JP3523473B2 - 耐熱・耐寒性食品容器 - Google Patents
耐熱・耐寒性食品容器Info
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Description
樹脂製の耐熱・耐寒性食品容器に関し、さらに詳しく
は、ガスや電気式オーブンと電子レンジの両方に使用す
ることができ、しかも業務用オーブンやオーブンレンジ
での使用に耐える耐熱性と冷凍条件下での耐衝撃性とを
兼ね備え、熱変色が少なく、保香性に優れた飽和ポリエ
ステル樹脂製の食品容器に関する。本発明の食品容器
は、冷凍調理食品の包装容器として好適である。 【0002】 【従来の技術】従来より、調理加熱あるいは冷凍調理食
品などの再加熱の際には、ガスや電気を熱源として熱風
を循環させる方式のオーブン(コンベンショナルオーブ
ン)や電子レンジ(マイクロウェーブオーブン)が使用
されている。食品または冷凍調理食品は、一般に、トレ
ーなどの食品容器に入れて加熱される。また、冷凍調理
食品は、包装容器(食品容器)に充填して製造・販売さ
れ、家庭では、包装容器に入れたままで加熱されること
が多い。ガスや電気式オーブンと電子レンジの両方で使
用できる(デュアルオーブナブル;dual oven
able)食品容器が開発されれば、利便性が向上す
る。 【0003】従来、ガスや電気式オーブンで使用されて
きたアルミ製の容器は、耐熱性に優れているものの、マ
イクロ波を通さないので、電子レンジで加熱することが
できない。電子レンジにより、アルミ製容器の開口部か
ら加熱しても、加熱時間が長くかかり、しかもスパーク
する危険性がある。そこで、マイクロ波を通し、しかも
ガスや電気式オーブンでの加熱に耐える結晶化ポリエチ
レンテレフタレート(C−PET)製の容器(トレー、
ボウル、カップなど)が開発されている。C−PET製
容器は、通常、220℃までの加熱に耐えることができ
る。 【0004】ところが、近年、220℃を越える高度の
耐熱性を有する食品容器が望まれるようになっている。
例えば、調理済みの食品メーカーでは、業務用オーブン
による調理加工の工程で、包装容器に充填した食品に焦
げ目を付けるために、220℃を超える過酷な条件で加
熱することがある。また、業務用オーブンでは、庫内の
温度が250℃前後になることがある。一方、電子レン
ジによる加熱では焦げ目がつかないため、オーブン機能
を付加した電子レンジ(オーブンレンジ)が開発されて
いる。オーブンレンジでは、庫内にヒーターや熱風循環
機能が内蔵されている。このようなオーブンレンジを用
いて、調理加熱あるいは冷凍調理食品などの再加熱を行
うには、食品の包装容器に高度の耐熱性が求められる。 【0005】そのため、従来のC−PET製容器に代わ
る高度の耐熱性を有する合成樹脂製の食品容器の検討が
行われているが、充分に満足できるものが得られていな
い。耐熱性食品容器には、マイクロ波を反射、遮蔽、吸
収しないという電子レンジ適性を有することに加えて、
ガスや電気式オーブンにも耐える耐熱性を備えているこ
とが要求される。その耐熱性の程度も、220℃を越
え、好ましくは250℃前後の高温で熱変形することが
なく、熱変色も少ないことが望まれる。また、合成樹脂
製の食品容器には、溶出物などによる食品衛生上の問題
のないことが必要であり、耐水性や耐油性に優れている
ことも望ましい。 【0006】さらに、冷凍調理食品の包装に使用される
食品容器には、高度の耐熱性を有することに加えて、耐
寒衝撃性(耐寒性)に優れていることが求められる。冷
凍調理食品は、調理した食品を例えば−40℃以下の温
度にまで急速冷凍し、例えば−18℃以下の低温で貯蔵
や輸送が行われる。そのため、冷凍食品の包装容器に
は、冷凍加工や冷凍貯蔵、冷凍輸送などに耐える強度を
有することが必要とされる。包装容器が冷凍条件下で充
分な強度をもっていないと、様々な衝撃を受けて容易に
破損する。 【0007】従来のC−PET製容器は、製造工程にお
いて、均一かつ適度の結晶化度を有するように制御する
ことが困難である。C−PET製容器の耐熱性を上げる
ために、結晶化度を高めると、結晶化度が過度になっ
て、耐寒衝撃性が低下し、冷凍加工や冷凍貯蔵、冷凍輸
送などで破損事故が多発する傾向を示す。しかも、C−
PET製容器の結晶化度を高めても、220℃を越える
耐熱性を達成することは困難であり、220℃を越える
高温での加熱によって容易に変形する。一方、C−PE
T製容器の結晶化度を下げると、耐寒衝撃性を上げるこ
とができるが、耐熱性が低下し、220℃での加熱温度
にも耐えることができなくなる。 【0008】このように、冷凍調理食品の包装容器など
に使用される食品容器には、ガスや電気式オーブンと
電子レンジの両方に使用できること、220℃を越
え、好ましくは250℃前後の高温での加熱に耐える耐
熱性を有すること、冷凍条件下での強度に優れ、高度
の耐寒衝撃性を有することなどが要求されている。食品
容器には、この他に、食品衛生上の問題がないこと、加
熱による変色が少ないことなど、多くの特性が要求され
ている。しかしながら、従来、C−PET製容器に代わ
る耐熱性と耐寒衝撃性に優れた合成樹脂製の食品容器の
開発は困難であった。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ガス
や電気式オーブンと電子レンジの両方に使用することが
でき、しかも250℃前後の加熱に耐え、かつ、−40
℃の冷凍条件下での衝撃強度に優れた飽和ポリエステル
樹脂製の耐熱・耐寒性食品容器を提供することにある。
また、本発明の目的は、溶出物等の食品衛生上の問題が
なく、保香性に優れ、加熱時の変色が少ない飽和ポリエ
ステル樹脂製の耐熱・耐寒性食品容器を提供することに
ある。 【0010】本発明者らは、前記従来技術の問題点を克
服するために鋭意研究した結果、ポリ−1,4−シクロ
ヘキシレンジメチレンテレフタレート・イソフタレート
からなる非晶シートを熱成形して容器を形成し、その
際、成形条件を制御することにより、限定された特定の
範囲の密度を有する容器を作成したところ、高度の耐熱
性と耐寒衝撃性とを兼ね備えた食品容器の得られること
を見いだした。本発明の食品容器は、従来のC−PET
製容器の欠陥である耐熱性及び耐寒衝撃性の不足を改善
し、かつ、アルミ製容器では達成できなかった冷凍調理
食品などの電子レンジ加熱用容器として対応できると共
に、各種のガスや電気式オーブンあるいはオーブンレン
ジにて加熱することができる。また、本発明の食品容器
は、食品衛生安全性を有し、食品の香味を損なわない、
美麗で清潔、かつ、軽量なデュアルオーブナブル食品容
器である。本発明は、これらの知見に基づいて完成する
に至ったものである。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、ポリ−
1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート・
イソフタレートからなる非晶シートを熱成形して得られ
る密度が1.2015〜1.2120g/cm3の範囲
内にある耐熱・耐寒性食品容器が提供される。 【0012】 【発明の実施の形態】本発明では、飽和ポリエステル樹
脂として、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレン
テレフタレート・イソフタレートを使用する。この樹脂
は、1,4−シクロヘキサンジメタノールと、テレフタ
ル酸及びイソフタール酸との重縮合により得ることがで
きるコポリエステルである。テレフタル酸とイソフター
ル酸は、それぞれテレフタル酸ジメチル及びイソフター
ル酸ジメチルなどのアルキルエステルとして使用するこ
ともできる。テレフタル酸成分とイソフタル酸成分との
モル比は、所望により適宜決定できるが、通常、99.
9:0.1〜50:50、好ましくは、99:1〜7
0:30程度である。該コポリエステルの固有粘度(I
V)は、通常、0.7〜1.3dl/g、好ましくは、
0.85〜1.1dl/gである。該コポリエステル
は、通常は固相重合法により生産され、結晶化状態のペ
レットで供給されるが、ペレットの密度は、約1.21
50g/cm3である。 【0013】本発明で使用するポリ−1,4−シクロヘ
キシレンジメチレンテレフタレート・イソフタレートと
しては、市販品を使用することができるが、その実例と
して、米国イーストマン・ケミカル社製の商品名サーメ
ックス(THERMX)PCTA6761コポリエステ
ルを挙げることができる。このコポリエステルは、米国
FDAにより食品容器材料としての使用が認可されてお
り、その詳細は、米国連邦政府CFR21 subpa
rt §177.1240に示されている。日本のポリ
オレフィン等協議会は、自主規制基準(ポジテイブリス
ト)に従い、食品衛生安全性のある材料として、該コポ
リエステルの使用を認めている。 【0014】本発明の食品容器は、ポリ−1,4−シク
ロヘキシレンジメチレンテレフタレート・イソフタレー
ト(以下、「PCTA」と略記)からなる非晶シートを
熱成形することにより得ることができるが、熱成形の際
の成形条件を制御して、密度を1.2015〜1.21
20g/cm3の範囲内に調整する必要がある。PCT
Aのペレットを押出機に供給し、溶融押出してシートを
作成すると、実質的に非晶性のシート(非晶シート)が
得られる。ここで、実質的に非晶性とは、通常、結晶化
度が6%(密度1.1966g/cm3に対応)以下、
多くの場合、結晶化度が5%(密度1.1959g/c
m3)以下であることを意味する。この非晶シートを熱
成形(真空成形や圧空成形など)すると、結晶化度を高
めることができる。密度は、結晶化度と比例関係がある
ので、結晶化度が上がれば密度も上昇する。 【0015】しかしながら、PCTA非晶シートの熱成
形により得られた容器の密度(結晶化度)が低いと、耐
熱性が充分ではなく、250℃の高温に加熱すると、容
器が容易に変形する。一方、該容器の密度(結晶化度)
を高くすると、耐熱性に優れた容器を得ることができる
ものの、耐寒衝撃性が低下し、例えば、−40℃の低温
下での落下試験で容易に破損する。また、PCTA非晶
シートの熱成形では、所望の密度(結晶化度)を有する
容器を安定して得ることが困難である。すなわち、PC
TA非晶シートを通常の条件下で熱成形しても、所望の
高さの密度を有する容器を得ることが困難であり、しか
も密度の分布が均一ではないという問題がある。 【0016】そこで、本発明者らは、PCTAに適当な
結晶核剤を添加したり、熱成形時の結晶化処理条件を制
御することにより、1.2015〜1.2120g/c
m3(結晶化度13〜28%に対応)という極めて限定
された範囲内の密度を有する容器を作製したところ、2
50℃の加熱に耐える耐熱剛性と、−40℃の低温下で
の落下試験に耐える耐寒衝撃性とを兼ね備えた耐熱・耐
寒性食品容器の得られることを見いだした。本発明の食
品容器の密度は、好ましくは1.2029〜1.209
9g/cm3(結晶化度15〜25%)、より好ましく
は1.2036〜1.2085g/cm3(結晶化度1
6〜23%)である。PCTAからなる食品容器の密度
が前記範囲内にあることによって、高度の耐熱性と耐寒
衝撃性とをバランスさせることができる。 【0017】本発明の食品容器を製造するには、先ず、
PCTAの結晶化ペレットに結晶核剤、及び必要に応じ
て着色剤や酸化防止剤などの添加剤を加えて混合物を調
製する。結晶核剤としては、無機粒子や有機粒子などを
使用することができるが、密度(結晶化度)を所望の範
囲内に調整し易い点で、炭酸カルシウムなどの無機粒子
が好ましい。結晶核剤の配合割合は、PCTA100重
量部に対して、通常、0.01〜5重量部、好ましくは
0.05〜3重量部、より好ましくは0.1〜2重量部
である。本発明の食品容器を着色する場合には、着色剤
として、耐熱性のある無機顔料または有機顔料を添加す
ることができる。また、PCTAは、本来、淡い飴色を
有しているが、容器として高温で加熱すると、濃い褐色
に変わるので、酸化防止剤を配合することが好ましい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤が好まし
い。これらの添加剤は、必要に応じて、適量が配合され
る。添加剤は、食品衛生上の安全性が認められたものを
選択して使用する。 【0018】次に、PCTAの結晶化ペレットに結晶核
剤などを配合した混合物を押出機に供給し、溶融押出す
ることにより、非晶シートを作製する。密度が均一で、
耐熱性と耐寒衝撃性に優れた食品容器を得るには、溶融
押出工程において、PCTAの固有粘度(IV)の低下
が少なく、厚さ精度のよい均質な押出シートを得ること
が重要である。押出機としては、2軸同方向・真空脱気
式押出機を使用することが、固有粘度(IV)の低下を
10%以内に抑えた押出シートを得る上で好ましい。2
軸同方向・真空脱気式押出機を使用すると、加水分解性
のあるPCTAのペレットを予め乾燥せずに溶融押出し
ても、固有粘度(IV)の低下を充分に抑制することが
できる。押出工程により得られた押出シート(非晶シー
ト)の固有粘度(IV)の低下が大きすぎると、得られ
る食品容器の耐寒衝撃性が低下する。PCTAのペレッ
トを除湿式乾燥装置で予め乾燥する方法も採用可能であ
るが、設備コスト、運転コストが高く、経済的に不利で
ある。この押出工程により得られる非晶シートの厚さ
は、通常、0.2〜2.0mm、好ましくは、0.3〜
1.5mmであるが、この範囲に限定するものでない。 【0019】PCTA非晶シートは、圧空成形や真空成
形などの熱成形により容器に成形する。熱成形では、得
られる容器の密度(結晶化度)が前記の限定された範囲
内になるように精密に調整するために、加熱金型や冷却
金型の温度などの成形条件を制御する。熱成形法として
は、非晶シートを加熱ヒーターで予備加熱してから、加
熱金型内で熱成形し、次いで、冷却金型に移行させる2
段法がある。2段法では、例えば、圧空真空成形機と温
度制御装置の付いた加熱金型と冷却金型を直列に配置
し、加熱ヒーターにより予備加熱した非晶シートを供給
して、第1段として、150〜200℃、好ましくは1
60〜190℃、より好ましくは165〜180℃に温
度制御した加熱金型内で容器の形状に賦形し、次いで、
第2段として、10〜60℃、好ましくは20〜50
℃、より好ましくは30〜40℃に温度制御した冷却金
型に移行させて成形する。各金型では、圧縮空気と真空
圧により、シートを容器の形状に賦形する。加熱金型で
は、結晶化を促進し、冷却金型では、結晶化が過度に進
むのを抑制する。これによって、均一かつ所望の密度
(結晶化度)を有する容器を得ることができる。 【0020】上記の2段法は、金型費用が高価で、成形
サイクルも長いので、コストダウンが困難である。そこ
で、より簡易な成形方法として、精密に温度制御された
加熱金型のみによる1段法を採用することが好ましい。
1段法では、加熱金型内で熱成形と結晶化を同時に行
う。1段法では、例えば、圧空真空成形機と温度制御装
置の付いた加熱金型に、加熱ヒーターにより予備加熱し
た非晶シートを供給し、165〜175℃に温度制御し
た加熱金型内で容器の形状に賦形し、同時に、圧空冷却
により結晶化を抑制して、均一かつ所望の密度(結晶化
度)を有する容器を得る。この成形法では、金型の表面
温度を所定の温度±3℃以内に制御することが好まし
い。 【0021】本発明の食品容器の形状及び大きさは、特
に限定されず、例えば、トレー、ボウル、カップなどの
各種形状とすることができる。本発明の食品容器は、業
務用オーブンやオーブンレンジなどで、250℃で15
分間加熱しても、変形することがなく、変色も少なく、
実用上充分な耐熱剛性を有している。また、本発明の食
品容器は、−40℃の低温下での落下試験でも破損する
ことがなく、充分な耐寒衝撃性を有している。本発明の
食品容器は、ガスや電気式オーブン及び電子レンジの両
方で使用できるデュアルオーブナブル容器である。さら
に、本発明の食品容器は、熱安定性に優れ、食品の味や
香りを侵さない、美麗な容器である。 【0022】したがって、本発明の食品容器は、食品充
填(常温)、オーブン加熱(250℃、10〜15分
間)、急速冷凍(−40℃)、包装・箱詰(−18℃以
下)の工程に充分に適応することができる。また、冷凍
調理食品を本発明の食品容器に充填した製品は、低温輸
送(−18℃以下)、低温貯蔵(−18℃以下)、解凍
(5℃)、店頭陳列(5℃)などの流通過程で充分な強
度を示し、破損事故を起こすことがなく、消費者の手に
渡った場合には、電子レンジ加熱、ガスや電気式オーブ
ン、オーブンレンジなどでの加熱調理が可能である。本
発明の食品容器は、冷凍調理食品の包装容器として特に
好適であり、デュアルオーブナブルな食品容器として使
用できる他、レトルト処理(加熱加圧殺菌)にも耐えら
れる。 【0023】 【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明に
ついて、より具体的に説明する。なお、物性の測定方法
は、以下の通りである。 (1)固有粘度(IV) イーストマン・ケミカル法による。測定個数10の平均
値。 (2)密度 ASTM D1505に準ずる。測定個数10の平均
値。密度の測定には、島津製作所製SGM−220G−
01タイプの比重測定器を使用した。一定の大きさの試
験片を容器またはシートから採取して、各々の密度を測
定した。 (3)結晶融解温度(Tm) ASTM D3418に準ずる。測定個数10の平均
値。 (4)衝撃強度 JIS K7116(ISO 8256)に準ずる。測
定個数10の平均値。衝撃強度の測定には、(株)東洋
精機製作所製のデジタル衝撃試験機DG−TBタイプを
使用し、既に密度測定済の試験片をそのまま利用して、
各々の衝撃強度を測定した。 (5)耐熱性 一定容量の容器に一定量の調理済食品(マカロニグラタ
ン)を常温で充填し、次いで、予め庫内温度を220
℃、230℃、240℃、及び250℃に調整した各オ
ーブンに容器を入れて、15分間加熱した。加熱終了
後、取り出した容器の変形及び変色の程度を観察し、実
用上支障のないものを合格(○)とし、変形または変色
の程度が大きく、実用上支障があるものを不合格(×)
と評価した。また、加熱前の容器から試験片を切り取
り、衝撃強度と密度を測定した。 (6)耐寒衝撃性(落下衝撃強度) 耐熱性試験と同じ条件で、調理済食品を充填しオーブン
で加熱した容器を、庫内を−40℃に調整した冷凍庫に
入れて24時間保存した。その容器を冷凍庫から取り出
して、そのまま直ちに、1mの高さからコンクリート床
に落として、破損の有無とその状態を観察した。測定個
数10個の全部が破損しなかったものを合格(○)と
し、1個でも破損したものを不合格(×)と評価した。 【0024】[実施例1]ポリ−1,4−シクロヘキシ
レンジメチレンテレフタレート・イソフタレート(イー
ストマン・ケミカル社製、商品名サーメックス(THE
RMX)PCTA6761)の結晶化ペレット〔固有粘
度(IV)=0.96±0.03dl/g、密度=1.
2150g/cm3、結晶溶融温度=285℃)に、結
晶核剤、着色剤、及び酸化防止剤を含有する混合マスタ
ーバッチ(イーストマン・ケミカル社製、商品名P29
50−77AA)を40:1(重量比)の割合で混合し
て、次いで、混合物を2軸同方向・真空ベント式押出機
に供給し、Tダイからシート状に溶融押出して、厚さ
0.5mmの非晶シートを作成した。この非晶シートの
密度は、1.1925〜1.1950g/cm3の範囲
であり(平均1.1935g/cm3)、衝撃強度は、
10.5〜11.5J/cmの範囲であった。得られた
非晶シートを、圧空真空成形機と温度制御装置の付いた
加熱金型並びに冷却金型を配置した形成機に供給し、加
熱ヒーターにより予備加熱した非晶シートを170℃の
加熱金型内でトレーの形状に賦形し、次に、35℃の冷
却金型に移行させた後、トレーを得た。得られたトレー
の密度は、平均1.2050g/cm3(結晶化度18
%)であった。このトレーは、250℃のオーブンで使
用しても変形せず、−40℃の低温で冷凍してもその衝
撃強度は実用上支障がなかった。結果を表1に示す。 【0025】[実施例2]実施例1において、PCTA
と混合マスターバッチの混合比を、40:1から40:
1.5(重量比)にかえたこと以外は、同様にして、厚
み0.5mm、平均密度1.1950g/cm3の非晶
シートを作成した。この非晶シートを加熱ヒーターで予
備加熱した後、圧空真空成形機と温度制御装置の付いた
加熱金型(金型温度=170±3℃)でトレーの形状に
賦形した。この際、圧空冷却により結晶化の過度の進行
を抑制した。得られたトレーの密度は、平均1.206
4g/cm3(結晶化度20%)であった。このトレー
は、250℃のオーブンで使用しても変形せず、−40
℃の低温で冷凍してもその衝撃強度は実用上支障がなか
った。結果を表1に示す。 【0026】[比較例1]実施例1で調製した非晶シー
トを用い、かつ、実施例2において、金型温度を160
℃±3℃にかえたこと以外は、同様にして、トレーを成
形した。容器の平均密度は、1.2001g/cm
3(結晶化度11%)であり、耐寒衝撃性試験には合格
したものの、240℃/15分間及び250℃/15分
間の加熱条件では変形し、耐熱性が充分ではなかった。 【0027】[比較例2]実施例2において、金型温度
を180℃±3℃にかえたこと以外は、同様にして、ト
レーを成形した。容器の平均密度は、1.2141g/
cm3(結晶化度31%)であり、250℃/15分間
の耐熱性試験に合格し、優れた耐熱性を示したものの、
−40℃での落下試験(1m)では割れるものがあり、
耐寒衝撃性に劣るものであった。結果を表1に示す。 【0028】[比較例3]固有粘度(IV)0.95d
l/gの結晶化ペレット状のポリエチレンテレフタレー
ト(密度1.4000g/cm3)に公知の結晶核剤を
配合して、実施例1と同じ方法で、厚さ0.5mmのP
ET非晶シートを作成した。このPET非晶シートの密
度は、1.3300g/cm3であった。このPET非
晶シートを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてト
レーを作成した。このトレーは、耐寒衝撃性に優れてい
るものの、220℃/15分間の耐熱性試験に不合格で
あり、耐熱性が不充分であった。結果を表1に示す。 【0029】[比較例4]比較例3で調製した非晶シー
トを用い、実施例2と同様にしてトレーを作成した。こ
のトレーは、220℃/15分間の耐熱性試験にあ合格
したものの、230℃以上の温度では変形し、しかも耐
寒衝撃性が不充分であった。結果を表1に示す。 【0030】 【表1】(脚注) (1)PCTA=ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメ
チレンテレフタレート・イソフタレート (2)PET=ポリエチレンテレフタレート 【0031】 【発明の効果】本発明によれば、ガスや電気式オーブン
と電子レンジの両方に使用することができ、しかも業務
用オーブンやオーブンレンジでの250℃前後の高温で
の使用に耐える耐熱性と、−40℃の冷凍条件下での耐
衝撃性とを兼ね備え、熱変色が少なく、保香性に優れた
飽和ポリエステル樹脂製の食品容器が提供される。本発
明の食品容器は、冷凍調理食品の包装容器として特に好
適である。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチ
レンテレフタレート・イソフタレートからなる非晶シー
トを熱成形して得られる密度が1.2015〜1.21
20g/cm3の範囲内にある耐熱・耐寒性食品容器。
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1997
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