JP3523328B2 - 2,2−2置換−1,3−シクロヘキサンジオン誘導体およびその製造方法 - Google Patents

2,2−2置換−1,3−シクロヘキサンジオン誘導体およびその製造方法

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JP3523328B2 JP11357194A JP11357194A JP3523328B2 JP 3523328 B2 JP3523328 B2 JP 3523328B2 JP 11357194 A JP11357194 A JP 11357194A JP 11357194 A JP11357194 A JP 11357194A JP 3523328 B2 JP3523328 B2 JP 3523328B2
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    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C403/00Derivatives of cyclohexane or of a cyclohexene or of cyclohexadiene, having a side-chain containing an acyclic unsaturated part of at least four carbon atoms, this part being directly attached to the cyclohexane or cyclohexene or cyclohexadiene rings, e.g. vitamin A, beta-carotene, beta-ionone
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  • Organic Chemistry (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はステロイド類合成の重要
な中間体としての、新規な2,2−2置換−1,3−シ
クロヘキサンジオン誘導体に関する。本発明により得ら
れる2,2−2置換−1,3−シクロヘキサンジオン誘
導体は、その末端二重結合部分を酸化してメチルケトン
に誘導後、不斉環化することにより、天然物および生理
活性物質の合成中間体として有用なウィーランド−ミー
シャーケトン(Wieland−Miescher K
etone)の光学活性体に誘導可能である(H.Ud
aら、シンセシス(Synthesis)、53頁(1
990年)参照)。
【0002】
【従来の技術】従来より2−1置換−1,3−シクロヘ
キサンジオン誘導体はステロイド類合成の中間体として
よく知られているが、2位に3−ブテニル基を有し、か
つ2位に置換基を有する2,2−2置換−1,3−シク
ロヘキサンジオン誘導体はこれまで知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、医薬
として有用なステロイド類の重要な中間体となる新規な
2,2−2置換−1,3−シクロヘキサンジオン誘導体
およびその製造方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ステロイ
ド類の工業的に有利な製造方法について鋭意検討した結
果、一般式(II)
【0005】
【化3】
【0006】で示される2−(3’−ブテニル)−1,
3−シクロヘキサンジオン(以下、これをブテニルシク
ロヘキサンジオン(II)と略称することがある。)をア
ルキル化することにより製造される一般式(I)
【0007】
【化4】
【0008】(式中、Rはフッ素原子、低級アルキルチ
オ基またはアリール基で置換されていてもよい低級アル
キル基を表す。)で示される2,2−2置換−1,3−
シクロヘキサンジオン誘導体(以下、これを2置換シク
ロヘキサンジオン誘導体(I)と略称することがあ
る。)を見出し、さらに、その製造方法を確立すること
により上記の目的を達成した。
【0009】2置換シクロヘキサンジオン誘導体(I)
の置換基Rは低級アルキル基を意味する。本明細書にお
いて「低級」とはこの語が付された基の炭素数が6個以
下であることを意味する。Rが表わすアルキル基として
は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プ
ロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ア
ミル基、ヘキシル基などが挙げられる。これらの低級ア
ルキル基は、フッ素原子;メトキシ基、エトキシ基等の
低級アルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基等の低
級アルキルチオ基;フェニル基、トルイル基等のアリー
ル基などで置換されていてもよい。
【0010】2置換シクロヘキサンジオン誘導体(I)
の代表例として、2−(3’−ブテニル)−2−メチル
−1,3−シクロヘキサンジオン[化合物1]、2−
(3’−ブテニル)−2−エチル−1,3−シクロヘキ
サンジオン[化合物2]、2−(3’−ブテニル)−2
−トリフルオロメチル−1,3−シクロヘキサンジオン
[化合物3]、2−(3’−ブテニル)−2−ベンジル
−1,3−シクロヘキサンジオン[化合物4]などを挙
げることができる。これらの化合物1〜4の構造式を以
下に示す。
【0011】
【化5】
【0012】2置換シクロヘキサンジオン誘導体(I)
は、ブテニルシクロヘキサンジオン(II)を塩基性化合
物の存在下にアルキル化剤を用いてアルキル化すること
により製造することができる。
【0013】好適なアルキル化剤としては、ヨウ化メチ
ル、臭化メチル、塩化メチル、ヨウ化エチル、臭化エチ
ル、臭化プロピル、臭化i−プロピル、臭化ブチル、臭
化i−ブチル、臭化t−ブチル、臭化アミル、臭化ヘキ
シル、ヨウ化トリフルオロメチル等のハロゲン化低級ア
ルキル;塩化ベンジル、臭化ベンジル等のアリール基で
置換されたハロゲン化低級アルキル;臭化メチルチオエ
チル等のアルキルチオ基で置換されたハロゲン化低級ア
ルキル;またはジメチル硫酸、ジエチル硫酸等のスルホ
ン酸エステルなどを挙げることができる。アルキル化剤
の使用量はブテニルシクロヘキサンジオン(II)に対
して1モル倍から10モル倍、好ましくは1モル倍から
2モル倍である。
【0014】好適な塩基性化合物としては、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;ナトリウ
ムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属
アルコキシド;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の
アルカリ金属水酸化物;または水素化ナトリウム等のア
ルカリ金属水素化物を挙げることができる。
【0015】本反応は有機溶媒中で行なうのが好まし
い。好適な有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン等の
芳香族炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジメトキ
シエタン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチル
ケトン等のケトン類;エタノール、ブタノール等のアル
コール系溶媒などの有機溶媒またはそれらの混合溶媒を
使用することができる。
【0016】反応は使用するアルキル化剤、塩基性化合
物および溶媒によっても異なるが、通常室温または加熱
下に行なわれ、室温から100℃までの範囲内の温度条
件下に実施するのが好ましい。
【0017】反応終了後、有機合成反応後に化合物を単
離する通常の操作に従い、生成物を得ることができる
が、必要に応じカラムクロマトグラフィー、蒸留などの
操作により精製することもできる。
【0018】ブテニルシクロヘキサンジオン(II)は、
一般式(III)
【0019】
【化6】
【0020】で示されるδ−ケトエステルを塩基性化合
物の存在下に環化させることにより製造することができ
る。
【0021】本発明の2置換シクロヘキサンジオン誘導
体(I)は、パラジウム触媒の存在下に末端の二重結合
部分を酸化することによりメチルケトンに誘導し、次い
で光学活性なアミノ酸触媒の存在下に環化させることに
より、天然物および生理活性物質の合成中間体として有
用なウィーランド−ミーシャーケトン(Wieland
−Miescher Ketone)の光学活性体に変
換することができる。
【0022】酸化反応はパラジウム触媒、再酸化剤を用
い、酸素雰囲気下あるいは空気中で実施するいわゆるワ
ッカー(Wacker)酸化により行なうことができ
る。好適な触媒としては塩化パラジウム、酢酸パラジウ
ム等を挙げることができる。好適な再酸化剤としては塩
化銅(II)、塩化銅(I)、硝酸銅(II)等を挙げるこ
とができる。反応は有機溶媒中で行うが、好適な溶媒と
して含水ジメチルホルムアミド、含水エタノ−ル等の均
一系溶媒、トルエン−水等の二相系溶媒を挙げることが
できる。反応終了後は通常の有機合成反応後に化合物を
単離する通常の操作に従い生成物を得ることができる
が、必要に応じカラムクロマトグラフィー、蒸留などの
操作により精製する。
【0023】また、この酸化反応はパラジウム触媒と過
酸化物の組合せによっても行なうことができる。好適な
パラジウム触媒としては塩化パラジウム、酢酸パラジウ
ム等を挙げることができ、好適な過酸化物として過酸化
水素水、t−ブチルヒドロペルオキシド等を挙げること
ができる。過酸化物は通常過剰に用いるが、好ましくは
2当量から10当量の範囲である。本反応は有機溶媒中
で行うのが望ましい。好適な溶媒としては塩化メチレ
ン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;t−
ブタノール等のアルコール系溶媒;または酢酸エステル
および酢酸等を挙げることができる。反応は通常室温で
行なう。反応終了後は通常の有機合成反応後に化合物を
単離する通常の操作に従い生成物を得ることができる
が、必要に応じカラムクロマトグラフィー、蒸留などの
操作により精製する。
【0024】
【実施例】以下、実施例および参考例により本発明を詳
細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定さ
れるものではない。
【0025】参考例1 蒸留装置、滴下漏斗、およびメカニカルスターラーを備
えた2L三頭フラスコに28%ナトリウムメチラートメ
タノール溶液113gと乾燥したトルエン800mlを
入れ、125℃に加熱しメタノールを留去した。得られ
た無色懸濁液に、加熱を継続しながら−オキソ−9−
デセン酸メチル100gを30分間かけて滴下した。滴
下終了後更に10分間加熱を継続した後、室温まで放冷
した。反応混合物に1規定塩酸600mlを加え、トル
エンで抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄
し、硫酸マグネシウムで乾燥後に減圧下に溶媒を留去し
た。得られた淡黄白色固体を減圧乾燥し、2−(3’−
ブテニル)−1,3−シクロヘキサンジオン82.2g
を得る。↑1H−NMR(270MHz,CDCl↓
3)1.7−2.7(10H,m),3.4(1H,
m),4.9−5.1(2H,m),5.7−5.9
(1H,m)
【0026】実施例1 還流冷却器およびメカニカルスターラーを備えた300
ml三頭フラスコに参考例1で合成した2−(3’−ブ
テニル)−1,3−シクロヘキサンジオン11.8g、
炭酸カリウム11.6g、ヨウ化メチル5.4mlおよ
びアセトン200mlを入れ、5時間加熱還流した。室
温まで冷却後、溶媒を減圧下に留去し、得られた残渣に
水を加え、これを酢酸エチルで抽出した。抽出液を水、
飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し
た。溶媒を減圧下に留去し、残渣を減圧蒸留し69−7
2℃(0.13mmHg)の留分として、2−(3’−
ブテニル)−2−メチル−1,3−シクロヘキサンジオ
ン12.1gを得た。 ↑1 H−NMR(270MHz,CDCl↓3 )1.2
(3H,s),1.8−2.1(6H,m),2.6−
2.8(4H,m),4.9−5.1(2H,m),
5.6−5.8(1H,m)
【0027】実施例2 還流冷却器およびマグネチックスターラーを備えた10
0ml三頭フラスコに参考例1で合成した2−(3’−
ブテニル)−1,3−シクロヘキサンジオン3.5g、
炭酸カリウム3.4g、ヨウ化エチル2mlおよびアセ
トン70mlを入れ、6時間加熱還流した。反応混合物
を室温まで冷却後、減圧下に溶媒を留去し、水を加え、
これを酢酸エチルで抽出した。抽出液を水、飽和食塩水
で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減
圧下に留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマログラフ
ィ(ヘキサン/酢酸エチル=9/1)により精製し、2
−(3’−ブテニル)−2−エチル−1,3−シクロヘ
キサンジオン2.2gを得た。 ↑1 H−NMR(270MHz,CDCl↓3 )1.1
(3H,t),1.6(2H,q),1.8−2.1
(6H,m),2.6−2.8(4H,m),4.9−
5.1(2H,m),5.6−5.8(1H,m)
【0028】実施例3 還流冷却器およびマグネチックスターラーを備えた20
0ml三頭フラスコに参考例1で合成した2−(3’−
ブテニル)−1,3−シクロヘキサンジオン4.1g、
炭酸カリウム4.1g、臭化ベンジル5.3gおよびア
セトン120mlを入れ、8時間加熱還流した。反応混
合物を室温まで冷却後、減圧下に溶媒を留去し水を加
え、これを酢酸エチルで抽出した。抽出液を水、飽和食
塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒
を減圧下に留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマログ
ラフィ(ヘキサン/酢酸エチル=19/1)により精製
し、2−(3’−ブテニル)−2−ベンジル−1,3−
シクロヘキサンジオン3.5gを得た。 ↑1 H−NMR(270MHz,CDCl↓3 )1.8
−2.1(6H,m),2.6(2H,s),2.6−
2.8(4H,m),4.9−5.1(1H,m),
7.1(5H,s)
【0029】実施例4 還流冷却器およびマグネチックスターラーを備えた10
0ml三頭フラスコに参考例1で合成した2−(3’−
ブテニル)−1,3−シクロヘキサンジオン2.2g、
炭酸カリウム2.2g、ヨウ化トリフルオロメチル6.
5gおよびアセトン80mlを入れ、10時間加熱還流
した。反応混合物を室温まで冷却後、減圧下に溶媒を留
去し水を加え、これを酢酸エチルで抽出した。抽出液を
水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥
した。溶媒を減圧下に留去し、残渣をシリカゲルカラム
クロマログラフィ(ヘキサン/酢酸エチル=39/1)
により精製し、2−(3’−ブテニル)−2−トリフル
オロメチル−1,3−シクロヘキサンジオン0.8gを
得た。 ↑1 H−NMR(270MHz,CDCl↓3 )1.8
−2.2(6H,m),2.6−2.8(4H,m),
4.9−5.1(2H,m),5.6−5.8(1H,
m)
【0030】参考例2 500ml三頭フラスコに塩化パラジウム107mg、
塩化第一銅910mg、水30mlおよびジメチルホル
ムアミド240mlを入れ、激しく攪拌しながら空気を
導入した。2時間後、実施例1で合成した2−(3’−
ブテニル)−2−メチル−1,3−シクロヘキサンジオ
ン5.4gを30分間かけて滴下し、滴下終了後さらに
3日間空気の導入と攪拌を継続した。反応終了後、反応
混合物を500mlの1規定塩酸に注ぎ、これを酢酸エ
チルで抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄
し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下に留去
し、残渣をシリカゲルカラムクロマログラフィ(ヘキサ
ン/酢酸エチル=9/1)により精製し、2−メチル−
2−(3’−オキソブチル)−1,3−シクロヘキサン
ジオン4.9gを得た。 ↑1 H−NMR(270MHz,CDCl↓3 )1.3
(3H,s),1.8−2.1(6H,m),2.1
(3H,s),2.3(2H,t),2.6−2.8
(4H,m)
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、天然物および生理活性
物質の合成中間体として有用な2−(3’−ブテニル)
−1,3−シクロヘキサンジオン誘導体およびその製造
方法が提供される。
フロントページの続き (56)参考文献 J. Chem. Soc., Ch em. Commun. No.9 (1982) p.502−p.503 Indian Journal of Chemistry, Vol.22 B, No.9 (1983) p.841− p.845 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 49/647 C07C 45/68 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、Rはフッ素原子、低級アルキルチオ基またはア
    リール基で置換されていてもよい低級アルキル基を表
    す。)で示される2,2−2置換−1,3−シクロヘキ
    サンジオン誘導体。
  2. 【請求項2】 一般式(II) 【化2】 で示される2−(3’−ブテニル)−1,3−シクロヘ
    キサンジオンをアルキル化することを特徴とする請求項
    1記載の2,2−2置換−1,3−シクロヘキサンジオ
    ン誘導体の製造方法。
JP11357194A 1994-04-28 1994-04-28 2,2−2置換−1,3−シクロヘキサンジオン誘導体およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3523328B2 (ja)

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Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Indian Journal of Chemistry, Vol.22B, No.9 (1983) p.841−p.845
J. Chem. Soc., Chem. Commun. No.9 (1982) p.502−p.503

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