JP3521565B2 - コンタクトレンズ用溶液組成物、それを用いたコンタクトレンズ用洗浄保存剤およびそれを用いた洗浄方法 - Google Patents

コンタクトレンズ用溶液組成物、それを用いたコンタクトレンズ用洗浄保存剤およびそれを用いた洗浄方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レンズに付着した
汚れを除去するコンタクトレンズ用溶液組成物およびそ
れを用いた洗浄保存剤、コンタクトレンズの洗浄方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】コンタクトレンズを眼に装用すると、涙
液中に含まれる脂質、蛋白質、ムチン等種々の化合物と
コンタクトレンズの表面との間に相互作用が働き、レン
ズの素材の表面特性によってはこれらの涙液成分が付着
しやすくなる場合がある。これまでハードコンタクトレ
ンズにはポリメチルメタクリレートが多く用いられてき
たが、ポリメチルメタクリレートが酸素を透過しないこ
とにより、眼への生理学的悪影響が大きいことが明らか
になって以来、酸素を透過する素材を用いたコンタクト
レンズが種々開発されるようになってきた。
【0003】このような酸素を透過する素材としてはシ
リコーン系の材料が広く用いられており、例えばトリス
(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート
などのシリル置換メタクリレートや変性ポリシロキサン
を構成成分としたポリマが開発され利用されている(特
開昭60−142324号、特開昭54−24047
号)。これらのポリマには多くの場合、共重合成分とし
てトリフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロ
イソプロピルメタクリレートなどのフッ素を含有するモ
ノマ(主としてフッ素置換アルキルメタクリレート)が
使用されている。このような素材を用いたコンタクトレ
ンズが多く登場した結果、ポリメチルメタクリレートの
みを用いたレンズに比べ、涙液中の成分がレンズに付着
しやすくなったことが報告されるようになってきてい
る。そこでこの対策として、コンタクトレンズを眼から
はずした後に、洗浄し保存するための種々の方法が提案
されてきている。例えば、微粒子入りのクリーナー(特
開昭60−159721号公報等)によってレンズを洗
浄した後に、界面活性剤や親水性高分子の添加された保
存液中に浸漬(特開昭61−69023号公報等)した
り、あるいはこの保存液に酵素剤(特開昭60−121
417号公報等)を添加してレンズを浸漬し、汚れを除
去しようとするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のよ
うなこれまでの方法では、涙液中の成分が複合してレン
ズに付着しやすくなっていることから、汚れの除去が十
分とはいえないという問題点を有していた。そこで本発
明は前記従来技術の欠点を解消しようとするものであ
り、簡便にシリコーン系材料製コンタクトレンズの汚れ
を除去できるシリコーン系材料製コンタクトレンズ用溶
液組成物およびそれを用いたシリコーン系材料製コンタ
クトレンズ用洗浄剤、シリコーン系材料製コンタクトレ
ンズの洗浄方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は以下の構成を有する。
【0006】「(1) 色相が20以下であり、1%水溶液
のpHが6.6以下であるスルホン酸塩系陰イオン界面
活性剤を含むことを特徴とするシリコーン系材料製コン
タクトレンズ用溶液組成物。
【0007】(2) 上記(1) 項の溶液組成物を用いたシリ
コーン系材料製コンタクトレンズ用洗浄剤。
【0008】(3) 上記(1) 項の溶液組成物を用いたシリ
コーン系材料製コンタクトレンズ洗浄方法。」
【0009】
【発明の実施の形態】本発明においては、スルホン酸塩
陰イオン系界面活性剤を用いるが、1 種であっても、
2 種以上を用いてもよい。この界面活性剤はレンズに付
着した涙液成分のうち、特に脂質分を可溶化して除去す
るものである。中でも、アルキルベンゼンスルホン酸
塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスル
ホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸塩及びα−オレフィ
ンスルホン酸塩からなる群から選ばれたものが好ましく
用いられ、涙液成分の除去に特に有効である。
【0010】本発明のコンタクトレンズ用溶液組成物に
おいては、用いられる陰イオン界面活性剤の1%水溶液
のpHが6.6以下であることが必須である。pHが、
6.6を越える場合、この陰イオン界面活性剤を用いた
コンタクトレンズ用溶液組成物がコンタクトレンズの球
面度に悪影響を与えるという問題がある。また、本発明
においては、長期保存後の変色が小さく、保存安定性に
優れるという点で、かかる陰イオン界面活性剤の色相が
20以下であることが好ましい。
【0011】また、かかる界面活性剤の含有量として
は、界面活性剤の溶解性やコンタクトレンズ用溶液組成
物の洗浄力などの点で、0.05〜10重量%程度であ
る。
【0012】本発明においては浸透圧を調整するため
に、緩衝剤や適当な塩類を用いることができる。その例
を挙げれば、リン酸水素二ナトリウム−クエン酸の組み
合わせ、リン酸水素二ナトリウム−リン酸二水素カリウ
ム、リン酸二水素カリウム−ホウ砂、ホウ砂−ホウ酸、
水酸化ナトリウム−リン酸二水素カリウム、エチレンジ
アミン四酢酸二ナトリウム塩−エチレンジアミン四酢酸
四ナトリウム塩等である。
【0013】更に本発明においては、他の成分を添加し
て用いることができる。溶液の粘度を調整するために水
溶性高分子を添加することが通常行われるが、本発明に
おいてもこれらの添加により粘度の調整が可能である。
水溶性の高分子としてどのようなものも使用可能である
が、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、
カルボキシプロピルセルロース、イソブチレンとマレイ
ン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸
ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ア
ラビアゴム、デンプン等を挙げることができる。
【0014】また、防腐剤も使用可能である。通常防腐
剤は保存液中に菌が増殖することを防ぐために添加され
ている物であり、例としてはソルビン酸、ソルビン酸カ
リウム、ソルビン酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メ
チル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸
プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、グルコン酸クロ
ルヘキシン等を挙げることができる。
【0015】本発明のコンタクトレンズ用溶液組成物
は、本来の眼からはずしたコンタクトレンズを本溶液組
成物に浸漬するという使用法の他に、他の洗浄剤等と組
み合わせて使用する事も可能である。例えば微粒子入り
クリーナーでコンタクトレンズを洗浄後本発明溶液組成
物にレンズを浸漬することも可能であるし、また本溶液
に酵素を含有する液状クリーナーを添加し、コンタクト
レンズを浸漬することも可能である。この場合これまで
の方法よりも更に優れた汚れ、涙液成分除去能力を示
す。
【0016】本発明により、汚れ、涙液成分の除去能力
の優れた、かつコンタクトレンズへの影響が小さいコン
タクトレンズ用溶液組成物を提供することができる。
【0017】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明を説明するが、本
発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0018】実施例1、比較例1 色相20.1%水溶液のpH6.6のソフト型アルキル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5gを、0.2Mの
リン酸水素二ナトリウム−0.1Mクエン酸溶液100
mlに溶解した。また同様に色相26、1%水溶液のp
H7.2のソフト型アルキルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム0.5gを、0.2Mのリン酸水素二ナトリウム−
0.1Mクエン酸溶液100mlに溶解した。
【0019】一方トリス(トリメチルシロキシ)シリル
プロピルメタクリレート45部、トリフルオロエチルメ
タクリレート4部、エチレングリコールジメタクリレー
ト6部、メタクリル酸5部から成る、ガス透過性ハード
コンタクトレンズ用ポリマからレンズを作製した。この
レンズ2枚を、ラード0.1gとオリーブ油0.1gと
を50℃の生理食塩水100mlに溶解した溶液に浸漬
し、10分間撹拌した後取り出して冷却し、油を付着さ
せた。
【0020】上記の界面活性剤の入った2種の溶液を異
なる容器に入れ、油分を付着させたレンズを浸漬し、2
4℃で8時間放置した。レンズを水道水で軽く濯いだ
後、レーザー干渉計にてレンズの球面度を観察したとこ
ろ、色相20、1%水溶液のpH6.6のアルキルベン
ゼンスルホン酸ナトリウムを用いた液に浸漬していたレ
ンズの方が明らかに球面度が優れていた。
【0021】
【発明の効果】本発明により、高い汚れ除去能力を持
ち、かつコンタクトレンズへの影響が小さいシリコーン
系材料製コンタクトレンズ用溶液組成物およびそれを用
いた洗浄保存剤を提供することができる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 色相が20以下であり、1%水溶液のp
    Hが6.6以下であるスルホン酸塩系陰イオン界面活性
    剤を含むことを特徴とするシリコーン系材料製コンタク
    トレンズ用溶液組成物。
  2. 【請求項2】 該スルホン酸塩系界面活性剤が、アルキ
    ルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン
    酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢
    酸塩及びα−オレフィンスルホン酸塩からなる群から選
    ばれることを特徴とする請求項記載のシリコーン系材
    料製コンタクトレンズ用溶液組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の溶液組成物を用いてなる
    シリコーン系材料製コンタクトレンズ用洗浄保存剤。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の溶液組成物を用いてなる
    シリコーン系材料製コンタクトレンズ洗浄方法。
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