297】入力部収束レンズ259の開口の総和を入
射する光束の断面に内接させるので、入力部収束レンズ
アレイ254における光損失は少ない。また、中央部収
束レンズ260の開口の各々を二次発光体261に対し
て十分な大きさとするので、中央部収束レンズアレイ2
55における光損失は少ない。さらに、PD液晶表示パ
ネル204に入射する光の断面を表示領域の形状に整合
させるので、PD液晶表示パネル204における光損失
は少ない。従って、発光体252から放射される光の大
部分は、放物面鏡206bにより反射され、入力部収束
レンズアレイ254、中央部収束レンズアレイ255、
出力部収束レンズ257、PD液晶表示パネル204を
通過して投写レンズ251に到達する。従って、投写レ
ンズ251における光損失を抑制すれば、高い光利用効
率を実現し、明るく、明るさの均一性の優れた投写画像
を得る。
【0298】ところで、中央部収束レンズアレイ255
上には離散的に複数の二次発光体261が形成されるの
で、この場合の照明光の有効Fナンバーは、二次発光体
261の面積の総和から等価的に換算される照射角から
定める必要がある。一方、PD液晶表示パネル204か
ら光軸264と最も角度を成して出射する光の集光角
は、この等価的な照射角よりも大きな値となる。従っ
て、光損失を抑制するためには、投写レンズ251の有
効Fナンバーを照明光の実効的な有効Fナンバーよりも
小さくする必要がある。これは、PD液晶表示パネル2
04の場合に、投写画像のコントラストを低下させるの
で問題がある。
【0299】これに対し、本実施例の投写型表示装置
は、絞り256と絞り258の働きにより、光損失を増
加させることなく照明光側と投写レンズ側の開口をいず
れも必要最小限の大きさにできるので、コントラストの
低下を抑制できる。具体的には、離散的に形成される二
次発光体261の有効領域に合わせて、照明光側の絞り
256の開口を(図29)に示すような形状とする。破
線は(図29)の中央部収束レンズ260の各々の開口
に対応する。また、投写レンズ側の絞り258の開口上
には二次発光体261の実像が形成されるので、絞り2
58の開口形状も、絞り256の開口形状と同様にす
る。これにより、絞り256を通過した光は絞り258
を通過するので、高い光利用効率を実現できる。同時
に、投写レンズ251は照明光が必要とする必要最小限
の開口を提供するので、コントラストの高い表示画像を
実現できる。その結果、明るく高画質の投写画像を提供
できるので、非常に大きな効果を得ることができる。
【0300】本発明の投写型表示装置に用いる入力部収
束レンズアレイ254、中央部収束レンズアレイ25
5、絞り256、絞り258は、以下のように構成する
となお良い。(図30)は、この場合の中央部収束レン
ズアレイ255の構成を示す。一般に、二次発光体26
1の大きさは、光軸近傍に位置する入力部収束レンズ2
59の形成するものほど大きい。従って、中央部収束レ
ンズ260の各々の開口は必ずしも同一である必要はな
く、二次発光体261の各々に対して必要十分な大きさ
とすればよい。開口を有効に異ならせた複数の中央部収
束レンズ260を凝集して配列し、中央部収束レンズア
レイ255を構成すれば、開口領域の総和を小さくでき
る利点がある。中央部収束レンズアレイ255と組み合
わせる入力部収束レンズアレイ254は、(図28)に
示したものと同様に構成し、入力部収束レンズの各々を
適当に偏心させ、対応する中央部収束レンズ260の開
口中心に二次発光体261を形成すればよい。
【0301】この場合、照明光側の絞り256の代わり
に(図31)に示す開口形状の絞り256を用いるとよ
い。投写レンズ側の絞り258についても同様である。
これにより、光損失を生じることなく、中央部収束レン
ズアレイの開口径を小さくでき、かつ、投写レンズ25
1のレンズ径を小さくできる利点がある。
【0302】本実施例の投写型表示装置は、以上述べた
ように離散的に複数の二次発光体を形成してライトバル
ブを照明する場合に、より大きな効果を得る。最大集光
角の大きな投写レンズを用いたとしても、離散的に複数
の開口を有する絞りを備えることで、ライトバルブから
出射する光に対して必要最小限の開口を提供できる。そ
の結果、明るくコントラストの高い投写画像を得ること
ができる。
【0303】(図26)は(図25)を基本構成として
3枚の本発明の表示パネル204を用いてカラー画像を
表示できるようにした投写型表示装置の構成図である。
なお、(図25)においてカラー画像を表示するために
は、(図57)等で示すカラーフィルタ付の本発明の表
示パネルをライトバルブとして用いればよい。
【0304】メタルハライドランプ206aは、三原色
を含む光を放射する発光体252を形成する。(図2
5)に示したものと同様の手順により、PD液晶表示パ
ネル204a、204b、204cの各表示領域を照明
する。ただし、ダイクロイックミラー266a、266
bと、平面ミラー265bの働きにより、照明光は三原
色の色光に分解され、それぞれ対応するPD液晶表示パ
ネル204a、204b、204cの表示領域上に導か
れる。
【0305】PD液晶表示パネル204は、各々の表示
領域上には外部から供給される映像信号に応じて、三原
色に対応した光学像が形成される。投写レンズ251
は、前レンズ群251a、後レンズ群251bから構成
され、三原色の光学像をスクリーン上に拡大投影する。
PD液晶表示パネル204から出射する光は、ダイクロ
イックミラー266c、266dと、平面ミラー265
aの働きにより一つの光路が合成されるので、フルカラ
ーの投写画像を得る。
【0306】照明光側の絞り256と投写レンズ側の絞
り258は、(図29)または(図31)に示したもの
と同様のものを、同様の目的で用いる。絞り256と絞
り258が互いに共役の関係となるように、出力部収束
レンズ257と後群レンズ251aを適切に構成する。
以上のように構成することにより、色再現性がなく、か
つ高輝度、高コントラスト表示のカラー表示の投写型表
示装置を実現できる。他の点については(図25)で説
明したので説明を省略する。
【0307】本発明の表示パネルを用いてビデオカメラ
等の再生画像表示装置として用いるビューファインダを
構成することもできる。なお、ビューファインダとは発
光源と液晶表示パネルおよび前記液晶表示パネルの画像
を拡大してみるレンズ等を具備するものをいい、以下に
説明するビデオカメラ用のビューファインダ、また、ヘ
ッドマウントディスプレイの画像表示部の構成等が該当
する。(図32(a))は本発明のビューファインダの
外観図である。258は接眼カバーであり、259はビ
デオカメラとの取り付け金具である。257はボデーで
あり、前記ボデー257内にレンズおよび本発明の透過
型の表示パネル254等が格納されている。
【0308】(図32(b))は(図32(a))に示
すボデー257内部の構成を示している。251は発光
素子、253は集光レンズ、254は本発明の表示パネ
ル、256は拡大レンズである。
【0309】一例として、表示パネル254の表示領域
の対角長は28mmであり、集光レンズ253は有効直
径が30mm、焦点距離が15mmである。集光レンズ
253の焦点の近傍に発光素子251が配置されてい
る。集光レンズ253は平凸レンズであり、平面を発光
素子251側に向けている。ボデー257の端部に接眼
リング255が装着されている。接眼リング255に
は、拡大レンズ166が装着されている。ボデー257
の内面は不要光を吸収するための黒色あるいは暗色にし
ている。
【0310】252は中央部に円形の穴のあいた遮光板
である。発光素子251から光が放射される領域を小領
域にする機能を有している。穴の面積が大きくなると表
示パネルの表示画像は明るくなるが、コントラストは低
下する。これは集光レンズで252に入射する光量は多
くなるが、入射光の指向性が悪くなるためである。前述
のような表示パネルの表示領域の対角長が28mmの場
合、光を放射する領域は15mm2以下にすべきであ
る。これは直径がほぼ4mm強のピンホールの穴径に相
当する。好ましくは10mm2以下とすべきである。し
かし、あまり穴の直径を小さくしすぎると、光の指向性
が必要以上に狭くなり、ビューファインダを見る際に、
視点を少しずらしただけで極端に表示画面が暗くなる。
したがって、穴の面積は少なくとも2mm2以上の領域
を確保すべきである。一例として、直線3mmの穴径の
時、従来の面光源を用いるビューファインダと同等の表
示画面の輝度が得られ、その時のコントラストも良好で
あった。光を放射する領域、つまり穴径は直径0.5m
mから5mm以下の範囲と考えられるべきである。ただ
し、これは表示画面の対角長が28mmの場合であっ
て、対角長が長くなれば、対角長に応じて最適な穴径も
変化する。
【0311】発光素子251から広い立体角に放射され
た光は、集光レンズ253により平行に近く、指向性の
狭い光に変換され、表示パネル254の対向電極(図示
せず)側から入射する。観察者は、接眼リング255に
眼を密着させて、もしくは接眼カバー258に密着させ
て、表示パネル254の表示画像を見ることになる。つ
まり、観察者の瞳の位置はほぼ固定されている。表示パ
ネル254の全画素が光を直進させる場合を仮定した
時、集光レンズ253は発光素子251から放射され、
前記集光レンズ253の有効領域に入射する光が拡大レ
ンズ256を透過した後に、すべて観察者の瞳に入射す
るようにしている。レンズ255は拡大レンズとして機
能するので、観察者は表示パネル254の小さな表示画
像を拡大して見ることができる。
【0312】ビューファインダは観察者の瞳の位置が接
眼カバー258によりほぼ固定されるため、その背後に
配置する光源は指向性が狭くてもよい。光源として蛍光
管を用いたライトボックスを用いる従来のビューファイ
ンダでは、表示パネルの表示領域とほぼ同じ大きさの領
域からある方向の微小立体角内に進む光だけが利用さ
れ、他の方向に進む光は利用されない。つまり、光利用
効率が非常に悪い。
【0313】本発明では、発光体の小さな光源を用い、
その発光体から広い立体角に放射される光を集光レンズ
253により平行に近い光に変換する。こうすると、集
光レンズ253からの出射光は指向性が狭くなる。観察
者の視点が固定されておれば前述の狭い指向性の光でも
ビューファインダの用途に十分となる。発光体の大きさ
が小さければ、当然、消費電力も少ない。以上のよう
に、本発明のビューファインダは観察者が視点を固定し
て表示画像を見ることを利用している。通常の直視液晶
表示装置では一定の視野角が必要であるが、ビューファ
インダは所定方向から表示画像を良好に観察できれば用
途として十分である。
【0314】集光レンズ253が無収差で、透過率が1
00%の場合、集光レンズを通して見た発光体の輝度は
発光体自身の輝度と等しい。カラーフィルタ、偏光板、
画像の開口率等を含めた表示パネルの最大透過率を3
%、集光レンズ163の透過率を90%、ビューファイ
ンダとして必要な輝度を15〔ft−L〕とすると、光
源に必要な輝度は約560〔ft−L〕となる。これら
を満足する発光素子としては陰極線管、蛍光管等の発光
原理を用いた発光管、蛍光発光素子、キセノンランプ、
ハロゲンランプ、タングステンランプ、メタルハライド
ランプ、LED、EL(Electro Lumine
scence)などの電子の動作により発光する素子、
PDP(Plasma Display Panel)
などの放電により発光するもの等の自己発光を行なうも
のが例示される。これらのどの発光素子でも光発生手段
として用いてもよいが、中でも低消費電力、小型、白色
発光を行える等の点から、発光管、LEDおよび蛍光発
光素子が最適である。中でも、ミニパイロ電機(株)の
ルナパステル07シリーズ(直径7mmの発光管)が消
費電力も少なく最適である。
【0315】表示パネル254は、各画素への印加電圧
を変えるとその画素の光散乱度合が変化する。電圧無印
加の場合に光散乱度合が最も大きく、印加電圧を大きく
すると、光散乱度合が減少する。指向性の狭い光を表示
パネル254に入射し、光散乱度合を変化させると、そ
の画素からの観察者の瞳に入射する光量が変化する。つ
まり、観察者からみた画素の輝度が変化するので、これ
を利用して画像表示を行う。
【0316】表示パネル254にはモザイク状のカラー
フィルタ(図示せず)が取り付けられている。画素配置
はデルタ配置であり、画素数は約10万画素である。カ
ラーフィルタは赤、緑、青のいずれかの色を透過させ
る。カラーフィルタの構成物により各色の膜厚を制御し
てもよい。カラーフィルタの膜厚はカラーフィルタの作
製時に調整して形成する。つまりカラーフィルタの膜厚
を赤、緑、青で変化させる。カラーフィルタの膜厚によ
り各画素上の液晶の膜厚はそれぞれのカラーフィルタ色
に応じて調整する事ができる。特にPD液晶表示パネル
は、長波長の光(赤色光)に対する散乱特性が悪い。そ
こで、赤の画素の液晶層厚を他の青、緑の画素よりも液
晶層厚を厚くすれば、散乱特性を向上させることがで
き、赤、緑、青の諧調性を揃えることができる。つま
り、(図57)から(図60)の構成の本発明の表示パ
ネルを用いればよい。
【0317】表示パネル254からの出射光の一部は観
察者の瞳に入射するが、他の光は迷光となり、表示画像
のコントラストを低下させる要因となる。この問題を回
避するために、ボデー257と接眼リング258の内面
は、光の反射を防止するために黒色あるいは暗色として
いる。
【0318】集光レンズ253は平面、つまり曲率半径
の大きい面を発光体251側に向けている。これは、正
弦条件を満足しやすくして、表示パネル254の表示画
像の輝度均一性を良好にするためである。ただし、集光
レンズ253は前述の平凸レンズに限定するものではな
く、通常の正レンズでもよいことは言うまでもない。
【0319】接眼リング255のボデー257への挿入
度合を調整することにより、観察者の視力に合わせてピ
ント調整を行なうことができる。なお、接眼カバー25
8により観察者の眼の位置が固定されるので、ビューフ
ァインダの使用中に視点位置がずれることはほとんどな
い。視点が固定されておれば表示パネル254への光の
指向性が狭くても観察者は良好な画像を見ることができ
る。さらに良好に見えるようにするには発光素子251
からの光の放射方向を最適な方向に移動させればよい。
そのため、発光素子251は、前後あるいは左右に多少
移動できるように位置調整機構が付加しておくことが好
ましい。
【0320】以上のように本発明のビューファインダは
発光素子251の小さな発光体から広い立体角に放射さ
れる光を、集光レンズ253により効率良く集光するの
で、蛍光管を用いた面光源のバックライトを用いる場合
に比較して、光源の消費電力を大幅に低減することがで
きる。
【0321】なお、本発明の表示パネルにおいて24は
説明を容易にする観点からPD液晶であるとして説明を
したが、これに限定するものではない。動的散乱モード
(DSM)液晶等の散乱一透過により光を変調するもの
に置きかえてもよい。また、強誘電液晶も比較的膜厚が
厚いとき散乱現象をおこすことが知られている。したが
って、強誘電液晶を用いてもよい。その他、光散乱状態
の変化として光学像を形成する(光変調を行なう)もの
としてPLZTが知られている。本発明の表示パネルお
よびそれを用いた表示装置はこれらを包含するものであ
る。
【0322】また、(図1)に示すように本発明の表示
パネルに用いるアレイ基板の構成は前段ゲート方式とし
たが、これに限定するものではない。たとえば、画素電
極11とゲート信号線13とが積層されず、別の層に形
成した電極と画素電極11との間に付加コンデンサ44
を形成する共通電極方式であってもよい。この場合、ゲ
ート信号線13から発する電気力線はシールドされな
い。したがって、ゲート信号線13と画素電極11間の
横電界対策が重要となる。この対策としては、ゲート信
号線13およびその近傍に低誘電体膜185、低誘電体
粒562あるいは遮光柱571を形成することにより行
えばよい。
【0323】また、(図22)の本発明の投写型表示装
置において、ライトバルブとして用いる本発明の表示パ
ネルに偏光板277を付加する場合、偏光板277の偏
光軸73は入射する光の帯域の狭い偏光(P偏光または
S偏光)の方向にするとした。また、好ましくは、(図
5)(図7)に示す横電界の発生方向を考慮して駆動方
法を決定するとした。
【0324】これらの技術的思想は、(図20)(図2
1)さらに(図26)に示す本発明の透過型の表示パネ
ルをライトバルブとして用いる本発明の投写型表示装置
にも適応できる。たとえば、(図20)の投写型表示装
置において、各表示パネルの光入射側に偏光板71を配
置する場合はP偏光の方向と偏光板71の偏光軸73を
一致させればよい。P偏光の方が光の帯域が狭いからで
ある。また、(図26)では表示パネル204aと20
4bの入射側に配置する偏光板71の偏光軸73はP偏
光の方向に、表示パネル204cの入射側に配置する偏
光板71の偏光軸73はS偏光の方向にする。(図2
1)(図23)の投写型表示装置でも同様に構成すれば
よい。
【0325】
【発明の効果】本発明の請求項1から4に記載の液晶
示パネルの効果として主として共通する事項は、画素電
極周辺部等からの光抜けを防止し表示コントラストを大
幅に改善したことである。
【0326】本発明の請求項1に記載の液晶表示パネル
のように、カラーフィルタでソース信号線等を被覆し、
電磁シールドすれば、カラーフィルタを形成する際にソ
ース信号線等を同時に被覆するだけであるから製造上容
易である。また、カラーフィルタは樹脂材料であり比較
的比誘電率が低く、低誘電体膜と同様、信号線からの電
界は、ほぼ完全にシールドされるため、光抜けは全く発
生しない。
【0327】また、本発明の請求項2に記載の液晶表示
パネルによれば、低誘電体柱を形成することにより、信
号線からの電界は、ほぼ完全にシールドされるため、光
抜けは全く発生しない。低誘電体柱は液晶層の膜厚を規
定する機能をも有する。つまり、液晶膜厚を規定するビ
ーズとしての役割をはたす。また、低誘電体柱を着色し
て遮光柱にすれば、液晶層内等で発生するハレーション
を防止することができる。
【0328】本発明の請求項3に記載の液晶表示パネル
によれば、隣接した画素に逆極性の信号を印加するた
め、請求項1記載の液晶表示パネルの効果に加えて、横
電界の発生が抑制され、さらに光抜けが抑制され高コン
トラスト表示を実現できる。
【0329】本発明の請求項4に記載の液晶表示パネル
によれば、隣接した画素に逆極性の信号を印加するた
め、請求項2記載の液晶表示パネルの効果に加えて、横
電界の発生が抑制され、さらに光抜けが抑制され高コン
トラスト表示を実現できる。
【0330】本発明の請求項5に記載の投写型表示装置
は、本発明の請求項1〜4のいずれかに記載の液晶表示
パネルをライトバルブとして用いることにより、画素周
辺部からの光抜けが防止され高コントラスト表示を実現
できる。
【0331】本発明の請求項6記載のビューファインダ
は、発光素子の小さな発光体から広い立体角に放射され
る光を集光レンズで平行に近く指向性の狭い光に変換
し、表示パネルで変調して画像を表示するため、消費電
力が少なく、輝度むらも少なくなる。画素周辺部からの
光抜けもなく、良好な画像表示を実現できる。
【0332】
【0333】
【0334】
【0335】
【0336】
【0337】
【0338】
【0339】
【0340】
【0341】
【0342】
【0343】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表示パネルの一実施例の平面図
【図2】本発明の表示パネルの一実施例の断面図
【図3】本発明の表示パネルの説明図
【図4】本発明の表示パネルの等価回路図
【図5】本発明の表示パネルの説明図
【図6】本発明の表示パネルの説明図
【図7】本発明の表示パネルの他の実施例の説明図
【図8】本発明の表示パネルの他の実施例の説明図
【図9】本発明の表示パネルの説明図
【図10】本発明の表示パネルの他の実施例の平面図
【図11】本発明の表示パネルの断面図
【図12】本発明の表示パネルの他の実施例の断面図
【図13】本発明の表示パネルの他の実施例の断面図
【図14】本発明の表示パネルの駆動回路のブロック図
【図15】本発明の表示パネルの駆動回路のブロック図
【図16】本発明の表示パネルの駆動方法を説明するた
めの説明図
【図17】本発明の表示パネルの駆動方法を説明するた
めの説明図
【図18】本発明の反射型の表示パネルの断面図
【図19】本発明の反射型表示パネルの説明図
【図20】本発明の投写型表示装置の構成図
【図21】本発明の投写型表示装置の他の実施例におけ
る構成図
【図22】本発明の投写型表示装置の他の実施例におけ
る構成図
【図23】本発明の投写型表示装置の他の実施例におけ
る構成図
【図24】本発明の投写型表示装置の説明図
【図25】本発明の投写型表示装置の構成図
【図26】本発明の投写型表示装置の構成図
【図27】本発明の投写型表示装置の説明図
【図28】本発明の投写型表示装置の説明図
【図29】本発明の投写型表示装置の説明図
【図30】本発明の投写型表示装置の説明図
【図31】本発明の投写型表示装置の説明図
【図32】本発明のビューファインダの外観図および断
面図
【図33】本発明の表示パネルの他の実施例の断面図
【図34】本発明の表示パネルの他の実施例の断面図
【図35】本発明の表示パネルの他の実施例の断面図
【図36】本発明の表示パネルの説明図
【図37】PD液晶の動作の説明図
【図38】本発明の表示パネルの説明図
【図39】従来の表示パネルの断面図
【図40】従来の表示パネルの説明図
【図41】従来の表示パネルの説明図
【図42】従来の表示パネルの課題の説明図
【図43】本発明の表示パネルの特性図
【図44】本発明の表示パネルの特性図
【図45】本発明の表示パネルの特性図
【図46】本発明の表示パネルの特性図
【図47】本発明の表示パネルの他の実施例の断面図
【図48】本発明の表示パネルの一部平面図
【図49】本発明の表示パネルの他の実施例の断面図
【図50】本発明の表示パネルの他の実施例における構
成図
【図51】本発明の表示パネルの変形例の説明図
【図52】本発明の表示パネルの他の実施例の構成図
【図53】本発明の表示パネルの変形例の説明図
【図54】本発明の表示パネルの説明図
【図55】本発明の表示パネルの説明図
【図56】本発明の表示パネルの他の実施例の断面図
【図57】本発明の表示パネルの他の実施例の断面図
【図58】本発明の表示パネルの他の実施例の断面図
【図59】本発明の表示パネルの他の実施例の断面図
【図60】本発明の表示パネルの他の実施例の断面図
【図61】本発明の表示パネルの他の実施例の断面図
【図62】本発明の表示パネルの他の実施例の断面図
【図63】本発明の投写型表示装置の他の実施例の構成
【符号の説明】
11a,11b,11c,11d,11e 画素電極 12a,12b,12c,12d TFT 13a,13b ゲート信号線 14a,14b ソース信号線 15a,15b,15c,15d,15e 遮光膜 16a,16b,16c,16d BM 21 対向基板 22 アレイ基板 23 対向電極 24 液晶層 25a,25b,25c,25d,25e,25f 絶
縁膜 31 水滴状液晶 32 ポリマー 41 ゲートドライブ回路 42 ソースドライブ回路 43 画素 44 付加コンデンサ 51 液晶分子 52 電気力線 71a,71b,227a,227b,227c 偏光
板 72 液晶表示パネル 73 偏光軸 74 横電界発生方向 121 遮光膜 141 アンプ 142 位相分割回路 143 出力切り換え回路 144 ドライブ制御回路 181a,181c 誘電体薄膜 181b 対向電極 182,182a,182b,182c 反射電極 183 接続部 184 絶縁膜 185 低誘電体膜 201 光源 201a ランプ 201b 凹面鏡 201c UVIRカットフィルタ 202 リレーレンズ 203a,203b,203c,223a,223b,
223c,266a,266b,266c,266d
ダイクロイックミラー 215a,215b,215c,215d,204a,
204b,204c液晶表示パネル 217R,217G,217B,205a,205b,
205c,218,221,251 投写レンズ 206a,206b,206c,208a,208b,
208c レンズ群 207a,207b,207c アパーチャ 213a,213b,213c,222,265a,2
65b ミラー 216R,216G,216B フィールドレンズ 224 光軸 225a 入射光線 225b 出射光線 226a,226b,226c 表示パネル 228 スクリーン 231 光結合剤 232a,232b 光分離面 233 補助レンズ 234 ダイクロイックプリズム 242 光入出射面 241a,241b,241c 光吸収膜 252 発光体 254 入力部収束レンズアレイ 255 中央部収束レンズアレイ 256,258 絞り 257 出力部収束レンズアレイ 259 入力部収束レンズ 260 中央部収束レンズ 261 二次発光体 263 実像 264 光軸 267a,267b,267c 補助レンズ 251 発光ランプ 252 アパーチャ 253 集光レンズ 254 表示パネル 255 接眼リング 256 接眼レンズ 257 ボデー 258 接眼ゴム 259 取付け金具 261 入射光 262 法線 263 振動方向 264 ダイクロイックミラー 265 P偏光軸 266 光分離面 267 P偏光 268 P偏光面 269 偏光板の偏光軸 381 偏光ビームスプリッタ 382 光分離面 271 BM 272 TN液晶層 273a,273b 配向膜 401 ライトバルブ 411 画素開口部 412 逆ドメイン領域 471 凸部 472 ソース信号線 491 遮光膜 492 絶縁膜 501a,501b 透明基板 502a,502b 光結合剤 511 光吸収膜 512 凹レンズ 513 凸レンズ 521 反射防止膜 551 入射光 552 散乱光 553 反射光 554 透過光 555 界面 561 BM 562 低誘電体柱 563,564 電気力線 611a,611b 誘電体薄膜(紫外線吸収膜) 612a,612b,612c カラーフィルタ 24a,24b,24c 液晶層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−103830(JP,A) 特開 平3−200928(JP,A) 特開 平3−280015(JP,A) 特開 平5−5876(JP,A) 特開 平5−150747(JP,A) 特開 平5−158439(JP,A) 特開 平5−224189(JP,A) 特開 平5−232309(JP,A) 特開 昭62−67516(JP,A) 特開 昭63−55590(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/13 - 1/141

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マトリックス状に配置された第1の画素電
    極及び第2の画素電極が形成された第1の基板と、 対向電極が形成された第2の基板と、 前記第1の基板と第2の基板との間に挟持された液晶層
    と、 前記第1の画素電極と積層状態で形成された第1のカラ
    ーフィルタと、前記第1の画素電極に隣接して配置された前記第2の画
    素電極と積層状態で形成された第2のカラーフィルタと
    を具備し、 前記隣接した第1の画素電極と第2の画素電極との間
    で、前記第1のカラーフィルタと第2のカラーフィルタ
    とが重ねられ、 前記カラーフィルタの比誘電率は、前記液晶層の比誘電
    率よりも低い ことを特徴とする液晶表示パネル。
  2. 【請求項2】マトリックス状に配置された画素電極が形
    成された第1の基板と、 対向電極が形成された第2の基板と、 前記第1の基板と第2の基板との間に挟持された液晶層
    記液晶層の膜厚と略一致し、前記液晶層の膜厚を規定
    する誘電体柱とを具備し、前記誘電体柱の比誘電率は、前記液晶層の比誘電率より
    も低く、 前記誘電体柱は、前記液晶層で変調する光を吸収する色
    素または染料を含有する ことを特徴とする液晶表示パネ
    ル。
  3. 【請求項3】マトリックス状に配置された第1の画素電
    極及び第2の画素電極が形成された第1の基板と、 対向電極が形成された第2の基板と、 前記第1の基板と第2の基板との間に挟持された液晶層
    と、 前記第1の画素電極と積層状態で形成された第1のカラ
    ーフィルタと、前記第1の画素電極に隣接して配置された前記第2の画
    素電極と積層状態で形成された第2のカラーフィルタ
    と、 ソース信号線に映像信号を印加するソースドライバ回路
    とを具備し、 前記ソースドライバ回路は隣接した前記ソース信号線に
    逆極性の映像信号を印加し、前記隣接した第1の画素電極と第2の画素電極との間
    で、前記第1のカラーフィルタと第2のカラーフィルタ
    とが重ねられ、 前記カラーフィルタの比誘電率は、前記液晶層の比誘電
    率よりも低い ことを特徴とする液晶表示パネル。
  4. 【請求項4】マトリックス状に配置された画素電極が形
    成された第1の基板と、 対向電極が形成された第2の基板と、 前記第1の基板と第2の基板との間に挟持された液晶層
    と、 前記液晶層の膜厚と略一致し、前記液晶層の膜厚を規定
    する誘電体柱と、 ソース信号線に映像信号を印加するソースドライバ回路
    とを具備し、 前記ソースドライバ回路は隣接した前記ソース信号線に
    逆極性の映像信号を印加し、 前記誘電体柱の比誘電率は、前記液晶層の比誘電率より
    も低く、 前記誘電体柱は、液晶層で変調する光を吸収する色素ま
    たは染料を含有することを特徴とする液晶表示パネル。
  5. 【請求項5】光発生手段と、 請求項1から請求項4のいずれかに記載の液晶表示パネ
    ルと、 前記液晶表示パネルで変調された光を投写する投写手段
    とを具備することを特徴とする投写型表示装置。
  6. 【請求項6】光発生手段と、 前記光発生手段からの出射光を変調する請求項1から請
    求項のいずれかに記載の液晶表示パネルと、 前記液晶表示パネルの光学像を拡大し、かつ拡大した光
    学像を観察者に見えるようにする拡大表示手段とを具備
    することを特徴とするビューファインダ。
JP2001099131A 1993-10-04 2001-03-30 液晶表示パネルおよびそれを用いたビューファインダおよび投写型表示装置 Expired - Fee Related JP3525907B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001099131A JP3525907B2 (ja) 1993-10-04 2001-03-30 液晶表示パネルおよびそれを用いたビューファインダおよび投写型表示装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5-247906 1993-10-04
JP24790693 1993-10-04
JP2001099131A JP3525907B2 (ja) 1993-10-04 2001-03-30 液晶表示パネルおよびそれを用いたビューファインダおよび投写型表示装置

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6202215A Division JPH07152023A (ja) 1993-10-04 1994-08-26 表示パネルおよびそれを用いた表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001330823A JP2001330823A (ja) 2001-11-30
JP3525907B2 true JP3525907B2 (ja) 2004-05-10

Family

ID=26538479

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001099131A Expired - Fee Related JP3525907B2 (ja) 1993-10-04 2001-03-30 液晶表示パネルおよびそれを用いたビューファインダおよび投写型表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3525907B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006330024A (ja) * 2005-05-23 2006-12-07 Sony Corp 液晶表示装置
JP7067185B2 (ja) 2018-03-27 2022-05-16 セイコーエプソン株式会社 表示装置
JP6911878B2 (ja) 2019-02-28 2021-07-28 セイコーエプソン株式会社 画像表示装置および虚像表示装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001330823A (ja) 2001-11-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5469278A (en) Liquid crystal panel and viewfinder for video camera and projection display using liquid crystal panel
US6545653B1 (en) Method and device for displaying image signals and viewfinder
US6218679B1 (en) Display panel and display device using the same
US5754260A (en) Projection type color liquid crystal optical apparatus
JP3393979B2 (ja) 画像表示パネルと画像表示装置およびそれを用いた投射型表示装置とビューファインダ
JP2004163817A (ja) プロジェクタ
JPH086023A (ja) 液晶表示装置および液晶投写型装置
JP3544595B2 (ja) 液晶表示装置の駆動方法および表示装置
US5617226A (en) Polymer dispersed liquid crystal projection display having polarizing means
JP2002107750A (ja) 液晶表示パネルとその駆動方法
JPH07152023A (ja) 表示パネルおよびそれを用いた表示装置
JP3269294B2 (ja) 液晶表示パネルと投写型表示装置とビューファインダ
JP3245990B2 (ja) 液晶パネルとその製造方法およびビューファインダと液晶投写型テレビ受像機
JP3525907B2 (ja) 液晶表示パネルおよびそれを用いたビューファインダおよび投写型表示装置
JP3257311B2 (ja) 液晶表示パネルと投写型表示装置
JP3525906B2 (ja) 液晶表示パネルおよびそれを用いたビューファインダおよび投写型表示装置
JP3323231B2 (ja) ビューファインダおよびそれを具備するカメラ
JP2884755B2 (ja) 投射型表示装置
JPH08304606A (ja) 反射光吸収板および表示パネルとそれを用いた表示装置
JP2001343624A (ja) 投写型表示装置
JPH0627456A (ja) 表示パネルおよびそれを用いた投写型表示装置
JPH11142813A (ja) ドライブ回路、液晶表示パネル、駆動方法、製造方法および表示パネルを用いた表示装置
JP3412626B2 (ja) 液晶表示パネルとビューファインダおよび投射型表示装置
JP2002162614A (ja) 投写型表示装置
JP2967067B2 (ja) 投射型表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040127

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040209

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080227

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090227

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100227

Year of fee payment: 6

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100227

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100227

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110227

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120227

Year of fee payment: 8

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120227

Year of fee payment: 8

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees