JP3521223B2 - 酸化物膜の構造を制御する方法及び該方法に使用する装置 - Google Patents

酸化物膜の構造を制御する方法及び該方法に使用する装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大気開放型化学気
相折出法により各種基材表面に酸化物膜を形成する際
に、酸化物膜の構造を制御する方法及び該方法に使用す
る装置に関する。
【0002】
【従来の技術】気化させた原料をキャリヤーガスととも
に大気開放下に加熱された基材表面に吹付けて基材表面
に酸化物膜を堆積する大気開放型気相折出(CVD)法
は、密閉された反応容器内で減圧下に反応を行なう従来
のCVD法に比較して、板状体やパイプ等の長尺物から
な基材を連続的に加工することができること、及び原料
の気化温度や供給量、キャリヤーガスの流量、基材温度
等を調整することによって、基材表面に形成する酸化物
膜の膜厚や結晶構造等をある程度制御することができる
ことから、注目を集めている。本発明者らは、この大気
開放型CVD法において、基材表面に堆積する酸化物膜
の構造を用途に合わせて制御することを鋭意検討した結
果、本発明を完成したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、本発明は、
このような大気開放型CVD法において、各種の基材表
面に堆積する酸化物膜の構造、特に酸化物膜内の0.1
nm〜100μmの微細な構造を制御する方法、及び該
方法に使用する装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するためにつぎのような構成を採用する。 1.気化させた原料をキャリヤーガスとともに大気開放
下に加熱された基材表面に吹付けて基材表面に酸化物膜
を堆積する大気開放型化学気相析出法において、反応空
間場に電界を印加することを特徴とする基材表面に形成
する酸化物膜の構造を制御する方法。 2.印加する電界が直流電界であることを特徴とする1
に記載の酸化物膜の構造を制御する方法。 3.電界の強度が0.1〜10000V/mmであるこ
とを特徴とする1又は2に記載の酸化物膜の構造を制御
する方法。 4.電界の方向が酸化物膜を形成する基材に対して正又
は負であることを特徴とする1〜3のいずれかに記載の
酸化物膜の構造を制御する方法。 5.酸化物膜内の0.1nm以上100μm以下の構造
を制御することを特徴とする1〜4のいずれかに記載の
酸化物膜の構造を制御する方法。 6.基材表面に堆積する酸化物膜がアモルファスあるい
は多結晶構造であることを特徴とする1〜5のいずれか
に記載の酸化物膜の構造を制御する方法。 7.基材が金属、金属酸化物、ガラス、陶磁器、セラミ
ックス又はプラスチックから選択されたものであること
を特徴とする1〜6のいずれかに記載の酸化物膜の構造
を制御する方法。 8.キャリヤーガス供給手段、原料気化器、気化した原
料の吹付手段及び基材の加熱手段を具備する大気開放型
化学気相析出装置において、基材の加熱手段に近接する
位置に電界印加手段を設けたことを特徴とする1〜7の
いずれかに記載の酸化物膜の構造を制御する方法に使用
する装置。 9.基材の加熱手段と電界印加手段が電気的に絶縁され
ていることを特徴とする8に記載の装置。 10.少なくとも気化した原料の吹付手段、基材の加熱
手段及び電界印加手段を覆う防護チャンバーを設け、防
護チャンバーの扉の開閉と電界印加手段のスイッチの開
閉を連動させたことを特徴とする8又は9に記載の装
置。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で、表面に酸化物膜を形成
する基材としては特に制限はなく、原料吹付け時の加熱
に耐えられる材料はいずれも使用可能であるが、通常は
金属、金属酸化物、ガラス、陶磁器、セラミックス、又
はプラスチック等が使用される。基材の種類は、目的と
する用途等に応じて選択されるが、好ましい基材として
は、ステンレス鋼や鉄等の導電性材料、酸化亜鉛や酸化
チタン等の誘電体多結晶又は単結晶材料、n型Si単結
晶材料等が挙げられる。
【0006】基材表面に形成する酸化物膜としては特に
制限はないが、好ましい酸化物としては、酸化チタン、
酸化亜鉛、酸化マグネシウム、サファイア、Sn:In
203(ITO:Indium Tin Oxide)
等の金属酸化物が挙げられる。酸化物膜を構成する原料
としては、それを揮発させ大気に放出した際に、大気中
の酸素あるいは水分等と反応して酸化物を形成するもの
であれば特に限定されない。その例としては、例えば各
種金属のアルキル化合物、アルケニル化合物、フェニル
あるいはアルキルフェニル化合物、アルコキシド化合
物、ハロゲン化合物、アセチルアセトネート化合物、E
DTA化合物等が挙げられる。これらの中でも、安全性
面等からアルコキシド化合物が特に好ましい。これらの
原料は、原料気化器内で60〜300℃程度に加熱気化
され、気化された原料は、通常は流量0.5〜4.0l
/min程度のキャリヤーガスとともに、ノズルに送ら
れる。
【0007】キャリヤーガスとしては、加熱下で使用す
る原料化合物と反応する媒体でなければ、特に限定され
ないが、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガ
ス、炭酸ガス、有機フッ素系ガスあるいはヘキサン、ヘ
プタン等の有機物等が挙げられる。安全性、経済性の上
から不活性ガスが好ましく、この中でも窒素ガスが経済
性の面より最も好ましい。ノズルからキャリヤーガスと
ともに大気中に噴出した原料は、空気中で分解され、1
50〜800℃程度に加熱された基材表面に堆積し、酸
化物膜を形成する。
【0008】本発明では、大気開放型CVD法の反応空
間場に電界を印加することによって、基材表面に堆積す
る酸化物膜の構造、特に酸化物膜内の0.1nm〜10
0μm程度の微細な構造を制御するものである。印加す
る電界としては直流電界が好ましく、電界の強度は0.
1〜10000V/mm程度、特に10〜1000V/
mm程度とすることが好ましい。このような、電界印加
装置としては、例えば直流高電圧電源或いは、交流高圧
電源が挙げられる。
【0009】電界は基材側に印加することが好ましく、
基材加熱台が接地極より電気的に浮いているときには、
基材加熱台に直接電圧を印加することができる。基材加
熱台が接地極と電気的に接続されているときには、アル
ミナ板のような薄い絶縁材料を電圧印加装置と基材加熱
台の間に挿入し、電気的に絶縁する。電圧印加は連続的
であってもよいし、間欠的であってもよい。間欠的であ
る場合には、例えば電圧を一秒間印加して一秒間無印加
するような不連続印加でもよい。電圧の極性は電圧印加
部が接地極に対して正でも負でもよい。
【0010】本発明の酸化物膜の構造を制御する方法に
使用する装置は、キャリヤーガス供給手段、原料気化
器、気化した原料の吹付手段及び基材の加熱手段を具備
する通常の大気開放型CVD装置の、基材の加熱手段に
近接する位置に電界印加手段を設けることによって構成
する。この装置では、少なくとも気化した原料の吹付手
段、基材の加熱手段及び電界印加手段を覆う防護チャン
バーを設け、防護チャンバーの扉の開閉と電界印加手段
のスイッチの開閉を連動させることによって、安全性を
確保することが好ましい。
【0011】本発明の酸化物膜の構造を制御する方法を
使用することによって、これまで例を見ることのできな
い基材表面の酸化物膜の構造制御が可能となった。制御
される構造は、膜表面の凹凸、ウイスカーおよびエピタ
キシャル膜等である。本発明の構造制御法を利用するこ
とにより、比表面積が極めて大きいアモルファスおよび
多結晶酸化物膜や、表面平滑性に優れるアモルファス、
多結晶あるいは単結晶酸化物膜を得ることができる。比
表面積が極めて大きいアモルファスあるいは多結晶膜
は、有機合成に用いられる酸化物触媒やガスセンサー等
として高い効率を示す。一方、表面平滑性に優れるアモ
ルファスあるいは多結晶酸化物膜は、明るい光学素子等
の光・電子材料として利用することができる。
【0012】
【実施例】つぎに、実施例により本発明を説明するが、
以下の具体例は本発明を限定するものではない。図1
は、本発明において、大気開放型CVD法により各種基
材表面に酸化物膜を形成するのに使用する装置の1例を
示す模式図である。図1において、符号1はキャリヤー
ガスとなる乾燥窒素を供給するボンベなどの乾燥窒素供
給源、符号2は流量計、符号3は酸化物膜を形成する原
料気化器を表す。また、符号4は所定幅のスリット5を
設けたノズルを表し、符号6は基材、符号7は基材6に
直流電界を印加するための直流電界印加装置(高電圧電
極)、符号8は基材6の加熱台を表す。直流電界印加装
置7と加熱台8はアルミナ板等の絶縁材料(図示せず)
により電気的に絶縁されている。また、気化器3、ノズ
ル4、基材6、直流電界印加装置7及び加熱台8は、防
護チャンバー9により覆われており、防護チャンバー9
にはアクリル樹脂等からなる扉10を設け、インターロ
ックスイッチ11によって扉10の開閉と直流電界印加
装置7のスイッチの開閉を連動させている。
【0013】原料気化器3内で加熱蒸発させた原料は、
窒素ガスとともにノズル4に送られ、ノズル4に設けた
所定幅のスリット5から大気中に噴出させて、加熱され
た基材6の表面に吹付けられる。吹付けられた原料は空
気中で分解され、基材表面に酸化物膜を堆積するが、そ
の際に直流電圧印加装置7により基材側に直流電界を印
加することによって、酸化物膜の構造を制御する。基材
加熱台8が電圧印加装置7と電気的に接続されていない
場合には、基材加熱台8に直接直流電界を印加するよう
にしてもよい。
【0014】(実施例1:酸化チタン膜の表面平滑化)
図1の大気開放型CVD装置を使用し、気化器にチタン
テトライソプロポキシドを仕込んだ。気化器を120℃
に加熱し、加熱台を350℃に加熱した。吹き出しスリ
ットの下、10mmの位置に、厚み0.5mmのn型S
i単結晶基材を置いた。気化器に乾燥窒素ガスをN
流量2.8l/minで導入し、チタンテトライソプロ
ポキシドを大気圧雰囲気に放出し、n型Si単結晶基材
上に100分間吹き付けた。チタンテトライソプロポキ
シドは大気中の水と反応し酸化チタンとなり、これがn
型Si単結晶基材上に堆積し、膜厚約1μmのアナター
ゼ型酸化チタン結晶配向膜が生成した。生成した酸化チ
タン結晶の優先配向方向は(101)および(001)
方位であった。この例では、ノズルをアース電位とし
て、基板に正の直流高電圧を印加した。直流高電圧の強
度を1kVとしたところ、ノズル−基板間距離が10m
mであるので、CVD反応場における電界は100V/
mmとなる。
【0015】(比較例1)比較のために、直流高電圧を
印加しないほかは、実施例1と同様にして、n型Si単
結晶基材上に酸化チタン結晶配向膜を形成した。上記実
施例1及び比較例1で得られた酸化チタン膜を対比する
ために、その表面粗さRa値をJIS B0601−1
994に基づいて測定し、結果を表1に示した。
【0016】
【表1】
【0017】直流電界を印加した実施例1の酸化チタン
膜では、表面粗さRa値が10nmまで下がり、平滑な
表面を有する無色透明の酸化チタン膜が得られた。これ
に対して、直流電界を印加しなかった比較例1の酸化チ
タン膜は、Ra値が100nmと粗い表面を有するもの
であり、白色を呈していた。
【0018】(実施例2及び比較例2:酸化チタンウイ
スカーの高速成長)図1の大気開放型CVD装置を使用
し、気化器にチタンテトライソプロポキシドを仕込ん
だ。気化器を120℃に加熱し、加熱台を400℃に加
熱した。吹出しスリットの下、10mmの位置に、厚み
0.5mmのn型Si単結晶基材を置いた。気化器に乾
燥窒素ガスをN流量3.6l/minで導入し、チ
タンテトライソプロポキシドを大気圧雰囲気に放出し、
n型Si単結晶基材上に100分間吹き付けた。チタン
テトライソプロポキシドは大気中の水と反応し酸化チタ
ンとなり、これがn型Si単結晶基材上に堆積し、長さ
30μmのウイスカー集合体であるアナターゼ型酸化チ
タン結晶配向膜が生成した。生成した酸化チタン結晶の
優先配向方向は(101)および(110)方位であっ
た。この例では、ノズル−をアース電位として、基板に
正の直流高電圧を印加した。直流高電圧の強度を1kV
としたところ、ノズル−基板間距離が10mmであるの
で、CVD反応場における電界は100V/mmとな
る。比較のために、直流高電圧を印加せずに同様に基材
を処理したところ、長さ3μmのウイスカー集合体であ
る、(101)及び(110)方位に配向したアナター
ゼ型酸化チタン結晶配合膜が得られた。すなわち、本発
明の方法は、酸化チタンウイスカーの高速成長に顕著な
効果を示した。
【0019】(実施例3及び比較例3:酸化亜鉛ウイス
カーの高速成長)図1の大気開放型CVD装置を使用
し、気化器にアセチルアセトナト亜鉛を仕込んだ。気化
器を115℃に加熱し、加熱台を550℃に加熱した。
吹き出しスリットの下、20mmの位置に、厚み0.5
mmのn型Si単結晶基材を置いた。気化器に乾燥窒素
ガスをN 流量1.5l/minで導入し、アセチル
アセトナト亜鉛を大気圧雰囲気に放出し、n型Si単結
晶基材上に100分間吹き付けた。アセチルアセトナト
亜鉛は大気中で反応し酸化亜鉛となり、これがn型Si
単結晶基材上に堆積し、長さ30μmの酸化亜鉛配向ウ
イスカー集合体膜が生成した。生成した酸化亜鉛配向ウ
イスカー膜の優先配向方向は(0001)方位であっ
た。この例では、ノズルをアース電位として、基板に正
の直流高電圧を印加した。直流高電圧の強度を1kVと
したところ、ノズル−基板間距離が20mmであるの
で、CVD反応場における電界は50V/mmとなる。
比較のために、直流高電圧を印加せずに同様に基材を処
理したところ、長さ10μmで同方位に配向した酸化亜
鉛配向ウイスカー集合体膜が得られた。すなわち、本発
明の方法は、酸化亜鉛ウイスカーの高速成長に効果があ
った。
【0020】(実施例4及び比較例4:酸化マグネシウ
ム膜の表面平滑化)図1の大気開放型CVD装置を使用
し、気化器にアセチルアセトナトマグネシウムを仕込ん
だ。気化器を220℃に加熱し、加熱台を550℃に加
熱した。吹き出しスリットの下、20mmの位置に、厚
み0.5mmのSUS316ステンレス鋼基材を置い
た。気化器に乾燥窒素ガスをN 流量2.8l/mi
nで導入し、アセチルアセトナトマグネシウムを大気圧
雰囲気に放出し、SUS316ステンレス鋼基材上に1
00分間吹き付けた。アセチルアセトナトマグネシウム
は大気中の水と反応し酸化マグネシウムとなり、これが
SUS316ステンレス鋼基材上に堆積し、酸化マグネ
シウム結晶膜が生成した。この例では、ノズルをアース
電位として、基板に正の直流間欠高電圧を1秒サイクル
で印加した。印加時の直流高電圧の強度を1kVとした
ところ、ノズル−基板間距離が20mmであるので、C
VD反応場における電界は1秒の間50V/mmとな
り、次の1秒は0V/mmになる。比較のために、直流
間欠高電圧を印加せずに同様に基材を処理して、基材上
に酸化マグネシウム結晶膜を生成させた。それぞれ得ら
れた酸化マグネシウム結晶膜について、表面粗さRa値
と常法により測定した絶縁破壊電圧の値を表2に示し
た。実施例4の酸化マグネシウム膜では、表面粗さRa
値が10nmまで下がって結晶粒界が目立たなくなり、
絶縁破壊電圧も向上した。
【0021】
【表2】
【0022】(実施例5及び比較例5:サファイア膜の
エピタキシャル成長)図1の大気開放型CVD装置を使
用し、気化器にアセチルアセトナトアルミニウムを仕込
んだ。気化器を220℃に加熱し、加熱台を750℃に
加熱した。吹き出しスリットの下、20mmの位置に、
厚み0.5mmの(0001)配向したサファイア単結
晶基材を置いた。気化器に乾燥窒素ガスをN 流量
2.8l/minで導入し、アセチルアセトナトアルミ
ニウムを大気圧雰囲気に放出し、サファイア基材上に1
00分間吹き付けた。アセチルアセトナトアルミニウム
は大気中の水と反応し酸化アルミニウムとなり、これが
サファイア基材上に堆積し、(0001)方位にエピタ
キシャル成長した、表面粗さRa値が10nmのサファ
イア結晶配向膜が生成した。この例では、ノズルをアー
ス電位として基板に負の直流高電圧を印加した。印加時
の直流高電圧の強度を1kVとしたところ、ノズル−基
板間距離が20mmであるので、CVD反応場における
電界は50V/mmとなる。比較のために、直流高電圧
を印加せずに同様に基材を処理したところ、エピタキシ
ャル成長したサファイア膜は得られず、(1000)、
(1100)及び(0001)方位に無秩序に成長し
た、表面粗さRa値が100nmの結晶膜が得られた。
【0023】(実施例6及び比較例6:ITOウイスカ
ーの高速成長)図1の大気開放型CVD装置を使用し、
気化器にアセチルアセトナインジウムおよびアセチルア
セトナトスズを仕込んだ。気化器を115℃に加熱し、
加熱台を550℃に加熱した。吹き出しスリットの下、
10mmの位置に、厚み0.5mmのn型Si単結晶基
材を置いた。気化器に乾燥窒素ガスをN 流量1.5
l/minで導入し、アセチルアセトナトインジウムお
よびアセトナトスズを大気圧雰囲気に放出し、n型Si
単結晶基材上に100分間吹き付けた。アセチルアセト
ナトインジウムおよびアセチルアセトナトスズは大気中
の水と反応しITO(Indium Tin Oxid
e)となり、これがn型Si単結晶基材上に堆積し、長
さ5μmのITOウイスカー集合体である結晶膜が生成
した。この例では、ノズルをアース電位として基板に正
の直流高電圧を印加した。直流高電圧の強度を1kVと
したところ、ノズル−基板間距離が10mmであるの
で、CVD反応場における電界は100V/mmとな
る。比較のために、直流高電圧を印加せずに同様に基材
を処理したところ、ウイスカーの生成は見られず、一様
なITOの連続膜が生成した。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、各種基材表面に堆積す
る酸化物膜の0.1nm〜100μm程度の微細な構造
を制御し、基材表面に所望の凹凸、ウイスカー、エピタ
キシャル膜等を有する酸化物膜を形成することが可能と
なる。本発明により製造される、比表面積が極めて大き
いアモルファス及び多結晶酸化物膜や、表面平滑性に優
れるアモルファス、多結晶或いは単結晶膜は触媒等の化
学材料やセンサー、光学素子等の電子材料等として幅広
い用途に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸化物膜の構造を制御する方法に使用
する装置の1例を示す図である。
【符号の説明】
1 乾燥窒素供給源 2 流量計 3 原料気化器 4 ノズル 5 スリット 6 基材 7 直流電界印加装置 8 加熱台 9 防護チャンバー 10 扉 11 インターロックスイッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C01G 19/00 C01G 19/00 A 23/07 23/07 H01L 21/31 H01L 21/31 B 21/316 21/316 X (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 16/00 - 16/56 C01B 13/00 - 13/36 H01L 21/31 - 21/32

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気化させた原料をキャリヤーガスととも
    に大気開放下に加熱された基材表面に吹付けて基材表面
    に酸化物膜を堆積する大気開放型化学気相析出法におい
    て、反応空間場に電界を印加することを特徴とする基材
    表面に形成する酸化物膜の構造を制御する方法。
  2. 【請求項2】 印加する電界が直流電界であることを特
    徴とする請求項1に記載の酸化物膜の構造を制御する方
    法。
  3. 【請求項3】 電界の強度が0.1〜10000V/m
    mであることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化
    物膜の構造を制御する方法。
  4. 【請求項4】 電界の方向が酸化物膜を形成する基材に
    対して正又は負であることを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかに記載の酸化物膜の構造を制御する方法。
  5. 【請求項5】 酸化物膜内の0.1nm以上100μm
    以下の構造を制御することを特徴とする請求項1〜4の
    いずれかに記載の酸化物膜の構造を制御する方法。
  6. 【請求項6】 基材表面に堆積する酸化物膜がアモルフ
    ァスあるいは多結晶構造であることを特徴とする請求項
    1〜5のいずれかに記載の酸化物膜の構造を制御する方
    法。
  7. 【請求項7】 基材が金属、金属酸化物、ガラス、陶磁
    器、セラミックス又はプラスチックから選択されたもの
    であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載
    の酸化物膜の構造を制御する方法。
  8. 【請求項8】 キャリヤーガス供給手段、原料気化器、
    気化した原料の吹付手段及び基材の加熱手段を具備する
    大気開放型化学気相析出装置において、基材の加熱手段
    に近接する位置に電界印加手段を設けたことを特徴とす
    る請求項1〜7のいずれかに記載の酸化物膜の構造を制
    御する方法に使用する装置。
  9. 【請求項9】 基材の加熱手段と電界印加手段が電気的
    に絶縁されていることを特徴とする請求項8に記載の装
    置。
  10. 【請求項10】 少なくとも気化した原料の吹付手段、
    基材の加熱手段及び電界印加手段を覆う防護チャンバー
    を設け、防護チャンバーの扉の開閉と電界印加手段のス
    イッチの開閉を連動させたことを特徴とする請求項8又
    は9に記載の装置。
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