JP3522455B2 - 放射性固体廃棄物の仮焼処理方法および仮焼処理装置 - Google Patents

放射性固体廃棄物の仮焼処理方法および仮焼処理装置

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JP3522455B2
JP3522455B2 JP20363296A JP20363296A JP3522455B2 JP 3522455 B2 JP3522455 B2 JP 3522455B2 JP 20363296 A JP20363296 A JP 20363296A JP 20363296 A JP20363296 A JP 20363296A JP 3522455 B2 JP3522455 B2 JP 3522455B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射性固体廃棄物
を加熱し、廃棄物中の有機物を熱分解する仮焼処理方法
および装置に係り、無機物と有機物とが混在する放射性
固体廃棄物に特有の不安定な燃焼状態を防止した仮焼処
理方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】原子力発電所などの原子力利用施設から
発生する放射性廃棄物のうち、固体廃棄物は、浅地層や
深地層に処分される。通常、固体廃棄物は、無機廃棄物
(コンクリート製や金属製の機器・構造材、燃料被覆
管、燃料構造物など)と、この無機廃棄物と分離しがた
い状態で混在している有機廃棄物(紙、ポリエチレン、
塗料、潤滑油、ゴムなど)とからなっている。
【0003】ところで、固体廃棄物を処分する場合、固
体廃棄物から前記有機物を除いておくと、固体廃棄物中
の放射性物質が地下水に溶解しにくくなり、処分の安全
性が向上すると言われている。このため、処分の前に、
固体廃棄物中から有機物を除いておくことが重要とな
る。
【0004】この際、固体廃棄物中の有機物を除去する
方法として、機械的に分離除去する方法もあるが、有機
物を完全に除去するためには、どうしても人手に頼る必
要があり、放射性廃棄物のような危険物を取り扱う場合
には実用的ではない。また、固体廃棄物は、前記した通
り、無機物と有機物とが分離しがたい状態で混在してお
り、しかも無機物や有機物の種類や形態も様々であり、
遠隔操作や自動装置による機械的な分離にも向かないか
らである。したがって、固体廃棄物中から有機物を完全
に除去するためには、必然的に、固体廃棄物を加熱して
有機物を熱分解せざるを得ない。ちなみに、本発明では
この処理を仮焼処理と称する。
【0005】周知の通り、通常、都市ごみや一般の産業
廃棄物などの大量の固体廃棄物の焼却処理には、回転火
格子炉や流動床焼却炉などが多く用いられている。ま
た、放射性固体廃棄物の分野でも、放射性固体廃棄物を
焼却し、その焼却灰を同じ装置でそのまま溶融固化させ
る焼却溶融装置が、例えば、特開平6─273591号
公報などで提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明が対象
とする前記固体廃棄物は、通常の都市ごみや一般の産業
廃棄物、あるいは、他の放射性固体廃棄物とは大きく異
なり、可燃性の有機物の量に比して非可燃性の無機物の
量が圧倒的に多く、所謂燃えにくい廃棄物となってい
る。また、処理対象となる固体廃棄物が多岐に渡り、可
燃性の有機物の量が一定ではなく、処理する炉の側から
みると、炉内に投入される可燃性の有機物の量が、常に
大きく変動することになる。
【0007】可燃性の有機物の多い廃棄物の焼却に用い
られる、前記火格子炉や流動床焼却炉など、一般的な焼
却炉の場合、通常、燃焼用の空気はブロワーで供給さ
れ、制御的にも設備的にも簡単で安価であるので、通
常、供給空気量は可変ではなく一定にしている。しか
し、供給空気量が一定でも、廃棄物量(可燃有機物量)
と燃焼排ガス量には、きっちりとした対応関係が有り、
炉の運転中は、廃棄物の炉内への投入量さえ管理(制
御)すれば、安定な燃焼状態が得られる。
【0008】一方、本発明が対象とする前記固体廃棄物
を、これらの炉で処理した場合、可燃性の有機物が少な
く、かつ有機物量が大きく変動するので、燃焼用の空気
を一定に保持した状態で廃棄物の投入量を調節しても、
燃焼排ガスや煤塵の発生量を制御できない。即ち、前記
可燃性の廃棄物の燃焼のような、一定の空気供給量の制
御では、不完全燃焼を生じ、有害な排ガスの発生が生じ
やすく、また、大量の未燃ガスや煤塵により、炉の内圧
過剰や引火爆発の危険性も生じる。
【0009】したがって、この不完全燃焼の危険を防止
するためには、どうしても、供給空気量を多くする空気
過剰側で設計および操業する必要があり、この結果、排
ガスの量も多くなり、排ガスの処理設備も大型となっ
て、設備コストの増大を招く。
【0010】また、前記放射性固体廃棄物の焼却溶融装
置の場合、基本的な装置構造は、炉本体内に溶融用容器
を配し、炉外部より誘導加熱して溶融用容器内の放射性
固体廃棄物を焼却灰化し、更にこの焼却灰を溶融するよ
うにしている。したがって、導電性の溶融用容器を一旦
加熱して、その保温、蓄熱作用で、廃棄物を加熱する間
接加熱方式であるため、放射性固体廃棄物の加熱および
冷却速度が遅くなり、操業の不安定乃至不安全さに対応
した迅速な加熱停止などの制御が難しい。また、勿論、
前記一般的な焼却炉と同様、空気過剰側で操業する問題
点も有する。
【0011】この結果、これら従来の処理炉では、本発
明が対象とするような放射性固体廃棄物を処理するのは
非常に難しく、処理した実例は無い。したがって、実際
問題として、本発明が対象とする固体廃棄物は、可燃性
廃棄物の焼却処理の前に、可燃性廃棄物と区分され、未
処理のまま保管されているか、又は、前記した通り、非
常にてまひまをかけて、有機物を機械的に分離した上
で、溶融処理などを行っているのが現状である。
【0012】本発明は、かかる事情に鑑み、処理される
廃棄物が、可燃性の有機物が少なく無機物と有機物とが
混在する放射性固体廃棄物であっても、安定して、安全
な操業が得られる仮焼処理方法および装置を提供しよう
とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】このための、本発明方法
の手段は、無機物と有機物とが混在する放射性固体廃棄
物を加熱し、廃棄物中の有機物を熱分解する仮焼処理方
法において、放射性固体廃棄物の加熱時に、放射性固体
廃棄物の温度を測定し、該測定値に基づいて、廃棄物へ
の加熱量を制御するとともに、廃棄物周囲の雰囲気を冷
却して、該廃棄物の昇温速度を抑制することである。
【0014】本発明方法のより好ましい態様は、仮焼処
理中に、発生排ガス中の酸素濃度を測定しつつ、該酸素
濃度の変化に応じて、廃棄物への加熱量を制御すること
である。更に、本発明方法のより好ましい別の態様は、
発生排ガス中の炭酸ガス濃度も測定し、該炭酸ガス濃度
の変化により仮焼処理の終了を判断することである。
【0015】また、本発明装置の手段は、上記仮焼処理
方法を実施する装置であって、無機物と有機物とが混在
する放射性固体廃棄物を加熱し、廃棄物中の有機物を熱
分解する加熱室と、加熱室より生成熱分解ガスを排出す
る排気口と、加熱室内に空気を供給する手段と、加熱室
の外部にあって、加熱室内の放射性固体廃棄物もしくは
加熱室内に供給される空気を加熱する手段と、放射性固
体廃棄物を加熱室へ搬入および加熱室から搬出する手段
とからなる仮焼処理装置の、加熱室が水冷ジャケットで
構成されるとともに、加熱室内の廃棄物の温度測定器を
有することである。
【0016】本発明装置のより好ましい態様は、前記生
成熱分解ガス中の酸素濃度の測定器を有することであ
る。更に、本発明装置のより好ましい別の態様は、前記
水冷ジャケットにスリットが設けられるとともに、放射
性固体廃棄物の加熱手段が高周波誘導コイルから構成さ
れることである。
【0017】
【発明の実施の形態】処理対象の廃棄物温度を測定する
ことは公知であり、前記特開平6─273591号公報
などの溶融処理装置でも、廃棄物温度を測定している。
しかし、通常の焼却炉や、また、前記特開平6─273
591号公報などの、廃棄物温度の測定目的は、全て、
廃棄物の焼却効率を上げる、即ち、温度を高く保持する
ためであり、従来は、この廃棄物の焼却効率を上げるた
め、予め、熱分解温度を高く保持した炉の中に廃棄物を
投入することが常識的である。
【0018】これに対し、本発明の対象とする廃棄物
は、前記した通り、可燃性の有機物の量が一定ではな
く、炉(加熱室)内に投入される可燃性の有機物の量が
大きく変動し、過剰な有機物が投入されると、廃棄物の
昇温速度が上昇し、もともと加熱過剰、即ち、燃焼排ガ
スや煤塵の異常発生に基づく不完全燃焼を招きやすく、
放置すれば爆発的な分解が生じる危険性もある。
【0019】したがって、本発明では、廃棄物の加熱時
に、あくまで、廃棄物の昇温速度を抑制することが必要
で、このために、廃棄物の温度を測定して廃棄物の加熱
量を抑制するとともに、廃棄物周囲の雰囲気を冷却す
る。装置的には、廃棄物の加熱室を水冷ジャケットで構
成するとともに、加熱室内の廃棄物の温度測定器を配置
する。
【0020】本発明では、廃棄物の加熱抑制乃至穏やか
な加熱を行うために、有機物の熱分解未満の温度(室温
〜100℃)の状態で、処理対象の廃棄物を加熱室内に
投入し、徐々に温度を上げること、および、前記従来の
焼却炉のように、加熱中に廃棄物を追加投入しないこと
が好ましい。
【0021】また、本発明のように廃棄物の加熱を抑制
する、即ち、廃棄物を低温状態から緩やかに昇温してや
れば、排ガス中の酸素濃度も、検出可能な状態で緩やか
に低下していくので、後述する通り、制御の必要性を判
断する酸素量の変化を検出し易く、また、検出してから
加熱過剰を防止する制御を行う時間的余裕も有る。廃棄
物の昇温速度の急激な上昇は、この排ガス中の酸素濃度
の低下も急激になるため、排ガス中の酸素濃度の低下を
検出しようとしても、あるいは、検出してから、加熱を
停止ないし低減しようとしても、この制御の時間的余裕
がないという問題も生じる。
【0022】なお、測定する温度は、直接廃棄物の温度
を計らずとも、この廃棄物温度と対応するのであれば、
炉(加熱室)内雰囲気あるいは廃棄物載置用の底盤など
の炉体の温度でも構わない。また、温度の測定機器も、
熱電対などの直接接触式温度計や、赤外線放射温度計な
どの非接触式温度計が適宜使用可能である。
【0023】次に、排ガス中の酸素を測定することも、
本発明の廃棄物の加熱を抑制する目的を達成する点か
ら、より好ましい手段である。本発明者等の知見によれ
ば、無機物と有機物とが混在する放射性固体廃棄物を加
熱し、廃棄物中の有機物を熱分解する際、COやCO2
を代表とする熱分解ガスの発生と排ガス中の酸素濃度に
は一定の相関が有る。即ち、熱分解ガスの発生時には、
炉(加熱室)内に供給している酸素の消費に伴い、排ガ
ス中の酸素濃度の低下が起こる。しかも、この酸素濃度
の低下(変化)は、装置の定常運転時の酸素濃度の変動
よりも十分大きく、かつ変化の仕方はシャープであり、
他の要因による酸素濃度の変動とは区別して判断するこ
とが可能である。したがって、この酸素濃度の低下(変
化)を検出してやれば、廃棄物加熱量制御の必要性を判
断する重要な情報とすることができる。
【0024】勿論、一般的に、燃焼により焼却炉内の酸
素が消費されれば、排ガス中の酸素が減ることは自明で
あり、炉内で有機物が熱分解して発生するCOやCO2
などの熱分解ガス量と排気ガス中の酸素濃度に相関が有
ることも、現象としては自明である。また、公害防止や
燃焼効率向上などの観点から、排ガス中の成分を分析し
て、この結果に基づき、焼却炉の燃焼条件などを変更す
ることも公知である。
【0025】しかしながら、排ガス中の特定成分である
酸素量の変化が、リアルタイムでしかも直接、仮焼処理
中の廃棄物への加熱制御の因子として用いることが可能
である点を開示乃至示唆した公知例は無い。本発明者等
の知見によれば、廃棄物中の有機物を熱分解する際、熱
分解ガス発生に伴う、排ガス中の酸素濃度の低下(変
化)は、装置の定常運転時の酸素濃度の変動よりも大き
くかつシャープであり、他の要因による酸素濃度の変動
とは区別して判断することが可能である。したがって、
この酸素濃度の低下(変化)を検出してやれば、廃棄物
加熱量制御の必要性を判断する重要な情報とすることが
できる。
【0026】図1に、無機物と有機物とが混在する廃棄
物を加熱し、廃棄物中の有機物を熱分解して、熱分解ガ
ス(排ガス)を発生させた時の、排ガスの主要成分の経
時変化を示す。図1は、無機物として鉄、亜鉛、有機物
としてゴムを含む模擬廃棄物232gを作成し、この廃
棄物を、高周波誘導炉にて950℃を目標に加熱し、酸
素やCO、CO2 などの発生排ガス成分の量的な経時変
化を、ガスクロマトグラフ分析にて測定した結果であ
る。同図において、太い実線は排ガス温度、2点鎖線は
酸素濃度、細い実線はC0濃度、点線はCO2 濃度であ
る。同図から明らかな通り、例えば、廃棄物が加熱され
て5分経過後の300℃付近で、有機物であるゴムの熱
分解が生じ、熱分解ガスが発生して排ガス中のCOやC
2 が増加している。そして、これに対応して図1のA
点の通り、排ガス中の酸素濃度の急激な低下が起こって
いる。
【0027】この排ガス中のCOやCO2 が増加するの
に伴う酸素濃度の低下(変化)は、有機物が熱分解する
300〜800℃の温度範囲で生じる現象である。そし
て、図1のA点やB点から分かる通り、装置の定常運転
時などの、他の部分の酸素濃度の変動よりも大きくかつ
シャープであり、他の要因による酸素濃度の変動とは区
別して判断することが可能である。したがって、図1の
A点やB点の酸素濃度の低下(変化)をとらえて、例え
ばA点のように酸素濃度の低下が激しい場合には、誘導
コイルによる誘導加熱量を抑制して廃棄物の加熱量を制
御し、熱分解ガスの発生を抑制して、不完全燃焼に陥る
ことを防止する。
【0028】ちなみに、図1では、酸素のみならず、酸
素と相関して、COやCO2 も大きくかつシャープに変
化(増加)しており、酸素に代えて、COやCO2 を廃
棄物加熱量制御の必要性を判断する情報とすることも理
論的には考えられる。しかし、COやCO2 は、酸素に
比して絶対量が少なく、排ガス発生量が少ない操業初期
には特に検出しにくく、検出誤差が出やすい。また、酸
素濃度の変化の鋭敏さに比して、濃度変化が緩慢であ
り、制御の遅れを生じる可能性が大きく、酸素ほど実用
的ではない。
【0029】放射性固体廃棄物の加熱を終わる、言い換
えると、仮焼工程の終了の判定は、発生排ガス中の炭酸
ガス濃度の変化により、判断するのが好ましい。本発明
者らの知見によれば、前記図1の炭酸ガス濃度のC点で
示す通り、放射性固体廃棄物の熱分解が終わり、熱分解
ガス成分が減少する中で、ガス成分のうち、最後に定常
状態に戻るのは、炭酸ガスである。したがって、前記C
点のような炭酸ガス濃度の低下を検出してやれば、仮焼
工程の終了の判定をすることができる。放射性固体廃棄
物では、直接処理物に接触して確認することが困難であ
るため、この炭酸ガス濃度の低下で終了を判定するの
は、非接触で結果が判断できる点で好ましい。
【0030】次に、本発明の具体的な装置の実施形態を
図2を用いて以下説明する。図2は、本発明に係る仮焼
処理装置を示す説明図である。同図において、加熱室
(炉)本体は水冷ジャケット1と、水冷ジャケット内の
廃棄物Aを誘導加熱する誘導コイル2からなる。また、
仮焼用空気は水冷ジャケット1の下部に接続された供給
口3からブロワ等で供給される。
【0031】加熱室(炉)を構成する水冷ジャケット1
の一例を図3に示す。同図の通り、水冷ジャケットは、
円筒状構造のジャケット周方向に多数のスリット14を
設けた構成とされ、誘導コイル2による電磁場を効果的
に廃棄物Xに浸透させるようにしている。この水冷ジャ
ケット1の壁面内部には、冷却水通路20が設けられ、
入口10より供給された冷却水は、この冷却水通路20
により、水冷ジャケットの内側を循環し、水冷ジャケッ
トを冷却した後、出口9より排出される。
【0032】廃棄物加熱を抑制し、加熱量の制御を迅速
に行うためには、本発明の水冷ジャケットのように、炉
壁面を冷却できる加熱室を備えることが必要である。加
熱室を水冷ジャケットとすることによって、雰囲気温度
を低くして、廃棄物加熱を安全に抑制して加熱すること
が可能になる。
【0033】従来技術のように、加熱室内全体に熱が蓄
えられると、過剰な熱分解を検知して、加熱停止の操作
を行っても、速やかに加熱室内の温度を下げることがで
きず過剰燃焼などの問題を生じる。例えば、前記した従
来の放射性固体廃棄物の焼却溶融装置の構造は、導電性
の溶融用容器を一旦加熱して、その保温、蓄熱作用で、
廃棄物を加熱する間接加熱方式であるため、放射性固体
廃棄物の加熱および冷却速度が遅くなり、前記した焼却
操業の不安定乃至不安全さに対応した迅速な加熱停止な
どの制御が難しい。
【0034】加熱室の内面を構成する水冷ジャケット1
および底盤4の構成材料は、熱伝導率が大きく、かつ排
ガス中のHCl等の酸性ガスで腐食されにくい材料が好
ましく、ニッケル基合金、クロム基合金、インコネル、
あるいは薄いセラミック層で被覆した銅などが使用でき
る。
【0035】図1において、処理対象の廃棄物Xは、廃
棄物投入口6より加熱室内に、重力あるいはコンベア等
により供給され、仮焼後は、廃棄物載置用の底盤4を、
モーター等で駆動する引き抜き棒5により下降させて、
排出口7より、重力あるいはコンベア等により系外に排
出される。なお、底盤4や引き抜き棒5も、装置の稼働
により高温となるので、これらの冷却のため、引き抜き
棒内部を冷却水が通じる構造とされている。廃棄物の処
理を連続的に行うためには、この実施態様のように、加
熱室の上方に廃棄物投入口を設け、加熱室の下方より廃
棄物を排出するのが合理的であるが、加熱室の上方に廃
棄物投入口を設けず、例えば前記底盤4を、廃棄物の搬
入搬出に兼用しても良い。
【0036】また、加熱室の上部に設けられた燃焼排ガ
スの排気口8には、排ガスサンプラー15が設けられ、
これに酸素濃度測定器11および炭酸ガス濃度測定器1
2が接続され、排ガス中の酸素濃度と炭酸ガス濃度とを
連続的に測定する。なお、図2では、排ガスの排気口8
の加熱室頂上部側に、排ガスサンプラーを設けている
が、実際の装置にあっては、高温で煤塵の多い排ガスの
冷却と集塵装置が排気口8の下流側に必ず設けられるた
め、サンプラーの測定精度や保守の問題を考慮すると、
冷却集塵装置の下流側に設けることが好ましい。
【0037】更に、底盤4には熱電対乃至測温抵抗体1
6が設けられ、廃棄物温度(炉内温度)測定器13に接
続している。本発明では、特に加熱開始時や加熱操作時
に、この温度測定器13により、水冷ジャケット内の廃
棄物Xの温度をモニターしつつ、加熱を抑制する。
【0038】以上のような仮焼処理装置を用いて、無機
物と有機物とが混在する放射性固体廃棄物を加熱し、廃
棄物中の有機物を熱分解する処理操作について説明す
る。まず、加熱開始時は、廃棄物温度(炉内温度)測定
器13により、水冷ジャケット内の廃棄物Xの温度をモ
ニターしながら、誘導コイル2により廃棄物を誘導加熱
し、廃棄物を緩やかに昇温する。そして、廃棄物中の有
機物が熱分解して発生する排ガス(熱分解ガス)中の、
酸素と炭酸ガス濃度を、サンプラー15を介して、各々
測定器11および測定器12によりモニターする。
【0039】仮に、前記図1のA点やB点のように、排
ガス中の酸素濃度が異常に低下し、煤塵や燃焼排ガスが
多量になり、不完全燃焼が生じると判断される時には、
廃棄物の加熱を停止するか弱めるよう誘導コイルを操作
する。排ガス中の酸素濃度変化による誘導コイルの操作
について、操業の安全と効率化のために、酸素濃度の
低下率と、煤塵や燃焼排ガスの発生量との関係、ないし
煤塵や燃焼排ガスの発生量と不完全燃焼が実際に生じ
るタイミングとの関係を、予め実験等により確認してお
くことが望ましい。
【0040】このようにして、廃棄物中の有機物を熱分
解処理したのち、測定器12によりモニターしている排
ガス中の炭酸ガス濃度が、前記図1のC点のように、変
動状態から定常状態に低下した時点で、仮焼処理終了と
判断して、廃棄物の加熱を終了する。仮焼処理終了後、
前記した通り、廃棄物を、底盤4を引き抜き棒5により
下降させて、排出口7より系外に排出する。
【0041】放射性固体廃棄物の無機物が、主として金
属である場合には、本実施例のように、誘導コイルを用
いるのが好ましい。誘導コイルは、金属にジュール熱を
発生して加熱するため、誘導コイルの電流の加減によ
り、廃棄物の加熱力を容易に加減できる。また、加熱制
御を遠隔操作で行える点で、放射性固体廃棄物の処理に
は好適である。
【0042】一方、放射性固体廃棄物の無機物が主とし
てセラミックである場合には、バーナや抵抗加熱体を用
いるのが好ましい。バーナや抵抗加熱体は、炉内の雰囲
気空気を間接的に加熱し、この高温空気で廃棄物を加熱
するため、バーナや抵抗加熱体の出力の加減により、廃
棄物の加熱力を容易に加減できる。また、装置に供給さ
れる放射性固体廃棄物の無機物の種類の違いに対応でき
るよう、あるいは、金属とセラミックとが混在した廃棄
物に対応できるよう、廃棄物の加熱手段として、誘導コ
イルと、バーナや抵抗加熱体とを合わせ持つような装置
としても良い。
【0043】図4に、このバーナや抵抗加熱体を用いた
例を示す。同図は、図1の仮焼処理装置と構造は基本的
に同一であるが、図1の誘導コイルの代わりに、水冷ジ
ャケット内に、放射性固体廃棄物加熱用の高温の空気を
供給する手段を設けている。 加熱用高温空気の供給手
段は、加熱用の空気を大気より取り入れる、空気取り入
れ口18と、これをバーナ19で高温に加熱する予熱室
16と、高温空気の加熱室内への供給口17とからな
る。
【0044】本発明の仮焼処理装置に用いる炉のタイプ
について、本発明の構成を満たすものであれば、炉(加
熱室)の基本構造やタイプについての制約は無く、既存
の回転火格子炉や旋回溶融炉、或いは焼却灰を更に溶融
する焼却溶融炉などを改造して用いることが可能であ
る。
【0045】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明仮焼処理方法
および仮焼処理装置によれば、処理される廃棄物が、可
燃性の有機物が少なく無機物と有機物とが混在する放射
性固体廃棄物であっても、安定して、安全な操業を得る
ことができる。したがって、従来は放置されるしかなか
った廃棄物の処理の道を開くものであり、しかも、それ
を従来の焼却炉や焼却溶融炉などを大幅に変更すること
なく可能にした点など、この分野での工業的価値は大き
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃焼排ガス成分の経時変化を示す、説明図であ
る。
【図2】本発明の実施例を示す、仮焼処理装置の断面説
明図である。
【図3】本発明の実施例を示す、仮焼処理装置の加熱室
部分の断面説明図である。
【図4】本発明の他の実施例を示す、仮焼処理装置の断
面説明図である。
【符号の説明】
X :廃棄物 1 :水冷ジャケット 2 :誘導コイル 3 :空気供給口 4 :底盤 5 :引き抜き棒 6 :廃棄物投入口 7 :廃棄物排出口 8 :排気口 9 :冷却水出口 10:冷却水入口 11:酸素濃度検出器 12:炭素ガス濃度検出器 13:廃棄物温度検出器 14:スリット 15:サンプラー 16:予熱室 17:加熱空気供給口 18:空気採り入れ口 19:バーナー 20:冷却水通路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21F 9/32

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機物と有機物とが混在する放射性固体
    廃棄物を加熱し、廃棄物中の有機物を熱分解する仮焼処
    理方法において、放射性固体廃棄物の加熱時に、放射性
    固体廃棄物の温度を測定し、該測定値に基づいて、廃棄
    物への加熱量を制御するとともに、廃棄物周囲の雰囲気
    を冷却して、該廃棄物の昇温速度を抑制することを特徴
    とする放射性固体廃棄物の仮焼処理方法。
  2. 【請求項2】 仮焼処理中に、有機物の熱分解により発
    生する排ガス中の酸素濃度を測定しつつ、該酸素濃度の
    変化に応じて、廃棄物への加熱量を制御する請求項1に
    記載の放射性固体廃棄物の仮焼処理方法。
  3. 【請求項3】 仮焼処理中に、有機物の熱分解により発
    生する排ガス中の炭酸ガス濃度を測定し、該炭酸ガス濃
    度の変化により仮焼処理の終了を判断する請求項1又は
    2に記載の放射性固体廃棄物の仮焼処理方法。
  4. 【請求項4】 請求項1から3のいずれか1項の仮焼処
    理方法を実施する装置であって、無機物と有機物とが混
    在する放射性固体廃棄物を加熱し、廃棄物中の有機物を
    熱分解する加熱室と、加熱室より生成熱分解ガスを排出
    する排気口と、加熱室内に空気を供給する手段と、加熱
    室の外部にあって、加熱室内の放射性固体廃棄物もしく
    は加熱室内に供給される空気を加熱する手段と、放射性
    固体廃棄物を加熱室へ搬入および加熱室から搬出する手
    段とからなる仮焼処理装置であって、加熱室が水冷ジャ
    ケットで構成されるとともに、加熱室内の廃棄物の温度
    測定器を有することを特徴とする放射性固体廃棄物の仮
    焼処理装置。
  5. 【請求項5】 前記生成熱分解ガス中の酸素濃度の測定
    器を有する請求項4に記載の放射性固体廃棄物の仮焼処
    理装置。
  6. 【請求項6】 前記水冷ジャケットにスリットが設けら
    れるとともに、放射性固体廃棄物の加熱手段が高周波誘
    導コイルから構成される請求項4又は5に記載の放射性
    固体廃棄物の仮焼処理装置。
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